タイトル:【BT】理想と現実マスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/06/25 01:30

●オープニング本文


「まーったく、困ったことをしてくれたもんだねー」
 ばさぁっと書類の束を部屋に散らかし、UPC北中央軍諜報部所属のジュン・ファシュインメイカー大尉は大きくため息をつく。
 傭兵によるアスレードへの宣戦布告を受けたドミニカ共和国は荒れに荒れていた。
 ゴーレムが多数動き出し、都市の制圧速度が速まっている。
 防衛をしきったサン・ドミンゴにUPC軍からも援軍を送り辛うじて防衛をしているが、本来ならロシアでの兵力減少を整えた後に動き出すつもりだったのだ。
「諜報部として敵戦力を調べていたのに、予定が大幅にくるうーるるるー」
 半ば自棄に見える様子で振舞うジュンはそのまま一枚の書類を抜き出す。
「拠点としているサン・ドミンゴを守らなければならないが、最重要課題だ」
 戦力はい著しくない状況になっている現在では、戦力の拡充と血路を開くための作戦がたてられていたのだ。
「繰上げ日程になるが、実験小隊として投下する運びでもある。戦力をココに投下させる」
 敵に広い顔を去れないように新型をもって傭兵による攻撃をこの戦いに生かそうという判断だ。
「自分でやってくれちゃったことだからー、じーぶんで尻拭きはして欲しいもとよね」
 中世的な姿と素振りを見せ続けるジュン・ファシュインメイカー大尉は激戦地とであるボナオへと傭兵を派遣することをきめる。
「この中心をとって補給線の確保をして、サン・ドミンゴまでのルートの確保をしてもらうとしよー‥‥」
 ジュンは調査書類の一つに判を押し、UPC本部へと傭兵に対する依頼として流すのだった。
 
●ULT本部
「今回は諜報部よりの依頼よ。めったに無いことだから、しっかりと聞いてちょうだいね」
 リネーア・ベリィルンド(gz0006)が神妙な面持ちで依頼カウンターに姿をみせる。
 受ける能力者達はいつぬ無く緊張した空気に息苦しささえ感じ出した。
「今回の任務はイスパニョーラ島、ドミニカ共和国。サン・ドミンゴを除きほぼバグア側の戦力になっています。この中心であるボナオの奪取が皆さんに課せられた任務です」
 静かに資料や地図を能力者達に配りながらリネーアはそのまま話を続ける。
「サン・ドミンゴは人類側ではありますが、補給線はこの町しか確保できません‥‥。このまま増えてくるゴーレムと戦い続けていては戦局を打開することは厳しいでしょう」
 話かけられる内容に周囲がシーンとなった。
「ボナオにはバグアの工場があるとされていますが、諜報部からの情報がはっきりしていません。見つけたら破壊してください」
 リネーアの真剣な表情が緩み、悲しみに目を下げだす。
「こんな仕事を頼んで悪いわね。でもね、貴方達を頼りにしているから頼むのよ‥‥がんばってね」
 最後に笑顔をみせるとリネーアは能力者達を送り出すのだった。

●参加者一覧

花=シルエイト(ga0053
17歳・♀・PN
漸 王零(ga2930
20歳・♂・AA
三島玲奈(ga3848
17歳・♀・SN
金城 エンタ(ga4154
14歳・♂・FC
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
ハルトマン(ga6603
14歳・♀・JG
ソード(ga6675
20歳・♂・JG
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
天(ga9852
25歳・♂・AA
セレスタ・レネンティア(gb1731
23歳・♀・AA

●リプレイ本文

●死守、最終防衛ライン
「さて、この距離で当たりますかね‥‥?」
 周防 誠(ga7131)は全長5mのスナイパーライフルD−02を構え、高速道路の上を進むゴーレムを見据える。
 ソードやランスを持ち、盾を装備したゴーレムの部隊はさながら中世の騎士のようにも見えた。
 射程内にはいり、ぶれる照準を呼吸で整えながら合わせて周防は引き金を引く。
 ゴーレム達はフワッと体を浮かせて攻撃を避け、間合いを詰めてきた。
『どんな敵でも、街への侵入はさせない』
 周防の射撃の先で近づくゴーレムを食い止めるように月森 花(ga0053)のウーフーがゴーレムたちの予想データを計算しだす。
 魚座一派であるこの敵達を放っておくことなどできないようだ。
『こっちにも入りました、いきますよー』
 スナイパーライフルRを構えていたハルトマン(ga6603)のフェニックスも近づくゴーレムたちへ周防の攻撃に合わせて弾丸を撃ちこむ。
 サン・ドミンゴとボナオを結ぶ高速道路上を巨大な銃弾が飛び、空薬莢が転がった。
 敵が銃弾を盾で塞ぎながら近づいてくると、橋脚のしたから金城 エンタ(ga4154)のディアブロが割り込んでくる。
『せいっ‥‥やぁっ!』
 ライトKVスピアが防御して集中していたゴーレムの横から腕を貫き、そのまま至近距離での乱戦へと持ち込もうした。
「奇襲としてはいいいんですが、流れ弾にだけは当たらないようにしてくださいよ」
 エンタが狙っているゴーレムとは別の機体を周防はロックし、リロードの終えたスナイパーライフルで再び撃つ。
『火蓋は切って落とされた。バイパー隊は戦闘に協力、軍事警察は市民の避難の方を頼みます』
 アルヴァイム(ga5051)が味方が襲撃してくるゴーレムをひきつけている隙を持って味方を率いボナオへと飛び上がった。
 防戦から攻勢への転向である。
「そういうことで、頼みますよ。こちらも報酬の分だけきっちり仕事しますから」
 周防はアルヴァイムの通信を受けてもまだ動きのないUPC軍たちへお願いをして、スコープを覗きはじめるのだった。

●ボナオ侵攻
「迎撃が心配です‥‥NOEで進入しましょう」
 セレスタ・レネンティア(gb1731)が提案をするが、万が一地上に狙撃手となる敵が潜んでいた場合の事を考えると、リスクが高いために比較的低高度での進入となる。
 ビル上空を飛んでいると町から田舎のような景色へと変わった。
『広い場所はあるにはあるけど‥‥』
 事前に受け取った地図と眼下に広がる風景を照らし合わせていた三島玲奈(ga3848)の声が止まる。
 田園風景の広がるのどかな土地だったのだろうが、中心部にはバグアの工場がそびえ立ち、周囲はほぼ焼け野原といっても過言ではない。
 町であった場所もKVが降り立てるほどに崩れ去っていた。
『予想以上の状態だ‥‥工場に収容されている人員は少ないかもしれないが‥‥』
 デジタルカメラ【Heaven】で撮影をした天(ga9852)も言葉を失う。
 青いバグアの巨人が映画のように町を踏み潰し、小粒のような人が逃げ惑う姿が視界にはいった。
『即降下作戦にうつりましょう。こっちが目立てば攻撃をやめるはずです』
 ソード(ga6675)がシュテルン独特の『垂直離着陸能力』でもって降りつつゴーレムに対して攻撃を仕掛ける。
 動きながらの降下の上射程ぎりぎりでは狙ったとおりの攻撃は届かなかった。
 しかし、飛び交う銃弾がゴーレムの注意をひきつけるには十分である。
 肩につけられた対空砲にてゴーレムらは空中に飛ぶKV達を攻撃してきた。
『もう少し近づいてから射撃を行え。でなければ我らが一般人を手にかけるぞ』
 ソードの攻撃に対して漸 王零(ga2930)はなるべく近づきながらの降下を狙う。
 着陸態勢時に対空砲を浴びるも王零の雷電ははじきながら着陸した。
『なかなか避難誘導へはいけないか‥‥』
 ゴーレムが能力者達の方へ動いてくるのを確認した天はゴーレムが踏み荒らしてできた工場付近の平地へと着陸態勢に入る。
 多目的誘導弾を全弾撃ちだし、少しでも着陸の隙を撹乱するように努めた。
「ランディングしました‥‥敵機確認」
 ソードと同じシュテルンに乗っているセレスタは『垂直離着陸能力』で着陸を行い、20mm高性能バルカンにて正面突破をした王零の死角から攻撃をしかける。
 しかし、ゴーレムは慣性制御で交わし、住宅地に銃弾が当たった。
「くっ、この状況ではやはり厳しいですか」
 街に被害を出すまいとしていたが装備が射撃武器が大半であり、おびき出す作戦を立てていなかったのはミスである。
『牽制を考えるな、とにかく確実に当てる事が優先しろ』
 王零がセレスタに注意をしながらハイ・ディフェンダーで脚部などを突いて行動を阻害した。
『ゼロ距離で撃ち込めばどうってことないっ!』
 ゴーレムの頭を試作リニア砲で撃ちぬきながら、玲奈が叫ぶ。
 巨人達の戦場となったボナオの街は静けさを失っていた。
 
●黒い巨人現る
「この一振りは半端な覚悟じゃ受け切れないのですよ!」
 ハルトマンはコックピットにレオタードのような水着にシューズを履いた姿で踏ん張っている。
 額にかけたゴーグルを下ろつつも敵を見て、操縦桿を強く握った。
「フェニィィィックスッ! ミサイルッ!」
 フェニックスの胴体からミサイルが飛び、エンタ機の攻撃を受けたゴーレムへそのまま叩き込まれる。
 爆発にうずくまる中、ハイ・ディフェンダーを構えたハルトマンのフェニックスは相手の攻撃を避け、踏み込みながら剣を横に薙いだ。
 鋭い一閃がゴーレムの盾ごと腕を斬り落とす。
『敵機はこれだけですかね‥‥周辺警戒は怠らないでくださいよ』
 バイパー部隊に警戒を指示した周防機が迫ってきた敵機に対して47mm対空機関砲「ツングースカ」で銃弾をばら撒き始めた。
 一機、また一機と進軍してきたゴーレムはサン・ドミンゴに着く前につぶれ始める。
『ちょっと待って、地震? いや、敵機が地下から来てる』
 優勢に見えた傭兵達側だったが花機からの通信で空気が変った。
「地下とはなんです‥‥うひゃ!?」
 フェニックスの足もとが割れて、足をとられたハルトマンは素っ頓狂な声をあげる。
 割れた裂け目から二本のドリルのようなものが見えたかと思うと黒いゴーレムが飛び上がり、フェニックスの装甲を削った。
 ゴリゴリと抉られコックピット内部も大きく揺れる。
「きゃぅっ! うちのフェニックスが!」
『そこからどきなさい! 仲間は‥‥やらせませんっ!』
 ギガントナックルフットコートを地面に叩きつけてエンタ機は加速して黒いゴーレムに迫った。
『一機だけで私を止められると思うな』
 エンタ機がソードウィングをもってして仕掛ける攻撃を黒いゴーレムの登場者は肩口のドリルで持って受け止める。
 ズシンと重心がぐらついたところをみたエンタはそのままに斬り上げから練剣「雪村」への連撃を繰り出した。
『温い‥‥』
 全ての攻撃を受けたはずのゴーレムは沈まずに雪村を刺したエンタ機へパイルバンカーと一体化したような右腕を叩き込む。
 左手でエンタ機の腕を掴んで止め、胴体に叩き込まれたパイルバンカーはズドンズドン爆発音と共にディアブロの腰部をへし折らんと揺らした。
 エンタ機が被害を受けている間にハルトマンは一度間合いを取りだす。
 まだ、他のゴーレムが2機ほど動いており、戦闘は続いているのだ。
『ネゴシエイター‥‥魚座に支配された人々のどこに‥平和があると言うの? この国に蹂躙しているお前達の正義が、どこにあるというの?』
 コックピットに近い部分に大きな衝撃を与えられ気を失ったのかぐったりとしだすエンタ機から黒いゴーレムを離すように花機が試作リニア砲にて攻撃をしかける。
 周防機も回収のために動いていた。
『正義か‥‥では、今我々とこうして戦火を呼び寄せているお前達の行いが正義というのか? 我らは平和を求めて戦っているのではない。必要か不要かそれだけにすぎない』
 花機の攻撃を慣性制御によってかわした黒いゴーレムの搭乗者”ネゴシエイター”は語る。
『先に仕掛けたはそっちだ‥‥向かってくる敵は全て潰す』
『敵か‥‥バグアを支持するもの全てを敵とするのであれば弱い心を持った人類全てを潰しきるといい。それがお前の振りかざす『正義』であるのならばな』
 花と会話をしていたネゴシエイターは区切りをつけるとゴーレムの胸部を開き、プロトン砲を発射するのだった。

●臨界点
『サン・ドミンゴの方にエース級ゴーレムがでて苦戦している模様です。こちらも片付けてもどらないとリスクがあります』
 アルヴァイムが後方から届くウーフーからの通信を受けて避難誘導を行っている天へと声をかける。
「わかっている‥‥だが、工場の内部の確認が終わっていない」
 広場へと住宅地にいる人間を避難させ終えた天が田園風景にはそぐわない無機質な建物をみながら天はデジタルカメラをまわし続けた。
『だが、次の相手が来たようだ‥‥このまま時間を持たせても増援が増えるだけかもしれないな』
 王零からの声がしめすように工場の扉が開き、中から作ったであろう武装したゴーレムが姿を見せる。
 時間はあまりない‥‥向こうも、こちらもだ。
『壁とかから少しでも削っていく? 逃げ出してくる人がいるかもしれないよ』
 でてきたゴーレムに向かって構えていた二丁のスナイパーライフルを撃ち牽制しだした。
 『慣性制御』で玲奈機の攻撃を避けるゴーレムにすぐさまソード機が間合いを詰めて機槍「ロンゴミニアト」を叩き込む。
『さて、そちらばかり気にしてないで、俺の相手もしてくださいませんか?』
 爆音が響き、砕けた装甲が飛び散りゴーレムの動きが一瞬だけ止まった。
 だが、眼を光らせたゴーレムはそのままソード機に掴みかかると熱量を増し、自爆する。
 8mに及ぶ巨体が一瞬で消し飛び、至近距離で爆破されたソード機が行動不能にまで陥った。
 また、その衝撃は工場一部も抉り、カメラをまわす天を吹き飛ばす。
「自爆式ゴーレム。どこまで手段を選ばないんだ‥‥」
 頭を振って起き上がった天は抉られた工場の一部を双眼鏡でみると思わず舌を噛んだ。
 赤いものが瓦礫を彩り、鉄の棒のようなものと共に人の手足が生えている。
『このまま時間をかけるのは得策ではありません‥‥早く天さんもイビルアイズに撤収してください』
 セレスタが135mm対戦車砲をゴーレムに撃ち込み、衝撃で工場の方へと後ずらせながら天に戦線離脱を呼びかけた。
「わかった‥‥あんた達はここから動かないでくれ。すぐに戦闘を終わらせてくる」
 天が務めて優しく声をかけたとき、避難民の様子がおかしいことに気づく。
 脱出させられた喜びではなく、明日への不安を抱えたような顔をしていたのだ。
「ひと時の戦闘かもしれないし、あんたらも仕事だから責めるようなことは言いたくないが‥‥あの工場で働くことで私達の生活は上がっていた‥‥住まいも収入もない状態でどうやって生活をしていけばいいのだ?」
 一人の男が天に向かって恐る恐る言葉をだす。
 男の言葉に天は何も返すことはできず、そのままイビルアイズの方へと向かって走りだしたのだった。

●任務完了
『アルヴァイムさんの機体程ではありませんが‥‥ワイバーンの防御力を甘く見ないでもらいましょう』
 黒いゴーレムから放たれたプロトン砲を耐え抜いた周防機がマイクロブーストで加速をし、撹乱するようにしてツングースカを叩き込みだす。
 『慣性制御』を使い、ホバーでもしているかのように浮いた黒いゴーレムは攻撃を避けようとした。
『‥‥油断しましたね。せいっ!』
 だが、気絶を回復したエンタ機がゴーレムの膝をギガントナックルでの掌底でもって潰す。
『そこですっ!』
 体勢を崩した黒いゴーレムに周防機のツングースが更に浴びせられた。
「もう終わりだ、ネゴシエイター!」
 爪を食い込ませ血のにじみきった手で操縦桿を握り、花が試作リニア砲で黒いゴーレムを撃つ。
 揺らいだ巨体に弾丸が叩き込まれ、黒いゴーレムが地面に崩れ落ちた。
『この場はそちらの勝ちだ。正義を名乗るのもかまわないが、我々は戦争をしていることを忘れないことだ』
 崩れ落ちたまま両肩のドリルで持って地を堀り進み黒いゴーレムは撤収していく。
「戦争だからって、お前達のやり方がいいわけなんてない! ボクはそこを譲るつもりはないからな」
 レーダーから離れ行くゴーレムの軌跡を眼で追い、周辺警戒を花は強めた。
『こちら王零だ。作戦完了した‥‥黒いゴーレムは逃げたらしいな?』
「うん‥‥あいつは戦闘もほどほどに逃げていったよ。こっちの被害は高速道路が完全に遮断されたことだね」
『ソードのシュテルンが行動不能状態だが鹵獲等はされていないし修理しきれる状態だ。他は被害は少なくすんでいる』
 互いの状況を確認しあった傭兵は作戦の完了を感じる。
『テステス。傭兵諸君、聞こえているのなら報酬の支払いをするのでサン・ドミンゴの基地まで顔をだして欲しい。宜しく頼むよー』
 そんなとき、緊張感を崩すかのような軽い声が響いてきたのだった。
 
●これからのドミニカ共和国
「改めて依頼主のUPC軍北中央軍諜報部所属のジュン・ファシュインメイカーだーよ。今回はご苦労さん、撮影してきた資料はこちらのものとして受け取らせてもらうよ」
 ぱっと身は20代くらいのつかみ所の無い人物が報酬額の記された小切手片手に話しかけてくる。
「一体何様のつもりなんですか、こっちの仕事も尻拭いとか思ってないですか?」
 ふてぶてしい態度をとるジュンに向かってハルトマンが眉間に皺を寄せながらにらむようにして見上げた。
「こっちの予定外な行動をしてくれてたのは事実だけどーね。住民の気持ちは微妙なようだーね」
 撮ってきたボナオの様子が映ったビデオを眺めながら、ジュンは頭をかく。
 恐らく彼らは難民となり、支援をしなければならなくなるのだ。
「事後フォローもお仕事のうちですからね、支援まで宜しく頼みますよ。クリーンなUPC軍のイメージを作るのは後々役に立ちますから」
 頭をかいて悩むジュンの心を見透かすように黒子姿のアルヴァイムは報酬を受け取り、肩を叩く。
「まーねー、黒いゴーレムの戦闘能力についても詳細が判りそうだし、気になる言動が多いからそっちは調査していくさー」
 アルヴァイムに軽く答えると、ジュンはビデオをまとめて持っていくと部屋を先にでていった。
「本当に何様なんでしょう‥‥あの人とはうまくやっていける気がしませんですよ」
「それでもこういう仕事をうけないと、この国はバグアの手に落ちたままですからね」
 ドミニカ共和国の明日はまだ見えない。
 だからこそ、道を作るべく戦うしか今の傭兵達にはできないのだった。