タイトル:【DR】魚座の凱旋マスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/05/24 04:32

●オープニング本文


●大西洋上
「グリフォンライダー‥‥迎えに来やがれ。本星ワームを持ってきぜぇ」
 アスレード(gz0165)は数ある腹心の一人に連絡をつける。
 胸からは血が流れ、傷が治まりきっていなかった。
『座標を確認しました。グリフォン部隊を引き連れていきます。新型のテストもしたいですから』
「てめぇに任せる‥‥すぐに来い、能力者が邪魔をするようなら撃ち落とせ」
『イエス・サー』
 凛とした女性はアスレードに敬礼をおくると通信をきる。
「くっ‥‥この俺がここまで傷つくとはなぁ‥‥フフフフ、面白くなってきたじゃねぇか。もっと俺を楽しませてくれよぉ?」
 一瞬、胸を押さえ苦悶の表情を出したアスレードだが、すぐに笑い出すと治療用ポッドへと入リ込むのだった。
 
●グリフォンラプター
「緊急の依頼です。北米上空から大西洋に向けてF−15バグアカスタム”グリフォン”の編隊を確認しました」
 オペレーターが文書を読み上げながら本部へと依頼を提示しだす。
「13機に及ぶ編隊で、これまでの数は中々みられません。進路上に何かあると思われます。各自グリフォンと戦闘をした後周辺調査もお願いします」
 オペレーターが機影から確認される情報を次々と伝えた。
 しかし、すぐに内容を訂正する。
「いえ、一機は姿は戦闘機のようですが型式が違う模様です‥‥詳細は不明、気をつけてください」
 一瞬言葉に戸惑いながらもオペレーターは依頼を伝え、頭を下げるのだった。

●参加者一覧

花=シルエイト(ga0053
17歳・♀・PN
九条・命(ga0148
22歳・♂・PN
ソード(ga6675
20歳・♂・JG
榊 刑部(ga7524
20歳・♂・AA
鈍名 レイジ(ga8428
24歳・♂・AA
レティ・クリムゾン(ga8679
21歳・♀・GD
ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751
19歳・♂・ER
狭間 久志(ga9021
31歳・♂・PN
音影 一葉(ga9077
18歳・♀・ER
風見斗真(gb0908
20歳・♂・AA

●リプレイ本文

●空を煙が覆い尽くして‥‥
「ブースト発動。PRMの起動確認。いけるだけ‥‥発射します!」
 ソード(ga6675)がシュテルンの『PRMシステム』を出力に持ってきた上でのK−02小型ホーミングミサイルを1250発分発射する。
 ロックオンされたF−15バグアカスタム”グリフォン”に向けて一斉に鋼鉄の狼が牙をむいた。
 北米上空の青い空を狼は疾走していく。
 取り囲んで食い荒らそうとしたときに狙われたグリフォンからレーザー迎撃装置のようなものが働き、ホーミングミサイルを撃ち落しだした。
 しかし、出力を高められたミサイルを受け5機のグリフォンが空に散る。
「5機の撃墜を確認。幸先良好ってところですね」
 ソードは三分の一近くは潰せたことに満足をしながらも、緊張を解かずに残りの機体を見据えた。
 奇襲を受けて落ちた機体達が能力者達の方へ方向を代え、攻めの姿勢を見せだす。
『続けていくぞ、畳み掛けて数を減らす‥‥今だッ! 行け』
 近づかれる前にとレティ・クリムゾン(ga8679)がK−02小型ホーミングミサイルを更に撃ち込んだ。
 ディアブロの特殊能力『アグレッシブ・フォース』で出力を強化したミサイルが500発飛びかって残りの3機へ喰らいつく。
 グリフォン達は回避運動を行い、レーザー迎撃装置でいくつものミサイルを潰した。
 何発かはヒットしているがソードのように撃墜とまではいかない。
『以前には付いていなかった機能です、向こうも本腰を入れて改造してきているのかもしれません』
 グリフォンとの交戦経験の多い榊 刑部(ga7524)は警戒を強めながらも作戦通り、K−02小型ホーミングミサイルを続けて放った。
 しかし、榊機から放たれたミサイルは全て迎撃レーザーによって潰される。
『ミサイルは落とせても、これはどう? ‥‥いくよ、Rosa』
 真っ白なカラーリングをされたウーフー駆る月森 花(ga0053)が射程内に入っているグリフォンに向けてKA−01試作型エネルギー集積砲をリロードしつつ撃ち込み、1機を撃墜した。
「残りは完全に回避行動をとってきていますか‥‥ですが、半数をココで潰せるなら妥当でしょう!」
 残った小型ホーミングミサイルを撃とうとするソードだったが、敵が先に動いてくる。
 1000発のミサイルがお返しとばかりに2機のグリフォンから放たれた。
『全員回避してっ!』
 花がすばやくミサイルの接近を察知し、声をあげて回避を呼びかける。
 ソード機とレティ機はミサイルを回避しきるが、花機と榊機は避けきれなかった。
『テーバイ起動! こんなところじゃやられない‥‥』
 ズダダダダと撃たれるファランクス・テーバイにより花機に近づくミサイルは潰されるがいくつかはぶつかり装甲を削る。
 榊機にいたっては煙を上げるほどにダメージを受けることになってしまった。
「やってくれましたね‥‥でも、これで終わりですよ!」
 ソードは二機をロックオンすると残った250発のミサイルを発射するトリガー引く。
『α隊は全滅かβ隊‥‥二手に分かれて私と共に続け‥‥空の戦いを教えるっ!』
 発射時の咆哮に紛れ、”グリフォンライダー”ジェニス・アンナの声が聞こえてきた。
 
●閃光に戦場は阻まれて‥‥
「グリフォンが大挙して何をしているのだか‥‥」
『安全とは言えない空域を編隊を持って動くという事は何処かしらを攻めるか、それともそれだけ重要な仕事かのどちらかだ』
『最初に言っておく! 実は俺空中戦初めてだからものすごい緊張してるんだ』
 向かってくる残敵を迎撃しようとユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)、九条・命(ga0148)、風見トウマ(gb0908)の3人は加速する。
 二手に分かれて挟み込むように動いてきた編隊の片割れに攻撃を仕掛けた。
『そろそろ頃合いだな。『魔眼の天使』の力、とくとご覧あれ!』
 ウーフーの『強化型ジャミング中和装置』のお陰でクリアになったレーダーで新型を含めた9機の敵機を補足するとトウマ機は特殊能力を使う。
 イビルアイズに搭載された『試作型対バグアロックオンキャンセラー』がトウマ機を中心に半径1kmの範囲に広がった。
『こいつを貰っておけっ! 』
「行こうかディース‥‥これも受け取れ!」
 命機のホーミングミサイルD−01に合わせてユーリはスナイパーライフルD−02を撃ち込み敵機を削ろうとする。
 放たれた弾丸がヒットし、装甲を大きく抉った。
『他の連中ほどじゃないが、俺のも当たると痛いぜ!』
 そのまま追撃とトウマ機からもUK−10AAMが飛んでいく。
 迎撃レーザーの反応が無いのが一同は気になっていたが、それよりも目の前の硬い敵をどうにかする方が優先だった。
 弱った敵を集中砲火させて、全力で1機を辛うじて落とす。
「ようやく一機か‥‥まったく持って手間がかか‥‥熱源反応! 来るっ!」
 一息入れたユーリだがグリフォンの編隊が熱源を持つことを感じた。
 正面にいる編隊の崩れたチームからプロトン砲による光りが3機を狙う。
『避けきれるか‥‥ちぃっ!』
 命機が砲撃のを受け、トウマ機も巻き込まれた。
「二人とも大丈夫か?」
『直撃を避けれたのはロックオンキャンセラーのお陰だな』
『あとまだ4機もあるんだ‥‥持てばいいが‥‥』
「もたせるんだ。リーダー機が更にいることを考えれば時間を稼ぐのが俺達の仕事になる」
 ユーリは被弾を受けた二人に声をかけ、次なる攻撃に備えるとともに新型に向かう3機を見送る。
 初手で編隊を撃墜した味方も応援に来る‥‥まだまだ戦いはこれからだ。
 
●グリフォン・ラプター
『他がカタつくまで粘れってんだ。俺等には誂え向きだぜ、なぁ?』
『さぁ、ハヤブサのダンスに付き合ってもらおうか‥‥!』
「決着付かずは不本意です。いつぞやの続きをしてみましょうか‥‥」
 ブーストを使って接近を試みる鈍名 レイジ(ga8428)機と狭間 久志(ga9021)機のペアを見送りながら音影 一葉(ga9077)は半年前の遭遇を思い返す。
 翻弄され続け苦戦の上、撤退した相手と今対峙しているのだ。
 緊張が掌に伝わり汗が噴出す。
「生半可な連携は突破されますから気をつけて。重力波砲を喰らうと操縦がかなり困難になりますよ」
 緊張を振り払うかのように状況を処理し、トップの2機へ一葉は指示を飛ばす。
『面白ぇ‥‥速けりゃ速い程、喰らい付く甲斐があるってモンだ!』
 レイジ機からUK−10AAMが放たれ、ジェニス機を狙った。
 高度を瞬時に上げて回避をしようとするジェニス機だったが、誘導性能の高いミサイルが食いつき突撃を仕掛ける。
 だが、爆発の瞬間、当たった部分に強いフォースフィールドが張られ、直撃すらなくなった。
『何だ今のは、強化フォースフィールドとは反応が違うぞ!?』
『どんな相手だろうと関係ないさ‥‥地球を守るための翼を返してもらいましょうか!』
 驚くレイジを他所に上空へ逃げたジェニス機を狭間はそのまま追いかける。
 しかし、晴天の空で上にいる敵機は太陽を背にするように動いた。
 眩しさに目がくらみ、狭間の動きが鈍る。
 ソードウィングによる体当たりは避けられた。
「対人戦に精通していますか‥‥AIとの知恵比べなどとは違うということですかグリフォンライダー!」
 オープン回線で叫びながら一葉はレーダーで距離を確認しつつUK−10AAMで迎撃を狙う。
『そういうことだ‥‥貴様ら能力者とてAIを埋め込まれているのだから知恵比べをするまでもないっ!』
 飛んできたUK−10AAMを高速のバレルロールで迷走させるとジェニス機は一葉に向かって重力波砲を撃ち込んだ。
 回避しきれずに被弾するが、一葉機への被害は浅い。
「以前と同じ手が通じると思ったら、大間違いですよ。グリフォンライダー!」
 機体の損害が軽微である事を確認すると一葉は眼鏡をなおすと避けた勢いのまま機体を下降させはじめた。

●激闘に翼はもがれて‥‥
『新型がジェニス機のようです。すみませんが援護を頼みます』
「了解した。ソードも聞いたな? グリフォンへの攻撃はほどほどにして向かうぞ」
 二手にわかれていたグリフォンの片方を攻めていたレティ達A班のうち、レティとソードはジェニス機を狙って方向を変える。
 下降してひきつけている一葉機のほうへ上方から攻める手段へと移ったのだ。
「かなりの動きだったようだ。統制された動きの小分隊はいつでも手強い。指揮官の動き共々参考にさせてもらおう」
『この前のような無様は見せられません。ジェニス・アンナ! ソードとこのフレイアが相手をします!』
 両者がジェス機を有効射程内に捉えた瞬間、ソード機が95mm対空砲「エニセイ」を放つ。
 不意を付いた一撃だったが、直撃するときに再びフォースフィールドが一時的に集中して被弾を防いだ。
「今のは強化型とも違う‥‥こちらの試作ピンポイントバリアーに近いものなのか?」
 肉眼で確認できる限りの反応をみて、レティは眉をしかめる。
 精度のいいカメラはスロットを犠牲にしなければならなかったためこれ以上の情報はえられそうになかった。
 ウーフーのような偵察機の目と音声記録で我慢せざるをえない。
「物理攻撃を防いでいるようなら‥‥これならどうだ」
 レティは音声記録を拾い上げ、情報を頭で整理しつつ一つの答えと共に攻撃をしかた。
 ディアブロから放たれたG型放電装置が空を黄色に染める。
 今度はフィールドは発動せずにジェニス機の装甲を焼いた。
『非物理ならば、あの妙なFFは発動しねぇか! 活路が見えたぜ、レティ!』
 レイジは意気揚々と8式螺旋弾頭ミサイルにてジェニス機を狙い撃つ。
 本星ではなく、ペアの狭間機に対する隙を作る一撃だ。
『きっちり当てさせてもらう。最強のハヤブサ乗りを目指しているんだ!』
 狭間機が『翼面超伝導流体摩擦装置』を発動させる試作G放電装置をジェニス機に向かって放つ。
『面白い攻撃をしてくる‥‥頭を捻ってくれなければ狩る価値すらないっ!』
 ブーストで機動力を高めたジェニス機が試作G放電装置を受け流しながら狭間機に向かって突撃してきた。
 重力波砲が放たれるが、狭間機はわざと不自然な動きをとってギリギリ直撃を避けるように被弾する。
『直線コースならばっ!』
 同じドッグファイトの間合いに入り、相手に重力波砲の影響下に押さえようとした狭間機だったが機体のブースターの出力が一瞬下がった。
 また、ジェニス機の後方から散らばる粒子に機体が触れるとバチバチと火花が散る。
『なにっ!?』
『狭間さん、間合いを取って! 早く!』
「何が起こっているかわからないが、その機体から離れるんだ!」
 異常を感じた一葉機、レティ機がともにG放電装置でもってジェニス機へ集中攻撃を仕掛けた。
 いくつもの電撃がジェニス機を包むと大きく煙を上げてジェニス機は墜落していく。
『終わったようですね‥‥残存兵力の対処に‥‥っ!?』
 次の動きをしようとした狭間機を重力波砲で下方から撃ち貫きジェニス機が上昇してきていた。
『不自然なフリをするのは基本動作だ‥‥そうだろう?』
 『慣性制御』によるありえない動きでそのままソード機に向かって重力波砲を二発叩き込み、一葉機の周囲を旋回して拡散する粒子で包みこむ。
『なんて動き‥‥機体が‥‥』
 各部から火花を上げた一葉機が狭間機と共に墜落していった。
「くっ‥‥こちらの攻撃で押し切れるか」
 レティがすさまじい動きに戦慄を感じているとジェニス機はそのままバミューダ海峡の方へと撤収しだす。
『お前達は援護にいってくれ、友人を改修してくる』
 ジェニス機を見送ったレイジ機が墜落した2機を追うために下降しはじめた。

●巨大な魚とその主
「もうちょっとで押せるよ、最後までいこう」
 花はレーダーに映る敵機の残数を確認しながら味方を鼓舞する。
 ミサイルなどは撃ちつくし、バルカンなどによる攻撃でしのいでいるものが多い状態だった。
『ああ、残り3機だ‥‥この人数なら何とかいける』
 命機がH−112長距離バルカンの残数を切らすまで弾丸を叩き込む。
『彼女を退けれたのですからあとは倒しきるだけですね‥‥十分に乗り越えれます』
 ソードウィングで1機を潰しきった榊機が通信を寄越してきた。
「あと2機!」
『ここでやりきる!』
 花の言葉と共に、2機がプロトン砲の砲撃を撃ち出すが、ユーリは失速寸前の急降下でやり過ごし、急上昇しての真下からソードウィングで斬り裂く。
 『木の葉落とし』と呼ばれるマニューバの一つだ。
「最後の1機はボクがやる‥‥」
 ホーミングミサイルを撃たれながらも射線に敵機を捕らえた花機は試作型「スラスターライフル」でミサイルを迎撃し、そのまま蜂の巣にして倒しきる。
『全機掃討完了か‥‥』
『それじゃあ、何を探していたか追いにいこうぜ』
 命が一息ついているとトウマが促がす。
「その必要は無いみたいだよ‥‥この型式はビッグフィッシュ? 予想進路はドミニカ共和国?」
 戦闘中に動いてきたのかレーダーにはバグアの輸送艦ビッグフィッシュが映っていた。
『でかいな‥‥さすがに今から落とすのは‥‥』
 ユーリがあまりの巨体に息を漏らしているとビッグフィッシュにトウマ機が向かう。
『魚座発見、こいつぁ一発かまさないとな? ハリィアップ。残る敵はアレだけだ』
 味方がたじろぐなか、トウマだけが挨拶代わりにと残ったホーミングミサイルを撃ちこんだ。
 ドドンと爆発が起こり、ビックフィッシュが揺らぐ。
「もう、何をやってるの。依頼は確認だけだよ!」
 トウマの動きに花が注意を促がした。

●バグアの本気
「よし、これで撤退するぜ!」
「あぁん? 何処に逃げよってんだ?」
 気が済んだトウマが機体を撤退に向けようとすると、背中から低い声が聞こえてくる。
 苛立ちと怒りが伝わる声の主は魚座、アスレード(gz0165)だ。
「アスレード! どこからこのコックピットに!?」
 トウマが振り向こうとしたがアスレードはトウマの首を握り持ち上げる。
 操縦桿から手が離れ、イビルアイズが勢い良く落下しだした。
「俺の眠りを邪魔しやがって‥‥てめぇにはこの空を高く飛んでもらうとしよう」
 ギリギリと強く締められる痛みにトウマはもがき足をばたつかせる。
「くるしぃなら、今楽にしてやるよっ! そぅらっ!」
 アスレードはサメのように笑うとトウマを自分の方へ向けてボディーブローで風防を突き破らせて外へと飛ばした。
 イビルアイズはそのままアスレードが動かし乗り手を捨ててビックフィッシュへと飛んでいく。
 トウマは消え行く意識の中、やりすぎたことを後悔したのだった。