タイトル:【IMP】小悪魔らじおマスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/05/13 10:20

●オープニング本文


「アイドル傭兵の傭兵のしょっくーん、やっとかめ!」
 年中アフロにサングラスな男、米田時雄が姿を見せた。
 スーツ姿でビジネスモードに入っているときと別人に見えるがどちらが本当の姿なのかは誰もわからない。
「今回の依頼はついにIMPにも配信形式のラジオ番組をもらえることになったで、企画会議をするで〜。余裕があれば予告編くらいは収録したいがね」
 米田はディスプレイの向こうでクラッカーを自分で鳴らし拍手をしながら説明をした。
 ラストホープ内限定ではあるが、毎週公開でネットからいつでも聞けるラジオ番組を作ることになったのである。
「週交代で2組くらいのまとまりで行うつもりだでよ。IMPとALPでも、男と女と分けてもいいでよ、マネージャーと相談してきめとくりゃあ」
 組み合わせの詳細は任せてくれるようであり、またコーナーについても一任ということだ。
 悪く言えば投げっぱなし、良く言えば信頼しているのである。
「それじゃ、また会うときを楽しみにしとるでよ」
 米田はサングラスをきらりと光らせると手を振ってディスプレイ上から姿を消した。
 
●Redio−Hope
「やっぱり、会議も収録もここなんですね‥‥そりゃ機材はある程度そろってますけど」
 ぶつぶつといいながらもライディは米田の秘書と共に準備を続ける。
 新たな収録機材の搬入や、会議中の出入り制限などがあった。
「あの人の直感行動はこまりますけど、間違っていることはないですからね。そうでなかったら、ついてきていませんよ」
 秘書の女性はクスリと笑い、ライディを宥める。
「そうですね。通常放送以外で使うのは久しぶりで、こちらもわくわくしていますよ。どんな番組ができるんでしょうね?」
 ライディは秘書の柔らかい表情に笑顔を返して、作業を続けるのだった。

●参加者一覧

鷹代 由稀(ga1601
27歳・♀・JG
篠原 悠(ga1826
20歳・♀・EP
葵 コハル(ga3897
21歳・♀・AA
加賀 弓(ga8749
31歳・♀・AA
大和・美月姫(ga8994
18歳・♀・BM
終夜・朔(ga9003
10歳・♀・ER
鷹代 アヤ(gb3437
17歳・♀・PN
ソフィリア・エクセル(gb4220
19歳・♀・SF

●リプレイ本文

●新たな一歩
「ひっさびさのラジオ出演、とゆーか冠番組ゲットですと!? ネトラジとはいえメディアへの本格的進出の第一歩、カナ?」
 葵 コハル(ga3897)は『Redio−Hope』のミーティングルームにて猫のように目を光らせて口元を綻ばせる。
 芸能活動事態も久しぶりのため今回の会議に参加できたことは嬉しいようだ。
「とっても親近感わくの‥‥」
 コハルの隣では終夜・朔(ga9003)が覚醒をして猫耳などを生やしながら興味深げに辺りを見回している。
「ここがマネージャーの夜の仕事場なのかー」
「合ってはいますけど、その言い方は勘弁してください‥‥」
 ガッチガチに固まった田中 アヤ(gb3437)の言い間違いにライディ・王(gz0023)は冷静に突っ込みをいれた。
「アヤちゃんは緊張しすぎやねん。もっと肩の力も抜いて〜。この胸が肩を疲れさせとるんかね?」
 むぎゅっとアヤの著しく成長している胸を両手で掴みながら篠原 悠(ga1826)はいつものテンションで二人の間に割り込みだす。
 自分の胸の成長を気にしているわけではないが、アヤの緊張を少しでも解そうという考えなのだ。
「ふ、ふにゃ! 悠ちゃ〜ん、まだお昼だよー」
「あんまり関係ないですから‥‥えっと、ネットラジオといっても動画配信ではありませんのでコハルちゃんや‥‥あと、悠さんが経験が多いようですね」
 今回の企画をするにあたっての事前調査の結果を眺めながらライディは話を元に戻す。
「朔がんばりますの‥‥皆で一緒に楽しいらじおつくりますの」
「にゅふふふ。昔を思い出すね〜大まかなのはまとめてきたから社長も一緒に合わせて細かい詰めをしていこーか」
 猫耳をピコピコ動かす朔の頭を一撫ですると、コハルは持ち前の行動力を振るに働かせて動きだすのだった。
 
●会議室が現場です
「まずは番組名からやね。『LHの小悪魔らじお』で問題ないやろか?」
 アロハにサングラスというスタイルの米田がライディも目を通していた事前調査資料をみながらアイドル達をぐるりと見渡す。
 ALPと呼ばれる2009年からのメンバーとそれ以前のメンバー丁度半々ずつであり、いい具合ともいえた。
「はい問題ありません‥‥もっと良いアイディアを出せればいいのですが、こういうものは苦手でして‥‥新人の気も抜けませんし」
「気持ちはどうあれ、おみゃーさんは中堅どころやからしっかりしとくりゃぁよ。全部にでろと強制するつもりもにゃあがでる限りは前向きに取り組んでくりゃあて、得意なときに集中して他の成長を見守るのも先輩のつとめだでよ」
 苦笑する加賀 弓(ga8749)に米田は笑顔で答えながらもきっちりと方向性について釘をさす。
 得意不得意は誰にでもあることだから、そのへんは問題はない‥‥だが、やはり前向きに取り組む姿勢や後輩育成もやって欲しいというのが中堅どころへの要望でもあるのだ。
「ライブよりも一方的な感じがしますから、リスナーからのお便りは集めたいですよね」
 アピールの仕方に戸惑いを感じる大和・美月姫(ga8994)は不安を隠せない様子で眉間にしわを寄せる。
「コーナーの提案とは別なんだけどさ。ラジオのCD化とかどう? 特典用の別録りも考えたいんだけど」
「そうやねぇ、5月から3ヶ月の録音放送となるから、公開録音はコミック・レザレクションと被る感じだがね。それとは別録となるとおみゃあさんらのスケジュールもきつくにゃぁか? ディレクターズカット版の方が楽だがね」
「なるほどね、ありがとう社長」
 鷹代 由稀(ga1601)はふと考えていたことをぶつけリアクションを受けてしばし考えはじめた。
 リーダーの絢がいないときは姉御アイドルの名にふさわしいサブリーダーとして励んでいるのである。
「番組コーナーとしましてはリスナーからのお頼り紹介と共にALPの方は自分たちの紹介を入れた方が言いと思いますわ。皆さんにソフィリアたちのことをもっと知ってもらう機会にもしたいです」
 カリカリとメモを記入していたソフィリア・エクセル(gb4220)は手を止めてコーナーアイディアを直接ぶつけだした。
「ALPとIMP側でイロは変えた方がええと思うから、その方向できめるとすりゃあよ。ちょっと休憩ー」
 米田がソフィリアの意見を取り入れて手元の資料にチェックを入れる。
 その後、肩をごりっと鳴らして休憩を宣言したのだった。

●CM収録〜ALPバージョン〜
『シノハラジむぎゅ‥‥LHの小悪魔ラジオ! えーっ! えるっ! ぴぃぃぃぃっ!』
 『ON AIR』とランプの付いた収録スタジオで悠は隣のアヤから突っ込みを入れられながらもタイトルコールを宣言する。
『YOUです。うち達も看板番組を持つことになりました!』
『SOFFY達の普段をちょこっとだけ清楚なトークをお聞かせいたしますわ♪』
『ソフィちゃんは清楚じゃなくて黒いよっ! おーっと、らじおをお聞きの皆さん、やはー! アヤだよー!』
 悠から始まりソフィリア、アヤとテンポ良く挨拶が続いた。
 BGMに新曲のGratitudeを流しながら楽しい雰囲気でCMを録っていく。
『朔なの。ほんわか‥‥温かい想いもアナタに、心に響く一時をおくりますの♪』
 続けて朔がおっとり目にメッセージを続けた。
『トークだけではなく、私たちALPのプロフィールの紹介や、訓練のための早口言葉も募集しますよ!』
『もちろん、質問、ご要望などのお便りはガンガン受付中っ! 宛先は画面したまで〜』
『画面下までー☆』
 バシンと突っ込み音のサウンドエフェクトが鳴り響き悠とアヤがダブルでつっこまれる。
『次回もこのチャンネルで皆様『キラッ☆』っとお会いしましょう〜♪』
 ソフィリアのラストコールでALPバージョンの収録は終わるのだった。

●CM収録〜IMPバージョン〜
『『LHの小悪魔らじお あい、えむ、ぴー!』』
 タイトルコールをIMPの4人で行い、BGMの『Catch The Hope』と共に番宣がはじまる。
『最初に言っておく、この番組はかーなーり! 面白いっ! あたしに釣られたと思って聞いてみなさいっ!』
 出だしは由稀であり、勢い良く加速した。
『これからする私のお願いにはいかイエスでお答えくださいね。LHの小悪魔らじお、絶対に聞いてください』
 問答無用ともいえる言葉ではあるが、弓の優しい声色で柔らかい感じに聞こえる。
『コーナーもALPの方とは一風変って、月ごとにテーマを決めて出張する『小悪魔の覗き見』をおくっちゃうよ〜』
『私たちのトークや出張コーナーなんて滅多にないんですから聴いて下さいね!』
 コハルと美月姫が続けざまに自分たちの売りのアピールを続けた。
『はいはーい、忘れちゃならないのがプレゼント。ステッカーとかここでしか手に入らないものなんかも考えているわよ』
 由稀続けて自分の考えていたプレゼントを追加で発表していく。
 さすがにCDは大盤振る舞い過ぎるということで、採用者にはステッカーが送られるという方向で検討中とのことだ。
『気合を入れて頑張らせていただきますから、皆さんからの応援よろしくお願いします』
 弓が締めると、せーのと合わせる声と共に最後のコールが行われる。
『『LHの小悪魔らじおをお楽しみに〜〜』』
 4人そろった声でコールを済ませるとIMP組の収録も無事終了したのだった。
 
●ブレイクタイム
「おやつ作ってきましたよ。休憩ついでにどうぞ摘んでください」
 ゴマ団子を各自にライディは配りはじめ、収録後の息抜きを催す。
「宣伝では入れてませんでしたけど、歌詞募集とかは少しやってみたいかもしれません」
「ネタ切れ気味のときはありがたいかもしれないけど、採用不採用で差がでるのも考え物だわ」
 美月姫のアイディアに由稀はぱくりとコマ団子を口に入れて考え込んだ。
「ああ、あと毎回公開録音は無理だがね、ここのミーティングルームにいてもらう程度ならええがや。レアであってこそ強みになるんだでよ」
 もぐもぐとゴマ団子を食べながら米田もテーブルに顔を出している。
 ライディはそのまま編集作業に戻り、アイベックスのスタッフと共に放送できる形へと仕上げだした。
「朔、社長さんに言いたいことがあったの」
 少し間が空いたとき、朔が米田の足元までトコトコと歩いて近づき見上げる。
「前のお仕事で‥‥朔‥‥夢ができましたの」
「どんな夢か教えてくりゃあよ」
「世界に平和の歌を響かせる‥‥それが朔の夢。その夢に向って頑張りますの♪」
 覚醒ででて来た耳をパタパタさせて、朔はにっこりと笑った。
「ええ夢だがや。なしとげなぁあかんよ?」
 笑顔の朔の頭を米田も笑顔を返して撫でだす。
「そうですわ、少しでも今のうちに片付けましょう。たしか、宣伝用のチラシを作る予定ですものね?」
 パンと手を叩き静かにメモをしていたソフィリアが立ち上がった。
「はい、デザインとかははっきり浮かんでないのですが秘密っぽく興味をそそるようにして今までお世話になった方面に宣伝にいければなと思っています」
「あー、あの第一弾CD発売のときに行脚したショップなんかいいかもしれないわね。一番お世話になったのにあんまりお返しできないでいたわ」
 美月姫の意見を聞いた由稀は一瞬ハッとしながらも、懐かしむ目に代えてしみじみ語りだす。
 1stシングル発売時はラストホープ内のCDショップを回ってポスターを張り、イベントをやったあと大手CDショップでミニライブを行ったのだ。
 まだ売れ始めて間もない頃の話で、一年以上も前の話である。
「初心忘れるべからず‥‥なの。きっと、協力してくれると思うの。電光掲示板とか使わせてもらえるともっといいの」
「そうですね。お店の方との交渉になりそうですけれど、挑む前から諦めちゃだめですよね」
 朔の応援に美月姫はガッツポーズを小さく作って自分を奮い立たせた。
「まずはお片づけしますわ。ライディマネージャー掃除道具‥‥わぁっ!?」
 皆のテンションが上がり、ソフィリアも頑張ろうと動いた瞬間、床を這っていた配線に足が縺れ思いっきりこける。
「だ、大丈夫ですか? 落ち着いてくださいね‥‥機材が壊れなくて良かったです」
「マネージャー、機材の心配よりもアイドルの心配しなきゃあかんだらぁ」
 ほっとするライディに米田が笑いながら突っ込むと、その場にいたアイドルたちも笑い出した。
 暖かい空気と共に静かに計画は進みだす‥‥。
 
●初心に返って
『久々の出演なのに番組宣伝かよ!? と思うかもしれないケド、あたしが所属してライディくんがマネージャーやってるIMP関連だから良いよね? 異論は聞くけど認めません』
 Redio−Hopeの看板番組‥‥といっても一つしかない『Wind Of Hope』でコハルが一人、話している。
 久しぶりとはいうものの、緊張というものは感じられず楽しんでいる様子が耳に伝わってきた。
『さ、とゆー訳であたし達IMPとALPがラジオ番組を持たせて貰う事になりました。他では聴けないトーク満載の予定なんで、どん! みすいーっと!』
『はい、ALPの田中アヤも早口言葉を練習しつつ先輩からいろいろ学んで行きたいと思います』
『じゃあ、早速『隣の客は良く柿食う客だ』からだよ〜』
『えー、よくかききゅうかく‥‥かんでない、かんでないー‥‥』
『もう、しっかり噛んでいますよ。練習が必要ですね、アヤさん』
 弓からの突込みをうけたアヤはしくしくと泣き出してマイクから離れていく。
『ALP IMPもともにがんばるから皆もメールの方ガンガンおくってね。でないと枕元で暴れちゃうぞ☆』
 コハルがかなりのハイテンションで進めていると、スタジオのドアが開いて人の入ってくる音がした。
『ちょーっと待った! おばちゃんたち聞いとる? YOUやでー』
 アヤと変わってマイクの前に近づいたのは悠である。
 街頭でチラシを貼ってきた帰りらしかった。
『『Wind Of Hope』リスナーの皆は始めてやね? うちは『シノハラジオ』をやっているYOUいいます。ALPバージョンの方にはウチも参加する予定やから宜しくな? 『シノハラジオ』の方も聞いたってな!』
 さりげなく自分が個人的に行っているラジオの宣伝を行い、他のメンバーを圧倒しだす。
 もちろん、メインパーソナリティーのライディもだ。
 希望の風に乗せて、小悪魔のささやきが流れ始める。
 頑張れ、IMP。負けるなALP!