タイトル:兵器工場を防衛せよマスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/03/17 00:48

●オープニング本文


●某所
「アンナ少尉命令を復唱します。ドローム社のM式粒子加速砲工場の襲撃及び、参戦してくる傭兵の撃退でよろしいでしょうか?」
 敬礼を行いジェニス=アンナは目の前にいる金髪の男へ任務内容を問う。
 古いアメリカ空軍の軍服を身にまとい、階級章は少尉だ。
「ああ、それで問題ねぇ。あいつら調子に乗ってきやがってるようだからなぁ、ちょいと脅してやらねぇとよ」
 金髪の男はクククと笑ってジェニスに答える。
「無様な鷹に空を飛ぶ資格がないことを今一度叩き込んできましょう」
 男に対して今一度敬礼を行うとジェニスは踵を返してその場を去った。

●ドローム本社AC研
「大変です。八之宮室長!」
「なんだ、また男に逃げられたのかロレンタ君」
 バタンと扉を開け、走ってきたのか息を荒げている助手に対して八之宮忠次はさらりと酷いことをいう。
「そ、それは関係ないです! ‥‥そんなことよりも大変なことです。粒子加速砲の工場が一つ爆撃を受けたそうです。幸い予備工場であったので被害はそれほどでもないようですが次は大型の工場へルートを取っています」
「な、何じゃと!? いかん、M3粒子加速砲用のパーツが足りなくなるぞい」
 いきなり専用工場というわけにはいかないため、通常の工場からパーツをかなり流用しているのだ。
 それ以上に工場破壊などされてはドローム社としての損失も非常に大きい。
「それに敵はあのグリフォンのようですよ。F−15に恨みでもあるのでしょうか‥‥」
 辛うじてとられた機影写真を忠次に見せてロレンタはため息をついた。
 F−15改良計画をF−15をバグアによって改良された機体、グリフォンに狙われるとは因果なものである。
「ふふふ、飛んで火にいるなんとやらじゃ。会社の利益ではなく我輩の浪漫のために傭兵を呼ぶのである。可能であればグリフォンの1機や2機確保したいところであるな」
「またこの人は無茶を‥‥」
 頭痛の胃痛を感じたロレンタはすでにグリフォンを捕らえた気で解体計画を練る忠次のいる研究室から離れるのであった。

●参加者一覧

御山・アキラ(ga0532
18歳・♀・PN
水理 和奏(ga1500
13歳・♀・AA
金城 エンタ(ga4154
14歳・♂・FC
レールズ(ga5293
22歳・♂・AA
ソード(ga6675
20歳・♂・JG
榊 刑部(ga7524
20歳・♂・AA
飯島 修司(ga7951
36歳・♂・PN
白岩 椛(gb3059
13歳・♀・EP

●リプレイ本文

●空を埋め尽くすもの
「まったく、八之宮室長‥‥グリフォンを捕獲したいとは、こちらがどれほど苦労することか‥‥」
『正直、敵としては御免こうむりたい相手なんですが、ね。仕事は仕事として片付けましょうか』
 ソード(ga6675)と飯島 修司(ga7951)は愚痴をこぼしながらも最大出力で現場へと急行しいている。
 事前に受けた説明は兵器工場の防衛とあわよくば敵の鹵獲だ。
 ”グリフォンライダー”と呼ばれる指揮官付というのだから無茶である。
『忠次おじいちゃんのためにも絶対に鹵獲したいよね! そのためにも僕はがんばるよ』
 二人と違い前向きに考えているのは水理 和奏(ga1500)だ。
 依頼主の八之宮忠次とは何度か顔をあわせ、慕っているため今回の依頼にも力が入っている。
 そうこうしているうちに工場がそして、グリフォンの編隊が見えた。
『我々人類の英知を横取りした上で、それに泥を塗ろうとする行為は許し難いですね。僭越ながら、全力を尽くして敵を撃破して見せます』
『奇遇ですね。俺もイーグルよりフランカー派なんですよ‥‥しっかりと撃墜させてもらいます』
 榊 刑部(ga7524)とレールズ(ga5293)はわかなとは違った方向に気合が入っている。
 レーダーに敵機が映り、そしてK−02小型ホーミングミサイルの射程圏内に入った事を知らせた。
「各自いろいろ考えることがあると思いますが、工場を守る事からということでいきましょう」
 届いてくる通信に苦笑をもらしたソードがミサイルの発射ボタンに指を伸ばした。
「PRMシステム起動‥‥このタイミングですね‥‥。発射します」
 シュテルンの特殊能力により出力の高まったミサイルが1000発、次々と敵機を補足し撃ち込まれる。
 青い空が光と煙に覆いかぶされ、6機で飛ぶF−15に似て非なるものを狙った。
『こちらも貰っていただきましょうか』
 飯塚機より位置をずらしぎみのK−02小型ホーミングミサイルが系500発追加で発射される。
 トップの指揮官機を除いた爆撃装備らしいものを中心にロックオンされたミサイルが次々と距離を縮めだした。
『洒落た真似を‥‥だが、今一歩だ』
 指揮官機から女性の声が発せされ、それに続き何処にしまいこんでいたのか大量のミサイルが射出される。
「小型ホーミングミサイルを、小型ホーミングミサイルで迎撃とはかなりの腕じゃないですか」
 ソードは相手を褒めつつも、自分の放った矢の行く末を見守る。
 ミサイル同士がぶつかり合い、派手に誘爆して黒い煙のカーテンを作った。
 それでも残ったミサイルが敵機に喰らいついて爆破していく。
『6割命中‥‥しかし、熱源は生きています。敵機が抜けてきますよ』
 飯島機からソードへ通信がはいった。
『でも、弱ってるよね? 指揮官機についている敵機を弱らせよう!』
『ああ‥‥ここで決めれれば御の字だ』
 わかなと榊機が共に随伴している2機を狙い、レールズは指揮官を狙って飛ぶ。
 戦いの幕は切って落とされた。
 
●阻止限界点
「‥‥ミサイルライン部で全滅していると思いましたが、生きていましたか。相手もエースなんですね」
 白岩 椛(gb3059)はミサイルをミサイルで迎撃した敵の腕を認めながらも更に数百発は受けながらもその中を突破してくる敵機に対して迎撃の態勢をとる。
『貴様らの翼をもがせてもらう!』
 ミサイルの弾幕を通り抜け、レールズ機を相手にしている指揮官機から空間を歪ませるような重力波が発射された。
 回避し切れなかったソード機が重力波を浴びせされ、機体の装甲が歪み砕ける。
 それは搭載されていた残りのK−02小型ホーミングミサイルの爆発を誘いソード機自身を包み込んだ。
『ソード! ミカボシ、間に合えよ』
 目の前でソード機が墜落するのをみた御山・アキラ(ga0532)は椛機と並びスナイパーライフルRで狙撃する。
「ここは通させませんよ」
 椛は近づいてきた後続に向けて『ブレス・ノウ』を使用しつつUK−10AAMを発射した。
 派手さは無いが、正確に敵機をロックしたミサイルは尾を引き、追尾しながらグリフォンを追い回す。
『こちらの射程内にはまだ‥‥もう少しで‥‥届いた!』
 スタートで出遅れていた金城 エンタ(ga4154)も距離を詰めて二門のスナイパーライフルD−02で椛機が狙ったロケットランチャーを装備している爆撃機の一機を貫き更に椛機の発射するミサイルがトドメをさした。
「まずは1機。このまま押しますよ」
 ディアブロの破壊力は椛機のS−01改とは比べ物にならない。
 その分、自分は支援に回るべきだと椛は感じ、空対空ミサイルにて残りに向けて放つ。
『ああ、その通りだ。リロードの隙は全力で埋める』
 すぐさまリロードをしたアキラ機が高度を変えようとした爆撃機へスナイパーライフルRを更に叩きこむ。
 着実に能力者達は基地への脅威を取り除きつつあった。
 
●”グリフォンライダー”ジェニス・アンナ
「ぐぅっ!? まさかパイロットはイーグル乗り? ‥‥KVにだってKVの戦い方がある!」
 レールズは自機の攻撃をマニューバを駆使して交わし、重力砲を叩き込んでくる相手に苦戦を強いられている。
 直撃を避けるも重力波の影響で操縦が不安定になる。その隙を的確につき、相手は動力部を狙っていてきた。
『どうした! それが今の飛行機乗りだとでもいうのか‥‥空を理解しない貴様らに空を守る資格などない!』
 女性パイロットの声がレールズの耳に入る。
「俺は旧ソ連機の美しさのほうが好きでしてね‥‥イーグルにはここで退場してもらいたいんですよっ!」
 ボロボロな機体ながらもレールズはシュテルンの『PRMシステム』を起動させた。
 火器管制システムを強化しロックオンのブレを修正していく。
『レールズさん、今援護するよっ!』
 わかな機から試作G放電装置による支援射撃が放たれ、指揮官機の注意がそちらの回避にそれた。
「ありがとうございます。これがとっておきだ! 墜ちろ!」
 誘爆を辛うじて逃れたK−02小型ホーミングミサイルをレールズは撃ちこむ。
 近い距離で250発のミサイルが空を舞いグリフォンの翼をもごうと飛び回った。
『窮鼠猫を噛むかっ‥‥』
 指揮官機はマニューバだけでなく、ヘルメットワーム特有の慣性制御を行い物理法則を無視した動きでミサイルのカーテンを避けきる。
 無論、この攻撃を当てるのがレールズの目的ではなかった。
 真打は最後に出てくるものである。
 ブーストを発動させ、レールズは間合いを詰めた。
 機体の燃料は残り2割をきりはじめている。勝負を賭けるのならばこの一撃しかない。
 ソードウィングを出し、ミサイルを引き寄せて動く指揮官機を斬りつけた。
 火花が飛び散らせながらソードウィングは指揮官機を装甲を斬りさく。
 動きの良かった指揮官機の挙動がおかしくなり高度を下げていくのが見えた。
「あなたの機体はもう保たない! 直ちに不時着してください! 生命の安全は保証します!」
『戦闘中に情けをかけるか‥‥この屈辱”グリフォンライダー”ジェニス・アンナは忘れんぞ』
 墜落するかのように見えたジェニス機は180度宙返りをするかのように回転するとレールズ機へ重力砲を放つと煙を上げながらも撤退をしていく。
 助けようと声をかけたレールズは自分の甘さを食いながらも重力砲を受けて自らが不時着することとなった。

●鹵獲作戦
 指揮官機がいなくなったことで、残りのグリフォンの動きが若干悪くなる。
 味方への損害は多いがこれは好機だ。
「これはチャンスだな‥‥爆撃機は他に任せて鹵獲体勢にはいろう」
 榊は螺旋弾頭ミサイルを放ちながら、わかなとエンタへ通信を送る。
『了解しました。動きの弱まっている一機をこちらは狙ってみます』
 味方の援護をメインとしていたエンタ機がわかなと榊の攻撃を受けて弱まった一機のグリフォンを目指して飛んだ。
『金城‥‥気をつけろよ』
 アキラから仲間を心配する以上の気持ちのこもった声でエンタを心配する声が投げかけられる。
 大丈夫といいたげに機体を揺らすとエンタ機は速度を落として変形して敵機を捕らえようと手を伸ばした。
 だが、グリフォンのエンジンや思考回路はまだ生きている。
 ジェニスがあらかじめ指示していた緊急時の命令を実行しようと動いたのだ。
 ゆっくりと掴もうとしたエンタ機に向かい、マッハへ加速をしたグリフォンが体当たりをしてくる。
『うわぁっ!?』
 速度を落とし、つかもうと神経を回していたエンタ機はそれを伏せぐことができなかった。
 ガギャァンとぶつかる音がしたかと思うとグリフォンはその場で自爆する。
 爆炎と爆音が二機を包み込み、大破したディアブロだけが地面へと墜落した。
『金城っ! だから、気をつけろと‥‥』
 アキラが心配する声を漏らしつつも爆撃機の迎撃へと動き出す。
「いよいよ一機くらい持って帰らないと気がすまなくなりましたね。いつまでもエース気取りでいて貰っては困りますね」
 榊がエンタの墜落を眺め、バルカンを打ち込んでくるグリフォンに向かって高分子レーザーで対応を始めた。
『ちょっと損傷を低くいこうと思ったけど、ギリギリまで攻撃しようよ。これ以上みんながが落とされるのは嫌だよ!』
 わかな機が『SESエンハンサー』を使用して、M−12帯電粒子加速砲をグリフォンに向かって放つ。
 強いわかなの思いが通じたのかグリフォンはその直撃を受け、半壊しだす。
「ええ、ここまで弱まればいけるはず‥‥です」
 動力部と思われる箇所を狙い、榊がソードウィングを展開すると共に加速した。
 近づかれまいとバルカンを使いグリフォンは榊へ抵抗を見せる。
「申し訳ありませんが。降りかかる火の粉は消し止めないといけませんから‥‥斬っ!」
 弾幕を受けながらもその間を潜り抜け、榊はソードウィングでエンジンを裂いた。
 ドォゥンと爆発がおき、グリフォンはきりもみ旋回を起こしながら墜落していく。
 自爆する様子はない。
『やったね! これで忠次おじいちゃん達へのお土産ができたよ』
「攻撃機の鎮圧を完了、爆撃機への攻撃に移ります」
 わかなの喜ぶ様子に榊は一息入れながら追撃行動へと移った。
 
●終わるもの、始まるもの
「皆様お疲れ様でした。金城エンタさん、ソードさんは重体を受けていたようですぐさま病院に搬送されています。レールズさんも無事を確認し、今こちらの工場へ向かってきているようです」
 障害を排除した能力者達は休養と補給もかねてドローム社の工場へと降り立つ。
 出迎えたのはもう一人の依頼主であるAC研のロレンタ女史だ。
「これほど危険な依頼だとは聞いていなかったぞ‥‥割の合わない依頼だ」
 工場内の休憩室でスポーツドリンクを口にしながらアキラはロレンタをやや睨む。
「室長の我侭に付き合っていただいてこちらも感謝しています。報酬は上乗せさせていただきましたので許してください」
 アキラからの痛い視線を受けてロレンタは頭を下げた。
 そうしていると、半壊の上不時着したグリフォンが工場へと運びこまれてくる。
 コックピットには八之宮忠次が座りこみ、機器を弄り続けていた。
「捕獲出来れば、バグアの技術の一端が解析出来るのですから大きな収穫となるのでしょうね‥‥」
「まだ、なんとも言い切れませんが何かしらの技術は得られるでしょう‥‥損傷が酷いのでどれほど有益かはなんともいえません」
 休憩室の窓から見えるグリフォンを眺め、榊は感慨深げに呟く。
 ロレンタは研究者として興味はあるが被害状況をみるとあまり期待はできないという見解だった。
「でもでも、これでおじいちゃん達の研究がもっと良くなるといいよね。僕にできることがあればいつでもいってね? 全力で応援しちゃうよ」
「そのときはよろしくお願いします。まだまだ改良点が多いものですしこれからが正念場ですね。皆さんの負担を少しでも減らせるよう私達研究者はがんばります」
 前向きに応援の意志を見せてたわかなに元気をもらったロレンタは休憩室を後にする。
 仕事をきっちりこなしてくれた能力者に答えるべく、自分が仕事をきっちりこなす番だと彼女の背中は語っていた。