タイトル:傭兵ナイン 〜越冬編〜マスター:玄梠

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 11 人
サポート人数: 2 人
リプレイ完成日時:
2009/01/31 14:06

●オープニング本文


 寒風吹き荒ぶラストホープの地方球場。管理の甘い芝にやや禿げ跡が見えるこの球場に、一人。
 オペレーター、静香・リザ・リスカッセ。常々、傭兵へ委託する依頼には吟味と事前調査を重んじている彼女だったが、今回ばかりは流石に悩んでいた。
 急を要する訳でもなく、またラストホープ敷地内での仕事ということで、いつものオペレーター服にジャンバーを重ね、特に誰が使っているでもない球場を歩く。
 大分風の巻きやすい形なのか、ベンチから一塁側のコーチャーズボックスまで歩くだけでも、静香の三房に分けられた髪が大きく揺れた。見上げた空は晴天だが、幾らかの千切れた雲が球場にも影を落としている。
「しかし、スポーツ好きというのは何処にでも居るのだな」
 人の居ない観客席に目を移し、静香は今回の依頼内容を思い返した。



「今回の依頼は‥‥マルートスタン・インディア、ラストホープ支社所属の『野球部』に勝利して貰う」
 内心の混乱を表に出さぬよう、努めて平坦に字面を追う静香。勿論見る人間が見れば、その口がいつもよりぎこちなく動いている事が分かる。
 野球に関する依頼はこれが二度目だが、今回は初めて『勝利』が達成条件として加えられた。
「尚、既知の者も居るかもしれないが、MSIの本社所在地であるインド自体の野球人口というのは極めて少ない。その為か、あまり野球部のレベルも高くないようだ。練習期間も用意されているし、幾らか経験者が集まれば、楽な仕事になるだろう」
 『対戦相手』を意識することで、ようやく仕事らしい仕事と割り切る事ができる。個人情報の都合で多くは見せられないが、静香の手元には対戦チームのリストもあった。
 元からラストホープにある支社で働き、長く野球部として活動していた数名の他は、元々本社勤めだったが大戦以降の異動で支社に回った者や、販売計画の都合で異動してきた者など。本格的に打ち込んでいる人間は少なく、あくまで余暇の一環としての部活動のようだ。
「尚、前回の事を鑑みて、練習期間中の宿泊施設を確保している。用具なども貸し出される為、特別自分の使い慣れた道具を用意する以外は、持ち込む必要は無い。また、公平を期する為に私は今回もウグイス嬢だ。控え選手も勿論だが、監督やコーチなど、必要なスタッフは其方で用意してくれ。幾らか補助枠も開けておく。‥‥説明は以上だ。レクリエーションと思ってくれて構わんが、今回は依頼元のある関係で報酬もある程度出る。それを目当てにやるのも、まぁいいだろうさ」

●参加者一覧

奉丈・遮那(ga0352
29歳・♂・SN
ハルカ(ga0640
19歳・♀・PN
アヤカ(ga4624
17歳・♀・BM
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
レティ・クリムゾン(ga8679
21歳・♀・GD
テミス(ga9179
15歳・♀・AA
鴇神 純一(gb0849
28歳・♂・EP
東 冬弥(gb1501
15歳・♂・DF
世界のK.Y.(gb2529
26歳・♂・DF
アーサー・L・ミスリル(gb4072
25歳・♂・FT
ルーイ(gb4716
26歳・♂・ST

●リプレイ本文

●合宿・ザ・自由過ぎ

「レッツ・エンジョイ・ベースボール!!」
 世界のK.Y.(gb2529)は合宿所で叫んだ。運良く他の利用者は居なかったが、そのテンションの高さは全員が理解した。
 全員が荷物を置き、練習着に着替えての集合。割合朝も早く、東 冬弥(gb1501)は大分ダルそうだ。服装もそれを物語る。
「じゃあ、柔軟から初めて、まずは基礎と肩作る所から始めましょう」
 代守のキャッチャーとして参加した周防 誠(ga7131)の振り分けで、チームは大体のグループに分かれた。
 今回は控えも含めて捕手投手共に2ペア出来る為、投げ込みも充実する。レティ・クリムゾン(ga8679)は投げ込みはもとより、走り込んで下から作っていくという、キャンプさながらの練習プランだ。
 打者も未経験者が幾らか居たが、運動能力は高い者が多く、奉丈・遮那(ga0352)や鴇神 純一(gb0849)ら経験者の力もあった。
 初日はまだ野球という物に触れて和気藹々としている雰囲気で、寒空ながら昼間は大分気温も高くなった。
「え、あれ‥‥猫?」
「にゃ、だいふくは籠の中から出てきちゃダメニャよ」
 荷物‥‥ポケットサイズの櫛を探していたルーイ(gb4716)が見つけたのは、アヤカ(ga4624)が何故か連れてきていた猫。
 何か事情があるのだろうか。猫のビーストマンだと言うし、静香も持ち込むに際して特に止めはしなかった。
「ああぁー、だりぃ‥‥‥。ちょいトイレ行って来るわ!」
 そしてちょいちょい居なくなる東。
「‥‥何故だろうか。一番外見は突飛な彼が、一番協調性があるような‥‥」
 爽やかに汗を流す巨体、KY。略すとアレな名前だが、グラウンドの中では、真摯だ。
 共に塁間ダッシュをこなすアーサー・L・ミスリル(gb4072)を時に励まし、奉丈に教えを請い、そして輝く汗。
「い、いかんな。報告は公平に、だ。外見で差別をするなど‥‥」
 身長140cmのテミス(ga9179)と共に素振りをする、2mの巨体。
 あとリーゼント・ヅラ。
 静香はツッコミたかった。しかしそれの叶わない事もまた分かった。
 真面目な違和感の何という面白さか。
 二日目以降はより状況に対応した練習が始まり、投げ込みの数が増すに従って、肩の管理も欠かせなくなった。
 そして、三日目の夜。
「う〜‥‥、寒い」
 朝練ならぬ夜練。冬の夜は練習に向くとも思えないが、こういうのは空気の問題なのだろう。
 テミス、KY、アーサーが合宿所を出た角を曲がると、ふと、灯りの付いた一角で、誰かが先に素振りをしているのが見える。
「っくしょー、寒ぃな‥‥」
 嫌そうな口ぶりながら、昼間サボった分をきっちり取り戻そうと、東の自主練は続く。
 何となく入って行きづらい雰囲気に、意味もなく角に隠れ、眺める3人。
「ど、どうしましょう‥‥?」
 テミスが振り返るも、そこにはアーサーしかおらず。
「HAHAHA! 水臭いデスヨ〜!」
「堂々と行ったー!?」
 そうして、4人での夜練が暫く続いた。
 同時刻、他の面子は対戦相手のチェックをしていたが、流石に資料は少なく、マネージャーの持ってきたビデオも投手二人分の動画しか無かった。
 夜練の素振りが終わって、4人が帰ってくる頃には合宿所の灯りも一部の部屋を除いて暗く。何となく、廊下に薄暗い気配が漂っていた。
 その廊下を歩く、顔面パックの男、ルーイ。
「ルーイ君顔! 顔!」
 第一発見者は、就寝前の肩管理を終えたハルカ(ga0640)。
「嫌ですねぇ、パックですよ」
「分かってるけど面白すぎるから!」
「‥‥‥」
 陽気に笑いながら去っていくハルカの背に、ルーイは美を維持する事の儚さと、苦行とを感じていた。
 そして四日目も怪我無く過ぎ、五日目の朝。
 試合を行うグラウンドに早めに到着後、整備を率先して終え、試合用のユニフォーム姿となったメンバーが円陣を組む。
「勝利の為に。全力で戦おう」
 レティの声と同時に、全員分の気合いが集まった。

●プレイボール

『一番、センター、アヤカ』
 ウグイス嬢‥‥静香の声が場内に響く。
 相手側ベンチはそういうスタッフの居る試合も経験していないらしく、不意に響いた女性の声に注意を削がれていた。
「本当に調べた通りみたいだね」
 ベンチでも入念に髪型を整えているルーイ。打順は最後だが、注意力では人の事を言えない。
 今回はマネージャーとして参加の篠原 悠(ga1826)に籠ごと抱えられ、だいふくが見守る、第一球。
「ニャっ」
 膝下でボール球が跳ねる。フォークのすっぽ抜けか、捕手も体を使って止める。
 兎角、ボールが先行した。アヤカは結局四球、二番手のアーサーは内野の当たりを全力で走り抜け、初回にしてノーアウト1、2塁。
「見てて可哀想になってくるな」
 カウントもそうだが、鴇神が言ったのはマウンドとキャッチャーの距離。リードはキャッチャーからのようだが、ピッチャーに何か声を掛けるでもない。
「チームとして動けていないんだ」
 レティがベンチを振り返って言う。
 ‥‥振り返ったベンチも大概だとは、言ってはいけない。
 三番の奉丈が放ったゴロの間にランナーが進んで2、3塁。
 いきなりのチャンスシーン。四番のテミスが気を引き締める。
「来る球を、素直に‥‥」
 グリップの握りを固め、肩の力を抜いた静かな構え。
 しかし一振り、二振り。二球連続で外角一杯の球が放られ、バットが空を切る。
(キャッチャーは外から動かない‥‥小さいと思われてる)
 枠の小さいテミスへの対策か、キャッチャーは外から動かない。
 小柄とは言え、外を意識して長く振れば届かない事は無い。
 そして、三球目。
(来たっ!!)
 外角の同じコースに来た球に、思い切り腕を伸ばすテミス。
 が、焦り過ぎた。手元で外に逃げるスライダーだと判った頃にはバットは止まらない。
「にゃニャ!?」
「っ、とっ!」
 打ち損ねた打球はセカンドダイレクト。ヒッティングに反応して飛び出したアーサーが間一髪、戻り切れず、併殺となった。
「Oh! バッドラックだったネ、HAHAHA!!」
 鴇神がテミスを迎えようとした丁度良いタイミングで、KYがグラブを持って三人を出迎える。
 1回の裏、レティの立ち上がりは完璧だった。ここ4日間での練習で、普段戦い向きな体も野球仕様の肩を憶えつつある。
 特殊なストレートを武器に、相手バッターに振らせる間もなくストライクを積み上げる。
「きゃー!! ゃー!! きゃーーー!!」
 チア服で応援していた篠原の黄色い声も止まない。
 三者三球三振。流石にレベルが違った。
 大変なのはそれを受けるルーイの方だ。今日の夜は掌が何倍にも膨れる夢を見るかもしれない。
「〜〜〜〜っ」
 狙って三振を求めたのではないが、結果的にきっちり九球。掌が滲むように熱い。
 二回の表。レティのセンターフライ、東のライトフライが続き、奉丈は空模様を気にし始めた。
 風向きが変わり、ベンチに寒風が吹き込む。持ち込まれた保温防寒グッズが役に立っていた。
「‥‥酷い向かい風ですね」
 KYの打ち上げたピッチャー前のフライが、風に押し戻されてキャッチャーフライになる。
「投手にとってはこれ以上ない援護ですが‥‥さて」
 グラウンドは事前に整備をしておいた為、大分マシになったが、空は流石に整備できない。
 その後も、一方はレティの剛速球と堅守に、一方は猛烈な向かい風に妨げられ、二回の裏、三回の表・裏、四回の表・裏とゲームが動かない。
 五回の表、ルーイからの打順。しかし彼の掌も、球威の衰えないレティのピッチングを受け続けて悲鳴を上げていた。
「次、打順が来る頃には代わった方が良さそうですね」
 防具の準備をしながら、周防が鴇神に声を掛ける。鴇神の方もそれは折り込み済みだった。
「く‥‥っ」
 高めの甘い球を練習通りに叩き、狙った通り正面に打球を返したルーイ。一塁でバッティンググローブを脱ぐのも辛そうだ。
「続くニャよ〜」
 バントの構えを見せ、球数が球数なだけに疲れを見せるピッチャーを揺さ振るアヤカ。
 それが功を奏したのか、集中を欠いた打ち頃の球が放られる。勿論、きらりと光る目はそれを見逃さない。
 三遊間を射抜く低い弾道。ルーイもなんとか三塁にまで廻り、チャンス到来。
「ニャニャ☆」
 アーサーのスクイズの構えに、警戒を強めるピッチャー。
 更にキャッチャーも、時折走り出すような仕草を見せるアヤカが気になって、積極的なリードが出来ない。いっそ走って2、3塁になった方がいい。
 満塁策にはクリンナップを迎える事になる。勝負所だ。
「良し!」
 低めの速球をきっちり殺し、練習通りの犠打が一塁方向へ転々と転がる。
「いけいけいけいけぇ! 帰ってこーいっ!」
「この‥‥っ!」
 全力疾走のピッチャーが拾い上げ、バックホームへ。
「――アウト!!」
 本塁に滑り込んだルーイの走塁虚しく、キャッチャーが間に壁を作るように体を倒し、その帰還を妨げた。
 捕球から即、体を使って止めに掛かったファインプレーではある。
「ニャ☆」
 その頭上を飛び越える、アヤカにも気づければ、だが。
 慌ててその影を追うキャッチャーミット。しかしアヤカの足はしっかりとホームベースを踏んだ。
「――セ、セーフ!!」
 主審の手が大きく広げられる。
「Woooooo!!!」
「声デケぇよっ!?」
「みゃ〜?」
 アヤカのファインプレーに沸き立つベンチ。だいふくも何が何なのか分かっているのかいないのか、騒ぎに乗じて喜んでいる。
 敵方のベンチも、一連のプレーにどよめいていた。
「今のは‥‥」
「ふっふっふっ‥‥全員が前進という極端なスクイズ対応の隙を付いたスチールかつ、タイミングが切迫して接触プレーになるとみるやそのまま走り込んだ見事なプレーよ‥‥」
「監督! 何かマスコットしてないマスコットがうちのベンチに居るんですが!」
「しかも解説してるんですが!」
「ふっふっふ‥‥」
「本家ぇーっ!!」
 ロスちゃん、別名を鳳 つばき(ga7830)。撤収。そのままハルカの投球練習へ。
 気を取り直して一点を得た五回の表、1アウト二塁。ピッチャーのFCに救われ、またアヤカのプレーの間にアーサーは二塁にまで進んでいた。
「大分お疲れのようですが‥‥本気で行きますよ」
 疲弊漂うバッテリーに鞭打つように、奉丈の打ち上げた打球は風に押し戻されてセンターのギリギリ前に落下。スタートの見切りが付けられなかったアーサーは二塁のまま、これで1、2塁。
 そして、三度目の打順を再びチャンスで迎えるテミス。
 ベンチからの力強い視線を感じ、落ち着いて打席に立つ。
「みんなが作ったチャンス‥‥ここで決めるっ!」
 満身創痍のピッチャーが放つ、初球。
「えぇぇぇぇぇいっ!!」
 振りの弱い棒球が高めに。快音と共に振り抜かれた打球は、風に煽られながらレフトポールへと飛ぶ。
「‥‥どっちだ?!」
「入れ!入れ!」
 全員の見守る中、打球は‥‥途中で失速し、それでも確かに、ポールの根本に直撃した。
 塁審の判定も、ホームラン。
「Yehaaaa!!!」
「よっしゃぁーっ!!!」
 ゆっくりと一周し、戻ってきたテミスを抱き上げる鴇神。その後どうしたかはテンションの上がったKYが邪魔で此方からは確認できない。しないでもいい。良い意味で。
 続くレティもその豪腕っぷりを発揮しレフトの深い所への二塁打、東も3の2となるセンター前へのヒットを放ち、あっという間に1、3塁。
「妙ですね‥‥幾らなんでも、そろそろ投手交代の筈ですが」
「ヘイ、ユー!! このミーを抑えることが出来ますカ?」
 ビシッと投手を挑発するKY。だが、苦笑いすら苦しいような反応しか返ってこない。
 事前に見たビデオでは、少なくともピッチャーは二人居た筈だが。
 ふと、周防は自分が着けようとしていた防具を見る。
「‥‥とすると、試合が早く片付くチャンスですかね」
 KYの音だけは豪快なスイングが空を切る。大柄でパワフルなフォームはそれだけで武器だ。
 当たらずとも。一撃を警戒するようになれば、今度はバント対策が疎かになる。
「レッツバーニングベィビィ!!」
 再度のスクイズ。やや当たりが弱かったが、ピッチャーのカバーに対してキャッチャーが投げられず、レティが本塁帰還。これで5点目。
 2アウト二塁、敵に諦めムードの漂う中、バッターは鴇神。ここまで右、右と来た打席を左にスイッチしてのバッターボックス。
「うぉっと!?」
 膝元、と言うより鴇神の跳んだ足をボールが掠めていく。
「――デッドボール!」
 帽子を掲げて謝る投手に軽く手を挙げ、鴇神は一塁へ。
「審判、バッター交代‥‥代打俺」
 ルーイの手の様子、そして気になる事もあった周防がベンチから飛び出す。
 交代がアナウンスされ、打席に立った周防は、まず相手のキャッチャーに声を掛けた。
「大変ですねぇ、兼業は」
「‥‥そう、ですね」
「投げられないから代われない。そうですよね?」
「まぁ、早く終わらせてやりたいんですが」
「早く終わりますよ。7回までですから」
 難しいバッティングフォームと言われる神主打法で、ピッチャーと正対する周防。
 2アウト一、二塁。初球、球威の大分落ちたスライダーを見送り、1ストライク。
「‥‥10点コールド」
 二球目。持ち前の器用さが、危なげないバットコントロールで内角のフォーク球を掬い上げる。
 やや詰まったか、スタンドまでは到底届かない。しかし、上空の風に乗った打球はふらふらと舞って中々落ちてこない。
「お、お‥‥お!?」
 センターか、ライトか。観客席の背にせり立つ壁が、風の渦を作る。
「落ちた!!」
 此処に来てのお見合い。東が本塁帰還し、鴇神はすかさず二塁を蹴って三塁へ。
これで6点。打者一巡の猛攻。

 そして、周防の言った通り、この後も6回、7回と得点を重ね、その点差は10。
 7回裏、守りきればLOSのコールド勝ちとなる。
「よーっし、勝ちに行くよ〜」
 この回、レティに変わってハルカがマウンドに上がる。傾向としては似たタイプの投手だ。
 リード通り、僅かな変化をする球を低めに集め、コントロールも悪くない。バッターとしては迂闊に手を出すこともできない。
 芯を外す変化球ばかりで長打も望めず、凡打となれば、ここまで一切点が乗らなかった一因である二遊間の厚さに阻まれる。
 徹底して守備連携に費やしてきた二人の、前試合からの経験の賜だ。
 結局、全ての打球は内野から出ることもなく、7回裏が終了。
 規定通り、7回、10点コールドで試合は終了した。



「‥‥フフ、やはり寄せ集めではな」
 父親の野球を見に来ていた母子連れに、若干距離を置かれた黒服の紳士が、一人。
「そうでなくては‥‥」
 煽るだけ煽って、男は何処かへと消えていった。





ラストホープ・オーシャン・サンズ  10−0  MSI野球部(LH支社所属)
(7回コールド)

勝:レティ
本:テミス