タイトル:野球の秋マスター:玄梠

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 2 人
リプレイ完成日時:
2008/11/09 20:52

●オープニング本文


 今も昔も、スポーツという文化は絶える事がない。
 競技として、訓練として、娯楽として、様々なスポーツが文化圏毎に根付いている。
 企業によっては、実業団の形でそれに出資している所も少なくない。中には広告費として予算を計上する所もあり、勿論結果が出るかに賭けられるのだが、当たれば費用対効果の高い広告宣伝になる。
 しかしバグアの襲来以降、娯楽としてのスポーツは環境の維持が難しい事や、競技人口の低下と共に規模を縮小。カンパネラの生徒達が体育系の授業を受ける以外は、殊更スポーツという物に焦点が当てられる事も無く、大規模な大会も滅多に行われない。

 野球もまた、そういう経緯を持つスポーツだ。
 主要な球場は日米中問わず殆どがバグアの襲撃によって手を付ける事が出来ず、またサッカーのようにボール一つあれば良いという競技でも無い。バットを作るための木材をわざわざ輸入する事が出来る筈もなく、一気に道具一式を揃えられるような所は社員のレクリエーションに力を入れるメガコーポレーション程度だった。
 一応、社会人チーム同士の対戦は行われているようだが、それも不定期。
 そんな折、この秋という時機を捕まえてなのか何なのか、『運動会』という物が人々の口に上がるようになっていた。
 UPCのオペレーター、静香・リザ・リスカッセも、そんな話を小耳に‥‥と言うより、依頼文に見ていた。
 依頼文と言えるのかどうか。それは何処かの団体が作ったであろう、スポーツ推進運動のポスターであり、『戦場で荒んだ傭兵達の心も青空の下でリフレッシュさせましょう』的なノリでさも仕事のように回してきたに違いないのだ。ポスターの中で笑う青少年の姿に、静香は若干辟易していた。
「あー‥‥予想は出来ているだろうが、報酬は無い物と思ってくれ。そもそも、その‥‥私も仕事かどうかさえ分からない」
 説明する口調にも困る。
「『野球』‥‥を、してきてくれ。道具一式は揃えてくれるそうだ。ルールを憶えて、練習して、まぁ素人なりに出来るようになったら、一寸した試合もやる。遊びと思ってくれて構わんよ。試合相手との打ち合わせで私も付いていく事になるが、参加人数で十分チームが作れるな? 分かっていると思うが、9人居なければ試合は出来ないぞ」
 ラストホープ内の地図にグラウンドの位置が強調される。兵舎住まいなら特に問題なく通える距離だ。
「参加者は性別年齢問わず。もちろん覚醒は『無し』だ。相手は傭兵でも何でもない一般人なんだからな。説明は以上‥‥だろうな。私も暫くは準備をしているから、よっぽどの質問がある時は呼んでくれるといい。以上だ」

●参加者一覧

大曽根櫻(ga0005
16歳・♀・AA
奉丈・遮那(ga0352
29歳・♂・SN
篠原 悠(ga1826
20歳・♀・EP
ベーオウルフ(ga3640
25歳・♂・PN
辰巳 空(ga4698
20歳・♂・PN
レティ・クリムゾン(ga8679
21歳・♀・GD
テミス(ga9179
15歳・♀・AA
鴇神 純一(gb0849
28歳・♂・EP
巽 拓朗(gb1143
22歳・♂・FT
芹沢ヒロミ(gb2089
17歳・♂・ST

●リプレイ本文

●合宿

「まさか合宿までやるとは‥‥」
 依頼を回したものの、気合いの入れ方が違う傭兵達を目の当たりにした静香が漏らす。
 レティ・クリムゾン(ga8679)が手配した中で、貸し出しの決まっていた野球用具以外の部分、宿泊所などは公営ならタダ同然とは言え無料ではなく、仕方なく必要経費として静香が立て替えておいた。
「練習でちゃんと試合が出来るところまでは仕上げたいですね」
「おっしゃー! 気合入れて練習するぜー!」
 自前の用具を持ち込んだ奉丈・遮那(ga0352)が荷を解いている横で、芹沢ヒロミ(gb2089)は用意された新品同様の道具を開封し、早速テンションを上げている。
 ユニフォームが少しダボついている様子は、野球少年としてはだらしないが確かに芹沢には似合っていた。
「いいですね!最近はそんなのも全くなかったですし」
 テミス(ga9179)もその横で梱包された荷物を広げている。
「野球‥‥久しぶりですね〜」
 黒髪を三つ編みに束ね、動ける格好になった大曽根櫻(ga0005)が部屋を整えて出てくる。経験者は彼女と奉丈、ベーオウルフ(ga3640)、辰巳 空(ga4698)、鴇神 純一(gb0849)後は学校の授業程度に芹沢と、割と多い。
 特にベーオウルフは、初心者の穴になりやすいチームの守備力を埋めるべく、的確なプランを練っていた。
 経験者と初心者のバランス、順序を追ったノックの組み立て。
 その結果、鴇神とテミスの何だかアレな雰囲気を増長し、篠原 悠(ga1826)の便乗を産むとは知らずに。
 蜂蜜檸檬の件はあえて記載しないでおこう。地獄ノックに全力を注いだ巽 拓朗(gb1143)や、練習の間も色々と気を回していた奉丈、ひたすらバットを振り抜いた芹沢に、更なる地上の地獄を見せる必要も無いのだから。
 それさえ無ければ、昼間は大曽根の作った弁当、朝夜は篠原が用意した御飯と、世の野球部が総出で押しかけるような恵まれた環境だった。
 野手はベーオウルフコーチの元、投手は捕手レティの元で試合に向けて練習を重ねていく。
 特に投手はこの短期間で肩、欲を出してある程度の変化球も欲しくなる。経験があり、既に投げられる肩も持っていた辰巳はともかくとして、篠原の育成が急務だった。
 普通ならカーブ、フォークと憶えていく所だが、楽器で指が慣れていたとしても大きく指を開く変化球は難しい。速球派でもなく、アンダースローという特性を活かしてスクリューとスローカーブの練習に絞る事になった。
 そうして四日はあっという間に過ぎ、練習最後の夜。
 サポートの秋月が撮ってきた映像資料を元に、対戦相手の研究をする。
「情報戦も野球の一部ですからね」
「大きいな、相手のピッチャー」
 居並んだ中で一番大きいベーオウルフと同じぐらいの体格か、やや上か。180後半の右腕、オーバースロー。持ち玉はSFFと落ち幅のあるシンカー。
 多国籍が普通のラストホープで言う事でもないが、欧米選手の有利をそのまま活かした速球派のピッチャーだ。
「高校球児という感じでは無い、かな?」
 対戦相手、特に打者のデータは頭に入れておかなければいけないレティが、資料を注視する。
「メンバーは社会人と大学生。アマチュアとして本格的にやっているのは、この投手のみで」
「ふむ‥‥」
「打撃力はいまいち、投手力で点を取られるのを押さえて勝つタイプなんでしょうね」
「守備も穴らしい穴は無い、良いチームだな」
 経験者達が額を寄せてあれやこれやと会議している側ら、未経験者層は至って普通に野球の教材ビデオやベストプレー集を見ている。
 これが珍プレー集だったら誰か止めただろうが、きゃっきゃ言いながらも一応イメージトレーニングの一つにはなっているので、捨て置かれた。
 四日目の夜は試合に備えて早く眠りに付いた。
 ただ一人、鳳が何か準備しているのを除いて‥‥。




●試合開始

『宜しくお願いしまーっす!』
 敵は大学、社会人からの混成チーム。地元の同好会らしく、スタンドの応援も子供達が混ざって遠足のような様相を呈している。
 ホームがラストホープなだけに国籍も入り交じった編成の読み辛いチームだが、人数はそう多くないらしく、ビデオで見たメンバーに変化は無い。
 試合開始の挨拶を済ませ、ベンチに戻っていくメンバー。ふと見ると、静香はちゃっかりウグイス嬢の席を確保していた。
 傭兵チームは一応ビジターの為、一番の辰巳はすぐに準備を始めた。
 プレイボールの声が掛かる。
 打席に着いた辰巳は、自分よりやや大柄なピッチャーを前に、緩く膝を開いた。
 右投げのオーバースロー。第一投は外角低めにきっちり収まった、ストライク。
(「ビデオの印象より高さを感じる‥‥少し、待ちますか」)
 いわゆる欧米投手の体格を活かした高い位置からの速球。ビデオでもその傾向は見て取れたが、やはり打席からでは初速と終速の印象は違う。
 二球目、三球目はやや外に流れてカウント1−2。
「ピッチャービビってるー!」
 芹沢のヤジ。だが一寸、この場の雰囲気では浮いていた。
 四球目。此処まで3連続したストレートは『無い』と読んだ辰巳は敵の持ち玉から、SFFに的を絞る。
「!」
 狙いは正鵠。だが、高い位置から膝下に逃げるように変化するボールの上を叩いてしまい、結果はピッチャーゴロ。
 続くベーオウルフ、大曽根も、ストレートをしっかりと捉えているように見えたが、セーフティ失敗とショートゴロ。
「一寸打ちづらい球でしたね?」
「癖球‥‥かもしれないが」
 ベンチに戻った大曽根とベーオウルフが、スコアを取る秋月に違和感を報告する。
 辰巳は短い時間で出来上がりの確認もしなければいけない。連投では無いにしても、連日の合宿開けには辛い流れだ。
「さぁ、しまっていこう!」
 脚のある一番手を前に、頭の中ではリードの組み立てを始めているレティ。
 両手投げという普通では考えられない特性のある辰巳だが、球種はスライダー系。最近は割と主流になった縦のスライダーを武器に据えれば、低めで振らせにいけるか。
 風はレフト当たりで少し巻いている。
 が、辰巳の手元癖も良く作用し、初回は三者三振。立ち上がりは上々だ。
「‥‥ん?」
「本家、グローブグローブ!」
 一回終了後、防具を外していたレティの後ろ、ベンチの隅の方で、誰かがごそごそとやっている。
「‥‥‥‥」
 ベンチの中から見送られ、颯爽と現れた、ネタの影。
 球団(?)マスコットのつば‥‥ロスちゃんによる独りフェスが開始された。
「ママー、あれ何〜?」
「げ、元気なうさぎさんねー」
「うさぎ‥‥?」
 試合を盛り上げようとしての行動なのだろう。なのだろうが、フェイスマスクを被ったウサギ仮面というのはどうなのか。敵軍にコアラ仮面でも居れば、それはそれで成立したかもしれないが。
 その勇気と子供達の唖然とした視線に負けないハートに対し、『ラストホープ・オーシャンサンズ公式マスコット』の称号を贈りたい。心の中でだけで贈っておく。
 気を取り直して二回表。レティからの打順。
 SFF、ストレートと見送り、三球目は外のストレートをカットして2ストライク。
(「此処までシンカー無し‥‥来るか?」)
 神主打法の膝元を襲うような内角。予想に反した速球に手が出ず、見逃し三振。
「どうも草野球のレベルで収まりそうにないですね」
 投球の様子を見ていた奉丈の言う通り、ピッチャーのレベルが一つ抜けて高い。
 サインを出しているのはキャッチャーだが、平気で首を振っている。相当な自信があるようだ。
 徹底した速球押し。初球、やや外の手頃な位置に入った真っ直ぐを、奉丈が叩き付ける。
「っ‥‥」
 鈍く、芯を外れた打球はセカンドの前で高く跳ね、少し捕球に手間取っていたようだが、ファーストに送られてアウト。
「変化球っすか?」
「いや、ストレートだと‥‥思いますけどね」
 六番、巽も同じくこのストレートを詰まらせ、三塁前の凡打に終わった。
 ここまできっちり3人ずつ。辰巳もレティのリードに助けられながら、低め低めの投球で点を与えない。
 六回の裏まで終わって、此処まで両陣営で安打無し。スイッチの鴇神が打席を入れ替え、攪乱して四球で塁に出ても後続が決まらず投手戦の様相を呈していたが、此処に来て、辰巳のスタミナも危うくなってきた。
 体力はある方だが、双方0という早い試合展開で気の休まる暇も無い。練度の高い二遊間のお陰で無駄な球数を増やさずには済んでいるが。
「とにかく、あのストレートをどう攻略するかだな」
 七回表、二番からの打順で、一端鴇神がメンバーを集める。
 秋月の記録していたスコアと、じっとベンチで待っていた芹沢の観察。
 特にひたすら代打の出番を待っていた芹沢は、勝負の一打席を万全に迎えるために相手のストレートを良く観察していた。
「見てて思ったんすけど‥‥何か、『真っ直ぐじゃねぇ』感じがするんすよ」
 その『真っ直ぐじゃないストレート』に、野球を知っている人間は幾らか心当たりがあったらしく。
「多分、ツーシームか何かを混ぜてきてるんだろう。SFFよりは落ちないが、ストレートと思って振ると上を叩く事になる」
 初回、セーフティで球を良く見ていたベーオウルフが判断する。
 そして七回、彼からの好打順。使い分けられるツーシームとフォーシームを予測するのは難しいが、内容が分かればスイングにも思い切りが持てる。
 久々の快音は真っ直ぐ打ち上がり、フェンス際のセンターが捕球。当たりが良すぎて真正面という口惜しい定番だ。
 続く大曽根も、ストレートを立て続けにファールに流し、打球を見分けていく。
 そして第七球。緩く入ってきたシンカーを掬い上げる。
 あわやホームランという当たり。レフトの頭上で風に巻かれた打球は僅かに押し戻され、フェンスに当たって落ちた。
「ナイスバッチー!」
 二塁にまで走り込んだ大曽根。これでようやく、1H。
 1アウト、二塁。チャンスに四番の好条件。
(「見せ球のスプリットを狙う。真っ直ぐか落ちるか見分け辛い速球を狙うよりはいい」)
 レティの打ち気を察したのか、キャッチャーはしきりにサインを送り、ピッチャーは何度か首を振ってから渋々と頷いた。
「4番の重責、果たしてみせよう」
 初球、当てに行き辛い、膝元の落ちる変化球。やや内に入ったが、見逃せばボールの球。
 しかしスタンスを大きく取り、外に踏み出して全身を使う事で自らの『イン』を広げたレティのバットが快音を響かせる。
「いっけー!!」
 おおと‥‥もといロスちゃんとちっさいコントをしていた篠原が叫ぶ。
 長打を狙い、高く上がった白球は逆風を物ともせず、バックスクリーンに吸い込まれていった。
「きゃー!!」
 投球練習も忘れて小躍りする一人とマスコット一体。
 0の均衡が破れ、2対0。
 ピッチャーも気落ちしたかに見えたが、カウント2−1から奉丈にセンター前の安打を食らい、かえって冷静さを取り戻していた。
「とっ‥‥!?」
 速球押しとは打って変わって、オーバーでも投げやすいシンカーチェンジに投球の主体が変わり、その緩急に巽がキャッチャーフライ、テミスの三塁横の当たりもサードが素早く処理して七回表は終了した。
 七回裏。クローザーとして篠原が登板する為、守備位置が大きく変化した。特にピッチャーの辰巳はそのままセンターに移っている。
 速めのスライダーで三振を稼いだ辰巳から、スローカーブ、スクリュー主体、左のアンダーというこれまた特異な篠原への引き継ぎは十分敵ベンチを混乱させていた。
「ふふん、抑えの左腕、腕の見せ所やね‥‥練習の成果、見せてあげる。レティさん、いくよ!」
 低い位置から一度浮き上がり、そして再び深く沈むスローカーブを武器に、長打性の当たりも無く七回の裏を乗り越えた篠原。
 ショートパンツから見える脚に打者の目が当てられていた訳ではない。バッテリーのコンビネーションが良く、立て直しの暇を与えなかった。
 七回の裏、八回の表と、ヒットは出ても点差の動かない緊張感のある試合。
 そして八回の裏。右の強打者の場面。
 ここで、左のアンダーにある重大な欠点が露呈する。
「!!」
 三番、対右打者。浮かび上がってくるような球は一見して打ち辛いが、リリースの見極めが付きやすく、篠原のように緩い球で来る場合は対応もし易い。
 山なりのスローカーブも、タイミングが合わせられてしまえば打ち頃の絶好球になってしまう。
「レフト!」
 ライナー性の当たりが巽の頭上を越え、フェンスに直撃する。
 なまじ当たりが良かっただけに跳ね返りが強く、バッターは一塁で制止。
 角度が上がっていればホームランという当たりだったが、篠原はまだ動揺を抑えられている。
 むしろリードをするレティの方が、この当たりをどう判断すべきか、ノーアウト一塁で四番という局面にどう当たるべきか、攻め倦ねていた。
(「‥‥‥‥」)
「‥‥‥‥」
 中々出されないサインを、じっと待つ篠原。
 その様子を見ていたベーオウルフや奉丈が一端タイムを掛けようかと迷ったが、やや間を置いてレティが動いた。
 状況が変わらない以上、全力を信じる他は無い。
 サインはスローカーブ。ボール球から内へ巻き込んでストライクを取りに行くコース。
 リードを信じ、全力で応える篠原の変化球。強打者のフルスイングが、そのバットの先端で白球を捉えた。
「高い‥‥!」
 詰まったライトへの当たりが、弧を描いてファウルラインを越える。
「テミスさん、フェンスフェンス!!」
 捕球に回ったテミス。必死に走り込み、何とかグラブを届かせる‥‥が、勢いの付いたままフェンスに激突してしまう。
「テミス!」
 慌てて駆け寄る鴇神。テミスは自力で起き上がると、グラブを上げて捕球を示した。
「ふぅ‥‥」
 少し背筋は冷えたが、続く五番を併殺打に切って取り、ベンチへと帰る。
 九回表、最終回はレティからの打順。一人でも塁に出れば、テミスに回る。怪我では無いが、鴇神は芹沢を代打に出す事も頭に入れていた。
 が‥‥そう劇的にはならないのが草野球。レティ、奉丈、巽と三者凡退に終わり、芹沢は代打としてではなく代守としてグラウンドを踏む事になる。
 九回裏、六番からの下位打線は危うい安打もあったものの、経験者である大曽根やベーオウルフに内野をがっちりと固められ、点を漏らすことなくゲームセットを迎えた。

結果

ラストホープ・オーシャンサンズ 2−0 ウエストウェイブルズ

本塁打:レティ・クリムゾン
勝:辰巳 空
S:篠原 悠


 この試合の模様は映像記録され、一つの資料となる。
 傭兵達のチームによる、交流試合。
 特に傭兵達の勝利は大きかった。スポーツという舞台上でも活躍する、人類の戦士。
 しかしそれはまた、色んな『別の話』‥‥‥‥。