●リプレイ本文
●到着! 楽園ビーチ!
「ここが例の怪しいラッコが出るというビーチですか」
「むぅ、なんだか良く分からないけど、人に迷惑をかけるキメラは許さないです」
さんさんと照りつける太陽を眩しそうに見上げながらチャチャッと着替えた蓮沼朱莉(
ga8328)とハルカ(
ga0640)が並んで水平線を眺めていた。
ちなみに、朱莉は彼女のお気に入り、ピンクのゼブラ模様のビキニ。ハルカは無地のシンプルなビキニで決めている。どちらのバストも豊満極まりない。
その姿を見た夜十字・信人(
ga8235)は武器を手入れする手を止め呟いた。
「‥‥この世に神も仏も存在しないが、楽園は確かにある。今俺の目の前に‥‥!!」
ググッと握った拳には男の熱い思いが込められていた‥‥とか何とか?
さて、ビーチに設置されていた簡易更衣室ではまだ着替え途中の加賀 弓(
ga8749)と鷹司 小雛(
ga1008)がいる。キメラッコについて話しているようだ。
「サングラスをかけてビキニブラを狙うラッコ‥‥ふざけた存在もいたものですね」
「ですが、そんなラッコとブラを奪われるか否かの真剣勝負も楽しそうですわ」
と、バグアの良く分からない考えに溜息をつく弓に対し、小雛はノリノリだ。
着替えた姿は谷間強調! の黒の紐ビキニ、小雛。弓はビキニの上から軍服ジャケットを羽織っている。露出度満点の紐ビキニもさる事ながら、これはこれで一部男児は大喜びするに違いない。
一方、ライフセイバー用の監視台の下では全員分の荷物に埋もれながら、ビキニの上にジャケット姿と弓とはまた違った意味でマニア受けしそうな格好で、芹架・セロリ(
ga8801)が大好きなでぃすたんのぬいぐるみをガジガジと齧りながらボソボソと何かを言っている。
「‥‥‥あぅ、ラッコは絶滅危惧IA種です。‥‥だから食べてはいけません。でも、でもキメラッコなら‥‥」
(「食う気かよ!!!」)
心の中で思わず突っ込みを入れたのは紅月・焔(
gb1386)。彼は監視台の上に陣取りキメラッコとあと色々なものを監視する予定。ハルカから手渡された双眼鏡はしっかり首にかけられていた。もちろんアッチの意味でもコッチの意味でもそれを使用する気満々だ。
「おかしいです。カンパネラ学園に配属されたはずなのに何で美空はこんな所にいるのでありますか‥‥」
ハァハァと、海岸を望みながら暑さに喘いでいるのはリンドヴルムに更にオプションビキニブラを装着した美空(
gb1906)。
ちなみに彼女は「この素晴らしき機能美。分かる人には分かるであります。ポロリ対策も万全であります」と先ほど信人の突っ込みに応えた所である。
しかし、実はこのスーツ、エアコンが無い為、中はサウナ、蒸し風呂、中華のせいろ。
汗の不快感に耐えながらの呟きは、寄せては返す波間に消え行く虚しさよ‥‥‥。
●対決! キメラッコ!!
全員が着替え終わり、海に出た所で、いよいよキメラッコ討伐作戦が開始! 囮役・攻撃役の面々は互いに離れすぎず浅瀬でキメラッコ出現を待つ。
心なしか監視台の焔と信人の鼻の下が伸びている気はするが‥‥む、胸なんて、見てないんだからね!!
「キメラッコ、現れるでしょうか」
「私はともかく、これだけ可愛い&綺麗どころが揃えば現れないわけ無いですよ」
弓の問いかけに朱莉が応じる。
しばし静かな‥‥一部煩悩溢れる時間が流れたその時だ。一際大きな波が盛り上がり、ザッパァーンとビーチへ押し寄せてきた。
もちろん、その上にはサングラスのクールなアイツの姿が。
「ベンジャミ‥‥おっとキメラが出たゾー!!」
焔が叫ぶ。補足をすると、ベンジャミンとは焔が付けたキメラの名前らしい。
彼の声と共に全員が覚醒。弓の髪がたなびき、信人の背後には黒い翼を持つビキニ姿の少女が現れ、ハルカの胸がボイィーーンから更にバイィイーーンッと膨らみ、ドドーンッと落ちたのは男性陣の鼻の下。
「こんな時に何やってんですかーっ!!」
と二人がセロリに突っ込まれている間にも、キメラッコは低く腰を落とし、波に乗ってぐんぐん距離を縮めてくる。右に左に大きく振れ、どのビキニブラを狙うか物色しているようだ。
「‥‥水着を選んでいる暇なんてありませんわよっ!」
先陣を切ったのは小雛。愛刀の月詠‥‥望美を構えキメラッコの側面に一撃を放つ。しかし、
ガキィンッ
と硬いモノ同士がぶつかり合う音が響き、刀が弾かれた。
「なっ! 受け流された」
小雛の目の前には刀を受け止めた貝を手にしたまま、クィッとサングラスをあげるキメラッコの姿と、やけにスースーする胸元が‥‥
「「おおっ」」
と男性陣から歓声があがる。だが口惜しや、大事な部分は背後からは見えない。
悔しげに顔を赤らめながら盾で胸を隠し、さらに戦闘を続けようとする小雛に焔から代えのビキニブラが放られた。どこで仕入れてきたのか知らないが、すっごい際どいのが‥‥
「小雛―!! 信人―!! 新しいビキニヨー!!」
何故か信人の分も投げられた。
無いよりはマシという事で小雛は即座にブラをつけ戦闘に復帰。他のメンバーと共にキメラッコを囲い込むように追い込んで行く。不思議としっくりくる付け心地は焔曰く「‥‥これが三倍に跳ね上がった煩悩の力ダ! 忌みされし、悪魔の力ヨ!」‥‥だそうです。彼のサイズ判別能力はもはや神の領域だ。
一方、
「サンキュー! 焔、助かったぜ」
流れで装着してしまった信人‥‥この後、ビキニブラを片手に焔を追い掛け回す彼の姿が見られたらしいが「着けちまったもんはしょーがねぇ」と取る暇より堂々と戦いを選んだ彼は潔い男だ。‥‥一瞬の手間なんだけNE!
「水弾、きます!!」
キメラの手にした貝から水が落ち、いち早く気付いた朱莉がメンバーに注意を促した。
数瞬後、水の塊が弓に向かって放たれる。
「くっ。油断しましたわ」
なんとか蛍火で受けたものの隙を付かれダメージを負ってしまう。
続けざまにキメラッコは貝を朱莉に向かってぶん投げた。彼女がガードしている隙にビキニを奪おうという魂胆のようだ。だが、
「お気に入りの水着です。そう簡単には取らせませんよ」
あえなく失敗。
その後も取るか取られるかの攻防が続き、キメラッコが疲弊して来た頃、とある少女が覚醒する!!
着込んだジャケットを腰に巻き、ビシッと指差すキメラッコ。
「良く聞け!! 変態ってやつぁ三つに分けられる。年齢に拘る夜十字、体型に拘る紅月さん! そして、身なりに拘る‥‥お前、だ!! ちょいさーーーっ!!!」
威勢のいい江戸っ子口調と掛け声でキメラッコに一気に詰め寄り必殺の急所突きっ。
キメラッコはヘロヘロだ!!
「貴様の目は‥‥俺の若い頃に良く似ている」
「ベンジャミン、次は地獄か来世で会おうぜ」
そのタイミングで銃を構え、背中合わせに決め台詞を吐いているのは信人と焔。
『くらえ!! ジャック・煩悩!!』
二人の銃口が同時に火を吹き、さらに追い討ちをかけるように美空の最大火力の大口径ガトリングがうなる。
「‥‥いいわね、いくわよ。‥‥往生せいやぁぁぁなのでありますー!!」
ズドドドドドドッ!!!‥‥チュドーーンッッ!!!
放たれた弾幕はキメラッコの周囲の水まで派手に撒き散らし、キメラッコを粉砕。戦隊特撮ヒーローものよろしく大爆発を起こした。残念ながら巨大化しないけども。
「終わりましたわね‥‥皆さん、お疲れ様です」
景気良くキメラッコを退治し、弓が水弾で濡れた髪から水滴を落とすように軽く頭を振った。
「そういえば、取られた水着はどこ‥‥あ!」
どこに? と首を傾げようとした朱莉が、海面を漂っているキメラッコの貝ボードから大量のビキニブラが溢れているのを発見。
「よくもまぁ、こんなに集めたものですわねぇ‥‥」
呆れながらも小雛が自分のビキニブラを回収する。これらは紛失物という事でビーチの管理者に送られることになった。
●楽園にて‥‥
さて平和の戻った青い海を背に傭兵達は待ってましたとばかりに夏を満喫しはじめる。
焔は釣りに勤しみ、信人は焼きそばの準備をし、女性陣は砂浜でビーチバレーに興じていた。
「アターック!! ですわ」
弓のアタックをハルカが受け‥‥られないっ。どしゃっと倒れこみ砂まみれに。
「ふにゃぁ〜口に砂がぁっ」
「ハルカさん、どんまいです。仇はこのセロリが!! うわわっ‥‥」
ハイタッチをする弓と小雛、そして何も無い所でコケるセロリ。
そんな和やかに流れる時に朱莉は満足の笑顔を浮かべる。
「やってみたかったんです。貸切のビーチでビーチバレーって‥‥!」
隣ではリンドヴルムを脱ぎすて軍用ワンピース水着(零挫亜零鎖)を披露した美空が、
「むー、任務より困難でありますが、任務よりはるかに楽しいであります」
と、楽しそうにアタックの素振り練習をしていた。
そんな素敵に揺れるチ○‥‥じゃなかったオシ○‥‥じゃなかった、女性陣の姿を火を起こしつつカメラに収める信人。隙を見つけてはカシャカシャと。出来栄えが楽しみだ、むっふっふ。ニヤケ笑いを浮かべつつ、鼻歌まじりに焼きそばの準備をしていると‥‥
「おーっと、お嬢方! スマン‥‥手が滑ったぁあー!!」
キラッと閃く釣針が朱莉のビキニブラを捉えたっ
焔の釣りはそっちの釣りだったのか! 釣竿に引っ張られピンクゼブラのビキニブラからポロっと。
「‥‥‥」
あぁっ! 大事な所が!! ‥‥でも大丈夫。ちゃんと★型シールで隠してあるし、すぐ手でブラと一緒に押さえたから無問題‥‥ね?
「‥‥かかった! 大物だ!!」
「シャッターチャンス逃すかぁぁ!!!」
カシャッ カシャッ カシャッ
暑い砂を踏みしめてさらにヒートアップしたのは勿論、煩悩全開の男二人。
だが彼等は、このあと起こる惨劇をまだ‥‥知らない。
「‥‥おい、お前達。調子に乗るのもいい加減にしろ」
ゴキッゴキッと手を鳴らしながらセロリが。
「肖像権という言葉をご存知でいらっしゃるかしら?」
弓が。
「隠し撮りは、無しだと最初に言いましたわよね‥‥」
小雛が迫る。
「あはは〜悪い子にはお仕置きですよ」
プピーッと持参した水鉄砲で焔に水をかけるハルカはちょっとお遊び気分。
しかし、その後のお仕置きのすさまじさに美空は「‥‥そんじょそこらのキメラより、恐ろしいであります」と引きつり顔で呟いたとか。
そんなこんなのドタバタも一段落し夕闇が迫る頃、ジュージューと美味しそうな香がビーチに漂う。信人の焼きそばだ。ボロボロの顔のまま慣れた手つきで焼きそばを振舞う信人。
「うまいか? 」
「うん、微妙! ジャリジャリしてるから」
笑顔でセロリに即答されてしまう‥‥負けんな! 青年!
最後は美空持参の花火を全員で楽しみ、彼等の長いようで短い一日が幕を閉じた。
かくて、楽園を騒がせたキメラッコは退治され、明日からまたこの楽園に沢山の人々が訪れる事だろう。娯楽というモノが少なくなっている今、このビーチを守った意味は大きいといえる。
夏の海と、男のロマン、そして熱い思い出。
割れたカメラのレンズが、沈む夕日をゆっくりと映し出していた‥‥