タイトル:ポストマンマスター:久米成幸

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/11/02 21:21

●オープニング本文


 迫るように切り立った崖に両側を挟まれ、足場は最悪の状況だった。
 が、なによりも最悪なのは、前方に野生の獣を食すキメラらしき影のあることだった。
「十匹はいますね」
 陽の射す最中にあって、存在が空ろに思える男が気軽な様子で戻ってきた。
 先頭に立つ立派な顎鬚の男が「ご苦労だった。古川」労いの言葉をかけ、顎で先を促す。
「やはりキメラでした。両腕の筋肉が異様に膨らんだ不恰好な長髪が三体、仰々しい赤色の巨大な蜥蜴が七体です」
「戦闘となれば、配達物が心配です。時間がかかっても、一度戻ったほうが安全ではありませんか?」
 顎鬚の男が、眼鏡をかけた学者風の男に首を振る。
「以前に配達で通ったことがある。住民でさえ迂回路は知らない」
 学者風の男、つるりは、神経質そうに眼鏡を直し、四人の顔を見回した。
 彼らはマタンゴ郵便公社の配達員だ。普通の郵便配達員では届けることの困難なバグアに支配された土地を主に担当し、危険を顧みずに日夜配達に駆けずり回っている。
 配達員の中には、顎鬚の男や古川のように能力者もいるが、大半は一般人で、働く動機も様々だ。
 つるりは研究の片手間に勤務しているし、ぶよりは世界各地の食べ物に惹かれて配達員になった。能力者の二人には、傭兵を辞めた複雑な理由がある。
 顎鬚は、ふうん、と唸り、空に向けていた顔をメンバーに戻した。
「ぶよりとつるりは配達物を持って下がっていてくれ。ぼいんは車両まで戻り、いつでも移動できる準備を。俺と古川がやられても、絶対に手紙だけは死守しろ」
 三人が口々に返事をすると、顎鬚は全身の毛を逆立てて覚醒した。
 古川も顎鬚に倣って覚醒し、鋭い目で小銃を点検しながらふいに噴き出した。
「人命より手紙か。つくづく割に合わない仕事ですね」
 古川の軽口に、顎鬚が口角を吊り上げた。

 数日後、付近の村に、原型を留めないほど破壊された車両が滑り込んだ。ボンネットから煙が上がり、窓ガラスは罅割れて大半が抜け落ちている。
 車内から転がり落ちた古川は、全身を染める血に構わず、何事かと駆け寄った村人たちに、重傷者が車にいること、ULTに傭兵の派遣を依頼することを繰り返すと、激しい痙攣の後に意識を失った。

●参加者一覧

ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
漸 王零(ga2930
20歳・♂・AA
野良 希雪(ga4401
23歳・♀・ER
マーガレット・ラランド(ga6439
20歳・♀・ST
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
アズメリア・カンス(ga8233
24歳・♀・AA
ヒューイ・焔(ga8434
28歳・♂・AA
美環 響(gb2863
16歳・♂・ST

●リプレイ本文

●呪医
「暢気なものね。配達員の生死なんて興味がないのかしら」
 配達員が危険を承知で配達に駆けずり回っているというのに、子供に混じって鬼ごっこに興じる老人がおり、農作業に精を出す人がいる。アズメリア・カンス(ga8233)は無表情ながらもどこか呆れた様子で首を振った。
「この村はすでに配達済みだ。郵便物さえ届けば、配達員の生死など興味がないのだろう」
 漸 王零(ga2930)が肩を竦める。
 二人が辛辣なのは、危険な任務に従事して潰走した配達員を慮ってのことに違いない。
 配達員の無事を祈っていた美環 響(gb2863)が目を開き、二人に顔を向けた。
「行方不明の方も、郵便物も、きっと無事ですよ。こういう時の僕の勘は、結構当たるんですから」
「そうね」無表情のまま答えるアズメリアに微笑み、
「それじゃあ、まずは情報収集からですね」
 響が、歓声を上げる子供をすり抜けて老人に近づく。
「病院なんて大層なもんはないが、わしが呪医をしとる」
「では、配達員のいる場所まで案内を願えますか?」
 好々爺は、折れ曲がった鼻につく泥を払いながら、無言で歩き始めた。
「『練成治癒』で回復のお手伝いをしてみます」
 駆け出していく野良 希雪(ga4401)の背中を見送り、ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)が口を開いた。
「俺は、配達員の乗ってきた車両を検分してこようと思う。なにかがわかるかもしれない」
「自分も手伝いましょう。王零さんはどうします?」
 村人を指差す王零に頷き、周防 誠(ga7131)はホアキンの後について歩き出した。

●舞い降りた白銀の悪魔
「おうこら、禿じじい。てめえ、誰が白いって? 舐めた口利いてっと、その眩しい迷惑頭を叩き潰して脳漿を撒き散らすぞ、ぼけが。ああん? ふがふがいってねえで、はっきり喋れや」
 「本職」顔負けの巻舌で捲くし立てているのは、希雪だった。
 普段は深窓の佳人にしか見えない可憐な顔が、鬼の形相を呈している。
 希雪は、泡を食って逃れようと四肢を動かす呪医の胸元をしっかり掴んだまま、「お前の葬式にゃあ、木魚はいらねーな」と頭をぺちぺち叩いて一頻り怒りを発散させた後に、見事なボディーブローを何発か叩き込んだ。
 騒ぎを聞きつけたアズメリアが、希雪を押さえつけながら、その豹変振りに舌を巻く。
 響も加わってどうにか希雪を落ち着かせ、二人はどうにか希雪を老人から引き離すことに成功した。
 狼狽する二人の能力者をよそに、普段の温厚な表情を浮かべた希雪は、
「お医者さんでよかったですね」
 可憐な笑みの裏に潜む憤怒を察し、呪医の背を冷や汗が滴った。

●盛田盛男
「車両はかなり酷く痛んでいたよ。想像以上だった。相当に力があるか、体が重いキメラなのだろうね」
 ホアキンが説明を終えると、今度は王零が口を開いた。
「我とヒューイ・焔(ga8434)は村人から話を聞いた。得た情報は、地理と配達員の名前のみだ。汝は?」
「希雪さんが『練成治癒』を使いましたが、古川さんは意識を取り戻しませんでしたので、話は聞けませんでした」
 響の説明に希雪が「命に別状はないようです。意識もすぐ戻るでしょう」とつけ加えた。
 能力者たちは、古川の怪我や破壊された車両からキメラの様子を推測し合ったり、王零とヒューイが村人から得た情報で地理を確認しながらしばし平穏に進んでいたが、愛車のジーザリオを操る周防が血に塗れた上背のある男を発見して、全員の顔が強張った。
 すぐにマーガレット・ラランド(ga6439)が車両から飛び降り、男に『練成治癒』を行う。
「おそらく配達員の盛田だろう。村人に聞いた特徴と一致している。古川と同じ能力者だ」
 盛田を観察しながら周囲を警戒する王零の声に、触診していたラランドが声を被せる。
「あまりよい具合ではありませんね。村まで送ったほうがいいでしょう」
「そうね。じゃあ車のある回収班にお願いするわ。私たち戦闘班は先に進んで偵察をしておくから」
 アズメリアの意見を皮切りに色々のことが話し合われた後に、回収班四人はジーザリオで村に戻った。

 回収班は、盛田を呪医に任せてすぐに戦闘班を追う予定だったが、盛田が意識を取り戻したことから、しばらく情報を収集して戻ることに決めた。主に周防やラランドが口早に質問を投げかけて話を聞き出す。
 五分が経過し、仔細を飲み込んだ周防は、最後の質問ですが、と前置きをして盛田の顔を覗き込んだ。
「盛田さんは先ほど、キメラは脅威ではなかった、といいましたね。ならば、なぜ潰走したのでしょう?」
「強力なキメラがいなかったのは事実だが、長髪と蜥蜴が思いのほか頑丈だった。そのせいで六体を倒した後に現れた大蛇を相手にする練力が残っていなかったんだ。知っているかもしれないが、能力者は俺と古川だけだ。二人ではどうしようもなかった。他の配達員は皆大蛇に食われ、蜥蜴や長髪に殺されてしまった」
 溢れる涙を拭わずに天井を凝視する盛田の肩に手を置き、響が優しげな笑顔で慰める。
「大丈夫です。遺体は必ず連れて帰ってきます」
「すまない。後は頼む」

●広場
 村から出てしばらくは深い森が続いていたが、じきに緑が減り、周囲の崖が覆い被さるように近づいてきた。
 ――崖が迫ってきても、気にせずに進みなせえ。後は一本道じゃて。
 王零が村人の言葉を思い出して班員に伝え、アズメリアが先行しているホアキンに無線で話す。
「うん。ちょうど開けた場所に出たところだよ。キメラはまだ確認できないが」
 道が徐々に下り始めたころ、戦闘班はようやくホアキンの姿を確認したが、合流できた安堵よりも、ある程度の広さの矩形を作りながらも開放感の微塵もない井戸の底のような窪地に表情を引き締めた。
「村人は草原といっていたのだがな。これではまるで湿地だ」
 王零のいうように、広場は往路と同様に高い崖に囲まれていたが、そのせいで陽があまり射さないのだろう、湿った空気が露出した肌に纏わりつき、盆地にこもる陰鬱な空気に、先ほどまでの長閑さは微塵も感じられない。
「足場にも気を使わなければなりませんね」
 広場の中央にある、池というよりは沼に近い濁った水溜りから流れ出した水で、地面の泥濘が酷い。
 さらに巨大な岩の作る天然の迷路に似た地形も、戦闘に弊害をきたすだろう。
「なんだか中央が窪んでいて、鍋みたいです」
 寒そうにレザージャケットの前を合わせる希雪に、「ここはキメラの調理場だ」ホアキンが答えた。

「なにか見えるか?」双眼鏡を覗き込む三人に王零が尋ねたが、三人は首を振るのみだった。
 アズメリアが「中に入ってみないとわからないわね」と、双眼鏡を鞄に戻した時、後方から車の音が聞こえた。
「回収班ね。情報交換をしてから戦闘開始といきましょう」
 月詠を抜くアズメリアに続き、ホアキンがエネルギーガンを取り出す。
 希雪は未だに双眼鏡で異変を探していたが、小さく呻いて双眼鏡を放り投げた。
「どうした?」
 希雪は両腕を抱き、双眼鏡に視線を落とした。
「いえ。巨大な蛇腹が見えたものですから」

●開戦
 盛田の話は有意義ではあったが、戦闘班がキメラを引きつけている間に回収班が配達員や郵便物を回収する流れに変更はない。もっとも、大蛇が死んでいることを知った希雪は、心底嬉しそうだったけれども。
「弱いといっても、キメラはキメラだし、大蛇の例もある。油断なくいかないとならないわね」
 希雪の『練成強化』により強化されたクルメタルを構えたアズメリアは、回収班に先立って窪地に下り、蜥蜴を捕捉して引き金を引いた。が、蜥蜴は平然と岩場に這い上がり、長い舌を突き出して能力者を睥睨する。
「確かに頑丈だわ。弾が内臓まで届かないみたいね」
「なら、これならどうかな」
 ホアキンがエネルギーガンで同様に蜥蜴を狙ったが、やはり効果は薄いように思えた。
 戸惑う能力者に対峙したキメラの群れは、散開して能力者に備える。

 残りの者に『練成強化』を終えた希雪は、回収班に気を配りつつ、戦況を事細かに分析していく。
 確かにキメラは硬いが、動きは存外に大したことがない。
 熟練の能力者ならば、祭りの射的に興じるのとそう変わりはないだろう。
 それに、なにもキメラを殲滅する必要はないのだ。
 最低限、回収班が郵便物と配達員の遺体を収容するまでキメラを引きつけておけばよい。
 さすがに劣勢と感じたのだろう、蜥蜴は、アズメリアの銃弾を掻い潜り、岩をよじ登って反対側に移動した。
 ホアキンが岩をよじ登り、アズメリアは岩を回った勢いのまま、『流し斬り』で蜥蜴を狙う。
 月詠に打たれた蜥蜴は、無様に岩に叩きつけられて吐血し、さらにホアキンのエネルギーガンにより、大きな体を岩にめり込ませた。岩の反対側では、国士無双を構えた王零が長髪を相手に奮闘している。

●回収
「希雪さんから連絡が入りました。キメラを上手く引きつけたようです」
 周防に親指を立て、ヒューイが巨大な蛇腹を乗り越える。
「郵便物は後回しにして、まずは配達員の遺体を車に運びましょう」
 回収班は、先頭に立つ周防の背後にラランドと響が控え、後方をヒューイが固める陣形だ。
 戦闘班が引きつけてくれているとはいえ、この山にはキメラが無数に生息しているため油断はできない。
 四人はそれぞれの死角を補いながら、慎重に歩を進めていった。
 遺体の捜索は、それほど難儀ではなかった。
 盛田からは、曖昧ではあるが、遺体の横たわっていると思しき場所を聞いている。
 ラランドの指示により、蛇腹に切り込みを入れたヒューイは、顔を顰めながら、すでに顔の溶けて識別の困難な遺体を引きずり出した。

「遺体を車に移動しました。自分たちは、郵便物を探しながら先に広場を抜けます」
 アズメリアに連絡をいれ、周防が先に立って再び湿地に戻る。
 当初の予定では郵便物も車に載せる予定だったが、残念ながら車では先に進めないので仕方がない。
 郵便物は、大抵が丈夫な袋に纏まっているが、中には破れて中身の散らばった袋もある。
「キメラと遭遇しなければ、それほど手間はかからないでしょうが‥‥」
「周防さん! 蛇っ!」
 ラランドの声に反応した周防が、宙を舞う蛇をソードブレイカーで受け流す。
 地に落ちる蛇にアラスカで弾を撃ち込み、気配を感じて後方にも銃口を向けた。
 四人は回収班だが、戦闘能力が戦闘班に劣っているわけではない。
 流し斬りで長髪の肌を裂くヒューイを援護するように、周防が急所突きで長髪を狙い、華麗な動作で両手の小銃を操る響が、『二連射』を惜しまずに使って瞬く間に長髪を鮮血に染める。
 戦闘に集中する三人の目に、花柄の下着が映った。
 極限の緊張状態で特に違和はなかったけれど、よく見ずとも、ラランドは下着姿だった。
 彼女の覚醒は特殊で、背中が隆起した際に服が破けるのだった。
「くたばりなさい、キメラ共。喪中葉書は私が出します。消印はお前らの命日でいいですか」
 ラランドのスパークマシンから放たれた光が、長髪の長髪を燃やした。
 炎に包まれて身悶えするキメラの太い首に、『両断剣』で赤く光るヒューイの機械剣が食い込んだ。
 響は荒い息を吐きながら、息絶えたキメラに近づき、「汝の魂に幸いあれ」と祈った。

●殲滅
 無事に回収を終えたと連絡を受けた戦闘班は、回収班とは反対の道に後退し、キメラの殲滅に取りかかった。
「倒せるだけ倒すとしましょうか」
 アズメリアを一瞥し、王零が気合を入れなおす。
「汝らの業、全て我がもらい受ける。形成、『狂王の仮面』‥‥。さあ、終焉への破壊の開始だ!」
 『先手必勝』で前に出るホアキンと並んだ王零は、先ほどよりも格段に向上した速度で『豪破斬撃』により赤い粒子を撒き散らす国士無双を扱い、次々とキメラの硬い皮膚を切り裂いていく。
 アズメリアの動きも劣ってはいない。狭い地形を『流し斬り』で縦横無尽に駆けてキメラを切り刻み、長髪の大柄な肉体に無数の切り傷をつけた。月詠の優れた切れ味は、希雪の『練成強化』によってさらに鋭さを増している。
 長髪の急所をイアリスで裂いたホアキンは、ヒット&アウェイの要領で攻撃を避け、背後に飛びながらエネルギーガンでアズメリアたちの集中攻撃を受ける蜥蜴の頭を破壊する。
 最後の一体は、王零の刃により命を絶たれた。
「万魂淨葬刃軌導闇‥‥。我に業を奪われし無垢なる魂よ、その穢れた躯を棄て、迷わず聖闇へと還れ」

●配達完了
 負傷はせずとも、練力の消費は激しい。無事に配達を終えた能力者一同は、配達先の村でしばしの安息を得、それから山を降りて古川たちの休む呪医の家まで向かった。
 ぼいんは未だにうなされていたが、古川は意識を取り戻し、盛田と何事か話し合っていた。
「ん。無事に終わったようだな。本当に助かったよ。ありがとう」
「妙に疲れました。こんな仕事をよく続けているものですね」
 皮肉混じりの周防の言葉に、盛田と古川が顔を見合わせて笑う。
「私は内勤の経験がありますが、配達員の底力って凄いんですよ。なにかの事情で表札を出せない世帯の家族構成まで把握しているんですから。能力者でもないのにこんな場所を訪れた、この人を見てもわかるじゃないですか」
 ラランドが、一般人の配達員では唯一の生存者であるぼいんを顎で示す。
「そうだな。誇り高い仕事だ。俺も傭兵を引退したら入社しよう」
 冗談ともつかない口調で話すホランドに盛田が頷き、「君たち二人は見所があるぞ」と勧誘を始めた。
「呆れたプロ根性だぜ、まったく」
 ヒューイに同意するように、「まいったね」という周防の呆れ顔を、古川の穏やかな目が見つめた。
「‥‥なんです?」
「大変だけど、悪くない仕事だろう?」
「まあ、確かにそうかもしれませんけど」
 周防の頭に、郵便物を受け取った村人たちの笑顔が浮かんだ。
「わざわざ傭兵を辞めてまで時給の低いマタンゴに入った俺がいうんだ。間違いないよ」
 怪訝そうな顔で考え込む周防を押しのけ、響が古川の包帯だらけの顔に指を突きつけた。
「あ、いや。別に傭兵を馬鹿にしてるわけじゃないよ? ただ」
「わかりますよ。危険な配達をしている貴方たちは尊敬に値します。でも、郵便物も大事ですけど、もっと自分の体のことも気にかけてあげてください」
 王零とヒューイがこれ見よがしに頷き、再び古川と盛田は顔を見合わせた。

 そのころ希雪は、再び禁句を口にして逃げ出した呪医のしがみつく木を蹴飛ばしていた。
「下りてきてくださ〜い。まだ許しませんよ〜。天に召されるのは私に殴られてからお願いします〜」
 気分転換に散歩に出たラランドは、笑顔で木を蹴り続ける希雪を見ながら毛布を捲り、
「私の下着の色を見ても彼女は激怒するのだろうか」
 笑顔で振り向いた希雪に両手を上げ、ラランドは慌ててその場を立ち去った。