タイトル:Cageマスター:熊五郎

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/06/03 01:14

●オープニング本文


 欧州軍が激戦を繰り広げるとある競合地域に、親バグア派の人間が頻繁に現れるという人工の山がある。
 前々からその事実は確認されていたが、数度の情報収集の結果、その山がキメラ生成プラントであるということが分かった。情報取得は一週間前。軍情報部が手に入れたそれは、回り回って第33SRP連隊E中隊へと降りてきた。
 ロシアでの任務を終え、休暇も挟まずの過酷な任務に、命令を受けたエコー6は辟易としたが、文句を言ってどうなることでもない、と出立していった。
 山を吹き飛ばせという作戦は、全体で見れば単純明快だった。生成されているのは三種類。施設内部の警備をしていると思しき近接型のキメラ。施設外に確認されたのはミイルキメラと、それをを両翼にぶら下げた鳥キメラ。エコー6は施設内に潜入し、キメラプラント各所に特殊なビーコンを設置する。傭兵は、そこに目掛けて爆弾を投下する。天然物の山ならば爆破は不可能だが、実際には小高い丘程度の、人造の代物。目標四ヶ所への攻撃で、プラントは崩壊すると見られている。

「注意してもらいたいのは、これが制空権の取れていないエリアでの任務というところだ」
 スクリーンに投射したマップには、目標施設を中心に赤いモヤが広がっていた。
「この赤いポイントはキメラがいるとされる場所だ」
 モヤは施設を中心に分厚く広がっている。縮尺から半径は五十キロほどにもなるだろう。
「中型ヘルメットワームのパトロールも確認されている。高々度で侵入後急降下爆撃、超低空で侵入後に水平爆撃。どちらでも、やりやすいほうで構わないが、どちらにしろ諸君のうち何機かは甚大な被害を被ることになるだろう」
 健在の右目で鋭く室内を見渡して、ハンク・ネルソンはそう言い切った。無茶苦茶な依頼であることは承知の上。そもそもエコーの潜入作戦が失敗する可能性のほうが高い。五十キロもの防衛網は、超音速のKVよりもむしろ徒歩で抜けなければならないエコーにとって致命的なのだ。
 近隣で典型的な陽動作戦が行われるとはいえ、そう効果を期待できるものでもない。捕らえた親バグア派の人間から侵入ルートなどの情報を聞き出しているとはいえ、安全な道程である保証は何一つなかった。
「ミッションの都合上、潜入部隊がビーコンを取り付ける前に諸君は出撃しなければならない。撃墜の危険、不安、入り交じった最低の依頼だ。それでも覚悟があるのなら、あの忌々しいキメラプラントを叩き潰してくれ。依頼に参加する者は、十分後に再び集合。詳しい説明をする。では、解散」
 ブリーフィングルームに残る者、一服つけに出る者、受諾を諦めた者。表情でなんとなくそれらを分別しながら、ハンクは内心でため息を吐いた。
 今夜の酒はまずくなるに違いない。
 そんな予感が、どこかにあったから。

●参加者一覧

榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
赤村 咲(ga1042
30歳・♂・JG
三島玲奈(ga3848
17歳・♀・SN
ソード(ga6675
20歳・♂・JG
アズメリア・カンス(ga8233
24歳・♀・AA
赤崎羽矢子(gb2140
28歳・♀・PN
ヴィンセント・ライザス(gb2625
20歳・♂・ER
ハイン・ヴィーグリーズ(gb3522
23歳・♂・SN

●リプレイ本文

●チェックポイント
 高度三万フィートを、一羽の巨鳥が悠然と飛んでいた。鋼鉄の翼で陽光を照り返しながら。
「エコー6って、非能力者の部隊なんだって? とんでもないね」
 デルタ編隊の一翼を担う赤崎羽矢子(gb2140)が、苦笑混じりに言う。
「普通のオッサン達だがな」
 エコーと面識のあるヴィンセント・ライザス(gb2625)が生真面目に返す。そりゃまた、と応じた羽矢子の口元は緩い。
「こちらも負けてはいない。制空権も取れていない上での爆撃任務とは、無茶もいいところだ」
「やる気満々に見えますけどね」
 榊兵衛(ga0388)の憂いの言葉に、ソード(ga6675)がどこか嬉しそうに言う。
「無論。任されたからには全うしてみせる」
「ソードさんとハインさんの開幕の一撃に期待させてもらおう」
「お任せ下さい」
「私はソード様の尻馬に乗るようなものですから」
 赤村 咲(ga1042)に言われ、ソードとハイン・ヴィーグリーズ(gb3522)がそれぞれの反応を見せる。
「尻馬なんて。勝手ながら私も期待させていただきますよ。一発目でどーんといってしまえば、後が楽になります」
「ところで――」
 三島玲奈(ga3848)が言い終わるのを待って、アズメリア・カンス(ga8233) が声をあげた。
「玲奈はBB二発なのね。てっきり四発積むのかと思ってたけど」
「ええ、重量的にこれで限界だったみたいですね」
「‥‥榊氏が四発、三島氏が二発、ハイン氏が二発、俺が二発であるな」
「合計十発か。ハンクの話では最低八発は必要になるとのことだったが」
 外せる数は二つ。無論外す気は誰にも無いが、現場の状況如何では爆撃機が撃ち落とされることも有り得る。敵の苛烈な火線に曝され、外してしまうこともあるかもしれない。際どい数だった。
「なんとか守るよ、あたしらで」
 羽矢子の神妙な声に、『間もなく敵警戒空域』の通信が重なった。


●通信
『こちらE6のワーグマン大尉だ』
 警戒エリアに入り、ヘルメットワームの襲撃に備えていると、通信機が野太いしゃがれ声を拾った。
「よろしく。早速だけど、設置状況は?」
 アズメリアが尋ねる。施設までおよそ五十キロメートルを切ったが、HUDに敵性反応はない。
『二つ目を設置したところだ。そちらが二十キロを切ったら信号を発信する。それで、そっちのHUDに表示され――』
「大尉?」
 咲が眉を顰める。
『キメラに嗅ぎ付けられた。三つ目は十分後を目処に設置予定だ。五分後に連絡が無ければ、俺達は全滅したと思っていい。施設に片っ端からプレゼントを落としていってくれ』
 銃声をBGMにしたワーグマンとの通信が切れる。
「五分後ですか」
 玲奈が呟く。
「残り三十キロ。敵影は無し。さてどうなるか」


●交戦
 キメラ、およびHWが総攻撃を仕掛けてきたのは、施設を目視可能な距離まで接近してからだった。高度を二万五千フィートまで落とした八機を、まずHWが出迎えた。厚い雲に阻まれて姿はまだ確認できていないが、急速上昇してくるHWは、KVの下っ腹に狙いを付けているに違いない。
「何か来る! 全機、ブレイク」
 玲奈が言い、八機は蜘蛛の子を散らすように思い思いの方向へ機首を向ける。幾筋もの光線が兵衛の忠勝を掠め飛んだ。
「当たりはしないが、面倒だな‥‥」
「拡散タイプのプロトン砲?」
 羽矢子が溜息混じりにこぼす。誘爆の危険と隣り合わせな機が多い今回の編成では、実に素晴らしい選択だろう。つまり、能力者側としては最悪だ。ただし、一点型よりも射程はやや短い。羽矢子機の脇を、二機のKVが抜けていく。ソード、ハインの機体だった。
「ソード、いきます。掩護お願いします」
 ソードの声を聞きながら、ハインは眼下の厚い雲を睨み付ける。火器管制装置がカプロイアミサイル用のシーカーを五つ走らせる。一つ、二つと雲の向こうのHWを捉えていく時間が、まるで無限のように感じられるが、しかし冷静に、トリガースイッチに指を掛けたまま、ハインはじっと待つ。
「ロックオン完了」
 果たしてソードの声がインカム越しに響き、指が逸るのを抑えつつ――。
「‥‥レギオンバスター発射します!!」
 まるで大空全てを覆い尽くすかのような弾幕が、一斉に解き放たれた。
 各機は上空からその光景を見下ろす。雲の向こうで、生身ならきっと耳を覆いたくなるような爆発音が次々に響いていた。
「壮観である。が、見とれている暇はない。ハイン氏、我々の爆弾を先に落としてしまおう」
「ええ、了解です」
「掩護につくわ」
「こっちも行けますよ」
 ハインとアズメリア、ソードが応じたのを確認して、ヴィンセントは機首を六十度下げ、急降下。ミサイルと共にあっという間に雲を抜ける。
「敵確認。ヘルメットワーム機影無し。全機落としたようだな。キメラ‥‥の姿はないようだが‥‥」
「榊、三島機を護衛しながらこっちも降りる」
「キメラに気をつけろ。どこかに潜んでいるのかもしれない」
 羽矢子と兵衛に応じて、四機は更に高度を下げていく。ヴィンセント機が煙幕を張った。一帯を覆い尽くす煙によって、四機は完全に姿を消した。
「目標を目視。私は北の目標を」
 高度一万五千を切り、煙幕の降下範囲から抜けたところで、ハインが言う。
「了解。俺は西の目標をやる」
 これまでHUDに表示されるだけだった爆撃ポイントを視認。目標は、ぱっと見ただけでは、ただの山にしか見えない。小さな小さな山だ。その中腹と、山頂辺りに一つずつ、敵性反応を示すTDボックスがある。
 ヴィンセント、ハインはHUDをCCIPモードへ移行。降下中のため、ほぼレティクルと重なるようにして現れた投下ピパーを、それぞれが担当するTDボックスと重ねる。
 刻一刻と近付いてくる地表との睨めっこをしながら、アズメリアは不意に時計に目をやった。先ほどの交信終了から刻み始めたタイマーは、四分五十七秒と表示している。あと三秒。通信が無ければ、全弾を施設全域に叩き込む。
『こちらエコー6。少し早く三つ目の設置を完了したが、状況はよくない。通信は聞いてるが応答の余裕は無いと思ってくれ。オーバー』
「息が切れていたが、追われているのか」
「ともかく、一安心というところです」
 咲とソードが安堵の溜息。
「爆撃続行。このまま落とす。十秒前」
 ふう、と聞こえるくらいに息を吐いたヴィンセントがカウントを始める。ハインはそれに同調し、ソード、アズメリアは施設一帯を覆う森林に鋭い視線を落としている。と、その目が見開かれた。同時に、けたたましいビープがコクピットに鳴り響く。
「ミサイルキメラ!? 数え切れないわ」
「爆撃中止です。二人はすぐに機首上げを!」
 ソード機はエニセイを殺到するミサイルに次々と叩き込み、アズメリア機もファランクス・アテナイで、殺到するミサイルキメラを撃ち落とす。しかし、数が多い。アズメリアは直ぐさまソードウィングを起動し、雷電の巨体を軽々と翻しながら、次々にミサイルを切り裂いていく。
 だがそれでも間に合わなかった。ミサイルキメラのランチャーと化している鳥キメラは、一射目を地上から撃つと、直ぐさま飛び上がって三機を囲んだ。
 KVに搭乗しているときに見かけても、大した脅威ではないはずのキメラ。だが、視界一杯に取り囲まれては別だった。
「っ、ヴィンセント様!?」
「すまん、派手に貰った」
 一射目の狙いは、ヴィンセントだった。ハリボテのBB二発が効いたのか、それともたまたまなのか。放たれたミサイルのほとんどは、ヴィンセントを狙い、アズメリアの攻撃をかいくぐった数発が、ヴィンセント機に着弾し派手に爆発したのだった。
「出力が上がらんか。仕方ない、投下するぞ」
 エンジンから黒煙を噴き上げ、出力不足のため機首を上げることも出来ないロングボウで、どうにかピパーにTDボックスを収めようとする。しかし、続くミサイルの第二射が、矢張りヴィンセントを狙って放たれた。
 ソードウィングとスラスターライフルを巧みに操るアズメリアは、機体を盾にヴィンセント機を守るべくブースト点火しようとした。
「今行きます」
 が、それよりも早く、ソード機が空気の壁を貫いて飛んだ。速度の上がらないヴィンセント機に一息で接近すると、エニセイで手の届く範囲の敵を落としながら、最もミサイルの厚い部分へ自機を滑り込ませる。
「ああ、痛そうですねこ――」
 シュテルンが盛大に爆発し、脱出装置によってソードが中空に投げ出されたと同時に、ヴィンセントが舌を打った。見れば、BBのうち一発は投下されたが、もう一発はパイロンにぶらさがったままだった。
「く、さっきの衝撃でか!? すまな――」
 ロングボウは右翼から分断されるように割れ、コクピット部がはじけ飛んで地面に落下していく。
 続く標的はハイン機だった。離脱しようとしていたハインだったが、避けきれずに被弾したミサイルによって、制御系に異常を来していた。少し、ミサイルキメラのことを侮っていたらしい。所詮はキメラだと。だが、キメラとはいえ命を賭けて襲ってくる敵の攻撃が、痛くないはずがなかった。
「爆撃続行。予定ポイントへ。三、二、一――」
 殺到してくるミサイルを意識から外して、ハインは静かにトリガースイッチを押した。
「投下」


●消沈
 ハインが撃墜寸前に放った二発は見事に命中し、山肌を突き破り、構造体内部で派手な爆発を引き起こした。
「第二ポイントは沈黙。残るは第一ポイントに一発。第三ポイントに二発。まだ見えない第四ポイントに二発」
 咲が、再び森に降りていった鳥キメラを忌々しげに睨み付けながら言う。
「必要数五、残弾は榊さんが四、三島さんが二。ま、いけるかな。近づければ」
 言って、羽矢子も眼下を睨む。
「鳥キメラというからてっきり空を飛んでいるものと」
「対空砲もあり得るとは思っていたが」
 玲奈、兵衛が唸る。
「私達でミサイルを撃ち落としまくるしかないわけね」
 アズメリアとソードの必死の攻撃でも、キメラは数を減らさない。さすがは生産施設の護衛といったところだろうか、最早対処可能な数ではない。護衛機を三機も失った今、できることは鳥キメラを撃滅することではなく、ミサイルを片っ端から撃ち落とすことのみ。護衛が五機いれば、ミサイルもさほど脅威ではなかったかもしれない。しかし今は三機しかいないのだ。兵衛と玲奈を、意地でも守り通す必要がある。
「エコー6、聞こえる?」
 羽矢子が通信を試みる。戦闘中なのか、数秒ほどの間。
『こちらエコー。でかい音がいくつもしたけど、落ちたのか?』
 応じたのは、ワーグマンではなかった。もう少し若い、張り詰めた声。
「今は気にしないで。設置状況はどう?」
『四つ目を設置して全力疾走中。あと二十秒で施設から脱出できる。あとは任せるぜ』
「了解。二十秒ね」
「バトンは確かに受け取った、後は任せろ!」
 言いながら、羽矢子は新たにHUDに現れた目標を確認する。これで、全て整った。


●覚悟
 二十秒後、エコーとの通信は途絶えていた。轟音がして、それっきり。だが、エコーは二十秒後と言った。だから、五機は護衛機三機で爆撃機を取り囲むように、巨大な三角形の編隊を組み、急降下爆撃を仕掛けた。
 体中の血が頭に上るような浮遊感のあとは、どこに行ったって体験できないダイブ。
 飛び込んでくる五機を見て、鳥キメラが羽ばたいた。鳥なんて生やさしいものじゃない。太古に大空を飛んでいたような巨鳥は、翼にミサイルをぶら下げ、雄叫びをあげながら高度を上げてくる。
「第一射、くる」
 三角形の頂点、最前面のアズメリアが、緊張した声で言う。命からがら脱出した死地へ、また飛び込んでいくのは、流石に冷や汗ものだった。
 視界一杯に広がるミサイルは、言わばバグア製カプロイアミサイルだ。ソードとハインが千発以上もぶっ放したものだから、報復のつもりなのかもしれなかった。
 スラスターライフル、レーザーライフル、レーザー砲。護衛三機はそれぞれの得物で次々にミサイルを迎撃していく。爆撃機二機は、HUDを爆撃モードに変えているために、それを黙って見つめているしかない。
「三島からだ。頼むぞ」
「ターゲット確認。いきま――っく」
 トリガーに指を掛けた玲奈の機体が、派手に振動する。近接信管式のキメラでもいるのか、機体直近で一発が爆発したためだ。
「俺が代わる。三島は次だ。ヴィンセントが一発落としてる第一ポイントを頼む」
「了解」
 回避行動のために大きくコースから外れた玲奈機に代わり、兵衛が狙いを定める。時間が足りないが、再進入をミサイルキメラ達が許してくれるとは思えなかった。TDボックスとピパーを重ね、息つく間もなく二発を投下。
「爆弾に向かって四匹!」
「この」
 咲とアズメリアが機体を捻り、爆弾を狙うキメラ目掛けてトリガーを引く。爆散するミサイルキメラだが、四匹目が弾幕を抜け、爆弾諸共吹き飛んだ。
「一発やられたか」
 兵衛は直ぐさま機体を翻し、既に次の目標に向かっている玲奈機の背後についた。
「投下」
 光線と飛翔体がところ狭しと飛び交う中、玲奈が第一ポイントに一発のBBを投下する。再びミサイルがBBを狙おうとするが、素早く反転し、レーザーライフルを放った羽矢子により、無事着弾。第一ポイントの反応が消える。
「あと三発。ギリギリだな。もう外せないってことか」
 咲が苦々しい表情で言う。
 残るは第三、第四ポイント。第三には兵衛が一撃を入れているが、舞い戻るのは不可能に近い。見れば、護衛機は皆爆風で酷いダメージを負っている。スキルを併用し、自らを壁としている羽矢子に、それは顕著だった。
「‥‥先ほどの爆発で一発だめにしたようです。護衛に回ります」
 おまけに、玲奈が睨む計器には、爆弾の残弾無しと出ていた。
「まったく、本当に酷い依頼だ」
 さしもの兵衛も、苦笑するしかない。
「まあ、あれですよ。これで狙うは四番のみ。単純になりました」
「そうね。前向きに、前向きに」
 羽矢子の強がりっぽい言葉に頷いて、アズメリアがソードウィングに兵装変更。咲は苦笑しながら、ミサイルを撃ち落としている。
「五秒前。四、三」
 兵衛のカウントが、やけに長く聞こえる。わざと遅くしているんじゃないかと思うほど、ゆったりとしたカウントダウン。その最中に、咲はまるで最後っ屁とでも言わんばかりのミサイルの群れを目撃した。レーザー砲を連射して、何発かを撃ち落とす。僚機の攻撃が、更に撃ち落とす。それでも、一発が抜けてきた。
「一」
 咲は自機をミサイルと忠勝の間に滑り込ませた。
「投下」
 直撃弾の衝撃に舌を噛みそうになりながら、爆弾の行く末を見つめる。
「着弾確認」
 残弾ゼロ。第三ポイントは残っているが、できることはこれで全てだった。
 轟音と共に山が崩壊するのを見て、とりあえずの成功を確信した五機は、ブースト全開で空域から離脱した。