タイトル:洗い!クマーマスター:虎弥太

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/05/20 22:51

●オープニング本文


某月某日 某所

(「ふふふ、遂にこの日が来たな・・・・」)
(「あぁ・・・・俺達の恐ろしさを人類に見せ付ける時だ・・・・」)
(「オイラ達にかかれば、街一つ恐怖のどん底に突き落とすぐらい朝飯前だもんよ!」)
(「ちょっと、あんまり暑苦しくしないでよっ」)
(「この俺の邪魔だけは・・・・するな」)
 街を見下ろす崖の上から威風を漂わせる五人(?)の影・・・・
 彼等が来てしまった・・・・
 もはや人類は絶望するしかない・・・・
 何故なら、彼等が来てしまったから・・・・!!!
(「行くぞ、俺様に続け!」)
 もふぅん、否、バサァ! とマントを翻し、五人(?)は崖を飛び降り風となっていった・・・・
 もふんもふんもふんもふんもっふん・・・・

●ULT本部
「ふむ、被害は結構甚大だな・・・・民家やお店、ところかまわず襲撃か」
 住民のSOSに応え集まった能力者達は報告書を読んでいた。
「え、えぇ・・・・」
 頬を赤らめ吃るオペレーター。
「で、人命の被害は?」
「ありません・・・・あぁ・・・・」
 悩ましい吐息を漏らすオペレーター、どうした。
「人命に被害は皆無・・・・? じゃぁ敵の攻撃手段は?」
「水です」
「水、か。高圧、いや、エネルギーを溜め込んでの威力の高い一発もありか・・・・」
「・・・・あと洗剤」
 洗剤?! 一同ははぁ? とオペレーターを見る。何かおかしい。表情がまるで何かを愛でるかのような・・・・。
「・・・・最後に聞くが、俺達が討伐するキメラはどんな奴なんだ・・・・?」
 きょとりと目をパチクリさせるオペレーターの口から出た言葉は・・・・!

「・・・・アライグマ」

●参加者一覧

熊谷真帆(ga3826
16歳・♀・FT
旭(ga6764
26歳・♂・AA
Innocence(ga8305
20歳・♀・ER
火絵 楓(gb0095
20歳・♀・DF
ヨグ=ニグラス(gb1949
15歳・♂・HD
ミルファリア・クラウソナス(gb4229
21歳・♀・PN
ティム・ウェンライト(gb4274
18歳・♂・GD
キヨシ(gb5991
26歳・♂・JG

●リプレイ本文

●クマクマ洗隊アラウンジャー
 彼らが来てしまった。
 キメラの最終兵器とも言える彼らが来てしまった。
 絶望に泣け叫べ人類よ! もはやお前たちに希望はない!
 その両手はもふ‥‥逞しく!
 その尻尾はもふ‥‥全てをなぎ倒す!
 恐れ慄け!この最強キメラ集団に!!
 その水流で全てを洗い流し!!(?)
 その泡で全てを輝かすのだ!!(?)


 (((((「クマー!」)))))


●そこはヌルヌルタウン
「‥‥見事にヌルヌルのアワアワだな」
 街へ着くなり開口一番に旭(ga6764)は呟いた。真っ先に視界に写ったのはぬるぬるの洗剤にまみれた街の姿だった。洗剤を出せるとは聞いていたが、ここまでひどいとは‥‥着替え持ってきてよかったと誰もが心の中で思ったことは間違いないであろう。
「ほんなら、打ち合わせ通り、固まってキメラ捜索しますかねぇ」
 キヨシ(gb5991)を筆頭に、街中へ歩を進める一同、やべぇ、地面予想以上にヌルヌルだ。
「あら‥‥僕‥‥意外とスケートできる‥‥」
 スィーっとうまい具合にヌルヌルな道をスケートの要領で進むはミルファリア・クラウソナス(gb4229)。最初はたどたどしかったが意外や意外、一同は早い段階でヌルヌルトランスポーティング(?)を習得していた。
「‥‥でも、終わったらシャワーは確定、ですかね?」
 スケート移動は苦手と見てか、ティム・ウェンライト(gb4274)はあらかじめコンパクトな板を調達していた。それに器用に乗り、キックボードの要領で前へ前へと進む、恋人のミルファリアがさりげなく方向転換等のフォローをしながら。図らずとも恋人と一緒の仕事を受けたティムは内心やる気で燃えていた。頑張れ、青春‥‥!
 今回はアライグマ型キメラの討伐、だったのだが。攻撃は迷惑だが、まったくの無害(殺傷能力ゼロ)なのと、ものすごくもっふもふ、否、かわいいというのもあり、旭が事前に各地の研究所(主に女性)に電話をかけまくり、引き取り手を探し、結果、未来科学研究所が快く引き取り手を快諾してくれた。一応研究するためということだが、旭の売り込みは
『洗い物に便利な可愛い、そして基本的に無害なキメラを保護、もとい研究してみませんか?』
 なので、存分に可愛がられ、研究されることだろう。代償は小型キメラ輸送用ケージ五個。
 しかし、仮にも街一つに多大なる被害を(主に電化製品に)もたらしたのも事実。一応こらしめてあげないと、討伐を引き受けた傭兵としては立つ瀬がない。だが、目的は討伐、ようするに街の被害を解消すること。保護できるなら、それも一つの解決方法である。
「アライグマさん…此処かしら‥?」
 要領良く滑走していくミルファリアを先頭にキメラ探索は続いていく。そこに‥‥。
「‥‥きゃぁぁぁぁ〜〜〜♪ 可愛いの、可愛いですの〜〜〜♪」
 Innocence(ga8305)はいきなり駆けだした!その目線の先には僅かに見えるピンク色のマント、『洗』の一文字がとってもチャーミング。
「あ、こら、イノセンス!」
 キヨシの制止は間に合うことはなく、あっという間にイノセンスは何処かへと消えてしまった。
「あら‥‥単独行動可能ですか、ではあたしもクマー」
 !?
 熊谷真帆(ga3826)の異様な語尾追加にびっくりな一同、無言で真帆を見送る。
「では、僕は広場へ行ってきますね」
 どこから持ってきたのか、旭は大荷物を背負っている。金ダライと洗濯板、それからスポンジとたわし、ロープ。生活必需品と言えなくもない道具類を背中にリュック一杯に詰めてある、ここは戦後か。
「えと、僕も行くですよ」
 ヨグ=ニグラス(gb1949)もピコピコと旭の後に続く。
 取り残されたキヨシ、ミルファリア、ティム、そして火絵 楓(gb0095)。
(「大丈夫なんか、このメンツ‥‥」)
 キヨシはヌルヌルロードにこけそうになりながら、心の中で小さく突っ込みを入れた。

●純粋のクマー いえろー
 注意
 能力者一同はキメラの言葉を理解してはいません

 広場に到着した旭は早速洗濯道具一式を広げた。幸い公園みたいになっている広場だったので、噴水がある。水の確保には事欠かなさそうだ。いい感じの高さの木にロープを張り、早速防具を外す旭。いつも手入れは欠かしていないが、ここいらで大々的な装備の洗濯、掃除を行おうという試みだったのだ。装備だって、綺麗になりたいんです。
「‥‥ほんとに来たですよ」
 ヨグは木の枝の上から周囲を見張っていた。見張ること数分、それは現れた。黄色いマントとひと際ぷくっと膨らんだほっぺにつぶらな瞳。イッツ、いえろー。
(「あいつらは敵や、敵なんや‥‥」)
 木の蔭から顔ひょっこり覗かせながら、いえろーは呟く。
 あぁ、でも目の前で行われている至福の行為に感情を抑えられそうにない‥‥!
 わいにも、洗わせてくれ‥‥!
 そうこう葛藤している内にいつのまにかいえろーは旭の前。
「一緒に洗濯、します?」
 かくり、とやさしく尋ねる旭。
(「え、ええのんか? 洗ってええのんか!?」)
 実際の会話:「く、くまー?!」
 こくりと頷く旭、嬉々として喜ぶいえろー、速効水と泡出した!
 右手で洗剤、左手から水を勢いよく出しながらゴシゴシゴシゴシ!
 ついでにとそれを手にとり旭とヨグはいえろーをゴシもふゴシもふ!
(「ぉぉ!? ぉぉお!?」)
 洗うことはあっても洗われたことは一度もない。初の経験に瞳を輝かせるいえろー! されたい放題だ!!
(「洗濯、万歳やー!! がふんっ?!」)
 両腕を上げ、万歳をしたいえろーは、そのまま前のめりに倒れた。
「一応おしおきなのですよ♪」
 後ろからきっつい一撃を脳天に振り下ろしたヨグは手加減しながら気絶したいえろーにさりげなく追い打ちフルボッコ☆ プリン色のマントを没収するのも忘れない。恐るべし、黄色の信望者。
 洗濯物と一緒にロープに吊るされたいえろー、確保成功である。

●燃える闘志 孤軍奮闘! ぐりーん
 注意
 この能力者はキメラの言葉を理解してはいません、決して

(「ふん‥‥貴様が相手か」)
 実際の会話:「くまっ」
 民家の屋根のアンテナに佇む一匹のアライグマキメラ。どうやら周囲に他のキメラはいないようだ。人間にもいるのと同様に、どうやら彼も単独行動を好むタイプのようだ。マントは緑、イッツぐりーん。
 そして彼を見上げる様に民家の前で仁王立ちするは真帆だった。
「お相手、してくれますクマー?」
(「ふん、いいだろう‥‥」)
 互いをライバルと認めた二人に種族等関係ない‥‥! 出会ってまだ数分だけども。
(「では俺からいくぞ‥‥!」)
 ぐりーんの先制!両手を振りかざし容赦無い水流攻撃!! みるみるうちに辺りは水浸しどころか波が巻き起こる! でもさして痛くない! 気持いいだけ!! だが、水流の勢いだけは強く、中々前へ進めない真帆。真帆はここぞとばかり用意していた秘密兵器を取り出す! アキレウス、長さ1.8m程の両刃の直刀である。通常と違うのはその柄にしっかりと巻かれたロープ。よく見ると真帆の体にも巻きつけられている。
「‥‥いきますクマー!」
 真帆は勢いよくアキレウスをぐりーん目掛けて投擲した! やめて、痛い、可哀想! しかし素早く反応したグリーンに真帆の一撃は弾き返された! やった! 偉いぞぐりーん!
「甘いクマー!!」
 だがそれは真帆の狙い通り。弾き返されたアキレウスは遠く離れた所に深々と突き刺さる。丁度ぐりーんの左の位置だ。真帆は突き刺さった瞬間を狙い、ロープを一気にたぐりよせ自らを水流の中突き進ませる、剣めがけて。その突発的な移動に目を丸くするアライグマキメラ。
(「な、なんだと?!」)
 手繰り寄せてはまた投げ、手繰り寄せの繰り返しでぐりーんの周りをぐるぐる移動する真帆、いつのまにか制服を脱ぎ棄て水着姿の真帆はもはや水流を自分のモノにしていた。
「もらいましたクマー!」
 ぐりーんの戸惑いの一瞬の隙を付いて渾身の一撃をアキレウスで振り下ろす!もちろん腹の部分で。身を捻り避けようとするが、間に合わない!
 どむぅっ!
(「‥‥見事」)
 不敵な笑みを浮かべぱたりと倒れるぐりーん。ここぞとばかりに拾い上げもふもふもふもふと堪能する真帆、これは勝者の特権ぞ!
「ふるもっふ♪ クマー♪」
 勝者、真帆!!

●俺とお前のツープラトン れっどー ぶるぅ
 注意
 能力者達はキメラの言葉を理解しているわけではありません、ほんとに

 繁華街に辿り着いた能力者一同は今、二匹のアライグマキメラと対峙していた。灼熱の赤色のマント、静寂の青色のマント、イッツれっどーアンドぶるぅ。
 そして敵を発見するやいなや楓がれっどー目掛けて走り出した!!
「あたしの方があんた達より愛くるしいんだ〜!!」
 でも楓さん、地面のヌルヌル具合忘れていませんか?
 期待通り、そのまま滑ってその場からどんどん離れて行く楓。
「アレ? ちょ! ウソ! い〜〜〜や〜〜〜!!」
 きらーん。
「‥‥オーケー、赤いのは引き受けたるさかい」
 ナイス、スルー、キヨシ。
「じゃぁ私達は青いのを、ね。いくわよ、ミル」
 覚醒で一気に女性らしくなったティム、もはや女だろう、ティムさん。
「えぇ、行きますわよ」
 板に乗り、スタートダッシュで先行するティム。
(「これでどうですか!!」)
(「俺様に立ち向かうか!!」)
 なんのと言わんばかりに水流と泡を交互に出して協力なバブルストリームを放つれっどーとぶるぅのツープラトン攻撃! だが、それでも、ティムは、止まらない!!!
「あなた達の相手はわたしよっ」
 ティムは盾でバブルストリームを防ぎ、果敢に挑発する。そしてすれ違いざまに一撃をぶるぅに加えて更に一もふ! 二もふ!
「あら‥‥うふふふふふ‥‥少しやんちゃですわね‥‥大人しくしてなさい‥‥」
 ミルファリアはその隙に超接近! あんたはスピードスケーターか?!
 彼女の戦闘理由は只、一つ!
 もふもふするため!!
 もふもふするためなら容赦はしない、これ鉄則。
 ミルファリアはこれでもかと愛用のパラソルでぶるぅの顎や額をピンポイント攻撃。反撃する間も無く、どさぁっと地面にキスをするぶるぅ。
「あぁ‥もふもふ‥もふもふや‥」
 早速キメラを拾い上げもふもふを堪能するミルファリア。存分に堪能した彼女はおもむろにぶるぅを近くのポストの上に固定。
「四番バッター‥ミルファリア‥」
 9回裏、満塁、アウト2、この絶対絶命の場面で見せるか!?ミルファリア!!
 カキーン‥‥
 ホーーーーーーームラーーーーン!!
 地に沈むぶるぅ、無残な姿だが確保完了。

 そして同時刻、こちらはキヨシとれっどー。
 慣れない滑る足場に四苦八苦のキヨシ。だがティムと事前打ち合わせのおかげで彼はティムさんの盾の後ろで安全圏! ぶるぅに一撃が入った! 今だ! ぶるぅの後退にたじろぐれっどーの隙を突き、ティムの後ろから強烈ヘッドスライディング! べっちょべっちょだが気にしない!
「モフモフ、覚悟〜〜〜〜〜!!」
(「な、何をする!? 俺様に何をする?!」)
 そのままれっどー目掛けて突進、そしてがしっ! っと首根っこを掴み持ち上げる!
「獲ったど〜〜〜〜!!!!」
(「えぇぃ! 離さぬか!!」)
 れっどーはじたばたしつつキヨシに悪あがきの洗剤攻撃! だがそれはまずかった。
「ブハッ! なにすんねん(怒)」
 ガスッ。
 ゲンコツの会心、否、改心の一撃がれっどーの脳天に決まる。しかし諦めないれっどー、その手を逃れ体勢を立て直す、さすが赤色(?)なだけはある。そこへ響く一陣の高笑い。
「はははっははっはっはははっははははっははっはははっはh‥‥はあはあ‥‥」
 なんか高いところで変なのが息切れしてる!
「失礼‥‥我が名はレッドファントム!! 悪しき者よこの我輩が成敗してくれよう!!」
 そしてそのままれっどーの目の前に飛び降りる! 誰この変人!?
 れっどーも口開けぽかーんである。
 しばらく無言で見つめ合う両者。
 そしていきなりれっどーにシエルクラインの柄でガスっと一撃を喰らわせた!
 もんどり倒れるれっどー。
「ふむ‥‥もう終わりか‥‥やはり楓ちゃんの方が愛くるしかったな!! それでは諸君! さらばだ!!」
 変態は楓だった!
 華麗に走り去り、一同から姿を消す楓、否、怪人レッドファントム。あ、こけた。
(「なんだったんだろう、今の‥‥」)
 誰もがそう思いながら、二匹のキメラをケージへ入れる能力者達。更に二匹、確保である。

●少女のはぁと☆ ぴんくー
 注意
 彼女に限っては、キメラの言葉を理解しているのかもしれません、まじで

 場面移りまして、こちらは街の銭湯。
 追いかけたぴんくーに追いつき、ここまでやってきたイノセンス。おっとりかけっこぺったんこお座り♪
「こんにちはですわ?」
 可愛らしく目線を合わせてご挨拶だ。
(「‥‥な、なによ、あたしはキメラよ?怖いのよ??」)
 ぴんくーは泡と水をイノセンスに放出し、どうだ、と胸を張った。しかし彼女はずっとにっこりだ! ぴんくーを嬉しそうに抱きしめて頬ずり攻撃! 地面に降ろして握手握手♪ なんだかまんざらでもない様子のぴんくー。
(「べ、別に嬉しくなんかないんだからねっ」)
 尻尾のふわふわもふもふを褒められ、毛繕いにお腹をなでなでされ、言葉とは裏腹にご機嫌だ。
 イノセンスは洋服を脱いで本格的にお風呂で洗いっこをしだした!きゃ。
 この僅かの時間で、イノセンスとぴんくーはすっかり仲良し。というかもうお風呂入っちゃってるし、やりたい放題。

 そこに他の4匹を確保した一同が銭湯に辿り着いた!
 そして目に映るはお風呂に入る一人と一匹。
 イノセンスはすかさず洋服でぴんくーを隠し、うるうる瞳。
「わ、悪い子なんて‥‥いませんの。 いい子しかいませんでしたの」
 見た目は大人でも中身は子供。連れ去られると勘違いしたんだろう。一同は優しく説明してあげて、無事ぴんくーも確保。ちなみに大事な所は泡のマジックで不可視、不思議不思議。

●動物は大切に
 5匹は無事確保。
 未来研へとキメラ達はは輸送された。
 イノセンスは面会許可も得てご機嫌、真帆も楓も何故か満足気で合流していた。
 ミルとティムは洗濯がてらにそのまま銭湯で汗を流すことに。そこで覗き覗かれのサムシングがあったりなかったり。まぁ恋人だからいいよね☆
「こんな討伐もあんねんな〜‥‥」
 そう呟くキヨシはLHに舞い込んでくる依頼の幅の広さに感心しつつ帰路へとついたのだった。
 ズルっとこけながら。
「どわっ!!! イタタタ、最後まで滑ってばっかりやん‥‥」