タイトル:釘バット娘、バイト。マスター:香月ショウコ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2007/11/27 23:46

●オープニング本文


「どーも」
「どーもじゃないでしょ、どーもじゃ! いらっしゃいませ、こんにちは! でしょ!」
 努力する。そう不遜に呟く栗色の髪の少女、クララ・アディントンは、そうして今日何回目とも知れない溜め息を店長に吐かせる。
 ラスト・ホープには、日常生活に必要と思われる様々な施設が存在している。コンビニもまた例外ではなく、これらの店舗では必要があれば普通のコンビニと同じようにアルバイトの募集を行いもしている。
 コンビニエンスストア『サンシャイン』がアルバイトの募集を始めたところ、求人の掲載から3分でクララが申し込みにやって来た。店長はこれを彼女のやる気と見なし、また幼いながらも整った顔立ちに看板娘としての活躍も期待して、ろくすっぽ面接もせずにクララを採用した。そして、結局掲載から7分で求人は終わりを告げ。

 まずは簡単に仕事の内容の説明と、注意点だけ。店内の清掃に、商品の陳列、物品の出し入れの際の留意点とか。そして、挨拶の仕方など。店長は実際の仕事をやらせながら、クララにそれらの業務を覚えてもらえればと思っていた。だが、その目論見は甘く。アルバイト採用から一週間経って、まだ冒頭のような状態。
 普通なら、お前辞めろとか言われても仕方ない。しかし、店長にはクララにそう言えない事情があった。それはある種の恐怖。彼女は能力者なのだ。
 別に、ただ能力者だというだけなら何の問題も無い。もしかしたらその強大な力で棚卸しが楽になるかもしれない。でも、クララの場合はほんの少しだけ事情が違っている。
 まず性格。無愛想で大雑把。何を考えているのか分からない。お前辞めろとか言ったら髪が金色になって逆立ち、手からビームを放って辺り一体を破壊しつくしても不思議じゃない雰囲気。
 次に所持品。今時の女の子が持っていそうな(店長おっさんにつき先入観による誤解多々アリ)バッグや化粧品など一つも持たず、大きめのリュックサックとそこから覗くサバイバルツール、そして巨大な釘バット。何と言うか、やはり一般人から見れば怪しい人物に違いはない。
 とにかく常人には寄り付きがたいオーラを纏うクララを、店長はどうすることも出来ず持て余していた。サンシャインでは大抵3時間〜6時間くらいのシフトでバイトが入れ替わるから、クララが帰ってくれれば気も休まるのだが。
「少しでも稼ぎたいんだ。時間はたくさんあるから」
 そう言ったクララが店にいる時間は、平日:6時〜12時/15時〜18時、土日祝:6時〜12時。法的に問題がありそうな長時間就労だが、バレなきゃ良いやと考えるちょい悪の店長、採用当時にそれを受け入れてしまった。今ではエヴリ・デイタイムをクララの指導とご機嫌取りに費やしている。

 ・ ・ ・

「で、来た依頼っていうのが‥‥アルバイト、クララ・アディントンを立派な店員へ育成すること。方法は基本的にお任せ」
 えー、という微妙そうな反応が返ってくるのを、ULT依頼斡旋担当の職員Aは右から左へ受け流す。
「報酬も何だか特殊な形だな。実働1時間につき810。1人1日6時間までで、期間は5日。報酬の上限は2万」
 えー、という嫌そうな反応が返ってくるのを、職員Aは左から右へ受け流す。
「ちゃんと、何日目の何時から何時までお仕事をするのか申告しろよ? バイト代がもらえなくなるかもしれんからな」

●参加者一覧

鋼 蒼志(ga0165
27歳・♂・GD
御坂 美緒(ga0466
17歳・♀・ER
クレア・フィルネロス(ga1769
20歳・♀・FT
国谷 真彼(ga2331
34歳・♂・ST
フォーカス・レミントン(ga2414
42歳・♂・SN
ゴールドラッシュ(ga3170
27歳・♀・AA
ジロー(ga3426
25歳・♂・AA
七瀬 蜜子(ga3911
16歳・♀・SN

●リプレイ本文

●土曜日。曇天の店員訓練
「おや、また会いましたね」
 土曜日。店長が新しいバイト仲間だと紹介した鋼 蒼志(ga0165)がクララにそう話しかけると、クララは露骨に嫌そうな顔をする。彼に対してだけではなく、クレア・フィルネロス(ga1769)、フォーカス・レミントン(ga2414)らに対しても。まあ以前、ちょっとした事件があったわけで。
「何でここのバイト?」
 クララの疑問はクレアも同様に持っていたものだったが、その意図は違う。クレアは何故コンビニのバイトを選んだのかと思い、クララは何で能力者が大量に来たのかと思い。
 クララから発せられるオーラに気付いたのか、店長がどこかに隠れたそうな素振りを見せる。単なる不機嫌な子どものそれなのにここまで怖がられるのは、やはり能力者について店長が誤解をしているからではないかと御坂 美緒(ga0466)は考えた。
「何でって、知らないのか? 学生時代の俺は、コンビニバイトの鬼と恐れられていたんだ」
「知らない」
「恐れられるバイトなんて使い物にならないじゃない」
 ものすごく嘘くさく言ってのける蒼志に、辛辣なゴールドラッシュ(ga3170)の指摘。クララの指導にやってきたのに、足手纏いが増えるのはいただけない。いや、冗談だろうとは思っているが。
 その後、店長は皆を連れて店内の案内を始める。それほど大きな店ではないが、どこに何があって、どういうところが死角になるかなどを把握するのは重要だ。コンビニでのバイトが初めての七瀬 蜜子(ga3911)、そもそもバイトが初めてのクレアなどは熱心に店内を見て回り。後に合流した国谷 真彼(ga2331)まで含めて大体の説明と店員用ユニフォームが配られた所で、本格的アルバイト開始。

 ・ ・ ・

 コンビニにはお昼の混雑時より随分前から、ひっきりなしにお客が入っていた。老若男女多様な客層を相手に、研修生達はそれぞれのスタンスで接客を行う。お母さん年代より上の方々は真彼の優しい笑顔がお迎えし、オッサンやお兄さん方は美緒や蜜子の笑顔を拝見するために特に用が無くても来店する。接客ばかりでは店は成り立たないので、荷物の運搬はひと通りフォーカスに任せ、店長はゴールドラッシュと共にひたすらレジ打ちを行う。この人員配置は、なるだけ研修生には会計ミスなどの大きな問題が起きない部署をと考えた店長が決めたものだ。ゴールドラッシュは、何やらとてもお金に細かいらしいとの話を聞いたので、きっちりやってくれるだろうと初っ端からレジ配置。
 11時になり蜜子がバイト時間を終えて帰宅すると、在庫整理をやっていたクレアが蜜子ポジションに入り、荷物運搬のフォーカスが在庫整理に。そして蒼志とクララが店の前の掃き掃除に移行する。
「目的は、あの時計ですか?」
 蒼志が不意に尋ねたその言葉に、クララはポケットから例の懐中時計を出して見せる。どうやら時計はもう買い戻していたようで。
「じゃあ目的は‥‥KV?」
「端金にだってなるもんか」
 そりゃそうか、と蒼志は思う。KVは高価な兵器だ。機体・燃料・修理・管理・弾薬・格納庫etc。蒼志たち傭兵はUPCにその辺の負担をして頂けているわけだが。
「手伝いましょうか?」
「時間だ。帰る」
 ぴょんと店内から顔を出した美緒が、何かを目指しバイト漬けの毎日のクララにそう申し出てみるが、クララはさっさと箒を片付けると店に戻ってしまう。美緒はその背中にレモンティーを淹れようか尋ねたが、返事は無く。
「能力者=KVが使えるわけではないですからね」
 蒼志が言うのは、例えば5歳児がエミタを埋め込んで能力者になったからといって、すぐKVに乗せてもらえるかということだ。KVを扱える傭兵達は皆何らかの実績やその他認証を経て、KVの使用許可を得ることで初めて扱えるようになるのだ。それは、命令無視やKV私的使用、造反などを防ぐためでもある。
 そして、性格に適性が見られず実績も無く、しかも蒼き竜討伐において命令を無視して帰還しなかったクララには、現在KVを扱う資格が与えられていない。
「お疲れ様です皆様。お昼ご飯の差し入れを持ってきました、よ」
 一人早く帰った蜜子が、弁当を持って戻って来る。12時でバイトを終える皆のために用意してきたものだ。
「ところで、さっきクララさんが一人で向こうの方に歩いて行きましたけれど‥‥何か用事でしょうか?」
 時刻はちょうどお昼。一番の稼ぎ時に一斉にバイトのシフトから解放された能力者達は、クララの後を追いかけてみようかとちょっと雑談をし。店の中では店長が死にそうになっていた。

 ・ ・ ・

 燃え尽きて白い灰になった店長に、ゴールドラッシュは1日クララを見ていて思ったことを話す。それは、依頼への参加前から思っていたのとほぼ変わらず。
「勤務時間が終わると途端に仕事を止めるけど、仕事中はちゃんとしてるわね。外見も良いし。性格がアレだから愛想の良い接客は難しいかもしれないけど、長所を伸ばせばなかなかしっかりやれそうよ」
 そんなもんかね、と半信半疑の店長にふっと不敵な笑みを向けておいて、ゴールドラッシュが宣告する。
「大丈夫よ。仕事として請けたからには、しっかりと教育するわ」

●日曜日。晴天下の走りこみ
 午前中のバイトは熾烈を極めた。クララの傍に張り付いてコンビニ業務の全てをひたすら反復させるゴールドラッシュが「貴様らも手本となれ!」的な視線を周囲にも向けて、他のバイトにもビシビシと指導をしていたのだった。挨拶に失礼があったり商品の陳列を間違えたりすればその都度訂正、訂正、訂正。バイト時間は真彼以外は6時間。お疲れ様です。
 そして午後。コンビニへの売り上げ貢献とゴールドラッシュに買わされた弁当を器用に歩き食いしながら、クララがやって来た広場。そこで荷物を背負ったままジョギングを始める。身体が温まるとペースを上げていき、最後には全力ダッシュを数本。全て終えると荷物を木陰に置き、釘バットを取り出す。ぎょっとする木上の鳥達。
 走り込みから武器の素振り。これが毎日のメニューのようだ。昨日も遠くから見学していて、今もひっそりと様子を眺めるクレアが、手伝いに行くかどうか隣の蒼志に尋ねる。が、以前の依頼のこともあって心証が悪ければ、単なる邪魔にしかならないのが悩みどころだ。
「俺は、ちょっと行って来る」
 ベンチからのそりと立ち上がり、フォーカスが手にペットボトル飲料を持って歩き出す。二人はそれを止めることはせず、様子を見る。
「やあ、クララさん。トレーニングの成果は出ているか?」
 近づいてきた時点でフォーカスに気付いていたクララは、素っ気無く「まあ」とだけ答える。これはまだ嫌われているかなと、少し会話の方向性を変える。
「前回は、気分を害してしまい、本当に申し訳なかった。だが、あんたのためであり、皆のためなんだ」
「知ってる」
 想定していなかった返答にフォーカスが驚くのも気にせず、クララは続ける。
「仕事は、単に『やりたい』『稼ぎたい』からやるだけじゃなく、それに向かう者達全員で、目に見えないものを追い求めることでもある。‥‥蜜子が言ってた」
「‥‥そうか」
 続ける言葉が無くなって、フォーカスは手に持っている飲料を差し出す。鍛錬後の水分補給にと話すが。
「要らない。お茶がある」
 言って、リュックから小さな水筒を出すクララ。よく見れば、土曜の昼に蜜子が持ってきていた水筒の一つだと分かる。
「じゃあ‥‥これは俺が貰おうかな。身体を動かすと喉が渇くだろうからな」
 クララのリュックから少し離れた所に、自分の荷物を置くフォーカス。それは自分も一緒に鍛錬をするという意思表示。
「好きにすれば」
 嫌がることも無く、しかし一人で素振りを始めるクララ。それを見て苦笑しながら、フォーカスは遠くへ手招きをする。すると、思ったとおりに意外そうな表情で、蒼志とクレアがやって来る。

●月曜日。やってきた伏兵
 その日、衝撃の事実が発覚した。敵は一人ではなかったのである。
「ここ売買を目的とした所であり、それ以外の目的の者は排除させていただく」
「待ちなさい! ちょっと、何やってるの!」
「ここは売買以外の行為には対応していない。営業を妨害する敵を排除するのも、アルバイトの役目だ」
 いつも通り10時からの勤務に合わせてやって来た真彼が見たのは、研修生の名札を下げた男。ゴールドラッシュやクレアと問答をしながら、隙あらば立ち読み客を撃破しようとする彼の名はジロー(ga3426)。突如コンビニに現れた伏兵は、実力行使を行うという点でクララよりずっとタチが悪かった。
「仕事はきっちりこなす。クララ・アディントンのいい指針になることを目指している。‥‥ありがとうございました」
「寧ろクララを指針にしてほしいような‥‥自分で追い出した客にありがとうございましたは皮肉にしか聞こえませんよ」
「店を出る人間には公平にそう言うのが俺の任務だ」
 ガックリと項垂れるクレア。
 クララ教育係が皆こちらに集まっているということは、クララは現在問題を起こしてはいないのだろうか。真彼がユニフォームを着て店内を見て回ると、クララは倉庫で反復垂直跳びの真っ最中。
「クララ君?」
「‥‥スナックの段ボール箱が取れない」
 手伝って〜とか出来ないの〜とか、そんな困ったような表情を浮かべることなくさらりと言うクララ。それを真彼は代わりに取ってやる。
「‥‥ありがとう」
「随分、自然に言えるようになったね。初めて会った時とは大違いだ」
 ありがとうの言葉は感謝の基本、そして人間関係の基本だ。クララは自分で正しいと思ったことは受け入れる娘だ、そう思っていた真彼が教えた感謝の言葉の大事さは、しっかりと伝わっていたようだ。店を出る客にかけるありがとうございましたの声は、かなり丸くなっている。
「外の掃除に出てくる。不審な者も発見次第に片付ける」
「ジローさん、箒は武器じゃないからっ!!」
 引き止める店長をよそに店の外に出るジロー。彼と比べれば、クララは教え方を工夫すればちゃんと出来る娘のようだ。

 ・ ・ ・

「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃいませ」
 午後。レジ打ちポジションにいる美緒とクララが来店客にかける声。クララのレジ打ちを店長は心配したが、レジを打つこと自体は難なく出来るようなので、お手伝いを後ろに置くことで認めてもらえるように美緒がお願いしたのだった。クララの後ろには蒼志が控えて、袋への商品の入れ方などを適宜指導する。
 ここ数日で、クララはかなりコンビニ店員が板についてきたように思える。何度か繰り返し教えたことはほぼ間違えないし、動きは素早い。ただ問題点は、表情に乏しいということ。無理に作り笑顔をせずに丁寧な言葉遣いと対応でカバー出来るはずと思うクレアが色々と教えてみるが、しかしクララの無表情を覆い隠せるほどにはならず。
「店長。クララの評判はどうなんだ?」
「一部のお客さんには好評だよ。あのツンツンした感じが良いって」
 聞いたフォーカスは頭を抱える。それじゃダメだ。ツンツンした店員が見たい人は東京を解放してから某喫茶店に行ってほしい。
「‥‥こうなったら、奥の手を使うしかないわね」
「奥の手?」
 首を傾げる美緒に、ゴールドラッシュは「そう、奥の手」と言葉を繰り返した。

●火曜日。寒いのに汗だく
 雨の降りそうな曇天。その日の鍛錬は随分とハードになっていた。
「肉体的なトレーニングでもただ散漫に行うのでは効果が薄いでしょう」
 ゴールドラッシュがコンビニ業務を指導する時に言った言葉を覚えていたらしく、走り込みから素振りを時間を決めて何度も繰り返し行う。おかげでクララと、彼女と一緒に走り回る者達は2時間後にはまたバイトがあるのに汗だくだった。
「しかし、何故ああまでしてお金が必要なのでしょうか? バイトだけでなく、トレーニングをして依頼にも対応出来るように鍛えている。やっぱり」
「KVの使用許可が下りるほどの能力者として認められるために、実績が欲しい。だからまずは力と武装だそうですよ」
 救急箱を横に置いてベンチに座っている真彼が、クレアに答える。あえてクララの鍛錬には関わらない方針を採っている者以外の皆が、ここに集まっていた。
 目の前では短い休憩を終えたクララがジローを相手に打ち合いを始める。ジローの後は蒼志と、2回ずつやるのだという。
「復讐を止めろとは言いませんが、復讐だけの人生は虚しいですよ。仲間と親睦を深めるのも大切だと思うのですが」
「そうですね」
 クレアの言葉に同意する真彼。しかし彼の心中には様々な思いが去来していて。どんな過去がありどんな思いを持っていても、現実を捻じ曲げて自分を貫くことはとても難しい。どこかで挫折したり、妥協したり。そうして人は生きていく。
 周囲に話さぬ過去を持つ真彼は、今はまっすぐ生きるクララを、優しい笑顔で見守っている。

●水曜日。接客マシーン出撃
 午前のバイトは、フォーカスが9時で離脱した。万引き犯対策に死角で隠密潜行していて、気付かずやって来たカートに腰を強打されたのが理由であるとかそうでないとか。
 今日のバイトは、試験的にクララにお目付け役をつけていない。皆が帰っても、ひとりで仕事が出来るかどうか。それを試すためだ。また、ゴールドラッシュの『奥の手』の効果も見るため。
「いらっしゃいませ」
 来客と同時に声をかけ、口角を1cm上げ、目を細め、浅くお辞儀。視線は襟元。ゴールドラッシュが2日かけてクララに仕込んだのは『笑顔で接客』ではなく、『接客時の表情』だ。細かくこう作れと指示して、どうにか笑顔に見せかける。ちなみにジローにも適用してみたが、お菓子を買いに来た子どもが店に入って来られなくなった。
 レジ打ちや陳列などの仕事をひと通り終え、勤務時間の終わったクララはユニフォームを脱ぐために奥の部屋へ行き、同じ目的でそこにいた蜜子と遭遇する。
「お疲れ様」
「‥‥はい。お疲れ様です」
 初めて、クララの方からそういった言葉を聞いた蜜子は、一瞬驚いて、すぐにニッコリ微笑んで労い返す。
 どうやらクララは、大丈夫そうだ。

 ・ ・ ・

「お疲れ様でした。明日からは店長さん一人で頑張ってくださいね♪」
 日が沈んだ、客の少ないコンビニの奥で。美緒は店長にお疲れ様の肩揉みをしてあげる。おそらくクララはもう大丈夫だが、しばらくは万が一に供えて店長は緊張し続けるだろう。
「ありがとう。明日からは皆いないんだな。何だか寂しいよ」
 そう言う店長、しかし内心で考えているのは周辺に貼りまくったチラシのこと。

『コンビニ・サンシャインに美男美女スタッフ大集結!』

 明日からはどうしよう。