タイトル:【南瓜】黒の狂団・愛マスター:コトノハ凛

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/07/26 23:31

●オープニング本文


●南瓜仮面緊急出動せよ!
 うららかな陽気。5月も中程を過ぎ、彼の街でも比較的過しやすい日が続いていた。
「〜♪」
 穏やかな光を仮面が照り返し、爽やかな風にマントをはためかせ、軽やかな足取りで日課の公園のごみ拾いをする――黄金の南瓜。
 何処をどう見ても異様な光景なのだが、異様も毎日続けば日常の風景として受け入れられるらしい。
「お早うパンプキン、今日も精が出るね」
「あぁ、お早うである。腰の加減は如何であるかな、魚屋の女将殿」
「お陰様ですっかりだよ。でも重い荷物がある時はまた助けておくれよ」
「うむ、任せるが良い」
 ジョギングをする中年の小母さんの腰を気遣う南瓜。走り往くのを見送る南瓜。
 そして再び、ごみ拾いを再会する南瓜。
 平和と言うか、不気味と言うか、‥‥いや、平和なのだろう。

 集まったごみをまとめて台車に載せ、次の目的地へ向け歩き出した、――と、その時である。
「きゃああああああああああああ」
 公園に響き渡る乙女の悲鳴。
 彼――パンプキンは迷わず(台車を通行の邪魔にならない所まで移動させると)駆け出した。

 これは、彼と『奴等』との壮大な戦いの序章である。


●応援要請
 LH、UPC本部。今日も様々な依頼や要請が舞いこんできている。
 それらを適切にオペレートするのがオペレーターの仕事な訳なのだが、アジア地区を担当する蔡・小紅は不審なタイトルに眉を潜めた。
 依頼主の名は――パンプキン・オブ・ジャスティス。
(あぁ、またあの人の良からぬ要請なのかしら)
 タイトルは――
『黒き狂団の魔の手より、愛を護る為の正義の手を借り受けたい』

「つまり、最近若いカップルが襲われる事件が多発してるそうなんです。襲われると言っても、重度の犯罪ではなく、パイ投げのパイを投げつけられたり、冷たい水やちょっと熱いお湯を掛けられたり、頼んだ料理に辛子が仕込まれていたり、路でロープを張られたり‥‥」
 ただひたすらに、子供の嫌がらせのように。
 でもデートを続けるには致命的な程に。
「特に男性へのアタリが強いらしくて、被害が結構出てるらしいんです」
 主に、クリーニング代とかで。
「と言う訳で、お仕事です」
 その言葉に傭兵達は嫌な予感を覚える。ひたすらに。
「彼ら――、そう彼らは一人ではなくある程度の規模をもった集団です。被害者の証言では『ネオ・シット教団』と名乗ったそうですが、彼らをちょっと懲らしめて欲しいそうです」
 バグアが関係して――る訳ないですよね?
 物凄く違うベクトルのパワーを感じますもんね?
 っていうか、バレンタインは3ヶ月近く前に終わってるんだぜ?

 ジークシット! ジークシット!! そこにアベック在る限りぃいいい!

「彼らは市民ですが、まかり間違って重度の犯罪に手を染めても困りますし、手を貸して欲しいのだそうですよ」

 緊急募集!! 迷える市民を救う心ある同志!

「えーっと、今回も南瓜の仮面が届いてますけど、使いますか? 兎も角、もしお暇でしたら参加してみては如何ですか?」
 蔡の声に些かの疲れが見えるのは気のせいじゃないかもしれない。

●参加者一覧

西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
白虎(ga9191
10歳・♂・BM
白野威 奏良(gb0480
15歳・♀・DF
山崎・恵太郎(gb1902
20歳・♂・HD
斑鳩・南雲(gb2816
17歳・♀・HD
鳳覚羅(gb3095
20歳・♂・AA
森居 夏葉(gb3755
25歳・♀・EP
東青 龍牙(gb5019
16歳・♀・EP

●リプレイ本文

●集いし南瓜達
 ゴゴゴゴと、地を這うような音が控え室に鳴り響く。

「面倒な奴が‥‥面倒事を‥‥呼び込んだか‥」
 例によって例の如く、ファンキーで心意気たっぷりな南瓜の仮面を手にして西島 百白(ga2123)は呻く。
 この仮面と相対するのも、これで3度目。
 付けるべきか付けざるべきか、それが問題だ。
「‥‥面倒だ」
 百白はその言葉にこれから起こる全ての感想を予感するように溜息をついた。
 まぁ、その予感は概ね外れはしないのだろうけど。
 ぐぅ〜ぎゅるるゴゴゴ
「‥‥」
 素晴らしい腹の音に、些か朱に染め、無言で南瓜の仮面を被るのだった。

「にゅっふっふっ、どっちが上か思い知らせないとね☆」
 高速挺の隅。メイド服の可愛い少女――に見える、少年を中心にどす黒いオーラを昇らせるグループがあった。

 元祖とも言うべきしっと団の総帥・白虎(ga9191)は、ちっとも笑っていない目、しかしとても楽しそうにほくそ笑んでいる。
 彼にとってこれは似非集団を配下にするための大戦。配下にするからには相手を完全に屈服させなければならないのだ。
「ボクらしっと団に断りなく嫉妬の名を掲げるとはなぁ‥とにかく、ツブス!」
 配下の話は何処行った。
 白野威 奏良(gb0480)はネオしっと団に負けじと拳を掲げ、山崎・恵太郎(gb1902)は新たな同志とめぐりあえる幸運を感謝した。
「おいらがお見合いと結婚式の2次会以外の出会いを認めない社会を作り上げてやる!」
 いや、そんなことしたらかえって勝ち抜くの厳しくなると思うんですけど‥‥。
 もはや理由は何でも良いのかもしれない。
 とりあえず、カップルと似非は ツ ブ ス!
 それだけが唯一無二の揺るがない意思なんだろう、きっと。
「‥‥」
 援軍要請の依頼を出したパンプキン・O・Jは、輝く南瓜を揺らし必死に視線をそらす。
 どっちが正義か出発前から判らないとか、それ以前に相手とほぼ同じ集団が来るってどう言う事だろうという。
 何故か熱い視線を感じるし。仮面に。


 一方、和やかに準備を進めている者もいる。
「相手って一般人なのよね、と言う事は‥お仕置きって感じかしらね」
 そう言って荷物をごそごそと漁る、艶やかな黒髪の美女。
 程なくして、美女――森居 夏葉(gb3755)は、そのまま荷物を抱えて更衣室の方へ消えいく。
「さて、準備はいいかな?」
「覚羅さん、今回は‥‥その、宜しくお願いします」
 何やら照れながら鳳覚羅(gb3095)へお辞儀をしたのは斑鳩・南雲(gb2816)だ。ぺこりと勢い良く頭を下げると、短いポニーテールが揺れた。
「うん、南瓜くんがまた困っているようだからね」
 そう言って、覚羅は柔らかく微笑んだ。
 その微笑の先に黄金に輝く南瓜がなければ、なんだか胸キュンストーリーになりそうなのにブチ壊しである。
 まぁ、そもそも今回『それ』を期待する方が間違っているのかもしれないが。
「今回も宜しく頼むのである」
 二人とも、縁あって南瓜と会うのも数度目だ。
 近づいてきた南瓜に気が付いた南雲が、慌てて挨拶を返す。
「パンプコンジャ‥‥ぱ、パンペ‥‥パンジャさん! お久しぶりです!」
 誰よ、パンジャって。
「お、落ち着くが良いのである。ま、まぁ、パンジャというのも斬新な愛称であるな」
「斬新というか、別人だね」
 必死のフォローも、笑顔でたたっ斬られる。
 ツッコミ所は逃がさないね☆
「でも、困った人も居るんだね」
「人の恋路を邪魔する輩の成敗です!」
 そう、息を撒いて応えたのは東青 龍牙(gb5019)。握る拳は熱く、彼の思いの程が知れるかのようだ。
「あ、でも南瓜さんはちょっと‥‥その、怖いんで」
 目の端に入るのをなんとなく避けられるパンプキン・O・J、すっかりお化けの仲間入り。これで夏のバイトは決まりだね☆
 ともあれ、高速艇は滞りなく彼等を運んでいった。


 南瓜の仮面をつけて‥‥ハイヒールで踏みつけて‥‥そして、パンプキンレディとして活躍――
「ホラあんた達、やぁーっておしまい‥なんてね♪」
 更衣室にこもった夏葉は思わず腰に手を当てたポーズで鏡を覗き込んで、すっかり浸っていた。
 メカ対決はきっと南瓜型に違いない。南瓜もおだてりゃ木に登る?
 なんて妄想してクスクス更衣室で笑っていると、
「森居殿、聞えてるであるか〜? 現地に着いたである。森居殿〜」
 遠くからパンプキンの声がした。
 って、え? 現地に、着いた‥‥?
 よく聞けば、別に遠くは無い。たかだか更衣室の壁一枚向こうでしかない。遠かったのは自分の意識だ。
 まさかまさか、今の独り言は聞いてないわよね?
 そう思いつつも、冷静を装い聞き返す。
「もう他の皆は現場に向かってるであるよ? 森居殿、大丈夫であるか?」
「もう、皆行っちゃったの? 着替えてる時間‥‥は、無いわよね」

 かくしてバニースーツにハイヒール、南瓜の仮面を被ったパンプキンレディ 此処に爆誕♪
 慌てて掴んだ鞭が、妙に板についていた。
 あらほらさっさー。


●教訓1:類が共をを呼ぶ
「はい、温かい方で良かったですか?」
 公園のベンチにうら若い男女が二人、空は気持ちの良い青のテントを広げ、風も心地が良い。
 当然だが微塵もじめっとしてないし、夏だって当然まだまだ先の、穏やかな春の日。
「ありがとう、悪いね買いに行って貰って。だけど、助かるよ」
 少女に缶珈琲を差し出された青年は、微笑を浮かべ受け取る。
「べ、べ、別に、変な意味があってじゃないんですよっ! その、先輩怪我してるし、仕方なくなんだからねっ」
 耳まで赤くした少女は、誤魔化す様に缶を呷る。
 缶コーヒーは、自販機の設定にもよるが熱いものは本当に、熱い。そして、こういう時はお約束として熱い。結果として――
「っっ! 熱っっつ」
「くすくす。可愛いですね、南雲くんは」
「なっ、ナニ言ってるんですか!!」
 ばしばし☆
「ぐっ! げふっ!! 南雲くん、手加減‥‥して‥‥ガクッ」
「きゃあああ、先輩! 覚羅さん、ごめんなさいぃぃ! しっかりしてぇぇぇ」

 そんな二人を草葉の陰‥‥もとい、草陰から見守る影があった。
「いやはや、本当に仲が良さそうなのである」
「本当に囮行動‥‥か?」
「その筈だけど、なんていうか羨ま、じゃなくって微笑ましいわね」
 ご近所を騒がす不審な集団。ネオ・シット教団と名乗る彼らを懲らしめるべく依頼を受けた傭兵達。
 神出鬼没の集団。解っているのは、カップル、アベック、恋人同士、言い方は何でも良いがつまりは、イチャイチャする若い男女の所に嫌がらせをしに現れる‥‥と、言う事だ。
 そこで公園のベンチで仲睦まじい掛け合いをしている――南雲、覚羅両名が囮役を買って出たのだ。
「いいなぁ‥‥デート」
 龍牙の気持ちが判らないでもない待機班だった。囮なんだけどねっ。


 邪魔するやつは馬に蹴られて空まで吹っ飛ばされそうな勢いで囮役を全うする二人。
 で、あるならばそれは必然的。
 自ら吹っ飛ばされに来る輩がそろりそろりと近寄ってくる。その姿は目と口だけがくりぬかれている白ニット帽。
 限り無く怪しい。
 怪しいというよりは不審者そのもの。何故か目の廻りだけ赤く塗られている。燃える魂を表現しているのだろうか。
 はたして、二人の後方やや離れた所まで来た不審者。
 懐から何かを取りだし、大きく振りかぶった。
 足は高々と天を指し、まるでどっかの野球漫画のピッチャーのような素晴らしいピッチングフォーム。
 狙いはストレートど真ん中で覚羅。

 『否、イチャツク、ニックキ ヤングメン』

 しかしそこは重傷でも傭兵。笑顔を崩すことなく難なくよけるふたり‥‥だったのだが、よけた場所が悪かった。
 べちょっ
 プラスチックの玉は地面で割れて紫色の染料をあたりに撒き散らし、たまたま風下に入ってしまった南雲の服に紫色のシミを作る。
 小さくガッツポーズを作った覆面の男の足元で地面が弾け、一気に距離をつめた西島がこめかみにごりっとハンドガンを突きつけた。
「面倒は‥嫌いなんだ‥‥」
 いや、あの、相手一般人。
 一般人だろうが、キメラだろうが、面倒ごとには違いない。
 怯んだ隙に、すかさず龍牙が覆面を剥ぎ取れば、そこに容赦ないハンドガンの射撃。狙いは‥‥こめかみだ。
 化学繊維が溶けて焦げる臭いが鼻をついて、不審者は完全に涙目。

「た、‥た、助けてくれぇえええ! 新入りっっ」
 助けを呼んだ不審者こと、教団員。
 その視線の先に居たのは――
「やり方が生ぬるいにゃ☆」
「やはり、類似品は所詮類似品と言う事か」
 怪しい幼メイド美少年と、その忠実な配下、しっ闘士。
「お前達っ、我等が崇高なる使命に共感せし同志達よ! ってちょっ、何処へ行く! 俺を置いて逃げないでぇええええ」
 だめだめ、囮捜査なんだから。
 ここで合流しちゃ、暴れたりn‥‥もとい、内部に根を遺してしまうかもしれない。うん、そうだ。
 という訳で、君の尊い犠牲は無駄にしないのにゃ、にゅっふっふ。

 と、思ったかどうかは解らないが二つの影はあっという間に逃げていった。

「さあ、アジトの場所吐いてもらおうかな♪」
 覚羅が良い笑顔で教団員に宣言する。
 爽やかな初夏の空の下で、彼は故郷を思い出すこととなる。嗚呼、母ちゃん。俺、元気でやってぐぉふぁ‥‥。
 程なくしてアジトの場所が傭兵たちに知らされた。
「だから、その、相手は一般人であるからして、加減を‥‥」
 南瓜の呟きが空へと溶けた。


●教訓2:青は藍より出でて哀が一杯
「アイアーム、ジャーック! オー! ランターン! 覚悟はできてる?」
 威勢良く開け放たれた扉。
 逆光を受けて踊るような足取りで現れた南雲が、何事かと振り向く教団員どもに向かってずびしと指を指して、返答を期待しない質問を投げかける。
「できてなくても文句は聞かないよ!」
 ぽかーんとする教団員たちへ一気に攻め込む南雲の南瓜ヘルメットの奥の表情は見えないけれど、楽しそうに笑う声だけはしっかり聞こえた。
「人の恋路を邪魔する輩を成敗するため!青龍神様の命により!パンプキン・オブ・龍牙、ただいま参りました!」
 続いて現れるは、青いマントをはためかせるは東青。そして、
「パンプキン・O・B(オブ・ビースト)推参‥‥死にたくない奴は、降伏しろ‥‥」
 空腹で不機嫌MAXの西島(今はパンプキン・O・Bか)がイライラしながら突っ込むと、それを追うように長い鞭を床に叩きつけた音が威圧をかける。
 勿論そこに居るのはまるで調教師のようないでたちの夏葉だ。
「大人しく投降すれば、このパンプキンレディ手荒な真似は致しませんわ。おーほほほほほ」
 もうすっかり女王様。
「我輩こそはパンプキン・オブ・ジャスティス‥‥悪い事は言わない、一刻も早く降参したまえ」
 何故か一番神妙な様子で、南瓜は告げた。

 哀れな教団員から聞き出したアジトの場所、それは放置されて久しいある廃ビルの地下だった。
 廃ビルに勝手に色々持ち込んで集会所化させていたのだ。
 そこに居たのは50数名にも及ぶ謎の集団。何れも怪しげな覆面を被っている。
 元は倉庫であったであろう広いスペースの最奥には、怪しげなタペストリー。『ラブ・即・斬』『裏切りには死を』『カップル撲滅、清純絶対死守』等等の横断幕もあちこちに下がっていた。
「なっ、何奴! さては我等の宿願の邪魔をしに来た偽善者どもじゃな」
 解りやすい程の悪役台詞を発するのは、当然教祖っぽいローブを着た青年は何故か年寄り風の言い回しをしていた。勿論、覆面も着用している。
「お前達、先生達を呼んで来るのじゃ!」
「いや、そのそれが」

「たたたたた、大変です! あいつ等期待の新人なんかじゃねぇ! あいつ等はあいつ等はっ」
 慌てて、援軍を指示する幹部の言葉を遮るように、直ぐ横にあった扉が吹き飛び、構成員、じゃなかった教団員が数人吹き飛んだ。
 ドゴォォオオン!
「見た目は萌えっ子、頭脳はしっ闘士!その名は『しっと団総帥・白虎ッ♪』」
 びしぃっ
 100tと書かれた背丈より大きいハンマーを可愛く振りかざし、真横に薙ぎ払う。
 ドゴォォオオン!
「仕方ないよねー、囮捜査だもんッ♪」
 にっこり笑った笑顔が怖い。

「ちょっと待て、総帥ってなんだ! ひょっとしてひょっとしてひょっとするのかっ」
「嘘だ! 総帥とか、司令とか、艦長とか、そういう偉い人は現場に着ちゃいけないんだぞッ」
 慌てふためく教団員達。
 期待の新人で、貴重な能力者の賛同者だと思っていたのは、実は元祖『しっと団』の能力者だったのだ!!
「くぅ、逃げよ! 皆の者逃げるのじゃっ!」
 教祖の言葉に、一斉に蜘蛛の子を散らすように出口へ駆け込もうとする教団員。
 しかし、それを赦す訳も無く。
 大振りの白虎のハンマーを掻い潜った一部が、壊れた扉へ駆けて行った所で立ち塞がる影に気が付いた。
「たとえお天道様が許さなくても、このボクが許して‥‥あれ、何か違う」
 見得を切って登場せんとした白野威は、見事に台詞を噛んで、八つ当たり気味に教団員を屠った。
 囮班がさっさとアジトを見つけてしまったので、暴れたりないのもあるかもしれない。
 どちらにせよ、哀れには違いない。

「くそぉ、俺たち多数派はこれくらいで負けやしない!必ずいつか蘇る!その時こそ、お前たちお熱に浮かされた連中の最期だ!」
 潜入要員のはずがネオしっと団の皆様と一緒にシバかれた恵太郎が吠える。
 っていうか、何やってるンデスカ。
「無力で無抵抗な俺たちに手を挙げるのか!?」
 必死の抵抗を試みる恵太郎に、
「手を挙げる? とんでもないわ、丁重に扱ってあげるわよ、えぇとても丁重に」
 ぴしりと鞭を打ち、微笑む夏葉。
 べ、別に好きでこんな格好してる訳じゃないのよ? なんて誰も信じないね☆
「これから自分のやらかした罪を反省してもらうとしよう。強制的に矯正して調整して真人間にしてあげるよ…覚悟するんだね」
 サドっ気たっぷりに微笑んだ覚羅の表情をまともに見た恵太郎は、ものの見事凍りついたのだった。


●教訓3:諸行無常
 咆哮が聞える。高笑いが聞える。爆音が聞える。破壊音が聞える。悲鳴と許しを請う声が合間を縫って聞えてくる。
 教祖はがっくりと膝を付いた。
「だから、言ったであろう。‥‥一刻も早く降参したまえ、と」
 何処か達観した様子で、黄金の南瓜は教祖である青年を捕縛した。
 惨状は、まだ続いている。
 きっと彼等は消えない。姿を変え、形を変え、第二第三のシット教団が‥‥
「本部で好きにコキ使うにゃー♪」
 というか、元祖をどうにかする方が先なんじゃないかという疑問を、南瓜は胸の内に封印する事にするのだった。
 また、会う日まで。