タイトル:【ODNK】春日無双マスター:近藤豊

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/06/15 21:29

●オープニング本文


 福岡空港、そして春日基地。
 戦いの果てに、北九州に残る主要なバグア基地は、今やこの二つとなっていた。
「――『長かった』」
 九州軍司令が放った言葉に、傍にいた士官が眉をひそめる。
「分かっている。まだそれを言うべきではないということは」
 まだ勝利ではない。ルウェインが墜ちた時もあのダム・ダルを討った時も、彼はこの言葉を飲み込んできたのだ。
「‥‥だがそれでも、春日を落とせば北九州でバグアが大きな作戦をとってくることは難しくなるだろう。それが叶った時、そろそろここで私に一度、『長かった』と言うことを許してもらえないだろうか」

「――そして贅沢を言わせてもらうならば、諸君らの手によって、『長かった』と振り返る日々を一日でも短いものにしてもらいたい」

 『長き日々』を『短く』。そのために、諸君らの奮戦に期待する。
 そう締めくくり、九州軍司令は作戦を発令した。


「じゃあ、作戦の概要を説明しようか」
 ULTオペレーターのジョシュ・オーガスタス(gz0427)は、落ち着いた口調で傭兵たちに語りかける。弱冠18歳ではあるが、ULTオペレーターとして傭兵たちを支え続けている。
 語りかける声を聞くだけで、緊張が解れるような気がするのは錯覚なのだろうか。
「今回、君たちが攻撃するのは春日基地周辺のキメラを掃討する事。
 春日基地周辺は、非常に数多くのキメラが存在している。君たちは航空部隊と連動しながらキメラを少しでも多く排除してもらう事になる」
 春日基地を守護するかのように、周囲からかなりの数のキメラが集結しつつあるようだ。
 もっとも、確認されているのがキメラのみ。ワームは一切確認されていないようだ。おそらく春日基地の防衛に残り少ない戦力を集中させているのだろう。
「キメラ掃討任務だけど、注意してもらいたい点もあるんだ。
 それは――時間。
 キメラ掃討任務は、これから行われる春日基地攻略の序盤。つまり、ここで時間が掛け過ぎれば、この後の作戦にも少なからず影響が出る。なるべくそれは避けたいところだろうね」
 今回の作戦は、KVでキメラを掃討する事だ。
 この任務自体、そう難しい訳ではない。キメラのみが相手ならば、屠るのは簡単だ。
 だが、ポイントは時間にある。
 可能な限り、短時間でキメラを掃討して後続部隊の支援を行う。あまり時間を掛け過ぎれば、作戦全体に支障が出る事になる。
「今回の作戦は、君たちの頑張りに掛かっている。
 少なくとも、僕はそう思っているよ」

●参加者一覧

ゲシュペンスト(ga5579
27歳・♂・PN
龍深城・我斬(ga8283
21歳・♂・AA
常 雲雁(gb3000
23歳・♂・GP
エミル・アティット(gb3948
21歳・♀・PN
ネオ・グランデ(gc2626
24歳・♂・PN
滝沢タキトゥス(gc4659
23歳・♂・GD
住吉(gc6879
15歳・♀・ER
黒羽 拓海(gc7335
20歳・♂・PN

●リプレイ本文

 ――春日バグア基地。
 航空自衛隊春日基地を中心に直径5キロのドーム型基地は、九州におけるバグアの本拠地と言える場所であった。しかし、UPC軍とバグアの激闘の中で支援を続けてきた北京が陥落。さらに司令官のダム・ダル(gz0119)は死亡。バグア軍の劣勢は揺るぎないものとなっていった。
 
 そして。
 UPC軍は九州奪還を果たすべく、最後の一手を撃ち込んだ。
 春日バグア基地攻略――この戦いで、九州の激戦に終止符を打つために。

「今回の敵は主に時間と物量ってとこだな‥‥」
 ゲシュペンスト02に乗るゲシュペンスト(ga5579)は、ドームの南側へ陣取っていた。
 雄大にその姿を晒すドーム。その周囲を取り囲むようにして徘徊するキメラ達。
 熊型キメラ、虎型キメラ、獅子型キメラ――肉食獣を中心としたキメラ達がドームを守護するように闊歩。時折、遠吠えのような鳴き声を上げて己の存在価値を高めているようだ。
「こいつは春日基地攻略の前哨戦。いきなり躓く訳にはいかないなぁ」
 玄兎の常 雲雁(gb3000)は、前哨戦という単語を意識的に強く言い放つ。
 今回の任務は30分という限られた時間内にドームの周囲に居るキメラを掃討する事。
 正直、たとえキメラが防御を固めていようと相手がKVならば一方的な殺戮となるだろう。しかし、このキメラを可能な限り一掃し、本隊がドームへの攻略を行いやすくする大事な作戦だ。
 本隊が到着する30分の間に、可能な限りキメラを撃破して花道を譲らなければならない。
「だよなぁ‥‥とにかく、削れるだけ削ってみるか!」
 ゲシュペンスト02は前進、それに歩調を合わせるように玄兎もキメラ目掛けて進軍を開始する。
 ドームの南側を担当するゲシュペンストと雲雁。
 視界に入るキメラを相手に、二人だけのパーティが始まる。
「まずはこいつだ」
 雲雁は、ガトリング砲「嵐」をキメラに向かって発射。
 放たれた弾丸の嵐は、反応の遅れたキメラを強襲。肉を弾丸によって削ぎ落とされ、無様な死骸となって地面へと転がる。
 肉塊へ変貌したキメラ。
 それでも弾丸の嵐は止むことはない。
「ガウッ!」
 キメラも、」一方的にやらているつもりはない。
 玄兎に向かって飛び掛かろうとする虎型キメラ。
 しかし、相手はKV。生身ならともかく、鋼鉄の鎧に単独で傷を付ける事はできない。「邪魔だ!」
 再度飛び掛かろうとする虎型キメラに、玄兎はウィップランス「スコルピオ」を振るう。
 地面を跳ねるようにしなったスコルピオ。
 長い刃は虎型キメラの腹部を切り裂いて、赤い体液を空中へと晒した。
「対KVキメラの姿もなし‥‥ね。敵一体辺りの戦闘力はそれ程でもないって事なら、一撃必殺と行きたいところだ」
 ゲシュペンスト02は玄兎と別方向へ移動。
 キメラを追い込むように47mm対空機関砲「ツングースカ」、試作型「スラスターライフル」を斉射。一方的な攻撃は、時折キメラを捉える事無く遙か彼方へ消えていくものもある。
 だが、ゲシュペンストの思惑は着実に進行していた。
「巧く行ったらご喝采だ。かかれよ‥‥」
 行く手を阻む獅子型キメラを、試作型「スラスターライフル」が撃ち抜く。
 30発の弾丸が、獅子型キメラに突き刺さって転倒させる。多少大型に作られたキメラなのかもしれないが、ゲシュペンスト02の前では無力。
 キメラに二人の行動を止める事は不可能のようだ。
「今だっ! 頼むぜ、相棒!」
 足下へ転がる獅子型キメラの死骸に目もくれず、47mm対空機関砲「ツングースカ」を逃走するキメラへ撃ち込むゲシュペンスト。
 KVの猛攻に逃げ惑うキメラ。
 気付けば、一カ所へ集められている。
 ゲシュペンストと雲雁が狙っていた事、それはキメラの群れを一カ所に集める事だった。
「了解! この花火は、ちょっと熱いぞ!」
 集められたキメラに対して、玄兎はH−112グレネードランチャーを発射。
 放物線を描きながら撃ち込まれたグレネードランチャーは、キメラ達の中心部で炸裂。強烈な爆音と爆風が巻き起こり、ゲシュペンスト02と玄兎の機体を激しく振るわせる。
 グレネードランチャーは味方も巻き込む代物。ゲシュペンストもそれを知っていた為、十分な距離を取っていた。
 それでもこれだけの光と震動だ。
 眼前に居たキメラの群れがどうなっているかは、容易に察しが付いた。
「上出来だ!」
 ゲシュペンスト02は、再び走り出す。
 予想通り、着弾地点近くのキメラは全滅。一番遠いキメラも掃討の手傷を負っている。ゲシュペンスト02は、これらのキメラを完全に仕留めるべく機刀「新月」を振るい続ける。
「九州の本拠地か知らないが‥‥。
 お生憎、ここはもう俺達のテリトリーだ!」



「どれ、いっちょ派手に行こうか。相棒」
 龍深城・我斬(ga8283)は、黒羽 拓海(gc7335)を相棒と呼んだ。
 春日ドーム東側で戦線を展開する二人。
 南より聞こえる爆音を耳にして、大人しくしている訳にはいかない。
「伊達や酔狂でこんな名前を付けている訳じゃない」
 黒羽のヴァルキュリアは、車輪を走らせながらガトリング砲「嵐」を斉射。逃げ惑うキメラを追いかけ、背後から弾丸の雨を浴びせかける。
 瞬く間にキメラの背中に風穴が出来上がる。
 前のめりで倒れるキメラ。
 しかし、ヴァルキュリアの猛攻は止まる様子もない。
「いつもの鉄拳はこういう任務に向いていないんでね。今日の俺は光刃の益荒男って事でよろしくぅ!」
 剛覇のファランクス・アテナイが圧倒的な連射力でキメラの逃げ道を塞ぐ。
 弾幕を張ってキメラを一カ所へ集め、一網打尽にする手筈なのだ。
「待て。あまり飛ばさない方がいい。
 俺達の戦場はここだけじゃないんだからな」
 ツングースカを撃ち込んで牽制する龍深城に対して、黒羽は敢えて水を差した。
 二人の担当はドーム東側だけではない。
 ドームから少し離れた地点にある太宰府市に入り込んだキメラも二人が掃討しなければならない。
 この限られた時間内で二カ所のキメラを倒さなければならないのだから、ペースを考えないと後が大変になる。
「大丈夫だ。
 言ったろう? 俺は光刃の益荒男だって」
 余裕の笑みを浮かべながら、龍深城はキメラの群れにG−44グレネードランチャーを撃ち込んでいた。


 ドーム付近のキメラを確実に掃討していく傭兵達。
 東西南北に分かれて担当地域を確実に制圧していく方法は、戦力を分散する事になるものの、理に叶った戦術であった。
 だが、ここで僅かな綻びが生まれ始める。

「ケモノ対ケモノKVだぜー! 鋼のケモノの力を見せてやるぜー!!」
 ドーム西側で元気いっぱいに突貫するのはエミル・アティット(gb3948)。
 他のチーム同様グレネードランチャーで一掃するべく、20mm高性能バルカンを使ってキメラの群れを羊飼いの如く追い込んでいく。
「元気そうで‥‥。
 じゃあ、こっちも派手に暴れるとするか‥‥重武神騎乗師、ネオ・グランデ。
 ――推して参る」
 ネオ・グランデ(gc2626)は、緋束の背を庇うように蒼獅子・改(ノイエ・ブラウ)を走らせる。
 キメラの群れに注視しながら、ガトリング砲「嵐」でキメラを追い詰めていく。
 エミルのグレネードランチャーで殲滅を計り、残ったキメラをBCランス「ゲイルスケグル」で片付けていく。
 それがエミルとグランデの作戦であった。
 しかし。
「死に損ないが‥‥俺が楽に逝かせてやる!」
 【scrap mountain】を駈る滝沢タキトゥス(gc4659)は、逃げ惑う90mm連装機関砲を追いかけ回している。
 この光景に、グランデが呆気に取られる。
「おい、あんたここで何をしている?」
「え? 自分ですか?」
 グランデの無線に、滝沢は慌てて答える。
「あれ? 君の担当って、北じゃなかった?」
 エミルが微笑みながら滝沢に話しかける。
 実際、作戦ではドーム西側はエミルとグランデの担当であった。
「だって、自分は西側で住吉さんと‥‥」
 滝沢が聞き返そうとした瞬間、住吉(gc6879)が悲鳴を上げるかのように通信を入れてきた。
「滝沢様〜、今何処ですか?
 キメラの数が多くて捌き切れません〜」
 住吉はドーム北側で戦っているようだ。
 KVなら傷つく事はないだろうが、キメラの数が多い。集られれば厄介な事、この上ない。
「しまった! 待っていて下さい、住吉さん!」
 慌てて【scrap mountain】の進路を北へ向ける滝沢。
 G−M1マシンガンで熊型キメラの額を撃ち抜き、体当たり。
 力業で進路を開く滝沢。必死に道を切り開いて住吉の元へとひた走る。
「あはは、ケモノKV並の突進! かっこいいね!」
 走り去る滝沢の背を見ながら、笑いが止まらないエミル。
 この配置ミスは、ドーム北側で住吉一人が奮戦。キメラ掃討を遅らせる結果となる。
 しかし、グランデにとっては思わぬ形で幸運ももたらされていた。
「滝沢のおかげで西側のキメラは比較的早く掃討できたのか。
 通りでキメラの数が情報より少ない訳だ」



「ちょ、ちょっと! 纏わり付かないでください!」
 住吉のフェンリルにキメラ達が殺到する。
 ドーム北側で奮戦する住吉。KVとキメラであるため、住吉自身には危機的状況に陥る事はない。
 しかし、あまりに数が多すぎる。
 フェンリルの機牙「グレイプニル」で必死にキメラを振り払うものの、振り払った腕に虎型キメラが飛びつく始末。時間が限られている任務において、これはかなりの致命的だ。
「‥‥く、このままじゃ〜」
 焦りを隠せない住吉。
 本来であれば、滝沢と連携してキメラを掃討するはずだった。
 だが、今はたった一人。
 ならば、覚悟を決めて奮戦するしかない。
「キメラの串焼き‥‥美味しく無さそうですが〜」
 住吉はブースターを使用。
 フェンリルを加速させて、纏わり付いたキメラを振り落とす。
 そして――踵を返した後。
「それ!」
 双機槍「センチネル」は、唸りを上げて振るわれる。
 射線上のキメラは吹き飛ばされ、肉塊となって弾け飛ぶ。
 鬼気迫る一撃は、キメラの群れを一瞬たじろがせる。
「住吉さん!」
 キメラの群れへ割り込むようにして、滝沢の【scrap mountain】が滑り込んでくる。
 90mm連装機関砲で進路をこじ開けながら、眼前に熊型キメラにシールドスピアをねじ込んだ。
「もう、滝沢様! 遅いですよ!」
「すいません。ですが、ここから遅れは取り戻させて貰います」
 住吉に背を向ける形でキメラと対峙する滝沢。
 ここから一歩も退かない。
 眼前に居る敵を叩き潰し、一体でも多くキメラを屠って見せる。
「銃だけが武器じゃない‥‥この意味、分かるよな?」
 滝沢は再びシールドスピアを構えて突進を開始。
 4メートルもの槍が、キメラ群れ目掛けて迫る。
 ――だが。
「まとめて散れ‥‥煉槍若花・紫陽花」
 槍が獅子型キメラへ突き刺さる直前、側面から放り込まれたグレネードが炸裂。
 反射的に盾で身を隠す滝沢。
 そっとグレネードが放り込まれた方向に視線を送ると、H−112グレネードランチャーを装備したエミルの緋束の姿があった。
「ネオさん、エミルさん!」
「えへへ、こっちにも支援に来たよ!」
 エミルは満面の笑みを浮かべながら、操縦席で手を振っている。
「二人は西側で戦っていたはずなのに‥‥」
「お前のおかげで、西側のキメラ掃討が早めに終わった。
 だから、支援に来たまでだ」
 グランデは、落ち着いた面持ちで滝沢に話しかける。
 実際、グランデ達は想定よりも早くキメラを掃討する事に成功。作戦時間内に少しでも多くのキメラを撃破すべく、戦場を北側へ移したという訳だ。
「これなら、恐いものはありません!
 皆さん、作戦終了までお願いします!」
 【scrap mountain】は、再び走り始める。
 限りある時間を、精一杯戦い抜くために。


「クソキメラどもが!!」
 先程余裕のあった龍深城とは一変、剛覇は怒りに満ちあふれていた。
 太宰府市の住民は既に不在。主を失った都市は廃墟と化し、我が物顔でキメラ達が闊歩している。その光景を目の当たりにした龍深城は、キメラに対して一人突撃を開始する。「焦るな。一人で戦えば、消耗も激しくなるぞ」
 黒羽が通信で龍深城を諭す。
 しかし、怒りに燃える龍深城はそう簡単に止まらない。
「ここは貴様らが土足で踏みにじって良い場所じゃねぇんだよぉぉぉぉ!!!!」
 剛覇のファランクス・ソウルが、眼前に居た虎型キメラを強襲。
 ばらまかれた銃弾は、廃墟と共にキメラの体を貫いた。
 吹き飛ぶキメラ。だが、剛覇は一気に間合いを詰めてBCアサシネイトクローで攻撃。
 既に瀕死となっていたキメラに対して爪が突き立てられる。
「落ち着くんだ。どうしたというんだ?」
 黒羽は剛覇とキメラの間にヴァルキュリアを割り込ませる形で、その場を制した。
 このまま放っておけば作戦時間を経過しても龍深城一人で戦い続ける可能性もある。そうなれば本隊の行動に影響を与えるだけでなく、敵も何らかの動きを見せるかもしれない。
 そのような状況を何としても止める必要があった。
 龍深城が黒羽を相棒と呼んだのだ。
 ならば、止めてやる事も相棒の勤めだろう。
「‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥」
「大丈夫か?」
 肩で息をする龍深城。
 黒羽の冷静な面持ちに少し救われた気がする。
「ああ」
「ならば良い。そろそろ作戦終了時間だ。ここはもう十分だ」
 龍深城が見回せば、多くのキメラが地面に転がっていた。
 廃墟となった太宰府市を目撃した事で、滅ぼされた故郷を思い出した。
 我が物顔で徘徊するキメラに嫌悪感と吐き気を催し、心の底から怒りの炎が噴き出す。気付けば、周囲のキメラを壊滅に追い込んでいたようだ。
 作戦終了時間が近づいていた事など、黒羽に言われるまで気付く事はなかった。
「ん? もうそんな時間か‥‥」
「おまえの過去へ安易に足を踏み入れる気はない。
 だが、仲間の危機を見捨てる程、俺はクールに徹する事もできない」
 黒羽の口にした言葉。
 それは龍深城に対して偽りのない本心であった。
 仲間が無茶をして倒れる姿など見たくはない。ならば、体を張ってでも止めてみせる。
 それが黒羽が相棒として出来る得る行為だった。
「‥‥分かっている。引き際を誤るつもりは無いさ。
 生きて帰って敵に打撃を与え続けるのが、良い兵士だ」
 龍深城は微笑む。
 そこには――いつもの龍深城の姿があった。

 こうして、春日基地攻略の前哨戦は終わった。
 周囲のキメラは可能な限り駆逐した。
 あとは基地を本格的に攻略する本隊へ託す――。