タイトル:キメラ掃討作戦マスター:近藤豊

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/09/16 01:12

●オープニング本文


 某月某日。
 競合地域内においてUPC軍とバグア軍の間で小規模な軍事衝突が発生した。
 後日開始される作戦行動のため、本隊合流を目指すUPC軍。その行軍中、同規模のバグア軍と遭遇。双方が相手を捕捉した瞬間、その軍事衝突は不可避なものとなった。
 UPC軍はバグア軍の執拗な攻撃に苦しめられるものの、辛うじてバグア軍の撃退に成功。順次撤退を開始するバグア軍を前に、UPC軍士官の檄が飛ばされる。
「追撃の手を緩めるな! ここで相手の戦力を削ぐ事が勝利へと繋がるのだ」
 ここでバグア軍の戦力を少しでも低下させる事は、参加予定の作戦行動に大きな影響を与える可能性もある。明日の勝利を信じ、勝敗の付いた戦いにも気を抜く事はできない。
「准尉!」
 士官の元へ部下らしき兵士が駆け寄ってきた。
 姿勢を正し、上官への敬礼を怠らない辺りはよく教育された兵士だが、肩で息をしている事から見ても何か問題が発生したのだろう。士官は戦況を映し出すモニターから視線を外すことなく兵士に声を掛ける。
「なんだ?」
「撤退を開始したバグア軍は、追撃を振り切るためにキメラを数体放った模様」
「そんなものは後回しだ! 今はバグア軍本隊に戦力を集中させろ!」
 士官は大声で兵士を叱り飛ばした。
 バグア軍がキメラを放った程度、無線で伝えれば済む話だ。それを士官の元まで駆け寄って話さなければならないような緊急性の高い話とは思えない。
 畏れを自らの心へ押し込めながら、兵士はさらに言葉を続けた。
「放たれたキメラは犬型キメラが5体。バグア軍の進軍方向から見えれば、九時の方向にある森林を移動中です」
「それがどうした?」
「森林の先には避難が完了していない市街地があります」
 兵士の報告を聞いた瞬間、士官は兵士へ向き直った。
 このまま犬型キメラを逃がせば市街地へ出る事になる。避難が完了していないとなれば、犬型キメラによって市民に被害が出る事は容易に想像ができる。人類最後の希望ともいえるUPC軍にとってキメラを逃がして市民に被害が出る等、あってはならない事だ。
「避難未完了だと? 市街地駐屯の連中は居眠りでもしていたのか!?
 犬型キメラに対して追撃隊を組織。早急に殲滅しろ!」
「お言葉ですが、先の戦闘で追撃隊の組織を早急に行う事は難しいと思われます」
 兵士の口から苦々しい現実が突きつけられる。
 先程まで、バグア軍と戦っていたUPC軍もかなり疲弊している。さらに士官の指示で撤退するバグア軍へ温存戦力まで投入していたのだから、早急な追撃隊組織は難しいはずだ。仮に組織できたとしても、犬型キメラが市街地へ到達した後になるだろう。
 バグア軍のシナリオ通りに進むという屈辱を味わった士官は、苦虫を潰したような顔である決断を下した。
「ULTを通して付近の傭兵へ連絡。犬型キメラを掃討させろ。‥‥こんな茶番、さっさと終わらせるんだ」

●参加者一覧

麻宮 光(ga9696
27歳・♂・PN
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
兄・トリニティ(gc0520
24歳・♂・DF
レインウォーカー(gc2524
24歳・♂・PN
滝沢タキトゥス(gc4659
23歳・♂・GD
蒼唯 雛菊(gc4693
15歳・♀・AA
エシック・ランカスター(gc4778
27歳・♂・AA
リズレット・B・九道(gc4816
16歳・♀・JG

●リプレイ本文

●捜し犬
「生身での実戦は久しぶりかな。でも、人の命が掛かっている以上は、無様な結果は出せないよね」
 アーク・ウイング(gb4432)は、森の中へ逃げ込んだ犬型キメラを単独で捜索していた。
 UPC軍の追撃を振り切るために放った犬型キメラ5体を倒す事が、今回傭兵たちに課せられた使命。もし、犬型キメラを取り逃がし、森を抜けた先にある市街地で被害が及ぶような事になれば任務は失敗といっても過言ではない。
「‥‥うーん、この付近にはいないのかな?」
 付近を見回すアーク。
 傭兵たちは犬型キメラがバラバラに行動している事を懸念し、部隊を捜索班と防衛班に分ける事にした。捜索班が犬型キメラを捜索して各個撃破。もし、撃ち漏すような事があれば防衛班が犬型キメラの市街地進入を阻止という作戦を実行したのだ。限られた時間の中で行われる犬型キメラとの追いかけっこに、アークの中に小さな焦りが生まれ始める。
「他の人はもう発見しちゃったのかな?」
 アークは携えていた無線機に手を伸ばす。
 捜索班、防衛班と班分けはしているものの、標的は全員同じ。定期的な情報連絡を行う事で、少しでも犬型キメラの捜索範囲を狭める事ができるはずだ。
 無線機の側面にあるスイッチに手を掛けるアーク。
「こちらアーク‥‥」
 ――バキッ!
 無線機へ話しかけた瞬間、アークの耳に木々がへし折れる音が飛び込んできた。
 音の方向はUPC軍が駐屯している方向、同じく市街地方面から入った傭兵たちとは明らかに反対方向となる。つまり、今アークが向いている方向に傭兵は一人もいない事になる。
「‥‥きたっ!」
 小声で呟くアーク。
 エネルギーガンを取り出した瞬間、アークの瞳は金色に変化する。その瞳は数メートル先に居る白い毛に覆われた犬の姿を捉え、エネルギーガンの銃口は犬型キメラの額に向けられる。
 犬型キメラはこちらに気付いていない。
「今だっ!」
 照準を絞り、引き金を引く。
 銃身のSESと呼応、さらに電波増強で知覚力を上げられたアークのエネルギーは塊となって発射。犬型キメラの額に見事命中する。
「ぎゃぉぉぉぉん!」
 悲鳴にも似た声を上げる犬型キメラ。
 思わず立ち上がり、突如訪れた痛みに悶え続けている。どうやら致命傷とまではいなかかったようだ。
「も、もう一発‥‥」
 再びエネルギーガンを構えるアーク。 
 しかし、アークが犬型キメラに照準を合わせる前に、その背後から白銀の髪となった麻宮 光(ga9696)が現れた。
「お任せをっ!」
 麻宮は瞬天速で犬型キメラの元まで一気に詰め寄る。
 美しく煌めく緋色の爪が特徴的なイオフィエル。麻宮はこの緋色の爪で犬型キメラの首筋付近に斬りかかった。切り裂かれた首筋から、一気に吹き出す鮮血は麻宮の顔を朱に染め上げる。
「もう一撃っ!」
 真燕貫突を使った麻宮は、流れるような動きで再びイオフィエルを犬型キメラに突き立てた。
 深々と刺さるイオフィエルは、犬型キメラの体内にある内臓を貫き通す。イオフィエルが引き抜かれる頃には、犬型キメラは生命活動を停止していた。
「ようやく、一匹倒しました」
 ほっと一息つく麻宮。
 その傍らでアークは近くの樹木に寄りかかっていた。
「敵自体はそれほど強くないみたいだけど、捜索するのが一苦労だよね」
「ええ。捜索に時間をかければ、防衛班の負担は増加します。もし、防衛班が抜かれるような事があれば‥‥」
 身につけたペンダントを強く握りしめる麻宮。
 避難の完了していない市街地へ犬型キメラが雪崩れ込めば、必ず悲劇が生じるはず。人のために能力者としての力を振るうと誓う麻宮にとって、そのような悲劇は必ず破壊しなければならない。
「俺は万一を考えて、防衛班の増援に向かいます。犬型キメラの捜索を続けて下さい」

●実戦訓練
 今回の傭兵たちはある特徴を持っていた。
 それは、経験の浅い傭兵が半数を占めている事である。犬型キメラがそれ程強くない事もあり、実戦経験を重ねたい傭兵が偶然にも集ったようだ。この状況は傭兵歴の長い者たちにとっては良い傾向として概ね受入れられている。
「焦るなよ、滝沢ぁ。
 敵の動きに集中しろ。次の行動を予測しろ。思考を止めるな。敵を倒し、生き残る事を考え続けろ」
 レインウォーカー(gc2524)は、犬型キメラを前にした滝沢タキトゥス(gc4659)へ傭兵として生き残るためのアドヴァイスを与えていた。
 実は滝沢は元軍人とはいえ、キメラ相手に戦いを挑むのは今回が初めてなのである。レインウォーカーとしてもこの機会に新人傭兵を育成したいと考えており、今回は滝沢のサポートに徹すると決めている。
「はい‥‥民間人を守る為だ、絶対に死守してみせる!」
 滝沢は力強く言い切った。
 ここでキメラを取り逃がすような事になれば、この先の傭兵生活は苦難の道となるかもしれない。何としても初陣は勝利で飾りたいところだ。
「相手は犬‥‥足を止めれば倒せるか‥‥」
 滝沢は愛用のスコーピオンで、犬型キメラの足を照準に入れる。一呼吸置いた後、引き金に手をかける。だが、攻撃を待っている程、犬型キメラも悠長にはしていない。
「ガウッ!」
 一声吼えた犬型キメラは、滝沢に向かって一足飛びに近づいた。
 巨体から繰り出される体当たりは、犬型キメラの足に集中していた滝沢の隙を突いた形となる。
「くっ!」
 咄嗟に体を捻って直撃を免れる滝沢。
 だが、一瞬回避に遅れたために、足の踵が犬型キメラの体に衝突する。電気のように走る激痛は、滝沢の頭を突き抜けていく。
「足を強打したみたいだねぇ。
 実戦では攻撃を待ってくれないよぉ。攻撃する時は、躊躇無く迅速に実行するんだぁ、滝沢ぁ」
 走り去ろうとする犬型キメラに疾風で詰め寄るレインウォーカー。
 その手には黒刀が握りしめられている。
「‥‥こうやってなぁ」
 抜き放たれて外気に触れた黒刀は、その身に赤い線を迸らせる。レインウォーカーの力は一点に集中し、目にも止まらぬ速さで犬型キメラの腹部を貫いた。
 鮮血が溢れ、黒刀を伝って流れ落ちる。辺りに立ちこめる鉄錆の臭いが、犬型キメラの痛みを象徴するかのようだ。その証拠に、貫かれた犬型キメラは地面で転げ回っている。
「ボクたちは傭兵だぁ。ここでこいつを倒さなきゃ、市街地で誰かが死ぬ事になるんだぁ。誰かを守るために、ボクたちは殺さなきゃならないんだぁ」
 レインウォーカーは、犬型キメラの腹部から黒刀を引き抜いた。
 まっすぐ引き抜くのではなく、わざわざ腹部の傷を押し広げるよう力任せに手前へ引き寄せたのだ。そのため、犬型キメラの内臓は血液の中から輪郭らしきものを浮かび上がらせている。
 傭兵は任務を受ければ如何なる事情があろうとも達成しなければならない。そのためには非情となる必要もある。戦場では臆したものから死んでいく。その事は元軍人である滝沢にも理解できていた。
「自分は容赦できないんでね‥‥」
 転げ回る犬型キメラの脳天にスコーピオンを突きつける滝沢。
 これから何が行われるのかも分からない犬型キメラは、まだ足下で痛みと格闘している。
「楽にしてやる」
 滝沢はそっと目を瞑ると、スコーピオンの引き金に力を込める。
 フルオートで発射される弾丸は次々と犬型キメラに突き刺さり、顔面に蜂の巣を生み出す。脳からの異常信号に犬型キメラの手足は今も微妙に痙攣し続けている。
 今、犬型キメラは滝沢の手によって倒された。
 一時的な安息を得る滝沢。その様子を目にしたレインウォーカーは、軽く微笑みかける。
「一匹撃破ぁ。やるじゃないかぁ、お前も。さて、他の奴らにも連絡しておくかねぇ」

●突破
 リズレット・ベイヤール(gc4816) の眼前に一匹の犬型キメラが立ちはだかっている。
 これをエシック・ランカスター(gc4778)と共に退治しなければならない。二人とも傭兵歴は浅く、滝沢のようにベテラン傭兵がフォローしていない。そう、二人だけで犬型キメラを倒さなければならないのだ。
「さっきの照明弾のおかげでこちらを敵と認識してもらったようです」
 エシックは大鋸切を手にしながら呟いた。
 犬型キメラの逃走を懸念して、エシックは犬型キメラに対して照明弾を打ち込んでいたのだ。傷を負わせる事はできないが、犬型キメラは二人を敵と認識して唸り声をあげている。
 だが、危機的状況になれば逃走する可能性もある。そう考えたリズレットは、犬型キメラの側面へ回り込みながらスピエガンドで標的の狙いを定める。
「足を止めますっ! お願い、当たって!!」
 リズレットはスピエガンドで犬型キメラの後ろ足を攻撃した。
 乾いた音が数回周囲へ響き渡り、犬型キメラの後ろ足が真っ赤に染まり出す。
「ギャオンッ!」
 痛みに耐えきれず飛び上がる犬型キメラ。
 後ろ足を引き摺る形になりながらも、視点はエシックへと向けられたままである。
「やれやれ。余程、照明弾が嫌だったみたいですね。嫌われたものです」
 エシックは思わず微笑んだ。
 狙い通り、犬型キメラはこちらに意識を集中したままである。唯一の武器である突進も、今の攻撃で威力が大幅に落ちたはず。
 だが、その事は犬型キメラ自身も理解していないようだ。
「ガウゥ!」
 犬型キメラは足を引き摺ったままエシックに向かって突進を開始する。
 しかし、足を引き摺ったままではスピードに乗る事もできない。ゆっくりと進むだけの犬型キメラを避ける事など造作もない。
 否――格好の的である。
「‥‥これは避けられないでしょう?」
 銀髪に赤いメッシュが特徴的なリズレットは、フォルトゥナ・マヨールーを犬型キメラの耳に突きつける。
 先程とは変わってより鈍く重い銃声が2回響き渡る。
 フォルトゥナ・マヨールーから発射された2発の弾丸は、犬型キメラのフォース・フィールドを呆気なく突き抜けて頭部を破壊。西瓜が潰れたかのような音と共に、犬型キメラの頭部は何処かへ吹き飛んだ。
「お見事です」
 エシックの褒め言葉を耳にした、リズレットはその場でへたり込んだ。
 慌てて、エシックがリズレットへ駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「大丈夫‥‥大丈夫です‥‥気が抜けた‥‥だけですから」
 犬型キメラ一匹を倒すだけでかなり緊張していた事を、リズレットは後から知る形となった。傭兵として間もないリズレット。その心労は余程の事だろう。
 だが、まだ任務は終わっていない。
「あ、あれは‥‥」
 エシックの視界には走り続ける別の犬型キメラが飛び込んできた。
 残る犬型キメラは2匹居る。この2匹を仕留めなければ任務は終わった事にならない。 しかし、今から犬型キメラの方へ向かったとしても振り切られる可能性もある。完全に市街地侵入を阻止するためには、他の傭兵たちへ非常事態を知らせた方がいい。
 そう感じたリズレットは上空に向かって照明弾を打ち上げた。

●防衛
 市街地の絶対防衛ラインとなる防衛班。
 その任を預かるのは、世史元 兄(gc0520)と蒼唯 雛菊(gc4693)。二人が抜かれるような事があれば、市街地への被害は免れない。何としてもこの場を死守しなければならないのだ。
「町には入れさせない。ここから先は通行止めですの」
 狼のような耳と尻尾を持つ雛菊は力強く叫んだ。
 家族をバグアの手によって失った雛菊としては、同じような悲しい想いをする人を増やしたくはなかった。だからこそ、蒼剣【氷牙】 を手に犬型キメラへ対峙する。幸い、防衛ラインとした場所は森から抜けており、大剣を振るうには不自由がなさそうだ。
「ふふ、元気いっぱいだね。僕は見てるから雛菊だけでやってみなよ」
 覚醒を解いている世史元。
 これも雛菊が犬型キメラを倒せる実力があると見込んでの事だろう。
「行きますの」
 雛菊は蒼剣【氷牙】を地面と水平となるように寝かせ、刃は垂直に構えて真正面から突進していく。大剣を手にしているだけあって些か動きは鈍い。ここまで走り抜けてきた犬型キメラにとって避ける事は決して難しい事ではない。
 雛菊を完全に舐めきっている犬型キメラ。
 しかし、そこに大きな罠が隠されていた。
「瞬天速ですの」
 蒼剣【氷牙】を構えたまま、瞬天速を使う雛菊。
 加速的に速度が上がり、油断していた犬型キメラとの間合いが一気に詰まる。雛菊が手にしていた蒼剣【氷牙】は犬型キメラの体に突き刺さるが、瞬天速後の勢いに乗り留まらない。
「瞬蒼襲牙【貫】ですの!」
 犬型キメラは走る雛菊の足が導くままに引き摺られる。太い樹木に突き刺さる頃には、犬型キメラの意識は完全に喪失。身動きの取れない犬型キメラにトドメを刺す事はあまりにも容易な作業だった。
「やるねぇ。傭兵としての素質があるんじゃないか?」
 様子を伺っていた世史元は息を切らせる雛菊へ優しく声をかけた。
 見事犬型キメラを倒した雛菊は笑みを浮かべる。
「ありがとうですの」
「さて。さっき照明弾が打ち上がった事を考えれば、そろそろ最後の1匹が‥‥」
 世史元は森の方へ視線を送る。そこには、こちらに向かって走り寄る犬型キメラが1匹。その傍らには後から追い付いたと思われる麻宮の姿が見える。
「ん? 光さんか。さすがに真面目だね」
「ふざけている場合じゃありませんよ!」
 犬型キメラの背後から飛びかかる麻宮。イオフィエルで切り裂きながら、力任せに吹き飛ばす。その先に居るのは――蛍のような光に覆われる世史元。
「あとはお願いします!」
「最後まで責任もってくれればいいんだけど。まったく‥‥」
 ぶつぶつと呟く世史元。その体は炎のような赤いオーラに包まれ、壱式の赤に混じりながら犬型キメラの体をギリギリまで引きつける。
「それっ!」
 真っ赤な刀身は犬型キメラの体を貫き通した。慣性のままに突き飛ばされたため、刀身は深く突き刺さり、心の臓まで呆気なく到達する。
 この時点で、傭兵たちはすべての犬型キメラを討ち取る事に成功した。犬型キメラ捜索時にしっかりとした連携が成されたため、想定よりも順調に任務を遂行する事ができたようだ。
「お疲れ様。本当にな‥‥」
 世史元はそういいながら壱式を犬型キメラの死骸から引き抜いた。