タイトル:【MS】第二次制服聖戦マスター:菊池五郎

シナリオ形態: イベント
難易度: 普通
参加人数: 99 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/10/09 17:24

●オープニング本文


 ――大阪・日本橋。
 南海難波駅南口〜地下鉄恵美須町の2駅周辺、徒歩で約20分くらいの距離のこの一帯は、関西の電気店街として発展してきた。
 東京・秋葉原がそうであったように、デジタル系メディアを基盤としたヲタク文化は電気店街に根付いてゆく。大阪・日本橋も多分漏れず、電気店の中にヲタクショップが点在し始め、毎年その数を増やしていった。
 そして、ヲタク文化の発信地の中心だった秋葉原がバグアの占領下に置かれた後、ヲタク達の活動の舞台は、元々受け入れやすい土壌であった事もあり、大阪・日本橋へと移った。
 今日、大阪・日本橋は“第2の秋葉原”と呼ばれ、通称『ヲタウェイ』として発展を続け、栄えている。


 1人のスーツ姿の女性が一軒の同人ショップへ入ってゆく。
 アニメやマンガをモチーフにした同人誌の中に、店舗の一角に能力者を扱った同人誌のコーナーが出来ていた。ヲタク達の萌えや燃えのパトスは留まるところを知らない。
 女性が手に取ったのは『ロッタのひ・み・つ引換券☆』。機体特別アイテムの中に幻の「Sランク」の引換券があり、それを引いた能力者に、ロッタ・シルフス(gz0014)があーんな事やこーんな事をしちゃうという内容の同人誌だ。
 続いて手に取ったのは、『図書姦通』というタイトルの同人誌。偶然、ラスト・ホープの図書館で、リーフ・ハイエラ(gz0001)の秘め事を見てしまったリネーア・ベリィルンド(gz0006)は、リーフのどす黒い欲求を満たす為、たびたび図書館へ呼び出されて弄ばれ、蹂躙されながらもやがて快楽の虜となってゆくという内容だ。
 その他、最近人気が高まりつつある能力者アイドルグループ『IMP』のメンバー評論本や、リネーアの等身大抱き枕カバーなど、一般人に知られている有名な能力者を題材にした同人誌や同人グッズはその数を増やしていた。
「あれ、ミユじゃね?」
「バッカだなぁ。本物のミユがこんなところにいる訳ないじゃん。コスだよコス」
 近くからそんな話し声が聞こえてくるが、女性は意に介さず、同人誌や同人グッズを手に取ってゆく。
「あの‥‥それ、ミユ社長のコスプレッスよね? 写真、1枚撮らしてもらっていいスか?」
 能力者コーナーにあった同人誌と同人グッズを粗方買い、両手に同人誌の入った袋を提げた女性に写真撮影を申し込む猛者も時々いる。
 女性はにっこり笑って快く写真撮影に応じる。女性は写真撮影に慣れっこという事もあり、無断で撮られるよりは、こうして許可を得てくれた方が気分的に楽だ。
 その1人を皮切りに、遠巻きに見ていた他のヲタク達も女性へ写真撮影を申し込んできた。
 女性は快諾すると、何故か近くでビラを配っていたメイドさん達も加わり、ヲタウェイの一角はちょっとした写真撮影会の様相を呈した。
 大阪・日本橋には数十軒のメイド喫茶が存在するといわれている。彼女達は日夜しのぎを削っていた。


 スーツ姿の女性はミユ・ベルナール(gz0022)。メガコーポレーションの1つ、ドローム社の若き女社長本人であり、コスプレではない。
 ナイトフォーゲルを始め、あらゆる分野のビジネスに食指を伸ばしているドローム社の中で、今、業績を伸ばしているのが、主にヲタク向け商品を開発・販売している部門だ。
 最近では、日本のアニメ『萌えっ子魔女★ぷりてぃマキちゃん♪』の販売権を獲得し、北米で販売するなど、日本でヒットしたアニメやマンガの輸出を盛んに行っている。
 ミユが次に目を付けたのは、ヲタク文化の発信地である大阪・日本橋への出店だ。
 その為、彼女は先程のように時間を作って大阪・日本橋へ足繁く通い、現地を視察しながら、ヲタク文化への造形を深めていた。


「メイド喫茶は数が多いから、斬新なアイディアがなければ軌道に乗る前に埋没してしまう可能性が高いわね。やはり新参者は無いもので挑むのがベターかしら」
 ミユが出した応えは、同人ショップやアニメショップの出店を視野に入れ、先ずはメイド喫茶を始めとするコスプレ系飲食店での出店だった。
 ミユが考えたのは、『ロリータカフェ』だ。ウエイターやウエイトレスがロリータ・ファッションに身を包んで給仕をするカフェだ。最近、街でロリータ・ファッションを見掛ける事も多くなり、見る方も着る方も抵抗が少なくなっている。ミユはそこに目を付け、甘い雰囲気のロリータ・ファッション甘ロリを始め、黒ロリや白ロリ、クラシカル系ロリータやアリスロリといったロリータ・ファッションを揃えていた。
「ベルナール社長、制服関連の依頼ですか?」
 ウエイターやウエイトレスに能力者を雇おうと、ミユがUPC本部を訪れると、リネーアが応対に当たった。
 ミユが依頼の内容を話すと、彼女は「待っていて下さい」とUPC本部の奥へ消えていった。
 数分後。受付に戻ってきたリネーアは、先程まで着ていたULTの制服ではなく、本人曰わく巫女装束に身を包んでいた。
「巫女装束のウエイターやウエイトレスも萌えると思いますよ?」
「お、ベルナール社長、また何かおっ始めようってのかい?」
 そこへジェームス・ブレスト(gz0047)とハインリッヒ・ブラット(gz0100)がやってくる。昼食を採った帰りにばったり会ったようだ。
「コスプレ系飲食店か‥‥ベルナールさん、飲食店でなくてもいいのかな?」
「と、申しますと?」
「いや、兵を指揮していて常に気を配るのが士気、つまり心だ。心が折れてしまった兵は、例え身体は健常でも戦う事は出来ない。心のケアは大切だ。ベリィルンド君を見ていたら、心のケアを出来ないかと考えついてね」
 ハインリッヒがミユに提案したのは、『ナースセラピー』だった。看護師とアロマセラピーを用いた萌えと癒しの空間を作りたいという。
「やっぱ、『お兄ちゃんかふぇ』でしょ。俺、妹に「お兄ちゃん」って呼ばれてみたいんだよね。日本橋でも妹萌えって結構あるんだろ? そうだ、姉貴も一緒にしたいから、姉妹丼‥‥じゃなくて、『シスターカフェ』なんてどうだい?」
 一方、ジェームスは『お兄ちゃんかふぇ』から派生し、お姉ちゃん萌えも妹萌えも内包した『シスターカフェ』を勧めた。
「‥‥ドローム社としては、大阪・日本橋に出店が成功する事を目標としていますので、それらの飲食店の出店費用は全て持ちましょう」


 斯くして、大阪・日本橋に、ドローム社のコスプレ系飲食店『ロリータカフェ』と『巫女喫茶』、『ナースセラピー』と『シスターカフェ』の4店舗が、1週間の期間限定でオープンする事となった。
 1週間の客入りと売り上げで勝負し、トップだった店舗が正式に大阪・日本橋に出店する事となる。
 能力者は各店舗でウエイターやウエイトレスとして働いても構わないし、同志が揃えば新たな店舗を出店する事も可能だ。
 ここに、後に『第二次制服聖戦』と呼ばれる制服萌えの戦いの火蓋が切って落とされた。

●参加者一覧

/ 大曽根櫻(ga0005) / 真田 一(ga0039) / 花=シルエイト(ga0053) / 相沢 仁奈(ga0099) / 鋼 蒼志(ga0165) / 大泰司 慈海(ga0173) / 犬塚 綾音(ga0176) / 柚井 ソラ(ga0187) / 藤森 ミナ(ga0193) / ツィレル・トネリカリフ(ga0217) / ノエル・アレノア(ga0237) / 神無月 紫翠(ga0243) / 鏑木 硯(ga0280) / 奉丈・遮那(ga0352) / クレイフェル(ga0435) / 鯨井昼寝(ga0488) / 神崎・子虎(ga0513) / ケイ・リヒャルト(ga0598) / 七瀬 帝(ga0719) / シェリル・シンクレア(ga0749) / 皇 千糸(ga0843) / ロジー・ビィ(ga1031) / 獄門・Y・グナイゼナウ(ga1166) / 水理 和奏(ga1500) / 如月・由梨(ga1805) / 篠原 悠(ga1826) / 叢雲(ga2494) / 伊藤 毅(ga2610) / エマ・フリーデン(ga3078) / ゴールドラッシュ(ga3170) / 緋霧 絢(ga3668) / 威龍(ga3859) / 葵 コハル(ga3897) / 葵 宙華(ga4067) / 百瀬 香澄(ga4089) / 蓮沼千影(ga4090) / 鳥飼夕貴(ga4123) / エレナ・クルック(ga4247) / 宗太郎=シルエイト(ga4261) / ミオ・リトマイネン(ga4310) / レーゲン・シュナイダー(ga4458) / アヤカ(ga4624) / 藍晶・紫蘭(ga4631) / 西村・千佳(ga4714) / ルュニス(ga4722) / 影守・千与(ga4725) / キョーコ・クルック(ga4770) / 早坂恵(ga4882) / クラーク・エアハルト(ga4961) / アルヴァイム(ga5051) / クールマ・A・如月(ga5055) / 大河・剣(ga5065) / 葵・純(ga5462) / 藍紗・バーウェン(ga6141) / ラシード・アル・ラハル(ga6190) / アンドレアス・ラーセン(ga6523) / クラウディア・マリウス(ga6559) / カーラ・ルデリア(ga7022) / 不知火真琴(ga7201) / L3・ヴァサーゴ(ga7281) / セリス(ga7290) / 月夜魅(ga7375) / M2(ga8024) / クリス・ディータ(ga8189) / 鷺宮・涼香(ga8192) / ジーン・SB(ga8197) / 伊万里 冬無(ga8209) / 葛城・観琴(ga8227) / 蓮沼朱莉(ga8328) / ジュリエット・リーゲン(ga8384) / 森里・氷雨(ga8490) / 青柳 那津実(ga8530) / ヤヨイ・T・カーディル(ga8532) / エメラルド・イーグル(ga8650) / レティ・クリムゾン(ga8679) / フィリス・シンクレア(ga8716) / 椎野 のぞみ(ga8736) / ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751) / エレノア・ハーベスト(ga8856) / 大和・美月姫(ga8994) / k(ga9027) / 白虎(ga9191) / 天道・大河(ga9197) / くれあ(ga9206) / 瑞姫・イェーガー(ga9347) / 神無月 るな(ga9580) / 水無瀬みなせ(ga9882) / 天道 桃華(gb0097) / ユーリ・クルック(gb0255) / ルシャ・スフェーン(gb0406) / 双寺 文(gb0581) / イスル・イェーガー(gb0925) / 真白(gb1648) / 岩崎朋(gb1861) / RENN(gb1931) / 都築俊哉(gb1948) / シルバーラッシュ(gb1998) / ジェームス・ハーグマン(gb2077) / 周藤 惠(gb2118

●リプレイ本文


●電脳世界の戦い
 ドローム社が“第2の秋葉原”大阪・日本橋は『ヲタウェイ』へ、コスプレ系飲食店を出店する噂は、畿内のヲタクを中心に広まっていった。
 制宙権はバグアに抑えられ、日本国内にも競合地域やバグアの支配地域が混在しており、全国規模の広域を網羅する民間のネットワーク回線は存在しない。大阪であれば、近畿・四国・中国地方の安全な地域を繋ぐネット回線や草の根BBS程度だ。
「ラスト・ホープ内に比べれば制約が厳しいからこそ、サイエンティストの威信に懸けて、検索結果で上位表示を狙える注目度の高い宣伝サイトを立ち上げてやる!」
 サイエンティストの大泰司 慈海(ga0173)は、ファイターの蓮沼千影(ga4090)が設立の音頭を取った【健全バニー喫茶『HJK』】の宣伝サイトの立ち上げに燃えていた。
 ヲタク達御用達のアニメサイトに宣伝バナーを貼ってもらったり、ヲタク達の草の根BBSに宣伝の書き込みをさせてもらうなど、制約を上手く活かして情報戦を展開する。
「むむむ〜、敵も然る者なのです♪ でしたらこちらは、その流れを利用してしまいましょう♪」
 慈海同様、宣伝サイトに目を付けたのが、【ロリィタ・カフェ】のサイエンティスト、シェリル・シンクレア(ga0749)だ。
 HJKは千影の希望もあってコスプレ系サイトとリンクを貼っているが、シェリルはHJKや同じくサイトを立ち上げた【巫女喫茶】に【学校制服喫茶】、【ショタ喫茶】や【KV娘カフェ】とも相互リンクを張った。
 学校制服喫茶の生徒会長こと、スナイパーの緋霧 絢(ga3668)が作成したサイトは奇は狙わず、分かりやすく見やすいシンプルイズベストをモットーに、スタンダードな構成にした。それでも日本橋のヲタクの間で早くも話題になりつつある『カンパネラ』の制服の制服をいち早く取り入れて、検索サイトにバナー広告を掲載している事もあり、アクセス数は多い。
 また、ショタ喫茶は、スナイパーのラシード・アル・ラハル(ga6190)を始め、ウェイターが交代で日記を書いている。

『今日は、たくさん、お客さんが来てくれた。
 でもね、お姉ちゃんの一人に、家に来ない?って、言われちゃった。
 僕は、お兄ちゃんやお姉ちゃんが、いっぱいいてくれるのが、好きなんだけど。
 どうしたらいいのかな?』

「より注目度の高い、楽しめて萌えられるサイトが求められるのです。やるからには徹底的にやりませんとね」
 ロリィタ・カフェのスナイパー、クラーク・エアハルト(ga4961)は、伊達眼鏡のフレームを人差し指で押し上げ、直す。
 ロリィタ・カフェは店の場所や営業時間、メニューに店の雰囲気はもちろんの事、ウエイターやウエイトレスの紹介に個別に立った状態の写真を使用し、名前や好きな物といったプロフィールも完備させた。
 何よりトップページで、ミユ・ベルナール(gz0022)を始め、ロリィタファッション姿の女性陣の集合写真が出迎えてくれるのだ。
 サイトの充実度でいえば、サイエンティストのツィレル・トネリカリフ(ga0217)が手掛けるKV娘カフェも負けてはいない。
「人数の差が、戦力の決定的差でない事を教えてやる!」
 店内と写真入り従業員の紹介やメニューだけではなく、『会計時に言うと、オープン記念の特典限定グッズプレゼント』のキーワード(「KVは俺の嫁」)が記載されている。
 合わせてポイントカードを作成し、お試し期間の1週間はポイント3倍、貯まるとドローム社製のナイトフォーゲルのポスター(限定絵柄)やKV娘のポスターといったグッズ、「○○専用」として通常と3倍何かが違うカップが使用可能なサービスと交換できる。


「かつて自分は言ったハズだ。服装のみで萌えを語る事のナンセンスさを。取り巻く環境との最大限のマッチングこそが、真の萌えなのだと。ひらひらフリフリで華美な服装は確かに見た目は可愛らしいし、目を惹かれるものだ。しかし、飲食店という場において、それは本当に適切な衣装と呼べるのだろうか」
 グラップラーの鯨井昼寝(ga0488)は、白の割烹着+三角巾姿で、日本橋の電気店やヲタクショップを1店舗ずつ回り、挨拶がてら立ち上げた【昭和喫茶】のチラシを貼らせてもらえないか交渉した。
 合わせて割引クーポンを配る。彼女は日本橋近辺で働いているショップの店員に目を付け、未来の常連として早めに掴まえておく考えだった。割引クーポンは昼飯をどこで食べようか迷った時、立ち寄ってもらう下地作りといえよう。
 スナイパーの叢雲(ga2494)もHJKのチラシを近隣の書店とアニメショップに頼んで置いてもらい、南海難波駅と地下鉄恵美須町の掲示板に掲載してもらった。
 赤い胸元露出多目のハイレグバニースーツに、白い兎耳と尻尾を付け、脚には網タイツを穿いたグラップラーの相沢 仁奈(ga0099)が、道行く人にスナイパーの月森 花(ga0053)とファイターの宗太郎=シルエイト(ga4261)とで作った、ピンクで花柄模様が散りばめられた紙面に、手書きの可愛らしいウサギの絵の載ったファンシーなチラシを配ってゆく。
「それ持って来てくれたら、ごっついサービスしたるでー♪」
「こらこら、「そーゆー店」の客引きみたいになっちゃアカンで。おねーさん方も如何?」
 受け取った人にお誘いを掛ける仁奈を軽くたしなめつつ、ディーラー服に黒い兎耳を付けたグラップラーのクレイフェル(ga0435)が、にこにこ笑顔を絶やさずに女性に積極的にチラシを渡してゆく。
「さぁ、魔法少女の何たるかを教えてあげるのですよ?」
 トレーディングカードに代表されるように、種類があれば集めたくなるのがコレクター魂。ダークファイターのくれあ(ga9206)はそのコレクター心をくすぐるように、【魔法少女喫茶】のチラシを2〜3パターンバージョンを変えて作り、時間帯毎に分けて配っていた。
 しかも着ているのは、メイド服のデザインをアレンジし、フリルやアクセサリーを追加した青と白の魔法少女のコスチュームだから、メイド好きにもたまらない。
「チラシのこの部分が名札になっている。名前を記入して来店した客には、名前で呼んで対応するから、是非書いてきて欲しい」
 ファイターのキョーコ・クルック(ga4770)は浴衣姿で【シスターカフェ】のチラシを配る。
 独創的なチラシは、ダークファイターの鷺宮・涼香(ga8192)が配る学校制服喫茶のチラシもそうだ。両面フルカラーで、表面には店舗店の写真と簡単な紹介、メニュー一覧を、裏面にはメンバーの写真&萌え属性を紹介し、店内で行われるゲームの参加券を切り取り式で載せている。
 主にヲタクショップから出てきた若者を中心に配布しているが、白のセーラー服に赤スカーフ、膝丈スカートに白いソックスに黒皮靴と、清楚なおっとりお嬢様に差し出されたら、チラシを受け取らざるを得ない!
「無骨な兵器と可憐な少女の華麗なる融合! KV娘カフェをよろしくー!」
 その横ではスナイパーの皇 千糸(ga0843)が、S−01「えすたん」の衣装を着てチラシを配っている。腹部をスッキリさせて露出させる事で、大きめにした肩パーツとスカートの存在感を出している。また、スカートのパーツの間から覗く生脚が、何とも色っぽい。
 S−01は、次々と新型ナイトフォーゲルがロールアウトされる中、未だ現役の彼女の愛機だ。肩のパーツには千糸のエンブレムが付けられている。
 涼香と対照的に、クールビューティーの千糸が露出の多い衣装でチラシを配っていたら、こちらも自然と吸い寄せられてしまうだろう!
「(女の子女の子した服って恥ずかしいけど‥‥『ふしぎの国のアリス』みたいに冒険するって思えばっ‥‥!)持ってきてくれた方には‥‥ウェイターやウェイトレス手作りのクッキーをサービスだよ!」
 一方、グラップラーの水理 和奏(ga1500)は白系のアリスロリに身を包み、お姉様と慕っているミユのお守りを外から見えないよう首に掛け、元気な声で一所懸命チラシを配っていた。
 和奏に負けず劣らず、元気にチラシを配るのは、シスターカフェのスナイパー、葵 宙華(ga4067)だ。今は白のノースリーブワンピースを来て、甘えっ子の妹というシチュエーションで声を掛けている。
「わかってるとおもうけど、うわきしちゃだめだからね?」
 袖口などを軽く引っ張り、青い瞳で見上げられながらそんな事を言われたら、妹萌えの心を鷲掴み! 否! 妹萌えでなくてもズズキューン☆と萌えてしまう破壊力だ。
 しかもチラシに、シチュエーションと呼び方の希望を書く半券が付いているので、これで行かなければヲタクではない。
 ヲタウェイは早くも華やかな雰囲気に包まれている。そんな中、一際異彩を放っているのが、ビーストマンの白虎(ga9191)と、ビーストマンの藍晶・紫蘭(ga4631)だった。
 白虎はヘッドドレスやリボンで彩られたフリフリのメイド服姿で、メンバーと店の紹介が書かれたチラシを配っているが、受け取るのは女性が多い。そう、一見、ほわほわした雰囲気の女の子に見えるのだが、れっきとした男の子。その立ち姿は年下萌えの女性の心をキュンキュンきめかせている。
 方や紫蘭は、きょぬーを越えた人並み外れた爆乳を、半分以上露出させた巫女装束――白衣に緋袴――に押し込んで、チラシを片手に翳して説明している。
 そのスタイルと相まって、紫蘭の宣伝文句は雄弁であり、彼女の周りにはちょっとした人垣が出来る程だ。内容を十分理解してもらってから1人ずつ手渡す事で、枚数制限があるチラシを無駄なく使っているのだ。
 また、紫蘭が陣頭指揮を執り、『FM−Rev』の特性を活かして巫女喫茶の特集やCMをポッドキャスト配信していた。しかも、サイトには各巫女の写真・簡易プロフィールを挙げるが、最初は写真を黒抜きにし、開店日へのカウントダウンに合わせて少しずつ解放していく事で、ネット利用者の「知りたがり・教えたがり」心理を巧みに操り、口コミで情報を拡大させていった。


「何で分からないの? これからは萌えっ娘なんて古い。萌えっ漢の時代だって‥‥イイ男の需要はあると思ったんだけどなぁ‥‥」
 【青ツナギ喫茶(別称:やらないか喫茶)】を立ち上げようとしたグラップラーのカーラ・ルデリア(ga7022)は、同じく不戦敗が確定した【ナースセラピー】のハインリッヒ・ブラット(gz0100)やグラップラーの鏑木 硯(ga0280)、ダークファイターの森里・氷雨(ga8490)と、オープンカフェの一角を陣取り、紅茶と牛乳と乳酸飲料で自棄酒(?)をしながら、ヲタウェイを歩いてもらった各陣営のチラシを見ていた。
「今はきっと時期とか場所が悪かったんですよ。いつかナースセラピーや青ツナギ喫茶が認められる日が来ますよ‥‥多分」
 硯個人は昭和喫茶派だが、不戦敗が続いた事でUPC軍の重要人物の心が折れて世界崩壊の危機を迎える訳にはいかない。
「失礼します、准将閣下、UPC本部より仕事を預かっております、今週中にあげて欲しいそうです」
「やはり本当に癒してほしい‥‥それが戦いに明け暮れる能力者の願いですから! 入室時の受付でメニュー‥‥容態を聞いた時は心配そうだったナースも、処方のハーブティーを持って来た時は笑ってます。身体にいいハーブ紅茶、牛乳は香辛料、乳酸飲料はビタミン豊富なフルーツ入り! 良い香りで癒されますよね! しかもふ〜ふ〜して飲ませてくれるから、これで元気溌剌。でも微熱が心配‥‥優しくおでこをくっつけ計ってくれます」
 そこへスナイパーの伊藤 毅(ga2610)が書類の束を持ってやってくると、彼はこの後他の陣営にも行くつもりだったが、氷雨から延々とナースセラピーの良さを聞かされる羽目になってしまった。


●巫女みこナ‥‥(以下、自主規制)
「うわーこれ、この衣装‥‥露出高過ぎやしませんか‥‥? コレが基本仕様? はあ、左様で。凄いですね‥‥しまったなー、こんなコスチュームならダイエットしておくのでした‥‥」
「リネーアさん、嘘を教えてはダメですよ」
 ビーストマンのクールマ・A・如月(ga5055)は、リネーア・ベリィルンド(gz0006)が着ているなんちゃって巫女装束を本物と勘違いし、ファイターの大曽根櫻(ga0005)が慌てて実家から持ってきた本物の巫女装束を彼女の身体に当て、手慣れた手付きで着付けてゆく。
 スナイパーの藍紗・T・ディートリヒ(ga6141)もそうだが、巫女装束を愛着している者には、リネーアのなんちゃって巫女装束はアレンジし過ぎとあまり評判が良くなかったものの、ドラグーンの岩崎朋(gb1861)やビーストマンのルュニス(ga4722)にはコスプレ感覚で割と好感度が高かった。
 もっとも、ルュニスは適当にはだけて着崩した堕落巫女風の装束になっていたが。
「ほれほれ〜トシもこの格好好きでしょ〜? しかし‥‥リネーアさんて初めて間近で見たけど‥‥スタイルいいですよね〜。どうやったらそんなにも胸が大きくなるんですかぁ?」
「こうやって毎晩ベッドの上でマッサージすれば、自然と大きくなるのですよ‥‥にゅふふふふ」
「(それにしても‥‥巫女装束‥‥か。普段見慣れない格好だから新鮮に見えるが‥‥)中身が変わっていないのを馬子にも衣装さて言うんだぞ」
 萌がにやにやしながら巫女装束姿を、ドラグーンの都築俊哉(gb1948)に見せびらかすと、彼は溜息をついた。
 リネーアの胸を指で突っつく朋に、ルュニスが手本とばかりに後ろから鷲掴みして揉み始める。頬を赤らめるリネーアから視線を逸らしつつも、朋の方はちらちらと見る俊哉だった。
(「リネーアさんの衣装は目の遣り場に困るんですよ! 普通の巫女装束なら、あの楚々とした雰囲気や着用者の引き締まる感覚やら所作の中に見えるチラリに萌えたりと主張するんですが、だからと言ってリネーアさんの衣装も近くで見てみたく。ぬぬぬ」)
 スナイパーの奉丈・遮那は(ga0352)もまた、神社風の飾り付けをしながら、リネーアとルュニスのスキンシップから目が離せずにいた。
「私達程巫女に似付かわしくない者も居ませんね、ルュニス。悪魔と化猫では罰当たりどころの騒ぎではない」
 ビーストマンの影守・千与(ga4725)はこうなる事は予想していたようで、至って冷静に藍紗と料理の仕込みを行っている。
 藍紗は幼い頃から仕込まれた熟練の調理で、手打ちでうどんやソバを打ち、千与は葛餅やわらび餅、おはぎに大福、ぜんざいなどの団子メニューを一手に引き受け、2人で“魅せる料理”の厨房の大和撫子を体現していた。
 長身を活かして、店舗の前で巫女装束姿で客の整理をしていたビーストマンの大河・剣(ga5065)は、巫女装束と和風メニューが売りのはずの店内からイカと醤油の芳ばしい香りが漂っているのに気付いた。
「ん? なんかイカ臭いな? ‥‥って、アヤカさん、なんでイカぽっぽ焼いてるの!?」
「醤油味のあっさりした串団子もいいけど、イカぽっぽも美味しそうなのニャ。これはあたい個人の料理だから、無くなったらおしまいなのニャ☆」
「イカぽっぽを持ったネコミミ巫女も新鮮で萌えるかも知れないけど‥‥は!? これならミユ社長にも負けないかも!」
 ビーストマンのアヤカ(ga4624)が、店の奥で、七輪で串団子と一緒にイカを焼いていた。やる気満々でロリィタ・カフェ――というか、ミユ――をライバル視するダークファイターのヤヨイ・T・カーディル(ga8532)は、思い掛けない組み合わせでも萌える事に気付いたのだった。
 

●ロリィタ・カフェ
「其は‥‥瀟洒にして頽廃‥‥高貴にして純潔‥‥絶対たる少女の貌‥‥其の美‥‥知らしめる、絶好の機‥‥」
 ファイターのL3・ヴァサーゴ(ga7281)の指示で、店舗は白を基調とした、近代の高級洋館をイメージした内装へ変えられてゆく。照明もそれに合わせ、ランプを模した形状にし、アンティークな調度品の上にビスクドールを置いたり、カーテンやテーブルクロスはレースやフリルをあしらった物にするなど、高級感と清純なイメージの中にファンシーさを加味した造りとなった。
「ヴァサーゴちゃん、柔らかいわねぇ〜。惠ちゃんは胸がこぼれるんじゃない? うふふふふ♪」
「いやぁ‥‥む、胸、触らないでぇ‥‥む、胸見られるくらいなら‥‥まだ、スカートの中の方が‥‥」
 店舗の奥では店内に飾る集合写真の撮影が行われている。
 ダークファイターの伊万里 冬無(ga8209)は黒地の縁に赤色で、フリルたっぷりの黒ロリを選び、首に逆十字架のネックレスを掛け、スカートの下にはお揃いの黒ガーダーベルトを装着し、見えないところにもこだわっている。
 彼女はヴァサーゴの背後から抱き付いて頬を擦り寄せ、空いているもう片方の手でエキスパートの周藤 惠(gb2118)を抱き寄せた。
 惠はJカップの爆乳に強烈なコンプレックスを持っており、ところどころにフリルをあしらった白の長袖ブラウスの上から黒のジャンパースカートを着用し、黒いケープを羽織ってこぼれ落ちそうな胸を隠している。スカートは膝丈、内にパニエを穿き、足回りは黒のローファーと白のニーソックスと、こちらも冬無に負けず劣らずのこだわりようだ。
「それにしても‥‥ミユ社長にロリィタ・ファッションだなんて‥‥はわぁ〜☆ その胸に飛び込ませて下さい〜☆」
 冬無が演出した可憐な少女達がじゃれている和やかな雰囲気に当てられたのか、シェリルと和奏がクラシカル系ロリィタ服に身を包んだミユの胸に飛び込んだ。

「眼福眼福‥‥水理やシェリルにミユ社長の写真を頼んでおいたが、やはりこの眼で一度は見ておかねばな」
「ふ‥‥ミユさんのクラシカル系ロリィタ姿‥‥確かに良いものですね。格好いいけど、何だかんだで面倒見てくれるお姉さんキャラはやばいですって! ラスト・ホープ内屈指のお姉さんキャラ、であるミユさんを俺はこう呼ぼう‥‥ミユ姉さん!」
 巫女喫茶のファイター、真田 一(ga0039)と、シスターカフェのファイター、鋼 蒼志(ga0165)は敵情視察に来たものの、ミユとシェリルと和奏が無邪気にじゃれ合う姿に目が離せなかった。

 ロリィタ・カフェの売りはロリィタの衣装とそれに負けない甘い料理だ。
 赤を基調とし、黒いリボンやフリルをあしらったコケティッシュロリに身を包むダークファイターのエレノア・ハーベスト(ga8856)と、調理しやすいようシンプルな袖の白ロリで全身決め、スカートの裾は膝までで白のガーターベルトを付けたダークファイターフィリス・シンクレア(ga8716)が調理場を担当する。
 クッキーやショートケーキ、パンケーキにパフェにタルトにアイスと、本格的なスィーツが楽しめた。
「フィリスはん、ほっぺにホイップが付いとりはります」
「え!? ひゃ!?」
 フィリスの頬に付いたホイップを、手の放せないエレノアが舐め取ったりと、こちらも甘い雰囲気が漂っていた。


●シスターカフェ
 洋食屋風の家庭的な店内。
「お兄ちゃんお帰りなさい! ‥‥お兄ちゃんが居なくて寂しかったんだよ?」
 スナイパーの真白(gb1648)が上目遣いに来客を出迎える。フリフリの可愛い服を着て、髪は妹の定番の髪型のツインテール。
 客に腕を絡めて思いっきり甘えながら席へ誘導してゆく。先程はデレというように、キョーコが配ったチラシの名札を持ってきて希望するシチュエーションが書いてある客には、最初から対応している。
「お兄ちゃん、わたしが盛り付けたんだよ? 美味しそうでしょう♪」
 えっへんと胸を張りながら客に料理を出すのはサイエンティストのエレナ・クルック(ga4247)だ。ブレザーの上にエプロンを着け、「学校から帰ってきて、着替える暇もなくお兄ちゃんの夕ご飯を作った妹」を演出している。
 メニューはハンバーグやカレー、スパゲティといった家庭で食べられている洋食をメインにしていた。
 調理は黒髪のロングのウイッグを借りて女装したダークファイターのユーリ・クルック(gb0255)が担当しているが、客の要望があれば、担当するウェイトレスが料理を盛り付けた。
「‥‥もぅ行っちゃうの?」
「べっ別にまた来て欲しいなんて思ってないんだからね! 早く行っちゃえばいいのに」


●KV娘カフェ
 そのビルの2階の一室は、壁は鉄板ほぼそのままで、机も食堂にあるようなタイプが置かれていた。ただ、椅子は座り心地は良く、荷物が置けるように多めに用意されていた。
 来客を敬礼で出迎える、LM−01「まてんろう」に扮するサイエンティストの獄門・Y・グナイゼナウ(ga1166)。レースクイーンちっくなヘソ出し衣装で、店内を所狭しとちょこまか動き回る。
 スナイパーのアルヴァイム(ga5051)は、ゴシック調の女性用喪服の上に両肩、胸から下腹部にかけてR−01の装甲を追加した「あるるん」として調理場を仕切り、ジェスチャーと表情、スケッチブックでの筆記で、エキスパートのジーン・SB(ga8197)達ウェイトレスとコミュニケーションを取っていた。特にスケッチブックでの筆記が「違和感のない無口なキャラ」としてウェイトレス並みに受けてしまった。
 あるるんがベルを鳴らして料理が出来た事を報せると、分厚い胸部装甲に安定感のあるスカート部、8式螺旋型エクステンションを装着したF−104「ばいぱー」ことジーンが料理を運んでゆく。重装ながら安定した給仕能力を誇る理由は、ブラックボックスたる『ブースト空戦スタビライザー』のお陰であった。
「戦果と生還をお祈りしています」
 レジはPM−J8「あんじぇりか」のコスチュームに身を包んだダークファイターの葛城・観琴(ga8227)が主に担当していた。アンジェリカの脚部と同じ色のオーバーニーソックスと長手袋を付け。服の色もアンジェリカと同じ。スカートはミニだが腰の後ろに冷却索を模したリボンがあり、服の胸部は無く、白いビキニのブラを付けただけでバストが露出している。観琴の豊満な胸をSESエンハンサーに見立てたデザインだ。
 その他、W−01「てんたくるす」など、KV娘をデザインしたのはダークファイターの天道・大河(ga9197)だった。彼はサイトに、正義と悪の戦いのストーリーと見せかけた日常萌え系4コマ漫画『武装少女ないと☆ふぉーげる』を連載している。


●チャイナ服喫茶『紅香(ホン・シャン)』
 グラップラーの双寺 文(gb0581)は、『隠れ家的で本格的な中国紅茶と点心が楽しめるお店』を目指していた。
 その為、紅茶のメニューを充実させて喫茶店として普通に宣伝し、コスプレ喫茶の情報は大きく公開しないで、ネットを巧みに使って情報をリークし噂を広め、口コミで客を呼ぶ手法に出た。
 内装や音響は、スナイパーの篠原 悠(ga1826)が手掛けた。
 中国奥地の自然をモチーフに、店内に中国四川省北部、九寨溝(きゅうさいこう)をイメージした青く澄んだ湖を再現した。
 また、内装に合わせて自然音や木々のざわめく音を中心に、チャイニーズクラシックが微かに聞こえる落ち着いた環境音楽を流している。
「少なくとも料理で文句が出ないだけのものは出させてもらう事にするぜ。美人に囲まれて居るんだから、いつもの以上張り切らせてもらおう」
 料理人を務めるグラップラーの威龍(ga3859)は、腕に寄りを掛け、甜点心は蛋撻(エッグタルト)・芒果布丁(マンゴープリン)・杏仁豆腐・胡麻団子、鹹点心は蒸し餃子・変わり焼売・小籠包子など、メニューを絞り、自分が作れる範囲で最高の物を提供した。それだけではなく、文こだわりの紅茶を先に十分に味わってもらい、それに一番合うように点心の味を調節していた。
 格好良く色っぽい赤のロングスリットのチャイナ服に身を包み、ツインテールにしたファイターの月夜魅(ga7375)は、ダークファイターのレティ・クリムゾン(ga8679)から教わった接客用語を復唱し、接客に臨む。
「いらっしゃいませ〜! お席の方案内さて手いただきまう!」
 “うっかり妖精”“誤字クィーン”の名は伊達ではなく、最初から舌を噛んでしまうが、それが却って“ドジっ娘チャイナ”として人気を博す事になる。
「ようこそ御越し下さいました皇帝陛下。我等一同心よりお待ち申し上げておりました。本日はごゆるりとお楽しみ下さい」
 赤い生地に金刺繍入りの袖なしロングスリットのチャイナドレスを纏い、赤いハイヒールを履き、ポニーテールにしたクリムゾンの接客はフロアチーフを任させるだけあって実に堂々たるもので、且つどこか艶っぽい。
 Vip席を頼んだ客は「皇帝陛下」と呼ぶサービス付きだが、クリムゾンの接客を求めて多くのヲタクが利用したという。


●昭和喫茶
「丼勘定でビジネスを始め、泣きを見てきた連中はそれこそ星の数程見ているわ。萌えとてビジネス。飽きの早い萌え属性は、今回のドロームの計画には不向きだわ。特に日本橋ともなれば、流行り廃りの波は激しいもの。息の長い萌えを考えた場合、多少地味であるが故に、今回の昭和喫茶は適しているわ」
「だな。ヲタクと一概に言っても、アクティブな連中ばかりとは限らねぇ。コスプレ喫茶は一般的なカフェに比べ、敷居が高ぇよ、やっぱ。特にシャイなボーイ達には、勇気を出して入店したとしても、居心地の悪さを逆に感じんじゃねぇか?」
 ファイターのゴールドラッシュ(ga3170)とドラグーンのシルバーラッシュ(gb1998)姉弟はビジネスチャンスと捉え、水面下で動いていた。
 店舗は、店先から店舗内が見渡せるオープンな雰囲気を作り、一見客でも入店しやすい雰囲気を重視すると共に、昭和の香り漂う、レトロでノスタルジックな調度品や照明で統一した。
 また、ヲタウェイから少し離れるが、服飾店と衣料品店に話を持ち掛け、割烹着を着てみたい、欲しいという人に紹介する流れを作った。
「いらっしゃいませ」
 店内に入れば、珠を転がしたような小気味良い声とほんわかな笑みで、スナイパーの柚井 ソラ(ga0187)が出迎えてくれる。萌黄色の着物の上に白い割烹着を付け、髪を邪魔にならない程度にシンプルなヘアピンで留めたその姿は、どこか郷愁を誘い安心する。
 小地谷縮の生成の地に藍色の細かい縞模様の着物の上に割烹着と三角巾を着用したエクセレンターのM2(ga8024)が、みたらし団子や五平餅、クリームぜんざいにあんみつと、懐かしいメニューで持て成した。振り返ると銀鼠色の帯の背に団扇を差すこだわりようだ。
 ランチ時間帯にはカレーと豚の生姜焼き定食、ナポリタンとチキンライスのオムライスがメニューに追加され、着物に割烹着姿のファイターの如月・由梨(ga1805)が席まで運んでいった。
 午後3時のおやつの時間になると、ごーりごーりと氷を削る豪快な音が通りに響く。水色の涼しげな着物を着て、足元は草履履き、フリル多目の割烹着を付けたダークファイターの青柳 那津実(ga8530)が、ブロック氷を手回しハンドルで削る、昔ながらの手法でかき氷を作っているのだ。
 ラムネやレモネード、ホット&アイスコーヒーに麦茶に番茶と、飲み物もレトロだが、エキスパートのエメラルド・イーグル(ga8650)は加えて、従来のコスプレ喫茶の概念を覆す、持ち帰りメニューの充実も図った。
 こうした電気街では買い食い客の需要が多い。持ち帰って食べたい、お土産が欲しいといった声に応えると共に、他の喫茶店帰りの客にもアピールする意味で、店先に長テーブルを設置し、飲み物の他にアイスキャンデーや棒に差して冷やしたフルーツ類、作り置きが効く菓子類を用意し、「お母さんお腹すいたよ」という声に全力で応えたのだった。

 エキスパートのユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)は割烹着がちょっと恥ずかしいのか、白銀の髪に青いリボンを編み込み、伊達眼鏡を付けて、休憩時間に、こっそりHJKの様子を見に行った。


●健全バニー喫茶『HJK』
 スナイパーの七瀬 帝(ga0719)の手によって内装が整えられてゆく。
 白を基調とし、赤や黒をアクセントにした室内には、カジノにあるような半月状のテーブルが3台程度置かれ、後はカウンター席になっている。トランプをモチーフとした小物で可愛くもスタイリッシュに仕上がった。
 また、ビルの中だが、エレベーターホールから中がある程度見えるようガラスをふんだんに使い、入りやすさを重視しつつ、バニーガール達を引き立てる造りだ。
「綺麗に咲きましたの。お使いになられまして?」
「ありがとう。ロジーくんに似て可憐だよ。しかし、本当の華はバニーガールの皆さ‥‥!! そして一番美しいのは、壮絶美形スナイパーの僕だけど!! はーーーーはっはっはっはっはっは!!」
 スカイブルーのバニースーツにハイヒールを合わせ、青い編タイツを着用したファイターのロジー・ビィ(ga1031)が、兵舎で栽培している薔薇を内装用に持参する。気障な台詞が自然に出て、それが似合ってしまうのは帝の人柄と後光の成せる業と言える。
 サイエンティストのアンドレアス・ラーセン(ga6523)が、カジノ風の店内に合わせてジャズ中心の大人な曲をチョイスすると開店準備が整った。
「皆、集まってくれてありがとう! 素晴らしい従業員の集まりに心から感謝だ。お触り厳禁の、あくまで純粋にバニーを愛で、バニーラヴ!! を広めるお店だ。お客を楽しませ、自分達も楽しむ! をモットーに、一週間頑張ろう!」
 黒のディーラー姿の千影が開店の挨拶を行う。始まったばかりだというのに、妹のダークファイター、蓮沼朱莉(ga8328)のバニースーツに兎耳&兎しっぽ、網タイツ、そして黒ハイヒールを始め、勢揃いしたバニーガール達に感極まるものがあり、一瞬ホロリとしてしまったのは内緒だ!
 余談だが、店名の「HJK」は「HATUJOUKI(発情期)」の頭文字なのも、千影の心の中だけの秘密だ。

 HJKの営業時間は10時〜20時となっており、朝番・昼番・夜番が割り振られている。
「コインの代わりに幸せ増える、シアワセうさぎの園HJKへようこそッ!」
「御指名のウサギさんはお決まりですか? お決まりでなければ私、ミオがご相手させて戴きます」
 朝は、黒のハイレグバニースーツとヒールを身に付けたグラップラーの百瀬 香澄(ga4089)と、ネイビーのハイレグバニースーツに同色のウサミミとヒール、ディーラー風のベストを羽織り、網タイツを着用。白い尻尾のスナイパー、ミオ・リトマイネン(ga4310)が笑顔で出迎える。
 執事服に黒ウサ耳&ウサ尻尾を付けた叢雲が、オムライスや人参とツナのパスタ、特製ソースのハンバーグにBLTサンドといった本格的な料理を作り、紺色のバニースーツに白のウサ耳とカフスタイ、紺のニーソックスに同色で低めのハイヒールを纏ったエクセレンターのジュリエット・リーゲン(ga8384)が注文した客まで運び、
「出来立てですので、大変お熱くなっておりますわ。わたくしが冷まして差し上げますわ」
 と、縦ロールの鬢の髪を押さえながら、ふーふーと息を掛けて冷ましてもらえれば、眠気は一発で吹き飛ぶというもの。
「兎って、寂しいと弱っちゃいます。また、来て下さいね」
「暑いから水分補給はしっかりして気合いれていきな!」
 しかも帰り際に朱莉にそんな事を言われたら、また来るしかない! また、赤いバニースーツに網タイツ履きのファイター、犬塚 綾音(ga0176)の一言は、「はい姐さん!」と気合いが入る。

 昼になるとバニーガール達は一新される。
「当店は食事券制、になって、おります」
 入口で出迎えるのは、車椅子に座ったスナイパーのk(ga9027)だ。一見、儚いイメージのバニーガールだが、紫色のバニースーツは色っぽいし、車椅子に座っている事で網タイツを履いた太腿から足がより身近に感じられるから不思議だ。
「ほわわ!? こぼしちゃいました〜」
 白のバニースーツに白いうさ耳ヘアバンド姿のサイエンティスト、クラウディア・マリウス(ga6559)は何もないところで躓き、アイスティーとミルク、ガムシロップをモロに被ってしまう。

 そして夜は夜で、雰囲気はまた変わる。
「いらっしゃいませ! 当遊技場へようこそ。本日はどうぞお楽しみ下さいませ」
「いらっしゃいませ? ごゆっくりしていって下さいね? あなたの良い思い出ができますように」
 背中はリボンで編み上げ、袖口と襟元にレースと赤いリボンをあしらい、柔らかなレザー素材のハードながらも可愛い白いバニースーツを着、白のウサ耳にハイヒール、健康的な生足のグラップラー、不知火真琴(ga7201)が健全せくしぃで出迎えてくれる。
 一方、この時間帯になると女性客も増える。薄化粧し、紫色のハイレグバニースーツとハイヒールに網タイツ、金色の髪を下ろしたスナイパーの神無月 紫翠(ga0243)が、優雅に扇を扇ぎながら女性客の応対に当たった。
「坊や達、今日は何をしたいの? ふふ、お姉さんがたっぷり楽しませてあ・げ・る」
 加虐的な笑みを浮かべてSっぷりを発揮するのは、スナイパーのケイ・リヒャルト(ga0598)だ。黒いラバー製のバニースーツにハイヒール、カフスの釦と蝶ネクタイは紫、編タイツを着けたその姿はまさにSっコバニーさん。彼女のハイヒールに踏まれてみたい!
「お客様、今日も暑いですし、冷たいお水はいかがでしょうか‥‥? どうぞそのままお食事をお楽しみ下さい‥‥」
 夜になり、アルコールが入ると、ちょっと茶目っ気が出てしまう困った客もいる。黒いバニースーツを着たグラップラーの朧 幸乃(ga3078)は、うまくいなして、すかさず冷たいお水のグラスを1杯渡し、酔いを冷まさせるのだった。
 お陰でボディーガードの宗太郎の仕事はあまりない。
「宗太郎クン‥‥今、時間空いてる?」
「いつもの兎もいいですけど‥‥こういうウサギさんも、新鮮ですね」
 お店の裏で宗太郎と花が彼女か『そーたーろーくん ダイスキv』とケチャップで書いたオムライスを一緒に食べたという、ラブラブな一時を過ごしたとか。

「すごい人出ですけど、おねえちゃの方はどうなっているかなぁ」
「‥‥学生服喫茶も気になるねんな。緋霧がおるし‥‥休憩中やから、こっそり覗きに行ってみるか。緋霧の制服姿、どんな感じなんか、めっさ気になる‥‥」
 サイエンティストの藤森 ミナ(ga0193)とクレイフェルは、休憩時間を利用して学校制服喫茶を見に行った。


●学校制服喫茶
 正面の壁には黒板が、その前には教壇があり、昼食時に班で机を向かい合わせて座る光景が再現されている。他の壁面にはエキスパートの椎野 のぞみ(ga8736)達、ウェイトレスやウェイターが書いた、生徒達の絵や習字を模したメニューが掲示された、懐かしい教室風の内装になっていた。
 カンパネラの制服に伊達眼鏡という組み合わせで、青を基調とした可愛い三角巾とエプロンを付けたのぞみが手掛けるメニューも、焼そばや揚げパン、コッペパンといった学校給食で食べられている定番料理や、クレープやたこ焼きといった、学園祭を彷彿させる料理がメインだ。
「カレーは量を作ってこそ、おいしいですからね」
 また、給食の人気メニューの筆頭カレーは、ドラグーンのジェームス・ハーグマン(gb2077)が、一番大きい寸胴鍋で父親直伝の英国海軍カレーを作っている。
「やー、制服着るのなんて何年振りだろ? と言っても、学ランは初めてなんだけどねー」
「あ、でも、葵さん、この『IMP読本』によると、学ランを着てもらいたいメンバーNo1だそうですよ」
 「にゃっはー」と笑うファイターの葵 コハル(ga3897)に、ビーストマンの大和・美月姫(ga8994)が同人ショップで手に入れた、彼女達が所属するアイドルグループ『IMP』のファンが書いたメンバー解説や妄想がふんだんに載った同人誌を示した。
 大阪で行われている同人誌の祭典『コミック・レザレクション』でミニステージライヴを行ったりと、IMPの名は近畿地方で知られており、学ラン姿のコハルと、ブレザー+伊達眼鏡の組み合わせで英国貴族系のお嬢様よろしく、英国風の紅茶やお手製のスコーン、クッキーでもてなす美月姫目当てのヲタクも少なくなかった。
 元々知名度のある2人が火付け役になったのは確かだが、ところどころに血痕が付着しているセーラー服を着、手に血糊の付いた玩具のアーミーナイフを持ったダークファイターの水無瀬みなせ(ga9882)や、同じくセーラー服だが、袖をたくし上げて肩を出し、腕と人差し指の第二関節に絆創膏を捲いているダークファイターの柿原ミズキ(ga9347)のように、猟奇系やボーイッシュ系の制服にも次第に注目が集まってくる。
「うぇっ‥‥な、何これ? おっかしいなぁ‥‥ちゃんと作ったハズなのにごめん、こんなハズじゃなかったんだ」
 特にミズキの調理実習風手作りクッキーは、彼女の反応が可愛らしく、すこぶる人気が高い。
「‥‥ご注文、承りました‥‥ひとつ言うけど‥‥あんまりじろじろ見ないでよね‥‥」
「君の為に作ったんだもん。当然だよ♪」
 カンパネラの女性用の制服を着たスナイパー、イスル・イェーガー(gb0925)の、そっけない静かなツンデレや、艶やかなプラチナブロンドを大きな青いリボンで束ね、ブレザーを纏ったスナイパーの神無月 るな(ga9580)の、のんびり先輩とのあっち向いてほいといったミニゲームも次第に熱気を帯びてきたのだった。


●ショタ喫茶
「女性陣には女性の萌えよりショタの萌え! 今こそ僕達の魅力を皆に知らしめる時だね☆ ‥‥という訳、ノエルん一緒に頑張ろうね♪」
 半袖シャツに蝶ネクタイを着け、青の半ズボン+サスペンダー姿のファイター、神崎・子虎(ga0513)が、お揃いの衣装のグラップラー、ノエル・アレノア(ga0237)に抱き付いて頬刷りする。
 穢れを知らない美少年達の半ズボンから伸びる生脚は眩しく、大人の女性にとって眼福にも毒にもなる。
 店内は、青色をメインとしたカーテンに、床はフローリング、隅にやや大きめのベットや勉強机など年頃男の子の部屋を思わせる家具が置かれ、14型のテレビが客の見やすい位置にところどころにセットされており、店内各所に仕掛けられた隠しカメラによって、ショタっ子が甲斐甲斐しく働く姿を見る事が出来る。
 材料運びなど、裏で雑用しながら、モニターに映されるショタっ子を見てハァハァと荒い息を吐くスナイパーの葵・純(ga5462)。防犯の為と銘打って、全カメラの映像は裏方へ回されているが、この内装は当たりだ!
「いらっしゃいませ、お姉さん。本日は女装日になっております」
「ご奉仕しますにゃん☆」
 少しはにかんだ顔で、店の前で呼び込みをするドラグーンの柿原 錬(gb1931)。彼の身を包むのはミニのエプロンドレス、紅いパンプスにオーバーニーソックス履きで、頭に流れ星の飾りの付いた白いカチューシャを付けている。
 方や、ビーストマンのルシャ・スフェーン(gb0406)は、黒を基調としたシンプルな長袖・ロングスカートのメイド服の襟元に白のリボンをあしらい、真っ白なふりふりのエプロンとカチューシャを着け、脚には白のストッキング、靴は黒のローヒール履きでネコミミメイドになっていた。
 2人の表情はまさに年増殺し、特段ショタ属性のない女性もふらふらと吸い寄せられていくのだった。


●魔法少女喫茶が勝てない理由
「魔法少女‥‥それは古くから在る萌えの形態。時代に合わせ形を変え、品を変え、進化してきた。これでわたしは‥‥勝負する!」
 意気込むダークファイターのクリス・ディータ(ga8189)。上着は黒を基調とした軍服風の衣装にミニスカ。脚には赤いラインが入った黒のオーバーニーソを穿き、絶対領域を完備。手には肘上まで覆う黒の長手袋、靴は銀色のメタリックなヒール。白いマントを羽織り、赤いリボンでツインテールを結う彼女のDNAが勝てと言っている。
 店内は、清潔な可愛い女の子の部屋っぽく、魔法少女のマスコット的なファンシーなぬいぐるみが溢れている。
 髪をツインテールにし、レオタード地の衣装の上にミニスカートやフリフリの上着を羽織るファイターの鳥飼夕貴(ga4123)が手掛ける料理は、タコやイカを使った海鮮パスタとピラフが売りだが、『クリスのカキ氷@ブルーハワイ』『夕貴のココアパンケーキ』『桃華のドリルパフェ』『千佳のねこまんま』『くれあの秘密のミルクティ』『セリスのとろーりあんかけチャーハン』など、ウェイトレスオリジナルの魔法少女メニューも目玉として存在している。
「お待たせしました‥‥あんは熱いので気をつけて‥‥ね?」
 早速、セリスのとろーりあんかけチャーハンのオーダーが入り、ピンク色のノースリーブ+ベスト+プリーツスカートに黒ニーソと短めのステッキといった正統派魔法少女の衣装に身を包んだサイエンティストのセリス(ga7290)が客席まで運び、客の目の前であんかけを掛ける。
「うにゃ!? うー‥‥バランス崩したにゃー‥‥って、うみ!? 何にゃ、これ!? 絡みつくにゃー! みっ、変なところに入るんじゃないにゃ!?」
「大丈夫‥‥今、舐め取ってあげるから‥‥ぴちゃ‥‥ん‥‥」
 黄色を基調としたメイド服調の魔法少女服に猫耳と尻尾を付けたビーストマンの西村・千佳(ga4714)が、セリスの近くで転んでしまい、頭から豪快にあんを被ってしまう。
 ミルクをベースにしているせいか、白濁し、ドロッとしたあんが、千佳のふわふわっとした髪から鼻梁を伝わって口の周りに滴り、そのまま小振りな胸と大股開きになった太腿を穢していった。
 慌ててセリスが白濁したあんを指で掬い、舐め取ってゆく。
「指で掬い取るより、拭いた方が早いって! スカート潜りだけはショタっ子相手にはできない荒業! 聖地じゃ! エルドラドじゃー!」
「ふぇ‥‥きゃー!? 何でこっちも脱げてるの!? マジカル☆ツインドリルー」
「ひゃ! うぁ‥‥へ、変態! ‥‥闇へ‥‥消えなさい!!」
 敵情視察に来た純だったが、ついでのちょっとイタズラが、ファイターの天道 桃華(gb0097)も巻き込んで大きな惨事に。
 ブレザーをベースに、純白を基調とし、胸や各所にリボンやアクセサリーで華やかにして、胸と腕に星型のエンブレムの刺繍を施した衣装を脱ぎ捨て、第二形態とも言うべき、下に着込んでいた星型のアクセサリーやフリルスカートの付いたレオタード型魔法少女服へ変身した桃華が自分の髪型(=ツインドリル)をイメージたパフェを純の顔に放ち、セリス達がフルボッコにしたのは言うまでもない。


●第二次制服聖戦集結
「やっぱり、料理の質は重要だけど‥‥どこも1人は上手い人がいるのか横並びやね〜。ショタ喫茶はすっごいアングラな感じが‥‥可愛いから許すけどっ。巫女喫茶は‥‥考えてみれば、能力者って何故か、巫女が多いしねぇ。インパクト不足? 一般人は引き込めるかな?」
 ミユは売り上げと、客として自腹で各陣営を行脚したカーラの意見を吟味し、HJKを正式に採用した。また、次いで売り上げの高かった巫女喫茶はこの売り上げを叩き出せる限りは残すとし、昭和喫茶と学校制服喫茶は合わせてみてはどうかと妥協案を出した。尚、魔法少女喫茶とKV娘カフェは、併設する予定の同人ショップの商品として制服を採用したいと考えている。
「髪も銀に染めた方がよろしかったでしょうか?」
 観琴がミユにKV娘のコスプレ評価を聞いたのが良かったようだ。

「‥‥1週間お疲れさまです、ちかv」
 1週間の激戦が終わり、千影はHJKの控え室でうたた寝をしていた。
 サイエンティストのレーゲン・シュナイダー(ga4458)は“ちか専用”を謳っており、パステルカラーの目に優しい緑のバニースーツにカラーとタイ、カフスにうさ耳としっぽを纏い、千影を起こさないよう頭を膝枕にして、髪を優しく撫でる。
「レグ‥‥めがねっこうさラ〜ヴ。広がれ、バニーの輪‥‥」
「‥‥寝言? もぅ、ちかったら‥‥あ。ちかのほっぺに網タイツの跡が‥‥」
 レーゲンはぷにぷにと千影の頬を突っついて遊んでしまった。
 こういうのを幸せと言うのだろう。