タイトル:【KV☆】五彩の輝きマスター:きっこ

シナリオ形態: シリーズ
難易度: やや易
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/08/19 18:52

●オープニング本文


前回のリプレイを見る


●社長、大満足
 KV☆第四回公演を終えた会場から、家族連れを中心としたファン達が流れ出てくる。
 自らがファンとするKV☆の色をした応援メガホンや、新発売のKVテクター型トランシーバー、ピンナップや解説が載せられた各キャラごとのミニファンブックなどを手にしたファン達は皆一様に笑顔を浮かべていた。
「ホワイトとルナゴールドの戦い、すごかったね」
「ルナはどうなったのかな?」
「ホワイトは大丈夫なのかな?」
 今回の公演に際して掲示されていた告知ポスターには『さようならルナゴールド‥‥』のあおりがあったのだ。舞台のラストでは、ルミナの安否は不明のままだ。
「まさかこのまま以降の出番は無いという事はあるまいな」
「いや〜、KV☆側につくんじゃないかな」
「どちらにしても、あの凛々しくも麗しいルナ様はもう見られない事に変わりはないんだろうな‥‥くっ」
「後続のダークラピスに期待だな」
 大きなお友達にも、今回の公演は大きな反響があったようだ。
 前回公演から出演者達の有志による出資で用意されている、戦災孤児などを招待する『フェアリーシート』も好評なようだ。多数の応募の中から選ばれた子供達は、KV☆の舞台に夢と勇気を与えられて帰っていく。
 第四回公演は前回同様満席で、好評に終わった。

 その後、公演の主催であるイベント会社『イツメパイユ』の事務所では公演で回収したアンケートの整理に追われていた。
 アンケートには『舞台・KV☆』に対する応援や感謝、今後の展開に期待するのコメントが多数寄せられている。中には自分が贔屓するキャラをもっと活躍させて欲しい等という意見もあった。
「すごい量ですね〜、最近はヒーローショーもものすごい人気なんですよ」
 アンケート用紙の仕分を手伝いながら言うのは、ヒーローショーの司会を担当している水瀬春花だ。今は舞台がメインとなっているものの、原点であるヒーローショーもイツメパイユの役者スタッフによって継続して行なっている。
 地元のスーパーやデパート、テーマパークなどから依頼を受けて出向いているが、近頃は県外からの要請も増えてきている。
「インターネットで寄せられているコメントでも、第四回のチケットを買えなかったっていう人が結構いるからな」
 KV☆の原案者でマネージャーを務めている真壁秋良は第五回公演に向けての準備を着々と進めていた。スタッフ達が手分けして纏め終えた分からアンケートに目を通していた社長が立ち上がった。
「真壁くん、次回の公演はもうひとまわり大きい会場を用意しましょう。第四回も素晴らしい舞台でした。ルナゴールドとの戦いにひと段落ついた事ですし、物語も舞台も、更なるステージへとのぼりつめるのですっ!」
 語りながら社長の声は次第に熱を帯び、終いには拳を高く突き上げていた。

●というわけで
 LH本部では、オペレーターの小野路綾音(gz0247)により第五回KV☆公演の説明が行なわれていた。
「いや〜、前回も素晴らしい舞台でしたねぇ。今回も観に行きますから〜」
 言いながら、綾音は『イツメパイユ』から預かった資料を手渡していく。
「今回から、更に大きな会場での公演になるそうです〜。満席目指して頑張りましょうねぇ!」

●以下資料
【地球戦隊KV☆STAR(テラセンタイ・ナイトフォーゲル・スター)】
 クラッシュバグに対抗すべくテラ・ネットワーク財団が生み出したヒーローがKV☆STARである。
 財団所有のKV☆養成所では、地球の平和を守るための戦士達が日夜訓練を重ねている。
 普段は白と銀をベースにしたKV☆養成所のジャケットとブーツを着用。
 変身時は「地球(テラ)パワー、セット!」の声と共に腕時計型の通信機兼発動スイッチを押す。
『KVテクター』というKVを思わせる装甲(口元以外を覆うヘルメット、胸・腕・脚装甲。背中に機翼)を纏った戦士となり、数倍の能力を発揮できる。
(舞台では、ジャケットやベルト、ブーツの模様に紛れるように装着されたパーツが展開し、装甲へと変形する仕組になっています)

・決定済KV☆
 スターブラック・黒木メイ
 スターホワイト・吹雪レイナ
 スターブルー・天野ユウリ
 スターピンク・春風サクラ
 スターシルバー・星川ショウキ
 スターオレンジ・時雨アヤメ
 スターパープル?・下部戸レイ
(名前はお子様に判りやすいようカタカナに変えてあります)

【クラッシュ・バグ】
 地球を乗っ取り占領するために宇宙から来た悪の組織。ボス、幹部、魔獣、戦闘員という縦社会によって構成されている。
 魔獣は地球の生物をベースにメカ改造を施したモノが多い。名前は『改造元生物の名前+バグラ』。
 また、ドクター・ウォッシュの開発した『D(ダーク)テクター』を装着した戦士も新たな戦力となっている。

・登場済幹部:クリムゾン船長、ドクター・ウォッシュ、コマンダー・シャドウ
・『D(ダーク)テクター』:ルナゴールド、ダークラピス
・故 魔獣:クマバグラ、ライオンバグラ、クモバグラ、クラゲバグラ、バクバグラ

【国連地球防衛軍・特別即応班】
『Union Deffence Force』『Special Counter Team』
 財団所有のいわゆる民間戦力であるKV☆と対極にある公的な軍。
 KV☆と協力体制をとることもあるが、戦力的にはクラッシュ・バグ戦闘員と互角程度なので言わばやられ役。

・登場済:沢渡ユキ少尉

●参加者一覧

ジャンガリアン・公星(ga8929
27歳・♂・JG
瑞姫・イェーガー(ga9347
23歳・♀・AA
RENN(gb1931
17歳・♂・HD
鬼道・麗那(gb1939
16歳・♀・HD
天戸 るみ(gb2004
21歳・♀・ER
Y・サブナック(gb4625
18歳・♂・DG
シャーミィ・マクシミリ(gb5241
14歳・♀・HD
桜井 蒼生(gb5452
17歳・♀・DG
カイト・レグナンス(gb5581
18歳・♂・FC
桂木穣治(gb5595
37歳・♂・ER

●リプレイ本文


 KV☆テーマ曲とOPナレーションが流れ、舞台がライトアップされた。
 無数に並ぶ機械が怪しく明滅する薄暗い空間で、無心に機械を操作しているのはクラッシュ・バグの幹部にして研究者であるドクター・ウォッシュだ。いつもの白衣姿に頭部や左腕の包帯が痛々しい。
「ウォッシュ様ぁ。あっそびましょ♪」
 媚びるような女性の声。舞台袖に当てられたスポットにアゲハ蝶の羽を持つ女性型ロボが照らされる。きぐるみの中の人がボイスチェンジャーを使用した声が、よりロボらしさを醸し出している。
 数回呼びかけても振り向きも返事もしないウォッシュに、彼女は大げさに溜息をつく。
「ルナ・ゴールドなんかを庇って大怪我をして帰ってから、ろくに治療もしないで研究ばっかり。このアゲハバグラよりも大切な研究って何かしら」
 艶やかな仕草で両手を広げてみせたその身体は、魔獣とは思えないほどグラマーだ。ウォッシュの背後に歩み寄りしなだれかかると、その指を背中に這わせる。
「ねぇ、ウォッシュ様ぁん‥‥あっ」
「うるさい、我は今忙しいんだ!」
 機械義手の右腕でアゲハバグラを振り払ったウォッシュの眼鏡の奥、隈取のように赤いラインを引いた眼は怒りと憎しみで鮮烈な光を放っている。そこにかつての面影は無く、アゲハは一瞬気圧されたが気を取り直して言う。
「じ、じゃあ、KV☆を倒したらご褒美くださる?」
「褒美? ふん‥‥」
 口端を歪めて笑い、ウォッシュはアゲハの身体を引き寄せ、もう一方の手で顎を上向かせる。
「言葉通り倒せたなら考えてやろう」
 言いながらアゲハの身体を突き放す。
「そんなウォッシュ様も、ス・テ・キ。待ってらっしゃい、KV☆共!」
 そのまま舞台袖へ移動するアゲハと再び研究に没頭するウォッシュを残して舞台は暗転した。


 舞台は白い病室のセットへと変わった。
 中央に一台据えられたベッドに横たわっているのは、ルナ・ゴールド――陽ノ元ルミナだ。そこへ、腕に包帯を巻いたレイナが歩み寄る。
「ちぃ、流石の私もキツイ‥‥かな」
 身体を動かすのも辛い様子で眠ったままのルミナへ呼びかける。
「姉さん‥‥監視付の治療だけど、しばらく我慢してね。洗脳が解けているのかがはっきりしない今は仕方ないの」
 刹那、腕のテクターからクラッシュ・バグ出現を知らせるアラームが鳴り響く。レイナは振り切るように病室を後にする。
 舞台が暗転したと同時にアリスの声が響く。
『クラッシュ・バグが出現したのは、灯台のある岬だよ。KV☆は急いで出動して! 魔獣だけじゃなくて、幹部クラスもいるみたい。皆、気をつけてね』
 入れ替えを済ませた舞台に光が灯り、右袖からKV☆が走り込む。灯台のある臨海公園風の書割を前に、ショウキが辺りを見回す。
「どこだ、クラッシュ・バグ!」
「私達に恐れをなして逃げたんじゃ?」
 アヤメの期待に反して声が響く。
「世を照らす光ある所に影あり」
 左袖から両腕に手甲をつけた赤眼の男が姿を見せた。
「クラッシュ・バグの幹部の一人、コマンダー・シャドウだ」
「やはり貴様か、シャドウ!」
 ライバルであるメイが言うと、シャドウが一瞥する。
「久しぶりだなぁ、ククク。ドクターが新兵器の開発で忙しいらしいのでな。わざわざこの俺が出て来てやったという訳だ。さあ楽しませてもらおうか」
 KV☆と対峙するシャドウの背後で、黒いボンテージに身を包んだダーク・ラピスが見下した視線をKV☆へ向ける。
「今回こそはあたしの前にひれ伏してもらう。アゲハバグラ!」
 前に出たアゲハはKV☆の女性陣をじっくりと見つめ、溜息と共に首を横に振った。
「哀れなものね。ごらんなさい、この完璧なプロモーションを。貴女達は既に負けているのよ」
「プロポーションでしょう? これだから無知は困りますわね」
「えっ、ク、クラッシュ・バグではこう言うのよ! ええい、これでもくらいなさい!」
 逆に哀れみの視線をレイナから浴びせられ、アゲハは羽を細かく羽ばたかせる。送風機の風に乗せて光る銀色の吹雪がKV☆に襲い掛かった。
「これは‥‥蝶の鱗粉か!」
 言ったユウリが両目を右腕で押さえる横でショウキが全身の痒みを訴えた。レイナはくしゃみを連発し、アヤメは沢山の虫が付いていると駆け回る。
「私の鱗粉には幻覚、催涙、痒み等、様々な効果があるのよ。更に――ミラクルマインドイリュージョン!」
 ワイヤーで宙に浮いたアゲハが大きく羽ばたくと舞台を虹色の光が駆け巡った。光が止んだが、全員何事もなくその場に立ち尽くしている。
「一体何が起こったんだ?」
 KV☆に歩み寄ったシャドウにショウキが立ちはだかる。
「それ以上近づくと‥‥」
「ショウキ? どうした、俺だ」
 シャドウの不審な行動よりも先にショウキは自身の異変に気づいた。
「あれ‥‥なんか声がおかしいような、なんだか目線も――」
 辺りを見回したショウキの視線はアヤメで止まった。
「私がいるー、ってことはどういう事?」
『お兄ちゃんどうしたの?』
「アリス‥‥お兄ちゃんて? アリスはショウキの妹だったの?」
『もしかして中身が入替わっちゃった?』
 その様子を、アゲハは上空から見下ろしている。
「うふふ。ようやく気付いたようね。あなた方の心と体、入れ替えさせてもらったわ‥‥あら?」
 アゲハは突然膝をついたレイナを見つめる。
「何よこの全身の痛みは‥‥ん? あ、ある‥‥あるよぉぉ! D(ダーク)テクターと引き換えに無くなった胸が帰ってきたぁー!」
 感極まって叫ぶレイナに反し、ラピスは悲嘆に膝を屈していた。
「入れ替わっただって!? 更に胸が無くなったじゃないか、絶望的な身体だ! こんなんじゃますます男っぽくなっちまう」
「この麗しい身体のどこが男っぽいってぇ? 失礼極まりないわね!」 
 ラピスに詰め寄りその身体を指しながら講義するのは何故かレイナだった。
「え、レイナ‥‥ではないのか?」
「慌てたところでどうなる訳でも無いでしょう。これだから一般庶民は‥‥一度状況を纏めますわよ!」
 皆を一喝したメイは客席に向かい自分を指差して、
「メイの身体に入っているのが私、レイナで‥‥」
「レイナの身体に入っているのは、ダーク・ラピスよ!」
 隣にレイナが並んで名乗る。その要領で全員が入れ替わりの状況を客席にも解りやすく説明する。
 ラピスの身体にはメイの心が入り、ショウキとアヤメ、ユウリとシャドウが互いに入れ替わっていた。ちなみに以下の記名は身体に準拠している。
「一体どういう事だ! 何故俺がこいつと入替わっている」
 自身の身体を親指で指し、上空のアゲハにユウリが睨みを利かせる。全員の視線の中、アゲハバグラはおもむろに片手を上げた。
「てへっ☆」
 ぽかりと自分の頭を小突いてみせる。
 メイは内心の怒りを客席にぶちまけた。
「このような何の色気もない庶民の身体になるなんて、姉さんに顔向けできませんわ!」
「私はこのままでもいいかなぁ〜。顔はイケてないけど‥‥我慢してあげるわ」
 コンパクトミラーを覗きながら満更でもなさそうなレイナを睨み、メイは身体を返せと詰め寄る。
 ショウキはこの状況にあってもマイペースで、珍しそうに身体を見つめた。
「これが、男の子の身体なんだ‥‥やっぱり付いてる」
『あっ、アヤメ何してるの!』
「わーっ!」
 アリスと赤面したアヤメが慌てて止める。
「別に減るもんじゃないしよくない?」
『よくなーい!』
「それよりアリス、僕の妹だって事は言うなって言ったのに!」
 収拾がつかなくなりかけた所で、ラピスがユウリに言う。
「おい、この入替えを戻す方法は無いのか!?」
「方法は一つ。あいつの触角を破壊する事だ」
 全員の視線をその身に受け、アゲハは狼狽し叫んだ。
「戦闘員の皆さーん、出番よ!」
 舞台の左右からわらわらと出てきた全身黒タイツの戦闘員が、アゲハの足元に居る全員を取り囲む。
「このコマンダー・シャドウに楯突こうとは、覚悟はできているんだろうな?」
 凄むユウリに戦闘員達は二の足を踏むが、アゲハも必死で叫び返す。
「見た目はKV☆なんだから、やっつけたってボスにはバレないわよ! それとも私にお仕置きされたいの!?」
 アゲハの問題発言に止む無く襲い掛かる戦闘員と、KV☆+クラバグ幹部一時共同戦線による乱戦が始まった。


「面倒だな‥‥イライラしてくる」
「私ではこの体を使いこなせないっていうの‥‥スターホワイトって本当に地球人なの?」
 ユウリとレイナの言う通り、入れ替わった身体では思うような動きができず全員が苦戦を強いられていた。
「どうしたらいいの?」
 ショウキの言葉に、アリスが言う。
『KVテクターを装着すれば、少しはマシなはず。私がサポートするから』
 それを聞いたユウリがシャドウに声を飛ばす。
「なるほどな。おい、俺の身体に入っている奴。手甲のテグスを使って時間を稼げ!」
「これか?」
 シャドウがテグスによる広範囲攻撃で戦闘員を足止めしている間に、KV☆が腕の発動スイッチを押す。
「地球(テラ)パワー、セット!」
 KV☆テーマ曲に乗せて各人がKVテクターに身を包みポーズを決める。
「高貴なる黒き輝き。漆黒の翼スターブラック!」
「暗雲切り裂く、じゃなかった天翔る不屈の銀狼。スターシルバー!」
「暗雲切り裂く一陣の光、KV☆スターオレンジ!」
 全員が集まりポーズを決めようとするが、ユウリとレイナのテクターは発動しない。
「何でー!?」
「おい、どうなってる!」
 レイナとユウリが言うが、アリスは冷たく言い放つ。
『愛と正義の心が無いとKVテクターは発動しないの。貴方達が入ってる以上変身は無理』
「じゃあ、あたしは見学してるから頑張ってねー」
 メイは戦線離脱し高みの見物を決め込み、ユウリはシャドウに向けてああでもないこうでもないと苛立ちながら指示を出している。
 一方ラピスはDテクターを発動する事ができずに、三人の仲間に檄を飛ばす。
「三人とも、早く何とかしてくれ!」
「よーし、ゲイザーストーム!」
 シルバーがスターゲイザーを地面に叩きつけた衝撃で戦闘員たちが吹き飛んでいく。 
『アヤメ、じゃ無くてお兄ちゃんも攻撃してよ!』
「でもアヤメの身体に傷がついたら‥‥」
「今はそんな事言ってる場合じゃないよ! 私は気にしないから大丈夫」
 シルバーに言われ、オレンジも心を決めた。スターワイヤーで残りの戦闘員を倒すと、空中に漂うアゲハに向き直る。
「僕達を苦しめた償いはしてもらうよ」
 入替えの犠牲となった全員に囲まれ、アゲハは右往左往する。
「助けて‥‥って、幹部にも狙われてどうしたらいいのー!?」 
「この身体ならば使う事ができるはず。メイ、使わせてもらいます‥‥超高速バーニングモード!」
 逃げようとしたアゲハが、ブラックの身体から発したまばゆい電撃に撃たれ落下する。舞台のフラッシュが止むと、ブラックのテクターがシュテルンからフェニックスへと変じていた。
「これが新しい武器、スターパイル。このような武器は私の趣味に反しますけど、仕方ありませんわね‥‥電光石火ブラックライジング・バンカー!」
 黒い電撃と共に高速でパイルバンカーの杭を連続で打ちつけられたアゲハは悲鳴を上げる。
「きゃああぁ! わ、私の触角が‥‥!」
「これは‥‥」
「元に戻ったんだ!」
 喜ぶシルバーとオレンジにユウリが言う。
「気を抜くな、まだ戦いは終わっていないぞ。地球パワー、セット!」
「輝く白は乙女の純心、純情可憐スターホワイト!」
「大空を翔る自由の翼。蒼天の剣スターブルー!」
 ようやく全員がそろいポーズを決める。
「正義の翼で悪を討つ、地球戦隊・KV☆STAR!」
「皆、武器を!」
 ブラックの声に、全員が武器を持ち寄り巨大バズーカが完成する。
「完成、スターキャノン!」
 オレンジが引き金を引く。舞台に入り乱れるKV☆色の光がアゲハに集まった瞬間、大きな花火が吹き上がる。
「ウォッシュ様ぁ〜ン!!」
 断末魔の叫びと共にアゲハは爆煙の中で姿を消した。
 ホワイトは敢然とラピスに向き直る。
「言いたい事言ってくれたわね、この貧乳女! 私への侮辱、其即ち万死に値すると知りなさい!」
「何をぉ! 貧乳って言った方が貧乳なんですー!」
 言い返し向かっていこうとするラピスにブルーが駆け込みスターブレイドを大きく一閃する。ホワイトもスターバトンを回転させ叫ぶ。
「スプラッシュブレイド!」
「プリティハリケーン!」
「シャドウボール!」
 二人の技はシャドウが連発した影弾の爆風に相殺された。
「今回は退いてやる。次会う時まで首を洗って待っているんだな! シャドウカーテン!」
 足元から立ち上がった影の幕が二人に覆いかぶさり、それが床に落ちた時には二人の姿はその場から消え去っていた。


 舞台は再び病室へ。
「情けない。レイナの姉さんにこんな形で挨拶するとはな‥‥数時間動けなくなるって後遺症があるの解っていてバーニングするんだから性質が悪い」
 言ってレイナを睨むメイはルミナの隣のベッドに寝かされていた。一方当の本人はそ知らぬ顔でポットから注いだアールグレイを優雅に口にし満足気に微笑んだ。
「やはりこの美しさあってこその私ですわ」
「私はもう少しショウキのままでも良かったのになぁ」
 無邪気に言うアヤメに、ショウキが赤面して抗議する。
「勘弁してくれよ」
『またあちこち触られたら大変だもんね』
「やはり、自分の身体が一番だな」
 アリスとユウリが言い、皆が笑いあう姿がゆっくりとフェードアウトする。
 闇に包まれた舞台からスポットライトがウォッシュの姿を切り取った。
「とうとう完成したぞ! このDテクターがあればKV☆抹殺なぞ容易いことよ‥‥奴らの死に様を楽しみに待っているがいい。ふふふ、はははははは!」
――思わぬ入替え劇を乗り越えたKV☆。意識の無いルナ・ゴールドはルミナとしての自身を取り戻せるのか。そして、ドクター・ウォッシュの新型Dテクターとは‥‥待て次回!
 ナレーションが響き、幕が閉じる舞台を前に、客席からは盛大な拍手が送られた。

●メインキャスト
 黒木メイ(ブラック)/柿原ミズキ(ga9347
 天野ユウリ(ブルー)カイト・レグナンス(gb5581
 吹雪レイナ(ホワイト)/鬼道・麗那(gb1939
 星川ショウキ(シルバー)・アリス/柿原 錬(gb1931
 時雨アヤメ(オレンジ)/シャーミィ・マクシミリ(gb5241

 ドクター・ウォッシュ/桂木穣治(gb5595
 アゲハバグラ/ジャンガリアン・公星(ga8929
 コマンダー・シャドウ/Y・サブナック(gb4625
 ダーク・ラピス/桜井 蒼生(gb5452

 陽ノ下ルミナ/天戸 るみ(gb2004