●リプレイ本文
●Training Start
「ひよっこども、気合入れて訓練だ! 能力者どもと遠慮なくビシバシ鍛えるからな。覚悟しろよ?」
ショーン・デルカルロ軍曹が、30名ほどの新兵と6名の能力者を前に「がーっはっはっは!」と豪快に笑う。
「俺は桃代 龍牙(
gc4290)だ、よろしく。今回は皆と後方支援になる、頑張ろう」
親交を深めるために軍曹と新兵達に挨拶し、親密な握手の後で肩を叩く龍牙。今回のキメラ退治は、新兵だけでなく龍牙達にも必要なことである。能力者としては彼もまだ新兵に近いレベルなので、軍曹の胸を借りるつもりで行くことに。
(「しかし、作戦中も半裸って‥‥攻撃、全部跳ね返せそうだけど、兄貴グラップラー‥‥」)
そう心中で呟いているのは内緒。
「新兵の犠牲は、僅かでも出したくねえな‥‥」
「同感だ。普段やらねぇことを試してみるか。象の肉って美味いのかな? 一切れくらい、いただいてみるか」
キメラ撃破が最大の目的だが、新兵に犠牲を出さないことも同レベル目的とする海鷹(
gc3564)と巳沢 涼(
gc3648)。
「あぅ‥‥象と蛇‥‥食べたことないなぁ‥‥」
涼の「美味いのか」発言を聞いた龍乃 陽一(
gc4336)が呟く。
「ん〜、あんなキメラらしいキメラも始めてだなぁ〜‥‥。あは♪ 兵士の皆さん、どうぞよろしくお願いしますね♪」
綺麗な女の子‥‥と見惚れる新兵がいるが、陽一は男である。
「おー! 今回はずいぶんと人数いるなぁ! 一匹のキメラにこの人数‥‥期待できるぜ!」
空言 凛(
gc4106)は、キメラをどうやって倒そうか楽しそうに考えている。
「危なくなったら俺が助けてやっから、どーんと行ってこい!」
こうして、象をベースに背中に蛇のような触手が二本ある合成獣型キメラ退治が始まった。
●Attack
「あぅ‥‥皆、危ないからこっち来ちゃだめだよ〜? 僕と涼は、AUーKVのバイク形体でキメラを撹乱させるんだね? それじゃあ、追いかけっこ始めるよ?」
「行くぞ、陽一!」
「OK〜♪」
2人はAU−KVをバイク形態にすると跨り、それぞれの行動を開始。
「行くぜ、エル! ヒャッハー! キメラだぁー!!」
相棒のBM−049「バハムート」のエルフリーデを駆使し、キメラと新兵の間を駆けながらブブゼラを吹き鳴らしながらキメラの気を惹き撹乱する涼。【OR】ウィンチェスターライフル・Rカスタムで攻撃しては片手で振り回し、排莢と装填を行う。
(「‥‥いっぺん言ってみたかったんだよな、これ」)
陽一と涼の陽道中、夜刀(
gb9204)と龍牙は、二手に分かれて新兵の引率を。
「皆、キメラを挟み込むように並べ! 不用意に近付くなよ!?」
引きつけを担当する部隊を引率しながら、夜刀はキメラの足を止めるための援護射撃を先頭に立ち小銃「グラディヴァ」を発砲しながら命令する。
「気張らないと、兄貴の鉄拳パワーボムが飛んでくるぞ!」
龍牙は一点に留まらず、前衛の状況に応じて射撃位置を変更しつつ新兵を支援。
戦闘に慣れさせなければと、龍牙は射撃の精度を上げるように援護射撃の手本となるべくキメラの図体を利用して攻撃側の反対から和弓「夜雀」での攻撃で始めはまばらにフォースフィールド相手に、脅威でないことを見せた。
「流れ弾は気にしすぎない、奴さんの図体とフォースフィールドが味方を守ってくれるぞ」
新兵の流れ弾を弾き落とし、慣れてきたところで一斉射撃や部位を狙い撃ち。
「おー! でかいな! テンション上がってきたぜ! さて! やってやるか! ‥‥って、こんなのにボクシングって意味あるのか?」
天拳「アリエル」を用いたボクシングスタイル・アウトファイトでキメラの様子を見る凛。
「お? 皆、足を狙うのか。じゃー、私は鼻をどうにかしようかねっ!」
キメラが鼻を援護射撃中の新兵に向けたので、グッドタイミング! と咄嗟に凛は鼻を殴りつけ、強烈な風圧で新兵が飛ばされないようにした。
「皆ー! 今から砲撃開始するぞ!」
「りょーかい! っと」
夜刀の砲撃合図があったので、凛は距離を取りながらキメラに突進。
新兵の引率を夜刀と龍牙に任せた海鷹は、射線に入らない程度に移動してからキメラに向かい正面から近づきつつ、味方にキメラの攻撃が及んでも良いようにいつでも『ボディーガード』で庇える位置を維持。
能力者達がキメラの気を引いているので、新兵達はバズーカやRPG、アサルトライフルで足止めを。そのうちの一発が足に命中し、一瞬だがキメラの動きが止まった。
●Finish
陽動中に動きが止まったのを見た涼は陽一に合図を送り、互いのAU−KVを装着。
「行くぞ陽一! プランBだ!」
涼が掌を上に向け腰溜めに構えると、陽一はそれを肩を足場にして『竜の翼』で空中へ飛び、上空からキメラに攻撃を加えるコンビネーションを繰り出した。失敗しても、軍曹が助けてくれるので大丈夫。
「連携技を試してみるんだね〜‥‥涼、行っくよ〜♪」
軍曹の手助けがいるかと思われたが、プランBは無事成功しヒット。これにより、キメラはよろけて体勢を崩した。
チャンス! と涼はすかさずリンクスクローに持ち替えると鼻を狙って斬りかかる。
「手癖‥‥いや、鼻癖の悪いヤツだ。その御自慢の鼻をなますにしてやる!」
「引きつけお疲れさん! さぁーて‥‥本領発揮だぁ!」
新兵と涼、陽一が足止めに成功したので、夜刀は壱式で直接攻撃に臨み、主に足の筋肉、腹部等、骨の少ない部分を狙い、キメラの鼻を切り落としにかかろうとしたが風圧に吹き飛ばされそうになったが、涼の『竜の翼』と海鷹の『ボディーガード』に救われた。
背中の蛇二匹を見てよからぬことを思いついたのか、凛は「ウッヒッヒッ」と悪戯な笑みを浮かべる。
「「空言さん、背中の蛇への対処は任せた」」
「わかった! オラァアアア!」
海鷹と涼の声、新兵の援護射撃によりキメラの足が崩れたのを見計らった凛は、背中に飛び乗ると背中の蛇をきつくリボン結びにし、火や冷気を吐けないようにした。
「ハッハッハッハ! かわいいリボンだな! 似合ってるぜ! さぁて! 後はフルボッコだぜ! イヤッホォオオオウ!」
足と蛇を封じれば、後は全力で攻撃するのみ。高揚した気分の凛は、全力でパンチを連打。
凛が蛇部分の対処を終えたことを確認した海鷹はキメラの腹の下に潜り、オルカをライオットシールドに入れ替えると腹部に『シールドスラム』をぶち込んだ。
「ここなら、それなりに効きそうな気がするんだよな‥‥おらよっ!」
手ごたえを感じると小銃「S−01」に持ち替え、弾が切れるまで撃ち込んだ。
「新しい力‥‥お前さんで試すとするかな?」
海鷹が離れるのと同時に、夜刀は転職して得たスキルを試すことに。『強刃』を使用して攻撃力を上げ、キメラの頭部めがけて壱式を叩きつけた。
この一撃と龍牙『援護射撃』、新兵達の一斉射撃でキメラは倒された。
「よーし! てめぇら、よくやった。訓練終了だ!」
軍曹の豪快な声がキメラ退治終了を告げたことで、新兵と能力者を交えた訓練が終わった。
●Seans Boot Camp
「いやー! 楽しかったぜ! しっかし、なんかちーっと物足りなかったな。おーい! ぐんそー! 最初に見た時から思ってたんだけど、いい体してんなぁ! なぁ! タイマンしねぇか? ぐんそーと戦ったら面白そうだ!」
「そうか? やるからには遠慮しないぜ」
女性と戦うことを躊躇しない軍曹と凛のタイマンが始まろうという時。
「あの体格‥‥あの人柄‥‥そして、軍人というナイスなオプション‥‥! 今こそ、このガリガリボディから卒業する時‥‥。アニキー! 俺を漢にしてくるぇええーーっ!」
そう叫び、いきなり上着を脱ぎ捨て半裸で軍曹に突撃する夜刀。
「俺を鍛えてくれ、アニキ! 俺、あんたみたいに男らしい漢になりたいんだ! このもやし体型から少しでも脱却したいんだ!!」
軍曹相手にレスリング勝負を持ちかけたり、自分を鍛えてくれと懇願する夜刀に感化されたのか、自分も鍛えてほしいと頼み込む男性能力者が。
(「あぅ〜‥‥夜刀くんが憧れそうだよ〜‥‥軍曹さん、凄い筋肉だよ〜‥‥。あぅ、僕も鍛えたらあんな風になれるのかな?」)
夜刀がやる気満々なので、僕も頑張っちゃおうかな‥‥と鍛えてもらうことにした陽一。
「腹筋は六つに割れてるぜ、アニキー!!」
腹筋をアピールする涼に「なかなかやるな」と感心する軍曹。
「兄貴に稽古をつけてもらい、俺も少し絞らないと‥‥」
口寂しさを抑えるために菓子が最近キセル型電子タバコに換えることで禁煙に成功したが、食べることは大好きなので太ってしまった体型が気になる龍牙も参加。
「ドラ、弓使ってたからそんなに体を動かしてないだろ? ぐんそーに鍛えてもらえ! でないと痩せねぇぞ〜?」
龍牙をからかっている時、男性能力者は半裸に(夜刀は既になっているが)。
「うを!? 皆、いきなり半裸になってどうしたんだ!? なんかよくわからんけど、私もやるぜー!」
面白そうな光景に半裸にならないが凛も参加。そんな彼女を見て「これがホントのブートフォースってとこか?」と龍牙がボソリ。
「俺もちょっくら参加してみるかな‥‥」
皆と一緒なら楽しいだろうと、海鷹も参加することに。
「てめぇら‥‥。よし、全員まとめて一人前の漢になるまで鍛えてやるぜ。耐えられるかな?」
一人前の漢というのは紅一点の凛も含まれているのか? という疑問はおいといて、やる気のある連中だぜ! と大喜びの軍曹によるアニキスタイル(半裸)での訓練が始まった。
新兵達が巻き添えになった、というのはいうまでもない。
「あぅ‥‥なんだか視線を感じる気が‥‥?」
アニキスタイル仕様に着替えた陽一だったが、スパッツやタンクトップといったやたら露出の多い女の子のような姿をしているので、女性と勘違いしている新兵の一部が熱い視線を送る。
「仕事で鍛えた意地と根性、それでアニキの特訓でも乗り越えてやる!」
新兵に紛れて筋トレするつもりだったので、夜刀は大張り切り。
「あぅ〜‥‥夜刀くん、なんでそんなに元気なの‥‥? お腹が‥‥減って‥‥力が‥‥」
僕、もうだめ〜‥‥と陽一が最初にリタイア。それに続き、新兵数名がリタイア。
「きつい、きつすぎる‥‥。なんで参加するなんて言っちまったんだ、俺‥‥」
あまりのきつさに参加したことを後悔する海鷹。
「だらしねぇぞ! そんなことじゃ、俺の筋肉には程遠いぜ!」
軍曹の厳しい鍛錬は、全員がギブアップ宣言するまで延々と続けられた。
(代筆 : 竹科真史)