タイトル:【AA】Gardien de Corseマスター:風華弓弦

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/05/27 03:33

●オープニング本文


●戦火、再び
 北アフリカ進攻作戦――作戦【Arch Angel】。
 アフリカ大陸を目指し、再び地中海に大きなうねりが起き始めていた。
「サルディニアを攻めるのはこちらとしても歓迎だが、パールネックレスでの二の舞だけは避けなければな」
 出されたコーヒーへ口をつけながら、レナルド・ヴェンデル大佐が苦笑する。
「サルディニア島攻略、か」
 テーブルに広げた地中海の地図へ目をやったコール・ウォーロックは、腕組みをして呟いた。

 作戦名【パールネックレス】‥‥二年前の『ヨーロッパ攻防戦』において、当時バグアの脅威にさらされていたイタリア半島を取り戻すため、人類側の勢力地であったサルディニアとコルシカ、シシリー(シチリア)の三つの島を明け渡した。
 それから一年七ヶ月の後に人類はコルシカ島を取り戻し、少しずつだが島は復興への道程をたどり始めている。
 だが隣接するサルディニア島は、未だバグアの勢力下にあった。
 バグア側の為政者により『実験島』と揶揄(やゆ)されていたコルシカとは対照的に、ヘルメットワームの基地が置かれ、欧州に対する前線基地の一つとして機能している。
 そのため、同島を視認できる距離にあるコルシカ島南部は特に緊張状態が続いており、予断を許さない状況が続いていた。
 そのサルディニア島を攻める‥‥という話に、UPCフランス軍が警戒の色を示すのも、無理のない事と言えた。

「今回、地中海や北アフリカ周辺で行われている作戦の中には、そんなプランも上がっている。だがそうなれば、こちらの戦力を分散させるためにコルシカ島へ再び侵攻を始める可能性は高い」
 想定される攻略ポイントをレナルドが指で叩き、黙って耳を傾けるコールは煙草に火を点ける。
「アフリカへ集中したいUPCとしては、大きな作戦として軍を動かすのも難しい。かといって動かなければ、被害はまた確実に広がる‥‥二年前、UPC仏軍はコルシカから撤退せざるを得ず、あの島をバグアへくれてやる結果となったが」
「だが、今度は譲らん。そういう事だな」
 立ち上る煙の向こうから見据える友人へ、レナルドが首肯した。
「出来れば、お前にも赴いてもらいたいのだが‥‥そうそう。伝え忘れていたが、お前の機体に再度シュテルンの配備を要請しておいた」
 思わぬ友人の『心遣い』に、苦笑を浮かべるコールはその色を濃くする。
「先手を打たれてるなら、行くしかあるまい」
「ああ、頼んだ。『今度はミサイル代わりにするな』と、クルメタルの連中から釘を刺されたがな」
 レナルドの言葉に素知らぬ顔でコールはくるりと目玉を回し。
「‥‥二度はない、か」
 そう呟くと、天井へ向けて紫煙を吐いた。

●参加者一覧

御影・朔夜(ga0240
17歳・♂・JG
鏑木 硯(ga0280
21歳・♂・PN
不破 梓(ga3236
28歳・♀・PN
潮彩 ろまん(ga3425
14歳・♀・GP
リゼット・ランドルフ(ga5171
19歳・♀・FT
憐(gb0172
12歳・♀・DF
相澤 真夜(gb8203
24歳・♀・JG
黒瀬 レオ(gb9668
20歳・♂・AA

●リプレイ本文

●境界の海
「わぁ、見て見て見て、あれだけお船が沈んでたのに、綺麗になってる! よーし、悪い宇宙人達からコルシカ島を護るよー! 頑張ろうね、テンちゃん!」
 潮風を受けた潮彩 ろまん(ga3425)は振り返り、佇むテンタクルスへ拳を掲げた。
 ポニファシオの港から目を凝らせば、広がる青の向こうに警戒すべき島、サルディニアを確認する事が出来る。
「コールさん、よろしくお願いします」
 風に踊る髪を押さえた鏑木 硯(ga0280)は、洗脳の程度が気になるのか、遠目ながらじっと小さな港町を窺うコール・ウォーロックへ声をかけた。
「ああ、よろしく頼む。海中の方は二人に任せた‥‥この顔ぶれの中じゃあ、誰よりもよく知っているだろうからな」
 託す言葉に、緊張気味で硯は首を小さく縦に振る。
「でも、島一つ守るのは大変でしょうけど、無茶し過ぎないように‥‥って、言われる気がします」
 冗談めかすように硯が苦笑し、容易に想像できたのかコールもまた忍び笑う。
「そんな来たくても来れなかった人たちの分まで、頑張りますね」
「だが、無理は過ぎるなよ」
「分かってます。コールさんには特に予定がないようでしたら、離陸が柔軟なシュテルンで空の防衛をお願いしていいですか?」
「そうだな‥‥俺が足を引っ張らんよう、気をつけないと」
 ふっと、コールは視線を居並ぶKVへと移した。
「テンちゃんで、しっかりと番をしてるよ。せっかく開放した、コルシカ島だもん。島の人達の為にも、あの女の子の為にも、ティランさんの為にも、絶対宇宙人に好き勝手なんかさせないっ!」
 潮風に緑の髪を翻し、ろまんは意気込んでみせる。
「そんなに大変、だったんだ」
 黒瀬 レオ(gb9668)は聞こえてくる三人の会話に、ぽつと呟き。
 それから、背に広がる町と緑へ振り返った。
 過去にあった島を巡る戦局も、ここに到るまでの経緯も、彼はよく知らない。
 それでも、この場へ立っている理由は‥‥。
「見て見て、レオっ。あの雲、ふわっふわっぽいよ!」
 無邪気な笑顔で相澤 真夜(gb8203)は彼の名を呼び、嬉しそうにはしゃぐ。
「本当に‥‥ふわもふしたのが、好きなんだな」
 相変わらずの好きっぷりに感心したコールだったが、当の真夜は記憶に薄いらしく、きょとんと首を傾げた。
 ‥‥彼女の趣向的にインパクトの強いふわもこが同じ場にいた事を考えれば、当然かもしれない。
「コルシカ島とレオは、私が守ります!」
 びしっと空へ手を伸ばしてコールへ宣言する真夜に、思わずレオは気恥ずかしさを覚えたが。
「初めてのKV実戦‥‥って、そんな事も言ってられないか」
 彼女が指差し、レオは仰いだ青と白の光景は、とても平和に思えた‥‥その光景だけは。

 過去、さまざまな形で協力した能力者達の功績もあり、コルシカ島民が受けた洗脳の効果は少しずつ改善されているという。
 それでもまだ完全に解消された訳ではなく、KVのような目立つ存在は『過度な刺激』になる可能性もあるらしいが‥‥だからといって、仏軍にコルシカの危機を見過ごす気はなかったらしい。
「コルシカ‥‥【PN】作戦の初戦以来、ですね」
 二年前の記憶を辿り、リゼット・ランドルフ(ga5171)はふっと息を吐いた。
「今回の大規模作戦もありますけど、二度とバグアに渡さないように、しっかり守らなければ‥‥」
 決意を口にするリゼットの姿に、こくと憐(gb0172)は長い黒髪を揺らした。
「コルシカ島と言えば‥‥ナポレオン・ボナパルト出生の地‥‥まあ、そんなことはどうでも良いのですが‥‥」
 二年前の『ヨーロッパ攻防戦』の頃、彼女はまだ能力者ではなく、ただの一人の非力な少女に過ぎなかった。
 あの大規模作戦の直後に憐は能力者となった訳だが、直接戦場に立たなくとも、サルディニアとコルシカ、シシリーの島を巡って、どれだけの血が流れたかは‥‥幼い耳にも届いていた。
「‥‥この島を、守り切ってみせましょう‥‥」
 かつてこの地で戦った『先輩方』に、恥じない戦いを。
 小さな少女の大きな決意に、リゼットは微笑んで頷いた。
「行くか」
 短く御影・朔夜(ga0240)が、仲間を促す。
 彼ら彼女らが感傷に浸る時間は、そう長く与えられていない。
 今まさに、仰ぐ空へHWの編隊が現れてもおかしくない状況なのだ。
「ああ。そっちが配置に着くまで、監視は任せておいてくれ」
 軽く片手を挙げた不破 梓(ga3236)は、愛機シラヌイ・S型へ目をやる。
「もし何かあれば、そちらにもすぐ知らせる」
 海岸線担当の梓と憐、海中から警戒にあたる硯とろまんの四人と分かれると、空から警戒する五人はポニファシオの港を後にした。
 空港へ向かう途上、町からそう遠くない場所で、朔夜機破曉が停止する。
 少しでも被害を抑えようと、ただ一機で朔夜はその場に残るつもりだった。
「そちらは、頼んだ」
 事実上はサルディニアに対する前線基地、フィガリ空港へ向かう憐機破曉、真夜機サイファー、レオ機シラヌイ・S型を見送り、朔夜は顔を上げる。
 空は青く、赤い凶月はまだ地平の向こうに姿を隠していた。

●乖離する空
 視界を遮る薄灰色の世界を突き抜ければ、ぱっと一面の青い空が目の前に開ける。
『あはははっ! 空きれいー!』
 青い世界に歓声をあげる真夜機サイファーは、機首を平行位置に戻すと今度は操縦桿を倒し、雲をスレスレに翼を振って飛び始めた。
『雲、もっふもふだー!』
『こら、真夜! そんな事してると危ないよ?』
 気遣うレオの声が届いたのか、今度は機首を上げてループする。
 そのまま、背面飛行でレオ機シラヌイ・S型へ接近し。
 ニアミスの警報が、コクピットで騒いだ。
『真夜っ!』
 超高速で二機がすれ違えば、機体がびりびりと振動する。
『危ないって!』
『えへへ、ごめん! レオー、頑張ろうねー!』
 謝りながらも弾んだ声に、それ以上怒る気もなくしたレオは『ああ』と短く返事をした。
「その時は、『レグルス』‥‥お前の力を貸してくれる?」
 小さく短く、レオは愛機へと語りかける。
 ――絶対に護り抜く。
 考えるべきは、それだけだった。
 搭乗者の感情そのままにサイファー、『シュガー』は軽やかに空を舞う。
『‥‥本当に綺麗で‥‥綺麗な、青‥‥。敵さん敵さん、どこですかー?』
 はしゃぎながらも、真夜は哨戒中だという事を覚えていたらしい。
 呼びかける声を聞きながら、再度レオも操縦桿を握り直す。
『空は360度攻められる可能性があるから怖い、ね』
 シュガーと一定の距離を保ちつつ、雲の合間から見える遠い地上を彼は見下ろした。

 その頃、地上では。
「さて、この『夜天』で何処まで行けるか‥‥」
 遠い島影を見つめながら、朔夜が一人、閉鎖された空間で呟く。
 特異なコクピットから彼が見る視界は周囲の光景と遜色ないが、初夏の風はなく、風が運ぶ潮の香りもない。
 この地点から目視と機体の索敵機能を用い、朔夜はHWの接近に備えていた。
 彼が見る事が出来ない場所からの接近があれば、仲間から連絡が届くか、空港の管制から出撃要請が出るだろう。
 出れば即座にここより飛び立ち、迎撃に向かう心積もりだ。
 ‥‥総ては焦がれる星の、乙女座の彼女へと届く為に。
 そうして、緑野の中で漆黒の機体は悠然と立ち、『獲物』の飛来を待つ。

「これはどういう事か、説明をしてもらえるので?」
 フィガリ空港の打合せ室‥‥いわば、ブリーフィングルームで。
 各KVの待機配備位置を確認した駐留部隊の隊長が、低くうめいた。
「ポニファシオの港および沖合いでの哨戒活動は、問題ありません。ですが‥‥空港ではなく中間地での待機ともなれば、機体やパイロットのサポートは一体誰が。その位置にまでこっちから『出張』して、キャンプを張れと?」
「どうも、傭兵の側では超短期の配備を想定していたらしくてな」
「それでは、困るのですが」
 恨めしそうな視線を向けられたコールは、煙草を咥えて頭を掻いた。
「まぁ、その分は俺が‥‥残るしかないか。ロートルにシュテルン一機じゃあ、心許無いのは分かるが。向こうも相応の準備をしていない以上、無理強いは出来まい。
 ともあれ、サポートは基地で待機するKVに限定していい。そもそも、物資もままならないコルシカでの任務だ。その程度の『覚悟』は、承知の上だろう」
 やはり問題は、傭兵達が想定したであろう配備期間の短さ、だ。
 それを思い、憂鬱そうにコールは紫煙を吐く。

 隊長と話を終えたコールがブリーフィングルームを出れば、廊下にいた憐が待ちかねたように口を開いた。
「‥‥戦闘、あるの‥‥?」
 話が聞こえていたらしい相手に、特に伏す事もないと判断したかコールは苦笑を返す。
「お前さん達の待機中にHWが来るかは、不明だ」
「‥‥じゃあ、ない可能性も‥‥?」
「ある。本来この任務はサルディニア島攻略に対し、コルシカ島にバグアの攻撃があった場合に備えての防衛任務だからな。その為の、一定期間の配備‥‥だったんだが」
 説明を聞いた少女は、俯いてじーっと考え込み。
「ともあれ、だ。哨戒任務の際は組む事になるだろうから、よろしく頼む。スクランブルがかかれば別だが、別所で待機している者を動かす訳にはいかない。いち早い敵の発見と、対処を旨としたなら‥‥本末転倒だ」
 長身の相手を見上げてから、憐はこくりと頷いた。
「あ、お土産は‥‥コルシカワイン‥‥?」
「それは、さすがに無理だな」
「無理?」
 小首を傾げて憐が問い、即座の答えに窮してコールは嘆息する。
 この冬の飢えと寒さで、どの程度の住民が死んだか‥‥この島では、それすらも把握できない状態なのだ。
「去年のクリスマスまでバグアの支配下にあって、住民も洗脳されて‥‥ライフラインもズタズタだったからな。残念だろうが‥‥来年か、再来年か。島が元通りに立ち直ったら、ダースででもグロスででも買ってやってくれ」
 まだ幼い少女に頼む事でもない話だったが、憐はもう一度、こっくりと首を縦に振った。

●波の狭間に
「この場合は、待ちぼうけをくらうのが一番いいんだが‥‥」
 海岸線に佇む、梓機シラヌイ・S型。
 そのコクピットでパイロットはベルトを外し、楽な姿勢を取って待機していた。
「‥‥海上の様子は?」
『こちらも、今のところ異常はありません』
 別の位置で警戒に当たるリゼットが、状況を伝えてくる。
 そのままキャノピーを開け放っていると、風に乗って音楽が聞こえてきた。
 時に環境音だったり、男声コーラスの合唱曲だったり。
 何故か町では一定の間隔で、梓からすれば『風変わりな放送』を流している。
「時報でも、ないよな」
『住民に残っている洗脳の影響を軽減する為に、流しているんですよ』
 港で待機中の硯が疑問に答えれば、理由を知るろまんも海中から説明を付け足す。
『音楽療法ってのだよね』
「ふぅん‥‥? いろいろ、事情があるんだな」
 だが馴染みもなく、趣向の合わないモノを強制的に聞かされるのは、苦痛以外のなにものでもない。
 注意力を欠かぬ為にも、とりあえず梓はキャノピーを閉じた。

『パールネックレスの再現っていうなら、確実に海からの攻撃もあるでしょうね』
 ふと呟く硯に、ろまんは海中の風景へじっと目を凝らす。
『でも海から来たって、絶対見逃さないもん』
『ええ。苦労の末に好転してきているコルシカを、そう簡単に渡す訳にはいきませんから‥‥そろそろ、交代しますか?』
『あ、待って!』
 モニターに出現した光点に、ろまんは息を飲む。
 明滅しながらゆっくりと近付く点は、少し間を置いてからもう一つ増えた。
「サルディニアの方向から、何か来たよ。数は‥‥えぇと、二つ!」
『コソコソと、海の中から様子を見に来たか』
『すぐに向かいますね!』
 苦笑気味な梓の言葉に続いて、硯機リヴァイアサンが言葉をかける。
『空戦班への連絡は、こちらでしておく。この隙にHWが出てくる可能性を考えれば、向こうも警戒を解く訳にはいかないだろうが』
『分かりました、梓さん。ろまんさんは、そのまま監視をお願いします。陸か水上まで引き付けられそうなら、援護しますので』
 待機するリゼット機シュテルンが自分と梓の現在位置を伝え、二人はすぐさま『引き込む』ポイントを絞り込んだ。
『足場や距離を考えれば、やはり港がよさげですね』
『うん。行くよテンちゃん、この島と人々を絶対に護りきるんだ‥‥もう、あんな事は繰り返させない為に!』
 身に着けた『自由の葉』に、そっと触れ。
 接近する光点が迎え撃つ者達を回避せぬよう、ろまん機テンタクルスも静かに行動を開始する。

 静かだった海面が盛り上がり、突然に水柱が吹き出した。
 飛び散る水飛沫を浴びながら、梓機シラヌイ・S型は20mmバルカン、リゼット機シュテルンはGPSh−30mm重機関砲を、それぞれ水柱の根元へ撃ち込む。
 威力は減衰するが、援護や牽制にはなるだろう。
 更に地上までノコノコと現れてくれれば、一番だが。
『水中にいれば、こっちがろくに手出しできない事を知ってるな』
 ひと息にケリをつけられぬじれったい思いに、梓は眉根を寄せた。
『それでも、手をこまねいているよりは‥‥』
 瞬く間に1200発を撃ち込んだリゼット機シュテルンは、海中の影が沈む間に重機関砲をリロードする。
『空の方は?』
『異常なし、だそうだ。お陰で集中できる』
 相手との距離を鑑みて、梓は兵装をD−502ラスターマシンガンへと切り替えた。
 その間にちらとモニターへ目を走らせ、3連装ミサイルポッドがいつでも打てる状態かを確認する。
 そうして、泡立つ海面を鋭く見据えた。
『さぁ、まだまだ弾はたっぷりある。遠慮なく、食らっていくといい!』
 水面まで浮き上がったマンタワームに、容赦なく引き金を引く。
 やがて鈍い炸裂音と共にひときわ大きな水柱が立ち上り。
 港へ、海水の雨が降り注いだ。

『一機、撃破したよ!』
 海中で攻撃を仕掛けつつ、陸の二人が攻撃できる位置取りをサポートしていたろまんが、単機でもう一機のマンタワームの相手をしていた硯へ呼びかけた。
 マンタワームの下へ回った硯機リヴァイアサンは、船底より攻撃を仕掛け、ワームの潜行を許さない。
 そこへテンタクルスがサポートに加われば、魚雷やミサイルが炸裂する際の圧力を駆使し。
 海面付近まで、無理やりに『獲物』を押し上げる。
 海中と地上の双方より、ガトリングやマシンガンが次々と撃ち込まれ。
『港や陸へ被害が出る前に、海の藻屑と‥‥なれッ!』
 人型へ変形したリヴァイアサンの、高分子レーザークローがマンタワームへ引き裂いた。

『‥‥敵機、消滅を確認。海域は、クリアだそうです』
『じゃあ、こっちもラグドールと哨戒に飛ぶにゃー』
 伝える管制官へ、憐が明るく任務に出る事を告げて。
 コール機シュテルンを伴い、遮るもののない大空へ憐機破曉は舞い上がった。