タイトル:黒い雪崩マスター:風華弓弦

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/07/01 01:27

●オープニング本文


●警鐘
 リン、ゴーン‥‥と、教会の鐘が鳴る。
 それは祝いの鐘でも、時を知らせる鐘でもなく。
 リンゴーン、リンゴーン‥‥と、何度も重く鐘が鳴る。
 遠くへ届くよう、できるだけ遠くまで届くように、悲鳴に似た鐘の音が。

「外に残っている者はいないか?」
「動かせるものは全て扉の前に積んで、バリケードにするんだ。急いで!」
「電気は? 電話はまだ繋がるのか!?」
 普段は静かな教会に、怒声にも似た声が飛び交う。
 避難した人々の顔は、いずれも恐怖の色が滲んでいた。
 母親は怯える子供を抱きかかえ、すがる様に鐘の鳴る天井を見上げる。
 老いた者は指を組んで床に膝をつき、十字架を握り締めてひたすらに祈った。
 村人の一人が繰り返し鐘を鳴らす間に、村長は周囲の村へ警告と助けを求めて電話をかけ続け、神父は少しでも村人達の恐怖を拭おうと声をかけて回る。

 ピレネー山脈のフランス側。
 フォアから南に位置し、谷間に家々が身を寄せるように建つ山腹の村は、山から突然現れたキメラに襲われた。
 木々の間を抜け、チィチィキィキィと音を立てながら雪崩のように村を飲み込んだソレは、20cm程度のキメララットの群れ。
 例え小さなキメラでも、戦う力を持たない人々にとっては脅威だ。
 それが一匹や二匹ではなく、見た事もない数が集まり、一塊になって村へ襲いかかったのである。
 気付いた者は慌てて逃げ出し、村で一番大きく頑丈そうな石造りの建物、教会へと駆け込んだ。
 逃げ遅れた者や逃がす事の出来なかった家畜は、餓えた牙と爪で瞬く間に肉を削がれ、黒い群れに飲み込まれてしまった。
 家の間を駆け抜け、あるいは滑り込み、食べられるものは何もかも喰らい尽くすそれは、まるで何もかもを飲み込む『雪崩』の如く‥‥。

 騒然とした教会で、戦う術を持たない人々はただ神に祈って待つしかなかった。
 人々を救う事が出来る者達が、どうか自分達の命があるうちに来てくれますように‥‥と。

●参加者一覧

柚井 ソラ(ga0187
18歳・♂・JG
国谷 真彼(ga2331
34歳・♂・ST
春風霧亥(ga3077
24歳・♂・ER
レーゲン・シュナイダー(ga4458
25歳・♀・ST
水無月・翠(gb0838
16歳・♀・SF
東 冬弥(gb1501
15歳・♂・DF
エル・デイビッド(gb4145
17歳・♂・DG
今給黎 伽織(gb5215
32歳・♂・JG

●リプレイ本文

●生存証明
 顔を上げれば、すぐそこに雄大なピレネーの山々を望む事が出来た。
 だが景色を目にする時間すら惜しみ、能力者達はキメラに襲われた村へ向かう。
 現場へ近付くにつれ、山肌に反射した音が鼓膜を震わせた。
「この音って?」
 車の振動に細い身体を左右へ振られながら、柚井 ソラ(ga0187)は前方に目を凝らす。
 一度一度の間隔はかなり開いているが、UPCへ連絡した近隣の村から報告のあった鐘の音が、まだ鳴り続いていた。
「鐘の音だね。おそらく、キメラに襲われている村で鳴らしている‥‥」
 答えた国谷 真彼(ga2331)は黒レザーの指なしグローブをはめた手で軽く拍を取り、鐘が鳴る間隔をカウントしている。
 それはソラが真彼の誕生日に贈ったハーミットグローブで、何となく嬉しくなって小さく笑んだ。
 それから、まるで脈を取る医者のようだと、その姿に漠然とソラは思う。
 もっとも、実際にその印象は間違いではない。
 そんな事を考え、それからふと意識せず漂っていた思考の行く先に気付き、振り落とすように自分の頬をぺしぺしと両手で叩く。
「気合、入れてるのかい?」
 ソラの仕草を見て、ハンドルを握っていた今給黎 伽織(gb5215)が何気なく尋ねた。
「えっと、まぁ‥‥」
 苦笑して言葉を濁したソラに、伽織は何か納得したように頷く。
「そうか、囮役だしね。危険な役回りだけど、くれぐれも無理はしないように気をつけて」
「はい」
 勤めて明るく少年は返事をし、気持ちを切り替えるように村の地図を見つめた。
 先程より近付いた鐘の音が、また聞こえる。

「村人が皆、無事でいてくれれば良いのですが‥‥」
 耳に届く鐘の音に、春風霧亥(ga3077)も安堵と不安の両極端な二つの感情を抱いていた。
「キメラへの恐怖、僅かな食料への不安。とても心細い、でしょうね」
 運転席に座ったレーゲン・シュナイダー(ga4458)が、僅かに眉根を寄せる。その表情から普段の柔らかさが消えているのは、村人の生存に関する懸念が原因ではない。
 幸い、というべきか。彼女が運転する車に同乗しているメンバーは、特に気にする様子もなく、今はそれが有難い。
「それにしても、大量のキメララットですか。時間もあまり余裕がある訳ではないようですし、素早く確実に行動しないといけませんね」
 緊張した表情で霧亥が考え込み、後部座席で窮屈そうにしながらも東 冬弥(gb1501)は大きな溜め息を吐いた。
「ネズミかぁ。結構好きなんだけどな。あいつらって超可愛いしぃ‥‥」
「到着していきなり、教会が囲まれている可能性もあります。そこまで追い込まれた状況に至っていない事を祈るのみですが、もしいざという時は‥‥」
 鐘を聞きながら、助手席の水無月・翠(gb0838)がちらりと後ろへ目をやれば、冬弥は狭い空間で足を組み変える。
「判ってるって。教会の近くにいるヤツから、ブッ飛ばしてやる。いくらネズミっぽくても、キメラときたら容赦はしねぇぜ‥‥覚悟しろ、畜生どもめ!」
 血気盛んな冬弥の反応に、任せたという風に翠は首を縦に振った。

 石造りの家々が見えたところで、エル・デイビッド(gb4145)はブレーキをかけてスピードを落とし、やがてBM−049「バハムート」を完全に停止させた。
 見える限り、村の様子には目立った異変の様なものはない‥‥ただ、ずっと鐘が鳴り続けているだけだ。
 路肩で村を観察するエルの傍らに、仲間達の乗る二台の車も停車した。
「どうですか?」
「見た感じ、特に変わった様子は‥‥まぁ、相手はネズミの群れだから、家が壊れるような大暴れは出来ないだろうけど」
 短く尋ねた伽織にエルは見たままの状況を伝え、車の後部座席にいるソラへ視線を向ける。
「そろそろ、こっちに乗っておきます?」
「そうですね。村に入ってからでは、準備している暇とかないかもしれませんし」
 車から降りたソラはエルの手を借り、慣れぬAU−KVの座席に腰を落ち着けた。
「安定性が売りのバハムート。大船に乗った気でいてくださいな、ソラさん♪」
「はい。よろしくお願いします」
 自分より広いエルの背中に答え、腰へ手を回してぎゅっとしがみつく。
「気をつけるんだよ、二人とも」
 短く声をかけた真彼にエルは片手を挙げ、一拍の間をおいてからソラはこくんと小さく頷いた。

●閉ざされた扉
 スピードを上げたAU−KVが石造りの家々を抜け、村の中心近くにある広場へ突っ込んだ。
『獲物』を求めて群れたキメラへ、『餌箱』を後ろに括ったバハムートがこれ見よがしにUターンする。
 広場を走り回る小さなキメラを、完全に避け切る事は難しい。
 キメラの蠢く様相と、乗り上げるように車輪がソレらを踏み潰す嫌な感覚が、座ったシートから尻へ伝わる。
 背中を這い登る寒気を振り払う様に、ソラは軽く頭を振った。
「‥‥っ。本当に、多いですね」
「ええ。こっちが餌にならないよう、気をつけないと」
 広場に面した教会からキメララットを引き離す様に、AU−KVは舗装路へ走る。
 それからワンテンポ遅れて、二台の車両が広場へ現れた。
 車体は左右に尻を振って、タイヤを軋ませ。
 鐘の鳴り続ける教会の入り口近くで、二台の車両は急ブレーキを踏む。
 即座に霧亥とレーゲン、そして冬弥、伽織の四人が飛び出し、キメラから扉を守る位置に就いた。
「げ。なーんか、予想してたよりも数多いんだけどぉ‥‥」
 キメラの数を見ていかにも嫌そうな顔をした冬弥を、緩やかなウェーブを帯びた髪を背中へ梳いて流したレーゲンが斜に見やる。
「なんだ、怖気づいたのかい?」
「ちげーよっ」
 口唇を尖らせ、否定する冬弥。
「UPCの要請で、助けに来ました。怪我人は、いませんか?」
 呼びかけて翠が教会の扉を叩くが、固く閉ざされたまま返事がない。
 最後に車を降りた真彼は、まだ鐘の鳴る教会を見上げた。
「完全に無人ではない‥‥と、願いたいけどね。扉の隙間からでも、キメラが入り込む事を恐れているのかもしれない」
「せめて返事の一つでも、あればいいのですが‥‥私達は、傭兵です。聞こえていますか?」
 口調がきつくならないよう、注意しながらノックを繰り返す翠を、真彼が手で制した。
「もし不安な心理状態にあるなら、無理強いして怖がらせるのも良くないね。ここは殲滅班に、彼らが納得するだけの安全確保を頑張ってもらおう」
「ったく、仕方ねぇなー。面倒くせぇ」
 横柄な口振りながら冬弥が即答すれば、レーゲンは彼の背を軽く叩く。
「頼りにしてるよ」
「では村の人にも判り易い様、派手に駆除しますか」
 小さな鳥篭の形をした超機械を霧亥が手にし、伽織は真デヴァステイターを構えた。
「それにしても、これだけのキメララットが溢れかえるのは‥‥文字通り、ネズミ算方式で増えたのかな。だとしたら、全部探し出して討ち洩らしのないようにしないとね」
 囮のAU−KVを追って一度は密度を減らしたキメララットの群れだが、追いきれなかったのか、新たな『獲物』の出現を察知したのか、再び徐々に広場へ集まってきている。
 轢死した『同族』の死骸すら貪る餓えた群れは、キィキィと鳴きながら能力者達へ押し寄せた。

 バイクの後ろで転がる『餌箱』に、何度もキメラが飛びつき、よじ登る。
 そのたびにソラは結んであるロープを掴んで振り、あるいは威嚇射撃でキメラ達を牽制した。
 だが執拗にキメラは『餌箱』に取り付き、鋭い爪と牙がロープを断ち切る。
 慣性でまだ転がる『餌箱』へ、あっという間にキメラが群がった。
 見る間に『餌箱』は黒い塊と貸すが、M−121ガトリング砲が次々に弾丸を撃ち込み。
 箱ごと、キメラを粉砕する。
「次の餌、使うね」
「お願いします」
 エルの返事にソラは用意していた二本目のサラミを『餌箱』に入れ、ロープを結んだ。
 その間に、教会へ篭城中の人々と接触を試みる仲間から連絡が届く。
「村の人達、扉を開けてくれないんですか‥‥判りました」
 答えるエルの様子に、一抹の不安をソラは覚えた。
「教会から、出てこないんですか?」
「そのようですね。その間、群れを分断していてほしいと‥‥えーと‥‥道はこっちでよかったよね? うん」
「それなら、あの角は右がいいですよ」
 迷っていると後ろからソラが指し示し、すかさずエルはバハムートをバンクさせる。
「助かりますっ」
「乗せてもらうので、せめてガイドくらいは‥‥次は、左へ」
 町の外周を回るようにソラのサポートを受けて、エルは心置きなくバハムートを走らせた。
 すぐに、広場の方向から仲間の戦う音が聞こえ。
 大丈夫だと考えながらも安全を願いつつ、二人は己の役目を果たす。

 派手に広場のキメララットを排除すれば、安心したのかようやく教会の扉が動いた。
「水無月君!」
 気付いた真彼が呼べば、重装備で身を固めた翠が飛び掛るキメラを盾で叩き落し、屍を迷いなく踏んで真っ直ぐ彼の傍らへ急ぐ。
「開けてくれましたか」
「ええ。簡単に中の人たちの状態を診るから、守りを頼めるかな」
「判りました」
 間髪おかず翠が了承したのをみて、真彼は一つ頷いた。
「任せたよ」
 一方、隙間から覗いた幾つもの不安げな表情には、伽織が人を安堵させる『仕事用』の笑みを見せていた。
「お待たせいたしました。さぞ恐ろしかったことと思います。これから残りのキメラの掃討に向かいます。教会を護衛するメンバーも残りますから、もう少々こちらでお待ちください」
 恭しく一礼すると彼は踵を返し、殲滅班の元へ走った。

●殲滅戦
 殲滅班はやっと教会の扉が開いた事を確認すると、すぐに囮班と連絡を取った。
「さぁて、本格的にネズミ駆除を始めるかねぇ。一匹だって脅威なんだから、絶対に見逃すんじゃないよ!」
 仲間へ発破をかけたレーゲンが、キメラの群れへエネルギーガンをぶっ放す。
「‥‥気合、入ってるねぇ」
 くっくと伽織が笑い、真デヴァステイターのトリガーを引いた。
 やがてエンジン音が聞こえ、街角から二人乗りのAU−KVが姿を現す。
 その後ろには、軽く20匹を越えるキメラが後を追っていた。
「うわぁ‥‥まだ、あれだけいるんですね」
 なんとも言えないある種の『感慨』に、霧亥はぽつりと素直な感想を口にする。
 既に広場には30匹近いキメラの残骸が転がっていたが、まだまだ潜伏しているらしい。
「これは、アレですな。1匹見たら、30匹いると思えという?」
 霧亥の例えに、低く唸ってレーゲンは眉根を寄せた。
「ちょっと違うが、似たようなモンか。これは、本格的な駆除が必要だね」
「ほーら、美味しい餌でちゅよー。寄ってこいこーい」
 冬弥が吟味した特選の菓子をばら撒いて、キメラの注意を引き。
 出来るだけ群れの密集している箇所を狙って、霧亥が超機械「白鴉」の電磁波を発動させる。
 電磁波の範囲から逃れたキメラは、冬弥とレーゲンがエネルギーガンで。そして伽織は真デヴァステイターを撃ち、近いキメラは刹那で斬り払って、数を削っていった。
 集団自体が一個の生物の如く蠢いていたキメラだが、容赦のない攻撃に集団は散開し、包囲する様に動きながら個別に能力者達へ向かってくる。
「ネズミの癖に、こしゃくだねぇ」
 行動パターンが変わった相手に、レーゲンは『取っておき』を取り出した。
「頂き物をこう使うのは、申し訳ないンだけどねェ‥‥特製品だ、味わって喰いなっ」
 カットしたロッタ手作りチョコレートや、マリカの手作りバレンタインチョコレートケーキといった一部の者なら垂涎のケーキを、惜しみなくキメラの進路へ撒く。
「‥‥ファンがいたら、まっしぐらですよ」
「でも、いつのだよ。ソレ?」
 伽織と冬弥の会話に、レーゲンが人差し指を左右に振った。
「馬鹿だねぇ。そいつは、聞かないお約束ってヤツだよ」

 僅かに扉を開いた教会にも、侵入を試みるキメラが休みなく襲い掛かる。
 小さな脅威を確実に翠が斬り飛ばし、叩き払い、踏み潰し。
「盾にSESは御座いませんが‥‥小さい敵の群れなら」
 守護の壁となって奮戦する翠の後ろで、人々へ語りかける真彼はオルゴールのような小箱を手にしていた。
「そういえば、ブレーメンもハーメルンもドイツの都市。同じグリム童話でしたね。さて、かの話ではネズミを始末したのは川の奔流でしたが」
 真彼が蓋を開けば、微かにカチリと音がして。
 箱の中でロバ、イヌ、ネコ、ニワトリの人形がくるくると踊り出す。
 と同時に、押し寄せるキメラの群れへ強力な電磁波が発生した。
 一見すると何の変哲もないような小箱の蓋を、真彼は再び閉じる。
 彼が手にしているのは、箱を開ける動作により作動するという超機械「ブレーメン」だった。
(「贈り物には、オルゴールもあったけど‥‥ふふ、今日持ってきたのは別のオルゴールだね」)
 オルゴールを持つ手にはめたグローブに、真彼が僅かに目を細める。
 暖かみのある記憶を辿るのも、ほんの瞬間。
 すぐに彼はキメラとの戦闘へ意識を引き戻し、奮戦する翠を援護するように再び小箱の蓋を開いた。

 休みない、そして容赦ない能力者達の攻撃によって、キメラは死骸の小さな山をそこここに築いていた。
 死の行進のように向かってきたキメラだが、数が少なくなれば勢いも減衰し。
 逆に、見つけ出す方が困難となる。
「これで‥‥あらかた終わったでしょうか?」
 まだ不安げに周囲を見回すソラに、エルはバハムートを減速させた。
「そうですね。ここからは手分けして村を念入りに見回り、排除した方がいいかと‥‥相手はネズミだし、まだどこかに潜んでる可能性があります。やっておいて、損は無いでしょう」
 警戒するエルにソラは頷いて、教会の方向へ目をやる。
 鐘は既に止まり、静寂が感覚をピリピリと逆撫でし。
「教会は、大丈夫かな」
「戻ってみますか。それにしても、何でこんなになるまで、気付かなかったんだろう‥‥」
 心配そうなソラに、ぽつりと疑問をこぼしながらエルはAU−KVを広場へ走らせた。

「そうですね。探査の眼を使い、村中を歩き回って調べてみますよ」
 村中がキメララットの死体だらけになった中で、伽織もやはり見落としの可能性を気にかけていたらしい。
 戻ったソラとエルを交えた虱潰しの確認に、伽織でなく仲間達もすぐに同意した。
「村の人の怪我などは、僕らで対応しておくよ。と、その前に。怪我は、ないかな?」
 不意に、顔を覗き込むようにして真彼から尋ねられたソラは、思わず顔が熱くなった。
「だ、大丈夫、です。あの、行ってきますっ」
 うろたえ、慌てて身を翻す少年の後ろ姿を、くすりと笑って真彼は見送る。
「UPC仏軍と、連絡が取れました。夜に、救難物資を積んだ輸送隊が到着するそうです」
「有難いね。邑の食料を作戦に使うと、わざわざ説明した甲斐があったよ」
 翠からの知らせに、真彼は改めて村を眺め。
 そして犠牲者へ哀悼の意を表するよう、しばし彼は瞑目した。