タイトル:Bienvenu a 『Arch』マスター:風華弓弦

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/02/23 02:02

●オープニング本文


●相手を知るには‥‥
 光が差す落ち着いた店内に、ゆらゆらと紫煙が立ち昇っていた。
 ブラッスリは一軒家の一階を店としており、客席からはカウンターを挟んで厨房が見渡せるオープンキッチンとなっている。
 そのカウンターに並ぶスツールに腰掛け、コール・ウォーロックは渋い表情で地図のイベリア半島をとんとんと指で叩いた。
「いずれ、能力者の助力が必要になるのは明白、か」
 指を止めると、自分の左手を開いてじっと見つめ。
 溜め息混じりに、煙草の煙を吐く。
「繋ぎをつけておいた方が、良さそうだな。リヌは戻ってないが‥‥」
 呟きと共に、漂う紫煙は薄く散っていった。

●ブラッスリからの招待
 UPC本部の斡旋所にあるモニターには、今日も世界で起きる数々の『事件』内容が表示される。
 そのモニターの一つに、新着の『案内』が表示された。
『フランス南部にあるカルカッソンヌの町より『能力者』諸氏へ、招待状が届いている。招待主はブラッスリ『Arch』の主コール・ウォーロックで、名目はバレンタインに合わせたの食事会との事。多忙を承知の上で、出来るなら足を運んでほしいと−−』

「モニタの情報にはありませんが、能力者の話を聞く機会を持ちたいっていう意味合いもあるらしいんです」
 担当オペレーターが、苦笑しながら『案内』の詳細を説明した。
「本人の希望で公表していませんが、依頼者は何でもフランスで反バグアの活動を支援しているとか。それで、『ラスト・ホープ』や『能力者』についての話を、聞かせてほしいそうです。ただ大っぴらにすると、どこでどういう情報が流れるか判らないので、名目としては『食事会』なんだとか」
 ある意味、ハラの中までUPCに明かした上で、能力者達と話がしたいというという事らしい。
「でもまぁ、堅苦しい話を避けたければ、純粋に食事会を楽しむのでもいいそうですよ。先方さんとしては、顔つなぎ‥‥会社で言えば、営業みたいなものでしょうから」
 また大きな作戦もありますし、息抜きにでもどうでしょうと、オペレーターは笑顔をみせた。

●参加者一覧

鏑木 硯(ga0280
21歳・♂・PN
榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
鯨井昼寝(ga0488
23歳・♀・PN
赤霧・連(ga0668
21歳・♀・SN
愛紗・ブランネル(ga1001
13歳・♀・GP
ロジー・ビィ(ga1031
24歳・♀・AA
シャロン・エイヴァリー(ga1843
23歳・♀・AA
キリト・S・アイリス(ga4536
17歳・♂・FT
リーゼロッテ・御剣(ga5669
20歳・♀・SN
日渡 美園(ga6765
20歳・♀・ST

●リプレイ本文

●冬の田園
 葉を落とした木々に囲まれた丘から、城砦が町を見下ろす。冬の陽に照らされたカルカッソンヌは、穏やかに佇んでいた。
 時おり渡る風は、冬の香りと冷たさを含む。だが榊兵衛(ga0388)は気にせず、乱雑に纏めた髪を遊ばせた。
「空気が旨いな。こういう場所だと、酒や料理も旨かろう」
「はい。何だか、とっても平和なところ、なのですね」
 ぽかぽか陽気に、ほにゃんと赤霧・連(ga0668)が赤い瞳を細める。
「ここから南へ100kmも行くと、スペインなのにね‥‥う〜ん」
 指を組んだ手を天へ向け、シャロン・エイヴァリー(ga1843)は大きく伸びをした。
「そういえば連は、初フランスだっけ。私も名前しかわからないんだけど、お肉と豆を蒸し煮にした、カスレっていうのがメジャーらしいわよ」
「どんなのでしょう、楽しみです」
 何故か気合を入れるかの如く、連はぎゅっと拳を握る。
「美味しい物が、たくさん食べれるのかな? 愛紗も楽しみ〜♪」
 パンダぬいを抱いた愛紗・ブランネル(ga1001)は、たすき掛けに提げたパンダのポシェットを弾ませた。途中、窓辺のプランターや飾り細工を観察したりと、好奇心の赴くまま蛇行しているが。
「何か、面白いものでも見つけましたか?」
「うん! あのね、あのね‥‥」
 足を止め、膝に手をついて鏑木 硯(ga0280)が隣で身を屈めれば、愛紗は小さな発見を嬉しそうに報告した。
「考えてみると、あの年の子達は『空に赤い星のない頃』を知らないんですね」
 兄と妹の様なやり取りをする愛紗と硯の背を見守るロジー・ビィ(ga1031)の胸中へ、ふとある感覚が湧き上がる。アップにしてた銀髪をふるりと揺らし、彼女はそれを振り払った。
「いつか、本当に平和な空を、見せてあげたいものです」
「うん。そうだね!」
 自身にも『凶星のない空』は明確な記憶にはないが、力強くリーゼロッテ・御剣(ga5669)が賛同する。
 その拍子に、ハイヒールの踵を道に転がる小石に引っ掛けた。
 かくんと膝が抜けたように、彼女はバランスを崩し。
「ふぇっ!?」
「危な‥‥っ」
 転びかけたリーゼロッテを、慌てて力強い腕が支える。
「大丈夫、ですか?」
「あ、うん、だいじょーぶっ」
 顔を覗き込むようにキリト・S・アイリス(ga4536)が気遣えば、体勢を立て直した彼女は、改めてぺこんと頭を下げた。
「ありがと、キリト。気をつけなきゃね」
 リーゼロッテが肩を竦めれば、「どういたしまして」とキリトも笑顔を返し、再び彼女の少し後ろを歩く。
「ドレス、大変な事にならなくて、よかったね」
 花束を大事そうに抱いた日渡 美園(ga6765)が安堵し、リーゼロッテは笑って小さく舌を出した。
「うん。気をつけなきゃね」
 リラックスした彼女の仕草に、緊張気味だった美園も表情を綻ばせる。
「依頼って、もっと怖いものばかりだと思っていたけど‥‥ちょっと安心しちゃった」
 薄いピンクのバラを始めとした花々を見つめて美園が呟くと、隣に並んだ連は「うんうん」と首を何度も縦に振った。
「皆とお料理をいただけるなんて‥‥とても、楽しみなのです。コールさんは、どんな方でしょうね? お花も、気に入ってもらえるといいのですけど」
「皆で選んだお花だもんね」
「ところで昼寝、道は大丈夫?」
 先頭を歩く鯨井昼寝(ga0488)が手にしている紙を、横からシャロンが覗き込んだ。
「うん。あれみたい」
 簡単な地図を見る昼寝が、先に見える一軒の家を指差す。
「実は、かなり‥‥家庭的な店だったり?」
「どうかな」
 小首を傾げるシャロンへ答えた昼寝は、道に散らばる小石の一つをつま先で軽く蹴った。

●ブラッスリ
「遠いところを、いらっしゃい」
 清潔感のある店内に、食欲をそそる香りが漂う小さなブラッスリ。招待された者達を迎えたのは、長身で体格のいい中年の男だった。
「初めまして。ウォーロックだ、よろしく」
 自己紹介と同時に差し出された手を、一拍遅れて硯が握り返し、丁寧に一礼する。
「お招き、ありがとうございます。せっかくですんで、息抜きに楽しませてもらいますね」
 その後ろから、遠慮がちに愛紗がひょこと半分だけ顔を覗かせた。
「はじめまして、コールおじちゃん」
「ああ、初めまして。おっかながらなくても、取って喰ったりしないからな」
 大きな手がぽんと頭に置かれると、反射的に愛紗は首を竦める。
「コールさん、お招きありがとう♪」
 笑顔でシャロンが膝を軽く曲げ、続いてロジーが握手を交わした。
「ロジーと申しますわ。楽しみにしてましたの!」
「それは光栄な事で。お嬢さん方の、口に合えば良いんだが」
「周辺の環境から察するに、食材はオーガニックかしら。『ラスト・ホープ』では、島民の量を確保する事が先だから、楽しみね」
 胸元のリボンがワンポイントの、シンプルな黒のフェミニンワンピを纏った昼寝が、肩に掛けたピンクのショールへ手を添える。彼女の笑みにどこか挑戦的な印象が漂っているのは、性格的なものだろう。
「今回のご招待に感謝する、ウォーロック殿。俺は、槍使いの榊兵衛と云う。以後、お見知りおきを願いたい」
 コールと握手をする兵衛は、同時に軽く頭を下げた。
「今日は、純粋に料理と酒を楽しませてもらいに来た。旨いのを頼む」
「いやはや、御眼鏡に適うといいんだが」
 苦笑しながら、料理人も兼ねるオーナーは肩を竦める。
 エスコートしていたキリトの腕から手を離すと、リーゼロッテは赤いドレスのスカートを軽く持ち上げた。
「この度はお招きいただき、誠に感謝いたします♪ 今日は、大いに楽しませていただきますわ♪」
 恭しいリーゼロッテの挨拶とは対照的に、キリトは短く「よろしく」と告げる。そんな彼へ振り返ったリーゼロッテは、額をピンと指で弾く素振りをみせた。
「キリト。今夜の貴方は淑女をエスコートする騎士なんだから、私を満足させるぐらい楽しませないと、地中海に沈めるんだからね♪」
「う‥‥」
 見上げる瞳にキリトは思わず言葉に詰まり、彼の反応にリーゼロッテは悪戯っぽく笑う。
「お食事会、とっても楽しみにしていたの」
 白とピンクを基調としたゴシックロリータな服装の美園が、柔らかくにっこりと微笑んだ。
「はい、私と連からバレンタインのチョコの代わりに」
 ピンクとチョコレートカラーのリボンで彩った花束を、美園はコールへと差し出す。そして連もまた、ラッピングされた平たい箱と封筒を手渡した。
「ささやかですが、プレゼントなのです」
「俺に?」
 目を瞬かせたコールに、連は一つ頷く。
「ご招待の、感謝の気持ちなのです♪」
「日本のバレンタインでは、意中の人へチョコとプレゼントを渡すんです。親しい人や職場の男性にも、日々のお礼に渡しますが」
 リーゼロッテの説明に、「ああ」とコールは納得した様子をみせる。
「つまりシャイな日本のお嬢さん達が、意中の相手を隠す訳だ」
「そういう考え方もある‥‥のかな?」
 腕を組んで考えながら、硯は微妙に苦笑した。
「愛紗、良かったら、この席おいで」
 シャロンが手招きをして隣の席へ誘えば、愛紗は嬉しそうに駆け寄ってくる。
「なんだか久しぶり♪ 元気だった? ハッチーもね」
「うん、元気だよ!」
 元気よく答える愛紗に、シャロンは笑み。赤いリボンを結んだパンダぬいと、軽く握手をした。

●素朴な宴
「田舎料理で申し訳ないが、楽しんでもらえたら有難い」
 十人の為に整えたテーブルで、改めてコールは招待に応えた者達を歓迎する。
 気軽に料理が楽しめるよう、テーブルにはサラダや海鮮料理、パンやチーズなどが並べられていた。中でも、三人から四人ごとに置かれた陶器の土鍋が目を引く。
「Tomorrow is another day,今日ぐらい、嫌な事は忘れましょ♪」
 グラスを掲げたシャロンの言葉が、乾杯の音頭となった。

「これがカスレ、なのです?」
 湯気の立つ土鍋を、連がじーっと観察する。
「ああ。白いんげん豆とソーセージ、羊にヤマウズラを加えて煮込み、オーブンで焼いたものだ。口に合えばいいが」
 カスレを皿に取ったコールは、それを連の前に置いた。
「これには、どのワインが合うかしら?」
 尋ねるリーゼロッテに、彼はクーラーに差した二本のワインを示す。
「カスレは赤ワイン、海老には白ワインがおすすめかな」
「じゃあ、赤をお願い。あ、キリトは未成年だから、まだダメよ?」
 リーゼロッテが人差し指を振れば、「判っています」とキリトは苦笑した。じゃがいものピュレを添え、アメリケーヌ・ソースのかかったエビのソテを一口食べた美園が、目を輝かせる。
「この海老、美味しいね。ソースは、チョコレートを使っているのかな?」
「カカオの風味が、いいですね。鯨井‥‥」
 美園に頷いた硯が話を振ろうと昼寝を見れば、彼女は黙々と熱心にナイフとフォークを動かし続けていた。やや遅れて、硯の視線に気がつく。
「ん、意外と手が込んでるわよ。コレ」
 遅れて返事をする昼寝に、ロジーはくすくすと笑った。
「ええ。美味しくて、羨ましいですわね。あたし、お料理センスゼロらしいんですの。昔、友人に『壊滅的』とまで言われましたわ」
「ほむ。わひゃひも、おひょうひひゃにゃはにゃは‥‥」
「赤霧‥‥食べるか喋るかの、どっちかにした方が良いと思うが」
 食べながら何かを主張する連に、箸で料理をつつく兵衛が促す。首を上下に振って頷きながら、連は口の中のモノを噛んで飲み込み。
「はぐむぐ‥‥なのです!」
「うん。何だかよく判らないような、判ったようなだけど」
 小首を傾げつつ、相槌を打つ美園。
 そんな十人を、コールは面白そうに眺めていた。
「しかし、能力者というのも大変だろう」
「う〜ん。でも『ラスト・ホープ』の生活は、楽しいですよ」
 にっこりと、笑顔で硯はテーブルについたコールに答える。
「良い仲間にも恵まれてると、思いますし。純粋に前だけを見てる奴、笑顔を絶やさない優しい人、普段おちゃらけてるけど、咄嗟の判断が鋭い人とか。俺も彼女らに負けないよう、いろんな意味でもっと強くなりたいですね」
 意味ありげに、硯はちらと友人達を窺った。
「抱負って訳でもないですが、いま自分にできる事を精一杯やっていきたいって感じです」
「でもあたし自身は‥‥『能力者』といっても、能力者・非能力者としての精神的区別はありませんの。ただ、自分に出来る事をする。それだけですわ」
 手にしたワインのグラスを、ロジーはゆっくりと回す。揺れる真紅の水面を眺める彼女は、やがて濃い色ながらも透き通った液体越しに見るように、グラスを掲げた。
「非能力者の方だって、色々な事との戦いの毎日です。それがあたし達にはバグアと言う存在がメインなだけですわ」
「そうだな。俺も、能力者だったから戦う訳じゃない」
 エミタの埋まった手に視線を落とした兵衛が、一度拳を軽く握り、再び開く。
「例えこの力がなくとも、何らかの形で戦っていたと思う。おそらく傭兵仲間の中にも、そういう考えの奴は大勢居るだろう。そういう意味からすると、能力者と言っても普通にいる人間と変わらないと思うが」
「その資格があったから能力者になって、そこに守りたい人がいるから戦ってます。私は傭兵である事に、誇りを持ちません。私は私、それだけは変えてはいけないと、思っています」
 大切な皆の笑顔を守りたいからと呟く連は、静かに瞳を伏せて胸に手を当てる。
「まぁ、単に強い相手と戦ってみたい、私みたいなのもいるんだけどね。日々の研鑽で、人はどれ程の高みに上り詰める事ができるのか。それを知るために、最前線での戦いを欲している感じ?」
 カスレのお代わりを盛りながら、昼寝はあっけらかんと答えた。彼女の単刀直入さに、シャロンは笑ってコールを見やる。
「この通り、見たまんま‥‥としか答えられませんね。たった十人集まっただけで十人十色、時々ぶつかったりもしますけど、その分タフなのかもしれません」
「だけど、不思議よね。適性検査の結果を知るまでは、能力者になろうと思わなかったのに」
 はふと一つ大きな息を吐き、美園が纏った衣装の袖口を軽く引っ張って整えた。
「適合検査を受ける前は、こんな感じの衣装のブランドを立ち上げようと思っていたのよ。私も、家族や友人も、危険な目にあった事はなかったし。でもこれからは、見知らぬ誰かの為にも、命をかける事があるんだね」
「愛紗、怖くないよ。だって、一人じゃないもん。皆一緒だし、それに面白い人がたくさんいるのー♪」
 無邪気に足をブラブラと遊ばせる愛紗が、急に不思議そうな顔をする。
「そういえば、『アルシュ』って『箱舟』だっけ?」
「ああ。本当は『Arche』と綴るんだが、看板を頼んだ者が‥‥完成させられなくてね」
 コールが厨房と客席を区切るカウンターの上へ、目を向けた。そこには木彫りの看板が飾られているが、最後の『e』の部分には文字の代わりに穴が木板を貫通していた。
「ところで‥‥ウォーロックさんは、俺達に何かして欲しい事があるとか?」
 慎重に硯が切り出せば、シャロンもまた頷く。
「私は、コールさんと同郷なんです。こちらの戦況は気になりますし、必ずとは言えませんけど‥‥何かあった時は、微力を尽くします」
「ああ。旨い料理と酒を頂いた以上、貴殿と繋がりが出来た。何かの折りには、お返しに訪れる事もあるやも知れないな」
「困っている事があれば、相談に乗るわよ」
 兵衛に続いて、昼寝がウィンクをひとつ投げた。
「ほむ、コールさんは私達、傭兵さんをどう思っているのでしょう?」
 興味深げに連が尋ねるが、返事の代わりにコールはコインを加工したペンダントとロザリオを能力者達へ渡した。

「う〜ん、少し寒いけど、酔い覚ましにはいいわね」
 夜空の下で、リーゼロッテは上着の前を合わせた。
 食事の後、店内のピアノに連が目を留める。他の者達はデザートとロジーが持参した紅茶を手に、彼女の演奏を聞いて寛いでいた。
「この戦いが終わって、能力者の力が新しい戦火の火種にならなければいいのですが」
 背後のキリトの呟きに、彼女は振り返る。
「ね、キリト。シンデレラに残された時間は少なそうだから‥‥キスしてくれる?」
 リーゼロッテが見上げて聞けば、突然の頼みに当然の如く相手は動揺の色を浮かべ。どぎまぎと顔を赤らめるキリトに彼女は微笑むと、彼の唇に指を当てた。そしてその指を、自分の唇に押し当てる。
「Merci‥‥私は守るわ。お父さんが愛した空を」
 決意の表情で、リーゼロッテは夜空を眺めた。

「あの、これ‥‥いつかのお礼に。フランス流バレンタインという訳では、ないですけど」
 青いバラの花とコサージュを、硯はシャロンへ差し出す。彼女だけでなく、昼寝には赤、愛紗にはピンクのバラを用意していた。
「紳士ね、硯は」
 シャロンが笑顔で受け取る一方で、昼寝は「義理チョコならぬ義理花?」と笑って茶化した。