タイトル:平目たちの宴マスター:川端川岸

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/06/12 01:03

●オープニング本文


 下町情緒が残る街並の絨毯に高層ビルが散在する土地の片隅、潮風を受けて佇む色褪せた黄土色の廃ビル。
 古びたブラインドから漏れる光だけが頼りの、がらんとした5階オフィスフロアの薄暗闇の中、逆光のかたどる輪郭がふたつ。
「計画は滞りないな」
 しわがれた声。スーツ姿に後ろ手を組む上司らしき男の姿を、シルエットが物語る。
「はい。仕込みは万全です。キャノン砲は当日にヘリで」
 ファイルらしきものを胸に抱えた若い男の声。同様にスーツを着込んでいる。
「此処はうまく会長好みの廃墟に仕上がってくれました。事前調査も済んでいます。会長は、間違いなく来ます」
 そう言った若い男は、視線をフロア全体に移しながら続ける。
「つくりの部隊は当日に地下から。搬入出用のエレベーターを一基動かせる状態にしてあります。警備は、キメラ討伐の名目でラスト・ホープに依頼しました。大掛かりな警備体制は敷けませんので、少数精鋭として彼らを」
「よろしい。失敗は許されんぞ。会長さえ落とせば」
「はい」
 それから若い男は、無線機を使い合図を送る。すると間もなく、階下から響くモーターの駆動音と共に床の一部がせり上がり、オフィスフロアの僅かな光を遮って闇が覆った。
「これが仕掛けか‥‥フ、フハハハハ! 面白いじゃないか!」
 上司らしき男が、こみあげる成功の確信を抑えきれぬかのように笑い出す。
「部下達を2時間前から会場に待機させます」
「当日は我々にとっても最高の宴になるだろうな」
「はい」
「宴‥‥そう、宴だ‥‥」
 廃墟を一時の静寂が包み、それからまた一度、しわがれた高笑いが響き渡った。

 同日、ラスト・ホープ。
 斡旋所に警備の依頼が届いた。
「ちょっと、この依頼見てくださいよ」
「ん、なんだ?」
「社内懇親パーティ警備の依頼です。四足獣キメラが会場となっている廃墟で目撃されているから、とのことなんですが‥‥」
「何かおかしい点でもあるのか」
「この廃墟ビルからは地元住民から別の情報が入ってるんです。スライム型キメラの目撃情報」
「なるほど、矛盾しているな。しかし何でまたこんな場所でパーティなんかを」
「依頼企業の会長が無類の廃墟マニアなんだそうです」
「随分な好事家ぶりだ‥‥しかし目撃情報の齟齬といい、会場といい、どうにも怪しいな」
「依頼主の企業は数年前から強引なやり口で破竹の急成長を遂げた食品グループです。やっぱり何かありそうですよね」
「だが依頼主にせよ地元住民にせよ、キメラの目撃情報はあるんだ。自分の仕事をしてくれればいいだろう」
「悪事の片棒を担がせるみたいで、紹介するにもちょっと気が乗りませんね」
「仕事は仕事だ。俺らも、彼らもな」
「ええ、まあ‥‥」

●参加者一覧

レティ・クリムゾン(ga8679
21歳・♀・GD
水瀬 深夏(gb2048
18歳・♀・DG
黒崎 夜宵(gb2736
19歳・♀・EP
鳳覚羅(gb3095
20歳・♂・AA
アルジェ(gb4812
12歳・♀・FC
ルノア・アラバスター(gb5133
14歳・♀・JG

●リプレイ本文

「廃ビルの警護ね‥‥世の中には物好きな人がいるもんだね」
 パーティー開催のおよそ3時間前。会場となる廃ビルを地上から見上げ、鳳覚羅(gb3095)は微かな苦笑を浮かべた。
「廃墟、ですか‥‥『滅びの美学』、でしょうか?」
「理解できない」といいたげな面持ちで、ルノア・アラバスター(gb5133)が小首を傾げる。
 バグア侵攻前の時代から「廃墟マニア」と呼ばれる好事家達は存在した。
 そして現在、バグアとの戦争により世界中の至る所には興廃した無人の都市が散らばっている。ただしそれらの「廃墟」にはバグアの放ったキメラ達が徘徊し、一般人がうかつに踏み込めば即あの世行きは免れないだろう。
 それでもなお「廃墟」への憧憬が捨てきれず、比較的安全な人類側勢力圏に建つ廃ビルを見繕い、わざわざパーティーまで催そうというのだから人間とは贅沢な生き物だ。
 ただし今回の依頼、単に「セレブな廃墟マニアの道楽を護衛」というだけではすまない、何やら胡散臭いムードがプンプンしている。
 まず担当のULTオペレーターからもこっそり忠告されたことだが、依頼主である某大手企業からは「会場予定のビル周辺に四足獣タイプのキメラが目撃された」との情報がもたらされたにもかかわらず、付近の住民からは「スライム型キメラ」の目撃情報が寄せられている。
 いくら何でもこの両者を見間違えるはずはないので、2種類のキメラがいるのでなければ、どちらかが嘘をついている――とも考えられる。
 さらにパーティーの主催者である廃墟マニアの金持ちは、数年前から強引なやり口で急成長を遂げた食品グループの会長。普通ならこんな危険な催しは他の重役達が引き留めて然るべきだが、今回のパーティーは「会長の懐刀」ともいわれる秘書の男性社員が音頭を取る形で、グループを挙げてのイベントとして企画が進められたという。
「何かと裏がありそうな気がしないでもないね」
(「どうにも怪しいわね‥‥」)
 半ば冗談めかした覚羅の言葉を受け、かつては裏社会の住人であった黒崎 夜宵(gb2736)も、自らの経験に基づく勘から思った。
「まぁ昔はこんなことは珍しくもなかったし、私は依頼を忠実にこなすだけよ」
「廃ビルの警備、というのもおかしなものだが‥‥まあ相手がスライムだろうがビーストキメラだろうが一般人には脅威だ。しっかり退治せねば」
 釈然としない一同の気を引き締めるように、レティ・クリムゾン(ga8679)が声を掛ける。
 その点、カンパネラ学生である水瀬 深夏(gb2048)は、
「ビルの警護、っつーか敵が出たらボコるだけだな」
 と単純明快だ。
 背後に何か企業内の陰謀でも隠されているのか、それとも単なる変わり種のパーティーなのかは判らないが、ともあれ彼女らが傭兵として請け負った依頼はあくまで「パーティー会場の護衛」。それ以上のことを詮索しても始まるまい。
「警備、警護はアルの本業‥‥いつもどおり、護る」
 幼い外見によらずSPを本職とするアルジェ(gb4812)が淡々と呟いた。

 ビルの前に一台の高級リムジンが停まり、中からオールバックの髪型をジェルで固めたスーツ姿の男が姿を現わした。今回、企業を代表して依頼を出した例の社長秘書だ。
「ULTから派遣された傭兵さん方ですね?」
 30前の若さで会長秘書に抜擢されるほどだから、一般人としてはかなりの切れ者といえよう。
「当社でも独自の武装警備員を雇っているので、単なるゴロツキや強盗の類なら充分排除するだけの力はあります。とはいえキメラが相手では少々荷が重いのでね‥‥何にせよ、よろしくお願いしますよ」
「しかし護衛が必要なほど危険な場所なら、まずパーティー自体を中止するなり、場所を変えるなりした方が安全ではないのか?」
「そうわけにもいかないのです」
 レティの忠告に対し、秘書の男は肩をすくめた。
「会長が部類の廃墟マニアだというのはご存じでしょう? 最初にこのビルの写真をお見せしたときからいたくお気に入りで‥‥それにキメラ情報といっても、下見に来た社員が『それらしい影を見た』というだけの話で、実際確証もない。あなた方に依頼したのは、いわば万一の保険というやつで」
 予め傭兵側が申請していたビル内の見取り図、パーティーのスケジュール表などの書類を渡すと、「では私は会長を迎えに行きますので、後はよろしく」と言い残し、秘書は再びリムジンで走り去った。


 まず傭兵達が手を付けたのはビル内の安全チェックだった。築40年以上は経過した7階建ての洋風ビル。地下には広大な駐車場、屋上にはヘリポートまである。バグア襲来前の時代は高級ホテルとして使われていたらしい。
 パーティーに備えてガス・水道・電気などのライフラインは復旧させたらしいが、キメラの存在はもちろん、建物自体もあちこちが崩れたりひび割れたりして危険極まりない。
 まあ「廃墟マニア」の会長にとってはそこがまた良いのだろうが。
 会場となるのは6階フロア。傭兵達はビルの見取り図を元に非常時の際の避難誘導経路を決め、その後は手分けして地下駐車場から屋上フロアまでを隅々までチェックして回った。
「スライムが出るか獣が出るか‥‥。どちらでもなかったり、ね」
 クルメタルP−38にサプレッサーを取り付け、夜宵は補助電灯だけに照らされたビル内を索敵する。黒髪に黒い服と影のような彼女の姿は、あたかも薄闇の中に半ば溶け込んだかのようだ。
「‥‥?」
 5階フロアに踏み込んだアルジェが違和感に首を傾げた。
 それ自体はこれといって異常のない、ガランとした空き部屋だ。
 しかし廃ビルのフロアにしては綺麗すぎる。まるでこの部屋だけ最近リフォームしたかの様に模様替えされていた。しかも床には複数の靴後が残されているので、つい最近まで誰かが出入りしていたらしい。
「会場の、6階なら、わかるけど‥‥」
 もう少し詳しく調べようとすると、
「おい、そこで何をしてる!?」
 振り返ると、防弾チョッキで身を固めた男達がサブマシンガンを構えて立っていた。
 企業の武装警備員だ。実は1時間ほど前から彼らもビルに入り、傭兵達とは独自に内部の巡回を始めていた。
 当初、アルジェは彼らに識別用の腕章を付けるよう提案したのだが、警備員達からは一蹴されてしまった。「大企業の正社員」であることに妙なプライドを感じているらしい彼らから見ると、L・Hの傭兵は「金で雇われた胡散臭い連中」と映るようだ。
「この部屋、何に‥‥使ってる?」
「おまえ達が知る必要はない! この部屋の安全は、もう我々が確認した!」
 押し問答になりかけたとき、アルジェの無線機から呼び出しコールが鳴った。
 ちょうど地下駐車場を見回っていたレティが、壁のひび割れから這い出るスライム型キメラを発見したという。
 アルジェを始め、ビル内をチェックしていた他の傭兵達も直ちに駆けつけた。
 スライムの数は3匹。キメラとしては小型クラスで、6名の傭兵達の攻撃により5分足らずの戦闘で全滅させることができた。

「これで、とりあえず住民が目撃したスライムは片づいたわけか‥‥」
 戦闘後、スライムの体液がついた武器や防具を水道で洗浄しながらレティがいう。
「残りはビースト型ってことになるよなー。といっても、ビル中捜しても猫の子一匹いなかったぜ?」
 と深夏。
 もしビースト型キメラの存在が秘書の考える通り「社員の見間違え」だとすれば、これで今夜のパーティーも「安泰」ということになるが――。
 とはいえ間もなく招待客、そして企業グループの会長も姿を見せるはずだ。
 負傷者は応急手当を済ませ、改めて武器・装備類を点検した傭兵達は各々警備する受け持ちの場所へと移動した。

 1Fエントランス:深夏
 地下駐車場:覚羅
 屋上フロア:夜宵
 巡回:レティ

 そして会長の身辺警護を務めるのは、ルノアとアルジェ。


 スロープから地下駐車場に例のリムジンが滑り込む。秘書が恭しく後部ドアを開き、杖を突きながら降りてきた会長は齢70を過ぎようかという老人だった。
「警備を、努めます、ルノアです。宜しく、お願い、します」
「今日の、警備担当‥‥よろしく」
 ルノアが丁寧にお辞儀し、アルジェは背筋を正して敬礼。
 だが老人はフンと鼻で笑いながら秘書に振り向き、
「こやつらは何じゃ? 子供など招待した覚えはないが」
「いえ社長、彼女たちは――」
「腕は保証しますよ? 2人とも優秀な傭兵であり、SPです」
 すかさず覚羅がフォローに入る。
「ふんっ、能力者か‥‥くれぐれもパーティーの邪魔をするでないぞ?」
 不機嫌そうにいうと、会長はそのままさっさとエレベーターホールへ向かう。
「ど、どうもとんだ失礼を‥‥」
 ハンカチで額の汗を拭いつつ、会長秘書が3人に詫びた。
「見ての通り、会長は気難しい方で‥‥いや経営者としては優秀なのですが」
「いいえ、気にして、ませんから」
 しきりに恐縮する秘書に答えると、ルノアは無表情のまま黙り込むアルジェにもにっこり笑いかけた。
「アルちゃん、一緒に、頑張り、ましょう、ね」

 傭兵達が所定の場所を警備・巡回している間、宴はたけなわを迎えようとしていた。
 企業パーティーといっても、今宵開かれているのは役員や重役、大株主など身内の人間だけを集めた懇親会である。
 会長の趣味に合わせ、ヒビの入った壁やボロボロの絨毯、黒く煤けたヴィーナス像等はそのままに、照明を落とした大広間には燭台の炎が幻想的に揺らめいている。
 広間の中央では招待されたプロのテルミン奏者によるリサイタルが開かれていた。
「どうかね、お嬢ちゃん? 昔日の栄華の影を残しつつも、確実に時間という名の魔物に蝕まれていく寂寥感と無常観‥‥この世にこれほど美しい眺めはないと思わんかね?」
 傍らで警護につくルノアに対し、先刻の暴言も忘れたような上機嫌で会長が話しかける。
「はあ‥‥」
 一応相づちは打ってみるものの、そもそも廃墟マニアではないルノアには会長の趣味がいまひとつ理解し難かった。
 そんなことより彼女の気になったのは、30分ほど前から一部の招待客がそっと席を立ち、部屋を出て行くことだった。
 最初は手洗いかと思ったが、彼らの誰1人部屋に戻って来ない。ふと気がつけば、会場にいる「客」は最初の半分近くに減っている。
(「何か、おかしい‥‥」)
 隣にいるアルジェも、異様な気配に感づいたらしい。
 2人がさりげなく目配せし合ったとき、また1人――あの会長秘書が携帯を片手に部屋から出て行った。

「私だ。『荷物』は届いたか? ‥‥いまヘリが到着した? よろしい、総員に通達。これより『宴』を開始する――」

 屋上を警備していた夜宵の目前に、食品会社のマークを付けた大型ヘリが着陸した。
 遅れてきた招待客か――と思い眺めていた彼女の眉がひそめられる。
 ヘリに吊下げられて来たのは、小型車両に積まれた40mmてき弾砲(グレネードランチャー)だった。いくら対キメラ用といっても、とても屋内で使う様なシロモノではない。
 それでも警備員達は黙々とロープを外し、自走てき弾砲を屋上エレベーターで降ろそうとしている。
「正気なの? そんなもの中で撃ったら、建物ごと潰れるわよ?」
 つかつか歩み寄って止めようとした夜宵に対し、警備員達は物も言わずサブマシンガンを乱射してきた。
 だがそのとき、もはや銃口の先に少女の姿はない。
 素早く床面に転がり銃弾を避けた夜宵は、クルメタルで正確に警備員達の腿を撃ち抜いていた。
「運がよかったわね。私がまだ『現役』じゃなくて」
 足を押さえて床面を転げ回る男達を横目に、無線で仲間達に異変を報せた。

 5階の床下に巧みに隠された「檻」がリモコン式の機械仕掛けでせり上がり、そのまま天井を突き破って6階の大広間へと現れた。
 最初は何かの余興かと思い拍手喝采していたパーティー客達は、檻の蓋が開き、中から体長2mほどのビースト型キメラがのっそり現れるのを見て恐怖の悲鳴を上げた。
「どういう、こと?」
「ノア、落ち着く‥‥大丈夫、信じろ」
 会長を始め招待客達の避難誘導をルノアに任せ、1人キメラの前に立ちふさがったアルジェは、外套に隠したソードを投げつけ、敵がひるんだ隙をついて雲隠とクロックギアソードの二刀を構え斬り込んでいった。
 ビル内の各所で配置についていた傭兵達も、いきなり襲いかかってきた警備員達を当て身や締め落としで制圧し、急いで6階へ駆けつけてくる。
「全く、とんだパーティーだな!」
 レティの小銃「シエルクライン」が火を噴き、
「何だかわかんねーけどボコらせてもらうぜ!」
 ミカエルを全身装着した深夏は竜の翼で瞬時に間合いを詰め、キメラの頭部に「激熱」の拳を叩き込む。
「やれやれ、やはり裏があったか」
 覚羅は苦笑しつつ機械剣「莫邪宝剣」のレーザーブレードでキメラの胴を切り裂き、さらにその傷口をエクリュの爪で抉った。
 ダメージを受けふらつく獣に対し、
「これで決めるぜ!」
 竜の爪&竜の咆吼を同時発動した深夏の激熱が、キメラを壁際まで吹っ飛ばす。
 コンクリートの壁に叩きつけられた4足獣は「ギャンッ!」と悲鳴を上げて床に落ち、間もなくその動きを止めた。


「俺の親父は小さな食品工場を経営してた。だがあの会長に騙し取られて、そこから奴は事業を広げていった‥‥親父は首を吊ったよ」
 UPC軍基地の取調室で、拘束された会長秘書はボソボソと自白した。
 会長の秘書を務める裏で密かに反会長派の重役達をまとめあげ、キメラ災害に見せかけて会長とその一派を抹殺する。暗殺が成功した後は、傭兵もろともビルを破壊し、全ての証拠を抹消する計画だった。
「復讐の『宴』‥‥あれを準備するのに十年かかった。戸籍を偽造してあの会社に入社し、寝る間も惜しんで会長に取り入って‥‥ようやくあの晩、復讐を遂げられるはずだったんだが‥‥甘く見てたな、あの傭兵どもを」
「あのキメラはどこから連れてきた? 貴様、復讐のためにバグアと手を組んだんじゃないのか?」
「‥‥」


「秘書の取り調べはまだ続いているようだな。本人は一般人だが、どうやら親バグア派の地下組織と結託していたらしい」
 再び元の廃墟に戻ったビルを見上げ、レティがいった。
「役員の半分を逮捕された食品会社は信用を失って倒産。その意味では成就したわけですね。彼の『復讐』は‥‥」
 依頼は成功したといえ、何とも後味の悪い結末に肩をすくめる覚羅。
「復讐の、ためだけに、十年‥‥そのために、バグアと、まで‥‥」
 ルノアが哀しげに呟く。
 目の前にそびえ立つ廃墟のビルが、彼女にはあの秘書の荒んだ心そのものに思えた。

<了>
(代筆:対馬正治)