●リプレイ本文
●
シャロン・エイヴァリー(
ga1843)は、鏑木 硯(
ga0280)を見つけて、笑みを零し。硯は、眩しそうに目を細めると、優しく穏やかな笑みをシャロンへと返す。
「硯も参加してたのね。メリークリスマス、来年もよろしくね」
「はい。よろしくお願いします。子供たち、喜んでくれるといいですね」
「OK、じゃあ空が混んでて来れない、サンタの代わりに行きましょう♪」
空は冬空。
子供達に少しでも希望と笑顔が戻ると良い。そう、硯は思う。
(聞けば、この編みぐるみも傭兵が作ったんだよな‥‥ なら、俺はきちんとその人たちの思いも届けないとな。現地じゃまだまだ厳しいだろう。子供たちと一緒に遊んで、笑顔を作ってやりたい‥‥)
ふあんとした編みぐるみを手にして、ジュナス・フォリッド(
gc5583)は、仲間達の思いをしっかりと受け取って依頼へと望む。
「喜んでもらえるかな‥‥こういうのは出来栄えより気持ちが大切、だよね?」
ほんのちょっと汗がつーっと。九条院つばめ(
ga6530)は、少しばかりどきどきしつつ。
「おぉ。僕達で編みぐるみをプレゼントしに行けるですか。喜んでくれると良いですけどもー」
お届け物で貰うより、直接渡された方が、好き。
少なくとも、自分はそうだと、ヨグ=ニグラス(
gb1949)は、自分も配ろうと頷く。
「まだ少年である僕に何が出来るかは分かりませんが、少しでも多くの人が笑顔になってくれたらいいですね」
そう、ソウマ(
gc0505)は一人頷く。
みんなが元気になって欲しいとの願いを込めて。
傭兵になった理由の一つに、目の届く範囲の人はいつも笑っていてほしいというモノがある。
それが生意気ととられるかもしれない事は十分承知ではあるが、そう思うのだ。
(ふむ、人道支援か。偶には善意で行動をしてみるのもいいかもな)
モニターの前で、サヴィーネ=シュルツ(
ga7445)は、同じようにモニターを見上げる、知り合いを発見した。
「‥‥おや?あそこにいるのは」
(‥‥慰問、か‥‥私自身、昔は彼らの側だった。今は少し遠い所に来てしまったけれど‥‥あの不安は知っている。だから、少しでも‥‥その不安を拭えたら良いんだが)
遠くて近い過去を思い、流叶・デュノフガリオ(
gb6275)は、小さくため息を吐き、参加の申し込みを済ます。
「さてと、依頼は受けたし‥‥後は現地で‥‥え? えぇぇ!?」
振り返れば、満面の笑みを浮かべたサヴィーネが居た。知らない仲では無いが。
捕獲。
そんな感じで、ずるずると引っ張って行かれた挙句、テキパキと着替えさせられてしまった。
多少身長は可愛らしいが、たゆんとした豊かな胸が、サンタ衣装の中でぴちぴちに納まっている。
短いスカートの裾は、抑えないと、恥ずかしい事になってしまいそうである。
ついつい下から見上げるようなジト目で睨む。顔は真っ赤っかなのは致し方ない。
「‥‥で、此れは一体何事だろうか‥‥サヴィーネ殿?」
「いいかい、これはね。子供達にサンタという夢を与えつつ大人にもちょっとした目の保養をしてもらおうという、まさに全ての人にささやかな安らぎを与える手段なんだ」
「‥‥ほ、本当だろうな?」
もちろん、大嘘八百八町である。
ピンヒールの編み上げニーハイブーツに、黒のオーバーニーソックス。お揃いのミニスカサンタだが、サヴィーネはすらりとモデルのような立ち姿。
むぅ。と、口ごもり、流叶がまだジト目を崩さない。
「その‥‥寒くないのか?」
「え、私? 勿論寒いよ?」
何時もと変わらぬしれっとした笑顔を向ける。これは当然のお仕事。そんな風を漂わせ。
流叶が目線を下に落とす。
「‥‥分かったよ、我慢する」
疑心暗鬼ながらも納得してしまった流叶であった。
ぐっ。
心の中で、ガッツポーズをするサヴィーネは、美少女が恥ずかしがったというオプション付きで、ほくほくと依頼へと望むのだった。
避難村は、寒々しい色合いをしていた。
人の生活の音がする。
ざわめきが、木立の中を伝わってくる。
炊き出しの煙が見える。
そこには火があるのだろう。
つい先日、キメラを退治してもらったばかりの川が近くを流れるが。
今はただ優しい水音を響かせている。
能力者達がやってくるのを見て、人々が顔を上げた。
ある者は顔を伏せ、ある者は怪訝そうに。
ある者は笑顔で迎え。
そして、物おじしない子供達が、歓声を上げて走ってきて。
●
何となく、仲間達の後方で、煉条トヲイ(
ga0236)はうろうろとしていた。
「煉条様?」
「ん、ああ、その。俺は前回参加していないから‥‥」
沢山ある編みぐるみをひとつ手にして、僅かに下を向く。果たして配っても良いモノだろうかと。
「どちらでも構いませんが‥‥」
くすりと笑うティムは、ぜひお願いしますと、トヲイの背を軽く押した。
トヲイは、苦笑いを浮かべつつ、見上げる女の子へと、手にしていたウサギの編みぐるみを、クッキーと共に、手渡せば、満面の笑みが返る。
思わずトヲイも笑みを浮かべた。
(それにしても‥‥でかいなコレ)
ユーリ・ヴェルトライゼン(
ga8751)は、贈り物のクッキーの大きさに苦笑する。
「編みぐるみは?」
クッキーを受け取った子供がじーっとユーリを見る。
「あ、えーっと」
「はいどうぞ」
クッキーと編みぐるみはセットで一緒に配られる。
「作った人に配ってもらおうかなと。得意じゃないから参加しなかったから‥‥」
「そんな遠慮は無用でしょう。子供達が待ってますわ」
ハンナ・ルーベンス(
ga5138)が、穏やかに微笑んだ。
ジュナスは、子供達へと贈り物を配りながら、話を聞いていた。もしかしたら、怪我で動けない子もいるかもしれないと思ったからだ。
「そうか、そこへ案内してもらっても良いかな」
「いいよー。こっちこっち」
毛布に包まれた男の子が顔を上げてジュナスを見る。
「どうぞ」
「ありがとう‥‥」
そっとその頭を撫ぜると、くしゃりとした笑顔が返る。
人手は足りているかと問えば、大人が、テントの張り直しを手伝ってもらえると助かると言うので、たわんだテントをきっちりと張り直して回る。黙々と働くジュナスの姿に、大人から、茶が沸かされて差し出された。
「助かるよ」
「‥‥いえ。ありがとうございます」
暖かいお茶は水筒に入れて持ってきていた。だが、このお茶はまた違った意味で。
ジュナスは軽く頭を下げると、茶を口に含む。
子等へと、ひと手間、かけて。
キャンディを首に括りつけたソックモンキーとクッキーを手渡すのはUNKNOWN(
ga4276)。
「いい子だ」
低い声が響く。軽く頭を撫ぜられた子は、つい見上げる。
「他の子も呼んでおいで」
その声につられるかのように、子等がわらわらと集まってくる。
「メリークリスマス!!」
満面の笑みを浮かべて、配っているのは不知火真琴(
ga7201)。
(どんな時でも楽しい事は、大切なのですっ)
心中で、ぐっと拳を握りしめ。
「どれが良いでしょうかっ?」
「ええとね、猫さんっ」
「はいどうぞ」
ぱあっと顔が明るくなる様を見て、真琴も笑み崩れる。
先が見えずに、心が沈んでしまう時でも、楽しい事を楽しいと感じられ、笑うべき時に、笑う事が出来るなら。
(──まだ、大丈夫)
こくりと頷く。
思う所は人それぞれあるとしても。
(それはそれ。これはこれ。って言うのも、結構大事)
シャロンは何だか時折こくこく頷く真琴を見て、くすりと笑い、手を振る。
「Hi、真琴」
「あ、シャロンさん。メリクリです」
真琴も、シャロンを見つけ、笑顔でぺこりとお辞儀。手が空いた頃に、ティムと目が合い、何時もように、ハグりとご挨拶。知った顔があちこちに居て、その都度交わす挨拶は楽しいものだった。
自分の作ったコが、どんな子に貰われていくのだろうか。それは、作り手である親としてはとても気になる。ふふっと笑い、レーゲン・シュナイダー(
ga4458)は、集まった子へと、必ず二つ出して、どっちが良いと聞いてみる。
「うーん。うーん。ええとね、こっちの犬っ」
「は〜い。じゃあ、わんこさんをどうぞ」
選び取った子が嬉しそうに抱きしめるのを見て、目を細める。
選ぶという自由。それは代えがたい喜びなのだから。
きっと子等は忘れないだろう。
(そっかーもうクリスマスの時期なんだナァ‥‥デラード殿は来れないのカナ?)
クリスマスプレゼントの依頼と聞いたラサ・ジェネシス(
gc2273)が、小首を傾げると、ぽわんと頭上の花が揺れる。避難村の人達を、まったりのんびりさせてあげれたらいいなあとも。
吐く息が白い。
村を見て、ラサは少し目を細める。
「戦争は続くけど、せめて今日くらいはネ」
手にしているのは、自作のクッキー。微妙な形ではある。
ぴりっとした味のジンジャークッキーが苦手な子も居るだろうとの思いはどうやら当たり。
「味は良いはずデス」
おそるおそる口に入れた女の子の顔が輝き、ラサは、ね? とばかりに笑顔を向けた。
寒さに身を竦ませながら、流叶は子等へと贈り物を手渡す。
「はいはい‥‥って皆の分あるから、そんな急かないの!
「この黒猫の編みぐるみは幸運の編みぐるみなんだよ」
「お守りだね」
「うん」
にこりと笑う小さな女の子に、ソウマは相好を崩す。
そして、つい。熱弁を振るってしまった。
黒猫の歴史なんかのうんちく満載で。
きょとんとした顔の女の子の視線に気が付き、はっと我に返る。
「えー。その、こほん。‥‥大事にしてあげてね」
ありがとうと、満面の笑みを浮かべて走って行く子を見送ったソウマの顔は、心なしか赤かった。
「この子のお友達になってくれる良い子はいませんですかー?」
「ぼくっ。ぼく、その黄色いウサギさんとお友達になりたいっ!」
「えあ? この黄色いウサギをもらってくれるですか? ぎゅっとするといいですっ。ぎゅっとっ!」
「ぎゅーっ」
男の子が抱え込む様を見て、ヨグは感慨深げに、はうーと頷く。
もふりと温かい、ちょっとぶかっこうな黄色ウサギさんは、大事に抱えられて連れて行かれた。
見送ってちょっとせつない親の気分。
●
シャロンは、何となく遠巻きにしている子へと寄って行く。
「こんにちは、キミにはね‥‥うん、この子が挨拶したがってるわね『オッス、オラ、ライオンのレオって言うんだ。よろしくな』」
「‥‥わぁ‥‥」
「『オラは百獣の王様なんだ。一緒にいると勇気が湧いてくるぞ。さあクッキーを貰ったら、あっちにいる皆のところへ行ってみよう!』」
「うんっ!」
きゅきゅきゅと動く、ライオンの編みぐるみと、楽しいシャロンの動きに、赤いほっぺたの女の子が、すこしはにかんだ笑みを浮かべて、手を差し出した。その小さな手に贈り物を届け。
ひょこりと出たのはイルカの編みぐるみ。
シャロンはそれで腹話術候で子等の笑顔を引き出していた。
「サンタおじいちゃんに代わってサンタの孫のあたしがいい子の皆にプレゼントをお届けに来たぞ!」
ミニスカサンタ。エイミー・H・メイヤー(
gb5994)は、白い大袋を肩に担いでいた。
その中から、編みぐるみとジンジャークッキーを取り出して手渡して回る。
「サンタさんに頼まれて、君とお友達になりに来たんだ、僕に名前をつけてね!」
くくっと動かし、エイミーが笑う。
「やあ、こんにちは! ぼくとあそんでくれる? ねえ、きみのなまえは?」
レーゲンが、別の方向からこそりと動かし。
クリスマスの歌を口ずさみながら、ラサもひょこりと編みぐるみを動かす。
「道を間違えて、辿り着くのに苦労しちゃったデス」
三人の寸劇付きの編みぐるみ配りは、きゃあきゃあという笑い声に包まれて。
「皆いい笑顔だな‥‥、やっぱり可愛いは正義!」
「当然ですの!」
何度目か、何か通じたエイミーとティムは軽くハイタッチ。
くたりとした大きな犬の編みぐるみを、鐘依 透(
ga6282)は、一人で川の近くにいる子へとぽふんと乗せた。ちょっと大きな子なので、プレゼントをもらう輪の中に、入り辛いかったのかもしれない。
でも、透からしてみれば十分に子供で。
「こんばんは。燕の羽休め所より幸せをお届けに参りました。青い鳥のサンタです、宜しく☆」
怪訝そうな子に、明るい声で、この編みぐるみのモデルの話を楽しそうに語れば、くすりとした笑みが零れたのを見て、ひとつ頷く。
(テツさんが少しでもこの子を励ましてくれると良いな‥‥)
そう、願い。
つばめは、猫さんズと、命名している編みぐるみ三体を、誰にあげようかと見渡せば、やっぱり、少し離れた場所で遊んでいる、大きな女の子三人へと渡そうと寄って行く。どうやら、姉妹のようだ。
編みぐるみを貰いに行く程子供じゃないと、一番上のお姉ちゃんは首を傾げたが、つばめの差し出した編みぐるみに、ほんわりと笑みが浮かぶ。
(私の作った編みぐるみで、少しでも和んでくれたら、嬉しい)
結果、姉妹は大事そうに編みぐるみを抱えてくれて。
つばめと透は、顔を見合わせて、にこりと笑い合った。
●
はいはい、いっぱいあるからと、明るく笑いながら鯨井昼寝(
ga0488)は編みぐるみとクッキーを配っている。
「サンタ姿もなかなかサマになってるねえ」
それを見た硯が、軽口で笑いかければ、昼寝もからっとした笑みを返す。
「トナカイがいないのよ」
ソリに見立てた箱に、ロープをかけてひっぱって村の中へと分け入って行く昼寝の姿に、子等は群がる。軽くなってきた箱の中へと、小さな子をすぽんと入れれば、編みぐるみに囲まれたステキな状況。
そおれっ!
そんな掛け声と共に、昼寝が駆ければ、箱が滑るように地表をがさがさと走る。
楽しげな高い声が幾重にも響く。
「次僕!」
「あたしも!」
「僕もっ!」
「ちょっ、そんなにいっぺんには無理だってば!」
待って待って。順番っ! そう昼寝は子供たちと笑い転げる。
皆で箱を追いかけて走れば、ぽかぽかと体が温まる。
いっぱいの子供達に、満面の笑みを浮かべて突撃していったのは空閑 ハバキ(
ga5172)。
思わず手がわきわきとするぐらい、子等の中に混ざるのは大好きだ。そんな気配を子等も良く見極める。きゃーとばかりに、小さな子がハバキにぐるぐると回されて、歓声を上げる。
ひとしきり回し終わると、後方からタックルがかかり、思わずこける。
「やったなーっ」
「こーこまでおいでーっ」
「ふっふっふ。逃さないんだぞっ!」
本気で遊ぶハバキであったが、一息つくころに、隅っこに居る子が目についた。
「めりーくりーすまーす‥‥」
そーっと背後から近寄ると、低い声で語りかけ、贈り物を差し出せば、真ん丸な目が開かれる。目を細めて笑い、ぎゅっとハグれば、ちいさなハグが返されて、笑みが深くなる。
贈り物を配りながら、辻村 仁(
ga9676)は、ふと何かに思い当たる。
(子供の顔ほどもあるジンジャークッキー‥‥)
装着。
つい、仮面にしてみる。
その姿は、子供達のツボにはまった。
大うけである。
「ははははははっ!! 捕まえられるかなっ?!」
「まてーっ!!」
でも、逃走にかかるって事は、正義の味方じゃあなさそうだ。
駆ける仁を追いかける子供達。
そして、多勢に無勢とはまさにこの事。
あっという間に取り囲まれて、引き倒される。
そして、クッキー仮面は、素顔を晒す事となる。
ぱりーん。
割れたのも何となく演出っぽくて、子等大喜び。
皆で大笑いしつつ、仁は、その自分の分の割れたクッキーを皆に分けて。
「お茶にしようか」
「するー」
口々にクッキー仮面‥‥仁へと子等の良いお返事が返った。
「何か遣りたい事、ある人ー?」
「鬼ごっこ!」
「サッカーっ!」
「かくれんぼっ!」
はいはいと手が上がる。
「俺もやる」
「うん、一緒に遊ぼうっ」
「あ、まて。俺はお兄さんだからなっ!」
「えーっ?」
容赦ない子等の視線に、宵藍は、こらーとばかりに笑うと、きゃらきゃらと笑い声が返る。
あちこちからの視線にふと服をなおすが、流叶は楽しく子等と遊びに興じる。
仕事がひと段落すると、ジュナスも子等が遊んでいる所へと混ざる。
ソウマが軽くサッカーの真似事をすると、子等は夢中になって真似を始める。ジュナスもボールを蹴り、簡単なチーム戦にもなった。
子等の笑みに、ソウマは嬉しそうに笑い返す。
それを見ている大人をソウマと宵藍はちらりと目の端に入れる。
大笑いする子等を見て、大人も笑い。
笑顔の連鎖が避難村へと伝播して行くようで。
「もっとやろうっ!」
「やだよ。まだだるまさんするんだから!」
「‥‥そうだな。順番にしよう。三十分ボール遊び、そしたらまただるまさんだ」
「その次に鬼ごっこかな」
ソウマが笑う。
「「うん」」
一瞬険悪になりかけた遊び場が、また、楽しい輪になって。
思い出に残るクリスマスになると良いと、ソウマは心の中で頷いた。
人形遊びの輪の中に居るシャロンは、一息ついたところで、子等を見渡した。
「じゃあ、お姉さんに皆の国のクリスマスの歌を教えてくれる?」
「いいよーっ」
「教えたげるっ」
得意満面に歌う耳慣れない発音の歌が終わると、シャロンは拍手を送って、少し身を乗り出し。
「代わりに、私の国、イギリスのクリスマスの歌を教えてあげるわ」
クリスマスと新年を祝う歌。
繰り返しが楽しくて。
その歌が馴染んできたと見るや、シャロンはハーモニカを吹き始める。
顔を見合わせた子等は、そのハーモニカの伴奏で、高らかに幸せを歌い上げ、音を空へと紡いで行く。
UNKNOWNが、継いでハ―モニカを伴奏すれば。
「なんかこの曲なら踊れそうっ」
ヨグは、うきうきと軽いステップを踏む。
歌い終わった子等の視線に気が付くと、手を振れば、わらわらっと寄ってくる。
「皆さんのお歌も音楽も楽しかったです」
「ほんとーっ?!」
「はいです」
褒められた子等が、嬉しそうに笑う姿に、ヨグも釣られて笑い。
「あーんのーんさーんっっ」
居た! とばかりにハバキは、UNKNOWNの上質なコートのポケットに自腹で作ったうさぐるみを押し込むと、えへへと笑う。
「どうしたのか、ね?」
「いつも、貰ってばかりだから、クリスマスプレゼント、ね!」
貰って貰ってと全身で訴えるハバキにUNKNOWNはくすりと笑う。
「砂糖湯に生姜を加え、片栗粉でトロミをつけただけの飲み物だが、材料費もあまり掛からない上に簡単。何より、体が温まるからな」
「つぶつぶになっちゃった!」
「ああ、大丈夫。つぶが出来ても平気だ」
しろいつぶつぶが少し残るのも楽しい。
走り回るのが苦手な子も居る。
かき混ぜる子等を見て、トヲイは笑みを浮かべる。
トヲイが教える、とろっとした『あめ湯』の喉越しは、息の白くなるこの場所では、とても美味しくて。
シャチが人気で無くなってしまう。硯は、シャチが欲しかった子の前で、小さなシャチを編み込んで行く。その子の横には、イルカを手にしているお友達が、イルカじゃあ駄目なの? と聞き、その子はシャチが良いと言う。
瞬く間に形になるのを見て、目を丸くする姿に、硯はくすりと笑い。
「はい、出来た」
「お姉ちゃんありがとうっ!!」
ぎゅっとシャチを抱きしめる子の頭をぱむりと撫ぜる。
時代という、得体のしれない括りがある。
けれども。
それを仕方がないと言い切るのは業腹だ。
UNKNOWNは、子等の笑い声に目を細める。
(笑顔をのある世界は、なんと美しいものであるか。なんと色煌びやかなものだろう、ね)
くすんだ時代。冬の色合いが、笑顔があるだけで一瞬で色を変えるのだから。
(子供達の笑顔が、何時か大人達の心を解きほぐす事でしょう‥‥今は、未だ固く閉ざされているとしても)
笑顔の伝播を見て、ハンナは、静かな笑みを浮かべた。
多くの人はそういうものだ。
幸せは幸せを呼ぶのだと。
遊び疲れた子供達と、仲間達へと、お茶が入りましたよと、ハンナは声をかけた。
●
配り終わった後で、ヨグはジンジャークッキーをぱくり。
さくり。ぽろり。ほんわりとした気持ちが込み上げる。
「はうあー。触感がなんともっ」
何より好きなのはプリンだが、クッキーもとても美味しく、つい目を閉じて味の反芻をしてみたり。
遊び疲れた頃に、ハバキはサヴィーネを見て、軽く目を見張る。
「にしても、さっちゃん、カッコ可愛いね」
「だろう?」
「‥‥一緒に行こう?」
「?」
何時もよりも低い、男前度の増した声で誘われて、サヴィーネは首を傾げる。
引っ張って行かれたのは、編みぐるみ袋の前。
「これ、俺が作ったんだよ。今度、さっちゃんにも作り方教えたげる♪」
「あー‥‥そのうちにー」
きゃらきゃらと笑いながら、ハバキは可愛いわんこを取り出せば。
サヴィーネは、はいはいとばかりに目を眇め。
「メリクリだ。エイミーサンタからプレゼントだぞ!」
「メリークリスマス! 我輩からのプレセントだヨ。いつも皆のためにアリガトウ!」
「スノーボールクッキーです」
「くっ! お返しがございませんのっ! 皆様方、何かの折に覚悟して下さいませですのっ!!」
ラサはコサージュを、エイミーは淡い橙色の手袋を、レーゲンは自作のクッキーをティムに手渡せば、脅しのような? 感謝とハグが向けられる。
「ラサにも、レグにもだ」
「お姉様っ」
「ふわふわ‥‥」
ラサには雪のように真っ白な、レーゲンには、薄緑のお揃いの手縄の手袋という幸せが配られ、レーゲンはお返しとばかりに、クッキーを手渡した。レーゲンのクッキーは仲良しさんたちへも手渡され。
●
日が暮れかけると、あちこちに火が焚かれた。
「いっぱいあるからね」
ユーリは、山と買い込んできた栗を火にくべる。きちんと切れ目を入れてきている。
やっぱり大量に買い込んできているのは、仁。
サツマイモが、これでもかというぐらい火の中へと。
甘い香りに、子等が誘われてくるのを、二人は笑顔で手招きし。
「‥‥大丈夫? ‥‥何か怖い思い出でも‥‥思い出したかい?」
夕暮れに立ち竦んだ子を見かけて、流叶は声をかける。
涙いっぱいのその子をぎゅっと抱きしめれば、わんわんと泣きじゃくる。
収まると、流叶へとにこりと笑みを返し。
「ありがとうお姉ちゃん。もう平気」
「そうか」
ぎゅっと抱き返されて走ってテントへと戻って行くのを見送る。
熱の塊が懐から離れた寒さに、流叶は小さく息を吐いた。
薪の火がはぜる。
あたっている半面が熱い。
背中は何だか寒いけど、真琴は隣の幼馴染にぽてんと寄り掛かれば、温かい。
「最近、色々‥‥ホントに、色々。あったんだけどね‥‥」
話したい事は沢山あった。けれども、いざ話そうと思うと、言葉が見つからない。
(うちは今、笑えているから、きっとそれでいいんだと思う)
ふと上を向くと、星の瞬きに目を細める。
仲間が居て、クリスマスを祝えて。
(‥‥元気かなぁ‥‥)
淡い緑の髪の女性を真琴は星に透かして思い出した。
問題はまだ沢山残っているけれど。今はただ、火にあたっていようと。
炎を見ながら、ハバキはふっと笑みを零す。
手にするジンジャークッキーと共に、部屋で待つ彼女に沢山の話が出来るだろうかと。
トヲイと昼寝は、あめ湯を手にして、赤々と燃える火を見ていた。
自分の目と同じ色だなと、トヲイは炎を見つめる。
夜の、火の回りは、外界から隔離されたかのような雰囲気を醸し出す。
静謐な。空間。
「俺は‥‥敵から戦う理由を問われた時、何故か即答出来なかった‥‥」
Noblesse oblige ――力持つ者は、 持てる者の責務を果たせ。
生まれた時からずっと、そう教えられ、それを疑わず生きてきた。
けれども。
『戦うのが好きなんだろう?』
その言葉を即座に否定出来なかった。
「‥‥答えは未だに、出ていない。昼寝、お前は何の為に戦う?」
きょとんとした昼寝の顔に、トヲイは首を横に振る。
「すまん。今の話は忘れてくれ。それより‥‥」
クジラの帯留めをトヲイは昼寝へと手渡した。
「良ければ、貰ってくれ。今日ぐらいしか直接手渡せる機会は無さそうだしな」
「わ、ありがとうっ!! そうだ、そうだ」
プレゼントに満面の笑みを浮かべると、昼寝はすっかり小さくなったサンタ袋の中をごそごそと探る。
取り出したのは、ロングマフラー。手編みである。
「あ‥‥」
太い糸でざっくりとバルキーに編まれたそれを、トヲイの首へとよいせとかけて、何とか形にしようとするのだが、上手くいかない。
トヲイが僅かに顔を赤くする。
「うーん‥‥やっぱり人のは上手く巻けないわね。あとは自分でやって」
「あ、ああ」
先ほどまでの思い詰めた雰囲気は昼寝によって、あっという間に払しょくされて。
「ありがとう」
「どーいたしましてっ!」
ほんわかとした空気が炎の色さえも変えたかのようだった。
火と離れ、透と燕は星空を見上げていた。
「こんな時だけど‥‥また、つばめさんと星空が見れて良かった‥‥」
「うん。ホントだね。あの時とはまた季節が違って綺麗」
他愛ない話から、話題は今回の大規模作戦へと。
所属小隊『ガーデン』。長らく留守をしていた隊長が戻って来てくれた事が嬉しくて、つばめは夢中になって話す。隊の雰囲気がさらに良くなり、ずっと絆が深まった事。
何よりも。
「戻ってきてくれた事が、嬉しいんですっ!」
「うん‥‥本当に、良かった‥‥」
夢中になって話すつばめの話と、透は優しく頷いて聞く。
にこやかなつばめの顔が、すっと引き締まり、透へと向き直る。
「あのね」
「うん?」
「進路の事なんですけど」
「うん」
「色々悩みましたが、私、大学を受験します」
「うん‥‥良いと思う。つばめさんなら、両立も出来ると思うし‥‥応援してる」
そんな時期なんだと、透は思う。
一年しか通わなかった高校をふと思い返し、口の端に笑みを浮かべて首を横に振る。
とても楽しい時間だった。
だから、この時勢だけれど、つばめの進学の話は素直に嬉しい事だった。
今、この年齢でしか出来ない、そんな時間を過ごして欲しいと願う。
「あ、でも‥‥頑張り過ぎで、体は壊さないように、ね‥‥?」
「はい、頑張り過ぎないように頑張ります」
透へと、つばめはにこりと笑う。
高校の時よりも、大変になるかもしれない。
けれども、きっと出来るはずだと、この数年を振り返り思い。
「――あ、でも、受験勉強の追い込みだけは頑張りすぎるくらいじゃないと、駄目かも‥‥?」
苦笑いするつばめに、透はくすりと笑い。
星も笑うように瞬いた。
●
無造作に薪を足し、火の番をするのはUNKNOWN。
煙草を口にするUNKNOWNを見る大人達へと、どうかねと、彼は煙草を差し出す。
そして、持参したワインの口を切る。
未来の子供たちの為にと、UNKNOWNがマグカップを軽く掲げる。
「乾杯」
そのまま飲み干す者、乾杯に応じる者、様々に。
「足りないものがあったら、遠慮なく、だ」
UNKNOWNは彼らの現状を聞き、見聞きした世界がバグアへと対抗している話を静かに話し。
その言葉はゆっくりと人に染みて行くようで。
サヴィーネは、大人達とぽつぽつと話す。
「戦いったって、銃を持つだけじゃ終わるどころか、始まりすらしやしないんだよ」
そうかもしれないと、横に座る男は、ただ火を見ていた。
頑張ったんだなと告げれば、潤む目を擦る者もいる。
いんいんとした音が響く。
二胡を引き、歌うのは宵藍。中国民謡の独特の音階がはじける火花と共に踊る。
(‥‥歌詞の内容、何処か今までの彼らみたいだと。自由に手を伸ばしたらどうかなってしまいそうで怖い‥‥って)
そんな意味合いを含んだ歌詞。
口ずさむ大人達と目線で頷き合う。
最後の一音が余韻を残して夜に尾を引けば、ため息の様に零す大人達の他愛のない愚痴を宵藍は聞く。
ぽつりぽつりと零すように話す大人達の話をただ聞きくのはラサ。
「バグアもこの星空を見て綺麗とか思ったりするのカナ‥‥」
ちいさく頷きながらのラサを横に、涙ぐむ者もいる。宵藍の母国語に笑みを浮かべる者も。
人は、聞いてもらえるだけで痛みが和らぐものだから。
二胡の演奏が終わったのを見て、UNKNOWNがバイオリンの音を響かせる。楽な恰好で弾かれる音は、心の奥までひっかくような、そんな響きを持っていた。
ユーリは焚火を小さく自分の手元に小分けすると、コーヒーを沸かし始める。
(何となくコーヒーって、焚火にポット直掛けで入れるイメージあるよね)
栗を何度か入れ直し、小枝で焼け具合を確かめて。
大人たちの話を静かに聞いて頷いている。
夜は深々と更けて行く。ラサの横で寛いでいたエイミーは、レーゲンを見て小さくため息を吐く。
「あいつなにやってるんだ、次に会ったら鉄拳制裁だ」
エイミーは、彼女へと聞こえないように小さく呟く。
レーゲンは、罪悪感に席を立つ。
仲良しにクッキーをプレゼントしたのは良いものの、避難生活をしている人々には、お菓子作りという事すら、きっと贅沢な事なのだろうと、小さくため息を吐く。
「だいじょーぶ。デラードは帰ってくるよ」
火の側から離れようとするレーゲンを捕まえて、ハバキはぽみぽみと肩を叩く。
それは、願いであり、自分にも言い聞かせるようでもあり。
肯定も否定もせず、レーゲンはにこりと笑うと、ハバキから離れる。
そのレーゲンをティムが捕まえると、その手に何か握らせた。
「大規模作戦の前に預かりましたの。クリスマスに戻れなかったら、渡して欲しいって」
布袋に入ったそれは、小さな花型をしたペンダントだった。
ティムは、ぎゅっとレーゲンをハグると、立ち去った。
青と水色の宝石で出来たそのペンダントを握りしめて、レーゲンは村外れへとむかう。
星が良く見えるから。
去年も、この時期に一番一緒に居たい人が居ない。
今年も、現状を考えれば無理なのはわかっている。
だから言わなかった。言えなかった。
それでも、寂しさは押し寄せる。これは甘えだとレーゲンは思う。
(――どうか、ご無事で)
同じ大陸の空の下で、出来る事を頑張るからと。
●
冬の空気だ。朧 幸乃(
ga3078)は、何となくその空気を吸いながら、村外れまで歩いて行けば、独りで居る子が居た。岩場に座って、川を見て居る子の横に座り込むと、何となく配りそびれていた黒ウサギを前に出した。特に声を変える事はしない。
「こんにちは‥‥どうしたの‥‥?」
首を振る子。
大人も子供も、争いは恐ろしいものだと知っている。
火が怖い事も。
時には仲間という人が怖い事もある。
戦いにより状況が変わり、隣人が豹変する事もあったろう。
そんな、恐ろしさを、今この時代を生きる子は知っている。
(‥‥私も‥‥)
逃げ去るでもない子を見て、幸乃は、黒ウサギと自分の分のクッキーを手渡して、微笑む。
(‥‥でも、温もりを求めてる‥‥)
きゅっと抱えて、そのまま膝を抱える子に、幸乃はそれ以上何も語らず。
そっと立ち上がる。
少し歩くと、幸乃の耳に、小さく、ありがとうという声が届いた。
(‥‥明日は、皆の輪の中へ一歩、歩めるといいね‥‥)
この小さな温かさが、甘さが、心に届いたならば。
幸乃は、さらに村から外れた場所へと歩いて行く。
周囲は夜の暗さに溶ける。
だが、同じ程、夜空の星が明るく見えた。
藍色の闇の中で、幸乃はフルートを手にした。
そっと息を吹き込む。
(休まれている火ともいる‥‥でしょう)
音色は密やかに闇を縁取り。
見上げれば、凍てつく空の、宝石のような光。
能力者になる前、幸乃がスラムで見上げた、あの星空と重なった。
「‥‥あら? あの子は‥‥」
ハンナはとっぷりと暮れた避難村の中で、一人の少女が川へと向かうのを見かけた。
その少女の瞳に覚えがあった。
毛布と編みぐるみを手に、ハンナは少女の後を追った。
川を見て、座っている少女の横へとふわりと座る。
少女は、ハンナを見て、また川へと視線を向けた。
暗い川は、星の光を僅かに反射して、時折り、ほんの少し光る。
「良いかしら?」
「‥‥」
ふわりと一緒に包まる毛布。
手にする大きなウサギの編みぐるみをそっと少女の膝の上に置けば、気なしでいるかのような少女は、編みぐるみをぎゅっと抱きかかえた。要らないわけでは無いのだ。欲しいと言う言葉が言えないだけで。
ハンナは、ゆっくりと少女の頭を抱え込めば、されるままに、少女の頭がハンナの肩へと倒れ込む。
水音がさらさらと体に響く。
その音に混じり、いつしか少女から寝息が聞こえてきた。その手には、しっかりと編みぐるみが握られ。
ハンナは穏やかな笑みを浮かべて、少女を見、星空を仰いだ。
(この少女にも、何時の日か笑顔をお戻し下さいます様に)
神に祈るのはシスターの日常だ。
だが、今はただの一人の人として、彼女の幸せを祈りたかった。
垣間見た少女の瞳の奥にあった、拭い去れない孤独の光り。
それは、かつての自分だと。
「何時か晴れる日が来ます‥‥」
きっと。
傍らに誰かが居てくれる限り。
ハンナは、修道院の院長先生や、院の全ての姉妹を思う。
(私もそう在りたいのです‥‥それが、今は神の下に召された恩人達の‥‥想いに応える事だと‥‥)
ハンナは笑みを浮かべた。それは、聖堂で両手を広げる聖母のような笑みであった。
この後はまた、戦いが待っている。
大陸の戦いは大詰めを迎えているから。
(‥‥僕達にも火を眺める時間は必要だと思うですよ)
そう、こくりとヨグは頷くが。なんとなくうずうずしてしまう。
見知った顔に背後からダイブ。
きっと皆は笑って遊んでくれるけど。
そこはかとなく漂う、静かな良い雰囲気に、踏み込む足が鈍り。
「ティムさん、ここは空気読むべき?」
「激しく、読むべきに同意ですの。とある場所は馬に蹴られそうですの」
「むむ。んと、じゃあ流れ星探してみよ。今夜ぐらいは夜更かし上等で」
「あ、ご一緒しますの」
凍てつく夜空を見ながら、ヨグは戦いを思う。
「んと、バグアだからじゃなくて、悪い奴らをフルボッコするのが僕の正義なのですがー」
「ですの。こちらを攻撃する側の都合まで考えてあげる程、私も博愛とは違いますの」
「さっさと大陸とりかえしてやるですっ! ‥‥あっ!」
きらりと一筋、星が流れた。
水を取りに立ったサヴィーネは、火を振り返り、大人たちのシルエットを見て軽く頷く。
「彼等は、ここから戦い始めなければいけない。ま、心配はしてないけどね」
「‥‥その為に、出来る事を遣らないと‥‥かね」
流叶は、コートを羽織りながら、頷く。
「私らで終らせられる‥‥とは言わないけどさ、少しは前には進めるはずだ、彼らも」
もう寝入っている子等を思い出し、流叶は表情を引き締める。
「‥‥勿論、私も」
戦いは未だ終わらない。終わったとしても、やらなくてはならない事は山積みだろう。
火を囲む人々の影が長く伸び、夜と混じる。
子供達へと笑顔を。
大人達へは、慰めと決意を。
そして、傭兵達はまた胸にひとつ明かりを灯し。
侵略者との戦いに身を投じる事となる。
それぞれの思いを胸に。
ただ、今だけは。
誰の頭上にも喜びの歌を。
Mary X’mas。