タイトル:チュー・リップマスター:岩魚彦

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/04/08 10:35

●オープニング本文


●寒空の下で
 雪が降ってもおかしくない、鉛色の雲の下でお互いを抱き合う女性が三人。その女性達はいずれも白い特攻服を纏っており、さらしを巻いていない。
「うおおおおー。さみぃぃぃぃ!」
 ポニーテールをした女性が体を震わせる。
「‥‥お腹空いた」
 マスクを付けたロングヘアーの女性はポツリと呟いた。
「あーん。任務は失敗するし、竜宮城はやられちゃったし! 何処に帰ればいいのぉ〜」
 縦ロールをした金髪のロリータが悲観に暮れる。
 彼女たちは以前、海南島沿岸部で男性を誘拐しては竜宮城へと連れ去っていた。傭兵達の活躍により、誘拐行為を実行できなくなり、竜宮城に帰れなくなっていたという。その間に竜宮城は人間側に敗れ、陥落してしまった。
 行き場を失った彼女たちは、こうして寒空の下で体を温めあう事しか出来ないのである。
「うう‥‥暖かいご飯が食べたい‥‥」
「‥‥中華がいい」
「私は美味しいオムライスが食べたい‥‥」
 三人組は暖かい食べ物に心を馳せる。元上司の心配より、自分の方が大切なのであった。
「貴女達‥‥確か、竜宮城の‥‥」
 悲惨な状況に置かれた三人組の前に現れたのは、バグアのリーゼンベルグだった。

●ビッグフィッシュ内部
「偶然とはいえ、こんな可愛い女の子達を拾えるなんてラッキーだわ」
 レディース三人組を保護したリーゼンベルグは彼女らに暖かいものをご馳走していた。
「はー生き返るな‥‥」
「‥‥(こくり)」
「美味し〜い!」
 三人組が食事している様をリーゼンベルグは笑顔で眺める。純粋に笑顔の女の子が好きというだけで、それ以外の思惑などない。
「ねぇ、貴女達‥‥私の元で働かない? 三食昼寝付きに、サービスだってするわよ?」
 三人組はお互いの見つめ合い、ポニーテールの娘がすぐに口を開いた。
「はい。お世話になります!」
 1秒もかからず決断する。思いきりがいいのか、何も考えていないのか判断に困る状況であった。
「なら、これから宜しく頼むわ‥‥っと、先ずは名前を教えてくれないかしら?」
 リーゼンベルグの言葉に三人組は首を傾げる。
「そういえば、名前なんて無かったな」
「‥‥(こくり)」
「そうだよね〜。まず、呼ばれる事が無かったし‥‥」
 三人組の言葉にリーゼンベルグの瞳が怪しく輝いた。
「なら、名前を付けてあげるわ! どんな名前がいいかしらね‥‥ふふふ」
 リーゼンベルグの笑顔に、三人組は不安を隠せない。
「そこのマスクの君は‥‥『お菊』ね」
「‥‥」
「そこのロリっ娘は‥‥『お梅』よ!」
「‥‥え?」
 リーゼンベルグの微妙なネーミングに、三人組の表情が青ざめていく。
「最後にポニテっ娘は‥‥そうね‥‥『イヌノフグリ』なんてどう?」
「嫌だー! 花の名前っていう事は分かるけど、それは絶対嫌!」
 ポニーテールの女の子が凄い形相で怒る中、他の二人は肩を震わして笑いを堪えていた。
「ちょっと! あんたらも何か言いなさいよ!」
「‥‥フグリ」
「いいんじゃない? フグリ?」
 イヌノフグリの懇願によって、リーゼンベルグは新しく命名する。
「じゃあ、マスクちゃんは『つばき』、ロリちゃんは『さくら』、ポニちゃんは『ぼたん』これで文句ないわよね?」
 とりあえず、この名前で落ち着いたらしい。

●リーゼからの指令
 三人組はリーゼに保護された後、三食昼寝付きで実に優雅な暮らしを送っていたが、ついに指令が下された。
「はぁ‥‥この花を街に‥‥?」
 ぼたんはリーゼが手に持っている鉢植えを見つめている。どう見ても、ただのチューリップにしか見えない。
「あまり顔を近づけない方がいいわ。まだ花粉を出してないけど、もしもという事があるわ」
 リーゼの不吉な言葉に、三人は鉢植えから距離を取る。
「‥‥説明を」
 つばきは極力鉢植えに顔を向けないようにしながら、リーゼに訊ねる。
「とある島国ではキスの事をチューというらしいわ」
「それが、どうしたの〜」
「そして、リップは唇‥‥。チューリップって凄い偶然だと思わない?」
「結局、何が言いたいのよ」
「この花にちょっと手を加えてみたの。この花の花粉を吸うと、キスをしたくてたまらなくなるのよ」
 リーゼの得意げな説明に、三人組は若干引いている。そんな事をして何の得になるのか、まるで理解できないと言ったようであった。
「早い話が女性同士の‥‥いえ、実験が成功したか撮影して欲しいのよ」
 三人組はまたこの人の病気が始まったと、頭を抱える。これさえなければ、本当にいい上司なのだが‥‥。
「それと、貴女達が花粉を吸って撮影どころじゃなくなると困るから、ちゃんとマスクをしなさい」
「えー‥‥。マスクで防げるのですか?」
 ぼたんは本当に大丈夫かと思いながら、リーゼに訊ねる。
「特殊な花粉だけど、花粉が体内に入らなければ、問題ないわ」
 常にマスクを付けているツバキに、その鉢植えが手渡された。
「‥‥フグリ、パス」
「誰が、フグリだ!」
「自覚してる癖に〜。フ・グ・リ」
 こうして、リーゼから三人組へ初めての任務が言い渡される。

●参加者一覧

リチャード・ガーランド(ga1631
10歳・♂・ER
勇姫 凛(ga5063
18歳・♂・BM
伊万里 冬無(ga8209
18歳・♀・AA
大鳥居・麗華(gb0839
21歳・♀・BM
レイチェル・レッドレイ(gb2739
13歳・♀・DG
柚紀 美音(gb8029
16歳・♀・SN
樹・籐子(gc0214
29歳・♀・GD
ララ・スティレット(gc6703
16歳・♀・HA

●リプレイ本文

●三人娘再び
 傭兵達は件の街へと訪れた。そこは情報通り、いや、それ以上の惨事が繰り広げられている。老若男女、同性異性を問わず、そこら辺で口付をしていた。
「なんだか不思議な光景ですね。こういうのを『風紀が乱れている』って言うんですよね」
 ララ・スティレット(gc6703)は向かう途中、至る所でその光景を見つつ顔を少し赤く染める。
(白昼堂々あっちもこっちもそんな事‥‥)
 無言ではあるものの、勇姫 凛(ga5063)も顔を真っ赤にしていた。
「キスって気持ちいいものねぇ〜、可愛い娘とだったら何時間でもしたくなっちゃうくらい」
 ララや凛とは反対に、レイチェル・レッドレイ(gb2739)はその様子に恍惚の表情を浮かべていた。
「あらあら、町中でキス状態が乱舞なんて、なんて桃色な状況なのかしらねー」
 樹・籐子(gc0214)は楽しそうに眺めるだけである。
「ファーストキスは大事なものだから、いいと思うまでとっておきなさいってお父さんも言ってた。大事にしなきゃいけませんね」
 ララが、口元を押さえて言う。
「混乱目的の花粉をまき散らすかあ。ゲームでもあるよねー。混乱して味方攻撃するとか。それは結構きついなあ。混乱解除のスキルなんてオレッち持ってないし。多分、ダークファイターのキュアぐらいじゃね?」
 リチャード・ガーランド(ga1631)はそんなことをいいながら、伊万里 冬無(ga8209)を見て、混乱したら治す気がなさそうなのを見て楽しそうに笑う。
「ふふ、何やら面白い物を用意して来たみたいですね?」
 案の定、治療など全く考えていない冬無がいた。
「花粉対応とはいえこういう格好は好きじゃないですわね‥‥」
 花粉対策にゴーグルとフェイスマスクを装備した大鳥居・麗華(gb0839)は、格好悪いのを不満に思いながらも、背に腹はかえられない様子である。
「効くかどうかわからないけど‥‥けどこれってギャングだよね? 西部劇の」
 リチャードは何処か楽しそうに、バンダナで口元を覆い花粉を吸わないようにしてみた。
「べっ、別にマスクだとなんかかっこ悪いからとか、そんな事考えてないんだからなっ!」
 凛は小隊のトレードマークの長くて黄色いマフラーで、口元を覆っている。
「声が籠るから好きじゃないですけどっ! 急に花粉症になったら怖いですしねっ!」
 マスクを着用しつつも、何処となく嫌そうなララであった。
「今日もがんばろう〜。みんないるし大丈夫〜♪」
 とは言いながらも、柚紀 美音(gb8029)は花粉を吸ったらどうなるかどうなるか、妄想してドキドキしていた。

 傭兵達は各々準備をして、強化人間の三人組が占拠しているというビルの屋上へと向かう。
「さくら、ちゃんと撮影してる?」
「うーん‥‥つばき、このカメラどう使うの?」
「‥‥分からないな」
 屋上を占拠していたのは、いつぞやかに男性の誘拐を企んでいたレディース三人組であった。
「あっ、いましたよ! 一体全体どーしてこんな事をしたのか、洗いざらい話すべきですよ!」
 ララの問いをかき消すように、突然凛が叫び声を上げる。
「あーっ、お前達はあの時のっ‥‥言っておくけど、凛は変な趣味有るわけじゃ、無いんだからなっ!」
 凛は一瞬勝ち誇った笑みが浮かびかけたが、すぐに色々思い出して悪寒で体を震わした。
「おお!! 特攻服〜〜。いいなー。レディースの格好いいお姉さんって感じで。でも‥‥寒くない?」
 リチャードは三人組を眺めて、感心したようにじっと見つめている。
「ほほう。あの時の御三方ですか、また逢う事になるとは」
 ニヤニヤと微笑む冬無は、また何やら企んでいるようであった。
「以前のあの3人、まだ懲りてませんでしたのね‥‥というか以前は何もせずにいつの間にか居なくなってましたが」
 麗華は挑発するように三人組へと笑いかける。
「あ、ぼたん! こいつらあの時の変態だ!」
 小さな体の金髪縦ロールの少女がポニーテールの木刀を持つ少女へと呼びかけた。
「あらあら。変態とはあんまりね♪」
 籐子は品定めをするかのごとく、三人娘を見比べている。
「ま、またお前たちか‥‥あの時は恥ずかしくて逃げ出してしまったが‥‥今度は負けん! 行くぞ、さくら、つばき!」
 ぼたんは、小さな少女をさくら、大きな少女をつばきと呼んだ。
「‥‥ぼたんは鉢を持ってろ」
「ちっ! 任せたぜ」
 鉢を持ったぼたんは後退、つばきは先行して前に出る。
「ふふふ、如何やら再び私達に惨敗したいようですよ、皆さん♪」
 冬無は身構えながらも、獲物を狙うかのように瞳を爛々と輝かせていた。
「凛達が来たからには、こんな騒ぎ絶対に止めてみせる」
 大鎌「紫苑」を構えながら、凛を含めた傭兵達は三人組と対峙する。

●チューリップ強奪
 傭兵達は戦力の分断と、チューリップの強奪を試みる。
「先手必勝‥‥まずはその諸悪の元凶を奪わさせて貰いますわ!」
 先手必勝と瞬速縮地で一気に距離を詰めた麗華が、ぼたんにラブルパイルを喰らわした。
「速いっ!」
 ラブルパイルを受けて、バランスを崩したぼたんへ向けて、冬無が駆け出す。
「心と体に砂を撒き、溺れるように沈みなさい――」
 ララは軽く息を吸うと、呪歌を口ずさんだ。
「な? 何? 体が‥‥痺れて‥‥」
 呪歌の効果によって、ぼたんの体に異常が生じ始める。痺れた体は思うように動かない。
「その面白い物を寄越しなさいですよ♪」
 バランスが崩れたのにプラス、体が痺れたぼたんに抵抗する術は無く、あっさりと鉢を強奪されてしまう。冬無は鉢を奪うとすぐさまその場から離れた。
「あー! 何やってんのよ、馬鹿ふぐり!」
「‥‥ふぐり最低」
「お前ら、ふぐり言うなッ!」
 三人組は鉢が奪われたというのに、呑気に漫才を繰り広げている。
「フグ‥‥そんな姿だけど、実はほんとは男だったんだなっ‥‥」
 ふぐりと呼ばれたぼたんを勘違いして、凛は少し顔を朱に染めながら訊ねた。
「ばっ‥‥そんな訳ないだろ! 私は女だ!」
「あの時は凛だけが恥ずかしい思いして、絶対に許さないんだぞっ!」
 逆恨みの如く、凛はローラーブレードの瞬速縮地で一気に近づき攻撃を加える。痺れたままのぼたんは呆気なく鎌の餌食となった。
「‥‥世話が焼ける」
 つばきはチェーンを振るって、ぼたんの周囲にいた麗華と凛へ攻撃を行う。予測不可能なチェーンの動きに翻弄されて、攻撃を回避する事に失敗した。
「その歌‥‥厄介よ!」
 さくらが何処からともなく、ナイフを取り出すとララに向けて投擲する。
「いたいっ! で、でも‥‥私の声はまだ絶えてませんよ!」
 それでも、ララの歌は中断してまった。
「じゃあ、次!」
 まだ後方にいたレイチェルと美音を狙ってナイフを連続で投げ付ける。その素早いナイフ投げを避ける事は出来なかった。
「ろりっこさん、またおイタしてるんですね〜。だめですよ?」
 少し遅れたものの、続けて投げようとするナイフを美音が撃ち落す。攻撃に気付いたさくらは、攻撃を中断し回避に移った。
「はい! つ〜かま〜えたっ♪」
 美音の攻撃に気を取られている間に、後ろへと回ったレイチェルがさくらを拘束する。小柄なさくらは拘束を振りほどく程の力はなく、大人しくするしかなかった。
「まあ、いいや。というわけで‥‥勝負だよ!」
 屋上の端からリチャードは、練成強化、電波増幅によって強化したエネルギーガンをぼたんに撃ちこむ。その効果は抜群で、確実に体力を奪っていった。
「あはははは!! いいなー! エレクトロリンカー! 錬力が有り余っている!」
「くそぉ‥‥この痺れが無けりゃぁ‥‥」
 すぐ近くの凛に狙いを定めて攻撃するが、麻痺のせいか攻撃が全く当たらない。
「はーい、お名前は何て言うの?」
「‥‥つばき」
「何て可愛らしいの、つばきちゃんらしいわね♪」
 籐子は褒めつつもつばきへと接近していく。そして、SMG「ターミネーター」を構えると、容赦なくつばきに向けて発射した。
「‥‥!」
 だが、つばきは嵐のようなSMGの攻撃を躱していく。だが、回避に気を取られ過ぎて、籐子のタックルに気付かない。
「さて‥‥お楽しみの時間よ」

●祭り開催
「ふ、伊万里よくやりましたわ。さっさとそれを壊してしm‥‥ぇ、ちょ、伊万里ー!?」
「んふふふっ♪ こんなに良い物を活用しないで如何するんですか!」 
 麗華がチューリップの破壊を命じようとする瞬間、冬無は鉢を抱えたまま戦場を傍観していた。

 その頃、凛の大鎌による一撃が、ぼたんのマスクとさらし、さらにはズボンまで切り裂いた。
「きゃぁぁぁぁ!」
「りっ、凛、何にも見てない、絶対見てないんだからなっ」
 ぼたんの露わもない姿に凛は、耳まで真っ赤にして大慌てする。そして、口を覆っていたマフラーが、はらりと外れてしまった。
(あれ? 何か変だ‥‥? 何だか、無性に‥‥)
 凛とぼたんはお互いを見つめ合った。しかし、瞳と瞳ではない。お互いの唇を眺め合う。今までの真っ赤な顔は変わらない筈だが、何処か雰囲気が違った。
 どちらともなく近づくと、唇と唇を合わせ始める。最初はただ、くっ付けるだけの軽いモノ。だが、次第にお互いを求めるように激しさを増していく。
「捕まえたーっと‥‥あ、バンダナが〜」
 リチャードはぼたんを捕まえると、凛から引き離した。そして、今度は自分の番と言わんばかりに、さりげなくバンダナを外す。だが、ぼたんの方が先に花粉の影響を受けており、ぼたんの方から強い抱擁を受ける事となった。
「ん‥‥可愛い‥‥」
 ぼたんは虚ろな瞳でリチャードを見つめると、その唇を奪う。
「主導権が‥‥って、これはこれで、アリだな」
 リチャードはお返しとばかりに、ぼたんの唇を味わった。
「り、凛は別に混ぜて欲しい訳じゃないんだからなっ!」
 そう、言いながらも凛はぼたんとリチャードの間に入って、三人で唇を奪い合う。
「わ、わ‥‥これって、大丈夫なんでしょうか‥‥」
 ララはそう言いながら、両手で瞳を覆った。だが、指の間から三人の様子をこっそりと眺めていたのは、ここだけの秘密である。

 さくらを拘束したレイチェルに美音が追い付く。
「マスクを取ってしまえば‥‥ふふふ」
「じゃあ、行くよ♪」
 二人がかりでさくらのマスクを奪い去った。
「え? 嘘!」
 そのどさくさに紛れて、レイチェルは美音のマスクを外す。
「あうっ‥‥美音のマスクまで取られちゃった」
「二人と思いっきりキスしまくっちゃうんだから♪」
 レイチェルは自身のマスクを外し、ニヤリと微笑んだ。
 チューリップの花粉が三人を蝕んでいく。予想を超える唇に対する欲求が、胸の中で高まっていった。我慢できなくなったレイチェルは、先ずさくらの唇を奪う。
「んっ‥‥ファーストキスが‥‥」
 呻くさくらを無視して、レイチェルの好意は激しくなっていく。
「ふふ‥‥可愛いですよ。いやがっちゃだめです♪」
 さくらの唇はレイチェルが塞いでいる為、美音はそのほっぺたや、胸のあたりに唇を這わせる。
「ひゃぁぁぁぁ〜」
 悲鳴とは違う、何処か嬉しそうな声がさくらの口から洩れた。レイチェルの舌がさくらの口内を舐め上げていく。その感触は、甘く意識を蕩けさせた。
「美音ちゃんも一緒に‥‥ね♪」
 恍惚によって意識を失いかけているさくらの上で、レイチェルと美音が激しく口付をする。お互いの舌を絡ませる激しい口付。
「あふあふ‥‥ちゅー‥‥もっとぉ」
 二人はそんな中、さくらの衣装を脱がせ、体中を揉みしだいた。
「ぴゃゃぁぁぁぁ‥‥」
 さくらはもう、まともな声を上げる事すら、出来なかった。

 つばきを押し倒した籐子は、うなじを責める。そして、正面を向かせると、そっとマスクを外した。すると、美しく整った顔が露わになる。
「何て可愛らしい唇、隠してたのが勿体無いわよ。お姉ちゃんに味あわせてね♪」
 籐子はそっと、つばきの唇を指でなぞると、自分のマスクを外した。
 先ず、籐子はつばきの唇を舌で舐め上げる。そして、唇を合わせた。
「――」
 元々無口なつばきだが、それ以上にあまりの快感で、言葉が完全に失われていた。
「そんなに緊張しなくていいわよ」
 籐子は舌をつばきの口の中に舌を入れ、あちこちを蹂躙していく。そして、一度口を離すと徐々に下に向けて舌を這わして行った。いつしか、下の唇へと‥‥。
 ――以下の文章は検閲により削除されました。

「伊万里! その鉢を渡しなさい!」
 麗華は鉢を奪って破壊するよう必死になるが、冬無はそれを上手に躱して隙を伺う。
「隙あり、ですっ♪」
 躍起になった麗華の口元の覆いを剥ぎ取ると、冬無は自らのマスクも取り外した。二人は、すぐに花粉の影響によって、唇を求め始める。
 どちらともなく顔を近づけると、激しいディープキスを交わす。それはまるで、お互いを奪い合うかのような、激しい口付。
「んふふふっ、伊万里いいですわよ‥‥ん、ちゅぅ」
「んむぅぅ、ちゅっ、ずずずずっ、んむふぅ〜♪」
 お互いの唾液を交換しながら、口内を舐め続ける。口に入らなかった唾液は、端から洩れ、首筋へと伝っていった。
 キスだけに止まらず、冬無の手は麗華の服の中に潜り込む。そして、思う様に二つのマシュマロを思う存分に堪能した。
「んんっ‥‥伊万里ぃ‥‥」
「むちゅ‥‥麗華‥‥さん‥‥」
 二人は時間が経つのも忘れて、何時までも重なりあった。

●今回のオチ
 どれだけの時間が経っただろうか、激しい絡みの最中に鉢が壊れ、徐々に正気を取り戻していった。
「わ、私はなんてことを! ‥‥ふ、ふふふふふふふ。伊万里‥‥お仕置きですわー!!!」
「あらあら、麗華さんも楽しんでいたでは、ありませんですか♪」
「問答無用!」
 服が肌蹴た格好で我に返った麗華は、顔を真っ赤して服も直さず、鞭を取り出し伊万里へお仕置きを始める。周囲は気にせず思いっきり鞭で打ちまくった。
「キスミ〜キスミ〜」
 空気を読まず、美音は二人にキスのおねだりをする。
 傭兵達が気付いた頃には、三人組は何処かへと消えていた。
「名残惜しいけど又ね♪」
 籐子はそこにいない三人へと向かって、別れの挨拶をする。

 実験自体は成功したものの、三人娘は撃退され、チューリップは失われてしまった。だが、リーゼンベルグ(gz0390)はそんな事を気にしていない。彼女の手には一つのビデオカメラが握られている。
「さぁて‥‥鑑賞会と行きましょうか」
 ビデオカメラは三人娘に録画用として渡したもので、彼女たちはそれを死守したようだ。傷一つなく無事な姿のカメラには、実験の成果が収められている筈である。
「‥‥え? どうして‥‥録画されてないの?」
 再生を実行しても、データが無いと画面に表示されるだけであった。そこで、リーゼは気付く。三人娘は馬鹿だったという事を‥‥。
「ビデオの撮影くらい、ちゃんとしなさいー!」
 リーゼの怒りの叫びは、ビッグフィッシュ内に響き渡ったという。