タイトル:【竜宮LP】誘惑大合戦マスター:岩魚彦

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/12/21 23:59

●オープニング本文


 それは、人間が地球上に誕生した頃から地上に蔓延っていた。
 意識空間が拡大し、他の存在を意識し始めた頃より生まれし感情。

 誘惑。
 渇望。
 欲求。
 そして――獲得。

 人は、自身が持ち得ない物を欲さずには居られない。
 人は、欲していた物を手に入れても新たな持ち得ない物を見つける。

 端から見れば愚かな行為だったとしても、それこそ『人が人らしく生きていく』事の証に他ならないのだ‥‥。


●海南島沿岸部にて
 奇妙な、それは奇妙な三人組がいました。
 白い特攻服にボンタンという、前時代的なファッションをした女性が三人。木刀を持ったポニーテールをした女性が中央に、その左には口元をマスクで隠したロングヘアーの女性。そして、右には縦ロールという独特な髪形をした小柄女性が仁王立ちしていた。
 そんな波止場に四人の男性が現れた。彼らは何かを探しているかのようにキョロキョロとし、やけに挙動不審である。彼らが女性達の姿を認めると、そそくさとそちらに寄っていった。
「おう、今日は四人か‥‥なかなかに大漁じゃねーか」
 木刀の女性は上機嫌に男性達を見下した。それだけの行為だというのに、男性達の呼吸が荒くなっていく。彼らはどうやら、罵られるのが好きなようだ。
「‥‥冴えない面」
 マスクをした女性も男性達を見下す。
「お兄ちゃん達って、さいてー」
 小さな女性は外見相応のロリヴォイスでそう呟くと、男性の一人が身ぶるして悶え始めた。
「おい、お前らもてなしてやるぞ!」
 木刀の女性がそう言うと、他の二人も頷いて男性へと近寄っていく。
 女性達が近づくと、特攻服の下にあるはずのさらしがないのがよく分かる。激しく動いたら大事な所が見えてしまうそうだ。
 そんな状態で女性達は木刀で叩いたり、男性を羽交い絞めにしたり、抱っこされたりして男性達を責め上げる。
「わ、我々の業界ではご褒美です!」
 男性達は恍惚とした表情で、喜んでいる。
「待ちなさい!」
 現場に颯爽と登場したのは、傭兵のリズ・ミヤモト(gz0378)である。この付近で頻発する行方不明者事件を追っていて、この場に出くわしたのだ。
 リズは武器を構えると、相手に向かっていく。だが、あぶれていた一人の男性がリズの前に立ちはだかった。
「俺達は好きで付いて行っているんだ! 邪魔するな!」
 まさか、助けようとした相手に妨害されるとは思っておらず、リズは動きを止めざるを得なかった。
「おいおい。ただのプレイを邪魔するのは無粋じゃねーのか?」
「‥‥女の嫉妬、醜い」
「おばさん、さいてー」
 女性達は勝ち誇った顔でリズを見下す。
 リズは構えを解く。戦う意思は無いと伝える為だ。
「な、なら‥‥どうすれば?」
 男性達の欲望に満ちた瞳がリズを射抜く。
「そんな恰好じゃあ、こっちは嬉しくないんだよ!」
「そうだ! 彼女達みたいな魅惑的な格好をして見せろ!」
「そうだ! そうだ!」
 木刀で叩かれ、関節技を極められながらも、男性達はリズに対して野次を飛ばす。
「そうしたら、誘拐されるのを諦めるのね?」
 答えを聞くまでも無かった。男性達の欲望に満ちた目がそうだと物語っている。なら、セクシーポーズの一つ見せてやれば、正気に戻るかもしれない。
「は・や・く! は・や・く! は・や・く!」
 男性達に囃し立てられながら、リズは右手を頭の後ろへ、左手をお腹の付近に持っていく。腰をくっと突き出して自分なりのセクシーポーズを取った。そして、最後の手段とリズは服の裾を少しめくり上げる。すると、リズのお臍が露出した。
「‥‥」
 リズは顔を羞恥を我慢しながら臍を見せたのだが、男性の反応はあまりにも冷酷だった。まるで、自我の無い人形のような虚ろな視線をリズに向けてくる。
「それはないな」
 とある男性からこぼれた言葉が、リズの胸を抉った。あまりのショックにリズはその場に座り込んでしまう。
「おい、てめぇら! この先は室内でやるぞ!」
 波止場に停泊させていた船に女性と男性が入り込んでいく。全員が乗り込むと、船は出発し辺りから人気が消えた。そこに残るのは敗れたリズだけであった。

●再び、海南島沿岸部にて
 人気のない波止場に、再び三人の女性がいた。
 彼女たちは当然、特攻服姿の三人である。そして、今日も噂を聞きつけた男性が五人姿を現した。
「今日の獲物は五人か‥‥順調じゃねーか!」
「‥‥はい」
「今日もお兄ちゃん来てくれたんだ〜♪」
 女性達はその様子を見て、ニヤリと微笑んだ。

●参加者一覧

勇姫 凛(ga5063
18歳・♂・BM
伊万里 冬無(ga8209
18歳・♀・AA
α(ga8545
18歳・♀・ER
大鳥居・麗華(gb0839
21歳・♀・BM
レイチェル・レッドレイ(gb2739
13歳・♀・DG
柚紀 美音(gb8029
16歳・♀・SN
樹・籐子(gc0214
29歳・♀・GD
リュティア・アマリリス(gc0778
22歳・♀・FC

●リプレイ本文

●倉庫の中で待ち伏せて
 海南島沿岸部のとある波止場に使われていない倉庫があった。隙間や少ない窓から、光が入り込んでいるとはいえ、倉庫内は暗くお互いの顔を見るのが精一杯である。
 傭兵達はそんな倉庫の中から、女性三人組を監視していた。
「いったい今回はどんな依頼ですの? 美音までいますし‥‥」
 友人である伊万里 冬無(ga8209)に連れてこられた大鳥居・麗華(gb0839)であったが、肝心の依頼内容を把握していない。しかも、依頼には友人の柚紀 美音(gb8029)までおり、嫌な予感を拭えなかった。
「え? あぁ〜お伝え忘れてましたです♪ てへっ♪」
 冬無は麗華にこの服を着るよう説明しながら、袋を手渡す。麗華は「てへっ♪」じゃないですわ、と内心毒づきながら、伊万里の手から袋を奪っていった。
「簡単なご依頼だと思いましたのに‥‥」
 覚醒前のα(ga8545)は150cm未満の身長で、雰囲気も幾分か幼く感じる。
「男の子達のピュア(?)な心に付け込んで思い通りにしちゃおうなんて、イケナイ人達だね! ボクらがオシオキしてあげちゃうんだから♪」
「美音達の魅力を思い知らせてあげよ♪」
 レイチェル・レッドレイ(gb2739)と美音は無邪気な笑顔を浮かべていた。
(「友人のリズ様が手を焼いている事件らしいので二つ返事で依頼を引き受けたのですが‥‥内容をよく確認するべきでした」)
 顔を桜色に染めたリュティア・アマリリス(gc0778)は薄らと汗をかいている。瞳を閉じて、これからの事について思案していた。そして、一つ深いため息を吐く。
「リズちゃんはお久しぶりー、これが終ったらお姉ちゃんとデートしない? 折角の中国だし美味しいもの食べに行きましょうねー」
「籐子さん、お久しぶりです! はい。何か食べに行きましょう」
 リズを見つけた樹・籐子(gc0214)は、その手を握りつつぶんぶんと振り回す。久しぶりの再会に両者は少し興奮しているようだ。
「所でリズさんはどのような――おっと、これは」
「リズさん、万全の体制であれば男性もイチコロですよ♪ ‥‥たぶん」
 冬無と美音の格好を見た両者は、何ともいえない生暖かい視線を送る。
「はい! 頑張ります!」
 その視線に気付かないリズは、自信満々の笑みを振りまいていた。
「凛、前は劇団にいたし、演技派のアイドルだから‥‥それだけなんだからなっ!」
 何故か妙に顔を赤くした勇姫 凛(ga5063)はそっぽを向きながら、誰に言うでもなく、そう言い訳をしている。
「ターゲットが来たみたいよー」
 窓から外の様子を見ていた籐子は、これからの事を思うとつい顔が綻んでしまう。
「それでは行きますですよ。麗華さん、着替えは済みましたですか?」
 倉庫の奥から、「ちょっと! 本当にこんな格好で‥‥」という麗華の言葉を無視して、冬無は倉庫の扉を思いきり開け放つ。

●誇りを賭けた戦い
 人気のない波止場で、佇んでいる白い特攻服を着た女性三人組。彼女達に引き寄せられる冴えない男子達がいた。
「おに〜ちゃ〜ん、ボクと遊んでよぉ」
 レイチェルの甘〜いロリヴォイスに反応したのは、二人の男性。
 お嬢様学院風のブレザーに、フリルとレースを飾った、可愛らしいロリロリな衣装を纏ったレイチェルに、二人の視線は釘付けになる。
「レイチェルさん、どれがターゲットだと思います? あの男性、ロリ好きっぽい?」
「ボクは右の男の子を狙うから、美音ちゃんは左の男の子をお願い」
 レイチェルと同様のお嬢様学院風のブレザーを羽織った美音は、今日の為に頭のリボンを大きくフリフリなモノにしていた。

「ちょ、伊万里! これはどういうことですの!?」
「麗華さん、そんな恰好では誘惑なんて出来ませんですよ♪」
 コートを羽織った麗華は恥ずかしそうにしながら、冬無に問い詰める。だが、しれっとした顔の冬無に、あっさりと躱されてしまった。
「く、こんな格好なんて見せられませんわ!」
 コートをギュッと押さえつける麗華の姿に、冬無は先に行動を起こす。
「あぁ、何て嘆かわしい容姿ですか‥‥神様とは残酷ですね」
 冬無はさげずむような視線で、手厳しい言葉を放つ。視線を落とし俯く男性の中、一人だけがうっすらと恍惚の笑みを浮かべていた。
「うふふぅっ♪ 麗華さん、見つけましたですよ。うふ、うふふふ♪」
 ぱっつんぱっつんの白ショートトップに茶色フリンジベストという上着、ローライズ気味のエナメルショーツに茶色チャップス、腰にはガンベルトを引っ掛ける冬無の姿は、カウガールそのものであった。
 妖艶な笑みを浮かべた冬無は、倉庫で見つけた荒縄をしならせながら、見つけたばかりのターゲットへとにじり寄っていく。
「アレを誘惑と言われましても、私の好みではありませんしあまり関わりたくはありませんわよっ」
 麗華の言葉は男性を喜ばすだけであった。

 濃紺の地に赤い線の入った厚手のセーラー服に、短めのスカート、右手には鋼鉄製のヨーヨー構えた凛は、とても男性とは思えない。
「好きでこんな格好してきたわけじゃ、ないんだからなっ!」
 顔を真っ赤にしながら、言い訳をする凛の隣には覚醒前のαがいた。
「こんな格好、しないといけませんの‥‥」
 顔を桜色に染めたαは、ミニスカートのナース服を着て、髪をポニーテールに纏めていた。凛の後を追いながらαは覚醒する。手足はすらりと伸び、胸の果実も急成長を始めた。
「お? なんだ? お前はこういう髪形が好きなのか?」
 木刀を持ち、髪をポニーテールに結った女性へ、熱の籠った視線を向ける男性がいた。
「行っちゃ駄目だっ‥‥べっ、別に凛、あんたの事が心配とか、気になるわけじゃないんだからなっ」
 凛は男性の手を取り、こちらへと注意を向かせる。だが、ハッとなり、手を離すと照れたようにそっぽを向いて、視線を逸らした。
「ま、まってください」
 覚醒した事で、ナース服がぴっちぴちになってしまったαは、スカートを押さえながら歩く。それでも、動くたびにショーツがチラチラと見えてしまい、それを押さえる為に体を動かすと、胸のボタンが弾け飛び、スカートの裾にスリットが刻まれた。
 わわわ、と言いながら困った顔で胸とスリットを隠すその姿は、何とも嗜虐心をそそる。

「あの‥‥ご主人様‥‥初めまして‥‥」
 いつもと同じメイド服姿のリュティアは、男性達の前でスカートの両端を掴んで、少しずつ下着が見えそうになるまで持ち上げる。
「はい、そこの君。態度がだらしないわよ、もっときちっとしなさい!」
 胸元のボタンを二つ開けた白のブラウスの上にこげ茶のスーツを羽織り、黒縁の伊達メガネをかけた女教師風の装いの籐子は、指揮棒をにやけ顔の男性へ向ける。
 二人の傍に、マスクの女が佇んでいたが、あまり言葉を発せない為か中々男性に絡めない。
「私、このような事‥‥は、初めてですので‥その、これくらいしか‥」
 リュティアは乙女座りで上着を肌蹴る。そして、ブラのストラップをずらして、服とブラが落ちないように腕を組み、胸の下から支えてみせた。
 若干右斜めに俯けた顔を真っ赤に染め羞恥に震え、閉じた瞳には薄らと涙が浮かんでいる。
「男の子が女の子に恥をかかせちゃ駄目でしょ」
 女教師になり切った籐子は、男性の肩に手を乗せる。
 勇気を振り絞った男性のリクエストに従って、リュティアはショーツが見えない程度に、スカートを捲り上げた。
「‥‥これで‥‥如何‥でしょうか、ご主人様」
 リュティアは指示を出した男性を、潤んだ瞳で上目遣いに見つめる。ご主人様になり切った男性はリュティアを労った。
「はい、よく出来ましたね! そんな君を担当して先生は嬉しいわよ」
 籐子は無意識を装って、男性を胸元へと抱き留める。そして、男性の顔をマシュマロの谷へと押し込めた。
「あ、あの‥‥次は、ど‥どの様にすれば‥‥?」
 男性は完全に二人の手によって落ちていた。

 レイチェル、美音がターゲットを相手にしていると、幼女風の縦ロールがその中に混ざって来る。
「おにーちゃーん」
 快活な笑顔で現れたのは、濃紺のスクール水着に身を包んだリズであった。
「さ、お兄ちゃん。私といい事しよ♪」
 男性の手を取ったリズだったが、男性にその手を振り払われて呆然としてする。そんなリズへ幼女が近づき、ぼそっと呟く。
「ババアはお呼びじゃないんだよ!」
 その言葉に、リズは笑顔のまま完全に固まってしまった。
「おにいちゃん、どこいってたの? 帰ろう?」
 リズの失態を取り返すべく奮起した美音は、ターゲットの男性の右手を取る。
「待って! お兄ちゃんそいつ、偽者よ」
 幼女は対抗して空いている左手を取った。
「もう、そっちの女なんか見ちゃ嫌なんだよ?」
 目を潤ませ男性を見つめる美音は、しくしくと泣きだした。
「お兄ちゃん‥‥どうして私を見てくれないの?」
 二人の妹に囲まれて板挟みになっている男性へ、二人は言葉を重ねながら、エスカレートしていく。
「わかった! 一緒に帰ってくれたら、お兄ちゃんの言うこと聞いてあげる! ホントだよ!」
「私のペタンコな胸じゃ、駄目かな? お兄ちゃん‥‥」
「お‥‥お兄ちゃんが望むんだったら、ぱんつだって見せてあげてもいいんだからね!」
「ぱんつくらいなら、私だって!」
「美音はぱんつの中まで見せてあげるんだからッ!」
 流石にそれ以上の事を口には出来ない幼女は、さっさとターゲットを変える事を決めた。
「ボクね、むねがもうこんなにおっきくなっちゃったの‥‥変かなぁ」
 隣では胸元を開いたレイチェルが、男性へと迫っていた。
「ね、ボクのカラダ、おかしくないか見てみてよぉ」
 男性の手を取って、自分の胸へと近づけていく途中、二人の間に幼女が割り込んできた。
「そんな女より、私の方がロリロリだよ」
 幼女は体を男性へと擦り付ける。その様子にレイチェルは次の作戦へと打ってでた。
「えへへー♪ みんなでいっしょにあそぼー♪」
 幼女まで巻き込んで、レイチェルは体をまさぐっていく。それに触発されて、男性もレイチェルや幼女の胸に触れた。
「ひゃんッ! ほ、本当に触った! 汚された〜」
 幼女は泣くようにその場から逃げ出していった。

 何もない所で躓いたαは、男性の前でころりんと尻餅をつく。
「見ちゃだめです‥‥」
 足を大きく開き、生地面積があまりにも狭い白の下着が、白日の下に晒されている事に気付いて手で隠すが、その格好はより煽情的に見えた。
「わ、悪い子はお注射しますわ‥‥ほ、本当ですの」
 涙目で起き上がると、男性へと近づいていく。そして、やっぱり何もない所で躓いて、今度は前方へと転んでしまった。
「きゃあっ!?」
 男性にαがもたれかかり、男性の手は巨大マシュマロを鷲掴みしていた。
「‥‥」
 凛は何か言いたいけど言えない様子で男性を見つめる。困ったような、今にも泣きだしそうな絶妙な表情は、男性なら誰でもイチコロであった。
 男性は手を止め、αを体から離す。そして、木刀の女性の手を振り払い、凛の手をそっと握った。

 冬無は男性を縄で締め上げ、その顔の上に腰を下ろしていた。
「はぁ‥‥♪ んふふ、良い座り心地です♪」
 冬無のお尻の下で、喜びに悶える男性を麗華はじっと見守っていた。見ているだけだというのに、麗華の顔は若干上気し何かを耐えているように見える。
「うふふぅっ♪ 貴方から麗華さんにおねだりしてはいかがです?」
 麗華の変化に気付いた冬無は、腰を上げると男性を仕向けてみる。男性は縄で縛られまま麗華の足元へ移動すると、麗華のハイヒールに頬ずりした。
「ええい、何ですの! あなたが私に触ろうなんて100万年早いですわ!」
 麗華の蹴りを顔面に受けた男性は、恍惚の表情で地面を転がっている。
 スイッチの入った麗華はコートを脱ぎ捨て、露出度が高い黒のボンテージをお披露目する。
「おーっほっほっほ! ほら、そこに座って靴をお舐めなさいな!」
 麗華は男性に向けて鞭を思う様に打ち付けた。その表情はとても輝いており、金髪と相まって北欧の女王様のようである。
「羨ましいですよ、うふ、うふふふ、私も打たれたいです♪」
 麗華の笑顔と男性の喜びように、冬無はゾクゾクと体を震わせた。
 この13人に割り込む余地などない事を、思い知らされた木刀の女性とマスクの女性は、無言で波止場から立ち去って行った。

●勝利の虚しさ
 いつの間にか、特攻服の三人組は姿を消していた。
 男性五人を無事保護する事に成功したといえる。依頼を終えた傭兵達だったが、それ以上に厄介な事が残っていた。
 レイチェルと美音は、本気になった相手から言い寄られていた。
「あ、あれは嘘! 本当に見せられる訳ないないよ!」
 美音から拒絶の意志を叩きつけられた男性は、その場に蹲るとむせび泣いた。
「美音は、こんな子じゃないはずなのに‥‥」
 その隣には、あそこまで過激な発言した事を後悔して、項垂れる美音の姿があった。
「楽しかったよー、じゃあね」
 同様に言い寄られていたレイチェルは、あっさりと断る。彼女の中では終わった相手で、もう興味は無い。こうして、もう一つの屍が作られた。
「わ、私はなんてことをしましたの‥‥orz」
 素に戻った麗華は、激しい自己嫌悪に陥る。
「麗華さん、素敵でしたです。うふふふ♪」
 満足げな冬無に、麗華は恨みの籠った視線を向けた。そして、手に持っていた鞭を冬無に向け、怒りを込めた一撃を思いきり叩きつける。
「伊万里! お仕置きですわよー!!」
「ああ! 麗華さん激しいです♪」
 麗華の鞭で喜ぶ冬無と、縄で縛られたまま放置プレイを強制される男性は、共に恍惚の表情を浮かべていた。
 全て終わった事を理解したαは、覚醒を解き一息吐く。
「はー。お、終わりました‥‥」
 かなり緊張していたαは肩の荷が下りたのか、その場に座り込んでしまった。
 そんなαの後ろで、凛は男性から真剣に言い寄られていた。
「勘違いするなっ、凛は男だっ!」
 凛は男性を振りほどくと、そのまま逃げるように波止場を後にする。
 振られて呆然と立ち尽くす男性にリズが近づく。
「何だったら、私が代わりに‥‥」
 縦ロールの幼女に傷つけられたプライドを取り戻そうとするリズであったが、男性は凛の後を追って行ってしまった。
 言い寄ってきた男性を手酷く振った籐子は、固まっているリズを発見した。
「リズちゃんは魅力的よー。だから、これからデートに行きましょう」
「そう言ってくれるのは、籐子さんだけです」
 不敵な笑みを浮かべながら籐子は、リズの肩に手を回す。そして、遠くで俯いているリュティアにも目を付けた。
「私は‥‥何てはしたない事を‥‥」
 虚ろな目で呟いているリュティアまで、籐子はお持ち帰りしたのであった。

 その後、男性達の手酷く振られた体験が噂となり、波止場に男性が近寄る事は無くなったという。