●リプレイ本文
●発見! 巨大ナメクジ!
山奥の農村へやってきた傭兵達は、件の畑を目指す。視界いっぱいに広がる畑と山。一見のどかに見える風景だが、畑の一角だけやたら太陽の光を反射してギラギラしていた。その光景は異様としか言いようがない。
「でかいナメクジですか〜‥‥あんまり会いたくないですね〜‥‥」
八尾師 命(
gb9785)はキメラと出会う前から、若干怖気づいていた。
一行がその畑に近づくと、農作物の残骸を喰い散らかしている5mを超えぬらぬらと輝く巨大なナメクジを二匹発見する。
「‥‥また‥‥斯様な、キメラ‥‥? ‥‥然れど‥‥キメラなら、倒すのみ‥‥」
L3・ヴァサーゴ(
ga7281)は顔をしかめつつも、大鎌を両手でしっかりと握りしめる。
「また私好みなキメラが出てきましたですね♪ あは、あははははっ! 色んな意味で堪能させて頂きますですよ♪」
伊万里 冬無(
ga8209)は目を輝かせながら、持参したデジタルビデオカメラを準備する。戦闘より撮影を優先する気満々であった。
「‥‥伊万里ー! あれのどこが普通のキメラなんですの!!」
冬無に騙され連れてこられた大鳥居・麗華(
gb0839)は、怒りを露わにしながら叫ぶ。
「え、私はちゃんと言いましたですよ。キメラ退治だと♪」
麗華は諦めパイルを構えた。
「う‥‥また、なんとも異様なキメラですね‥‥」
今回のメンバーで唯一の男性、金城 エンタ(
ga4154)は顔を青くさせながら、巨大ナメクジを見上げる。畑仕事を想定した装備で来ていた為、このような事は想定していなかった。
「農作物を踏み荒らしていくなど、料理を嗜む者として断じて許す訳には参りません。キチンとお掃除してしまいましょう」
リュティア・アマリリス(
gc0778)はメイドとしての矜持が、巨大ナメクジを許せないようである。
「そうです。早く退治しましょう!」
リュティアの意見に賛同して、諌山美雲(
gb5758)もナメクジに対して怒りを露わにする。
「ぅ‥‥イカの次はナメクジかぁ‥‥」
獅堂 梓(
gc2346)はぬらぬらと輝くナメクジを見上げながら、過去の依頼で起こった悪夢を思い出し、小さくため息を吐いた。
傭兵達は各々の武器を手にして、果敢に巨大ナメクジへと向かって行く。
●ぬめぬめ地獄 前篇
二つの班に分かれた傭兵達は、それぞれ目標のナメクジへと攻撃を開始する。
エンタ、ヴァサーゴ、冬無、麗華のB班と、美雲、命、リュティア、梓のA班でそれぞれナメクジを退治する算段であった。
何かあったのか妙にテンションが低いエンタが先手を打つ。燃え盛る炎斧「インフェルノ」を振り回し、ナメクジへと攻撃する。しかし、ぬめぬめとしたその体は、思ったように攻撃を受け付けない。しかも、攻撃する度に、大量の体液が飛び散っていった。
「わわっ! 危ないなぁ‥‥」
攻撃をした後、体液が飛んでくるのは予想済みなので、瞬天速を使ってその場から離れ体液を回避する。
次に攻撃を仕掛けたのは、麗華であった。
「ああ、もう! こんなものさっさと終わらせてしまうべきですわ!」
覚醒して獣耳を生やした麗華はラブルパイルを両手で構えてナメクジへと突進する。いきなり急所突き、円閃、布斬逆刃を同時に使用した一撃を叩き込んだ。だが、ナメクジの体は非物理攻撃に対してもかなりの抵抗力を持っていたようで、効果が薄い。
攻撃の反動で、ナメクジの体から大量の体液が降り注いでくる。粘度の高い体液が麗華の体に降り注いだ。
「く、ぬるぬるしてやりずらいですわ! しかも気持ち悪いですわ!」
戦闘用ドレスがベトベトになり、肌にぴったりとくっついてしまう。うっすらと透けたドレスから下着がのぞいた。
「予定通りですね‥‥いい絵が撮れますですよ」
ベトベトの麗華を撮影しながら、冬無はご機嫌の様子である。
その頃、A班もナメクジに対して攻撃を開始していた。
「いざ、参ります!」
機械剣を両手に持ったリュティアがナメクジへと躍りかかる。刹那を使用した素早い攻撃がナメクジを切り刻んだ。
「嫌っ! こんなに‥‥いっぱい‥‥」
そして、接近し過ぎたリュティアへ大量の体液が降り注いだ。べっとりと濡れたメイド服は、透けはしないものの、そのボディラインと膨らみがはっきりと見えてしまう。
「あの体液、服だけ溶かすとか、そんなアホ仕様じゃないですよね‥‥?」
ナメクジがリュティアに気を取られている間に、美雲は破魔の弓へと矢をつがえる。そして、狙いを付けてナメクジを射抜いた。
「わっぷ‥‥、な、何これー! やーん、口に入った」
かなりの距離があるはずなのに、ナメクジが放った体液は的確に美雲へと命中した。美雲は手で顔のぬめぬめを拭いながら、ペッペと体液を吐き出す。カンパネラ学園制服はベトベトになって透けてしまい、チェック柄の肌着が丸見えになってしまった。
そして、A班ではヴァサーゴがナメクジへと接近し、大鎌「プルート」を大きく振り上げた。
「斯様な敵‥‥即殺、あるのみ‥‥!」
全力で振り下ろされた鎌であったが、ヌルヌルのボディに刃が通らず、滑ってしまう。しかも、ナメクジの体から飛び散った体液がヴァサーゴの全身を濡らした。
「この程度‥‥でも、絶対許さない‥‥!」
お気に入りの服をぬるぬるにされて、ヴァサーゴの瞳が本気になっていく。
「あわわ‥‥思ったより大きいですね〜‥‥」
A班の命はナメクジと少し距離を取りつつ、練成弱体でナメクジの防御力を削ぐ。そして、弓を構えている美雲へと練成強化を行った。まだ余裕がありそうだったので、ビスクドールを抱きしめて、超機械を発動させる。
その攻撃はナメクジを苦しめるが、ナメクジの反撃である体液を正面から浴びてしまった。
「‥‥う〜、ちょっと飲んじゃいましたよ〜‥‥気持ち悪いですよ〜‥‥」
口に入った体液を吐き出しながら、体に付着した体液を拭う。身に纏っているカールセルが透ける事は無かったが、体にぴったりと張り付くと未成熟な体つきがはっきりと浮かび上がった。
「新兵器の威力、試させてもらうよ!」
新装備である【OR】ガトリングランチャーを構えた梓は、ナメクジに向けて弾丸を発射してナメクジの体力を削っていく。そして、やっぱり体液を吐きだしてきた。
「ぅぅ‥‥かぶっちゃった‥‥かぶりたくなかったのに‥‥」
ぶかぶかTシャツはベタベタに濡れて、梓の体に張り付いてきた。下着が透けることはもちろんの事、体のラインがはっきりと浮かび上がる。
エンタと冬無を除く全員がぬめぬめになった時、ついにナメクジの巨体が動き出した‥‥。
●ぬめぬめ地獄 後篇
ナメクジはその巨体で宙に跳び上がり、エンタへとのしかかる。体液に注意していたものの、まさか跳び上がって、のしかかってくるとは夢にも思わない。
「嘘っ! うわぁぁぁぁ‥‥ぬるぬる‥‥ぬめぬめぇ‥‥」
エンタはあまりの気持ち悪さに、体を硬直させて耐える事しかできなかった。
「そこをどけ! ナマモノ!」
ヴァサーゴは紅蓮衝撃と豪破斬撃を乗せて、ナメクジへと斬りかかる。
同時刻、リュティアもナメクジの餌食となっていた。
「駄目です、そんなところを触って‥‥あぁっん、あっ、嫌っ‥‥くぅん!」
ナメクジの腹は波打ち、リュティアのあんな所や、こんな所を刺激していく。しかも、ヌルヌルと相まって、リュティアの快感を高めていった。
「あっ、はぁっ、そ‥‥こ、ダメで‥‥す‥‥〜〜〜っっっ!!!」
妙に色っぽい声にならない叫びに、周りにいた仲間は少し顔を赤く染めながらにナメクジへと攻撃を仕掛けていく。
「あははははっ! 最高です! 最高のシーンですよ!」
冬無は生唾を飲み込みながらリュティアの惨状を記録していった。
ナメクジは集中攻撃を受けながらも、次のターゲットへと向かい跳び上がる。
ナメクジ巨体に押しつぶされるヴァサーゴは必死に脱出を試みる。
「か、斯様な、もの‥‥っぁ、だ、駄目‥‥気持ち、良すぎ‥‥」
しかし、敏感な肌が仇となり、ナメクジの腹が波打つたびに、羞恥に頬を染めてしまう。
「ふにゃ?! ちょ‥‥いやぁぁああ!」
梓はナメクジの下敷きになり、思ったように行動できない。ナメクジのぬめぬめとした肉質が梓の全身を撫でまわしていく。
霞む視界の中には、デジタルカメラを構える冬無の姿が映った。
「と、撮ってないで! 攻撃! 攻撃‥‥!」
ばたばたと暴れる梓と悶えるヴァサーゴを交互に撮影しながら、冬無は軽く息を吐く。少々うっとりしているようにも見受けられた。
「名残り惜しいですけど、そろそろ参戦いたしますです♪」
冬無はビデオカメラを慎重に懐へしまうと、金蛟剪という大ばさみそっくりの武器を装着する。そして、ナメクジへと突撃した。
「名シーンとは一瞬に生まれるものです♪」
流し斬りで刃を叩き込んだ後、そのまま両断剣発動して、両断を試みる。だが、ナメクジのサイズが半端ではなく、両断には至らなかった。既にお約束となった体液を頭からかぶる事になったが、冬無はまるで気にしていない。
「あは、あははははは! バラバラに解体してさしあげますですよ!」
若干、怒っているかもしれない。
その頃、梓の近くにいた命が救出を試みていた。
「ああ! ナメクジに食べられてしまいますよ〜! 助けないと〜!」
必死に梓を引っ張り出そうとするが、救出の最中にのそっと動いて、命の上にのしかかってくる。結果的に梓は助かったものの、今度は命が下敷きになってしまった。
「ああ! ナメクジに食べられます〜! 助けてください〜!」
逆の立場となって助けを求める羽目になる。
B班では、麗華が再び全スキルを使用した一撃をナメクジに叩き込んでいた。
「ふぅ、なんとかなったのですかしら。べとべとで気持ち悪くて最悪ですわ‥‥。何ですの‥‥って、きゃぁ!?」
ナメクジはヴァサーゴから次は麗華へとのしかかる。回避するすべもなく、ナメクジに押しつぶされた。
「嫌! 嘘っ! 凄い‥‥ぬめぬめですわ‥‥」
麗華は顔を嫌悪に歪ませながら、ナメクジの下でもがく。
「っ‥‥! 早く倒さないと、いろいろな意味で拙そうですね‥‥」
エンタは巨大な斧を振りかざし、体液で濡れる事をかまわず攻撃を繰り返していた。
A班の美雲は遠距離から矢を放ち続けている。
(「遠距離ですし、あのナメクジもここまで来ませんよね‥‥」)
そう思っていると、あろうことかナメクジが大跳躍。美雲を目がけてダイブしてきた。
「いやん! あは、あはは‥‥くすぐったいですよぉ! どいて下さい!」
ナメクジの体がくすぐったいのか、笑い止まらない美雲。息が絶え絶えで別の意味でヤバそうである。
「そこまでです!」
リュティアがヌルベトなメイド服で迅雷を使ってナメクジに近づく。刹那と二連撃を併用した全力攻撃を叩き込んだ。その連続攻撃はナメクジへの止めとなった。
A班のナメクジを退治した頃、B班では冬無がナメクジの下敷きになっていた。
「あはっ! 私の予想通り、中々にいいキメラですよ♪」
何故かナメクジの下でご満悦な冬無であったが、怒りが籠った瞳をしたヴァサーゴがナメクジに向かって鎌を振りかぶっていた。
「‥‥この服‥‥特注、なのに‥‥」
紅蓮衝撃と豪破斬撃を乗せた一撃が、ついにナメクジを両断するとそのまま動かなくなる。
●締めは温泉で
戦闘が終わった後の姿は、壮絶としか言いようが無かった。
「もう、服も髪もベトベトですよぉ‥‥」
仲間達の手で動かなくなったナメクジから救出された美雲が、半泣き状態で呟く。
村の女性の方から入浴施設を借りる傭兵達。
「いや〜。それにしても、依頼を受けてくれたのが、女子ばかりでよっかったさね。こん村の銭湯は浴室が一つしかねぇから」
村人はトンでも発言をしてから、男たちの侵入は阻止すると付け加えた。その言葉で最も戦慄していたのは、エンタであった。
「あの‥‥僕‥‥男‥‥」
呆然とするエンタをしり目に、女性たちは浴場へと入っていく。
「エンタ様も御一緒にどうですか? 離れていれば湯気で見えませんよ」
「みんな気にしてないみたいですし、一緒に入りましょう、エンタさん」
エンタは体のベトベトを早く洗い流したい為、仕方なく一緒に浴場へと向かう。
銭湯は予想以上に広く、八人が同時に入っても問題なさそうであった。
「ふぅ、やっとさっぱりしましたわね。嫌な敵でしたわ‥‥」
麗華はヴァサーゴの隣で、体を念入りに洗いながら呟く。ナメクジを目の当たりにするまで、このような事になるとは予想していなかった。隣ではヴァサーゴも綺麗に体を洗っている。
「麗華さんの綺麗な肌を洗うにはこれが一番です♪ 逃がしませんですよ?」
冬無はメイドの嗜みとして、親友二人の体を自分の体を使って綺麗に磨いていく。
「って、伊万里! こら、やめなさいですわ!?」
顔を真っ赤にして抵抗する麗華であったが、その衝撃で何故かヴァサーゴが押し倒すような形になっていた。
(「‥御免、なさい‥‥けど、麗華の身体‥なんだか、気持ち、良い‥‥♪」)
熱を帯びた瞳をしたヴァサーゴは無言で体を擦り付けて来る。二人に囲まれ抵抗どころではなくなってしまった。
美雲とリュティアは体を洗い終えて、一足先に湯船に浸かっていた。
「人前で、あのような醜態を晒してしまうなんて‥‥うぅ‥‥恥ずかしいです‥‥」
「心なしか肌がツヤツヤになった気がします」
顔を真っ赤にしたリュティアとのほほんとした美雲は、ちょっと話がずれていた。だが、話はつい美雲の大きなお腹へと向かってしまう。
「は、恥ずかしいから、あまり見ないで下さいね?」
美雲は大きなお腹をタオルで隠した。
梓と命は騒がしい後ろを気にしながら、体を洗っていた。
「ぅぅ‥‥ヌルヌルとかもういやぁ‥‥」
梓が涙目で体を入念に洗っていると、隣の命は首を傾げていた。
「結局あのナメクジは何がしたかったんですかね〜?」
「野菜とか食べてたのかな‥‥?」
二人は仲良く体を洗いながら、今は亡きナメクジを思い出しては、背筋を震わせていた。
唯一の男性であるエンタは、浴室の隅っこで体を洗っていた。
「僕は見ていない‥‥僕は何も見ていない‥‥」
必死に仲間の裸を見ないように頑張っている真っ最中である。
風呂から上がり、着替えのある者は着替え、そうでない者は村人から浴衣を借りて着る事になった。
「私のカメラが‥‥最高傑作が台無しです‥‥」
ナメクジののしかかられた時だろうか、ビデオカメラは電源すら付かない状態で故障していた。中のデータが無事だという事は無いだろう。
着ていた衣類は洗濯し、傭兵達は乾くまで村でのんびりと過ごした。
残ったキメラの残骸を村人は潰して畑の肥料にしていたが、大丈夫なのだろうか。