タイトル:空へと響く試し撃ち!?マスター:風亜 智疾

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/07/23 01:18

●オープニング本文


 その日、英国王立兵器工廠では、ある小銃を開発していた。
 とは言っても、その小銃の開発は極秘裏に行なわれており、開発に携わっている研究員は極僅かだった。
『対バグアのために』
 その一言の元に、研究員達は只管に小銃を開発し続けたのだった。
 やがて、ある程度の成果を上げただろうその小銃開発の試作品を、試し撃ちしようと言う声が上がり始めた。
 だがしかし、あくまで秘密裏に開発をした小銃だった為、工廠内では試し撃ち等出来るはずもなく。
 そこで、ある研究員がこう提案したのだ。
「此れを、実際に『能力者』へと渡して試し撃ちをしてもらったらどうだろう?」
 しかし、それはまだ公には公表されていない試作品。
 それも工廠でも内密に作り上げたものなのだ。
「そう簡単にいくものか? 此れはまだ世に知られてはならないものだぞ」
「だからこそ、試してもらうのだ。此の小銃がもしバグアに対抗出来る、強力な力を持っていたら‥‥我々の開発は後世まで語り継がれる事になるだろう」
 その研究員の言葉に、皆が目の色を変えた。
 人類に多大なる害を及ぼし続けているバグアに、自分達が開発した武器が有効だと知られれば、自分達の名前は世界的にも有名になる。
 そう思ったのだ。
 小銃は一見普通に売られている銃とそう変わらない見栄えだった。
 シルバーのオープンボルト銃。
 装填数は5発。
 セーフティーは、トリガーを引く事によって解除されるシンプルな設計。
 補充の弾は用意していない。
 あくまで試し撃ちの為の代物だ。

「ならば、口の堅い者達がいいな」
「腕がたつ者でもないとならないぞ。万が一という事がある」
「小銃が不発だった場合、バグアを退治出来るだけの力を持つ者達がいい」
「場所は何処がいいだろう」
「最近、デッドマンズ通りに少数だがキメラが出現しているらしい。其処はどうだろう」
「聞いた事がある。最近被害者が出始めている所だろう?」
「俺も聞いた事があるぞ。キメラは3体確認されているらしい」
「なら、其処にしよう。我等が英国を守る事にも繋がる」

 研究員達は、秘密裏に能力者達を集める事にした。
 報酬は自分達の給与から出し合い、あくまでも外に漏れない様、厳重に警戒しながら。
『どの組織に所属していようと構わない。但し、依頼を口外しない事』
 其れを最重要事項として。

「目的は、我々の開発した小銃の性能実験。そして、デッドマンズ通りに出現している3体のキメラの殲滅」
「小銃が万が一使い物にならなかった場合、確実に各自の能力でキメラを殲滅する事」
「デッドマンズ通りに出現するキメラは、深夜2時頃によく現れるらしい」

 用意した能力者達の分の小銃と、デッドマンズ通りのマップを目の前に、研究者達は何故か。
 何故か、笑っていたのだった。

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
御山・アキラ(ga0532
18歳・♀・PN
戌亥 ユキ(ga3014
17歳・♀・JG
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
旭(ga6764
26歳・♂・AA
アリス・L・イーグル(gb0667
18歳・♀・SN

●リプレイ本文


●マートン通り、深夜二時前
「遅いですね」
 集合場所は、デッドマンズ通りの北、マートン通り。
 空を見上げて、戌亥ユキ(ga3014)は呟いた。
「遅れたら報酬を上げてもらおう」
 その傍らに立っていた御山・アキラ(ga0532)が淡々と言葉を返す。
 そんな2人を見て苦笑いするのは、旭(ga6764)だ。
「アキラさんシビアですね」
「どんな研究者達なのかね〜。うちに引き抜きたい発想だよ〜」
 ドクター・ウェスト(ga0241)が、けひゃひゃと笑い声を上げる。
「初めての戦闘依頼! 頑張っちゃうぞー! おー!」
 アリス・L・イーグル(gb0667)は元気よく拳を振り上げるが。
「おっと。お嬢さん、気合の入れ過ぎは良くないよ」
 側に立っていたUNKNOWN(ga4276)の帽子に当たりそうになる。
「それに、来たみたいだ」
 銜え煙草で、UNKNOWNが顎で指したその先に。
 目深に帽子を被った男が5人、こちらへ歩み寄って来ていた。
「依頼を受けてくれて感謝する」
「感謝? なら顔を見せてほしいですね」
 旭の言葉に、ユキとアリスが頷く。
「秘密裏の実験だ。顔は出せんだろう」
 UNKNOWNが皮肉気に言う。
 が、どの言葉も無視して、依頼主の内の1人が持っていた鞄を開いた。
「これが性能実験してもらう銃だ。重量は普通の小銃と同じ。弾も装填済みだ」
「それが試作銃‥‥何だかわくわくするね!」
「装填済み? どんな弾かも教えられないと?」
 声を弾ませるアリスと正反対。困惑気な旭の言葉に、依頼主は頷く。
「ああ」
「勝手だな」
 アキラが呟いた直後、ドクターが笑い声を上げる。
「けひゃひゃ。様は一般人でもバグアに対抗出来るかの実験。なら、弾など我輩達には関係ない!」
「暴発しないよね?」
「大丈夫だ」
 顔を顰めたアリスに、依頼主は頷いた。
「‥‥時間だ。では銃を。終了後、本体は返却してくれ」
「これがデッドマンズ通りの地図だ。印のついている場所で、キメラはよく現れる」
 鞄を開いた依頼主とは別の男が、銃と地図を1人ずつに配布する。
 銃を睨む者、興味深げに観察する者、等など。まぁ人数分だけ表情はバラバラだ。
「通りに街灯は?」
「少しはある。それが何か?」
 質問に答えた依頼主に、ユキは笑って銃と地図を纏めて右手に持ち、左手を差し出す。
「十分に明かりがないと、性能実験に支障がでるかもしれませんよ? 懐中電灯、貸してください」
 にっこりと。だが、拒否させる事を許さない口調。
「ならこれを。これも返却してくれ」
「周到な事で」
 UNKNOWNは肩を竦めて、新しい煙草に火を点ける。
「キメラは飛行タイプ3体。列を成して行動する。人と同じ位の大きさで、虫の様な形体だ」
「情報は以上。性能実験とキメラの退治が終わり次第、もう一度この場所へ集まってくれ。結果を聞こう」
 それだけを言って。
 依頼主達はどこかへ消えてしまったのだった。

●作戦確認
 事前に6人は作戦を考えていた。
 キメラと遭遇したら、まずユキとUNKNOWNが遠距離から試し撃ち。
 二人が撃ち終ってから、アリスとドクターが中距離から試し撃ち。
 最後に、アキラと旭が近距離から試し撃ち。
 試し撃ち終了後、各自自分の武器へと装備変更し、覚醒してキメラを倒す。

 鈍い羽音が響く。虫にしては大き過ぎるその音は、確実に普通サイズの虫ではない事を教えていた。
 前方に3体のキメラを確認して、それぞれの持ち場へと移動する。
 さあ、作戦開始!

●遠距離、試し撃ち開始
「来たか‥‥」
「どんな性能なのか、ちゃんとチェックしないと!」
 吸いきった煙草を捨て、新しい煙草に火をつけたUNKNOWNを見たユキが、ポツリと呟く。
「ポイ捨ては駄目ですよ、UNKNOWNさん」
「善処しよう」
 その言葉を皮切りに、ユキとUNKNOWNが狙撃を開始した。
 まず空に響いた1発目の発砲はユキのもの。
 だが。
「‥‥あれ?」
 弾は、出現したキメラに当たる事無くその直前で消えてしまった。
 二度目の発砲はUNKNOWN。だがやはり同じ様に弾は直前で消えてしまう。
「このこの! 当たれ〜!」
 やけっぱちになりながら2発目を打ち込んでいくユキに肩を竦めて、UNKNOWNは帽子に軽く手を添えてコートを翻し。
「少しずつ距離を詰めるか」
 紫煙を引き連れて歩を進める。
「まず10M」
 前進して1発発砲するが、やはり当たっていない。正確にはフォース・フィールドを抜けていないのだ。
「更に10M」
 少しずつ間合いを詰めて射撃するUNKNOWN。
 その後方で、完全にやけっぱちモードへ突入したユキが射撃を続ける。
 だが結果。
 合計40M間合いを詰めたUNKNOWNの銃弾も、キメラには通用しなかったのだった。
「もーっ! この銃、ダメダメだよー!!」
 全く効果を得なかった銃を放り投げそうなユキをちらりと見やって。
「こんなものか‥‥」
 そう呟いて、手元の銃へと視線を移し。
「‥‥いや」
 ふ、と。UNKNOWNの瞳が悪戯心に一瞬だけ輝いたが。
 次の瞬間には、その光は姿を消してしまっていた。

●中距離、試し撃ち開始
「ふむ」
 遠距離の試し撃ちが終わったのを確認して、ドクターは呟いた。
「前方60M以上の射撃ではダメだったね〜」
 そう言いながら、前方約50Mの距離にいるキメラに銃を向ける。
「それじゃ始めようか〜」
「りょーかい! あたしの銃捌き、見せてあげるわっ!」
 隣で同じ様にキメラへと銃口を向けるアリス。
 ほぼ2人同時に引き金を引き、1発目の射撃を空に響かせた。
 だが。
「やっぱり効果はないね〜」
 あっさりと感想を述べるドクターに、アリスは目を丸くして銃を見やる。
「なによコレェ〜!」
「まぁ、こんなものだろうね〜」
 そう言いながらもドクターは残った弾をキメラへと放っている。
 しかしキメラには全く通用してはいない。アリスも射撃を再開するが、どれも有効な打撃を与えられなかった。
「ふん。命中率も悪いし、威力もフォース・フィールドを抜けるには足りないね〜」
「全然効いてないじゃないの! このポンコツ!」
 アリスが地団駄を踏む。
 その様子を横目で見ながら。
「だが発想は悪くない。我輩は応援するけどね〜」
 けひゃひゃと笑うドクターに、びしりと指を刺してアリスは声を荒げた。
「笑う所じゃない!」
 結果、中距離でも全く通用しなかったのだった。

●近距離、試し撃ち開始
「50Mでも駄目でしたね」
 旭は肩を落とす。
「大体予想はついてた。あとは近距離で効果があるか確認すれば試し撃ちは終了だ」
 そう言って、アキラは旭へと視線を向けた。
「先にやってくれ。私は最後でいい」
「分かりました。まずはこの距離からやってみます」
 頷いて、40M先に存在するキメラへと鋭い視線を向け、旭はトリガーを引いた。
 近距離の狙撃が空に響く。
 しかし、と言うべきか。やはり、と言うべきか。
 弾はキメラに有効打撃を与えられなかった。
「あと2発試します」
「終わったら私が行く」
「はい」
 アキラがふ、と表情をなくした。どうやら、アキラ自身は一度覚醒してから銃を試すつもりの様だ。
 旭は距離を保ったまま、もう一度発砲する。
「効かなくても、何か分かるかもしれない」
 やはり効いていない。弾は通らない。
 旭が2発目を撃った。
 それをアキラは確認すると。
「行くぞ」
 瞬時に疾風脚を使用して、キメラ達との間合いを詰める。
 先頭で飛行するキメラのフォース・フィールドぎりぎりまで接近して。
 右手に持った銃のトリガーを3度引く。
「やはりフォース・フィールドは抜けぬか」
 放たれた弾全てがフォース・フィールドに止められた事を確認した直後。今度は急所突きを使用して1発キメラへ撃ち込む。
 響く、キメラの発する不気味な悲鳴。
 僅かだが傷を負わせた事を確認したアキラが、瞬天速を使って元の位置へ戻る。
「試し撃ち終了」
 アキラの声が通りに響いた。

●キメラ退治1体目
「けひゃひゃ。やっぱりこうなるよね〜」
 旭とアキラの後方から、ドクターの独特の笑い声が響く。
「じゃ、前衛の旭君とアキラ君には我輩からプレゼントだよ〜」
 全員、既に試作銃から自身の武器へと持ち替えている。
 ドクターの練成強化によって、旭の蛍火とアキラのS-01が淡く光を放つ。
 試作銃による攻撃が終わった所をまるで待っていたかの様に、キメラ達が攻撃態勢へと入る。
「飛んでる敵には飛び道具ですよねっ!」
 淡く輝く右手に握られたS-01で最初に攻撃したのはユキだ。鋭覚狙撃を使用しての攻撃は、1体目のキメラの羽根を撃ち抜いた!
 片羽を打ち抜かれたキメラが、体制を崩す。
 その様子を見て、UNKNOWNが愛銃ナインティーンを墜落しかけのキメラへ向ける。
 紫煙を相棒に、鋭覚狙撃でもう片方の羽根を撃ち抜く!
「少しは格好がましになったろう」
「やっぱ自分のが一番‥‥か! これならどう!」
 S-01を構えていたアリスが落下途中のキメラを捕らえ、3発その体へと撃ち込んだ!
「しぶといな。さっさと落ちろ」
 ぽつりと呟いて、アキラが弱り始めたキメラへと攻撃を繰り出す!
 放たれた5発の弾が、確実にキメラの体を撃ち抜き。
「落ちてくれればこちらの間合いですよ!」
 金色の瞳を湛えた旭が、淡く輝く蛍火で斬り裂く!
 体力の尽きた1体目のキメラが地に倒れた。

●キメラ退治2体目
 残り2体の内の1体が、突然羽根を広げ高速で移動を開始した。
 その先に立っていたのは‥‥
「わわっ、あたしに接近戦!?」
 アリスが声を上げる。
 ナイフに持ち替える暇すらない程の高速移動に、狙いの定まらないままにS-01をキメラへと向けようとした、瞬間。
「怪我はないかな、アリス」
「UNKNOWNさん‥‥!?」
 全員が目を見開いた視線の先。ロングコートを翻し、キメラの攻撃からアリスを庇い回避したUNKNOWNは。
 何故かアリスを『お姫様抱っこ』していた。
「って、何この格好!?」
「いや。女性が怪我をするのは好きじゃないんだ」
 一瞬、場の空気が和みそうになったが。
 気持ちを切り替えてキメラの側面に回りこんだ旭が、流し斬りで2人から更に敵を離した!
「高速移動だけが取り得のキメラだね。攻撃は体当たりだけだよ〜」
 電波増幅でキメラを分析して、ドクターは構えたエネルギーガンのトリガーを引く!
「そうと分かれば、やっぱり羽根ですね!」
 ユキがS-01を構えて4度発砲する。全ての弾が片羽に風穴を開ける!
「その羽根、あっても邪魔だろう」
 ゆっくりと高度を下げ始めるキメラへと、アキラが装填されていた残弾を全て撃ち込む!
 墜落し始めたのを確認して、アキラはその隙に新しい銃弾を装填する。
「羽根はなくとも足がある。悪いが狙わせてもらおう」
 いつの間にアリスを降ろしたのか、僅かに離れた場所からUNKNOWNが立て続けに4発攻撃を加える!
 迫るキメラを睨んで、アリスがナイフへと装備を変更した。
「上等だ! あたしのナイフで切り刻んでやるよっ!」
 素早く翻る軌跡は、確実にキメラを弱らせる!
「刀の間合いなら負けませんよ」
 完全に地面へと落ちたキメラへ、再度旭が斬り付ける!
「試し撃ちで分かった。覚醒状態の至近距離なら試作銃でも効く」
 アキラはそう言うと、左手に持っていた試作銃から最後の1発を発砲する!
 覚醒とドクターの練成強化で、試作品も立派な武器へと変わっていたのだ。
 2体目のキメラが、絶叫を上げて倒れた。

●キメラ退治3体目
 遂に最後の1体。
「倒し方は分かってるんだ」
 銃弾を補充してUNKNOWNが羽根を狙う。銃から放たれた3発の弾は、飛び回るキメラの羽根の右側に穴を開ける!
「さっさと落ちてくださいねっ!」
 同じく補充を済ませたユキが、残る左側の羽根へと3発打ち込んだ!
 機能しなくなった羽根を諦めたのか、キメラは6本の足で前進して攻撃を仕掛けてくる。
 だが、動かなくなった羽根が邪魔で、その動きは遅い。
「そんな遅くちゃ当たんないわよっ!」
 アリスはナイフを閃かせ、キメラの足3本を薙ぎ払う!
「データはもう十分に取ったからね。君はもういらないよ〜」
 ドクターのエネルギーガンが、足を失ったキメラへと攻撃を与える!
「地に落ちたならこれの方が有効だろう」
 装備をイアリスへと変更したアキラが、両刃を翻して斬撃を加え残りのキメラの足を薙ぎ払った!
 動く事もままならなくなったキメラへ、旭が蛍火の切っ先を向ける!
「これで終わりです!」
 二度の斬撃で、キメラは絶叫を暗闇に響かせ、地に倒れた。
 ふいに、最後に微かに動いたキメラを見やったUNKNOWNが、突然試作銃を取り出す。
「ふっ‥‥こういう使い方もある」
 他の5人が何事かと視線を向けると、そこには試作銃を大きく振りかぶったUNKNOWNの姿。
「ちょっ!」
 慌てて止めようとするも、時既に遅く。
「――らいおんさんぶーめらんっ!」
 力強く投げられた試作銃は一直線にキメラへと向かい。その衝撃を受けたキメラは動かなくなった。
「確かに、この銃が敵にトドメをさしたよ。‥‥いい銃だ」
「壊れたらどうするんですか!」
 声を上げた旭に、UNKNOWNは新しい煙草を取り出して火をつけながら。
「壊れなきゃいいんだ」
 あっさり答えて、紫煙を暗闇へと上らせたのだった。

●結果報告
「やはりまだ改良が必要か」
 依頼を終えて6人がマートン通りに戻った時には、既に依頼主達が計った様に待っていた。
「能力者以外が使用しても威嚇にすらならんぞ」
 アキラの報告を聞いて、依頼主達は呟く。
「何が悪かったのか、再度検証しなくては」
「弾自体は威力を発揮した様だな」
 その言葉を聞いて、目を輝かせた人物がいた。ドクターだ。
「見たまえ君達。これは我輩が試作中のカーボン弾だがね〜」
 意気揚々そう言って、どこからともなく取り出した自作の弾丸と、その資料のコピーらしき物を依頼主達へと渡し始める。
「おお! この発想は!」
「試し撃ちの時に気付いてね。あの試作銃は、我輩が考えているものと似通っているのだよ〜」
 何故か、依頼主達とドクターの間で不思議な一体感の様なものが生まれ始めていた。
「『誰が作った』『どこが作った』等どうでもいい。今は人間が力を合わせ、この地球からバグアを殲滅しなければならないのだ〜!」
 その言葉に拍手を送りながら、科学者達は突然研究モードへと突入していく。
「‥‥あの会話、分かります?」
「さぁ。ところでアリス。君は戦闘中、酷く乱雑な言葉遣いだったな」
「えーっと‥‥、あれは見なかった事にしてね!」
「UNKNOWNさんが銃を投げた時も驚きましたけど、今の状況も驚きですよね」
「知らん。とにかくこれで依頼は完了だ」
 会話の弾む科学者達を横目に、残りの5人は呆れた表情でまだ暗い空を見上げたのだった。

 END