タイトル:【MN】スペースCTSマスター:姫野里美

シナリオ形態: イベント
難易度: 普通
参加人数: 3 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/09/04 22:14

●オープニング本文


 人類が宇宙に進出して早数世紀。
 人々は、各星系への移住や開拓を乗り越え、スペースコロニーを展開させるに至っていた。
 その中には、用途を絞ったコロニーも幾つかあり、星間航法もいまや立派な庶民の足となっている。
 その1つ、H星系801コロニー。
 そこには、幾つもの宇宙鉄道が停泊し、ガレオン型宇宙船が入港している。その中から降りてきたのは、宇宙各地からやってきた『学生』や『教師』達だった。
 そう。ここH星系801コロニーは、いわゆる学園コロニーである。
 中でもここは特に大きく、各星系からの移住・留学・転入生を積極的に受け入れてくれているのが特徴だった。
 その上、学園そのものの運営は、生徒に委託されており、衣食住を賄う産業から娯楽にいたるまで、『部活』として、生徒達が運営していた。
 卒業期限なし。授業料さえ払ってくれれば、部活で設けて問題なし。
 おかげで、生徒の中には、部活中に生み出された多種多様な生物も紛れ込んでおり、あちこちで爆発から夜のにゃんにゃんまで、様々なイベントが行われている。
 そんなカヲス的な学園の名はセントラル・タクティクス・スクール‥‥通称『CTS』。
 生徒総数10万人を誇る巨大学園である。

  さて、そのCTSでは、星間航行船も、生徒達が自主的に運営している。そんな学園で、キメラ生態学研究部に所属する可変空間型星間航行型中型艦『カンパネラ』では。
「あれ? なんかエラー?」
 ぴーぴーぴーと鳴り響く赤ランプ。モニターに浮かんだ箇所を見て、その中型艦を預かる少年‥‥レンは、問題箇所を確かめると、首をかしげた。
「うわぁぁ、なんだこれっ」
 急いで向かうと、その貨物室からあふれ出てきたのは、このばには似つかわしくない大量の白い霧。それが、壁に振れるそばから凍り付いて行く。貨物室は、巨大な霧の水瓶になっていた。
「おっかしいなぁ。今回幽霊タイプの生徒はいないはずなんだけど‥‥。でも、時間ないしなぁ」
 スケジュールには、目的地である隣のやはり大規模校『天儀』まで、8人ほどを輸送するルートになっている。
「まぁいいや。1人2人増えた所で、どうってことないだろうし」
「どうした?」
 顔を出したのは、この船を預かっている京太郎だ。
「ううん。お客様が1人増えたみたいだよ。幽霊型の人だから、重量関係ないし」
 そう報告して、ぱたんと扉を閉めたレンくんだったが、顔色を変えずに、航行先を天儀へ向ける。
「くくく。全て予定通り‥‥」
 その幽霊は、寺田の形をしていたと言う。

 そして。

 ぴぴーぴぴー‥‥。
 学園を管理するCGセンターのモニターに、『危険』の文字が浮かぶ。
「兄様、舵がきかないよぉう!」
「焦るな。コロニー中心部に入れば、安定する。そこからゆっくり落下すれば良い」
 幽霊寺田の恩恵か、入稿しようとした船は、コロニーの中心部分で制御を失い、学園の本校舎付近へと不時着しようとしていた。そう。各地からの生徒を乗せた無数の船舶が集う。通称『ターミナル』に。

 君たちは今、そこにいる。

※このオープニングは架空の物になります。このシナリオはCTSの世界観に影響を与えません。つか、与えちゃダメダロ。

●参加者一覧

/ 緑川 安則(ga0157) / ドクター・ウェスト(ga0241) / 月隠 朔夜(gc7397

●リプレイ本文

「伍長、スクランブルだ」
 カンパネラの様子は、下にあるCTS本部にも伝わっていた。予定コースを大きく外れたカンパネラに、緊急発進が告げられたのは、当然の理だろう。すでに、学園自衛団航空部‥‥通称『学防空軍』の緑川 安則(ga0157)は、KVへと乗り込み、出撃の時を待っている。
「わかっている。すでにスタンバイしているが、バディは誰だ?」
「ああ。新人が一人志願してきた。中々見所のある奴だから、同行させてやれ」
 管制官のティグレスが指示して来たのは、配属されたばかりの女性パイロットだそうだ。友達に追いつこうと、実力を磨く為に志願してきたらしい。
「了解した。だがいいのか? 向こうは救援要請中だろう」
「いや、まだ出ていない。京太郎の事だ。自力でどうにかするつもりなんだろう」
 管制官には救助のきの字も出ていないのだが、パイロットの京太郎は、一匹狼的な雰囲気を持つ生徒だ。手を出されたくない部分があるのかもしれない。
「相変わらず見切り発車だな。准将はなんだって?」
「このままだと、本校舎に衝突コースだから、とっとと出動してこいだそうだ」
 その空軍でKVの出撃許可を出している准将ことキャスター・プロイセンは、この道40年の古参生徒なので、この程度の事では動じない模様。
「人使いの荒いこった。よし、出発する」
「先輩、よろしくお願いしますね‥‥」
 通信モニターに、ややおっとりした調子の少女が割り込んでくる。IDには月隠 朔夜(gc7397)と書かれていた。
「ああ、よろしく。機体を扱うのは初めてかい?」
 ドイツ系で、古い騎士道を信奉している緑川、相手がバディとは言え、自然柔らかい口調になる。
「いいえ。何度か経験が」
「上出来だね。よし、出撃する!」
 2機のKVが白い軌跡を描きながら、宇宙空間へと飛び出して行った。

 一方、カンパネラでは。
「兄様。空軍のおにーさん出てきちゃったよ。どうすんのー?」
 モニターの前でふよふよと浮きながら、オレンジジュースを飲んでいたレンが、優雅に読書を堪能している京太郎に総尋ねている。
「ふむ。あのマークは緑川だな。信号弾でも撃っておけ。どうせ制御なんぞ効かん」
「はーい」
 くるんっと回り込んで、Gシートに座りこんだレンが、てきぱきとボタンを押して行く。そこへ、緑川の声が割り込んできた。
『こちらはCTS学防軍所属、緑川伍長だ。カンパネラ応答されたし。貴艦の航路は申請と異なる』
「知ってるっつーの」
 モニターは沈黙している。マイクに言っても反響しない。こちらの通信が届いていない事を確かめたレンは、迷わず花火を打ち上げる。
「信号弾? パターン赤。エラーか‥‥」
 蒼空に赤い花が散るのを見て、緑川はそう言った。空軍では異常有を示す信号である。
「先輩。向こう、やたら信号弾撃ってますね。もしかして、通信機が故障してるんじゃないでしょうか」
「可能性はあるな。だが、ひと通り言って置かないと、警告にならんだろ」
 もしかすると、誰かに乗っ取られているのかもしれない。朔夜にそう言って、彼は続きをコールする。
『さらに801コロニーへの衝突の恐れもあり。学防軍評議会は進路変更なき場合、801コロニーの自衛のため、貴艦を撃沈する用意がある。既に最終防衛ラインにはG5弾頭装備済みの艦隊が展開している。ただちに回頭し、コース修正せよ』
 最後まで警告を言い終わった後、花火が規則性を持った。動きは相変わらずだが。
「これ‥‥、暗号コードですねぇ?」
「翻訳頼む」
 何らかの意図を伝えようとしているらしい。朔夜が解析表に照らし合わせると、文言のようなものが浮かび上がってきた。
『‥‥やれるなら、ここまで進んでないよ。まったく、空軍の連中は石頭なんだからっ』
「通信担当、レンの奴だな‥‥」
 頭を抱える緑川。その間に、カンパネラの状況を調べていた朔夜は、その結果を彼へと報告する。
「先輩、該当機の内部から、妨害電波が出ています。どうやら、管制への通信がシャットアウトされているようですね」
『なんとかしろよな』
 花火がそう言った。だが、それを妨害するように、間に割って入ってきた存在がある。
「相変わらず生意気な坊やだ。おおっと」
「敵襲!? 伍長、宇宙海賊のようです!」
 どうやら、狙われてるようだ。機体の姿は見えないが、宇宙用のレーザービームをばしばしと撃ってきたそれは、空軍で演習に使っているようなものではない。しかも、結構な数だ。
「先輩、どうしましょうか‥‥」
「迎撃しろ。これより学防軍評議会の決定に従い、実力にて対応する」
 きっぱりとそう言いきる緑川。定番の威嚇射撃の照準は、ぴたりと姿のない敵に向けられている。
「いいんですか?」
「こう妨害電波が強いと、独断で行動するしかあるまい」
 モニターの中で、笑顔が頷く。その為に、射程距離の長い武器を用意して来たのだと。
「やられた分は倍返し〜!」
 ばしゅばしゅばしゅっとレーザーが飛んで行く。しかし、カンパネラに変化はない。攻撃が原因ではなさそうだ。
「スラスターを無力化させる。この距離だが、当てられるか?」
「問題なっしんぐ。がんばれますよ〜」
 朔夜の狙いが、スラスターに向けられた。
「よしわかった。合図で一度に攻撃する。狙いを外すなよ」
 なにしろ、ちょっとでも狙いが外れれば、中身ごとお陀仏だ。
「3・2・1‥‥GO!
 ばしゅううっと飛んで行くそれは、見事スラスターへと命中する。爆発もしない。だが、動きに変化はなかった。
「仕方ない。移乗白兵戦を試みる。支援頼む」
「了解です。船には近付かせません!」
 どうやら、中に原因があるようだ。そう判断した緑川は、朔夜に援護射撃をさせながら、人型へと変形し、ハッチへと取り付いていた。
「兄様、非常ハッチに緑川おにーちゃんが乗ってるよー」
「こっちから開けてやれ。それくらいは出来るだろう」
 彼がその扉を開ける前に、ハッチのロックが開き、緑川はその機体ごと取り込まれるのだった。
「あらら〜。私まで〜?」
 朔夜ごと。
「どうやら、ひっかかったようだねぇ。けひゃひゃひゃ」
 その様子に、きらんと誰かの眼鏡が煌くのだった。

 非常ハッチはKVを乗り込ませられるようになっている。着艦出来るようにはなっていたらしく、2機のKVはその機体を固定させ、カンパネラ内部へと降り立っていた。
「どうにか乗りこめたようだな」
「あーあ、攻撃食らっちゃった‥‥」
 バトルダメージを心配する朔夜を見て、少し余裕を取り戻したのか、緑川は女性に向ける口調で慰めてくれた。
「あの程度なら、どうと言う事もないよ。さ、ブリッジを目指そう」
「わかりました。でも先輩、あそこに人が‥‥」
 朔夜が指し示した先には、廊下を歩く白衣の青年がいた。近付いて、手持ちの武器を向ける緑川。
「クルーか? そこの白衣。所属と姓名を答えろ」
「我輩の事かね? 我輩は、このカンパネラで医療業務に携わっているウェストと言うものだ」
 銀髪の青年はそう答えた。肩に、猫のぬいぐるみを乗せている。IDカード兼生徒章には「ドクター・ウェスト(ga0241)」と書かれていた。
「ああ、船医か。一体何があった?」
「と言っても、これからコロニーで研修を受ける身だよ〜。事情がわからないので、我輩もこれから確かめに行く所だね〜」
 今までは部屋で研修資料に目を通していたのだと言う。予定到着時刻になっても、アナウンスがないので‥‥と、彼。
「わかった。ブリッジはこっちかな」
「そのようだね〜」
 先行する緑川、その後ろに朔夜が続き、ウェストが従う。しかし、その口元には、相変わらず嫌な笑みが浮かんでいるのだった。

 ブリッジにたどり着く前から、その周囲には霧が立ち込めていた。入り口を覆うほどの量に、緑川はなるほど、と思い当たる。
「なるほど。こいつのせいか‥‥。責任者は京太郎、だったな」
「遅いぞ」
 扉を開けると、ようやく来たか‥‥と言った風情の京太郎。読んでいた本を閉じて、モニターの前へと手招きする。
「ちょっと妨害が入ったのでな。異常の原因は? 管制機能を乗っ取られたか?」
「そのようなものだな。おそらく、この霧が原因だ」
 霧に包まれたコクピットは、あちこちでエラーの表示を出していた。緑川もトライしてみたが、やはり推進に関わる部分は沈黙のままだ。
「ふむ。何とか出来ないか? 学防軍艦隊が展開する最終防衛ラインまで、あと少しだ。G5弾頭の威力は知ってるだろうに」
 なにしろ、対コロニー用兵器で、801コロニークラスの物体なら、軽く消滅できるようなシロモノである。
「まったくもー。そんな物騒なものを配備したの、どこの酔っ払いだよー」
「どうせ軍部の古狸だろ。死にたくなければコースを無理矢理でも変えろ」
 文句を逝って来るレンに、緑川はぴしゃりとそう言った。だが、レンはちょっと泣きそうな顔で「やってるけど、全然ダメなんだよ〜」と訴える。
「伍長! 距離3割をきりました。これ以上はマズイ‥‥」
 朔夜が装甲値を下回った時のような表情で、危機を訴えてくる。
「くっ。何か手段はないのか」
「霧さえどうにかできれば、なんとか取り戻せると思うが‥‥。伍長、機材はどれくらいある?」
 京太郎がそう尋ねてきた。ふむ、と考え込んだ緑川。朔夜に確かめる。
「朔夜さん、SES装置付って、どれくらい残ってる?」
「んーと、これくらいです‥‥」
 数を表記する彼女。何やら頭の中で練り上げていた京太郎は、考えがまとまったのか、しばしの後、こう言った。
「ならば使わせてもらおう。非実体型生徒には、クリスタルアナライザーの着用が義務付けられている。あれを作る」
 一口に言うが、幽霊に猫の鈴を取り付けるようなものである。
「簡単に言うが、あれは専門部で作るもんだぞ。出来るのか?」
「1日しかもたん劣化品ならな」
 充分だと、緑川は頷いて見せた。

 そのころ、ウェストはと言うと。
「ヤスノリ君もサクヨ君も真面目すぎだよ〜」
 白衣をばさりと脱ぎ捨て、真の姿となっていた。丈の長いロングコート風の上着に、伝統のロングブーツ。レーザーカトラスと、レーザーマスケット銃を装備した、海賊の正装だ。
「さて、コノ船の積荷のお宝、頂こうか〜」
 1人、そう言うと肩に乗せたニャフニャフがはひひひと哂う。その笑い声をBGMに、貨物室へと向かう彼。目指すお宝はそこにあるはずだった。
 だが。
「おわっと?!なんだね、コレは〜」
 貨物室をあけたとたん、霧が噴き出す。その霧に浮かび上がる1人の男性の姿。
『最初のお客様はあなたのようですね』
 幽霊タイプとなった寺田だ。薄ぼんやりと透ける彼の姿に、ウェストはこう呟く。
「なるほど、お宝には番人が付き物だからね〜」
 冷や汗を流しながらも、レーザーカトラスを構える彼。その影から、レーザーマスケット銃をばしばしと撃ってみるが、幽霊タイプなのでそのレーザーは突き抜けて、背後の木箱を壊しただけだった。
『おやおや。物騒ですねぇ。ふふ‥‥』
 一瞬、戦慄するものの、その壊した木箱の陰に、時計が見えた。その針に、ウェストは平静を取り戻す。
「そう余裕を見せていられるかねぇ。そろそろ、タイムアップの時間なんだがねぇ」
 そう言った刹那、霧が掃除機にでも吸い取られるように、流れて行く。
「ほう‥‥? これは‥‥」
「アナライザーは正常に起動。通信機は回復したか?」
 緑川が霧を吸い取って行く20面体の球を確認して、そう尋ねた。
「ご覧の通りだ」
 京太郎が答えた先には、学防空軍の管制室が映っている。即座にマイクを持って、早口に報告する緑川。
「こちら緑川伍長。該当機はコントロールに支障をきたしている。至急、救援を要請する」
『了解した。こちらから牽引ビームを放出する。以後は誘導に従ってくれ』
 ティグレスが画面の向こうで、ほっとしたように答えていた。モニターに緑のランプが点灯し、移動を開始した直後。
「先輩、何かおかしいですよ。牽引のタイミングが早すぎます!」
 朔夜が衝撃を感知する。2度、機体が揺れた事に、緑川はいるべき人がいない事に気付く。
「何? まさか、さっきの‥‥。おいレン、この船の乗員リストはあるか?」
「モニターに出すよ」
 ずらっと各部屋にいるはずの生徒が並ぶ。しかし、その中にドクター・ウェストの名前はない。
「ウェストさんがいない‥‥」
「ほう。奴がまぎれていたか」
 京太郎、意外そうに答えた。
「知っているのか?」
「ああ。このあたりでは有名な宇宙海賊だな。一匹狼の海賊で、自動操縦のガレオン船型宇宙船『輝ける西日』号に乗っている」
 大いなるお宝を狙っている奴だと言う噂だが、真相を確かめた者は誰もいないと。
「知ってるなら、何故言わん!」
「あれも立派な部活だ。我々が介入するわけにもいくまい」
 そう。ここでは、海賊行為も立派な学園生活の一部なのだった。

 一方、その宇宙海賊はと言うと。
『宇宙空間なら、アナライザーなしで行けると思った者を‥‥』
 霧を巻き取られ、実体化した寺田が、その床の冷たい感触になれず、膝を付いている。
「そこで黙って見ていたまえ。お、コレだ!」
 自身のかわりに、ニャフニャフがふひひと哂う中、厳重に梱包された強化ダンボールを手にするウェスト。即座に、ポケットに入れた通信機から、船へと連絡する。
「『輝ける西日』号ステルス解除〜、空間固定アンカー射出〜!そしてもう一発、コノ船にアンカー射出〜!」
 その刹那、ガレオン船型宇宙船が、空間ステルスコートを解除して、姿を現していた。そして、空間固定アンカーを自船と『カンパネラ』の固定に2発発射する。
「あれが宇宙海賊の船か!」
「初めて見たー」
 警戒する緑川に対して、のんきにそんなこと言ってる朔夜さん。こちらに攻撃する気配はないようだ。
「けっひゃっひゃっ、我輩は宇宙海賊ウェスト様だ〜。不時着の混乱にまぎれて逃げさせてもらうね〜」
 そう言うと、幽霊寺田を無視して、トラクタービームロープを掴み、『輝ける西日』号に飛び移る。
「では、まただね〜」
 そのまま、空間固定アンカーを回収すると、コロニーの彼方へと飛び立つ西日号。
「いいのか?」
「構わん。手は打ってある。それより、まぎれていた幽霊型のデータを乗客に書き加えておいてくれ。良くある事だ」
 寺田の名が、モニターに表示され、居住番号に『船倉』と表示された。
「やれやれ、機体放棄とコロニー防衛、評議会の査定なら始末書の山がくるな」 自分以外は、全く気にしていない一同に、増える始末書を思って、気の重い緑川だった。

 そして、もう1人。
「‥‥コレ、本当にお宝なのかね〜」
 奪った積荷の中身を見て、額を押さえるウェスト。そこには、どこで仕入れたのか、大量の同人誌が積まれていた。
「はひひひひひ‥‥」
 処分に悩む主人の姿を見て、ニャフニャフが今日も面白そうに笑っている。