●リプレイ本文
夏も終わりを告げかけた頃。それは夢か現か幻だったのか。
これは、壮絶なる運命の元に集った、とある女神達のお話。
●集え、美の化身
「何故ですかね‥何か、いつもより‥違和感が‥寝ぼけているんでしょうか」
目覚めは悪くない、どちらかと言えば清々しい朝だった。
しかし、気づけば何時の間にか広がっている光景の前に、思わず我が目を疑っている青年――ではなく、端正な顔立ちの美しい女性が1人。
「‥これは、夢でしょうか」
そう先ほどから何度か呟いている、神無月 紫翠(
ga0243)だ。
「あ、いたいた。何をされているのですか、ほら、もうすぐ始まってしまいますよ!」
「?」
と、神無月が考えに耽っているとき、慌しい様子でかけてくる男性が、彼女の腕をギュッと掴んだ。
「始まる‥何がですか?」
「何言ってるんですか。今日はユリンピックの日、そしてあなたはその司会者でしょう!」
「‥はい?」
こうして、始まりの朝は突然に。少し、奇想天外な物語が幕を開けた――
「ユリンピック‥素晴らしい催しですわ。女の子の身体も心も、最強の女神の座もわたくしが頂きますわね♪」
「おーっほっほっほ! あの称号は私の為にあるものですわ! この私こそが、この星が誇る最大の美にして至高の頂なのですわ!」
ユリンピック。それは、この世界で最も美しく、強い女性――女神オブ女神を決める戦い。
数々の候補の中から選ばれた女神の一人、鷹司 小雛(
ga1008)は、これから起きるであろうことに思いを馳せ、既に顔を桃色に染めていく。
その隣では、後ろにメラメラと燃える闘志をむき出しにしながら、女神の頂に相応しいのは私だと豪語する大鳥居・麗華(
gb0839)の姿が。
「可愛い女の子がたくさん出場すると聞いていましたが‥なるほど、噂に違えぬ光景ですね」
一方、参加者の面々を見渡しながら、ミオ・リトマイネン(
ga4310)は感嘆の溜息をついていた。
想像通り、いや、想像以上の精鋭揃いに、表面では穏やかな顔を見せているものの、既に心の中では獲物を狙うような鋭い目を光らせている。
「優勝に興味はありません。競技中に合法的にピーな事が出来るのであれば」
可愛い顔して、言ってることはとんでもない彼女。どうやら、最初からミオは出場者しか眼中にないようだ。
「あ、でも優勝できたら‥参加者の方々を、商品で貰えるのかもしれませんね。頑張りましょう」
‥‥今一瞬、妄想の恐ろしさを垣間見た気がしなくもないが、とりあえず聞かなかったことにしておこう。
●第1競技:乳なg‥‥パイ投げ
「アハハハッ♪ 選り取り見どりとは正にこのことですね♪」
さて、合計3種目を経て、最終的に最強女神を決定する本競技。
まずはその第1種目という事で、パイ投げが始まろうとしていた。
「皆‥豊乳。我‥何故‥斯様にも、平面」
競技開始10秒前。まずはターゲットを誰にしようかと悩む伊万里 冬無(
ga8209)から少し距離を置いたところでは、L3・ヴァサーゴ(
ga7281)がひたすらに周囲の参加者の胸へと眼差しを向けていた。
極度の痩身な為、胸はほぼ平面――と言うか肋骨が浮き出る程の彼女。故に、はちきれんばかりで衣服を突き上げるあの胸達には、これ以上ない程の憧れを抱いていたのだ。
ちなみにこのヴァサーゴを含めた伊万里、麗華の3人は、何故か胸に平仮名で名前入りのスクール水着だったりするのも、特徴的だった。
伊万里と麗華に関しては、豊満な体系の上、くっきりと体に食い込んで上から下までラインを強調しているにも拘らず、胸には『ふゆな』と『れいか』の猛烈コンボ。
思わず、観客の皆さんもあの名前目掛けてダイブしたくなってしまいますね。
「それでは‥競技を始めます」
かくして、神無月の合図とともに、いよいよ始まったパイ投げ合戦。
何故か司会者である神無月は、長袖メイド服にロングスカ−トという意味深気な姿なのだが、司会者まで美しい、これこそがユリンピッククオリティなのである。
「くぅ、もう少し胸が小さければ‥。ボクはもっとスリムな体型に生まれたかったのですー!」
まず、競技開始しと同時に飛び出したのは、白のスクール水着にはちきれんばかりの胸が眩しい少女、鬼灯 沙綾(
gb6794)だった。年の割りに発育の恐ろしい胸に日々お悩み中だった彼女。
このパイ投げでは各々の想いを叫ぶということで、年相応の胸が良いとぶちまけつつパイもぶちまける。
「な、何と言うことでしょう。殆ど胸が大きい方ばかりです! はう〜思わず目が釘付けですね‥」
一方、沙綾のような少女がいたかと思えば、こちらは全く逆の(?)想いを叫ぶ少女、直江 夢理(
gb3361)の姿が。
競技も忘れて一瞬参加者の胸に釘付けとなる直江だが、本人曰くこれも女性の本能だから仕方ないとのこと。コラ、そこ! 女神の言うことは全て正しいのです。間違ってるなんてツッコミは受け付けません。
「ふふ、でもこの試合、残念ながら私が勝負は貰いました。そう、胸が小さく当たり判定も小さい私の様なのが、有利なはずです!」
と、そうこうしているうちに何か閃くことでもあったのか、目を輝かせながら直江は特攻を仕掛ける。元々小柄なのと、平らに近い胸を利用して、当たり判定を狭める戦略らしい。
そして、更なるとっておきが――
「という事でポロリを‥‥いえ、胸を狙って投げ付けます! 忍法巨乳敗り!」
なんと言うことか。気づけば、相手のポロリを――ではなく、胸を狙ってのパイ投げときた。なるほど、これなら確かに高い確率で相手にパイを当てることも可能だろう。しかし、彼女は最大の過ちに気づいていなかった。
そう、この競技で使うパイは麻酔入り。つまり、相手の胸ではなく、相手の口に当てないと意味は無いのだ!
「えい、えい! 良い感じで胸に当たってますね!」
ああ、なんと哀れ、直江夢理。しかし、忘れてはならない。彼女もまた、巨乳に踊らされた1人の犠牲者に過ぎないということを。
「女の子と男の娘が好きでなにがわるーい!」
「おーほっほっほ! スナップが、腕のスナップが全っ然なってませんわよ!」
こうして、ドーム内にそれぞれの叫びが木魂し続けた本競技。
「あぁぅん♪ そんなところまで攻めてきますですか! こ、このビリビリぃ、貴女にもお裾分けです♪」
何時の間にか、投げることを忘れて肉弾戦へと進化したかと思えば、最終的に――
「アハハハッ♪ 皆さん忍耐力が足りませんですね♪」
倒れても倒れてもゾンビの如く起き上がってくる伊万里が、本競技を制すのだった。
●第2競技:相撲大会
さて、第1競技を終えたところで、ユリンピックもいよいよ中盤の第2競技、相撲が始まろうとしていた。
何故か気合十分な参加者が多かったこの競技。今は衣装チェンジ中ということで、着替え室に少し潜入してみよう。
「褌の締め方の基本は、途中でほどけないように、お尻に埋まり食い込んで来るくらいキツ目に締めつけることですわ! わたくしは普段から褌を締めている分慣れていますのよ♪」
「え、こ、こうなのですか!? で、でも、さすがにボクも褌一丁は‥」
「ふふ、恥ずかしがっちゃって‥可愛い」
これは夢なのだろうか。相撲ということもあり、褌一丁で参加しようというムードになったらしい着替え室では、若干嫌がる鬼灯を相手に、笑顔で褌のよさをアピール(洗脳とも言う)する鷹司が、ギュッギュッと彼女の褌を締めてあげている最中だった。
それだけならまだしも、その光景を横で見ているミオは、何故か小さく舌舐めずりして興奮中。
「せ、せめてさらしだけはつけさせて下さい‥え、もう時間? そんな〜」
そんな2人の気持ちを知ってかしらずか、必死で抵抗する鬼灯だったが、気づけば既に時計の針は開始時刻に。結局そのまま褌一丁で歩いていく彼女だったが、何か吹っ切れたその姿はある意味涙ぐましくもあり、逞しくもあった。
さすが最強女神に相応しい人物が揃っただけの事はある。どの参加者も、秘めたるポテンシャルは計り知れないと言ったところなのだろう。
「それでは‥‥競技を始めます」
かくして、着替え時の興奮も収まらぬままに、遂に始まった相撲大会。何故か再び浴衣へとコスチュームチェンジした司会の神無月だが、案外楽しんでいる様子にも見えるのは気のせいか。
尚、参加者は全員気合十分であったが、ここでは特に一際アツかった者達にスポットを浴びせてみるとしよう。
「あら、もう既に顔が真っ赤なのね‥‥可愛い子」
「うぅ‥‥」
まずはこちら、飢えた美獣VS子猫ちゃん――じゃなかった、ミオVS直江である。
「さぁ、いくわよ!」
「あ、ミ、ミオ様、胸がっ」
参加者の中では唯一さらしをつけている直江だったが、いくら胸は隠したとしても、言うまでもなく下の隠し具合は微妙な彼女。
元々恥ずかしがり屋な性格なのか、さすがに周囲の視線が気になって仕方ない最中のようだ。一方、それを知ってか知らずか、直江を手玉に取るかのように攻めるのはミオである。
直江の視線が自分の胸を逸らすかのように動いている事に感づいた彼女は、わざとらしく自らの胸を押しだしては、余すことなくむにゅっと押しつけてみたり。
当然、そんな攻撃を食らっては、最早感触だけで卒倒しそうな直江なのだが、これで終わってはつまらないと、ミオは自慢のフィンガーテクニックを解放。
「はう〜もうダメです〜」
こうして、頭から煙を出すかのように倒れた直江は、ミオの体へと墜ちていくのだった。
「土俵‥神聖、故‥褌以外‥着用、不可‥」
「この締め付け、体中に興奮が奔りますです♪」
さて、女同士の熾烈な相撲大会、お次に紹介するのはぺったんこVS美乳――じゃなかった、ヴァサーゴVS伊万里である。
ここまで来れば清々しく感じるが、身に纏うものは完全に褌のみといった格好の2人。赤褌をくっきり食い込ませている伊万里の前では、褌を着ると言うよりかは、褌に包まれていると言った感じのヴァサーゴが伊万里の胸から視線を外さない。
「はっけよーい、のこったです♪」
「‥」
まず先手をうったのは伊万里。土を勢いよく蹴ると同時に、彼女はヴァサーゴの懐めがけ痛烈な体当たり! それを少し顔を歪めながらヴァサーゴは受け止めるが、体重が軽い所為かややおされぎみだ。
一見すると、完全な力と力のぶつかり合い。均衡するベクトル――と、その時だった!
「きゃん♪ 手が滑りましたです♪」
「!?」
それは、偶然だったのか。ぐぐっと伊万里が手を滑らせたかと思うと、そのまま彼女はヴァサーゴの横に回り込み、体重を乗せて圧し掛かる!
「油断‥力、入らず」
だが、ここで潔く負けは認められない。体ごとで伊万里を受け止めたヴァサーゴは、両手で伊万里の双丘に手をかけ、そのまま揉み揉みしつつ耐えの姿勢へ!
「あぁん! うふ、うふふふ、やりますですね‥それならば!」
と、その攻めが効いたのか、伊万里は頬を紅潮しつつも最後の手段へ。
――ズサッ
両手でヴァサーゴの股を掴むようにして、彼女と道連れに伊万里は倒れこむ。息をのむ観客。どっちが先に地へと落ちたか。いや、あれはほぼ同じタイミングだった。
「同着‥?」
そして、むくっと起き上ったヴァサーゴが、執りなおしかと思った瞬間
「いえ、私の勝ちですよ♪」
「‥!?」
ニコっと笑って囁いた伊万里。
その手には、なんと2人が倒れるよりも早くに解いた、ヴァサーゴの褌が握られていた――
「褌、奪取‥卑怯」
「あはははっ♪ これも歴としたルールです♪」
伊万里冬無、恐るべし。
●第3競技:障害物競争
「いよいよ‥最後の競技‥ですね」
熱迸る戦いも、遂には最終競技を残すのみとなっていたユリンピック。最後は女医姿になった神無月が見下ろす先には、スタートラインに並んだ7人の女神たちが佇む。
「ここまできたら、負けられませんわね」
「お姉さま、観ていて下さいね‥」
かくして、各々の思いを胸に。スタートを告げる鉄砲音が空に響くのだった。
「この競技は私が有利ですね! 胸が無い方が障害物に引っかかりにくい筈なのです」
まず飛び出したのは直江。彼女の持論では、胸が低い方が障害物競争は有利と言うことらしく、今まで溜めていたパワーを爆発させるように進んで行く。
「待ちなさいですわ! 女王になるのはこの私、大鳥居麗華ですのよ!」
そんな直江に続くのは、体操服ブルマ姿の麗華だ。声高に女王への執着を見せる彼女だが、パタパタと上半身の服はためく姿は、女王と言うよりも胸の大きな高校s‥‥何でもありません。
「ふふふ、ここは焦ってはいけませんわ。最も良い位置取りをしなくては」
一方、彼女達とは反対に、やや後方で不気味な笑みを見せるのは鷹司だ。まだまだ余力を残しつつも、何故か最終尾につける彼女。
本来なら、罠よけの為に後方を走っているのかと考えがちだが、実は、彼女の狙いは他にあった。
「えっ、な、何ですかこれはー!」
「きましたわね!」
と、先頭では既に始っていた最初の難関、ローション地獄ゾーン。そこに入った少女たちを待ちうけるヌルヌルの恐怖に、必死で耐えている鬼灯を発見した鷹司は、そのままベストオングルをキープすると――
「うう、ぬるぬるですぅ」
「あら、どうしんですの? ヌルヌルなんて興奮こそすれど、嫌がる事は無いですわよねぇ」
「ふぇ?」
なんと、そのまま彼女は鬼灯に手をかけると、あられもない姿を堪能しつつローションをふんだんに使い鬼灯へと襲いかかる。
「こんな淫らな光景を見せられて、手を出さないなんて有り得ませんわ」
最初からこれが狙いだった鷹司。数十秒間、2人の交わりを楽しんだ後は、心なしか艶々になった顔色に笑みをこぼしつつ、再び走り出すのだった。
「次は‥ネットゾーン‥ですか」
レースもいよいよ後半へ。残りの距離は少しだが、待ちうける難関に苦戦していた7人は既に息も絶え絶えである。そこに現れた最後の難関が、ベトベトネットゾーンだった。
「くっ、何でこんなにベトベトなのよ!」
「これは‥胸の小さい私にとってまさしくチャンス!」
「この程度、何てことはないのです!」
そして――最後に飛び出しのは、身体の小ささが幸いした直江と沙綾の2人――
「中々楽しめましたわね。女神の座はいただけませんでしたけど」
かくして、ユリンピックにて1人の女神が誕生する。
まだ幼きその少女の名は、鬼灯沙綾。最後まで接戦を繰り広げた彼女は、最終競技にて、直江を退けて1位に輝いたのが何よりの鍵となった。
「胸が小さい方が有利だと思っていたのに‥‥まさか、ゴールの際に胸の差で負けたなんて」
悔しがる直江達だったが、表彰台にて沙綾はこう告げたと言う。
「全ての女性に女神の輝きはあるのですっ!」
それは紛れもなく、女神オブ女神に相応しき者が残した、美しき一言だった――