タイトル:【落日】悪夢【追憶】マスター:後醍醐

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/12/29 07:21

●オープニング本文


 ●
 東オーストラリア
 
「When Johnny comes marching home again♪ Hurrah! Hurrah!」
 護衛するトラックに揺られながらセシリーは歌う。
「あれ? セシリーさんって、南部じゃないの?」
 同乗してたUPC軍の軍服に身を包んだ少年が声を掛ける――階級は二等兵。
「そう、かな?」
「ええ、訛りが 父と同じ南部訛りなんで」
 アメリカから移住してきたと言う二等兵の少年が訛りを指摘する――セシリーは今まで意識していなかったようだ。
「よく、覚えてなんだよね‥‥」
「そうなんですか‥‥」
 セシリーは記憶にないが去年のある「時点」から過去に関する記憶が閉ざされていた。
 沈黙が続く――セシリーと「少年兵達」――。
 
 子供が忌避されるこの地において子供達の保護を買ってでだのは――一部の慈善団体とUPC軍だった。
 とは言っても員数外に近い非戦闘員に近い部隊――比較的安全な地域の輸送を任務としていた。
 世話役として毎度、ULTから傭兵を頼んでいた。
 
 だが――。
 
「前方に小さい人影――」
 先頭車両から報告――刹那。
 爆音が轟く!
「!?」
 セシリーは車窓から身を乗り出して双眼鏡で前方を注視する。
 吹き飛ばされた車両――放り出された乗員。
 腕を吹き飛ばれた者、腕を吹き飛ばされた者、首を吹き飛ばれて絶命している者。
 そう――先頭車両と接近しかけた瞬間、爆発したのだった。
 苦痛の声が木霊し、それを見た他の隊員がパニックに陥っている。
 辺りが突然の出来事で混乱する。
「収拾しなきゃ!」
 停車したトラックから飛び出し事態を収拾しようとするセシリー。
 しかし――。
 
「て、敵襲!」
 パニックに陥っている上に強化人間らしき敵からの襲撃――。
 次々と襲われ――倒れていく。
「あ、ああ‥‥」
 その情景を見て「何か」を思い出した様に顔面蒼白になりその場にうずくまるセシリー。
 
 

●参加者一覧

伊万里 冬無(ga8209
18歳・♀・AA
大鳥居・麗華(gb0839
21歳・♀・BM
御守 剣清(gb6210
27歳・♂・PN
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
湊 獅子鷹(gc0233
17歳・♂・AA
荊信(gc3542
31歳・♂・GD
ミリハナク(gc4008
24歳・♀・AA
トゥリム(gc6022
13歳・♀・JG

●リプレイ本文

 ●奇襲
 
 輸送部隊の先頭が突如、爆発に巻き込まれる。
 すぐに事態を収拾しようと先頭へ移動したセシリー・ニミッツ(gz0463)。
 だが、爆破後に始まった戦闘で『思い出し』動けなくなってしまった。
 
 敵襲を受ける輸送部隊――共に護衛の任についていた傭兵達が即座に動き出す――。
「一瞬の隙が出来たら、勝機があるハズだから」
 夢守 ルキア(gb9436)は先頭へと向かうメンバーに閃光手榴弾を手渡す。
「あらあら、敵襲ですか。全く、既に大勢は決しているのに無駄な足掻きをご苦労様です♪」
 いつもの様にすぐに片付くはず――そう思っていた伊万里 冬無(ga8209)は車両から降りて様子を伺う――だが。
「あら、セシリーさん? 何か様子がおかしいですね。真逆、思い出してしまいましたです?」
 縮こまって何時もと様子の違うセシリーを見て、やや焦る表情になる。
「まさか此処で襲撃があるとは思いませんでしたわ。私は先に行きますわ」
「はいはぁーい、麗華さん。お伴させて頂きますですよ♪」
 大鳥居・麗華(gb0839)が尋常ならざる様子に『瞬速縮地』を使い、冬無は『全力移動』でセシリーの方へと向かう。
「まだ‥‥まだ終わらないのか!」
 この現状に憤り、『迅雷』と『全力移動』を使い先頭へと急ぐのは御守 剣清(gb6210)。
「終戦も糞もねーわ、こんなガキを使って平和を語るか、胸糞悪い」
 襲撃受けゆの知らせに湊 獅子鷹(gc0233)は状況を冷静に判断する。
「チッ‥‥やられたな‥‥ここからひっくり返すのは楽じゃぁねぇな‥‥それなりの代価は払わにゃぁならんか‥‥」
 荊信(gc3542)は即座に状況を判断――不利になりつつある状況と判断。
「が、んな事ァ知ったこっちゃねぇ! 盾の仕事は止める‥‥ただそれだけよ!」
 吸っていた煙草を吐き捨てる。
「‥‥典型的なゲリラの襲撃ですわね」
 後方車両に乗っていたミリハナク(gc4008)は待ち伏せ・包囲されていると想定して周囲はすべて敵と想定して動く。
 『M−183重機関銃』を使って攻撃を行う。
「状況を、把握しなきゃ‥‥」
 『探査の眼』を使って状況の把握に努めるトゥリム(gc6022)。
「見つけた‥‥」
 セシリーの姿を見つけたトゥリムは『瞬天速』を使ってセシリーの元へ向かう。
 
 ●巡る、因果は――時を超えて
 
 閃光手榴弾の援護を受けてセシリー達の元へたどり着いた冬無と麗華。
「落ち着いて下さいです♪ 落ち着かないと、後で怖いですよ」
 一般兵のパニックの収拾に乗り出す冬無。
「セシリー、いつまで過去に縛られてますの! そんなではまた過去の悲劇が繰り返されるだけですわよ。今こそ過去を振り払って、自らの力で新しい一歩を踏み出す時ですわ!」
「あ、あああああああああぁぁっぁあぁ!」
 蹲っていたセシリーの腕を取り叱咤する麗華――だが。
 過去――一年前の記憶を無くす切っ掛けとなったあの『シーン』――嬉々として強化人間を倒す『麗華』と『伊万里』を思い出し恐怖するセシリー。
 おもいっきり力を入れて麗華の腕を振りほどき後ずさる。
「こ、こないで! こ、怖い!」
 恐怖に顔は歪み『麗華』を拒絶するセシリー。
「麗華さん? セシリーさん?」
 異様な空気を感じ取った冬無が、麗華とセシリー元へ駆けつける。
「い、いやあああぁぁあああ」
 冬無の『伊万里』に恐怖を感じたセシリーは『麗華』の時と同じように表情を恐怖に歪めて前方の敵の方へと逃げようとする。
「セシリー!」
「セシリーさん!」
 麗華がすぐに駆けつけて身柄を拘束すると冬無がキュアを掛ける。
 キュアの効果によってパニック状態等のバッドステータスの抵抗の判定に成功して落ち着きを取り戻す。
「はい、盾、どうぞ」
 落ち着きを取り戻したセシリーの前に『レイシールド』を立て掛けて、『エルガード』を構えるトゥリム。
 (能力者は心の無いキリングマシーンとは違うのだから‥‥)
 
 少し前。
「あっちはオレ達に任せて、君らは下がっててくれな。あと怪我人にはコレね」
 一般兵の所へついた御守は冬無と共に後方に下がらせつつ、救急セットを渡していた。
「あ、あああああああああぁぁっぁあぁ!」
 ちらっと御守がセシリーの方へ目をやるとパニック状態に陥っていた。
 それを見た冬無が駆けつける――そして、落ち着かせた。
「あのお姉ちゃんも一緒に下がらせてもらえっかな? 出来れば、戦闘の様子は見せねぇように‥‥」
 セシリーを指差して一般兵の子供達にお願いをする御守。
 トゥリムに守られながら一般兵士とともに後退してくセシリー。
 後退しようとするトゥリム達への攻撃は苛烈だ。無論、味方の援護があってのうえでだ。
 まだ――前線には誰もいない。
 殺到する攻撃を盾で受けているがトゥリムのダメージを受け、傷ついていく。
 だが、それでも耐えながら後退するトゥリム――心配の眼差しを受けながら。
「大丈夫、僕には救急セットありますから‥‥」
 余裕を見せるその表情は痛々しいものがあった。
 
 一方――後退するのもいたが、抵抗するのもいた。
「死にたくなきゃ、撃て。‥‥大丈夫だよ。私、きみ達よりちっちゃい時から戦場で戦ってたし」
 倒壊した車両と健在な車両で囲み、防壁にして『フス派の戦車』状態――所謂、トラックを盾に簡易城塞にした夢守。
 銃撃によって味方を射線に入れぬように弾幕を形成させる。
「よし、オレらで命を守るぞ。頑張れ」
 後退させた御守が合流してきた。
「あれはマズイ! 自爆型だ!」
 前方に向かっている湊、荊信に向かっていく人影――御守が見たのはあの特徴的なチョーカー。
 だが、御守のとっさの気付きにより、警戒していたミリハナクの重機関銃が火を吹き、強化人間の首が吹っ飛び自爆することなく倒された。
 (またコレか‥‥まだコレかよ‥‥!)
 繰り返される行いに御守は憤る。
 
 一方、荊信と湊。
「ガキ共や嬢ちゃんの援護は奴等が動くか、なら俺の仕事は決まったな」
 周囲の状況を見ていた荊信は前方にいるであろう強化人間の排除に動き出す。
「先手を取られた‥‥こうなりゃ俺達が前に出て何とかするしか無ぇ。俺が止める、お前さんが倒す。あぁ、いつも通りだ」
 ミリハナクに荊信は告げると前進する。
「ガキを狙いやがって‥‥テメエら皆殺しだ」
 湊も強化人間を倒すために銃撃や狙撃に警戒して低い姿勢のまま進む。
「俺が盾になる。潰すのは任せた!」
「わかった!」
 荊信が湊にそう言うと湊も応える。
 飛び交う銃弾、その中を盾の荊信、そして、刃の湊が進む。
 飛来する迫撃弾、だが、手製兵器の為か夾叉には至らない。
「2時方向、11時方向 90m先から迫撃」
 『バイブレーションセンサー』で砲撃の振動を捉え、対砲兵レーダーのように捉える夢守。
 直ぐ様、ミリハナクが砲撃元である火点に向けて銃撃を開始してこれを沈黙させる。
 ミリハナクはすぐにでも荊信や湊の前線へ移動したかったが、火点と狙撃の警戒で拘束され前進することが出来なかった。
 味方の援護を受けながら前進する荊信と湊の二人。
 次に二人の前に現れたのは丸腰の強化人間。
「あれはマズイ! 自爆型だ!」
 御守が叫ぶ――嘗て、東オーストラリアを恐怖に陥れた自爆型。
 盾を構え湊を守ろうとする荊信、撃とうとする御守――。
 重機関銃の銃弾が自爆型の頭を跡形もなく吹き飛ばし自爆する前に絶命させた。
 そうして、支援を受けながら前方へたどり着くと――。
 いの一番に飛び出して「仁王咆哮」を使い敵を引きつける荊信。
「かかって来やがれ! この皆遮盾、簡単に抜けると思うな!」
 湊は荊信に引きつけられた強化人間に対して【【OR】防御用義手『アイギス』】で捌きつつ接近を図る。
「死にやがれ!」
 密着した状態で納刀していた『獅子牡丹』で左逆手抜刀の一撃を腕に当てる。
 見事に決まり、強化人間の腕が激しく血飛沫を上げて切り飛ぶ。
 追撃で右手での順手による抜刀で斬りつけられて絶命する。
 途中、他の強化人間からの攻撃を『アイギス』で捌き、荊信から援護を受けるが大勢に無勢な所があり、湊はダメージを受ける。
「俺が相手だ!」
 荊信も湊の攻撃中、「制圧射撃」を行なって敵の接近の牽制を行なっている。
「当てさせるものか!」
 湊へ殺到する攻撃を「不壊の盾」を使いかばう――ミリハナクは火点による砲撃や狙撃に警戒し、対処に当たっている。
 他の強化人間達は倒された様子から後退して距離を取ろうとする。
「強化人間としての身体能力ばかりで、統率力も戦術もない、つまんねえよ、まだキメラのほうが歯ごたえがあるぜ」
 確実に湊は敵を屠り、荊信は傷つきながらも湊を庇う。
 だが、歴戦の二人でもあってもやはり、不利な状況は否めない。
「僕も来ました」
 自身の回復を行い、安全圏へ避難させたトゥリムが二人の元へやってきた。
 否、トゥリムだけではない。
「いい加減――終わらせましょう」
「セシリーを此処まで追い詰めるのは許されませんです‥‥」
「セシリー‥‥あんな事になって‥‥。この仇は取りますわ」
 御守、冬無、麗華の怒れる三人達だ。
 御守は繰り返されるこの状態に、冬無と麗華はセシリーをここまで追い詰めた事に。
 荊信の『盾』に新たに加わったトゥリムの『盾』。
 折れることのない湊の『刃』に加わる、御守の『刀』に冬無の『大鋏』に麗華の『パイルバンカー』。
 後方からは勇気ある一般兵を指揮する夢守、重機関銃で支援火器として支援を続けるミリハナク。
 守るべきものは安全圏に脱し、憂むものは無くなった――これからが反撃だ。
 幸いな事に前線で戦っていた二人のお陰で敵の接近と強行突破を許すことが無く、被害も最初の被害と傭兵達除けば軽微だ。
 守りは荊信とトゥリムの盾で攻撃を受ける。
 一人から二人、増えたことにより今まで荊信に掛かっていた負荷が大分、軽減されることになった。
 無論、湊を中心に他の傭兵達も攻勢を掛ける。
 湊と御守は前線正面で敵と対峙し攻撃を繰り広げ、冬無は2時方向、麗華は11時方向の火点へ夢守からの連携を受けて制圧へと向かう。
 ここで他の傭兵が火点攻略へと向かった為、警戒する必要がなくなったミリハナクが前線へと進出する――装備は重機関銃からゲヘナへと換装した上で。
 
 火点攻略――
 敵も木偶の坊ではない。
 此方に向かっている冬無、麗華を確認すると銃撃の弾幕によって接近の阻止を図る。
 だが、怒れる二人は銃撃の弾幕の雨を回避しつつ、被弾しつつも吶喊する。
 何時もなら何かいうはずだが‥‥火点の強化人間を無言で切裂き、貫いて倒し制圧する。
 
 火点からの圧力の無くなった前線正面。
 湊は、御守は、ミリハナクは――一気に畳み掛ける。
 格闘しつつ『獅子牡丹』を抜刀して斬り伏せる湊、刀で斬り伏せる御守。
 ミリハナクは『ゲヘナ』で叩き潰すように振りかざす。
 荊信も『ブリッツェン』で銃撃し、トゥリムも『クルメタルP−56』で銃撃をする。
 狩る側が狩られる側へと――前線はキリング・フィールドとなっていた。
 一つ、また一つと骸の山を築いていく。
 
 襲撃からの体制の立て直しが大変ではあったが――体制を立て直し、攻勢へと出ると敵の殲滅はそう難しいものでは無かった。
 己が置かれた立場で行動する事による結果でもあった。
 
 ●戦闘終了
 
 夢守が『バイブレーションセンサー』を使い、トゥリムが『探査の眼』を使い増援を警戒していたが、増援が現れる事はなかった。
 傭兵達の表情に安堵の表情が現れる。
 だが、セシリーの表情はすぐれない――キュアは『行動ができない』『混乱』『恐怖』等のバッドステータスに効くが、トラウマなどの心の傷には効かない。
 その様子を見ていた――特に親しかった麗華と冬無の表情もすぐれない――気にかけていた御守もだ。
 
 一方、奮戦した湊は。
 少年兵たちの無事を確認した後、体育座りで何処かの隅で震えながら戻った時のお説教を回避する言い訳を考えていた。
「マジ殺されるわ‥‥どう言い訳しよっか、誰か教えて、マジで、怒ったら怒ったで可愛いんだけどさ‥‥」
 
「お疲れ様です」
 トゥリムは「救急セット」を使いながら回っていた。
 激戦故に「エマージェンジーキット」も持ち出す状況となった。
 
「なんとか、なったか」
 煙草を吸いながら無事だったトラックにもたれてあたりを見る荊信。
 そう――無事に救出された一般兵とトラック。治療を受けている傭兵。
 夢守が率先して輸送部隊の再編成を行なっている様子も見える。
 必要以上の犠牲が出なかった――それが――守った成果だ。
 
 
 
 セシリーや最初の犠牲は――仕方がない、すべてをどうこうするなどとは神でなくてはできないのだから。
 
 すべてを思い出し――『知った』セシリー。 続く。
 
  【落日】悪夢【追憶】 FIN
 
  【追憶】To Be Contented