タイトル:【RR】油井調査【羅刹】マスター:後醍醐

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/12/23 21:18

●オープニング本文


 ● イラク 某所
 
 バグアによって砂漠化されたイラク――
 見渡す限り砂漠が続いている――
 ハーフトラックに乗って砂漠を移動しているのはエカテリーナ・ジェコフ(gz0490)と調査の人員と参加した傭兵達。
 眼前に映る枯れ果てた砂漠は、エカテリーナの心を表した様でもあった。
 
「遺棄された油井の調査、か」
 いつものBDUではなく――UPC軍の制服に身を包んだエカテリーナが命令書に目を落とす。
 そう――一ヶ月前‥‥
 
 ● 一ヶ月前〜
 
 LH
「‥‥経験者は大歓迎だ。士官が不足しているからな。手続きが完了次第、任地へいってもらう」
「はい」
 数日後、エカテリーナの元に書類等の一式が届く――。
「伍長‥‥か」
 届いた階級章を見てエカテリーナは呟く。
 LHの傭兵時代に得た名誉階級がUPC転職時に適用される。
「ま、今も昔も変わらないか‥‥」
 傭兵になる前の国軍時代を思い出す――遠くを見るような目つきで。
 新しい――UPCの制服に身を包んだエカテリーナは指定された場所へ出頭する。
 それから約一ヶ月、下士官の課程を受ける事となった。
 
 数日前〜
 
「任務だ。イラクに遺棄された油井の調査をしろ」
「ハッ」
 エネルギー問題はSESが解消したとはいえ、原油から生成される多岐にわたる化学物質は、いまだに人類にとって不可欠な物だ。
 その為、遺棄された油井の調査は重要あった。
「調査の補助としてULTへ依頼を出しておくように」
「了解しました」

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
セレスタ・レネンティア(gb1731
23歳・♀・AA
御守 剣清(gb6210
27歳・♂・PN
クレミア・ストレイカー(gb7450
27歳・♀・JG
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
美具・ザム・ツバイ(gc0857
18歳・♀・GD
アザグ=トース(gc4976
10歳・♂・SF
エドワード・マイヤーズ(gc5162
28歳・♂・GD

●リプレイ本文


 イラク 某所
 ロシア解放に向けた一つであるイラクにある遺棄された油田の調査。
 その為にエカテリーナ・ジェコフ(gz0490)が依頼した傭兵達が集まってきた。
 
「ふむ、まだキメラが目撃されているということかね〜。野盗崩れなら、我々の過剰な戦力は必要ないはずだね〜」
 そう声を掛けたきたのはドクター・ウェスト(ga0241)。
「ああ、その通りだ。蠍キメラやワーム型が見つかったとの報告もあったからな、用心に越したことはない」
 その言葉を聞くとウェストはハーフトラックへ乗り込んでいった。
 
「ジェコフさん、前に一度お会いしましたね‥‥再入隊組同士宜しくお願いします」
「こちらこそ、だ。 ‥‥軍曹殿ですか。失礼致しました」
 セレスタ・レネンティア(gb1731)の階級章を見たエカテリーナは敬礼する。
 UPCに於いての階級はエカテリーナは伍長、セレスタは軍曹だからだ。
 敬礼を受けたセレスタもまた用意されたハーフトラックへ乗り込んでいった。
「ども、お久しぶりです」
「ああ、久しぶりだな」
 声をかけてきた御守 剣清(gb6210)対して制帽を深く被りながら答えたエカテリーナ。
 制帽を深く被った事で表情は窺い知れないが、何時もと変わらない――依頼に私情を持ち込まないエカテリーナらしい返しだ。
「あのまま終わりってのも、後味悪ぃですからね」
「そう、か」
「とりあえず、お仕事に集中しましょ」
 御守はそう言うと他の傭兵達がいるハーフトラックへと向かっていった。
「失恋したと聞いたが、元気そうで何よりじゃよ」
「ん、ああ。久しぶりだ」
 美具・ザム・ツバイ(gc0857)がそう言うと手に入れた油井までの地図を見て考えながら乗車していった。
「よろしく、エドでいいよ。“上司”からはそう呼ばれてるからね」
「エド、よろしくな」
 軽くエドワード・マイヤーズ(gc5162)に挨拶をするエカテリーナ。
 一言、二言、話した後に皆のハーフトラックへ向かっていった。

 他の傭兵達と調査員を載せてハーフトラックが走りだす。
 
 ●車内〜 
 美具が手に入れた地図と油井付近の航空写真を元に皆で作戦会議を開いてた
「今回の依頼は‥‥遺棄された油井ね‥‥」
「バグア襲来以前の建物だそうだ」
 クレミア・ストレイカー(gb7450)に軽く施設の概要を説明するエカテリーナ。
「エネルギー問題が殆んど解決しているのに化石燃料に頼る必要ってあんのか?」
 そもそもの必要性に疑問を呈したのはアザグ=トース(gc4976)だ。
「どちらかと言えばエネルギーよりも産業に必要になってくるかもな」
 石油からは燃料以外にも化学物質等が作り出される。
 それらはきっと復興しようとする人類に必要な物だと言えるだろう。
「キメラじゃが‥‥襲撃するとしたら、ココとココじゃな」
 走っている車両に攻撃を与えるのは難しい――成らば、待ち伏せの奇襲なら?「地中なら私の『バイブレーションセンサー』の出番ダネ」
 デザート迷彩を着用しスカーフで日よけといういでたちの夢守 ルキア(gb9436)が提案する。
「錬力削減もとい温存のため、交代で覚醒したほうがいいね」
 エドワードが交代での警戒を提案する。油井までの移動以外にも現地のでの警護にも必要だからだ。
 移動中、油井についてからの行動について相談する傭兵達。
「大体決まりましたね。交互で警戒を厳にしましょう」
 作戦会議中、スナイパーライフルのスコープを覗いて周囲を警戒していたセレスタが会議の終わりを見計らって話しかける。
 
 こうして交互に覚醒して警戒をすることになった――もっとも、『バイブレーションセンサー』のスキルを持つのは夢守のみ、探査系のスキルを持つのはいないが‥‥。
 
「敵、いませんね〜」
「こういう時が、危ないんダヨ」
 御守が双眼鏡を、夢守は軍用双眼鏡を使い警戒している。
「敵、いねえなぁ」
「双眼鏡を持ってきほうが良かったかもですね」
 御守や夢守と違って双眼鏡を持ってない二人は目視で敵を警戒してる。
 警戒という任務は集中力が途切れがちになる――特に長時間の場合は。
 錬力温存という理由もあったが交代して警戒するのは正解でもあった。
 
 砂漠の中をハーフトラックが進む。
 
「キメラはいないようだね〜 ガセなのかね〜」
「だと、いいんですが‥‥」
 御守達と交代したセレスタとウェストの二人が警戒している。
 セレスタはスコープを使い、ウェストは目視だ・
「そろそろ、ポイントを通過するわね」
「奇襲に警戒じゃな」
 方位磁石を手に地図を見ながら確認しているクレミア、軍用双眼鏡を使って警戒している美具。
 
 車両は奇襲の恐れのある警戒ポイントへ近づこうとしていた。
 
 ●砂上の戦闘
 
「キメラです! 接敵します!」
「2時方向、200m。蠍キメラ二体じゃ!」
 セレスタが敵を見つけ、美具が軍用双眼鏡で距離と方向を割り出す。
「ルキア嬢、頼んだよ!」
 エドワードが夢守に『バイブレーションセンサー』の発動を要請する。
「ウン。いたっ‥‥来るよ!」
 ワームの存在を感知することができた夢守――敵がこちらに向かってきているの分かった。
 調査員を載せたハーフトラックを囲むように布陣した迫ってくる蠍キメラとワームきキメラを迎え撃つ。
 『先見の目』を使い、周囲の状況を把握し援護するウェスト。
 御守は蠍キメラの関節部を狙い撃つ――敵に向かう影がひとつ、美具だ。
 射線に被らないように『迅雷』を使い敵へ接近する美具。
 銃撃による関節部の攻撃は失敗、『迅雷』で接近した美具が直接攻撃するが、多少は効いているようだ。
 
 直ぐ様、美具は『仁王咆哮』を使い一体の蠍キメラのターゲットを取ることに成功する。
「悪いがね、向かうところが違うよ」
 続いて、エドワードも『仁王咆哮』を使って同じくターゲット取りに成功する。
 
「来るヨ!」
 地中から砂をかき分け、飛び出して現れたのはワームキメラ。
 迎え撃ったのはセレスタ、御守、アザグの3名だ。
 登場と共に攻撃を受け吹き飛ばされて木っ端微塵になった。
 一方、エドワードと美具は蠍キメラをトラックから剥がすことに成功し、続けて『四肢挫き』を使って足止めを行なっていた。
 
「これなら!」
 エドワードの『四肢挫き』で動きを止めたキメラに対して『部位狙い』で尻尾に攻撃を仕掛けるクレミア。
「ふむ、我の出番だね〜」
 『先見の目』で援護していたウェストが美具の『四肢挫き』で動きを止めたキメラを『電波増強』を使いエネルギーガンで攻撃を行った。
 知覚攻撃という事もありすんなりとダメージが通っているようだ。
 ウェストとクレミアの交戦途中にワームキメラを撃破したメンバーが戻ってきて参戦した。
 さすがに硬い甲殻を持つ蠍キメラと言えどもこう、集中攻撃を受けてしまえば撃破されるのは容易かった。
 
「地中に感なし っと」
 バイブレーションセンサーで地中を警戒していた夢守。
「敵は見当たらずじゃな」
 美具と御守が双眼鏡で周囲の警戒を行なっていたがどうやら敵影は見当たらないようだった。
「一度あることは二度あるからな」
「二度あることは三度あるってね」
 警戒しているアザグが呟くと夢守もその言葉に続く。
 
 多少の疲弊はあるものの、交代しながら砂漠を行く傭兵達を載せたハーフトラック。
 
「前方、80m先 12時方向の地下に敵」
 夢守のセンサーに引っかかる敵。
「相対速度はどうじゃ?」
「こっちのほうが速いネ」
 何か、考える素振りの美具。
「あえて、回避じゃな」
 相対速度からキメラの移動速度が遅いことからキメラを避ける事にした。
 回避に成功するが、追っかけている様子。
「やっちまったほうが早くないか?」
 アザグが疑問を美具に投げかける。
「いちいち、相手をしていれば時間がかかるじゃろ。着いた時にまとめたほうが早いじゃろうから」
 護衛も重要だがまずは目的へ到着するのを優先させた形だ。
 後方からはワームキメラに呼ばれたか蠍キメラも何体か見える。
 
「間もなく目的地です」
 セレスタのその言葉が示すように目の前には油井設備らしきものが見える。
「ひとつやりますかね」
「まだ、設備調査の警護もあるのを忘れないでネ」
 次々と降車して戦闘準備を整える面々。
 ワームキメラを釣り出すために『迅雷』で移動する美具。
 続いて御守も『迅雷』を使い蠍キメラへ攻撃を仕向け、その後にエドワードが続く。
「ワームキメラは6時方向から2体‥‥地表に出る!」
 地中の眼である夢守がスキルを使い支援をする。
 まず、美具が接敵すると地中からワームキメラが美具めがけて殺到するが――。
「やらせないよ!」
「我を甘く見ては困るのだよ〜」
「援護だ」
 部位狙いでワームキメラの口を狙うクレミア、エネルギーガンで攻撃するウェストに『拡張練成強化』を使い強化させるアザグ。
 
 続いて蠍キメラと対峙した御守とエドワード。
「突きってのはあんま好きじゃねぇんだが‥‥」
 機械剣に持ち直した御守は関節を狙う戦い方をする――鎧武者に対する戦い方とも似ている。
「レネンティア嬢、頼みましたよ」
 『仁王咆哮』を使い二匹の蠍キメラかターゲットを取るエドワード。
「わかりました!」
 スナイパーライフルで尾を攻撃するセレスタ。
「行かせないよ」
 セレスタの方へ向かおうとするキメラを超機械で攻撃する。
 時には『不動の盾』を使い、『四肢挫き』を使うことでセレスタと連携して集中攻撃を掛ける。
 情勢は傭兵達に有利に進む。
「仕方あるまいなじゃな!」
 夢守の支援を受けながら戦闘に望んでいる美具たち――
 長期戦を嫌った美具は『仁王咆哮』を使って最初に撃破できた1体を除く2体に注意を引きつけさせる。
「いまじゃ!」
 美具めがけて襲いかかるワームキメラ。
「2体ともやらないと、長期戦になりそうね!」
「一撃で仕留めるのだよ〜」
「援護は任せろ!」
 クレミアの攻撃が、『電波増強』をのせた攻撃が各々のワームキメラに殺到する。
 先ほどの戦闘の累積ダメージがあったのか二人の攻撃を受けて撃破されたb。。
「終わった、ようじゃな」
 倒されたのを確認すると、夢守、ウェスト、美具、クレミア、アザグの5人は蠍キメラと戦いっているエドワード達三人の所へ向かっていった。
 
「甲殻類は厄介だなっ!」
 関節を狙うように攻撃するが熱いナイフでバターを切るような展開にはなっていなかった。
「兎に角、こいつらをおとなしくさせないと‥‥」
 エドワードもまた苦戦をしていてた。
 そこへワームキメラを倒したメンバーが駆けつける。
「しかたないな〜、吾輩が治療してあげよう」
「すまない」
 能力者への不信感が若干残っているもののウェストは御守の治療を行った。
 治療を受けた御守を含めた皆で蠍キメラを包囲し攻撃を行うとアッサリとは行かなかったが撃破することにできた。
「どう考えてもこの蠍キメラ‥‥KVレベルだよな‥‥」
 硬い敵に愚痴るアザグ。
「能力者の中にはKV並のひともいますからね」
「あれは、別格じゃろ」
 そんなことを言い合う面々。
「もー、これで依頼は終わりじゃないよ。これからが本番だよ」
 面々を注意する夢守。
 
「ビジネスは完璧に、それがモットーだし?」
 調査員の付近で警戒しながらバグアの痕跡がないかFFを確認したり、方位磁石で強い磁場が無いか調査もしていた。
「余計なものはついていないようだね〜」
 古い設計図を元に調査員の護衛を行いながら確認をしているのばウェエスト。
 護衛しつつ調査をすすめる――。
 どうやら、FFの存在もなし、バグアの痕跡も見つからなかったようだ。
 油井としては組み上げ施設を設置すれば再開の目処が立ちそうな感じであった。
 ただ――キメラの襲撃に警戒が必要であるというのを除けば。
 
 ●帰還
 通った道を戻る――
 警戒しながらの帰りではあるが、依頼が終わったということもあってまだ雰囲気は悪くはなかった。
「なんか少し太ったんじゃないか?」
「ああ、座学が多かったせいだな」
 下士官としての教育を再び受ける――座学がメインだった、そのせいだと答えた。
「御守」
「はい?」
 御守に話しかけるエカテリーナ。
「『アレ』は終わったことだ、気にはしていない。『私』は私の『道』を行くだけだ」
 そう、一言だけ御守にエカテリーナは告げた。
 
 
 砂漠に闇が落ちる。
 ロシア解放戦は始まったばかりだ。
 
 
  【RR】油井調査【羅刹】 FIN