タイトル:星降るソラでマスター:後醍醐

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/12/15 17:30

●オープニング本文


 ●
 オーストラリア 軌道上
 
 三機の宇宙用KVが軌道上を往く。
「そろそろ『ブツ』だよ! 気合入れてくよ!」
 キョーコ・アレクサンドラが僚機の二機に指示を出す。
「ヒャッハー! やってやるぜ!」
「ジョンのフォローに入ります」
 フィリップ・ジョン・ドゥと神谷 武がアレクサンドラの指示に従い動く。
 かつて、ケビン=ルーデル(gz0471)と依頼を共にした三人は生き残って対デブリの掃除屋として依頼を受けていた。
「こちら地上のリズです。ブラックサンダー隊と目標とのエンゲージまであと‥‥」
 オーストラリアにある天文台を改造した地上監視施設でオペレーションをするのはリズ=マッケネン(gz0466)。
 担当オペレーターがインフルエンザのために急遽代理として入っていた。
「5」
「4」
「3」
「2」
「1」
「エンゲージ! ナウ!」
 読み上げるカウントダウンと共にデブリを下方に細かく砕き落とすように攻撃する三機のKV。
 ややすれば被害が出そうなデブリが、攻撃により下方に散らばることでケスラーシンドロームを起こすことなく地上へ堕ちていく堕ちていく。
 今日もまた、デブリが流星となって地上に流れる。
 
「エマージェシー! レーダーに新たなデブリを発見!」
 地上観測のリズが廃棄された大型衛星から剥がれた部品がデブリとなった瞬間だった。
「もう、こっちは帰投するだけしか‥‥拙いわね」
「こんな時は、スクランブルの嬢ちゃんを呼ぼうぜ!」
「それが一番かと」
 ブラックサンダー隊を載せた輸送艦には緊急時のスクランブル発進の為の要員が乗せていた。
「落下までの予測時間は‥‥地上より緊急事態を宣言。スクランブルを要請します」

 ●輸送艦
 慌ただしくスクランブル発進のアラームが鳴り響く。
「稼ぎは‥‥いいんだけどねっ! ゆっくり休んでられないよ」
 少し前にデブリ掃除を終えてスクランブル待機をしていたセシリー・ニミッツ(gz0463)がぼやく。
 この一ヶ月間はデブリを掃除し、スクラブル要員として待機する――そんな生活だった。
 ちなみに輸送艦が地球のまわりを周回してデブリ掃除をして、時折、補給にカンパネラや崑崙へ戻るといった事を繰り返してた。
「セシリー いっきまーすっ!」
「落下まであと‥‥」
 目標に向かって進むセシリー機、対象物の落下までのカウントをするリズ。
「セシリー機の射出を確認。 現在のセシリー機と目標の対向速度からエンゲージにかかる時間は‥‥」
「エンゲージまであと‥‥60」
 脇目も振らず、目的へ直進するセシリー。
「30」
「いっけぇー!」
 最高速度に近い速度でGを感じながら目的へと突っ込んでいく。
 目的のデブリへ叩きこまれる数々の弾薬がそのデブリを砕く。
 またひとつ、流星となって地上へ降り注ぐ。
 
 ●
 数日後――
 東オーストラリア
 
 星降る夜空に煌く星々。
 戦争が終わり、復興が始まるが――前途は多難だ。
 親バグア派だった住人と反バグア派だった住人との溝。
 遺棄された施設から生産される野良キメラ。
 残念としか言えない豪州UPC軍。
 まだまだ、傭兵に対する依頼も多い。
 
「キメラ退治――オーソドックスだけど‥‥身近な問題だよね」
 地上に戻ってきたセシリーは依頼書を手に考える。
 依頼としては単純――農地確保のためのキメラの掃討だ。
「でも――倒すだけじゃ、元の木阿弥――でも、残しておいたら?」
 そう、退治してもプラントを破壊しない限りはまた作り出される。
 だが――必要とされなくなるのではという思いも、僅かではあった。
 セシリーもまた、人間だ――能力者として必要とされなくなったら――という恐怖もある。
 セシリーは悩み、葛藤する。
「うん、とりあえず‥‥手伝ってくれる人を探そうか」
 一人でで悩むのではななく、皆で悩めばいいのだ。
 こうして、セシリーは依頼のメンバーを集めるのだった。

●参加者一覧

伊万里 冬無(ga8209
18歳・♀・AA
大鳥居・麗華(gb0839
21歳・♀・BM
クレミア・ストレイカー(gb7450
27歳・♀・JG
樹・籐子(gc0214
29歳・♀・GD
追儺(gc5241
24歳・♂・PN
ルーガ・バルハザード(gc8043
28歳・♀・AA

●リプレイ本文

 ●
 東オーストラリア
 「解放」されたものの未だ問題が残るオーストラリア。
 そのひとつの問題を排除すべく出された依頼。
 セシリー・ニミッツ(gz0463)の呼びかけに応じた傭兵達が集まり始める。
 
「セシリーさん、お久しぶりです♪ 頑張っておられたみたいですね〜麗華さん♪」
「セシリー、一人で頑張っていたみたいですわね、凄いですわ。完済出来たらお祝いしないといけませんわね♪」
 伊万里 冬無(ga8209)と共に参加した大鳥居・麗華(gb0839)がセシリーに話しかける。
「冬無さん、麗華さん、いつもありがとうっ。完済できたらお祝いしたいねっ」 二人に嬉しそうに答えるセシリー。だが、少し悩んでいる様子でもあった。
「あら、如何かなさいましたですか?」
 セシリーのその様子に首をかしげる冬無。
「実は‥‥」
 キメラの沸き方からプラントが有りそうなこと――破壊すべきか悩んでいることを告げる。
「大丈夫ですよ♪ やっちゃいましょう♪」
「そうですわ。元から断つのが確実ですわ」
 冬無と麗華は気にせず言い放つ。
「‥‥そういだねっ」
 
「セシリー、久しぶり。よろしくだ」
「よろしくお願いします」
 久々にあうルーガ・バルハザード(gc8043)が声をかけ、応えるセシリー。
「早速だが‥‥キメラがやってきた場所やその時の方角はわかるか?」
「えっと‥‥それに‥‥」
 キメラが向かってきた方向と場所について知らせ、プラントがある可能性を指摘する。
「何、キメラのプラント?」
「うん‥‥そうとしか説明がつかない程の数がね‥‥」
 キメラの量や増え方の違い方から推察される説明をする。
「それはまずいな‥‥大した攻撃力の無いキメラであっても、残しておくことに価値などない。破壊せねば、な」
「だね」
 ルーガの言葉に同意するセシリー。
「そういえば、プラントを破壊するための爆薬等を用意してもらえないか?‥‥さすがに壊して回るのは面倒だからな」
「用意しておくね」
  
「やっほー♪ セシリーちゃん♪」
「こんにちわっ。藤子さん」
 樹・籐子(gc0214)が明るくセシリーに挨拶をし、同じように応えるセシリー。
「キメラによる砂漠化はどうにかしないとわね」
「はいっ」
  
「よろしくお願いします」
「よろしくね」
 藤子と別れたセシリーはキメラの様子を窺っていたクレミア・ストレイカー(gb7450)に声を掛ける。
 クレミアの視線の先には今なお進んでくるキメラの姿あった。
 
 
 ●排除開始
「さあ、どんどか倒しまくって地域保全に邁進するわよー」
 藤子のその言葉がきっかけとなり大量にいるキメラに突っ込んでいく傭兵達。 殲滅に重きを置いた藤子とルーガ、冬無・麗華ペアが積極的に攻勢をかける。
 クレミアは殲滅組の援護をしつつプラントが有りそうな場所を索敵を行う。
 
 ●藤子
「直接的な被害よりも、牧草奪取による砂漠化はこれからの状況においてすごーくやばいのは明らかなのだしー。なら全滅させた上で元から断つのも当然なのよねー」
 前衛よりやや後方に位置した場所に藤子がいた。
 かつてバグアが仕掛けた狙いを見ぬいた藤子はまず、【GooDLuck】を使い射線が前衛に被らないようにSMGの弾幕を形成するように銃撃を掛ける。
「牧場犬がいるわねー」
 敵もさるもの、固まって集団になっていた羊キメラが攻撃によって普通の羊よりも早い速さによって分散してしまった。
「それじゃ、これはどうかしらー」
 敵キメラ集団の中心を狙うのを辞め、追い立てるように側面から銃撃を行う。
 追い立てられた敵キメラ集団が前衛に向かう――追い立てれた集団が累乗的に増える。
「あ‥‥」
 追い立てられ、膨らんだ敵キメラの集団に麗華が飲み込まれてしまった。
 
 ●麗華・冬無ペア
 前衛でペアになって戦う二人。
「さーさー張り切ってお仕事です、うふ、うふふふふっ♪」
「おーっほっほっほ♪ 久しぶりに抉りこみますわよ!」
 前に突出して戦う麗華とそれを援護する冬無。
 麗華のパイルバンカーが唸りあげ、下から刔り込むように攻撃をする。
 パイルバンカーが貫通し、臓物があたりにぶちまけられる。
「はぁぁ‥‥此の肉を切り裂く感覚っ! たまりませんですよ♪」
 その後方ではいつもの大鋏で切裂き、解体して恍惚な表情の冬無。
 一撃で葬り去る二人は次々へと羊キメラを肉塊へ変えてく――が。
「あら、バラけ‥‥散開しましたわね」
 流石に敵も逃げまわる――故にバラけてしまった事を後衛の藤子に連絡する。
 連絡後――後方に居る藤子の攻撃がバラけた敵を追い込み、集まり始めた。
 (此のまま集まると敵の雪崩に飲み込まれそうです♪)
 何か――悪巧みを思いついた冬無。
「えいっ♪」
「えっ? ――きゃ!?」
 向かってきた敵の塊へ麗華を押して飲み込ませた冬無――敵に飲み込まれる麗華。
「んふふぅっ♪ 麗華さん、こうなることは解っていたのに、その下着‥‥はぁぁ、素敵ですっ♪」
「しまっ、このキメラの特徴を忘れてましたわ!? や、伊万里。これは別にそういうつもりではないですわ!?」
 冬無とルーガに助けられる麗華――放り込まれ、あられもない下着姿な上に、なめられたのか体中がベトベトだ。
 
 ●ルーガ
 前衛――麗華達と少し離れた場所。
「もこもこしているだけとは言え、この調子で草を喰いまくられては‥‥環境破壊だからな!」
 物凄い勢いで草を食べ尽くしている羊キメラを目の前に攻撃をするルーガ。
 烈火で敵である羊キメラを斬りまくる。
 弱いとはいえ、その数は膨大だ。
「‥‥しかしながら、何故こんなものを作ったのだろうバグアの連中は。やはり理解しあえない種族だったのだな、奴らは」
 キメラを斬り倒しながら相手の意図を考える。
「掃討は――もう少しか」
 近くに集まりつつある集まりとこちらに向かってきているキメラぐらいだ。
「あ‥‥」
「えっ? ――きゃ!?」
「今行くぞ!」
 敵の雪崩に飲み込まれた麗華を助け出しに向かうルーガ――一歩間違っていればルーガも巻き込まれてかも知れない。
 
 ●クレミア
「‥‥どこから湧いているのかしら?」
 前衛を援護しつつも、こちらに向かっている列を探すクレミア。
 だが、敵のが膨大すぎた――数が多すぎてどこから向かってきているのが把握しづらかったが――。
「‥‥どうにかしないとわね」
 前衛の援護をしつつ索敵しながら考えるクレミア。
 前衛の冬無・麗華とルーガが倒し、後衛の藤子が敵を集めて行くと向かってくる列を発見することができた。
「見つけたわ」
 スキル【隠密潜行】を使い羊キメラが向かってくる逆を進んでいく。
 羊キメラが通った後は草が食い尽くされているために禿げていてわかりやすい。
「‥‥どこまで続いているのかしら?――見つけた!」
 意外と長く続く列に若干の不安を覚えた時――窪地に洞窟らしきものを見つける。
 
「プラントを見つけたわ――次々と湧き出るわね」
 
 ●プラント破壊
 
「プラントを見つけたわ――次々と湧き出るわね」
 敵の殲滅にあたってた四人――藤子、冬無、麗華、ルーガへ連絡が入る。
「プラントを破壊しないと永遠に湧いてくるから壊すわよー」
「こうなったらヤケですわ! 行きますわよ!」
「いきますです♪」
「プラントに急ぐのもいいが、狩りながら進むか」
 こうして向かってきている敵を倒しながら進む四人。
「意外と、距離があるな」
「逃さないわよー」
 逃げないように追い詰めつつ殲滅して向かっていく――後にはキメラの肉塊だけが残る。
 一方、クレミアも湧き出しているキメラに対して【制圧射撃】を使って殲滅を試みている。
 すべてとは行かないが、大多数を倒すことには成功していた。
 
 プラントのある洞窟に到着した四人。
「さっさとプラント壊しますわよ!」
「うふふ。麗華さん、恥ずかしがらずとも」
「おい!」
 ルーガが止めようとするが、さっさと洞窟に突っ込んでいく麗華と冬無。
 パイルバンカーと大鋏でプラントを攻撃するが――当たりどころが悪いのかは以上の速度で羊キメラがわき出してきた!
 爆発的に湧きだした羊キメラに囲まれる麗華と冬無。
「きゃっ、それだけは食べてだめですわ!? く、結局こうなってしまいますのね‥‥」
「ああん♪」
 蹂躙される二人――。
「大丈夫か!?」
「‥‥爆破したほうがよさそうね」
「むやみに機械を叩くとこうなるのよねー」
 助けだされた二人は、下着姿で助けだされた。
 同性だけだったのが幸いかもしれない。
「‥‥着替えが食べられてしまったです」
 服下で人肌に温めておいたエプロンも食べられてしまった冬無がどこかしょんぼりとした表情だった。
「これしかないけど‥‥」
 セシリーから二人に差し出されたのはバスタオル。
 二人はバスタオルを身に包む――まるで風呂あがりのようだ。
 
「とにかく、爆破だ。爆破」
「ちゃっちゃと、やっちゃましょー」
「ここは私に任せて早く爆薬を!」
 湧きだす敵をクレミアと藤子とセシリーが抑えルーガが爆薬を設置する。
 (後顧の憂いは断ちたい――何か資料はないか?)
 ルーガは爆薬を設置しながら資料の探索も進める。
 
 ‥‥‥‥

 ‥‥

「ぽっちっと。ね」
 クレミアが爆薬の起動ボタンを押す――キメラが出てこないように封鎖されたプラントが爆発して地面を揺らし、爆煙が黄昏時の空まで上がる。
「きれいさっぱり、だな!」
 立ち上がる煙を見てルーガが一言。
「これで、復興が進むといいわね」
 倒したキメラを肥料代わりに埋めた土地を見たクレミアが一言。
 全てではないが農地予定地に埋めてある。
「そうだな‥・」
 (資料は見つからなかったか‥‥)
 ルーガが爆薬の設置の際に資料がないか探索していたが、あったのはプラントだけだった。

「セシリーさん。深く考えずに楽しく生きましょう。其れで良いんです♪」
「はいっ」
 麗華といちゃつきながら帰路につく冬無が話しかける。
「ちょ、伊万里、どこ触ってますの!?」
 冬無に弄られながら帰る麗華だった。
 
「セシリーちゃん、飲みにでも行かない?」
「はいっ」
 藤子とセシリーの二人は夜の帳に消える。
 
 それぞれが依頼を終えて戻る。
 
 一つの問題を解決したオーストラリア――だが、まだ問題は残っている。
 だが、確実に解決していけば何れは――
 
 星降るソラで Fin