●リプレイ本文
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遭遇
消滅した輸送船団を調査しにやってきた傭兵達。
「輸送船団の消滅かぁ〜‥‥もうなんか嫌な予感しかしないんだけど〜‥‥」
オルカ・スパイホップ(
gc1882)は以前の依頼を思いだし、一人ごちる――前も輸送船団が襲われたのを撃退したの事を。
少し進むと‥‥。
傭兵達は消滅した輸送船団のポイントで見慣れぬ――否、捜索対象であったKVと敵KVを発見する。
「‥‥調査に来て、敵の部隊にすぐさま遭遇するとは我ながら運が良いのか悪いのか分からんな。とりあえず目の前の敵の撃破に全力を尽くすことにしようぜ」
威龍(
ga3859)は発見した敵KVの特徴から以前戦ったKVと判断し他の傭兵達へ連絡を入れる。
「さてさて、対地攻撃機は対潜機としても使えるのかね?」
そう、答えたのは海面上『上空』で警戒をしていたリック・オルコット(
gc4548)だ。
尚、IRSTは赤外線のため、水中の探索には使えない。
「油断は、できないネ」
夢守 ルキア(
gb9436)は敵を見つけた辺りの海底の地形――沈没した船の残骸を見て言う。
「厄介な地形ですね……それに、離脱を図っている機体が?」
クラーク・エアハルト(
ga4961)は地形を見た時に、離脱する機体を見つけた。
次の瞬間。
敵から放たれる魚雷――。
其の雷跡は幾多にも伸びて傭兵達へ向かう。
「こっちだって!」
オルカは対抗するように魚雷を発射して迎撃を図る。いつまでもヤラレっぱなしでは無いのだ。
オルカの機体からも発射される魚雷もまた幾つもの雷跡を伸ばして迫り来る敵魚雷へと向かっていく。
「撃つなら、この後ですね」
クラークは敵の魚雷を迎撃できた後に魚雷攻撃の狙いを定める。
「発射想定位置は此処か‥‥」
威龍は発射された魚雷の雷跡から攻撃位置を割り出し、夢守に連携する。
場所さえつかめれば――上空のリックによる航空爆雷攻撃も出来て勝ち目はある。
「ASに表示されたヨ」
夢守は威龍からのデータを素早く手馴れた手つきで『【OR】アルゴスシステム(AS)』へ入力。
其の結果を元に演算結果がコックピットの画面に表示される。
「リック君、雷撃ヨロシク。敵は隠れている以上、動きにくいハズ。これで見つけたら一気に、攻勢へ移ろう」
夢守の機体のコックピットに表示された、推測される座標軸と水深のデータをリックへ連携し、爆雷支援を要請する。
「まずは一発目というやつだな」
高空で待機していたリックが低空へ移動し、爆雷投下準備へ入る。
次の瞬間、水柱が盛大に上がる――どうやら、敵の魚雷を迎撃して爆発したようだ。
「今なら、敵は油断している」
急降下爆撃にも似た機動で投下地点へと急行するリック。
青い海が急降下するリックの機体を映し出し、水しぶきを上げ航空爆雷が投下される。
一方――ジョン達。
「我ながら義理堅いというべきか‥‥だが凪様には常に強くあってもらいたいのだ」
離別したので、もはや凪のために動く必要のないジョンが独りごちる。
鹵獲機をつれて撤退をしているジーンの姿が遠くなっていく。
「雷撃戦開始。雷撃による敵の混乱に乗じて一撃入れ、撤退を支援する」
続いて、味方のクラーケンに雷撃戦の指示を入れ――自身の機体から射出される魚雷の雷跡と共に二機のクラーケンから数多の雷跡が傭兵達へと伸びていく。
「そうやすやすとは落させてくれないか」
放った魚雷に対して対抗して射出される魚雷が見える。
敵味方の魚雷が会遇する――刹那。
大爆発が起こる――それは、互いの魚雷による爆発だ。
どうやらジョン達には傭兵達の魚雷が来ないようだ。
「これを利用して、襲撃するか‥‥ん!?」
爆発が収まり、ジョンが動こうとしたその時――先ほどとは違う爆発が真上で起こる。
リックの投下した航空爆雷が派手に爆発し――ジョン達が隠れていた障害物――沈没した艦船を吹き飛ばす。
「ッチィ!」
傭兵達の目にさらされるジョン達――。
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リックが投下した航空爆雷――。
攻撃想定地点の推定震度に達した爆雷は辺りを巻き込んで爆発する。
巻き込まれたのは――ジョン達に襲撃を受け沈没した艦船の一部。
隠れていたジョン達が顕になる――。
速攻だった。
「まずは目の前の相手をなんとかしましょう」
ジョンたちの姿を確認したクラークは躊躇いもなく魚雷を発射する――伸びる航跡がジョン達へ向かう。
「見つけタ。一気に攻めるよ」
『水空両用撮影演算システム』でもはっきりとジョン達を確認できた夢守も攻撃へ移る。
「慎重にかつ大胆に」
威龍も他の機体と連携を取りながら近接戦闘へ持ち込もうと行動を移す。
「上と斜め前から!たまらないでしょ!」
作戦が成功したオルカは躊躇いもなく敵へ突っ込んでいく。
傭兵達の攻勢に水中ゴーレム2機を殿に魚雷を発射してまだ残っている船の残骸へ後退する。
「いくよー!」
魚雷の弾幕を物ともせず突っ込んでいくオルカ。クラークと威龍のガウスガンに寄る援護があるもののダメージは受ける。
魚雷を抜けたオルカはアンカーテイル打ち込み、ブーストを掛けて回転し、また、アンカーテイルを切り離し突撃して攻撃を繰り出す。
オルカの回転攻撃に後退して回避する水中ゴーレム。敵もまた学習する、何度も同じ手を喰らうわけではないのだ。
「むむっ!」
避けられたオルカは『エンヴィー・クロック』を使い急制動し――回転が止まる。
ブーストを掛け、避けた水中ゴーレムに向かって突撃するオルカだった。
一方――後退する敵を追跡する傭兵達。
(障害物だらけの戦場じゃ、速度は活かせないな)
夢守は遮蔽物を利用しながら後退していったクラーケンやビーストソウルを追跡している。
(焦っちゃダメだ‥‥)
焦る気持ちを抑えながらスキルを使いながら敵の追跡を行なっている。
(クラーケンの特殊能力は厄介だね。でも、後方を取り、触手の部位を狙えば)
「クラーケン‥‥厄介ですね」
夢守とともに追跡しているクラークは追撃の機会を伺っている。
現状のままではジョン達を逃してしまいかねない。
「此処はリックの支援を仰ごう」
威龍は初戦で魚雷を使い果たしたと判断してリックにソナー投下を依頼する。
兎にも角にも情報が必要だ。
「了解した」
高空へ移動していたリックは威龍から予想進路を受けてソナーを投下することになった。
爆雷を投下した時の要領でソナーを投下する。
投下されたソナーから、敵の動向がわかるようになった。
「先頭にクラーケン、真ん中にビーストソウル、最後尾にクラーケン。厄介な布陣だ」
「厄介ダネ」
「自分達にはリックがいる。上から攻撃すれば‥‥」
互いの弱点をカバーするように撤退しつつあるジョン達。
威龍と夢守は布陣をどうしようかと考え、クラークが思いつく。
そう、傭兵達はそのジョン達に対して有効な攻撃手段を持っている。
「頼みます――」
「任せた」
リックに頼むクラークによって投下されたソナーのデータを元に爆雷を投下することになる。
「派手に二発、行ってみますか」
これを投下すれば、残りは一発。
二度水しぶきをあげて投下される航空爆雷。
追撃を受けているために障害物を利用しながら移動していた弊害が出る――航空爆雷の投下に気づくのが遅かった。
ビーストソウルを、クラーケンを狙って投下された爆雷が敵機の至近距離で炸裂する。
爆発が、辺りの障害物と敵機を巻き込み、吹き飛ぶ障害物の残骸、巻き上がる海底の砂。
それらが落ち着いた頃、ダメージを受け速力が低下する敵機――その様子をソナーが捕らえる。
「ダメージは受けているみたいだケド、まだ健在だネ」
爆雷により見通しの良くなった海中をスキルで捉えた夢守が答える。
「触手の損壊具合から、後一発と言う所でしょうか」
機体としてのクラーケンは強力だ、況してやバグアの手に渡ったと成れば、警戒せざるえない。
「窮鼠猫を噛む――後一発、当てたほうが確実だな」
威龍は捨て身の特攻や予期もしない行動に警戒をする。
「リック君、最後の一発頼むよ」
「敵さんの位置を頼む。そっちの方が目視で見てるから上に行きそうとか下に行きそうとかわかるだろ?」
「了解。位置ハ――」
「ゴーレムのくせに!」
オルカと2機の水中ゴーレムとの戦闘。
何時もなら雑魚敵として直ぐに倒されるはずの水中ゴーレム。だが、水中専門部隊のメンバーであるオルカに善戦をしていた。
まるで双子のように連携し、オルカの突撃を回避するゴーレム。
「危ない! メリー!」
「おちろー!」
『システム・インヴィディアVer.De』を発動して2機のゴーレムへ突撃して『水中練剣「大蛇」』を振りかざす。
一閃
「きゃあ!」
オルカの一撃が庇った一機のゴーレムの片腕を切り落とす。
斬られたゴーレムの片腕の接合部分が爆発。海へ堕ちていくゴーレムの腕。
「リリー! 危ない!」
「くっ!」
閃光が走り、オルカの機体を掠める。
もう一機のゴーレムが片腕を失って止めを刺せられそうになるのを牽制してプロトン砲を撃ってきた。
「リリー! 早く!」
それを受けてオルカから離脱するゴーレムは牽制しているゴーレムへ退避する。
「くっそーっ! 魚雷は‥‥」
魚雷の兵装をチェックするオルカ――だが、迎撃で使ってしまって全て「EMPTY」と表示された。
追撃するオルカ――だが、全てを撤退することに注力したゴーレムは最大戦速で離脱して点になり消えていく。
リリー・メイスーン、メリー・メイスーン――『鏡合わせの双子』とオルカとの初の遭遇戦であった。
「最後の一発‥‥」
水中戦闘に関与できるのはこの一発の航空爆雷のみ。
リックは気合を入れて狙いを定めて投下する――。
最後の一発――勢いをつけた爆雷が「丁度」ジョン達に当たり、大爆発を起こす。
致命的なダメージを受けたジョン達の戦速がほぼ0になりかけているのをソナーから察知することが出来た。
「今だ!」
クラークはブーストと「『インベイジョン』A 」を使い『水中用機槍「ハイヴリス」』で攻勢をかける。
「これで終いだな」
威龍も『水中用ガウスガン』で射撃し牽制しつつ近接戦闘にむけて『高分子レーザークロー』の準備は怠らない。
「他に敵は、居ないネ」
夢守は他の遮蔽物に敵が居ないことを確認すると『水中用ホールディングミサイル』と『熱源感知型ホーミングミサイル』を発射させ、最後に『DM5B4重量魚雷』を撃ちこむ。
度重なる爆雷により、蓄積したダメージがジョン達を窮地に追い込ました。
接近する傭兵達に反撃をするも、夢守のミサイルや魚雷が当たり反撃も儘ならない。
更に、そこへ威龍のガウスガンが一機のクラーケンの触手を屠り、夢守の『水中用大型ガトリング』がもう一機のクラーケンの触手を潰す。
そして、クラークとジョンが対峙することとなった。
ハイヴリスによりコックピットを庇ったビーストソウルの腕が貫かれ爆散する。
相当ダメージを受けていても敵は敵。倒されまいと必死の抵抗をする。
脅威であった触手を潰し、レーザークローで斬りかかる威龍。
ダメージによって反撃する事も儘ならなくなったクラーケンの装甲を裂き、そこから圧壊し爆発を起こす。
夢守はガトリングでダメージを与えた箇所に『DM5B4重量魚雷』の最後の一発を放つ。
回避もできないクラーケンが魚雷を喰らい爆散する。
2機のクラーケンが撃破されたその時――。
2機のビーストソウルが対峙する。
片腕がなく、辛うじて動けているのはジョンのビーストソウル。対して、万全の体制のクラークのビーストソウル。
勝負はあっけなく終わる。
高分子レーザークローがジョンのコックピットを貫き搭乗者であるジョンをモノに変え、機体を爆散させた。
傭兵達は少数ながらも輸送船団を襲ったバグアの撃退に成功した。
それは空中機と水中機との連携の勝利もであった。
こうして、遭遇戦は敵の鹵獲輸送部隊を逃すことになったが敵主力部隊の撃退に成功した。
以下が戦果である。
戦果詳報
撃破:
ジョン・レイブンウッド ビーストソウル改「Bloody Orca」 共同撃破
クラーケン2機 共同撃破
計3機
小破
リリー・メイスーン ゴーレム オルカ・スパイホップ
計1機
個人功績
リック・オルコット(
gc4548)
水中部隊と密な連携のもと、雷撃によって敵戦力の弱体化に成功し撃破に貢献。
夢守 ルキア(
gb9436)
空中機(リック)との連携の要として動きつつ、クラーケンを撃破。
オルカ・スパイホップ(
gc1882)
初戦の雷撃戦のを制し、ゴーレム(リリー・メイスーン、メリー・メイスーン)の行動を拘束し、撤退させ増援を阻止した。
威龍(
ga3859)
空中機(リック)との連携でクラーケンを撃破。
クラーク・エアハルト(
ga4961)
空中機(リック)との連携でビーストソウル(ジョン・レイブンウッド)を撃破。
【海】雷撃戦再び FIN