タイトル:羊キメラ殲滅マスター:後醍醐

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/05/18 20:07

●オープニング本文


 ●
 オーストラリア西部 ウィートベルト近郊
 オーストラリアに農業地帯――其処では、異変が起きていた。
「メ゛ェー」
 突如として現われた羊型キメラ――そう、それがふつうの羊の10倍の勢いで草を、穀物を食べていく。
 そして、時々、分裂して増える。
 これは――明らかに、オーストラリアを狙った攻撃でもあった。
 
 そんなキメラを地域の人間が倒そうとしても、難しかった――なのでULTへ依頼が出された。

 ●LH
「んー、どうしよかなぁ‥‥」
 セシリーは考えていた――KVの装備を、自身の装備を充実させたいと考えていたが‥‥。
「めんどくさいから‥‥カジノで‥‥だめだ、だめだ」
 うんうんと唸っている セシリー・ニミッツ(gz0463)。
「でしたら、こっちはどうですか?」
 そんなセシリーに依頼を薦めるのは傭兵や軍にいかなかった リズ=マッケネン(gz0466)だ。
「あ、ありがとう‥‥じゃ、これにするね」
 依頼文を一瞥し考えること数分、参加を申し込むセシリー。
 
「なにかないかな?」
 ケビン=ルーデル(gz0471)もまた、本部で依頼を探していた。
「めんどくさいから‥‥カジノで‥‥だめだ、だめだ」
 ケビンの隣の女性――セシリーもまた悩んでいるところだった。
 なにやら、オペーレーターがその女性に依頼を薦めていたようだった。
「あ、僕もそれ見せてもらっていいですか?」
 その女性が本部を出て行ったあと――ケビンはさっきの女性が勧められていた依頼を見せてもらう。
「こう言うのもいいかな?」
 ケビンもまた、この依頼に参加を申し込む事にした。

●参加者一覧

西島 百白(ga2123
18歳・♂・PN
辰巳 空(ga4698
20歳・♂・PN
伊万里 冬無(ga8209
18歳・♀・AA
大鳥居・麗華(gb0839
21歳・♀・BM
樹・籐子(gc0214
29歳・♀・GD
ララ・フォン・ランケ(gc4166
15歳・♀・HD
追儺(gc5241
24歳・♂・PN
雛山 沙紀(gc8847
14歳・♀・GP

●リプレイ本文

 ●
 オーストラリア 西部
 
「セシリーさんこんにちわ♪ はぁ〜最近ストレス溜まって、色々と欲求不満だったんです♪」
 ストレスの発散の為に依頼に参加した 伊万里 冬無(ga8209)がセシリー・ニミッツ(gz0463)に挨拶をする。
「お久しぶりです。冬無さん、今回もよろしくおねがいしますね」
 久しぶりの再開に嬉しそうなセシリーが挨拶を返す。
「うわっ!」
「あら、セシリーじゃないですの。あなたもストレス解消にきたんですの?」
 ケビン=ルーデル(gz0471)を後ろから抱きながら挨拶をするのは大鳥居・麗華(gb0839)。
「こんにちわ、麗華さん。ちょっと、財布が寂しいかなって‥‥あはは。 その子は?」
 ケビンを抱きついた麗華に少し驚きながらも、久しい顔に嬉しそうに挨拶するセシリー。
「あら、可愛い子もいますわね。初めまして、大鳥居・麗華といいますわ。あなたはなんて名前ですの?」
「ケ、ケビン=ルーデルですっ。 あの‥‥」
 ケビンは後ろから抱きつかれ顔を赤くしながら名前を答える。
「麗華さん、可愛い男の子に目がないんです。何時もの事です」
 その様子を見て可愛くふくれっ面になったのは冬無だった。
 
「うわー!どこもかしこもモコモコだねー」
 ララ・フォン・ランケ(gc4166)は辺り一面に居る羊キメラをみて興奮を隠し切れない。
 暫くLHを離れてて、復帰直後と言うこともあり、白そうな依頼で体を慣らしに来たララ。
「おおー! 羊が一匹二匹‥‥とにかく沢山いますよ! よーし! みんなやっつけちゃえ!」
 同じく羊キメラに興奮気味なのは雛山 沙紀(gc8847)。難しく考えなくて済むのは気が楽そうだ。
「何時の面子とセシリーちゃんは当然として、可愛い男の子も一緒なのよねー。ならこれは張り切っていくしかないわよー」
 ハプニングを期待しているのは樹・籐子(gc0214)。いつものことである。
「どうしてこうなる迄放って置いたのかと言いたいですが、事情を問い詰めるのは分ってからにします」
 大群を目の当たりにして言いたいことがあるのは歌って踊れるベネトレーターの辰巳 空(ga4698)。
「‥‥多いな‥‥コレは‥‥面倒だな」
 暇つぶしに参加してみたものの余りの多さに面倒と呟くのは虎の格好をしている西島 百白(ga2123)だ。
「此れだけ居れば、思う存分発散できそうですね〜麗華さん♪」
 これだけのキメラを屠れるかと思うと機体がとまない冬無。
「そうですわね。伊万里さん」
 麗華も楽しそうだ。
 
 ●ヒャッハー 狩りの時間だ! レッツパーリィ!
「さて‥‥何匹‥‥狩れるか‥‥楽しみ‥‥だな‥‥」
 羊の数を確認し、戦闘体制に入り――。
「さぁ‥‥狩りの‥‥時間だ‥‥」
 羊キメラの群れへ突っ込んでいく西島。さながら、羊を襲う虎のようにも見える。
 それに対して羊キメラは四方八方へ逃げようとする。
「よーし、私はキメラを纏めてみるねー♪ 今こそこのブ●゛ゼラの出番なのだ!」
 ある程度バラけるのはいいのだがバラけすぎるのも問題――
 と言う事でAUKVに乗ったララが動性を生かしてブ●゛ゼラを吹きながら牧羊犬みたいに羊キメラを纏めていく。
「あ、離れちゃだめだってば! ひき逃げアタッーーーック!」
 離れようとする羊キメラの個体をAUKVで轢き群れの中へ押し込む。
「アッチャアアア!」
 怪鳥音を響かせ、セーラー服は「LHの戦闘服」と言わんばかりに旋棍「輝嵐」を構えて群れに突撃する雛山。
「さて、それではストレス解消と行きますわよ! 伊万里、食べられる部分は傷つけてはいけませんわよ。これだけいれば羊肉食べ放題、家計大助かりですわ!」
 パイルバンカーを持った麗華が嬉々として突撃していく――
「さぁー狩りますですよ。あは、あははは、あははははははははっ♪」
 相方の冬無もまた狂気的な笑顔を浮かべ、シャキーンシャキーンっと愛用の大鋏を開閉させながら唯ひたすらに屠るために羊の集団に吶喊した。
「纏まったのをある程度崩したほうがよさそうですね‥‥」
 纏まり過ぎるとやりづらい為、突撃していく傭兵達と併せて星屑の唄を使い混乱させ集団を切り崩していく辰巳。
「はいはーい、サクサク倒して行きましょうねー」
 所構わず、近づいてきたのを超機械「扇嵐」で容赦無くシバいて骸に変えていく籐子であった。
「頭部以外は‥‥食うんだ‥‥あまり‥‥傷つけたく‥‥ない‥‥」
「一気に行くよっ!」
「あはぁっ♪ 行きますですよ、麗華さん達♪」
「おーっほっほっほ、いくらでも来なさいですわ♪ 変態でもないタダの羊キメラならば怖くないですわ♪」
「救護の必要な子はいないかしらー」
「あとの処分も考えませんと‥‥」
 西島が、雛山が、冬無が、麗華が、籐子が、辰巳が突っ込み纏まった集団をバラけさせ――
「もどれー! てぇいっ!」
 また、バラけた集団をララが纏めていく。
 羊の集団が広がり、また収縮する――と言う形を繰り広げていく。
「ふっ‥‥」
 辰巳は限界突破でさらに加速し、グローブで殴りつけると――羊キメラの頭部が柘榴のように弾け飛ぶ。
「リーダーらしき個体は‥‥」
 これだけの羊キメラの集団――リーダーらしきキメラが居てもおかしくないと思った辰巳は攻撃しながらも、敵の動向を観察してリーダーを探る。
 だが、この混沌とした状態、リーダーを見つけるのは至難だ。
「おーっほっほっほ、キャッ!」
 調子よく羊キメラを屠っていた麗華であったが、ぶち撒けた臓物に足元を取られ転んでしまう。
「な! 何をするんですか!」
 羊キメラに服を食われ、みるみるうちに下着姿になる麗華。矢張りこの羊キメラは別の意味で一味違った。
「大丈夫かしら―? こっちの大事なと所も大丈夫かしら?」
「藤子さん?‥‥っきゃっ! 其処は‥‥」
 すかさず籐子がやって来て麗華を揉みしだき、まさぐり、弄りつつ「蘇生術」で救護を図る。
「もう! お返しですわ!」
 籐子の蘇生術を受けた麗華は怒りに任せて下着姿のまま、我を忘れて羊の集団に飛び込み屠り始める。
 ぶち撒けられる血が彼女の肌を染め上げる。
「あぁ♪ なんて良い光景なのです♪」
 そんな光景を見て興奮し、更にハッスルした冬無は羊キメラを金蛟剪ですぐに首を刎ねるような事はせず、足を切り飛ばしてから首を切り飛ばしたり、そのまま胴体を両断したりしていた。
「もー! ゆーこと聞かない子にはお仕置きだぞ☆ミ」
 「竜の咆哮」をのせた「【OR】シリウス」で吹き飛ばされる羊キメラはまるでボーリングの球のように集まった羊キメラに当たりなぎ倒す。
「トンファーキック!」
 雛山は戦っているうちにテンションが上り、トンファーを持ったままスカート翻してキック――トンファー関係なくなね?
 そんなトンファー関係なく蹴られる羊キメラは吹き飛び――時には――。
「汚い花火だねっ!」
 強い蹴りの威力で破裂してしまう羊キメラ。
 阿鼻叫喚――白かった羊キメラの毛は血で赤く染まり、大地は血と臓物がぶち撒けられ骸が積み上がり、生き残っている羊キメラの悲鳴めいた声が辺りを木霊する。
「もう一発ですわ! ああ! これ! これですわ!」
「今宵の大鋏は切れが違いますですよ♪」
「‥‥後‥‥どれ‥‥ぐらいだ‥‥?」
「怪我した子はいないかしらねー」
「ほらほら! 纏まってね☆ミ ゆーこと聞かない子はこうだっ!」
 パイルバンカーで重音響かせ敵をぶちまける者、大鋏でザクザクと切り刻む者、爪で敵の首を引き裂く者、扇型武器でいい音ではたき倒す者、楽器片手にAUKVで轢き殺しつつ敵を集める者――
「‥‥後片付けが楽なように段取りしないといけませんね」
「トンファーパンチ! トンファー疾風脚! トンファー瞬天速!」
 段取りを考えながら敵の骸を寄せながら攻撃する者、気に入ったのかトンファー連呼な雛山。
 攻撃の甲斐もあって羊キメラはその数をますます減らしていく。
 指折り数えるぐらいにその数が減っていき――気がつけば辺りを埋め尽くしていた羊キメラは跡形もなく――否。
「ガアアアアァァァァァ!!」
 まるで虎のように咆哮する西島だった。
 そのオーストラリアの大地に血と臓物と骸の山を築いていた。
 
 ●祭りの後
 200体以上の羊キメラを殲滅した傭兵達。
 彼らの眼前には夥しい血の海と臓物と骸が広がっている。
「‥‥焼却が一番でしょうか」
 辰巳は事前に重機と焼却用の燃料を申請していたのが功を奏する。
 重機を使い穴を掘る辰巳。
「この毛は使えそうですわ、伊万里さん手伝って下さいな」
「わかりましたです♪」
 器用に金蛟剪で汚れていない毛を狩る伊万里と用意されていたジャージに着替えて普通のはさみで毛を狩る麗華。
 かなりの量が刈り取られちょっとしたベッドのようになった。
「‥‥これが‥‥良い」
 西島は調理に適した羊の選別をしながら、食用しないのは穴に放り込んでいく。
「汚物は消毒だ〜♪」
 トゲトゲの肩パットが似合いそうなセリフを言いながら穴に重油をぶち撒け火を放つのは雛山。
「ロードローラーだッ!」
 残念、ホイールローダです。血と臓物にまみれた土を削りとっているのはララ。
「お姉ちゃんは、準備しておくわよー」
 次の――調理のために道具や選別した羊の解体をするのは籐子の役割だった。
「んしょ、んしょ」
「結構、多いね‥‥」
 ケビンとセシリーは明らかに食用に耐えれない残骸を穴に捨てるのであった。
 こうして、綺麗に現場が片付けられるのであった。
 倒された羊キメラが肥料になり、農業地として復活するのは先の話。
 
 ●打ち上げ! レッツパーティー!
「んー! 労働の後のお酒は格別だネ!」
 ムシカークを片手にウヲッカを飲んでいるのはセシリー。
 籐子が事前に段取りしていたお陰と西島がサポートしたお陰で、調理もスムーズに進む。
「じゃんじゃん食べて飲んでくださいです♪」
 チャンスンマハ――塩ゆでした骨付きの羊肉やジンギスカンの給仕をしながらパーティーを思う存分堪能する冬無。
「ケビンはお酒飲めないでしょうし、ジュースでいいですかしら?」
「ありがとうございます!」
 ケビンに密着しながらジュースを注ぐ麗華とやや、その体勢にやや顔を赤らめるケビン。
「うーん、キメラは食べられるって聞いたけど大丈夫なのかな〜?」
「‥‥暇か?‥‥焼いてみないか?」
 その様子を見ているララに声をかける西島。
「うん! 楽しそうだから焼いてみるよ!」
 ムシカークを焼くララは気になって焼けた肉を恐る恐る少し食べてみる。
「あれれ!?意外と美味しいかも!」
 因みに、酒を飲ませると食えるようになるマグロキメラも存在している。美味。
「おいしいね!」
 がっつり沢山食べている雛山は食べる以外にも持参した下仁田ネギで羊肉のネギ炒めも作っていた。
「焼肉パーティーの始まりよケビンちゃんは男の子なんだから、じゃんじゃん食べようねー」
「おわっ!」
 皆に肉を切り分けてよそっているのは石でかまど作ったりして準備をしていた籐子がケビンの皿に肉を山盛りに盛る。
「これ焼けてますわよ。はい、あーんしなさいな♪」
 そんな皿をお構いなしにケビンに食べさせようとする麗華。
「あ、あーん」
 その麗華の笑顔に逆らえれないのだろう、紅顔させ恥ずかしながらもあーんをするケビン。
「ぶぅ〜‥‥セシリーさぁん、麗華さんが構ってくれませんです」
「キャッ! どこ掴んでるんですかっ!」
 そんな様子を楽しく見ていたセシリーにケビンを構って構えてもらえない冬無が不貞腐れて抱きついてきた。
 谷間に顔を埋め甘える伊万里‥‥少し酔っているようだ。
「あら、伊万里やセシリーも食べますの?あーんすれば食べさせてあげますわよ♪」
 その様子を見た麗華が二人に声をかける。
「あーんもいいけど‥‥麗華さぁーん、私も撫でて下さいです!」
 そう言って麗華にダイブする冬無であった‥‥あ、冬無の近くに空の一升瓶が‥‥。
「けふっ」
 食後のコーヒーにむせるケビン。ケビンが飲むオーストラリアのコーヒーは苦い。
 
 とまぁ、一部が百合百合しい雰囲気を醸しつつも宴会が終わる。
 
 ●仮初の安息
 思い思いに休憩する傭兵達。
 
「食べ過ぎちゃた‥‥」
 刈り取ったふかふか羊毛に横になるセシリー。
「セシリーちゃん♪」
「!?」
 うとうとしていたセシリーを魔の手‥‥ではなく、籐子の手が迫りセシリーをがっちり抱きしめた。
 ピンクな雰囲気が辺りを包む‥‥。
 
 一方――
 辛うじて残っていた草原部分に横になって吸い込まれるような空を見上げる雛山。
「〜〜♪ 〜〜♪」
 歌を歌う――いつの日か、空に浮かぶ赤い月が消え世界を回り、各地の宇宙を見上げる夢を思いながら。
 
 まだまだ戦いは続く――敵がいる限り。
 
 そんな闘争の中の一時。
 
 束の間の仮初な安息に傭兵達は何を思うのか。
 
 Fin