タイトル:タッチーナの宇宙食マスター:後醍醐

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/03/23 06:10

●オープニング本文


● 
 円卓――。
 会議室を思わせる部屋で蠢く。
「矢張り、アレはいい目眩ましだな」
「左様。動きが派手な分、奴に注力せざるえないだろう」
「しかし、奴を支援しようとする派閥もあるのだが」
「親衛隊――か。何をトチ狂ったのか奴を信奉するグループなど‥‥」
 何者達が、会議をしていた。
「タッチーナ様!バンザイ!」
 次の瞬間、開け放たれる部屋。
「なっ!」
 そして襲撃を受ける円卓の面々。
 次々と円卓の面々は倒れされ、そして、骸と変えていく。
「これで『彼ら』の資材・資金を接収すれば、あの御方の活躍の場が増える!」
 こうして、新たな資材と資金を手に入れることが出来たタッチーナの親衛隊であった。
 

 某所。
 
「これぞ宇宙世紀だにゃー」
 タッチーナバルデス三世(gz0470)が手にしているのは宇宙食である。
 UPC軍であっても未だサンプルの段階である宇宙食を、この馬鹿があっさり手に入れているというのは明らかにおかしい。
 そして、その予想は見事に的中している。
「これを食べた人間どもは朕の偉大さに気がついて感涙しながらひれ伏すにゃー」
 そう――タッチーナは偶然闇市で流れていたUPC軍の宇宙食を聞きつけて一念発起。自らも宇宙食を開発して一儲けしようと企んでいるのだ。
 そもそも、なんで闇市で買い物をしていたのも謎だが。
「ミーが作った宇宙食で皆、朕にメロメロでまた人気がエベレスト風に鯉のぼりだにゃー」
 バグアのくせに人類に物を売って儲けようという考えが小物だが、なにせこいつの頭は万年冬眠中。戦いの根本すら理解できていないので仕方ない。
 出来上がった宇宙食にご満悦なのだから、そのまま幸せに浸らせてやろう。「マグロの皆さんに、こんな潜在能力あったとは‥‥知らぬ間に朕の小さな宇宙が爆発していたようだにゃー。朕の天才ぶりが恐ろしいぜ?」
 タッチーナの背後では流れ作業方式で指示された作業を行うマグロ型キメラ。
 体は鮪で有っても手足はすね毛の生えた人の手足。見た目はキモイが、作業員としては従順だった。
 しかし、タッチーナの宇宙食を生み出す工場のヤバさはそれ以外にも見受けられる。
 妖しい湯気を上げる酢味噌臭い食品タンクが立ち並び、中にはチロチロと怪しい液体が漏れ出して川を作り出していた。予想通り、既に周辺は酢味噌の香りでいっぱいだ。
「流石、タッチーナ様。これで皆、タッチーナ様の威光にひれ伏すでしょう」
 すっと、現われたのは女性のバグアの藤宮 茜。
 ここ最近、現れてタッチーナの側にいていつの間にか「部下」となっていた。
 こいつの何に魅力を感じたのかは不明だが、部下になりたいと言い出されれば三秒でタッチーナは了承。煽てられる事には滅法弱いのだ。
(兵站を攻撃なるなんて流石ですわ、タッチーナ様)
 うっとりした目で見つめる藤宮。
 既に酢味噌の臭いでおかしくなっているのかもしれない。
「うむ、朕の威光は百億光年先まで届く偉大さにひれ伏すと良いにゃー」
 タッチーナはさも独力で宇宙食を作ったような言い方だが、この工場の運営と建設は藤宮の指示による物だった。
 人の手柄まで自分の物のように感じてしまう辺りが、小物である。
 さて、その宇宙食だが――。
「これ、近う寄れ。今日は機嫌が良いので朕が下賜してやるにゃー」
「ハッ」
 ゴーグルとマスクを装備した藤宮がとり出されした自称、宇宙食。
 ソレはまるででたらめな言葉の羅列が印刷されたパチ物臭が漂う妖しいパッケージだった。
 万歳ポーズのタッチーナがどや顔で写っている時点で食欲減退。さらに弁当の中身は、炒飯。だが、調理された料理のほとんどに鮪が利用されている。
 予想通り強烈な酢味噌臭を放ち、ゴーグルが無ければ涙が止まらない程だ。
 藤宮はマスクをそっと外して口の中へ炒飯を放り込む。
 そして、次の瞬間――恍惚な表情を浮かべて倒れ込んでしまった。
「そうか‥‥朕の作る宇宙食は倒れるほど美味しいかにゃー」
「あらあら‥‥うふふ」
(これだけの威力があれば人類も宇宙で敗退する事は間違いないわね)
 どう見ても原料の鮪キメラの強烈な酢味噌臭さが原因だった。
 こんなのものが流通すれば――人類にとって食事が恐怖に陥るだろう。
 
 こうして、タッチーナの工場とは知らずに昼夜問わず違法操業している工場として告発されたタッチーナの工場。
 内偵の結果、バグアの工場であった為、ULTに依頼が入ってきた。
 

●参加者一覧

龍深城・我斬(ga8283
21歳・♂・AA
芹架・セロリ(ga8801
15歳・♀・AA
未名月 璃々(gb9751
16歳・♀・ER
湊 雪乃(gc0029
15歳・♀・FC
グリフィス(gc5609
20歳・♂・JG
ニーマント・ヘル(gc6494
16歳・♀・FT
雁久良 霧依(gc7839
21歳・♀・ST
エルレーン(gc8086
17歳・♀・EL

●リプレイ本文

●タッチーナ工場前
「マグロが闊歩する工場‥‥まーたろくなもん作ってねえ気はするな。素直にマグロキメラだけ作ってりゃ良いのに、あのド変態」
 ヒーロショーに続き依頼を請け、現地にやってきた龍深城・我斬(ga8283)ポツリと一言。
「ほう、随分とボロい工場だなあ」
 プレハブで作られた安普請の工場を見て感想を漏らすのは湊 雪乃(gc0029)、どうやら暴れたくて仕方ないご様子だ。
「ええっと‥‥くるとこ間違えたかな?」
 工場の様子と匂いに困惑してしまっているのグリフィス(gc5609)だった。
「工場‥‥なぁ。なんで、マグロなんだ‥‥?」
 タッチーナだからとしか答え様がない疑問を呈しているのは芹架・セロリ(ga8801
「何やらネタの匂いですよー」
 むしろ、酢味噌臭い匂いではとツッコミそうになるのは『変態キメラコレクター』と呼ばれ、以前、タッチーナにインタビューを敢行した未名月 璃々(gb9751)だ。
「タッチーナの野望は阻止しなければ」
 何をしでかそうか判らないがタッチーナの事だ、碌でもない事だと思いそれを阻止しようとする、筋肉隆々な漢女のニーマント・ヘル(gc6494)。
「んふふ、噂のタッチーナちゃんに会えるのね♪ たっぷりオモチャにしてあげる♪」
 そこはかとなく妖しい雰囲気の雁久良 霧依(gc7839)、放課後の個人授業とか言われるとドキドキしそうである。
「‥‥うふふ、うふふふ、いけないなぁ、いけないよねえかれーまにあさん! いたずらする子はお仕置きしてあげる、うふ、うふふふ」
 別の意味で、ちょっと妖しいエルレーン(gc8086)ちょっと尋常ではない。
 
 タッチーナと縁のある傭兵や初めての傭兵達8人が工場前に集まっていた。
 
 ●工場突入
 辺りを警戒して、音なく突入する傭兵達。
「おい‥‥なんだこの気分悪くなる匂いは」
「この酢味噌の匂いどうにかならぬものか、酢味噌自体は好きなのだが」
「くっそ! 臭いにも程があるだろ!?」
 余りの充満している酢味噌臭い匂いに顔をしかめる芹架と湊とグリフィス。
 気分的にはさっさと帰りたい気分にもなってくる。
 普通の人の反応はこういう物だ、タッチーナ等の感覚が捻れ狂っているのだろう。
 とまぁ、酢味噌臭い匂いに辟易としている一行を他所にうふうふとニヤついているエルレーン。
 きっと、愛しい彼(タッチーナ)との対面を心待ちにしているのだろう。
「これは面白くなってきたですよー」
 そんな様子をパシャリと収めるのは未名月だ。
 その突入合わせたように一つの影が工場より離脱していった。
「残念ですが、ここまでですね」
 監視カメラに気がつくとタッチーナに気が付かれずにそそくさと撤退していく藤宮 茜。
 彼女はタッチーナを信奉するも、バグアであってKVに轢かれても超回復するゴキブリも真っ青な肉体を持ち合わせてない為だった。
 
 一方で突入した傭兵達は――。
「まあマグロは居る様で安心したよ、とりあえず何体かは確保しとこうかね」
 と、陸上型マグロキメラを確保に映りだす龍深城。
 因みに、ゴーグルにエアタンクという装備のお陰か、酢味噌臭さに対しての対処はバッチリだ。
 そして、手際よく亡国の諜報員も真っ青な具合に拉致られるキメラ。
 アルコールさえ飲ませてしまえば熟成されて上手くなるこのキメラの定めか。
 そんな、拉致とは別にアルコールを持ち込む者達もいた。
 例えば、ケース買いしたビールを台車に持ち込んでいる雁久良。
「んふふ〜♪」
 新歓コンパでタチの悪い先輩のようにマグロキメラにビール瓶を無理やりくちづけて飲ませる形になった。
 全部飲ませた所で、超機械でこんがりと良い匂いをさせてマグロキメラを倒すといった手際だった。
 
 一方で早速、運良くタッチーナを見つけた未名月がインタビューを敢行する。
「宇宙進出(予定)おめでとうございます。今回の宇宙食、拘った点はどこでしょう」
「朕自ら、厳選した超豪華絢爛マグロを使っているにゃー 正規名称は『超豪華絢爛鮪炒飯』だにゃー」
 何やら仰々しい言葉を使えばいいってもんじゃ無い というツッコミが入りそうな総漢字商品名である。
「パッケージに、バルデス三世さんの姿が起用されていますが、此れは撮りおろしでしょうか?」
「そうとも! 此の日のためにオムツとブラジャーを新調したにゃー」
 ドヤ顔で答えるタッチーナ、そう言えば少し衣装の柄が違ったのも其のせいか。気付きたくないものである。
「今回の資金の出所として、黒い噂がちらほらと出てきておりますが、実体はどうなのでしょうか?」
「にゃ! 朕を崇める、殊勝な者達が献上してくれたにゃー」
 馬鹿だから理由なんぞわからない。逆に言うと資金源の追跡は相当難しそうだ。馬鹿だから。
「読者の皆様の為、バルデス三世さんファンクラブなどが御座いましたら、発言をお願いします」
「今ならこの宇宙食! 一個3000Cのところをファンクラブ加入で1500Cの下賜価格で販売するにゃー」
 自分の写ったパッケージの宇宙食をドヤ顔で掲げて未名月に撮影させるタッチーナ。馬鹿のくせに宣伝は怠らないが所詮、対立構造をわかってない馬鹿であった。
 そんな、未名月とタッチーナにとって至福のときではあったが‥‥。
「にゃ? なんだにゃ? 朕のファンクラブのメンバーがやって来のかにゃ?」
 流石に馬鹿でも工場内が騒々しくなると異変に気がつくようだが、どうやら年中小春日和のオツムは斜め上の回答を出したようだ。
 
 一方、傭兵達は
「冗談じゃねえぞ!」
「せめて‥‥もう少し綺麗な脚にしてくれればいいのに。誰得なんだよ」
 鮪キメラの醜態さに愚痴をこぼす芹架とグリフィス。
 湊は原型を留めるように、関節を攻撃して動けなくしていく。
 事前に得た情報だろう、マグロキメラに対してはアルコールや日本酒を使ってから倒すことがほとんで有ったが‥‥。
「ウイリィィィィィ」
「あ、そんなに派手に暴れたらタンクg‥‥あーーーっ!?」
 完全装備の筋骨隆々メイドさんのニーマントが日本酒を喰らったマグロキメラに対してエルボーで攻撃をするが、キメラが酔っているせいか食品タンクにぶち当たり悲惨なことになった!
 それを見て絶叫する芹架の表情は絶望に染まっている。
 飛び散るタンクの内容物が傭兵達を襲う!
 
 倒れたタンク側の芹架と言うと――。
「‥‥‥う。くっせぇ‥‥やばい。 トシャしそう‥‥トシャしそう‥‥」
 倒れたタンクの影響で酢味噌臭さの濃度が限界を超えていた。
「何事にゃー‥‥ぎにゃー」
 嬉々としてファンクラブの人間だと思って出迎えるタッチーナだが、実は危機でしたと云うオチだった。
「‥‥‥なぜだ。誰だこいつ。こんな強烈な格好なのにどこで会ったのか、誰だったのか思い出せねぇ‥‥うっぷ。うぁー‥‥」
 酒酔いしたようにふらつきながらソレに掴まり、水音と共にソレに対して盛大にもどす芹架。
「なんか、生温かくて酸っぱいものが朕にかかってくるにゃー」
 ソレとは残念強化人間のタッチーナの事である。ホールドされBUKKAKEられるタッチーナ。
「甘露! なんかクセなるにゃー! でも、逃げなきゃにゃー」
 さすが変態である、いや、真の変態と言っても良いだろう。お陰で周りはドン引きである。
 因みにその姿はもちろん未名月が激写していたのは誰も気づいていなかった。
 そして、ドン引きな芹架を他所に工場外へ逃げ出そうとするが‥‥。
「うおっ、臭い!」
「臭いとは何だにゃー! 矢張り、庶民には朕のこの香しい匂いが理解できないと言うのかにゃ!」
 あれな姿の臭うタッチーナを見つけて湊が一言。そして、その言葉に激昂するタッチーナ。
 やはり馬鹿でも怒ることはあるのだ。突っ込んでいくタッチーナだが。
 ヘロヘロと突っ込んでいくタッチーナに湊がハイキックをお見舞いすると、バンウドしながら工場の外へ飛ばされていった。
「ぜいいいいいいいいいいぃぃっ!!」
 そして、辺りを確認すると建物の柱を全力で切断にかかる湊。
 崩壊始める建物から傭兵達が物凄い勢いで撤収していく。
 誰も好き好んで酢味噌臭くなりたくないのである。
 ドサクサに紛れてついでに鮪キメラも持ち出しているのは流石である。
 
 ●後の祭り
 さて、何故か逃走を封じるために亀甲縛りされたタッチーナは恍惚の表情をしている。
 その眼前には雁久良と山と積まれたタッチーナの宇宙食。
「タッチーナちゃん! 食べ物粗末にしちゃ駄目でしょ! ママ許しませんよ!」
「ぎにゃー! 何するにゃー! 朕のぷりちーでせくしーなお尻を叩くとは!」
 と盛大に尻をスパンキングされ、またもや恍惚な表情をしているタッチーナ。「 ああんゾクゾクしちゃう♪  さあごめんなさいしなさい!」
 早速、お仕置きではなくご褒美では無いかという疑惑もでてくるが、スパンキングしている雁久良も何やらご満悦の様子。意外といい組み合わせなのかもしれない。
 そして、小型超機械を取り出して掲げ、また、それに固唾を飲んでみているタッチーナ。
「タッチーナちゃんにいい子になって欲しいからするの‥‥ママだって辛いのよ‥‥えいっ!」
「何か入ってくるにゃー。意外と小さいにゃ?」
 ズブリ と音をさせてタッチーナの尻に突き刺さる小型超機械。だが、どうやらタッチーナには細かったようだった。
「ぽちっとな♪」
「あにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ」
 おもむろにナニな所に電磁波照射をする雁久良。
 あまりの刺激に緩みきった顔にダブルピースをしているタッチーナ。野郎のなんぞ見たくない。
 
 誰かをお忘れではないだろうか?
「あは、あははは! あは、あははははははははははははははは!」
「ねえ私のこと覚えてる?! 覚えてるよねかれーまにあさん!」
 幽鬼の如き表情をして現われたのはエルレーン。どう見てもヤンデレなご様子。
「ぎにゃー。 朕の尻を狙うストーカー! くるにゃー!」
 流石のお馬鹿でも、記憶に刻み込まれているのだろうか、拘束されながらも必死に逃げようとするタッチーナ。
 そして周りも余りの出来事にフリーズしている。
「誰! その女! 誰! あは、あははははははははははははははは!」
 タッチーナを捕まえている雁久良を見て能面の様な表情を替えるエルレーン。
 さすがの雁久良も、身の危険を感じてさっと身を引く。
「お仕置きしてほしいんでしょ?! 私におしりを蹴っ飛ばしてほしいんだよね!」
「あは、あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
 笑いながらひらすらタッチーナのケツを蹂躙するエルレーン。
 瓦礫となった工場に火を放とうとするが流石にソレは周りから止められる。
「はぅはぅ‥‥とっても満足したの」
 心ゆくまでタッチーナのケツの蹂躙を終えたお陰か何時ものエルレーンへと戻ってきた。
 
 さて、そんなタッチーナだが‥‥。
「ふうん、宇宙食なんだーここ地上だからいらねーっつか産廃っぽい感じがするから自分で食って処分するように」
「んぐー。んぐぐぐぐぐぐー」
 と、龍深城に口に宇宙食を詰められるだけ詰められたタッチーナ。
 そして、両断剣・絶でぶっ飛ばされる。
 哀れタッチーナは、工場裏手のドブ川に顔面からダイブ。さらに上流からダムが放水でもしたのか、濁流がタッチーナを攫っていく。
「ぎゃわー! 
 おのれ、諸葛亮! 水攻めの計で城を水没させるとは! ええぃ、呉の援軍はまだかにゃー!」
 最後まで意味不明な言葉を吐きながら、遠くへ消え去っていくタッチーナ。
 ‥‥そろそろバグアが産廃扱いしてもおかしくない。


 
 一方――
 タッチーナの野望を打ち砕いた傭兵達による宴会が繰り広げられていた。
 近くに梅林も有ったため梅見の宴会となった。
「次は鮪料理です、頑張りましょう」
 ビールに日本酒、そして鮪料理と振舞われ、ニーマントはメイドさんらしく給仕をしたりと賑やかな様子を呈していた。
「一体なんのための工場だったんだか‥‥」
「ま、そんな事をわすれて、どう?」
 遠目に崩壊した工場を見つつ芹架は勧められた鮪料理に舌鼓を打つ。
「この依頼はこれが楽しみだな」
 大吟醸飲みつつツマミに鮪料理を食べている龍深城。
 序盤に確保したお陰でまだまだ、料理はたくさん有る。
「旨いのか?これ‥‥うまい!」
 恐る恐る口にして旨さにびっくりするグリフィス。テレッテーという効果音が似合いそうだ。
「ふむ、イケるな」
 と、心落ち着かせた湊がおちょこ片手に梅を愛でつつ鮪を堪能していた。
「いい梅ですねー いい雰囲気ですねー」
 そんな様子をカメラに収める未名月。序に言うと大気圏突入再突入の写真は他所から手に入る予定のようだ。
「はぅ‥‥美味しいです」
 すっかり憑物が落ちたエルレーンも料理とこの雰囲気を愉しんでいる。
「人類六千年の知恵とバグアの科学力の幸福な結婚ね♪」
 ビール粥にしたことで何故か美味しく食えるようになった料理を振舞っているのは雁久良。
 こうして楽しいひと時は流れていった‥‥。
 Fin?
 
 
 
 
 
 
 
 
 時を同じくして――
 どこかで。
「失敗‥‥ですか」
 茜の報告を受ける親衛隊のメンバー。
「矢張り、私達自ら『あの御方』をサポートすべきでは無いでしょうか?」
「ですがそれですと‥‥『あの御方』の良さを殺しそうで」
「しかし、『あの御方』の為にも一度は対外的に成功したことを喧伝せねばと思うのですが」
 ‥‥彼らの会議は一昼夜続いたという。
 
 Fin