タイトル:【DD】アーグラ補給戦マスター:後醍醐

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/01/25 06:18

●オープニング本文



 デリーを巡るバグア包囲網。
 デリーとUPCを分断するそれは、あまりにも厚すぎる壁であった。
 同じ空の下にはあれど、声は届かず、姿を見ることも叶わない。人々にとっては絶望の壁であった。

 しかし、攻勢に出たUPCはデリー解放を決断。大部隊を率いたUPCによる四都市同時奪還作戦を第一陣とし、デリー解放に向けて一気に畳み掛ける。
 バグア包囲網を打ち破る戦いが、始まる。 


 インド アーグラ近郊
 
「‥‥ほんと、嫌になっちゃう」
 デリー攻略に駆り出されたセシリーは当分の間、禁酒中だった。
「‥‥えっと、なになに?」
 紙で書かれた分厚い渡されたばかりの依頼書に目を通す。
「‥‥補給の‥‥ふむふむ」
 どうやらアーグラを攻略するUPC軍に対して補給物資を輸送するのを警備する依頼の様だった。
「‥‥うーん、これは人手がいるねぇ」
 文書に書かれた内容は結構な車列になることが予想される内容だった。
「‥‥多分、これが渡されたということは本部の方でも掲示されるかもね」


 インド アーグラ近郊 某所
 バグア兵や農民に扮した強化人間が集まっている。
 彼らの側には「テクニカル」と呼ばれる武装ピックアップが何台も止まっていた。
 重機関銃を載せたものやレールの架橋にロケット弾を載せたものなど。
 燃費がよく頑丈なバイクも何台か見受けられる。
 バグアや強化人間の装備といえば突撃銃を下げ対戦車ロケットを肩に担いでいる。
 彼らはゲリラ戦を専門とする部隊のようだ。
 武装も現地調達したゆえのレパートリのようだった。
 故にUPC軍の眼を欺くことができたようだ。
「‥‥情報によるとUPCの補給部隊がここへ向うらしい」
 情報をつかんだ彼らは襲撃の計画を練るっているところだった。
「ロケット弾で車列を乱した混乱に乗じて対戦車ロケットで輸送車を攻撃」
「玉砕攻撃なぞする必要はない。ヒットアンドアウェイで常時攻撃して疲弊した所を一気にやる」
 大方の方針は決まったのだろう、点呼をとって襲撃準備を整えていた。
 

●参加者一覧

緑川 安則(ga0157
20歳・♂・JG
比良坂 和泉(ga6549
20歳・♂・GD
伊万里 冬無(ga8209
18歳・♀・AA
大鳥居・麗華(gb0839
21歳・♀・BM
イスネグ・サエレ(gc4810
20歳・♂・ER
イオグ=ソトト(gc4997
14歳・♂・HG
追儺(gc5241
24歳・♂・PN
エリーゼ・アレクシア(gc8446
14歳・♀・PN

●リプレイ本文


 アーグラ近郊
 UPC軍の護衛部隊、補給部隊が集結し出発を待っていた。
 現場に集まり始める傭兵たち。
 ジーザリオに乗車し現われたのは緑川 安則(ga0157)。
 都市攻略に向けて重要な任務として理解して参加した比良坂 和泉(ga6549)。
 久しぶりに大暴れが出来るとハッスルしている伊万里 冬無(ga8209)。
 そんな伊万里と共に依頼に参加した大鳥居・麗華(gb0839)。
 ジーザリオを二台持ってきたイスネグ・サエレ(gc4810)。
 ガトリングが似合うイオグ=ソトト(gc4997)。
 敵には容赦しないことを誓う追儺(gc5241)。
 初の護衛依頼のエリーゼ・アレクシア(gc8446)。

出発前〜
「セシリーさんてば、何をやって居られますですか」
「伊万里さん、今回もよろしくお願いします」
 伊万里がセシリーの所に挨拶にやってきた。
 引き続き依頼に参加した伊万里に挨拶をするセシリー。
「確りしないと駄目ですよ? 翌朝気付いたら裸でベッドの――」
「何を言ってるのですの!」
 と、突っ込みを入れたのは伊万里と同じく引き続き依頼に参加している麗華。
「! 麗華さん、今回もよろしくお願いします。」
「お酒飲んで酔っ払ってる所でサインしたら連れてこられたって・・・きっとこのまま禁酒するようとの天啓ですわね」
「アハハ‥‥」
 登場に驚き、突っ込みを入れた麗華に挨拶をするセシリー。
「麗華さんもお酒を飲むと‥‥」
「私もお酒飲むと大変らしくて‥‥って、伊万里は何いってますの!」
 二人は付き合いが長いようだ。
「よろしくお願いします」
「‥‥よろしくね」
 姦しい所に挨拶にやってきたエリーゼ。
 初めての護衛依頼ということもあって他の傭兵達にも挨拶をしていた。
「今回もよろしく」
「ありがとうございます、今回もよろしくお願いします」
 セシリーに挨拶するのは千葉から引き続き参加した追儺。
 セシリーは他の傭兵にも挨拶に向かう。
「‥‥よろしくお願いします」
「よろしく」
 比良坂にジーザリオのキーを渡している緑川に挨拶するセシリー。
「よろしくね」
「‥‥よろしくお願いします」
 キーを受け取っている比良坂がセシリーに挨拶をする。
「‥‥よろしくお願いします‥‥すごい筋肉ですね」
「よろしくだっ」
 ラットスプレッド・フロントのポーズをとって筋肉が眩しいイオグに挨拶をするセシリー。
 
「‥‥よろしくお願いします」
「セシリーさんお誕生日おめでとう〜」
「‥‥ありがとうございます」
「今回はよろしくお願いしますね〜」
「‥…すみません、お願いしたいことありまして‥‥」
 イスネグに挨拶をとお願いをするセシリー。
「どうしたの〜」
「‥‥ジーザリオをお借りしたいのですが」
「いいよ〜」
 そう、セシリーの班に車両が無い為、イスネグに車両を借りる事になった。
 ジーザリオのキーを借りるセシリー。
 
 各々で班分けが開始された。
 と、その前に。
「‥‥ジーザリオ、このままだと不便だね〜」
 そう、幌付きの車両であるジーザリオはこのままだと使いづらい。
 気がついたイスネグがアドバイスをした。
「幌を取ったほうがいいかもね」
 そう言うと、ジーザリオ組は幌を取り払った。
 ジーザリオ組が三組とバイクが一組という組み合わせだ。
 比良坂の運転するジーザリオに乗る緑川。
 麗華のバイクにタンデムして乗る伊万里。
 イスネグの運転するジーザリオに乗り込むイオグ。
 イスネグから借りたジーザリオを運転するセシリーと乗車する追儺。
「‥‥エリーゼさん、こっちだよ」
 セシリーはエリーゼを呼び寄せ、ジーザリオに乗ってもらった。
 こうして、準備ができたことをUPC軍に告げると移動を開始した。


 道中〜
 移動する補給部隊と護衛部隊と傭兵たち。
 其のポジションは輸送隊と中心に両翼に戦車部隊。
 両翼の戦車の内側と後方は兵員輸送車。
 前方は偵察車による偵察を行い、高機動車は両翼・前後に配置して警戒を行なっている。
 傭兵たちは遊撃部隊として前方にバイク、両翼・後方にジーザリオの配置となった。
 
 悪路を行くUPCと傭兵たち。
 中には悪路ということで――。
「せっかくの新車ですし、戦闘がないといいですけど‥‥そんなわけはないようですわね」
 麗華は運転しているバイクを気遣う。
 そんなバイクに腰を抱く形でタンデムしている伊万里。
 抱かれている麗華。
 揺れるたびにお互いのことを強く認識できてしまっている。
「こら、伊万里! 変な所に抱きつくんじゃないですわっ。まったく」
 そんな状況に赤面してしまう麗華。
 そんな一幕。
 
 悪路で揺れるジーザリオ。
 運転しているのはセシリー、そして助手席に追儺。
 後方にエリーゼという席順だった。
 ガタンと激しく揺れるたびに揺れる大きな双丘。
 そんな状況にも警戒のため、気づいていないセシリー。
 そんな隣に座っている追儺は役得といえば役得、目の毒といえば目の毒だった。
 胸に樹を抱き、ちょっと緊張しているエリーゼと言う組み合わせだった。

 辺を警戒しながらジーザリオを運転する比良坂。
「砂漠戦となれば遮蔽物は少ない。必然的に物量をぶつけ合う砲戦、ならば戦い方は2つに限られる」
「正面装甲を厚く防御重視の重戦車を投入するか、装甲を無視して数を揃えられる高機動型をぶつけるかだ」
 ドローム製SMGを肩に掛け辺に睨みをきかせているのは緑川。
 タンクローリーと並走しているのはイスネグの運転するジーザリオ。
 イオグは戦いに備えて休息していた。
 輸送は事もなげに進もうとしていたが‥‥。
 

 敵襲撃〜
 急激に辺りが爆発、否、砲撃を受けている状態になった。
 運悪く、先頭に着弾したこともあって先頭を抑えられて前進が出来ない状態だった。
 双眼鏡を使い、着弾方向から砲撃方向を予測する緑川と比良坂。
 二人の観測により砲撃してきた方向の辺りをつけることができた。
 ジーザリオから降り、警戒と状況把握を行なう追儺とエリーゼとセシリー。
 砲撃方向に向けて移動を行なう緑川と麗華。
「ジャンクードか! なるほど、数を揃えられる高機動ユニットと南米のギャングよろしく対戦車バイクでの肉薄攻撃か」
「各員に告げる。ジャンクード、ロケット砲装備型はその性質上狙うために足を止める必要がある」
「狙うのであればそこだ。後、ロケット弾を持ったバイク部隊の肉薄攻撃で防御陣型をかき乱されないことを祈る」
 双眼鏡でジャンクード、もといテクニカルとバイク兵を発見し皆で連絡をいれた。
「派手に動きますから伊万里、振り落とされないようにしながらしっかり攻撃しなさいな!」
 麗華の運転するバイクは速度を上げて敵陣へ突っ込んでいく。
「数の力で防御網を押しやぶそうという訳か。ジャンクード、武装バイク部隊ならではの戦いだな。」
「少なく見積もって総戦力は1個大隊程度か? これが重戦車とか数が少なければまだ楽なんだが、乱戦となるとな」
「最悪、ジーザリオを壊しての特攻もありだ! やってくれ!」
 負けじと緑川をのせたジーザリオも敵へ向かっていく。
「お出ましですね…じゃ、行きましょうか!」
 気合を入れて緑川を載せて走らせる比良坂。
 傭兵達とバグアとの戦闘の幕が切って落とされた。
 麗華の運転するバイクから伊万里がSMG「ターミネーター」を使って攻撃をする。
 緑川は荷台からドローム製SMGで銃撃を開始した。
 対してバグアのテクニカルの荷台から重機関銃と対戦車ロケットで緑川、伊万里達に攻撃を行った。
 互いに悪路で移動中の攻撃ということもあり、双方ともに決定打に欠ける状態となった。
 それを由とせず、肉薄するように指示を出す緑川。
 その指示を受けて比良坂はジーザリオを敵テクニカルへ並走するほどの距離まで詰めて肉薄した。
 麗華と伊万里は敵の射線にならない車両真正面から突っ込み、ドライバを銃撃して車両を止めさせようとした。
 敵は停車した車両を盾に銃撃戦へと移行し、それに対して伊万里と麗華は降車して対抗した。
「足が止まってしまえばあなた達は怖くありませんわ! 接近戦で一気に決着をつけますわよ! おーっほっほっほ!」
「あーははははっ♪ 壊れると言う意味‥‥其の身体に教えてさしあげますですよ♪」
 パイルバンカーを装備した麗華と金蛟剪を装備した伊万里が閃光手榴弾を使い敵に対して白兵戦を仕掛ける。
 引き続き、緑川と比良坂はテクニカルとの激しい戦闘を行なっている。
 緑川、比良坂、伊万里、麗華達は補給部隊から離れた所で戦闘を開始していた。
 
 一方、停止していた輸送部隊と護衛部隊にも敵が襲撃をかけていた。
 UPCの能力者達の一部はタンクローリーの周りで盾を構えて攻撃されるのを防いでいる。
 追儺、エリーゼ、セシリーは主力戦車を盾にして重機関銃とロケット弾、対戦車ロケットで攻撃を掛けてくる敵の迎撃に当たった。
「さて 始めるか」
 敵襲撃の報をうけて下車して攻撃の準備を行うイオグ。
「いきますよ〜」
 イオグと共に下車して肉薄してくる強化人間の対処に向かった。
 敵の車両は機動力があるものの、防御力には乏しいせいもあって主力戦車の砲撃や敵から奪取した対戦車ロケットの爆発によって横転したり、炎上したりした。
「敵に拘るな、車両と対戦車火器をやれ!」
 追儺のその言葉で、友軍は車両をターゲットに攻撃を行なっていく。
 主力戦車はロケット弾を積んだテクニカルを優先して攻撃している。
 早速、撃破された敵車両を盾にした敵との銃撃戦となった。
「近付く敵は全員挽き肉にしてやるぞ‥‥アニキィィィィ!!!」
 M−121ガトリング砲で制圧射撃を使い、強撃弾を載せて構え薙ぎ払うかのように弾幕を形成している、まるで某映画の主人公のようだ。
「私の分までお願いしますよ〜」
 魂の共有を発動しているイスネグも合間に超機械「ヘスペリデス」 で応戦している。
 イオグのその姿にガトリングという組み合わせでの攻撃は戦争映画も真っ青な攻撃っぷりである。
 一方、追儺を中心としたグループは敵重機関銃の銃撃が飛び交う中、遮蔽物を利用して友軍兵士と共にトーチカと化した敵の排除を行なっていた。
「援護を頼む!」
「わかりました!」
「わかったよっ!」
 蒼天を手にした追儺が進出しそれをエリーゼがSMG「ターミネーター」で銃撃しセシリーは奪った突撃銃で援護するという形となった。
 さながら敵地上陸戦のようであった。
 
 一方、離れている比良坂と麗華のグループは‥‥。
「敵の狙いは物資! それも燃料満載のトレーラーだ」
「あれがなければKVも使えん! 後々問題になる! とにかく、近づけさせるな!」
 逃げられると間接攻撃で厄介なロケット弾を積んだテクニカルを優先して攻撃している緑川と比良坂。
「吶喊するわよ!」
「了解!」
 緑川は運転室を狙って停止させたり、ロケット弾の架橋を狙って暴発させたり、デサントしている強化人間を仕留めたりしている。
 比良坂は少しでも命中を上げる為に、乗り移られない程度に近づき並走したり、敵前方を横切ったりして緑川をサポートしている。
 肉薄しての攻撃は効果的であるものの、二人にもダメージが蓄積している。
 麗華と伊万里は撃破され白兵戦に移行した強化人間やバグアとの白兵戦を行なっていた。
「ぶちまけるといいですわ!」
 麗華は瞬速縮地を使い獣突を載せてパイルバンカーで派手にスイカの如く頭部を吹き飛ばして倒していく。
「あはははは! 楽には倒しませんです♪」
 対して伊万里は金蛟剪で胴を両断するのではなく、四肢を切り飛ばしてからスマッシュをのせて首を刎ねるといった某兎も真っ青な攻撃だ。
「車両は片したぞ!」
「手伝います!」
 そんな所に、車両を撃破し終えた緑川と比良坂がやって来て白兵戦に参加してきた。
 こうして緑川、比良坂、麗華、伊万里が担当した敵は殲滅された。
 
 その頃、補給部隊組は――。
 主力戦車が車両を破壊し、敵が立てこもった車両に対し砲撃を続けている。
 イオグの制圧射撃や追儺達の攻撃によって敵の数を減らしていき、友軍による包囲網の形成までに持っていくことが出来た。
「うおおおおお!」
 ガトリング砲で攻撃するイオグ、早速、敵を寄せ付けない。
「Go! Go! Go! Hurry up!」
 追儺とエリーゼの支援の為、友軍を突入させるセシリー。
 追儺は蒼天で急所突きを使いとエリーゼは瞬天速を使い銃撃で炙り出された敵の強化人間の掃討を行なっている。
 徐々に徐々に包囲網が狭まり、敵を殲滅することができた。
 
「――こちらの敵の掃討は完了した」
 丁度その時、緑川から敵掃討完了の連絡が入ってきた。
 
 合流する傭兵達は第二派の襲撃を警戒していた。
 練成治療が使えるイスネグ、救急セットを持っている比良坂による治癒が警戒の合間に交代交代で行われていた。
 
 襲撃の様子もなく、行軍が再開された。
 

 到着〜
 あれから無事に攻勢地点へ到着した補給部隊と傭兵達。
 多少の護衛部隊に損害が出たものの補給部隊自体は全て健在であった。
「諸君! よくやってくれた!」
「そう、君達の動きが――世界を左右するのだ」
「君たちのお陰で攻略も問題なく成功するだろう!」
 報告に向かった天幕で基地攻略の指揮官らしき将兵から賞賛を受ける傭兵達。 その後。
 しばし、休息となった。
 現地料理を楽しむ緑川、比良坂、伊万里、麗華、イスネグ、イオグ、追儺、エリーゼ、セシリー。
 仲良く食べさせ合ったり、食べさせようとしたりする傭兵達や舌鼓を打つ傭兵達など賑やかに食事の時間が過ぎていった。
 食後の運動をしたり、ポージングを取り鋼の肉体を披露して好評なイオグ。
 休息の後、傭兵達はLHへと戻っていった。


 Fin