タイトル:【千葉】閃光の先にマスター:後醍醐

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/01/16 22:29

●オープニング本文



 南房総市上空
 強化人間の増援の情報を得たUPC軍はがKVを投入してまで必死の捜索に当たっていた。
 何故なら――KVをも撃墜できる「大型収束レーザー」を撃てる強化人間がいるからだ。
 型名「TN型」通称「高畑 直美」歳は14。
 彼女は逆三角形にいてもおかしくない、魔法少女な衣装を疑問もなく着ている。
 彼女は彼女の「正義」の為、「悪」であるUPCとULTに対して憎悪している。
 攻撃は――。
 高畑が上空に飛んでいるUPCのKVを補足すると、杖をKVに向けたと思うと、白色の極太光線がKVを貫通、否、包み込みむとその場から消えた。
 この強力な一撃を放つ高畑の表情に疲労が見えた。
 そう――強力ではあるがその一撃ごとに彼女の命を削っているのだ。
 館山基地が存在し、メンテナンスを受けれれば問題が無いだろうが、早速、館山基地はUPCの手に落ちてしまっている。
「館山を奪還する‥‥なの?」
「‥‥彼我兵力差的に推奨できないわ」
「近くの基地に移動して設備を申請した方がいいわ」
 高畑のつぶやきに続いたのは「AH型」の通称「朱美 穂村」歳は15歳。
 魔法少女としつられて筈だが、銃から装甲車まで陸戦兵器の取り扱いに長けている。
 最後に提案したのは「TP型」「田仲 ミサ」17歳。
 近接戦闘型であるものの、この三人の中で参謀役を務めている。
 それに員数合わせに自立行動を行わない指示で動く「AH型」強化人間が10体ほど。
 彼女たちは館山基地が東京に向け増援として派遣できた強力ではあるが一握りの戦力だった。
「ともかく、この包囲を突破しないことにはね」
 ミサがこの現状を分析する。
 この包囲網を突破して、少なくとも高畑だけでも生存させなければと。
 KVをも撃墜できる彼女の能力は有用だ。
 ――むしろ、自分たち二人は彼女をサポートするために作られたもののようだと。

●参加者一覧

UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
イレーネ・V・ノイエ(ga4317
23歳・♀・JG
アルト・ハーニー(ga8228
20歳・♂・DF
狭間 久志(ga9021
31歳・♂・PN
不破 霞(gb8820
20歳・♀・PN
ウルリケ・鹿内(gc0174
25歳・♀・FT
ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751
18歳・♂・DF
追儺(gc5241
24歳・♂・PN

●リプレイ本文


 南房総市
 市の上空を行く機体組
 
「ふ、バグアにもバグアの正義があるとはね。ま、俺は正義というより悪だから戦うには丁度いい相手だな、と」
 竜牙を操るコクピットで想うのはアルト・ハーニー(ga8228)。
「こちら、ウルリケ・鹿内です」
 クノスペで支援の観測へりと定期交信を行なっているウルリケ・鹿内(gc0174)。
「‥‥KVの使用許可がおりるということは、それだけ厄介な相手ということか」
 友軍機が落とされたという情報も入ってきて警戒しながらスレイヤーを操作する不破 霞(gb8820)。
「‥‥正義か‥‥」
 ロジーナに乗るセシリー・ニミッツ(gz0463)は呟く。
 
 
「私はUNKNOWNと言う」
 閉鎖しているUPC軍から自身が必要とするものを受け取るUNKNOWN(ga4276)。
「‥‥自分が正義と信じたモノが正義なのだよ」
 自身の正義の為に戦う事を誓うイレーネ・V・ノイエ(ga4317)。
「正義や悪を言い訳にはしない。今、ここで戦うのは僕の意思。僕が自分で選んだ事だから‥‥!」
 自身の意志で敵を倒す事を誓う狭間 久志(ga9021)。
「KVの脅威を利用してでも仕留めたい強化人間の一団‥‥相当手強そうだけど‥‥」
 生身での依頼が大半なのにKV使用可能という依頼に気を引き締めるドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751)。
「俺達の星、俺達の空を取り戻す‥‥それに立ちはだかるならそいつは敵だ」
 強い意志を持って自分達の星を取り戻す追儺(gc5241)。
 

 市街戦
 先ず、動いたのはKV組だ。
 不破を囮にアルト・鹿内が市街へ侵入していく。
「これから仕掛ける。都合のいいタイミングで潜行してくれ。位置は観測機経由でトレースする」
 観測ヘリに敵の動向の監視を要請すると不破は突っ込んでいく。
 それに合わせてアルトと鹿内が砲撃を行なう。
 それによって崩れ落ちていく建物。
 刹那――。
 ブゥン‥‥。
「!?」
 極大出力のレーザーが不破のスレイヤーをかすめた。
 そのかすめた部分の表面装甲の表層が熱によって泡立っているのがどれだけのエネルギー量であったかを示していた。
「っ!」
 不破は冷静に機体を立て直し、ダメージの確認を行うが、どうやら軽微に済んだようだった。
「敵はっ‥‥」
 観測ヘリから得たデータが砲撃元の所在を示していた。
 その位置に対して攻撃を与えようとするアルト・鹿内。
 次の瞬間。
「陽動!?」
 鹿内のクノスペに映しだされたのはロケット弾を観測ヘリへ発射した強化人間だった。
 放たれたロケット弾は吸い込まれるように観測ヘリへ着弾し、ヘリは発射元のデータを送ると撃墜された。
「ハニワ軍団総帥の俺直々に相手してやる。正義の魔法少女さんとやらは感謝して欲しいんだぞ、と」
 ロケット弾の発射場所から移動する装甲車をアルトは狙い攻撃をする。
 アルトの攻撃が命中し爆発する装甲車。
 
 ???
 高畑が発射したレーザーがKVに向けて直線に飛んでいく。必殺の攻撃が外れてしまった。
「撤収! 隠蔽!」
 穂村が指示を出すと観測を行なっていた強化人間達が一斉に付近の建物に隠れる。
「直ぐに移動しないと‥‥なの」
 高畑は余り移動に適していない、だからこそすぐに逃げる必要があるのだ。
「ええ、でも逆を行くわよ」
 そう――普通に考えれば最短距離で包囲網を突破するのがセオリーだ。だが、今回の敵はさっきの様子を見ても判るように、満を持して送り込まれてきたと見るのが妥当だろう。裏をかかねばならない、と彼女は考える。
「代わりに――ミサもいるしね。大丈夫、彼女ならなんとか生き残るわ」
 「本来」の逃亡ルートには代わりがいる。
 穂村は誓う。自分達の正義の成就のためにも高畑を生かさなければと。
 こうして穂村と高畑と護衛役の二名の指示型強化人間は逆ルートで逃亡することとなった。
 

 一方、KV組の交戦と敵位置の暴露された事により、市街へ突入する生身班。
「‥‥ふむ」
 得られた砲撃元のデータと各種地図を照らし合わせてみるとマンホールがあることに気がついたUNKNOWN。
「‥‥やはりここか」
 砲撃元やロケット弾から敵の布陣を予想するイレーネ。
「予想される逃走ルートは‥‥」
 マンホールとその布陣から狭間は敵がどう逃げるか予測する。
 KVが地上を探索している時点で地上での逃亡は難しいだろう。
「となると‥‥」
 狙撃に使えそうな建物をピックアップしKV組に排除してもらう事を考えるドゥ。
「こう言うトラップもある‥‥」
 注意すべきトラップについて説明する追儺。
 他のメンバーと相談して、敵が包囲網を突破するのに使われそうな地下道を選択し追撃をしていく。
 こうして戦いの幕は切って落とされた。
 
 地下道〜
 諸々の連絡を終えた後、地下道を進む傭兵達。
 探査の目で警戒するUNKNOWNと共に他のメンバーはトラップに警戒して進んでいく。
 警戒したお陰で幾つかのトラップを発見し被害を出さずに進んでいく。
 そして――
 AH型強化人間の一体が彼らの前に立ちはだかる!
 よく見れば指示型の様だ。
 強化人間と対峙して構える傭兵たち。
 すかさず攻撃を繰り出すUNKNOWN。
 自爆する隙を与えず強化人間を倒した。
 自爆して地下道を使わなくさせるつもりだったのだろう、装備という装備らしきもが見当たらなかった。
 
 さらに進んでいく。
 包囲網付近の地下道の行き止まり。
 そう――予想が正しければ逃亡しようとする敵がいるはずである。
「‥‥KVが落とせなかったのが‥‥」
「‥‥ヘリ‥‥撃‥‥」
「地下道閉鎖が失敗した可能性が‥‥」
 マンホールから地上でTP型が無線機で通信を行なっている様子が探査の目で確認できた。
 一気に傭兵たちは襲撃をかける!
 
 一方、KV班。
 生身班が地下道を追撃しているその時。
「破壊なら俺に任せろー」
 とアルトが狙撃でつかわれそうな建物を潰していく。
 あの攻撃の後――KV班に対する攻撃は不気味なほどに沈黙していた。
 敵の攻撃を警戒しながら索敵を続ける鹿内と不破。
「どれが本命だっ!」
「小賢しい」
 幾つかの箇所で装甲車が包囲網に向けて進んでいくのを確認し、手分けして攻撃をしていく。
 ブーストを掛けた不破がまず一台をロックし「20mmバルカン」で攻撃する。
 瞬く間に装甲車は爆発炎上し、放り出される重体の強化人間。
 鹿内も「PCB−01ガトリング砲」で攻撃していく。
 襲いかかるいくつもの弾丸によって爆発、横転して止まった。
 負けじとアルトも「長距離ショルダーキャノン」で攻撃をする。
 攻撃に晒され次々と炎上していく装甲車。
 KVにしてみれば装甲車は一般車両と変わらないのだ。
 撃破されていった装甲車は7台となっていた。
 

 襲撃
「来たわね! 命に正義に掛けてこの先は通さないっ!」
 傭兵たちの第一撃を辛うじて回避し、憎悪の眼で睨むTP型のミサ。
「正義とか悪とかじゃない。自分で決断した、その意思の強さの問題だ!」
「俺の正義、心に刻め!」
 その言葉に対して狭間と追難は答える。
 「蒼天」で切り込みを掛ける追難。
 追難の切り込みにあわせて「月詠」を抜刀し追撃する狭間。
 キィン――
 その切り込みを両手の手甲で弾くミサ。
 「2撃目に合わせてくれ!行くぞッ!!
 真燕貫突繰り出す狭間。
「これでどうだ!」
 狭間にあわせて攻撃する追難。
「援護だ」
 強弾撃を使いアサルトライフルで攻撃をするイリーナ。
「これならっ」
 ドゥはターミネーターで弾幕攻撃を行なう。
「常に華麗に」
 UNKNOWNのカルブンクルスから火炎弾が撃ち出される。
 殺到する攻撃が次々と飛び、ミサは致命箇所をさける様に動く。が、たとえ非致命であっても数が多すぎた。
「‥‥まだ、まだ‥‥」
 既に満身創痍だが、その意志はまだ折れていない。
 が、次の瞬間。
 イリーナの放った強弾撃をのせた攻撃が、眉間に当たり絶命し崩れ落ちる。
 あっけない終わり方だった。
「TP型を倒した」
 UNKNOWNが味方KVに連絡を入れる。
「幾つかの車両が逃走を企てたけど撃破した」
 不破から連絡によると下水で追撃していた時に幾つかの車両が逃げようとしたらしい。
「その敵はどういう感じだった?」
 そう――その中に他の強化人間がいれば無事終りになるだろうと追儺は聞いた。
「データを照合したけど違った」
 館山で手に入れたデータに出ていた自律型とは違ったようだ。
「――と言うことは、陽動だね」
 紫煙をくぐらせながらUNKNOWNは考える。
「まだどこかにいるのかな」
「早々、遠くには行けそうになさそうだが」
「更地にすれば‥‥って、戦闘中行方不明になるから無理か」
「KVによる探索を強化するしか無いな」
 地図を見ながら考え、相談するドゥ・イレーネ・追儺・UNKNOWN。
 逃走した装甲車を発見した場所と砲撃があった場所、ヘリを狙った場所‥‥。
 この3つを点と線で引いていく。
 
 KV組が生身組からの情報を元に、砲撃を警戒してシールドや煙幕を使った上で探索を行う。
 調べてみると逃走した形跡があった。
 
 傭兵達に連絡が入る。
 
「こちらUPC。敵勢力が包囲を突破し非包囲網の市街地へ逃走、追撃している」
「包囲網内にはいないものと思われるので作戦終了となる」
「諸君、砂漠で砂金を捜すような作戦で強化人間を仕留められたのは素晴らしい」
「さすが歴戦の能力者の傭兵。我々ではこうはいかなかった。協力感謝している」
 UPC軍による作戦終了の連絡だった。
 ドゥはミサと対峙した時のことを思い出す。
(恨まれるのは当然で――慣れているが‥‥ねえ順平‥‥鈴羽さん‥‥彼女達は‥‥君達や僕と同じだったのかな)
 

 終って
 倒された強化人間の検分を行うと以下のようになった。
 TP型強化人間 1体
 AH型指示タイプ 8体
 予想以上に大幅な戦力を削ぐことができた。
 依然、2体の自律型強化人間が逃走している。
 だが、彼らは彼らの意思を通すために現れるだろう。
 
 
 to be continued‥・・