タイトル:ダイエット大作戦マスター:文月猫

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/01/31 06:13

●オープニング本文


年明けのとある朝。いつものようにオペ服に着替えULTのオペルームへ出勤しようとしていた、レニファー・ドレイク(gz0256)。ワンピースタイプのオペ服を着ようとして、ふとあることに気が付く。

「何か‥‥きつい‥‥」

 そうなのだ。年末まではごくスムーズに着られたはずの着なれたオペレーターの制服。だが今それは確かにレニの体には少々きついのだ。

「う〜〜〜ん」

 不思議な表情を浮かべながらどこに違和感があるのかを考えてみる。バスト‥‥いや、これは昔と変わらない。決して大きくなったなどということはない。
 ヒップ? いや。まだまだ妙齢なレニである。とくに○○になっているとかそういうことは‥‥。すると、

「え〜〜〜〜〜。お腹が、き、きつい」

 そうなのだ。この違和感の原因は確かにスリーサイズの最後のひとつズバリ「ウエスト」にあったのである。
 早い話、明らかに年末年始の間に彼女のそのウエストは彼女の意思に反した成長を遂げていたのである
 
 まあ無理もない。考えてみれば年末年始といえば浮かれ気分でついつい飲みすぎ食べ過ぎの輩が増える時期である。もちろんULTに暮れも正月もないのだが、やはり世間一般の影響はそれなりに受けるもののようである。ましてや普段オペレーターという激務ゆえのかなりのストレスにさらされているだけに、「ヤケ食○」の一つもしてしまってもおかしくはないお年頃なのである。しかし体は正直である。その結果がこうして如実に現れてしまっているわけだ。そういえば年明けになって以前より体のラインが妙に緩やかになっていたような気はしていたのだが‥‥。
 むろんレニは若い女性である。ここしばらく自身の体重など計ったこともなくましてやウエストサイズなどとてもではないがそのリアルな数値をみる勇気などなかったのだが。
 やばい。これは明らかにヤバイ。このままではっきりいってワンサイズアップしたオペ服に変えざる負えなくなってしまう。

(なんとかしないと‥‥。いや! こんなの)

 それは乙女ならこの状態になってしまったならだれもが思う当然の事だろう。
 そこでレニ。この太ったウエストをなんとかすべく、ダイエットを決行、しようと考えるのだが、どうも自分一人のアイデアでは心もとないとでも考えたのか、ある秘策?を決行することに。

 翌日。ULTのモニターにこんな依頼が。

「要ダイエットの協力者。詳細はオペレーターまで」

 たったこれだけの、依頼?とも思えないようにこっそり映し出された掲示。そしてその担当者のところに自分の名前が書いてある。
 さて。成功か失敗か。その答えは1ケ月後に明らかになるはずだ。

●参加者一覧

漸 王零(ga2930
20歳・♂・AA
α(ga8545
18歳・♀・ER
沖田 護(gc0208
18歳・♂・HD
悠夜(gc2930
18歳・♂・AA
幽噛 礼夢(gc3884
16歳・♀・DF
桃代 龍牙(gc4290
32歳・♂・CA
蚕(gc4459
16歳・♂・ST
安原 小鳥(gc4826
21歳・♀・ER

●リプレイ本文



(本当の事はとても言えませんわね)

 ため息が聞こえそうなのはα(ga8545)。今回レニとは初対面なのだが、気になるのはレニのことばかりではないようだ。小さすぎる○○も困るが豊満すぎるのもそれはそれで困りものなのだろう。レニのダイエットついでに自分の○○も小さくしたい気持ちは120%らしい。そこで本音は巧みにごまかしつつレニともども気合を入れて臨むのだが。レニと自分が同時にダイエットできればいうことはない。だが甘いものもやめられないのはやはりそこは女性か?
 女性が体型に気を使うことの大変さに改めて納得した様子の漸 王零(ga2930)。ダイエットに最適なのは適度な運動である、と考え無理なくかつ効果的なダイエット方法をあれこれ考えているらしい。
 自分も毎日朝晩の訓練を欠かせない沖田 護(gc0208)は、レニに一緒に同行してもらおうと考えているらしい。が、日常のLHには似つかわしいとはいいがたいAU−KV装備である。まるで朝晩キメラ退治でもしていそうな身構えであるが、どうやらこれが今回レニのダイエットメニューには欠かせないアイテムらしいのだが。
「ダイエットの基本は食事制限、運動、規則正しい生活‥‥この3つだと思います」
 安原 小鳥(gc4826)である。その彼女も普段からダイエットのために「ある事」を日々実践しているので、今回もぜひ試してみたいと思っているらしいのだが、その方法とは?

 こうして依頼を受けた傭兵達めいめいが自分の知識と経験を総動員して繰り広げられるであろうレニのダイエット大作戦。期間は1ケ月。はたしてその結果は‥‥


 朝。一日の始まり。

「ふああああ。まだ眠いわね」

 それまでの日常より早めに起きることになったレニ。実際早起きは苦手なのだが、今回は事が事だけに彼女も自分なりに真剣なのであろう。もっとも早起きの結果、今まで味わったことのない新鮮な朝のLHの空気が彼女の肺に飛び込んでくる。
 思えば昨晩。『ダイエット壮行会』などと銘打ってケーキと紅茶を楽しんだことを思いだす。それは自身もダイエット希望のα主催。ダイエット期間中は甘いものはご法度になるやもしれないので、ということらしいのだが、とは言っても甘いものをまるっきり断つ、程の固い決意はできなかったようでシュガーレスの甘いものを調達してきたα。せめてダイエットメニュー実行中はこれで我慢しようということなのだろう。
 そんなレニの朝の運動に同行する者はほかにもいる。沖田もむろんそうであるし、
「レニの為にも皆で力を合わせなきゃね‥‥」
 と決意を語っていた幽噛 礼夢(gc3884)。実際自分もダイエットを実践したいらしく、自分のその着物の中に事前に重りを仕込んでいたりもするのだが、果たしてこれで効果があるのかはどうかは定かではない。知り合いの悠夜(gc2930)に誘われ軽い気持ちで参加した面もあるのだろうが、やはりそこは彼女も女性。いろいろ気になる部分は気になるらしい。
「それじゃ頑張ろうね」
 やはり仕込んだ重りは重いらしく、まさに「頑張ろう」が実践されているようだ。
 
 早起きしてやるダイエットメニューといえばやはり「ランニング」ということになるのであろうが、朝からあまりハードなメニューではその後の仕事に影響する、と考えた漸や過度な運動がかえって筋肉をつけてしまう、と思う安原の提案で「軽め」のウオーキングのようなジョギングのような負担のないメニューを実践することに。
 だが。単に単調なメニューではすぐに飽きてしまうとでも考えたのか蚕(gc4459)が思いついたアイデアに沿ったジョギングが実践されることになる。その為に彼自身が持ち込んだ小道具が活躍するのだ。
 ゆっくりと早朝のLH内を行くレニ達ご一行。とよく見ればその前方になにやら小動物のようなものが付かず離れず先導しており彼女たちはそのあとを追いかけるような形になっている。

 猫? 見ればそれは確かに猫の形をしている。だが本物の猫などではむろんない。これこそ蚕が持ち込んだ自動ロボット猫、なのである。早い話、レニが猫好き、と聞いた蚕が考えたのがこれ。
 大好きな猫を追いかけることによって知らず知らずの内に楽しんで朝トレを実践してもらおうということらしい。あえてジグザグに走る猫。それを追うレニ達。こうしてたぶんレニにとってはあまり苦痛を感じることがすくないかも知れない早朝のトレーニングが行われるのであった。
 そんな蚕。レニへのあいさつ代わりにこんな一言を。
「今回依頼を受けさせてもらったが、私は人間観察が大好きだ。なので、今回の結果には、期待をしている」
 そうである。確かにダイエット中の人間の素の行動を観察するのはそれはそれで面白いかも知れない。

 そして。軽めの運動を終えた後は、朝風呂である。とはいってもダイエットのために行うので基本「半身浴」である。これはこの行為によって代謝を上げ、エネルギー消費を効率化させようと考える桃代 龍牙(gc4290)の提案である。そんな彼。前日の壮行会の折には自作、というヘルシーな新作スポンジケーキ‥‥とはいっても材料はおからと豆乳、というおよそケーキには似つかわしくない代物なのだが‥‥を持ち込んで、
「よっし、それじゃみんなで俺が買ってきたケーキを食べてお茶会だ」
 などとふざけていたのであるが、内心、今回のダイエットは自身、身につまされる話らしい。どうやら今年の正月ついドカ食いをやってしまって‥‥らしいのだが。


 ダイエットに欠かせないのは安原の言うとおり、運動、規則正しい生活、食事制限である。先の2つは本人のやる気と努力によっては何とかなるかも知れないが、最後の1つは個人ではなかなか実践しにくいと思われる。ので、それを強力にサポートすべく参加したのが彼、悠夜である。料理のレパートリーが増え、かつダイエットメニューつくりに励める、とあって大いにやる気と乗り気満々の様子である。食事面からのケアはこれで万全かも知れない。
 あらかじめ1日のカロリーを決め、その範囲内でバランスのとれたかつヘルシーな食事つくりに励むのだが、そうなると朝、昼、晩、3食をつきっきりで調理することにもなる。これは端的に言えば「通い妻」‥‥いや、男性なのでこの場合は「通い夫」‥‥いや名誉のためにいうなら専属コック、ないしは栄養管理人、といったほうが的確かもしれないが。
 だが、この「管理人」意外ときびしい。なぜなら、

『間食絶対禁止』

 らしいのだ。

(え〜〜〜。間食禁止って、そりゃ確かにダイエットの為には)

 と思うレニなのだが、現在実際日々のオペレーター業務で最大の楽しみは、仕事の合間に仲間たちとワイワイ言いながら楽しむ「おやつ」なのだから、これは確かにキツイかもしれない。人間日々の習慣を変えるのは大変なのだ。ましてや自分が好きなものを取り上げられるのは‥‥
 が、そこは彼も考えているらしい。間食は禁止だが甘いもの、まで禁止しているわけではないらしい。メニューの中にはデザートとして、『あんみつ』まで用意しているらしいのだ。これでなんとかしのげそうだと密かに思うレニ。だが誘惑はじっとその手を広げて待っていたりもするのだ。
 で。その3食であるが基本的には桃代が薦める、『和食』中心のメニュー。普段和食になじむことのほとんどないレニにとって、これは逆の意味で新鮮である。だが基本的に薄味の和食は慣れていないとどうにも味わいがない、気がするのだろう。野菜の甘み、魚の旨み、よく噛んで味わえば調味料も控えめ、塩分過多にもならず糖分も抑えられる、というところだろうか? レニの食べ過ぎを防ぐ為に、皆で毎朝集まって自炊、も提案する桃代。

 こうしておそらくヘルシーであろう朝食を愉しんだあとにも、ダイエットのための密かな方策が。
 それは通勤である。
 むろん決して狭くはないLHである。ULT本部に向かうのにあたっての通勤手段。それはズバリ『自転車』である。いうまでもなく自転車漕ぎ運動はいうなればダイエットの定番。ならばこれを利用しない手はない、というところである。朝のさわやかな空気の中、気持ちよさそうに自転車を漕ぐレニ。ULTに到着するころにはほんのり汗ばんでいたりもするのだ。

 かくして。傭兵達のアイデア満載のダイエット作戦は朝から全開でレニの少しばかり超えたウエストを刺激する。それと同時にいままで味わうことのなかった言い知れぬ一種の爽快感を醸し出す。
 これが1ケ月続くのである。その効果はいかに。


 昼休み。今までと違うのはランチタイムに広げるのが悠夜手製のダイエット弁当である、ということ。幽噛の手伝いを受けつつ作ったと思われるそれは今まで味わったことのない味。最初こそその味になじめなかったレニであるが、徐々にその味にも舌が慣れたのか素材の持つ独自の旨みを感じられるようになってきた。
 が。作る方にはそれなりの苦労が‥‥

「あの‥‥僕にも手伝えることはあるかな‥‥」

 手際よく料理をする男性たる悠夜を手伝おうとするのは女性の幽噛。だがそれにはなにやら立派な理由が。どうやら彼女。包丁というか刃物を持つと性格が悪い意味で豹変する。その為あえて包丁を積極的に持つ、という行為には多大な危険とリスクが伴うらしい。
「何からはじめればいいカナ‥‥クスクス」
 うっかり刃物に触れようものならたちどころにその性格の片鱗が顔をのぞかせる。危ない、危ない。
 そんなともすれば危ない光景が裏で展開されているとは露も知らないレニ。朝からのダイエットトレーニングで以前より空腹感を覚えているためか、いつもより食事のペースが速い。かつ何か物足りない気も‥‥いやいや。ここはダイエットの為、心を鬼にして頑張らねばならないのだ。

 そして食後のデザート。今までなら確実にダイエットによくなさそうな素材のものを口にしていたのだろうが、今は悠夜のつくったあんみつがデザートである。

「ほら。デザートのあんみつだ。じっくり味わって食えよ。この俺が他人に料理を振る舞うなんてめったにない事なんだから」

 どこかツンデレ風のそういったセリフが聞こえてきそうである。さらには休憩時間にこっそり間食でもしたことがバレようなものなら、キツ〜〜イ彼のお小言が飛んできそうであるのでジッと自重するレニであった。これも痩せる為である。がまんがまん。だがどうしてもがまんできない場合、その時にもダイエットの為、沖田が進めた『蒟蒻ゼリー飲料』でその空腹感を多少なりとも満たす。蒟蒻ならほとんどカロリー0だからだ。

 こうして勤務中にも徹底したダイエットな食生活が1ケ月の間続く。それもこれもすべて自分のウエストの為‥‥である。頑張らねば、と思うレニ。


 そして1日の終わりの夜である。帰宅し、シャワーを浴び、例によって手製の夕食を口にするといよいよ夜のダイエット開始である。夕食は漸提案の『精進料理』。食べる量を変えずに摂取カロリーを抑えるメニューである。満腹感を同時に得るためでもある。さらにもう一工夫。安原が自らも実践しているという、夕食前の『ところてん』摂取である。だがレニはすっぱいものが苦手、ならば、と安原が考えたのが黒蜜。これを食事前に摂取することによって夕食の過多を防ぐ狙いもあるのだ。

 そして夜の運動。基本的にあとに疲れを残さない朝のダイエットと違って、夜は多少のオーバーワークもある程度は許容される。だがあまりにハードでも継続しない。そこで漸曰くところの『スロートレーニング』。1動作をゆっくり行うことで普通より高い効果が与えられかつ基礎代謝量も上がる、という実に都合のいいトレーニングらしい。さらには筋肉がつきにくい、といったこともあるらしい。

 が、それだけではない。ダイエットの為、という大義名分で時には少々過酷?とも思えるダイエットメニューが彼女を待っていたりもする。

「はい、では腰を入れて何度でも打ち込んでください」

 AU−KV装備で準備万端の沖田が声をかける。そう週何回か夜に行われる一見特訓のようで実はこれもダイエットメニューの一環。練習用の武器で目一杯レニに打ち込みをさせる沖田。自分自身の鍛錬も兼ねているので手抜きはなし、である。当然想像以上に息は上がるし、夕食で摂取したカロリーの消費にもつながる。適度というには多少なりともハードかもしれないがそのことが疲労とそしてそれにともなう深い睡眠を呼び、夜の間食を防げる、とあればまさに漸のもくろみも果たせる、というわけである。むろんダイエットの為、ということであればレニも真剣である。
 さらには筋トレ、である。筋肉をつけ、太りにくい体質にできればという沖田のアイデアなのだろう。ときには桃代おすすめのブートキャンプとやらがそれに加わり、その際は息が上がるほどのメニューになることも。だがすべてはダイエットの為、と割り切るレニ。

 そして体からばかりでなく精神面からもダイエットに取り組むのが蚕、である。ここでも登場するのが猫、である。
 夜な夜な自宅でヘルメットを装着するレニ。そこにはやはり好きな猫の映像が流れるようになっている。はたしてこれが本当にダイエットに効果があるかははっきりしないが、その間電気マッサージや可変ダンベルを使ったトレーニングと併用することで効果をだそうということなのだろう。そし漸のアドバイスで紅茶などを積極的にとる‥‥。ダイエットプログラムとしてはむしろ当たり前のことなのだろうが、今までそんなこととはほとんど無縁だったレニ。彼女にとっては想像以上にハードに感じていたようでもあった。


 こうして半月経過し、レニはふとあることに気が付く。心なしか半月前よりウエストのたるみが少なくなっていることに。そう。ダイエット作戦の効果が確実に現れたのだ。それを知ったα。お祝い会、と称しこっそり甘いものの誘惑にレニを誘う。

「LHに新しいケーキ屋さんができましたの」

 レニを誘う彼女はまるでイタズラを仕掛ける子供のようですらあった。

 そして1ケ月頑張ったレニ。してその成果はいかに?

 そう。レニのウエストは確実にワンサイズダウンし、すっかり昔のサイズに戻っていたのである。ダイエット作戦成功である。
 がその一方‥‥。αの大きすぎたカッ○サイズの方は、彼女の希望も虚しく‥‥な結果に。依頼終了後、どこかションボリしているα。

 だがしかし。確かにウエストダウンには成功したレニだったが‥‥。

「あれ? キ、キツイ‥‥?」

 その後すぐに、ある体型の変化に気が付くレニ。そう、確かにウエストは減った‥‥が、彼女のその二の腕と太ももも周りはあきらかに今の彼女のウェアではきつすぎたのだ。新たな目的発生である。

END