タイトル:掘ってみようマスター:文月猫

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/05/20 23:09

●オープニング本文


 一見、ちょっと風変わりな依頼がULTのスクリーンに映し出されていた。

『掘ってくれる傭兵、募集中』

「掘るって、なんだ?」

 確かに、これだけでは何のことかよくわからない。ので、オペレーターに詳しい話を聞くことに。

「ああ、これですね。某有名伯爵が資金援助なさったとかいうやつ」

 オペレーターはきわめて機械的に答えた。

「某有名伯爵って‥‥まさか、あのお方?」

 などと、事情通の一部傭兵が騒ぎ出す。

「詳しいことは知りませんけど。依頼の内容の詳細は、ここに書いてあります」

 オペレーターは傭兵たちの目の前に依頼書を差し出した。
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 スカンジナビアのある地域で、最近、中世欧州のものと思われる遺跡が発見された。発見したのは、地元の大学の若手考古学者。発見したのは、かなり前なのだが、どうにも資金不足、すなわちスポンサーが見つからないまま、手に手をつけなれない状態だった。で、そんな中、学者先生が伝え聞いたのが、欧州の某有名伯爵にして、仮面の貴公子と謳われるさるお方。さっそくお願いしたところ、実に気前よく、発掘資金を提供してくださるという。ただし、条件がひとつ。すなわち、『発掘員とか助手が必要なら傭兵に依頼されたし』ということらしい。‥‥というわけで、今回の依頼となったわけである。

●参加者一覧

御山・映(ga0052
15歳・♂・SN
鳥飼夕貴(ga4123
20歳・♂・FT
百地・悠季(ga8270
20歳・♀・ER
ジェームス・ハーグマン(gb2077
18歳・♂・HD
雪火(gb4438
24歳・♀・SN
雨夜月(gb6285
13歳・♀・GP

●リプレイ本文


 果たして学者先生の発見の成果がいかほどのものかは、すべて発掘の結果次第と言うわけである。さらには、今回のスポンサーがあの、『仮面の貴公子』様である。世紀の大発見でもあろうものなら、彼の影響力を持ってすれば、欧州ばかりか全世界の学会やその道の権威によって、きわめて高い評価を得ることだって可能である。この若き学者先生、決して顔には出さないが、名誉とか評判といった社会的の自分の立場に意外とこだわるタイプのご様子。何か必ず、すごいものがでてくる事を信じて疑わないタイプのようである。しかも、今回は資金も潤沢で、普通の遺跡発掘とは思えないような装備・機材まで用意する周到さ。‥‥とはいうものの、実際に発掘するのは、結局はいわゆる手作業である。だから、傭兵たちがここに呼ばれたのだ。

「え〜〜。参加していただいた傭兵の皆様。ご苦労様であります。コホン」

 現地へ着くなり、傭兵たちを集めて、まずはご挨拶?からはじめる学者先生。まだ若いというのに、すでに髪の毛は一部後退しつつあり、それを隠すのに、無理に髪の毛をいじっているので、かえって妙な髪形に。どっちにしても、年齢相応には決してみられない容貌であることは確かだ。しかも、変にもったいぶった口調が実にアンバランスである。思わず笑いをこらえる傭兵たち。まあ、あのお方がスポンサーということで、本人かなりテンションあがっている様子。

「ご存知かと思いますが、今回の発見は、実に学術的価値が高いものと思われ‥‥コホン‥‥今回、発掘作業にあたっては、より細心の注意を持って当たられたし‥‥」

 などと、当たり前のような講釈をもったいぶって延々と述べる。つまりは、遺跡とは言っても、考え方は化石発掘と同じで、「慎重に」「繊細に」「注意深く」ということなのだが、それをまたわかりずらく、長々と講釈する。内心うんざりしつつ、仕方ないので神妙に話を聞くふりをする傭兵たち。あのお方がスポンサーとあれば、邪険に接するわけにもいかず‥‥。で、最後に

「何かご質問はありますか?」

 とやっと傭兵たちに話を振り向けるので、

「われわれの拘束時間はどのくらいですか?」

 と尋ねる百地・悠季(ga8270)。彼は、今回の依頼に備え、完全屋外装備で望み、ツナギやら軍手、マスクまで用意し、野宿の準備もしてきたらしい。実に備えがいい。

「え〜〜。とりあえず、明日までの2日間ですが、スポンサー様のご好意により、ホテルにお部屋をリザーブさせていただきました。もちろん食事つきで。ですので、存分に発掘作業に従事していただけると思います」

 と、もったいぶって語る学者先生。眼の色が変わる傭兵たち。さすが、仮面の貴公子様である。傭兵たちにたいする心配りにも抜かりはないようだ。なんといっても金はあるだろうから。

「すごい、さすがはあのお方。やはりよくわかっていらっしゃる」

 とは誰かの声。とくに、唯一のカンパネラの生徒であり、単位獲得のために今回の依頼に参加した、ジェームス・ハーグマン(gb2077)などは、眼をキョトンとさせ‥‥。かくして、夜の楽しみが加わった傭兵たちは勇んで、発掘作業に従事し始めた。


「はい、そこらへんは何かでてくるかも知れません。注意してください」

 肝心なところではテキパキ指示を出す学者先生。遺跡そのものは結構大規模なので、まず重機で全体的に浅く広く土をどけたあと、傭兵たちが手作業でスコップ等を使い、丁寧に、かつ時には大胆に、ゆっくりと掘っていく。学者先生によれば、ここらあたりは、中世に存在した村の集会所兼協会跡らしいので、それに相応しいものが出てくるのではないかとの事。

「アクセサリーとか宝石とかでてこないかな? ドレスだったら着ちゃうかも」

 とは鳥飼夕貴(ga4123)。どうみても女性なのだが、実は立派な♂である。旅回りの一座の花形女形だったらしいのだが、どうみてもコスプレである。口調はすでに女っぽい。集会所に宝石があるかどうかはわからないが、多分、貴金属は出てくるだろうとの事である。

「分類整理は、私がやりますね」
 
 とは、ジェームス。指示にしたがって黙々と雑用をおこなうということである。なかなかに頼もしい。

「掘るときは念には念をいれてね」

 といいつつ、慎重に掘り進める、雪火(gb4438)。何がでてくるのか、今から待ち遠しいといったところ。

「こういう時って、意外と直感が役に立ったりするんですよ」

 と、雨夜月(gb6285)。鼻歌を歌いながら楽しそうに掘り進んでいく。もちろん、直感を頼りに。彼女も実に楽しそうである。しばらく掘るうちにだんだんなれてきたのか、スピードも速くなり、深さも徐々に深くなっていく。途中休憩を挟みつつ、見た目にも豪華そうでかつ味も文句のない昼食をはさみながら、作業は続く。‥‥。いままでのところ、木の葉とか木の枝とか、いかにも古そうな材木片とかは出てきたが、まだお宝、と呼べるものの気配はなし。だが、まだまだ堀ればなんかでてきそうだ。期待をもたせつつ作業する。


「あ〜〜〜。なんか発見」

 最初の声は、鳥飼からのものだった。何か、ガラス風の音のする埋蔵物にぶつかったと言うのだ。学者先生はじめ、皆がかけよる。それは少し地上に顔を出していた。‥‥さらに丁寧に、手で土を取り除く。と出てきたのは、中世風の装飾らしきものが施されているであろう、見た目グラスらしきものの破片。さっそく泥を払い取り上げてみる。それはやはり、装飾が見事なグラス片だった。‥‥喜ぶ鳥飼。さっそく学者先生が、じっくりと観察。曰く、集会所での会食等に使われたものらしいとの事。その状況を想像する傭兵たち。これで、一気に他の埋蔵品への期待が膨らむ。

「砂に覆われているのものもあるからいっそう慎重にせねば」

 と百地。グラスがでてきたからには、当然食器もあるはずである。今回彼は、ぜひ古い食器を掘り当てたいと、心ひそかに願っていたのである。

「ここらで、一息いれませんか?」

 と気が利くジェームスが用意したコーヒーでブレイク。それまでの疲れが吹き飛ぶ傭兵たち。そして、作業ピッチも上がる。と、

「あれ? なんか出てきましたよ」

 とは、雨夜月。何か掘り当てたようだ。そっと泥を落とす。明らかにそれは丸い小さいいくつかの金属の塊‥‥。まさかお金? と思う傭兵たち。手に取る学者先生。そう、確かにそれは中世のこのあたりで使われた貨幣だそうである。古銭としての価値もあるらしい。ひそかにほしい、と思うが、いかんせん発掘物なので、個人所有はできない。

「こちらも何かでてきました」

 今度は雪火。彼女が手にしたのは、十字架の形をしたイコンのようなもの。多分、協会で礼拝の時に使われたものかも知れないとの事。現代でも、アクセサリーとして身に着けられそうなほどに傷もなく見つかった。思わずどよめく傭兵たち。‥‥かくして、1日目の作業は無事に終了し、お約束どおりご一行は、高級ホテルでしゃれた夕食と、こぎれいな部屋での一晩を過ごしたのであった。


 さて、2日目。前日のこともあり、前日以上に作業に熱がはいる傭兵たち。かなり掘り進んだので、何かでてきそうな気配が濃厚である。‥‥とそんななか、いかにも古そうな食器を掘り当てて喜ぶのは、百地。暑いのか、ツナギの上半身を脱いだ格好である。そんななか、発掘物にタグをつけて、場所ごとに分類整理するのは、ジェームス。意外とこういった作業に向いているのかも知れない。さらに、当時の東洋のものと思われる陶磁器も雨夜月によって発見されたり、雪火が発見したのは、女性がはいたと思われるクツの破片だったりと、いよいよ発見物もバラエティーに富んできた。収穫が多く、何か出るたび興奮する傭兵たちと、それらを手にとっては、もったいぶってニヤニヤと笑う学者先生。実際、自分が思っていた以上に、発掘されるので、ついついうれしさを顔にだしてしまったらしい。古いバックルらしきものや、騎士の甲冑?の破片やら、豪華な細工の燭台が発掘されるにいたっては、どうやってこれらを報告しようかと、早くも興奮が冷めやらぬ、といったご様子。ほりだした傭兵たちも、決して自分のものにはできないけれど、まるで自分の持ち物になったかのような喜びよう。多少大きなものは、ジェームスが力仕事を担当してくれて。

「わ〜お」
 
 中世の女性風の衣装らしきものが発見されたときにいたっては、思わず女性言葉になり、妙にオカマチック?なキャラに変身かと思わせる鳥飼。たぶん、今回本人がもっとも期待していた発掘品であろうと思われる。その傍らでは、学者先生が、なにやら難しい顔をして、ノートとにらめっこしていたりで、和気あいあいの中にも、それなりの成果を出しながら発掘作業は大詰めを向かえつつあった。


 かくして2日間にわたる発掘作業は、無事に、かなりの成果を残して終了した。学者先生曰く、

「今回の成果については、後日学会で発表させていただきます。もちろん、その際には皆様のご協力についても触れさせていただきます」

 と一言あり、その労がねぎなわれた格好になったのだが、そんな中で、

「これ、着てみたんだけど‥‥」

 帰り際、発掘したドレスらしきものを着て、なにやら悦にいる誰かさん。発掘品を実際に試着してしまったらしい。思わず苦笑する他の傭兵の傍らで、発掘品の数が計算上たりないと、あちこちあたりを探し回る学者先生。その風景はまるで喜劇の1シーンのようであった。ちなみに、学者先生の学会での発表がどうなったかというと‥‥。