タイトル:【初夢2】男と女がえ?マスター:文月猫

シナリオ形態: イベント
難易度: 易しい
参加人数: 5 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/01/13 22:45

●オープニング本文


※このオープニングは架空の物になります。このシナリオはCtSの世界観に影響を与えません。
この依頼に参加された場合、HP、練力の消耗、アイテムの消費などは一切ございません事をあらかじめ御了解ください。なお、申し訳ございませんが、相談期間中の拘束は通常通りに発生します。事前にご了承のうえご参加ください

 もし、LHであなたがこんなことに巻き込まれたらどうしますか?

 某月某日。LHの上空に静止する謎の円形の飛行物体があった。もちろんそれを飛ばしているのはバグアである。それははるか宇宙空間から飛来したようにすら思える。
 この物体。一見すると円盤型UFOもしくはギガワームのようにも見えるが、なにやら胴体下部に大きな筒状の発射装置のようなものが据え付けられ、それはちょうどLHに照準を合わせるような格好。
 すわ、ついにバグアがLHに直接攻撃か? と思われるこの光景。この物体ははるか高空、そう成層圏よりも高いところにいる為、人類側が探知できるものでもなく。
 するとその筒状の発射装置から、なにやらやわらかいほのかな白色の、そう太陽の光にも似た光線がゆるやかにLH上空に向けて発射された。発射を終えるとその物体はいずこへか飛び去ってしまう。
 その光線は、太陽光線に混じって、ゆるやかにLH上空に到達するとやがてLH全体をやわらかく包むように降り注ぎ、何事もなかったかのように消滅した。
 その時LHの屋外、つまり広場とかカンパネラの校庭とかそういった場所にいた傭兵達は、一瞬自分の身に何が起きたのか理解できなかった。ただ光が振り注いだ瞬間、何か妙な気分になったことぐらいであろう。がそれもすぐに元に戻り、何事もなかったかのように日常が戻ってくる。

 だが翌朝。彼らの身に起きたとんでもない事態とは‥‥。
 その日いつものように目を覚ます、とある傭兵。今日もすがすがしい朝が始まる‥‥、と思ったのだが何か普段と違う妙な言い知れない違和感。そう、今まで決して感じたことのないような奇妙な感覚。
「きっと疲れが抜けないんだ」
 と思った傭兵もいるに違いない。最近バグアとの戦闘が激化しているから、などと思いつつベッドから身を起こす。おや、やっぱりなんかヘンだ。そう、自分の身体が自分でないようだ、というか完全に自分ではないのだ。
 え? 何? なんか身体の構造そのものが変わったような‥‥。そのあまりにも異様な体感に一瞬何が起きたかわからないまま、ベッドから起き上がり鏡を見る。その瞬間。LHのあちこちでほぼ同じように沸き起こる悲鳴と叫び。それは男女問わず、みな同じであった。
「うわああああああ。お、俺が‥‥、オ、ン、ナ‥‥になってる!!!」
 と叫ぶ元男性だったはずの傭兵。かたや、
「きゃああああああ。わ、私が‥‥、オ、ト、コ‥‥になってる!!!」
 と叫ぶのは元女性だったはずの傭兵。そう、コレはまさに悪夢以外の何物でもない。悪夢なら早くさめてほしいとばかりに自らの頬をつねる者も。
 だがそれはまさに現実なのだ。そこには昨日怪光線を浴びた結果、性別が入れ替わってしまった多数の傭兵達が呆然としてその場にたたずむ光景が展開されていたのである。
 バグアの放った怪光線。それこそ、人類を恐怖に陥れる「セックスチェンジビーム」だったのである!!

●参加者一覧

/ 藤田あやこ(ga0204) / 長門修也(gb5202) / 巳乃木 沙耶(gb6323) / 希崎 十夜(gb9800) / 9A(gb9900

●リプレイ本文

●〜悪夢の始まりは朝〜
 その日も何事もなく1日が始まるはずであった。少なくとも目覚める瞬間までは。LHのそこかしこで多くの傭兵達がそう思っていた。まさかあんなことになるとは。

「きゃああああああああああ〜〜〜」
 とLHのそこかしこで響き渡るこの世のものとも思えぬ女性?の悲鳴。それはほぼ時を同じくし、いたる場所からほぼ同時に沸き起こる。
「これは〜〜〜〜〜。いや〜〜〜〜」
「ウソよ。これは、夢だわ。ぜったいいいいに夢なのよ!」
 と続けざまに起こるそんな叫び。まるでこの世の終わりが来たかとも思えるその叫びは、LH内にとどろき反響しその余韻を残す。さらに遅れて沸き起こる新たなる悲鳴も。
 そう。これはそんな悪夢を体験した傭兵達の偽らざる記録である。

●〜まずひとり〜
 サイエンティストの藤田あやこ(ga0204)。多忙なサイエンティストとして日々寝る時間もないほど忙しい。この日も徹夜での研究疲れから、自室の机上でうとうとするうちに夜明けを迎える。昨日は屋外でなにかへんな光線をあびたなあ‥‥、などというかすかな記憶があるものの以後の記憶があいまいなままである。
 差し込む朝日にふと眼を覚ます。机の上でいつのまにか寝てしまったことに気がつき、身体をゆっくり起こそうとしたその時、自分の身におこった尋常ならざる異変に気がつく。
「え? 何? この妙な感覚?」
 それはかつて経験したことのないような不思議な感覚。そう。いままでの自分ではない自分がそこにいるような妙な感覚。身体の一部がいいしれぬヘンな感覚なのだ。
 あわてて自室の中の姿見に自分の姿を写す。いつもと同じ自分がそこに写しだされることを期待して。だが次の瞬間、
「いやあああああああああ。なんで〜〜〜〜〜〜」
 と耳を劈くような絶叫があたりにとどろく。

 そう。その姿身に映った自分は、まごうことなき美少年そのものだったのである。
「えええええええええ」
 とさらに叫ぶ。あわてて体中バシバシと。頬もつねる。夢なら覚めてほしい。これって、夢だよね? 夢。と自分に言い聞かせる。だがそれは紛れもない現実。あわてて自分の上半身の主武装を両手で確認する。
「な、ない。しかもなんでココにこれがあるの〜〜〜〜」
 と下半身に手を伸ばし主武装がすっかり入れ替わってしまったことに愕然とする。寝起きのままの顔で無我夢中で部屋の外へ。さらには屋外へと走り出す。
 そして彼(元彼女)の藤田は自分の身に起きたことをはっきりと理解した。明るい陽光にてらされたその影姿はまごうかたなき男性そのものである事を。そして彼(彼女)と同じように、意味不明の絶叫をあげながら部屋の外へ飛び出してきたであろう多数の傭兵の姿をまのあたりにする。
 そう。これこそ昨日の怪光線を浴びた女性傭兵達の1夜明けての姿だったのである!

「陰謀だ〜〜〜〜〜〜」
 と阿鼻叫喚な叫びがあちこちで沸き起こる。だが陰謀であれなんであれ、起きてしまったことは事実。さっき姿見で見た自分は腰まで長髪でナルシスト風の美少年。
 だが仮にも自分はサイエンティストだと言うことを思い出すや否や、とっさにナルな美少年風キャラが立つ。
 瞬時に立ち直るやいなや、キリっと顔を引き締める。
「ふ。私、僕は立派なサイエンティスト。陰謀? 背後霊? そんなものは科学の前では馬鹿馬鹿しい迷信。科学の輩としてそんなものを認めるわけにはいかない。そう。今日から僕は藤田彩虎」
 とその長髪を掻き揚げたちどころに現状を肯定する藤田。陰謀も背後霊も被害妄想だな。いやそこまでくれば立派な芸術、などとうそぶく。が次の瞬間ふと我に返る。そして自分が今身に着けているものに気がつく。

「って、セーラー服って。なんで〜〜」
 しかも女性だったときに覗き対策に普段はていたブルマまでしっかり装備しているではないか。これはまずい。
「何やってるんだ、俺」
 すでに言葉遣いも立派な男性。しかも女性であった記憶はどうしたのだと、言いたいほどの変貌振り。怪光線は記憶まで失わせているのか?
 あわてて自室に転がるように戻る。早く男物を物色しなければ。このままでは確実にヘ○タイと思われてしまう。だが無常にもクローゼットから出てる服は女物ばかり。
「だあああああああ」
 と絶叫する藤田。かくしてまずは男物の衣装探しから始まる今日1日であった。

●〜2人目は〜
 同じ頃。巳乃木 沙耶(gb6323)も自分の身に起きたことに愕然としつつ見た目は冷静にその事実を事実として受け止めていたように見えたのだが。
「いやいや。待て待て。落ち着くんだ俺? ‥‥。って、何ゆえ俺? すでに言葉まで変わっているのか」
 とまずは冷静に振舞うよう自分に言い聞かせる巳乃木。実際藤田のように阿鼻叫喚な叫びこそなかったが、自身確かに昨日屋外で怪光線を浴びた事実をはっきりと思い出す。だが内心は起きてしまった状況を必死に把握しつつ、半分凹みモードに入っていたのは内緒である。
 藤田と同じように完全に男性化した彼女。スラリとした細身で髪の毛は黒髪に一変し、髪型もストレートロングに変わってしまっていた。鏡に映るその顔は整っているが無表情でかつクールさが同居したような表情。

 そんな鏡の中の自分に満足したのかそばにおいてあった衣装に手を伸ばす。それは黒いスーツ姿の執事服、さらには白手袋と片眼鏡、といった完璧な執事スタイルである。え? なぜこんなものが手元に? そう。これは男性用に見つけてきたものを女性用に仕立て直そうとあらかじめ用意しておいたものなのである。まさかこれがそのまま役に立とうとは昨日までは想像すらしなかったであろう。
「うん。完璧」
 と着こなしも見事にきまり男性化したその姿に思わずニヤリとするその表情までどこかクールで男性的。そこにはかつて女性だった頃の面影は微塵も感じさせない。かつてそうであった大食いもたぶんそのままであろう。
「‥‥。とりあえず身体を慣らすか」
 といそいそと自室から表へ出かける構え。一体どこへ行くのだろうか? もし誰か知り合いとすれ違っても、絶対に巳乃木だとは気がつかない。このシチュエーション。これはこれでなかなか面白いものだと感じつつ。

●〜微妙に怪しい?3人目〜
 ここにいる一人の傭兵、希崎 十夜(gb9800)。彼?もその被害者である。で。この彼。もともとの外見からしてぱっと見は女性に限りなく近い。赤の他人がみれば女性といわれても不思議はない容姿である。でさらにもし覚醒でもしようものらな後ろ髪が伸びるのでなおさら。常日頃夢にでてくるのは女性である自分。髪を下ろしたその見た目からも女性、と区別してもいいかも知れない。
 で、この男性化?した希崎。自分が人類学的には男性であろうが女性であろうが生き様には変わりないと考える。決して分類上は女性というには抵抗があるかも知れないが、普段女性傭兵でとおってしまうのでこの際誰がみても誤解されない姿形になってしまったことはプラスだったのかも知れない。

「男だろうが女だろうが俺様の生きがいに変わりはねえ」
 と男言葉ではっきりと言い切る。誰が見ても100%男性にみられることに感謝しなければならないのか? ある意味、怪光線の影響がよい結果を招いた数少ない傭兵の一人かもしれない希崎である。

●〜納得の4人目〜
 だが。そんな男性化を逆に喜んで受け入れる元女性傭兵も少なからずいるのだから、怪光線がもたらしたものは悪い結果ばかりではないようだ。 ここにもそんな思いの男性化した傭兵がひとり。
 9A(gb9900)ことアンジェラ・レノックスはもともとからして男装の麗人。嗜好もくだけて言うところのバイ、である。しかも男性化歓迎ときているらしい。どちらかというと女性が愛情の対象としてお好みらしいのだ。
 
「多少は驚いたけど。いいね。この状況。むしろ男の方がいろいろ楽しめそうで」
 ふふ、となにやら艶かしい微笑をする。元々男女のこだわりはない。あるのは美的嗜好?だったり。
「せっかくだから大いにこの状況を楽しみましょう」
 と御満悦の表情。普段から男装なので逆に男性化してより男物がフィットした感じにも。見かけ少し筋肉がつき背が高くなったもののそれ以外は以前とほとんど変わらずで、さらに声もクールで甘いものに変化。
 もっともさすがに女性時代の服装では今の自分には窮屈なのか、実父より衣装を拝借したらしい。だがその服を見るなり、
「パパ。センス古いなあ」
 などと文句を言い始める。なんといっても父親世代のセンスである。そのダサすぎるレトロ感にいろいろと不満があるらしい。ワッペンだらけのフライトジャケット、使い古しのスニーカー等等。そのセンスの悪さに実の父の物であってもなかばあきれた風。だがそんな父含めアンジェラの家族は彼女?の男性化に喜んでいる様子。ことに父親は自ら率先して衣装を貸し出す始末である。なんとも微妙な家族ではある。

 かくして。男性化した彼?(元彼女?)らのそのなんともな1日とは?

●〜何故かBL〜
「そこまで極めてな〜〜い」
 と叫びつつ男物の衣装を物色していた藤田。やっとの思いで見つけ出したのは他ならぬ漢の正装たる?「浴衣」である。これでやっと一安心、と言いたいのだがどうも様子がおかしい。見れば先ほどまでの美男子風情はいつしか消え、徐々にそこらのオッサンぽく変貌を遂げているでないか? どうやら怪光線の当たり方が悪かったようで、身体にへんな作用を与えてしまっているようである。果たしてこの先どうなるのだろう? という不安が見え隠れする。
 それでもやっとの思いで見つけた浴衣。これこそ漢の着物、と言わんばかりにそそくさと袖を通しつつ、なにを思ったか洗面所へ。ふと下着が大石張りのFUNDOSHIではなくパンツであることに気がつくが、そこまでどうにかする余裕はない様子。そのまま洗面所で、その自慢の髪をバサバサと切り始める藤田。
「てやんでい」
 これでどうだ、と言わんばかりに街に繰り出す。幸い誰一人気がつくものもなく。いかにも最初から男として生まれてきた、と言う顔をして肩で風を切る。

 だが怪光線の怪しい影響か?なぜかノーマル路線ではなく薔薇属性に走り出す。
「ヘイ。僕と一緒にめくるめく時間を」
 と街往くイケメンと思しき男性に声を掛けまくり、すわBLの世界? と思わせるが単に適当にお茶する程度で終わる。だがそんなこんな事を町中で展開している間にもさらに急速に進む老化。中年のオッサンからやがて掛け声をかけなければ立ち上がれないほどのジイサンに退化する。
 しかもそれにあわせるかのように若いネエチャンの挙動に鼻の下を伸ばすようになり、その頃にはすでに呼吸は荒くなり、エズキが多くなるただのスケベ爺に。もちろんあれほどロンゲだった髪も薄くなり短くなり、仕舞には申し訳程度の量にまで。さらには寒いオヤジギャグまで連発するようになる始末。その髪の毛が簾の如くなる頃は、どこにでもいるタダのスケベオヤジと化す。う〜〜ん。やはりどこか怪光線の当たり所が悪かったのか?
 そんな藤田が怪しく声を掛け捲った男性の一人にあろうことか希崎が。すれ違いざまにその容姿に一目ぼれしたのか、
「ヘイ。兄ちゃん。僕と目くるめく時間を」
 と思わず声をかけたのだが、
「オ、男に興味はない〜〜」
 と全力疾走でその場から逃げ出す希崎。見事に玉砕する破目に。やがて完全に見るに耐えなくなった自分の髪の毛に嫌気がさし、部屋にかえるや否やきれいに剃髪してしまう藤田。

●〜神出鬼没〜
 あちこち放浪しその身体の感覚になれてきた巳乃木。そうなると身体は変わっても昔からの癖は変わらないらしい。問答無用迷惑千万の神出鬼没な行動が始まる。
 ところ構わずKYなその行動、すなわちありとあらゆるへんな場所から突如として出現するのだ! それがあんなこんな場所であっても問答無用。男子禁制の禁断の場所だろうがどこだろうがお構いナシである。

「おっと、失礼」
 などといいながら天井裏からひょっこり顔を出したのは、とある男子禁制なあんな場所。響き渡るうら若き女性の怒号と悲鳴の中、ひょっこりと顔を出してみたり。投げつけられるあんなこんなものをひらりとかわしつつ平然とその場から立去る。
 かと思えば突然、カンパネラの女子寮にあらわれたりもしたり。当然男子禁制?であろうここ。ひょっこり女子更衣室に屋根裏から出現したり、プールサイドで休憩中の学生の目の前に突如現れてみたり。
「いや〜〜〜〜」
 と叫ぶうら若き女性に対し、
「おっと、お嬢さん、僕と愛を語らいませんか?」
 などといいきなり神妙に語り始めてみたり。いたるところに無秩序に現れては騒動を巻き起こしていく有様。
「ふ〜〜。なんで俺こんなことに? あ、私だったか」
 とたびたびため息をつきつつもその行動はつづくのであった。

●〜そしてナンパ〜
 「Hi。そこの君。僕アンディ・レノックス」
 と通りすがりの可愛いギャルを見つけてはナンパに精をだす男性化した9A。晴れて男性化したおかげ?で気兼ねナシにナンパできると本人大喜びのご様子。LHの中で出会ったタイプの女の子を見つけるやかたっぱしからナンパ攻撃をしかける。

 その手順はいたってシンプル。質問攻めから会話を広げ、ほめ殺し+ジョークで好感度アップを狙う。デートまで持ち込めれば大成功である。もちろん声をかけられた相手の女性はまさか男性化した女性とは夢にも思わず、その巧みな話術につられひとりまたひとりと9Aの手にかかっていくようである。
 その数は一体何人をかぞえるのであろうか? そしていったい何人の女性とうまくあんなこんな関係に持ち込めたのであろうか? LHのいたるところで男性化した9Aが女性にアタックしている姿が目撃されたそうである。
「やあ、僕と愛について語らないか?」
 などとLHのあちこちで女性とのルンルン?デートにいそしむ9A、いやアンディ・レノックス。アプローチはあくまでもクールに、かつ大胆にである。

●〜ここにも犠牲者が〜
 かくして藤田、巳乃木、 希崎、9Aらがあんなこんな事を繰り広げていたその頃、LHの片隅ではあまりのことにショックで人事不省に陥った傭兵もいたそうである。
「きゃあああああああああ」
 まるでこの世のものとも思えぬ断末魔のような奇声を発するレニファー・ドレイク(gz0256)。そういつものよう朝の目覚めを迎えた彼女を待っていたのは悪夢のような展開。
 確かに、あの瞬間LHの屋外に出ていたことは間違いない。そしてなにやら怪光線らしきものを浴びたのは記憶に残っていたレニだが、朝起き抜けにいつもどおりに鏡を見た彼女、その自分の姿に思わず卒倒する。
 そう、こともあろうに彼女はみごとなまでの中年太りのハゲ頭の男性に変身してしまっていたのだ!

 見ればその体型はどうみても100kgはあろうかと思われる巨漢。あまつさえその頭は見事に禿げ上がり、顔は脂ぎっておりベッドで着ていた彼女の服は、もはや原型をとどめないまでにあちこち破れてしまっていたのである。さらにその頭髪は、見事なまでに頭頂が禿げ上がり、どうみてもかつて若い女性であった事をしめす痕跡は何一つ残っていなかったのである。
「ぎゃあああああああああああ」
 とさらに大きな悲鳴ともなんともつかないような声を張り上げ、そのままその場に卒倒してしまうレニ。口からは泡を吹き、白目を向きそのままピクリとも動かなくなってしまう。
 かくしてその日1日。彼女が眼を覚ますことはなかったそうである。

●〜夢の後?〜
 翌日。まるで昨日のことは「悪夢」でしかなかったようにすべてが元通りにもどっている傭兵達。再び「彼」から元の自分である「彼女」に戻った彼女達。そう、すべては「夢」だったのだ。自分が男性になるという出来事はすべて一夜の夢にしかすぎなかったのである。こうして全員がすべて元通りの日常に戻ったはずだったが、ここにひとり‥‥。
「ナニ?! これ?」
 と自らその頭に手をやって驚く藤田。気がつけばそこには頭がすっかりつるつるになった鏡の中の自分がいたそうである。寝ぼけてマジでそったのだろうと納得する藤田。それはあまりにもマヌケな光景であった。