タイトル:【CC】校内キャンプ大会マスター:文月猫

シナリオ形態: イベント
難易度: 易しい
参加人数: 14 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/11/09 22:19

●オープニング本文


 今年もそんな時期がやってきた。秋といえばこれである。そう世間で言うところの【文化祭】である。
 それはここカンパネラ学園も例外ではない。ましてや今年は特別。え? 何故か? それは今年はカンパネラの地下の旧研究階層に大規模KV闘技場が完成したからに他ならない。これを祝わずして、ほかに何を祝えばいいというのだろう。こういった大規模な式典なりイベントには便乗してナンボである。というわけで今年の『カンパネラ・カーニバル』はいつになく盛大に執り行われる予感。
 文化祭といえば、各種模擬店は言うに及ばず、いろいろなイベント、コンクールなどが催されるのはどこの世界でも同じ。ここカンパネラでも例外ではない。だがそれらは主催者側の意向と趣旨が大きく反映される。対してこういったお祭りでは、主催者だけではなく、参加する観客側のモチベーションも重要という意見もある。時には観客側が独自に企画を準備し、開催しようと考える者もでてくるかというものである。そんな一部意見ある傭兵達が今回動いた。
「CCの期間中に、学園内でキャンプを行う」
 それはある一部の傭兵達からでたアイデアが元になっている。参加者が自主的に運営、企画する文化祭便乗のイベント(バカ騒ぎ)と言えなくものないが、言い方を変えれば観客主導型の行事のようなもの。で、当然ながらタダのお泊りだけのキャンプではおもしろくないので、いろいろと趣向を凝らしたいところではある。
 学園内で一泊。それは学生以外の身分の傭兵達にとって、まず普段は体験できない経験。よってそれなりの関心と興味をもたれ、参加者多数であろうともくろむ。
 だが。学園内の施設を利用することになるので、カンパネラ側の許可は必要である。そこで丁重に書面にてお伺いを立てることに。すると何日か後、学園から次のような書類がULTに送られてきた。

キャンプ使用可能場所:演習場に限る
期間:1泊2日のみ
内容:公序良俗に反しない範囲で
その他、下記施設は利用可
カンパネラの湯
*なお、当日は学園生との交流をおこうなうことを条件とする。そのための人員は学園側にて選抜する。
注意事項:
爆発物等の使用は禁止(花火は可)
KVは持ち込まない。
キャンプの際は、火気には十分注意のこと

「とりあえず、OKということかな」
とそれを読んだ発起人の傭兵が安堵の表情を浮かべる傍らでは、
「まあ、交流とあるがイザとなれば」
となにやらほくそえむ傭兵もいたりするのであるが。

●参加者一覧

/ 百地・悠季(ga8270) / レイン・シュトラウド(ga9279) / セレスタ・レネンティア(gb1731) / ORT(gb2988) / ドニー・レイド(gb4089) / ファブニール(gb4785) / ウラキ(gb4922) / 天原大地(gb5927) / 月城 紗夜(gb6417) / 相賀翡翠(gb6789) / 鬼灯 沙綾(gb6794) / 佐賀重吾郎(gb7331) / エリノア・ライスター(gb8926) / ユウ・ナイトレイン(gb8963

●リプレイ本文

〜思い思いの〜
「お泊りは文化祭の醍醐味っと。青春の思い出作りもついでにしようかしらね」
 エリノア・ライスター(gb8926)作成の「キャンプのしおり」をペラペラとめくりつつなにやら楽しそうな百地・悠季(ga8270) 。それもそのはず。カンパネラの文化祭に強引に便乗する形ではあるが、敷地内でのキャンプなどそうそうできるものでなく。それが証拠に、
「大勢のキャンプなんて楽しそうですわ」
 と夕方になるのが待ち通しそうな 女性風傭兵レイン・シュトラウド(ga9279)、性別男。あれやこれやと準備に余念がないご様子。かたや、
「学園に来るのは初めてなんだよな〜〜」
 と ウラキ(gb4922)。ならばこの機会に少しでも雰囲気を堪能していってほしいものである。都合いいことに今回はカンパネラの学生たちも参加してくれるので。いい機会だと思うぞ。
「キャンプの経験はあまりないけど、この機会に人見知り克服なのです」
 と他の参加者より気合が入っているように見えなくもないのが、鬼灯 沙綾(gb6794)。いろいろチャレンジし経験してみたいのだとか。うん絶対にいい経験ができると思う。そんな彼女、もっかあることでお悩み中だとか。それはのちのち明らかになる。
「キャンプってまともにやったことねえな。まあせっかくだから楽しませてもらおう」
 と 相賀翡翠(gb6789) 。そのプロ並みの料理の腕前は今回生かされるのであろうか? それは本人次第だが。
 さらに。今回「キャンプのしおり」なるものを作成した本人のエリノア。思いっきり青春したいらしい。なるほど、彼女は17歳。普通なら青春まっさかりである。こんな機会は今までなかったらしいのだが、傭兵生活をしていればそんな気持ちになるのも仕方ないことであろう。
 そんなこんな様々な期待と、とてもいえないグフフムフフな期待が入り混じる中、総勢13名の参加者がカンパネラの門をくぐり、演習場へと足を運ぶ光景が見られる頃すでに陽は傾きつつあった。

〜1日目夕刻〜
 演習場は広い。なんといってもカンパネラ学園でたぶん一番広いのではないだろうか? と思えるぐらい広い。
 そんな広大な演習場に、三々五々、手に手にたくさんのキャンプ用具一式を抱えきれないほど持った傭兵達が続々と集まってくる。屋外でのお泊りのキャンプなのであるから、テントはいうに及ばず、自炊用具、食材、調理器具など本格指向のものが続々と運び込まれる。みれば木材を運びこんでいる傭兵も。これはキャンプファイヤー用であろう。
 特に食材は重要である。人数が人数なので量もそろえなければならないからだ。しかも今回、相賀や月城 紗夜(gb6417)のように料理がプロ級の傭兵も参加している。コレは期待できる、というか期待しないわけには行かない。月城といえば、今回、「湯タンポ」を持ち込んでいるのだが、その理由をぜひ知りたい作者である。
 はてさて。持ち込まれたあれやこれやの用具が一斉に紐解かれる風景は見ていてかなり壮観ではあるが、まず最初にしなければならないことは、「テントの設置」と「食事の準備」である。よってこの2つが平行する形でキャンプの準備は始まる。そろそろ交流予定の学生たちも姿を見せるころではないだろうか。

〜テント班〜
 テント班は、テント設置とあわせてキャンプの定番であるキャンプファイヤーも設置する。さっき運び込んだ木材はそのために使用するのだ。エリノアと相賀が灯した明かりの元で作業は行われることに。
「さて、はじめるか」
 ORT=ヴェアデュリス(gb2988)の一言で作業開始である。
 当然ながらこういった肉体作業に強いのは肉体系または武闘系の傭兵達。力仕事お任せタイプになるのか。
「男の子は設営手伝い」
 ファブニール(gb4785)がいうように担当は主に男性傭兵。他にドニー・レイド(gb4089)、天原大地(gb5927)、佐賀重吾郎(gb7331)、そしてエリノアとユウ・ナイトレイン(gb8963)らが担当する。でその場を仕切るのはエリノア。作業の潤滑化の為と称し、AU−KVを持ち込んでいるが、確かKV持込は‥‥。いやなかったことにしておこう。今回顔見知りの参加が多いドニー。挨拶代わりに冗談をかます余裕も。
 実際テント設営って意外と重労働。しかも今回キャンプファイヤーもやるのでその設置も必要だがこいつも力仕事。木材を率先して切ったり削ったりするORT=ヴェアデュリスや自慢の豪力をここぞとばかりに発揮する佐賀、腕力に絶対の自信のある天原などといったなんとも頼りがいのあるメンバーである。
 そんな佳境のさなか気を利かせた?のか、気配を察したか? 今回交流目的で参加する学生たちもチラホラと顔を見せるようになると、早速猫の手を借りるが如く学生達に肉体労働を手伝わせるウラキ。ドンドン、とか、ギシギシ、とかいった様々な擬音があたりにこだまする。テキパキと手際よく設置されていくテント村?にあわせ、巨大なキャンプファイヤーもその姿を徐々に現してくる。
「ふむ。いい感じだな」
 とその仕上がりに満足そうな天原。佐賀もその出来栄えに満足した様子である。こいつに巨大な炎が踊るのがいまから楽しみである。もちろん万が一のための防火用水の準備も怠らない。
 

〜料理班〜
 男が肉体労働なら、と言うわけではないが、キャンプ最大?のイベントである野外料理は主に女性傭兵の仕事になる。相賀のようにプロ顔負けの腕の料理人もいるのだが、本人は今回は率先して作る気配はないようである。曰く、
「キャンプっぽくなくなる」
 からだそうだ。なるほど、味が微妙なのがキャンプ料理の醍醐味なのか。なんでも親友の天原は自炊経験豊富だとか。肉体労働が落ち着いたらぜひとも料理にも参戦してもらいたいものだ。と思っているようだが。
 で本日の夕食メニューであるが、どんなときでも必ず定番の「カレー」と何故か「ちゃんこ鍋」である。
「ちゃんこ鍋」‥‥キャンプでちゃんこ鍋というのもあまり聞いたことがないが、まあ人数が人数なので鍋ということなのか。そんな鍋の食材を人数分きっちり準備して来たのがたぶん唯一の既婚者であろう百地。そのためか料理班を取り仕切る気分満々であり、実際にその手際のよさでスムーズな料理作りを進行させている。
「手のかかるものから先に」
 なるほど。さすが主婦だ。この手際のよさにはうならされる。しかも味付けはいかにもおいしそうな「味噌味」。食材も手でちぎっていれるというアバウトさがいかにもキャンプ的で見た目も抜群。鍋が煮立つ頃は、食欲をそそるいいにおいが漂って来ることに。
 一方はあまりにも定番のカレー。だが決してバカにしてはいけない。極めればカレーも極めて奥が深いのだ。
 でその極めた?カレー作りを目指すレインと料理はプロビックリという月城。どうやら役割分担も決まっていて、レインが「作る人」で月城は鍋奉行ならぬ、「カレー奉行」を決め込むつもりらしい。
 甘口・辛口の2種類のカレーをつくりつつ、これまたキャンプでは定番の飯盒炊爨。じっくりにこんだカレーの程よい香りが参加者の鼻をくすぐるまでもう少しである。
「本日の隠し味はリンゴとハチミツ、そして特製スパイス」
 と自信タップリのレイン。エプロン姿を見る限り、どう見ても女性である。名誉のために言っておくと決して「男の娘」ではない。ユニセックス的にみて魅力があるのは確かだが。
「ビターチョコも忘れないように」
 としっかり奉行っぷりを発揮する月城。息の合った迷?コンビに見える。そんな食材と格闘する料理人達を、設営の終わった傭兵達、ユウや天原が適当かつしっかりとお手伝いする光景はまたほほえましい。そんな台所を不慣れな手つきでいろいろお手伝いする鬼灯。怪我には注意してね。といってるそばから、
「痛! 指を‥‥」
 まあ、コレもいい経験になるのなら傷の痛みも少しは和らぐ‥‥訳はないか。やっぱ。
「そろそろ学生を呼んでくるか」
 と頃合を見てそそくさと動き出すファブニール。料理もいい具合だし、そろそろ汗をかいてくれたカンパネラ生を呼び込んでもいい頃合だろう。みな腹の虫がいい具合に鳴いている頃合である。
「完成〜〜」
 レインの声が一段と大きくなった。出来上がりである。みればいい具合に2色のカレーがいかにも旨そうな色。それにいい香り。
「さあ、こっちも完成ね」
 と百地。主婦の技がさえるチャンコ鍋である。決め手は塩・みりんの1たらし。大方煮えたところでさあ召し上がれ。
 テキパキと食器をそろえ盛り付け始める女性陣。

〜お食事タイム〜
 キャンプ最大のお楽しみのお食事タイムである。すっかりいい具合に出来上がった鍋と2種類のカレー。飯盒炊爨もスムーズに行き、おいしい白米が湯気を立てている。さあ、レッツディナー! である。
 学生たちも含め総勢20名以上の大所帯である。手際よく配膳を行うORT=ヴェアデュリス。終始笑顔で一人なにやら楽しそうである。
「いや〜〜。やはり食事は大人数が楽しい」
 とすっかり満足したようなファブニール。
「よ〜〜し。これから大食い競争を開催する」
 とすっかりテンションがあがっている天原。どうでもいいが学生相手に多少は手加減‥‥する気は皆無の御様子。学生たちは食欲旺盛。普段何を食べているのか知らないがよく食べる。当然まけじと傭兵達の中にも食いまくるものが出て。その為か急に体調に異変を来たし、あるところに駆け込む姿も。まあほどほどにしてくださいね。
「せっかくだからいろいろと学校というものを聞いてみよう」
 と食事中にカンパネラ生を捕まえてはあれやこれや聞いて回るウラキ。学生経験のない彼にとって、学校がどんなところか人並み以上に興味があるのである。
「酒‥‥のんでもいいかな?」
 と天原。まあキャンプにアルコールは定番なんですが、未成年もいるので後々のお楽しみにでも。笑い声あり、嬌声あり。時にはドニーの周囲を凍てつかせるボケがあったり。うん。キャンプの雰囲気。キャンプファイヤーの火が待ち遠しくなる。
 多めに用意したはずの料理であったが、終わる頃にはすっかりカレーも底をつき、もう少し作ればよかったかと皆が思い始める頃、華やかな宴はようやく収束をみる頃合になった。
「お疲れ様〜〜」
 と声が飛び交う。さっそくキャンプファイヤーへの点火の準備が始まる頃、ますます盛り上がりつつあるキャンプ大会。そんなさなか、
「さあこれは夜食用」
 と、いつ作ったのかポテトチップを配る月城。実に気が回る。

〜交流会、そして〜
 さて夢のような?宴を終え、いよいよ今回の目的のひとつである「交流会」である。今回カンパネラ側から厳正なる?人選の末に選抜された学生たち。果たして厳正かどうかはよくわからないが、おそらくエリートであろうと思われる。とは言ってもまだ身分は学生。もっとも傭兵側にも学生はいるが、実戦経験がないと言う点では純粋な意味で学生である彼ら。当然主導権を握るのは傭兵達である。このまま雪崩てフォークダンスに突入するのでそのための雰囲気作りの意味合いもかねている。
「さあ酒の時間だ」
 とばかり学生を巻き込んで騒ぎ出す天原。素行のよくなかった自分の学生時代を振り返りあれやこれやカンパネラ生に学園生活を尋ねる相賀。なつかしいのだろう、昔が。よくわかるその気持ち。
 そんな集団からはなれたところに一人の武闘派傭兵の姿が。キャンプファイヤーにそのシルエットが鮮やかである。
「!!」
 一人薙刀を器用に扱い無骨に練武する佐賀。もちろん己の流派たる絶頂撃砕流の剣舞である。当然そういったことに興味と関心のある生徒は必ずいるもので、彼の周りに語らいの場ができる。であれば話題は流派の話に。得意げに自らの流派の説明を始める。確かにこれは立派な教練である。20年かけて完成したこの流派。ぜひ入門したいと思ったものも少なからずいるであろう。
「14歳から山篭りしてそれ以来20年。ついに流派開眼というわけだ。拙者」
 その身のこなし、物言いはまさに現代の武士(もののふ)である。うんある意味すごい。20年の修行‥‥。
 さらに同じように硬派に徹するORT=ヴェアデュリス。決して交流に消極的なわけではないのだが、そのスタイルがスタイルなので、参加したカンパネラ生に怖がられ気味である。若干腰が引け気味になる生徒もいるが、まったく気にしない本人。
 かたや対照的に車座になり気さくに座談会をしている風?に見えるのがファブニール。と思ったのだがなにやら異様にメンバーのテンションが高い。ひょっとしてパフォーマンス中?
「せっかくの機会だからがんばるのです」
 と自分に言い聞かせながら積極的に他人と交流を図る鬼灯。でもやはり人見知りが激しいのか、ついつい会話でも詰まってしまう場面がたびたび。がんばるのだ! と心ひそかに応援したい雰囲気ではある。
 そんな光景に入り混じって、なにやら学生たちを誘惑‥‥ではなかったあることに勧誘すべく奮闘中の月城。
 そう。今は亡き「弟」の作った歌をぜひ皆に歌ってもらいたいが為。歌と声には自信のある彼女。かつて肉親が健在で孤児院に入る前の幸せな時代に作った歌らしいのだ。今回交流会でどうしてもやりたかった行動らしい。
 どんな歌? それはキャンプファイヤーの炎に揺られて奏でられるのだろう。
 おや? いつのまにかキャンプファイヤーが点火されたようだ。巨大にくみ上げられた材木がパチパチ、と音を立て豪快に燃え上がる。周囲がこうこうと照らし出され、その影が大きく伸び、炎は天に届かんばかり。ダンスタイムの始まりである。

〜レッツダンス〜
 さて楽しい?ダンスのお時間である。踊れる人もそうでない人も。
「男女を割り振りま〜〜す」
 とファブニール。今回参加者は男性の方が多い。フォークダンスであればできれば男女同数が望ましいので、足りない方‥‥すなわち女性の方へはクジ引きで割り振る。だが女性とみまごうレインについてははじめから女性として割り振ったりしてみたり。
「俺も?」
 とドニー。運命のいたずらかはたまた意図的か、女性側にまわされることに。それはそれでやたらうれしそうなのは内緒。え? 男と手をつなぐのがうれしいのか、はたまた‥‥。
 一方この場を利用して即興で演奏会を開く月城、ウラキ、エリノア。そう「弟」の歌を披露するためとフォークダンスのBGMも兼ねている。
「あ、フォークダンスの音楽テープ忘れた」
 というエリノア。そこで急遽手持ちのハーモニカで代用となる。ボーカルは月城、ギターはウラキである。どちらかといえばアルト気味で透明感のある月城のボーカルとさわやかなギターの音色、それに哀愁のあるハーモニカの響きがあたりにこだまする。とても即興で結成された楽団とは思えない出来栄え。満足そうにうなずくウラキ。
「この歌は恋がかなう歌。成就する歌」
 だそうである。
 そんなBGMに囲まれてフォークダンスの開始である。男女が輪になってキャンプファイヤーを囲む。そこには傭兵も学生もない。皆がひとつになり、踊りの輪ができる。
「昔は手をつなぐのもはずかしかった」
 らしい百地。今は別段どうということもなく。まあ旦那もちの人妻様。合間を見て写真撮影。シャッター音が軽快にあたりに響きいい感じである。
「ダンスは苦手なんで、すいません」
 今だけは完全に女性のレイン。たどたどしいががんばっている。苦手なのは彼ばかりではない。大体経験豊富な傭兵などそうはいないだろう。
 そのぎこちなさに思わず誰かの足を踏みつけるORT=ヴェアデュリス。踏んだのは相賀。
「よくあること。気にするな」
 と思いっきりの笑顔でキッチリとフォロー。
「さあ、ひっこんでないで参加する」
 と積極的になれない学生を無理やり輪の中に引きずり込む天原。
「思いっきりはずかしいですう」
 と鬼灯。まだまだお子様なのね。というわけではないが、男性に免疫はまだ十分ないようである。まあ仕方なし。もう少し成長すればやがて自分から(おっと)。
 やはりぎこちない佐賀。武士(もののふ)にダンスは武骨すぎてやはり向かないのかも? 剣舞ならまちがいなくパーフェクトだろうな。
 それに引き換えダンスがうまいのはエリノア。どこで習ったのか実に足運びからして巧みである。これなら傭兵辞めてもその道で食べていけそう‥‥。恐るべき17‥‥いや14歳にしておこう。
 さりげなく踊っているように見えて実は内心ドキドキもののユウ。まあよくよく見れば慣れていないのはわかるのだが、そこは傭兵(関係ないか)。習うより慣れろである。踊るうちにコツを飲み込むのが早いのは能力者だからか単に個人のスキルの問題か。
 だが実際のところ学生たちの方がはるかにうまいのは、カンパネラの授業にダンスの時間でもあるのだろうか? それとも単に遊びなれているだけなのか。
「うまいなあ」
 と学生たちから思わず感嘆の声が漏れる即興のバンド。思わぬ特技発見である。この3人、来年から必ずやカンパネラの学園祭でお呼びがかかること必至と見たが。その声が聞こえたのかどうか、急にさらにテンションがあがったりする月城、ウラキ、エリノア。
 こうしておもしろ楽しいダンスの時間は過ぎて行くのであった。キャンプファイヤーが盛大に燃え尽きるまで。

〜お風呂でむふふ(女湯編)〜
 さてさて。カンパネラ演習場地下3Fにある「カンパネラの湯」。普段から使っている学生もそうでない傭兵もあんなこんな展開が期待されるおふ〜〜ろタイムである。知る人ぞ知っているが、この湯、その設備は豪華温泉施設なみにいろいろなものがそろっている、まさに学園のパラダイスである。当然未成年者御利用なので男女別湯なのだが、噂によればどこかで湯船がつながっている‥‥ゲホン。そんなわけはない。
 で踊り疲れ汗をかいた傭兵達が思い思いにお風呂に集合である。でそうなると早くもあんなこんなムフフグフフを期待しつつ目が泳ごうかというもの。もちろん女湯が、である。
 その内部は広く泳げそうである。普段なら一般の学生たちも入浴している時間だが、気配を察したか?今日はキャンプ参加者の貸切り状態。ならば遠慮は無用。さっそく始まるムフフな世界。とてもすべて描写できないのが残念であるが。
「旦那もちだからそれなりに平気」
 と、ここでも人妻(失礼!)パワー発揮の百地。湯裳着は持ってきたが別湯なら不要かと。当然女同士なので入浴方法は日本式だと想像するが。ためらうこともなく広い湯船に使ってまったり。さらに発育途前のあんなこんな学生たちのメインパーツを詳細に観察する余裕。完全に内心勝利者モードである。何故か念入りにあんなこんなパーツのサイズをつっついているのはその現れとみたが、その一方で、
「まあ、でも近頃の若い子ってあんなに立派な‥‥」
 とメインパーツのあんなこんな何が気になったのか、多少自嘲気味なのは気のせいか。勝ったと思っていたのは自分だけだったかと自らの武装強化を誓う?
「裸にはちょっと」
 ということなのか、浴衣用の肌着を着て入浴するのは月城。孤児院時代の不遇は、その体にもきざみこまれていたりするのだ。よって洗いっこ厳禁である。残念?
 で、ここに悩める女子‥‥いや傭兵が一人湯船のなかであたりをみまわしつつ。成長しすぎる自分の上半身のメインパーツを眺めつつの鬼灯。控えめが美徳だとの思いが。
 だが待ってほしい。いまどきの学生はなんといってもあんなこんなパーツはバカにできないサイズなのだ。間違っても控えめなどではない。よって安心すべきだと思う。周囲を見渡すうちにそれに気がついたのか、気恥ずかしさを隠しつつ、
「あの、お背中流します」
 とそんな○○な女子(おなご)に接近する。そのメインパーツをじっくりと観察しつつ自らの悩みが無意味であることを知ってもらえることを願おう。成長することは恥ずかしいことではないんだよ。うん。成長とはすなわち武装強化を意味‥‥。
「おいおい嬢ちゃん。湯船にタオルつけるんじゃねえ。何はずかしがってんだよ。女同士あんなこんなこと恥ずかしがってる場合じゃねえだろ」
 すっかり姉御気分のエリノア。まじまじと学生のメインパーツをじっくり観察しつつ一言。
「いい身体してんなあ」
 となにやら怪しげな目つき。どこをじっくり観察中かと思えば、さらにグフフな光景が展開されている。そのメインパーツは攻撃力、防御力どれをとっても、などという目つきで観察中。いくら相手が学生もしくは同性だとはいってもそれなりのルールとマナーは‥‥。あ、聞いちゃいねえか。ここでも改めてメインパーツの再強化の必要性を実感している女性軍。
 こうして描写するすべを持たない光景があちこちで展開されている女湯からの中継であった。

〜お風呂でむふふ(男湯編)〜
 で、男湯である。え? 何がムフフだって? 男湯は武闘派集団のムサイ系の入浴シーンだろうって? いえいえ。男湯だって妙な雰囲気が漂っていたのであります。
「ふ〜〜。いい風呂だ」
 と頭にタオルのレイン。だが待ってほしい。たしかに性別上は男だが、その雰囲気が妙に怪しい。見方によっては男湯に女‥‥と見えないこともない。それが為に一種異様な雰囲気に包まれる男湯。男が男湯で覗き気分を味わえるというなんとも奇妙な感覚である。
 女湯とつながっているという噂はあくまで噂でありありえないのだが、中には確かめようとする愚か者もわずかだが存在するらしい。毎年そうやって誰かが天罰を受けているのだ。そして今日も。
「まあ、自業自得ですね」
 いたって涼しい顔。いやあなたが覗かれたりして。
「覗き? まさか。あの武闘派ぞろいの湯を」
 ファブニールは苦笑する。はっきりいって命は惜しい、誰だって。
「たまにはいいな」
 のんびり湯船につかるウラキ。女湯から妙になまめかしいあんなこんな声がよく聞こえる。ひょっとして壁は薄い?
「オイ。そこの学生。ちょっと」
 といきなり学生を呼びつける。何をする気かと思いきや、いきなり悪ガキのように風呂に沈めて大笑いする天原。完全に悪乗り中である。もしかしてまだ酔っ払っているのか? たちまちにカオスと化す男湯。女湯だけではなかった。
「誰か泳いでるぜ」
 と相賀。この手の遊びは大浴場になればなるほど誰か必ずやりたがるもの。特に若い学生はそうかもしれない。
 なかば呆れた面持ちでそれを眺める。とそこへ何かが飛んできた。グバッ、とそれは目の前に落下。だれか学生をほおリ投げたヤツがいるらしい。こうなると人間枕代わりである。いやはや。早速投げ返す。人間枕投げって‥‥。一人まったりと疲れを癒していたユウも少しばかり驚いた様子。
 かくしてある意味女湯以上の○○な展開がされていたのである。いつの時代でも風呂で騒ぐ姿は変わらないものだ。一般の学生がいなくてよかったと思える。

〜夜も更けて〜
 風呂上りですっかり気分が乗ってきたキャンプメンバーと学生。それぞれ分かれてテントの中へ。そそくさと着替え始まるものも。私服からパジャマへ。そう「パジャマタイム」開始である。
 まだ学生たちがいるのでテントはどれも人口密度が高い。着替えるのも大変である。着替えを持ってきていない学生たちの中にはそろそろ寮に撤退を考えるものも。だがすっかりテンションマックスの傭兵達。簡単には返さない。あちこちでいわゆる「ムフフ」な恋バナの雰囲気が流れはじめる。
 相手が学生なら遠慮は無用、というわけか。ここでは一致団結して学生相手に根ほり葉ほり。いや〜〜。つかまった学生にはとんだ災難としかいいようのない光景が。完全に悪乗り気味のドニー。
「あ〜〜。パジャマ忘れた」 
 といきなり大声を出す鬼灯。学生なのだがお泊り覚悟で持参する予定だったのだが、忘れたらしい。なのでブラウスのまま寝ることに。まあ、テントの中は女性しかいないので問題ないでしょ。
「おい。好きなやつ教えろ。誰にもいわなねえからさ」
 なかば無理やり? 学生をひっ捕まえて白状させようとするエリノア。いいえ。明日には学園中に広まってます。
 だが相手は学生ばかりではない。お互い傭兵同士だと遠慮がないのでさらに攻めがエスカレートしてくる。
 それは学生たちが帰ったあとからが本番なのである。
 やがて22時過ぎ。交流に参加した学生たちは門限のため寮にお帰りに。さあここからがさらにエンジン全開である。傭兵達による恋バナ延長戦の開始である。
 
〜まだまだ夜は更けて〜
 誰でも秘密は知りたいもの。まして同じ仲間ならばなおさらと言うことか。だがはっきりいってガードは固い。
 うかつにじゃべればどうなるかお互いよくわかっているからだ。相賀、ドニー、レイン、ウラキらに片っ端から話を振る天原。
「本気かよ」
 と相賀。夜も更けたテントの中で本気でそんな話題を、と言いたいところなのだろうが、ここは大人の対応で、
「何もないぜ」
 ととぼける。(ほんとうにないらしい)。そういった話にはあまり興味や関心はないというか、突っ込まないことにしているらしい。
 学生相手には完全聞く気まんまんだったドニーもいざ自分が標的?とみるや、たちまちトーンダウンである。
 肝心なことは笑ってごまかし、学生時代の経験をさりげなく話し、
「現在とあるドラグーンさんに片思い中、てとこか」
 とだけ語るとニヤリと天原の方を見る。実のところこの2人、この手の話に関してはお互いのかなり深い部分まで知り尽くしているらしいのだが、そこは第3者には公にできない部分らしい。これ以上の追求は不可能とみたが。
 意外とこの手の話にはウブなレイン。振られた途端に顔を真っ赤にして、
「‥‥もう寝ます」
 以外にシャイなのだ。
「僕もそういうのは」
 とウラキ。話を振られることはある程度覚悟はしていたらしいのだが、焦りの色が見え隠れする。
 過去多少はあった様子だが多くは語りたがらない。肝心なところは適当にスルーということにしておきたいらしい。
 で話を振った本人は? といえばそんなこんな恋愛話を弄ったりあおったりして茶化している割には、自分に跳ね返ってくると意外と純情な答え。やはり照れくさそうだ。だったら振らなければいいのにとは言うまい。最後には、照れ隠しに冗談切れ。
「だ〜〜〜」
 と叫ぶのはお約束のパターン。そうかやはりいたのか。ふむふむ。
「片思いなら僕もいますけど。今は敵なんで」
 とファブニール。どうやら恋愛感情とは別の感情がそこにはあるようである。それもひとつの愛?の形。
 その頃。人数は少ないが女子のテントもそれはそれなりに盛り上がっているようで。
 旦那もちの百地はもっぱら恋愛についてあれやこれや聞き役に徹している。結婚とはそういった行為の終着点だからなのか?
「初恋もまだなので、お姉さまがたのお話はいろいろ為になるのです」
 と鬼灯。まだ13歳だもの、恋愛経験があるとも思えない。お姉さま方の話を大いに参考にしてくださいな。
 だが間違っても変な薫陶は受けないようにしてください。
「夜通し遊ぶ」
 などといって言った割には真っ先にお休みモードのエリノア。もっともこの状況で本当に眠れるのか、と疑問に思うのだが。

〜闇夜にびっくり〜
 こんな夜ともなれば何かが起きそうな予感と悪寒。そう、そこに忍び寄る魔の手‥‥ではなく魔の傭兵。
「フフフ」
 と不気味な笑い声の中、防護マスク姿、全身黒づくめの怪しい影がひとり闇の中を抜き足差し足で女子のテントに接近。
 そうとは知らない女子テントではぼちぼちオネムのお時間。眠れないのか鬼灯。あぬびすのぬいぐるみをだっこしてそのままお休みモードに。まだまだ子供っぽさがぬけないところが可愛い。
「ふみゅ〜〜」
 その寝心地に満足そうである。ようやくうとうとしてきたその時。
「ぬ〜〜」
 と防護マスク姿の男が天幕をあけて顔だけを覗かせる。見た目は幽霊というより不振人物にしか見えない。
 もっとも本人は幽霊気分100%であるが。
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜」
 この世の終わりかと思われる絶叫。何かがそれめがけ飛んでくる。
 この怪しい影。恋バナ中よりどこか挙動不審だったORT=ヴェアデュリス。気合の入ったイタズラを決行した結果である。このためにわざわざ用意したマスクに黒い布の完全武装で決行するドッキリ。
 その反応に満足したかさらに別のテントへ。さらに気をよくしたか?さらなる暴挙を仕掛けるべくカンパネラの寮の方へ。だが無念。すでに入り口はがっちりとカギがかかっていたので完璧に侵入が阻止される。あまつさえ、巡回中の職員に見つかりかける始末。のであわててテントに駆け戻る。まあつかまっていたらさぞや面白いことになっていただろうが。と、その頃、
「おい。こら。ちょ‥‥」
 ただならぬ気配が漂う女子テント。さっきの騒動のどさくさにまぎれたのかはたまた計画的犯行なのか、月城の寝袋にもぐりこむエリノア。まるでいい獲物をみつけたかのような動き。
「う〜〜ん。寒い。暖めて〜〜」
 と中で妙にもそもそと怪しい動き。どうやら寝袋という遮蔽物の中で、なにやらアヤシイ行為を行っているように見えなくもない。一体何を? 女同士でやることといえば。
「寝られんではないか〜〜」
 と叫ぶが、そんなことはお構いなし。行為は徐々にあんなこんなことにまで及んでいる様子。モゾモゾゴソゴソ。狭い寝袋の中で怪しくうごめく女人2名。十分にあやしすぎる。これ以上の描写は精神的に?できないので勘弁していただきたい。

〜夜空に物思い〜
 だが中には深夜に孤独を満喫しているものも。テント外で仰向けになり夜空を見上げるファブニール。恋バナで告白した彼女?について物思い中である。今は敵と味方。ということはいつか必ず刃を合いまみえることが必ずや訪れる。そのときのことを一人いろいろと心に思いつつ夜空を眺めている。
「さて身体が冷える前に退散。
 テントの中では、持参したコーヒーをミルで挽いて皆に振舞っているウラキ。珈琲を愛する彼にとって、これが心やすらぐ瞬間なのかも知れない。珈琲を淹れながらひとりいろいろとう思いをめぐらす。おや? よくみれば天原の姿も。やはり夜空を見上げ何事か物思い中のご様子である。
「不眠症だしな」
 とエリノアのあんなこんな攻めから抜け出し?ひとり座禅をする月城。明け方にはテントの外で素振りの鍛錬。過去を振りかえっているわけではないのだろうが、弟の歌をひとり口ずさむ。妙に感傷的に見えるのは気のせいか?
 汗を流すために一人朝風呂へ。こっそり涙する彼女の姿に気がつくものは誰もいなかったのである。傭兵は決して機械ではない。感情を持った人間という生命なのだ。それは能力者でも何一つ変わらない。
 そろそろ夜が明けようかという頃、演習場ではやはり黙々と剣舞にいそしむ佐賀の姿があるのだが、それに気がつく者はいなかったらしい。

〜朝が来た〜
 こうして大騒ぎの1日が明けた。早起きした傭兵達は眠い目をこすりつつ朝餉の準備。とはいっても夕べ残しておいた鍋で雑炊をつくり手早く済ませる。大騒ぎした翌日の虚無感はあるのだろうか?
「来た時よりもきれいに」
 レインが皆に声をかける。テントを撤収し、キャンプファイヤーの後かたずけと掃除をし、決められた時間までにきっちりと撤収作業完了である。
 こうして無事にキャンプ終了。大量のゴミの山とともに去っていく傭兵達。え? ムフフが足りないって? いやいやそこは皆様の想像力で補ってくださいな。