タイトル:2匹の悪魔マスター:文月猫

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/10/25 23:52

●オープニング本文


 ある晴れた日の欧州上空。蒼空の中、2機のディアブロが颯爽と飛行していた。
 操縦しているのがラフィンとレニファーの兄妹。
 本来UPC軍とULTオペレーターであり、こうやって任務で一緒にKVで飛行することはありえないのだが、レニファーの愛機ディアブロが定期検査を受けるために、ここ欧州へ飛来。検査終了後のLHへの帰途途中に、任務で英国へ出かける兄ラフィンとおそらく最初で最後であろう編隊飛行中なのである。大西洋にでればお互い別の飛行コースをたどることになるが。
「こうしてレニと編隊組むのも最初で最後かもしれないな」
 とコクピットの中で感慨深げなラフィン。その表情は普段とはまるで違う。くつろいでいるように見え、口調はどこにでもいる普通の青年のよう。
「そうね。ラル兄さんのディアブロを間近でみるのも、オペレーターになってからははじめてかも知れない」
 屈託なく笑う、コクピット内のレニ。それはどこにでもいる普通の兄妹のようであったが。
 彼らは、順調に西に向かって飛行していた。

 同じ頃欧州UPC軍の空中管制室。
「レーダーに未確認飛行物体確認。識別パターンは友軍機のものではありません」
 電波妨害もなくクリアな状態なので、機影がはっきりと写しだされている。
 緊迫したレーダーマンの声が、室内に響く。それはともすればそれまで退屈にすら思えた管制室がにわかに緊迫する瞬間。
「何? 敵か?!」
 直ちに、室内のスクリーンにレーダー画面が拡大される。みれば確かに複数の機影が。しかもそれは間違いなく友軍機のものではなかった。味方機なら固有の識別信号がでているはずだがそれがない。
「どっちへ向かっている?」
 叫ぶ管制室担当のUPC軍士官。レーダー画面に合成される地図上でみると、飛行物体の位置は競合地域から少しバグア側へ入った地域。レーダー上の機影は北へ向かっている。その進行方向上にはUPC軍の飛行場があるのだ。
「いかん。このままでは味方飛行場が危険にさらされる。至急迎撃に」
 と、いいかけた指揮官。ふと、あることを思い出す。
「そういえば、近くの町に確か傭兵達が来ているということを聞いたな」
 そう。たまたま別の依頼で近くの町にやってきている傭兵達がいるということを聞いていたのだ。そこで直ちにULTを通じて、彼らに依頼をする。
「敵HWがすぐそこに迫っている。至急迎撃されたし」

 そのとき、突如モニターに割り込むように通信が。
「こちらラフィン・ドレイク。今のやりとりを傍受させてもらった」
 たまたま飛行中に、管制室と交信しようと無線のスイッチを入れたところ、今のやりとりが飛び込んできたのだという。
「我々も現地へ向かいます。ここから迎撃に向かえば、多少は早い。傭兵達には現場空域で合流することにします」
 さらにこう続ける。
「今隣で妹も一緒に飛行しています。本来なら規則違反でしょうが、状況が状況です。私の責任で同行させます」
 とそれだけ言うと、無線のスイッチを切る。
「おい。待て。君たちが行かなくても」
 と叫ぶ管制官。だがラフィンの応答はなかった。

 おおきくため息をつくラフィン。そのあとにレニこう告げた。
「やめてもいいんだぞ」
 即座にレニは答える。
「冗談でしょ」
 声が笑っていた。
「ならばいくか」
 こうして2匹の赤い悪魔は、翼を大きく反転させた。

●参加者一覧

黒川丈一朗(ga0776
31歳・♂・GP
クラリッサ・メディスン(ga0853
27歳・♀・ER
須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
聖・真琴(ga1622
19歳・♀・GP
三島玲奈(ga3848
17歳・♀・SN
ザン・エフティング(ga5141
24歳・♂・EL
山崎 健二(ga8182
26歳・♂・AA
赤宮 リア(ga9958
22歳・♀・JG

●リプレイ本文

●出撃1分前
「回せ〜〜〜! スクランブルだ」
「チェックはあと回し。出られるものから直ちに出てくれ!」
 怒号と喧噪の中あわただしく走り回る地上整備兵。ことは一刻の猶予もならない。HWはすぐそこに迫っている。
「敵の現在位置を教えて」
 と赤宮 リア(ga9958)。すでにコクピットに収まりコンソールに呼びかける。愛機アンジェリカはすでに飢えた獣の如くその時を待つ。
「HWが10機。油断禁物です」
 とモニター越しに仲間達に話しかける。それにかぶさるようにレーダーマンの声が。
「敵HWなおも北進中。交戦予想空域到達まであと6分」
 その緊迫した声が、プレッシャーとなって傭兵達にのしかかる。
「ディアブロの現在位置は?」
 と聖・真琴(ga1622)が割り込むように尋ねる。その愛機である「赤い悪魔」はすでにエンジン音を轟かせすぐにでもいけそうな状態である。
「2機のディアブロとHWとの接触予想時間まであと6分」
 レーダーマンの声が一段と大きくなった。傭兵達の位置から交戦予想空域まで、ブースト全開で約5分。つまり余裕はまったくないことを物語っているのだ。
「細かい話は後だ。まず行ける者から一刻も早く離陸してくれ」
 とモニター越しの須佐 武流(ga1461)の声。今回彼は、最近実戦配備されたばかりの噂の最新鋭機「シラヌイ」に搭乗している。それは傭兵達にとって頼もしい限りである。実際、今だ実戦での姿を見ることのなかっただけに、その真の性能が、今後のKV戦の意味合いを大きく変えるかも知れないからだ。
「お先に。シュテルン、発進します!」
 とクラリッサ・メディスン(ga0853)の声。みれば滑走路を駆け抜けていく1機のKV。それはフルブーストであっというまに上昇の軌跡を描き、蒼天へ駆け上っていった。
「ディアブロ出力最大。で、ま、す!!」
 続けざまに聖が親指を天に突き上げるおなじみのポーズをとりつつ、猛然と滑走していく。
 その様は、まさに「真紅の悪魔」にふさわしい姿だ。赤い稲妻が大地を切り裂くように。
「雷電発進!! 目標、敵HW殲滅。い、っけえ〜〜〜!」
 とその見るからに重々しいフォルムの三島玲奈(ga3848)の重装甲の雷電。轟音とともに駆け上がる。とそれを追尾するかのように、
「行くぞ! こいつも同じシラヌイ。S型には負けん!」
 と気合を発露し自らを鼓舞するかの如く一気に加速し、舞い上がる須佐機。
「悪魔はここにもいるんだぜ」
 そんな僚機の発進を横目にみつつ、独り言のようにつぶやく 山崎 健二(ga8182)。陽光に赤い機体を揺らめかせ轟然とテイクオフし、蒼空を駆け上る。‥‥そして最後に、
「さあ。行くぜドギー。頼むぜ相棒」
 とコクピットで語りかけるザン・エフティング(ga5141)。その愛機アヌビスが一気に天に駆け上がり、無事全機離陸。先に発進したKVは早くもフルブーストで高空を疾駆していた。

●出撃3分後
 成層圏を切り裂くように進む7機のKV。7本の飛行機雲がくっきりとその軌跡を描くその様は勇壮である。太陽は逆光だが、飛行に支障はない。
「今行くぜ。待っててくれよ。」
 と山崎は返事のないモニターに向かって語りかける。もちろん相手はラフィン兄妹である。今だ2機との通信は途絶したまま。それがいい知らせなのか悪い知らせなのかは、ここにいる誰一人わからない。
「ディアブロとの合流予想空域まであと2分ね」
 とクラリッサ。それはすなわちHWとの交戦が始まることである。徐々に緊張が走る傭兵達。相手は10機。決して侮れる相手ではないことは過去幾多の戦いから経験済み。
「うれしいねえ。ディアブロ乗りがこんなにいて」
 と周囲を見渡しつつ聖。そのやる気以上にうれしさがこみ上げてくる。
「さて、このシラヌイ‥‥」
 と須佐が言いかけたとき、7人の傭兵達に聞きなじみのある無線が。
「おい。俺を忘れてないか?」
 その陽気な声が一瞬彼らの緊張をほぐす。そう。ここにさらに援軍登場である。
「おお黒川、間に合ったのか」
 と須佐。ニヤリと笑う。
 そう、自らのKVをフェリー中に急遽依頼を受諾した、黒川丈一朗(ga0776)である。
「パーティーに間にあったようだな。だがダンスは苦手なんでな。そこはよろしく頼む」
 とやや雑音が混じる無線を通じて響く彼の声。
「おっと。また悪魔乗りが参戦か。こりゃ2匹どころじゃねえな」
 と山崎。そう。黒川もまたディアブロを駆り全速で合流地点に向かっているのだ。実に10機のKVのうち半分が「悪魔」である。まさに2匹どころか「いっぱい」の悪魔なのだ。
「赤いのはディアブロだけじゃなくてよ」
 と赤宮が無線に割り込む。そう忘れていた。その愛機、「熾天姫」と名づけられたアンジェリカは真紅に塗装され、カラーリングはディアブロと見紛うばかり。しかも彼女のこだわりのカスタマイズが施されているのだ。さぞや思いいれも半端ではないだろう。
「HWとの接触まであと1分」
 そんなさまざまな思いをレーダーマンの機械的な声が打ち消した。敵は目の前である。

●合流
 ‥‥そいつはついにやってきた。
「レーダーに反応。敵HW。機数10。まっすぐに突っ込んでくるぜ」
 とザン。確かにその機影ははっきりとした輝点としてKVのコクピットのスクリーンに浮かび上がる。
「お出ましね。他人の庭に土足で入り込むなんて、マナーから教えて差し上げるわ」
 とクラリッサ。すでにK‐O2のロックは解除してある。いつでも発射できる態勢だ。今までこいつの威力の前に幾多のHWが灰燼と化してきた。今回も頼りになる存在である。
 とその時、雷電からうれしい声が。
「来た! 右手7時の方向! ディアブロ視認。間に合ったみたい」
 と三島。その声に皆が反応する。
 そう。蒼空を切り裂くように斜め下方からものすごい勢いで駆け上がってくる2匹の「悪魔」の姿が陽光にきらめき、傭兵達の視界に捉えられる。まさに赤い弾丸の如くそいつはみるみる大きくなった。
「ラフィンさん。加勢します!!」
 と赤宮。今一つながるか不安な無線に向かって吼える。
「おお。来てくれたのか。皆さん」
 そこへ明瞭なラフィンの音声が傭兵達のKV内に響く。どうやら無線が通じたようだ。
「あら。みんな、こんなにたくさんきてくれるなんて」
 とこれはレニファーの声。その声は凛として澄み切っており、晴れ晴れとしていた。さらに、その反対方向から別の悪魔の軌跡が。そう、黒川機である。まさに絶妙のタイミングで合流。
「いや〜。エンジンが持たないかと思った」
 と無線でしゃべる。どうやら軽いジョークのつもりだったようだ。
「あら、黒川さん」
 とレニ。その声の微妙な変化を敏感に察知したのが赤宮である。ひとりニヤリとする。

●接触
 HWは5機づつ上下2段になってまっすぐに突き進んでくる。当然HWからもこちらの動きが見えているはずなので、明らかに強行突破を図る心づもりに見える。がそれが大いなる誤りであることが直ちにわかるのだが。
「私と、レニは別個に陽動する。相手を何機か引き込むつもりだ。君たちは残りのHWを殲滅してほしい」
 ラフィンの要求は明快であったが、多少驚くべきものでもあった。たった2機で陽動とは。だが、ここは彼を信用することに。見る間に、2機のディアブロが急角度にバンクしていく。と、明らかにHWが2機ほどそれに食いついて行くのがレーダー上で確認できた。
「ならば、残りは任せてくれ」
 と須佐。8機のKVはまっすぐHW迎撃態勢に向かう。双方が急速に接近する。
 とHWから閃光が。射程でまさるHWから発射されたプロトン砲の閃光だ。だがこれは当然予測されたこと。最初の何撃かはHWに先手を取られることは予測の範囲。プロトン砲は練力を使う。使い続けることは不可能、ということも傭兵達の頭にはインプット済みである。ド〜〜ン。と鈍い衝撃が走るKVのコクピット内。構わず接近する。さらに衝撃。だがここで陣形を乱すわけにはいかない。K‐02の射程に入るまでは辛抱である。
 すぐにそのときは来た。HWのプロトン砲がやんだ。敵も練力の消耗を避けたのだ。そしてK‐02の射程に入るHW。
「K‐02目標捕捉。ターゲットロック! 発射!!」
 クラリー機から放たれる250発のK‐02の壮麗な軌跡が敵HWに向かう。さらにもう一撃。計500発のミサイルのシャワーが解放される。そしてそれが合図だった。
「フォーメーション展開! い、く、ぜ!!!」
 吶喊一閃。山崎機が一気にブースト。HWに突進する。同時に、
「赤宮機、い、き、ま、す!」
 ブーストし一気に迫る赤宮機。機首が輝き、「R」の文字が浮かび上がる。K‐02の壮大華麗な空中シャワーを追尾するように突進する2機のKV。
 放たれたミサイルの全弾がHWを確実に捉えると傭兵誰もが発射の瞬間は予想したのだが。
「まさか!?」
 傭兵達のその予想は裏切られる結果となる。なんとHWはK‐02の攻撃がなされることを予期していたかのようにミサイルが放たれるとほぼ同時に、その陣形が左右に急激に広がり、K‐02の射程からはずれる形をとる。射程内の標的の多くを失った格好のK‐02はその多くが虚空に突き抜ける。HWで被弾したのはほんの1、2機である。HWにしてみればしてやったりであろう。
 決してHWは単なるミサイルの的ではなかったのである。
「そんな??」
 その今までとは確かに違うHWの動きに一瞬戸惑うクラリー。それはK‐02に呼応してアタックする予定だった山崎・赤宮の2機とて同じ。たちまち、敵機に横腹を見せる形になる。陣形が乱れるKV。
 そう。バグアとて決して無策ではないし、HWも常に同じではないのだ。

●混戦
 いままで散々K‐02にいいようにされてきたのだ。ある程度何らかの対策をHWのAIに組み込んでいてもおかしくはない。かわす、という行動自体がそれを現している。
 さらには反撃用に別のAIを組み込むことも忘れなかったようだ。左右に展開したHWはすぐに態勢を立て直し、両翼からKVに対して挟撃する構えである。これならミサイルの標的にはならない。
「囲まれる?!」
 と三島機からの声。
「振り切るんだ。HWに横腹をとられるな!」
 と咄嗟に須佐機からの無線。空戦では敵に横腹をさらすことは致命傷にもなる。
「ならば。こ、い、つ、なら、‥‥くらいなさい!!」
 どうにか急制動でHWの正面に回り込んだ赤宮がドゥオーモを放つ。立て続けにDR‐2荷電粒子砲を浴びせかける。それはHWに確実なダメージを与える。だが慣性制御での一時強化が機能しているのか致命傷にはならない。狙いは正解だったようだが。
 ひるまず突っ込んでくるHW。しかし練力が厳しいのか、フェザー砲を使っての攻撃である。至近距離だがなんとかかわす。
「やつらも練力は厳しいはずだ。勝機は十分にある」
 と黒川機。慣性制御も長くは持つまい、と考える。須佐の背後につきそのフォローをする形。急激にバンクし、HWへ回り込む体勢をとる2機。
 それに反応し一気に回頭しザン機を狙うHW。だが、
「そんな攻撃‥‥通用しねえんだよ!!」
 とザン機。クラリー、三島機と連携しHWを狙う。すでに接近戦でのドッグファイトも計算しつつの動きである。
 KA‐01試作型エネルギー集積砲を浴びせ、さらにその強大なソードウィングで切り込む。
「フォローします。」
 とクラリー機。機体の右翼すべてが黒く塗られた愛機「アズリエル」のスラスターライフルが咆哮する。距離があればG放電装置で確実にHWにダメージを与え、味方への援護も忘れない。
「ほらほら。地獄へ堕ちな!!」
 といきなりどこかで大きな閃光が。聖の放ったドゥオーモがHWに炸裂したのだ。先ほどの赤宮機の放った一撃の有効性を確認できたからだろうか。ゆらぐHW。さらにそこへザン機が肉薄し試作型スラスターライフルの猛射を浴びせる。エンジンに命中したHWは爆裂し砕け散った。
「1機撃破。ぜ、ったい、に、いかせねえぜ!」
 とザン。その声は闘志にあふれ気力も充実しているようだった。
「こいつでも‥‥く、ら、い、な、!!」
 山崎が目の前のHWにバルカンの雨を降らす。
「い、か、せ、る、わ、け、に、は!」
 とばかり急激なロールの後ライフルで弾幕をはる三島機。山崎の狙ったHWを挟撃する。さらにリニア砲を叩き込む。HWはその機体を大きくひしゃげさせ堕ちていくのが視認できた。
 と左手遠方で、K‐02と思しきミサイルの壮麗な軌跡が。そうラフィン機の放ったK‐02である。が、すでにそれが有効でないことを知っている傭兵達。思わずラフィン機に誰かが無線で叫ぶ。
「ラフィンさん。そいつは効かない! 見切られている!」
 だが応答はなかった。無線のSWは切られていたのだ。だがこの2機完全にHWを圧倒している。別個に動いてひきつけるといっただけの腕前のようだ。
 時間が経過するとともに、戦況は明らかに傭兵達に有利に展開していく。練力の限界なのかHW自体も急激に消耗しKVの餌食になっていく。

●大詰め
「しまった。ケツ、をとられた」
 思わずコクピットでうめく黒川。須佐機の援護に回り苦手の空戦で奮闘はしていたのだが、ドッグファイト気味の混戦の中では背後を気遣う余裕も十分ではなく。
 あわてて高速度ヨーヨーで対抗を試みる。だがHWも狙った獲物は逃がさない、とばかりくらいついてくる。
 かくなるうえは、と考えた黒川機。急激な迎え角で上昇を試みる。追尾するHW。一撃また一撃。機体に急激な付加と衝撃が走る。が構わずなおも上昇する。一体何を? と思った次の瞬間。背後でものすごい爆裂音が。
「バカなマネはやめた方がいいぜ」
 と無線から須佐の声。そう、黒川機の窮地を救ったのは須佐機の放ったレーザーカノンである。足の速いシラヌイだからこそできたこととも言えるかもしれない。
「ぎりぎり届いたぜ。あんたが何をしたいかわかったんでな」
 と無線の向こうで笑う。
「あんたには空戦はまだ無理だ。ダンスするには十年ははやいかもな」
 かなり強烈な一言には聞こえるが、それは須佐との関係ではどうと言うことはないのかも知れない。
「HW1機退却。敵損傷甚大」
 クラリーの声。ミサイル戦で勝利し、HWに甚大なダメージを与えることに成功したようだ。
 さらに山崎、聖、ザン機からも無事の知らせが。どうやら大きなダメージを負うことはなかったようである。
 最後のHWは白煙をはきながら退却していった。またこの戦いにおいてシラヌイのパフォーマンスを十分に証明することができた。
 
●無事
「兄妹は?」
 と須佐が周囲を見渡す。ま、さ、か。‥‥だが直ちにそれは否定された。「2匹」の悪魔は悠然とその姿を現す。
 みればほとんどダメージらしきものはない。
「ありがとう。おかげで助かったよ」
 とラフィンの声。どうやらHWは撃退したようである。
「ところでレニファーさん」
 と赤宮が割ってはいる
「さっき、黒川さんと交信するとき‥‥」
 となにやら意味深な発言。
「え?‥‥」
 思わずドキリとするレニだった。