タイトル:【Woi】クルーズしようマスター:文月猫

シナリオ形態: イベント
難易度: 易しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/08/31 01:31

●オープニング本文


 五大湖作戦も目処が立ち、傭兵たちもやっと一息つける状態になった。そんな中‥‥

「今回も傭兵の諸君はがんばってくれたみたいだね」
 とカプロイア伯爵。
「ここはひとつ私も彼らの労をねぎらってあげるとしよう」
 となにやら書きしたためると、執事を呼び、書いたメモを渡す。
「かしこまりました。さっそく手配いたします」
 とメモを一瞥して執事は告げた。

「ねえ。みてみて。このお知らせ」
とモニターの前に集まるL・Hの傭兵たち。そこには、次のようなものが。
『傭兵誰でも参加OKのクルーズ船によるクルーズ』
といういかにも、といった感じの一文が。そしてその次に以下のような文字が、
『カプロイア伯爵様の御好意により、五大湖作戦での傭兵達の労をねぎらって、クルーズ船によるクルーズを行います』
とあるではないか。

☆☆☆☆☆

もちろん、【JB】の時もそうであったように、一度に大量の傭兵がこういったことのために抜けることはUPC側としても容認しがたいこと。そこで今回も伯爵様、クルーズ船をLH周辺に停泊させ、傭兵たちを乗せた後、LHからの呼び出しに3時間以内で応じられる場所を周遊する、という形で行うことにした、というわけである。さすが伯爵様、である。丸ごと一隻クルーズ船を借り受けるのだから。‥‥かくして、この依頼? ULT始まって以来の長蛇の行列ができるほどになり、結局抽選で人数を絞った上で、執り行われる形になったのである。

●参加者一覧

/ 榊 兵衛(ga0388) / クラリッサ・メディスン(ga0853) / アルヴァイム(ga5051) / 百地・悠季(ga8270) / 美環 響(gb2863) / 獅子河馬(gb5095) / 美環 玲(gb5471) / 結城悠璃(gb6689

●リプレイ本文

☆今回の報告書はレニファー・ドレイク(gz0256)の乗船レポート形式となります。


 えーと、伯爵様が用意してくれたクルーズ船は、今回なんとLHまでやってきて接岸してくれています。事前にこの船のことをちょっと調べてきたんだけど、なんと全長は160m。総トン数は2万トン以上もあるんですって。しかもなんと8階建て!
 これって、その辺のちょっとしたビルより大きいよね‥‥。高さどのくらいあるんだろう‥‥、と思って乗船前に見上げて見たんだけど、おおきすぎて、とてもてっぺんの方まで見渡せませんでした。参加した他の傭兵のみんなも、そのスケールに圧倒されていたわ。
 で、今回は非常にたくさんの傭兵の皆が参加してくれたんだけど、以前私が取り持った結婚式依頼の縁で、親しくなった人も、何人か運良く一緒に参加できたので、その人たちといろいろ船内で遊べるのが今から楽しみね。ウフ。
 そうそう。そんなお友達を紹介しておくわね。まず、私の斡旋依頼の時に正式にご結婚された、新婚カップル(ちょっとうらやましいわね)さんが2組。榊兵衛(ga0388)さんとクラリッサ・メディスン(ga0853)さん。とっても仲がいいの。だけど榊さんは、直前の依頼で重症を負われたみたいで、ちょっと痛々しいけど、それでも無理に参加してくれたわ。今回のクルーズを大変楽しみにしていた奥様のためですって。キャ〜〜。やだ、私ってなんで赤くなってるんだろう。あと、もう一組、こちらは、奥様と私が交友を結ばせてもらってるんだけど、アルヴァイム(ga5051)さんと百地・悠季(ga8270)さん。何でも新婚旅行を兼ねてるんですって。素敵ね。しかも奥様はまだ10代なのよ。10代! 私より年下なのに‥‥(MSより。すでにレニは妄想モードに入っている模様です)
 で、あと4人の方。こちらは、今回受け付けのときに、真っ先に私の前に並んでいただいた、4名の方々。美環 響(gb2863)さん、獅子河馬(gb5095)さん、美環 玲(gb5471)さん、結城悠璃(gb6689)さん。で、響さんと玲さんは、兄妹じゃないかしら、と最初思ってしまったの。だって、そっくりなんだもの。私と兄さん以上に似てるわ。
 こんな素敵な人たちと、1日のんびりクルージングできるなんて、なんて幸運なのかしら。ワ・タ・シ‥‥。でも今回は、レポート、という半分仕事のような感じで行くのだから、そこはきっちりしておかないとね。うん。


 人ごみに押されるようにして早速乗船。あ、そうそう。言い忘れたけど。今LHのいる辺りは、ちょうどハワイ近海なの。だから、海も空も南国ムード満点で、まるで、LHの中とは違う星にいるみたいね。外からだと見上げるような船から下界を見下ろしてみると、まるで下にいる人たちが小人さんのように見えるわ。なんか、ガリバーにでもなった気分ね。こんな船で一度、世界を周遊してみたいな、と思ったりしてね。
 お名前はだしてないけど、私のお友達の何人かも今回運良く当選したので、その人たちとちょっと記念撮影〜〜。タラップをあがったデッキのところで1枚‥‥。あら?
 あそこを奥様にささえられるようにタラップを上ってくるのは榊さんとクラリッサさんかしら? ‥‥、本当に大怪我されたみたいで私も思わず心配になってくるわ。お大事に。
 で、この船は2Fから乗船するようになっているので、船内に入ると最初にたどり着くのが絢爛豪華なメインエントランスというわけ。と、すぐ横をうれしそうに通り過ぎる、見覚えのある横顔の方が。
「百地さーーん。やっほーー」
 と思わず声をかけようとしたけど、隣に旦那様がいたので、今回は遠慮したわ。こちらも仲むつまじく、人ごみに消えて行ったわ。じゃあ、私も急ごうっと。ルンルン。


 じゃあ、船内を1フロアづつ紹介していくわね。まず、船内1Fは劇場と診療所がはいっているの。‥‥あら、あそこにいらっしゃるのは、玲さんじゃないかしら。きっと劇場で映画鑑賞をするつもりね。とすれば、何か素敵な恋愛物でも上映中なのかしら。
 ‥‥で、私もさっそく劇場入り口に行ってみたの。え〜〜と、今の上映プログラムは、っと。あら。これって素敵な恋愛物じゃないの。希望がかなったのね。玲さん。私も見たいけど、船内くなまく見て回りたいので、先を急がなくちゃ。
 でもその前に、ちょっと喉が渇いたわね。そうだ。確か、2Fにダイニングルームがあったけど、そこでとりあえずお茶でもしていこうかな‥‥って、誰もついてきてくれる人がいないのはとてもさびしいんだけど。(ちょっぴりブルーかな)。でも、船内はきれいだし、仲間の傭兵さんたちがいっぱいいるから、それはそれですごく楽しいんだけどね。なんてったって、初めてこんなクルーズ船に乗るんだもん、伯爵様と運命の神様に敬礼っていうところかしら。


 ちょうど2Fにあがってきたついでなので、2Fを紹介しておくわ。2Fにはさっき、私がお茶したダイニングとビュッフェ形式のレストランがあって、和洋中ひとおおり、なんでも食べられるの。しかも、噂では、コックさんも一流どころがそろっているらしいわ。
 でも、まだ食事の時間には早いから人影もまばらね。クラリッサさんや百地さんと乗船前にお話したとき、ここでダイニングをしたいといっていたから、夕方になれば彼女たちにも会えるかもね。でもきっと、妬けるんだろうなあ(ブツブツ)。
 他の傭兵さんたちもここでお食事できるのを楽しみにしている人が多いみたいね。でもひとりで食事をする気にはあまりならないんだけど。私。もちろんまだおなかがすいていない、ということもあるんだけど、なんか、ムード的に、ね。私なら、そばにあるテイクアウトできるお店の簡単なものにしてしまうかもね。
 

 次は3Fね。ここには大浴場があるんだって。しかも、すでに速攻で突撃した傭兵さんが曰く、「すげえ」らしいんだって。なにがすごいのかな? うん、きっと大きくて眺めがよくて。となれば、私もはいっちゃおう。おじゃましまーーす。
 ‥‥うわーー。大浴場の窓から太平洋が一望できるし、おおきなバスタブ。立派なサウナ完備。しかも、小さいながらエステまで。
 あら。すっかり時間が過ぎてしまったわ。自分のことより、船内レポートをしなければ。他の傭兵さんたちが何をしているかも楽しみだし。お風呂はまたあとで。


 3Fから4Fへ登るエレベーターの中で‥‥、そう。この船はあまりにも大きいので船内の上下階の移動は、すべてエレベーターかエスカレターなんだって。これもすごいことだと思うけど、そのエレベーターの中で、獅子河馬さんに出会ったわ。手には大きなトローリングの道具を持っていてね。聞くと、
「準備に時間がかかったけど、これからトローリング」
 とおっしゃっていたわ。なんでも、料理の腕も確かで、つれたら自分で捌くらしいのよ。十分に期待しちゃおうかな。なんでも、船尾デッキでトローリングできるらしいの。つりは詳しくないけど、あとで見に行ってみようかな。カジキなんかつれたらそれはそれですごいでしょうね。気合十分で下の階へと向かう獅子河馬さんをお見送りしてっと。


 で4Fね。ここで一番目に付くのが、大きなイベントホールね。ここには、カラオケルームもあるみたいで、傭兵さんの歌声がかすかに聞こえたりしているわ。皆楽しんでいるのね。‥‥そういえば、響さんが後ほどここで得意の奇術を披露してくれると、こっそり教えてくれたんだけど。
 あら? だれか控え室にいるわね。ちょっと覗いてみようかしら。って、噂をすれば影の、響さんじゃないの。どうやら本番に備えて確認中みたいね。
「ちょっとお邪魔していいかしら」
 と半ば無理を承知で、覗かせてもらうことにしてみるわ。
「あ、ようこそ。え? 見学ですか? ちょっと恥ずかしいですね。まだまだ未熟だし」
 といいながらも、その場でいくつか得意の奇術を見せてもらったわ。
 いえいえ。決して未熟だなんてことはありません。見事な腕前で、これならプロでもやっていけるんじゃないかしら、と思う手さばきでしたわ。
「そういってもらえるとうれしいです」
 とうれしそうな響さん。‥‥で、せっかくなので、私が一番気になっていたことの質問をしてみることに。
「突然ですが、玲さんとはご兄妹ですか?」
 うん。多少気になってたの、私も。かなりズバリな質問だったかな?
「え? ふふ。それは‥‥、ヒ・ミ・ツです」
 わーーん。笑顔ではぐらかされてしまったわ。いいもん、玲さんにも聞いてみる。
「そうだ、ところで、カジノで一緒に遊びませんか? 確か6Fがカジノですよね?」
 と響さん。う〜ん。カジノか。私ってギャンブル運ないと思うんだけど。でも、なんか面白そうね。とりあえず、まだ準備があるという、響さんと後ほど落ち合うことにして、先を急ぎましょ。まだ船内すべて見てないしね。


 先を急ぎましょ。お呼ばれしてるし。5Fは、きれいな洋服がいっぱい売られたブティックが、いきなり眼に飛び込んでくるわね。うふ、なんか衝動買いに走りそう。
 他には美容室とかバーとかあるけど、バーなんか、当然未成年禁止だから、未成年の傭兵さんの姿は見えないし、美容室もあるんだけど、さすがに、レンタルの1日限りということもあって、お店がしまっているみたいね。
 ‥‥あら、でも見知った顔が。あそこで、おいしいデザートを売っているお店がでているんだけど、その前でなにやら、固まって眺めているのは、そう玲さんじゃないかしら? ちょっと声をかけてみよおっと。
「あら、玲さん。甘いものがお好きなんですか?」
 びっくりしたような顔でこちらを振り向く玲さん。さっき、劇場にいたときは声をかけられなかったけど、今回は思い切って声かけてみた。
「あら、レニファーさん。今回は御一緒できてよかったですわね。‥‥、私甘いものには目がなくて、こうしてデザート屋さんの前をうろついているんですわ」
 確かに、女性は甘いものには眼目がないのは私も同じ。でも、いまダイエット中だしなあ。ここはグっと我慢してっと。
 チョコレートパフェやケーキはどれも贅沢なトッピングが施された豪勢な見た目にもおいしそうなものばかりで。うーーん、ダイエットの精神が挫けそうだわ。
「そうそう、レニファーさんって、エキスパートなんですよね。」
 と、玲さん。そういえば、彼女もエキスパートだけど、傭兵さんでエキスパートって結構珍しいのよね。お互い仲間意識が急に強くなったような気がします。なんかいいお友達になれそうな予感がします。
「‥‥でね、あれがね」
「ふーーん。そうなんだ」
 と、結構長話をしてしまいました。もちろん立ち話というわけにはいかないので、近くにあった喫茶コーナーでね。え? 甘いものはって、いいのよ。食欲は人類の基本的欲求なんだから。‥‥で占いがお得意というので、最後に思い切って私の「結婚運」を占ってもらいました。ええ。もちろん結果は‥‥。お願いだから聞かないでーー。(ぐすん)。占いなんかーー。ええええ。
 あら、もうこんな時間。カジノに急がなくっちゃ。あら、しまった。玲さんに例のこと聞くの忘れてしまったわ。まあ、いいか。知らぬが華、ということもあるしね。
 ‥‥あれ、あそこにいらっしゃるのは? スラックスにチョッキ姿の男性と、白パーカーにオレンジランニングと桃色キュロットスカートの女性。そうね。アルヴァイムさんご夫妻ね。朝はノンビリショピングされたいと百地さんがおっしゃられていたから、仲良く連れ立って行動されているのね。うーーん。声かけるにはちょっと遠いし、時間もないので、ここはごめんなさいね。また、どこかで会えると思いますわ。
 ‥‥あ、でもあちらも気がつかれたみたいね。笑顔で挨拶されて。私も笑顔でお応えするわ。楽しんでねーー。終始にこやかな表情のお二人にこちらも、癒された気分になるわね。


 やっと6Fね。ふーー、広い船内を案内するのも大変ね。ここには、例のカジノとラウンジがあるわ。そういえば、榊さんご夫妻はラウンジで養生されるとかおっしゃっていたわね。あとで覗いてみましょうっと。
 で、私も早速カジノにチャレンジ。って、こういうところって遊んだことがないので、何をしていいのかよくわからないままに、たまたま近くにあったルーレットにチャレンジ。
 チップをベットしてホイールの中を転がるボールの行方を見守る。 っと。あらら‥‥はずれみたいね。なんか難しそう。で、何回かやったけどほとんどはずれで、最後にはチップを使いきってしまったわ。うーーん。私ってギャンブル運はないみたい。
 あっと、響さんはどこかしら? とあたりを探して見ることに。
「お待ちしてました。そろそろ始めようかと思ってたんですよ」
 とにこやかな響さん。見れば、ポーカーテーブルにデンと陣どっている響さん。手元には、山積にされたチップが。って、かなりの金額じゃないのこれ?と思わず思って。
「さっき、スロットで多少勝ったので、今回はポーカーで勝負です」
 とやる気満々の気配。ほどなくして、他の仲間の傭兵さんたちも誘い合わせテーブルに居並んで、早速勝負開始‥‥。
 ふと気がつけば周りには、ギャラリーらしき傭兵さんの姿も。で、肝心の勝負は勝ったり負けたり、もちろん本場のポーカーのように美人の(妬けるわ)ディーラーさん(こんな方々まで用意されて伯爵様に改めて感謝)がいるので、それを見たさの人もいたのかもね。
 あっというまに20分ほど経過。どちらかといえば、負けが込んできた状況ね。結構熱くなりやすいタイプみたいで、周りからけしかけられると、「レイズ」とか「アップ」とかの誘いに割りと簡単にのっているみたいで。でもそこは、「まさか伝説の‥‥」と噂されているらしい響さん。勝負どころでは絶対に自分に勝ちを持ってくる勝負運は持ち合わせているみたいね。
「コール!」
 大一番と思える場面では、思わす私も叫んでしまったわ。で、終わってみれば、それなりのお金を手にする響さん。
「レニファーさんも遊びませんか?」
 と誘われたけど、私は遠慮したわ。さっきのルーレットではっきりわかったからね。
 それにポーカー自体もよくルールがわからないしね。
「あら、勝ったみたいね。なら、何か洋服でも買ってもらいましょうかしら」
 いつの間にか、すぐ隣に来ていた玲さん。予想外?のお金が手に入ったので、彼女もなんかうれしそうね。で、そのまま2人でカジノを出て行ったわ。たぶん、いろいろおごらされるんでしょうね。フフ。
「一緒にこれから楽しませていただくわ」
 と、すれ違いざまに私にこっそりささやく玲さん。聞けば、これから最上階のサンデッキで日光浴でもして、プールにでも行きたいとのこと。いいわねーー。
 で、もうひとつのラウンジ。こちらには榊さんご夫妻が‥‥。あ、いたいた。御夫婦でのんびり、というか、負傷された旦那様を気遣うような奥様のお姿が。ちょっと声だけでもかけさせてもらおうっと。 
「本来なら、養生すべきなんだが。せっかくクラリーが楽しみにしていたことでもあるし。船の上で養生というのもいいかも知れないと思ってな。すまないな、クラリー」
 と旦那様の榊さん。こうして直接お会いするのは、例のJBの式の斡旋の時以来だけど、怪我されたとはいえ、大丈夫そうでなによりね。
「私の許に生きてかえってくれるのなら、それだけで十分ですわ」
 と奥様のクラリッサさん。あーーあ。いいなあーーー。このねぎらいいたわりあうような関係。理想的な御夫婦ね。奥様のサマードレスがよく似合ってるわ。
「怪我さえしなければ、もっと楽しめたのだがな。残念だったよ」
 と榊さん。
「最初はキャンセルしようかと思ったぐらいですけど、彼の言葉もあって参加しましたわ」
 とクラリッサさん。そうね。なにより無事で帰ってきたことが、最大の幸福なのかもね。私たち傭兵にとって、命がある、無事帰るということが、なによりの使命なのかもしれない、などと考えさせられてしまったわ。愛する人、守るべき人がいるからこそ、ね。
 なんか、考えさせられる一幕に思われたわね‥‥。そうそう。榊さんご夫妻。さっきカジノでちょっと遊ばれていたみたいなんだけど、気がつかなかったわね。ちょうどポーカーコーナーが盛り上がっていた頃だったのかしら?
「それなりに楽しんだよ」
 と榊さんはおっしゃていたけどね。


 で、7F。ここのメインはなんと言ってもプール。周囲が透明のドームで覆われていて、周囲には、デッキもあるので、外からも中からも見通しはよく。しかも天然の太陽光が100%近く差し込んでくるので、まさに、室内の楽園、といったところね。さすがに、ここは傭兵達の姿も多く、賑わい度で言えば、船内で一番かもね
 誰かいないかしら‥‥、と見渡せば、あら、あそこで、ひたすら泳いでいらっしゃるのは結城さんではないかしら? なんか、えらい、マジモードはいってるんですけど。
「がんばってますわね」
 とお声をかけてみたけど、帰ってきた答えは、
「いやーー。ほんの数kmですよ」
 って、数キロって、あなた!!! トライアスロンだってそんなに泳がないのに。数キロって、私なんか25m泳ぐのがやっとなのに。走るのも無理なのに‥‥。失礼かとは思ったけど、前世ひょっとして魚さんですか? とたずねようかと思ったわ。
「お話させていただくのははじめてですよね」
 と結城さん。そうですわね。よろしくね。
「オペレーターのお仕事っていろいろ大変なんでしょう?」
 と尋ねられる。うーん。まあ、要は書類整理みたいなものだから。能力者とは言っても実際に現地に行くわけではないし。微妙な立場といえなくもないわね。あまり考えたことないんだけどね。でも、やはり本当は依頼に参加して現地にいくのがいいと思うんだけどね。立場上無理かな、と思うのよね。
 あんなこんな雑談に時間をつぶす。ここは気持ちがいいので、私も水着もってくればよかったとちょっと後悔。でも、スタイル自信ないし。胸も小さいし‥‥、なんか人前にさらせるものでもないから、遠慮して正解かもね、と一人で納得してみましたわ。
「これから、お時間があれば、ぜひ御一緒したいですね。」
 と誘われるまま、例の奇術見学に御一緒させてもらうことに。そろそろ準備できた頃だろうし。
 でヒョイっと顔を上げると、前方になんと、まばゆいばかりのスク水が視界に‥‥って、スク水?! なんで、この場所にスク水!? と思わず眼をこすったんだけど、確かに正真正銘のスク水が。どゎ誰だーーと思わずみやったその先には、紺のスク水に身を包んだ百地さんが。どこからそんなものを? と思わずつぶやいてしまったわ。
 まだ、学生ということで、身分的には赦されると思うのだけれども、ワンピタイプって、体の線が強調されるの。で。百地さん。とてもまだ学生とは思えないスタイルのよさで、ひょっとして、成人の私より‥‥。と思ったわ。(くやしいけど)。あ〜〜。コンプレックスだわ。ほんとに。でもね、女性の色気、といえばクラリーさんはやっぱり、あんなところやこんなところ‥‥あ、いけない。すっかり妄想モードに入ってしまったわ。眼を覚ませ。レニファーっと。(顔ぷるぷる)
 で、その隣には、ボクサータイプの水着を着た旦那様がいらっしゃって。ノンビリねそべりつつ、なにやら御歓談の御様子。そばには、飲み物やら食べ物があって。確かにここは1日いても飽きないわね。これ以上いると私もまた妄想が始まってしまいそうなので、最上階へ


 最上階8F。ここには360度見渡せるデッキがあるの。私の一番の目的はここよ。このデッキからグルリと広大な太平洋を眺めていると、青い空と青い海そして自分がまるで意識共同体になったような気分をあじわえるの。
 暑苦しい普段のオペ服を脱いで、ちょっと薄着になって日光浴。そういえば、玲さんたちは、と思ったけど、時間がずれていたみたいで、そこには姿は見えなかったわ。
 そのままちょっとまどろんでみる。と、はるか視界の下のほうで、おおきな釣竿を持ってなにかと格闘している姿が。あら? あれは獅子河馬さんみたいね。がんばってるのね。トローリング。しかも、なにやら大物が釣れたっぽい雰囲気がここからでも感じ取れるわ。歓声が沸いているのがここからでもわかるから。
 あら、そろそろ時間だわ。響さんの奇術が始まる頃ね。急ぎましょ。あっと、その前に獅子河馬さんのところに行って見なくちゃね。


 船の2Fからまっすぐ行ったところの船尾にあるデッキ。そこで、立派な装備一式と格闘中なのは、獅子河馬さん。聞けば、これからトローリングを始める準備だとのこと。
 ふ〜〜ん。はじめてみるけど、結構立派かつ重量のある釣竿なのねえ。もっとも、トロールといえば、巨大魚というイメージがあるから、これが正解なのかも知れないわね。お邪魔しちゃ悪いから、早々と退散。でも、この船尾から見ると、海面が結構間近に見えて怖いものがあるかもね。ちょっと釣竿を持たせてもらったけど、ズシリと重量感があって、とても私の力では無理ね。で、大物ゲットを期待して、また戻りましょ。


 4Fのイベントホールには、結構人が集まっていたわ。いよいよ本番ね。ライトがほどよい暗さになり、いよいよ主役がステージに登場。拍手が起きる。
「皆様に一時の幻想をごらんいただきたいと思います」
 とプロ顔負けのスタイルと雰囲気で現れた響さん。
 優雅に一礼すると、なにやら幻想的な音楽の流れる中、つかのまのイリュージョンが始まったの。
 で、その腕前。‥‥お見せできないのが残念だけど、ほんとうにプロ顔負けの腕前で、思わず吸い込まれてしまったわ。季節柄、水を使ったマジックとか披露していただいたけれど、時代が時代なら、立派なマジシャンとして生計を立てていけたのかも知れないわね。
 すべてが終わったときは、スタンディングオベーションが沸きあがったくらいだから、その内容がうかがい知れると思うわ。今度、機会があったら、私も手ほどきでもしてもらおうかしらね。


 出航してから、大分時間がたったみたいね。そろそろ皆おなかがすいてきた頃合だと思うけど、そうなると2Fにあるダイニングがぼちぼち込んでくる頃ね。南国の太陽も大分西に傾いてきたし、だんだんサンセットクルーズっぽい雰囲気になってきたのね。
 というわけで、私もダイニングにいって見ましょう‥‥。あら、いつのまにこんなに日焼けしたのかしら。小麦色までとは行かないけれど。
 で、道すがら、獅子河馬さんにばったりと。
「おかげさまで、大物がゲットできました」
 と非常にうれしそう。今だ興奮さめやらぬ、といったところ。聞けば、なんでも型のいいマーリン(かじき)が釣れたとのこと。ああ、さっき、最上階から見えたのは、やっぱりその光景だったのね。さっそく、厨房を借りて捌いて、みんなに振舞うと張り切って厨房の方に向かって言ったわ。うあーー。すごい楽しみね。料理が得意らしいから、きっとすごいものができるかもね。
 ‥‥さて到着。あらら。さすがに人気が高く、なにやら一部が列になっているようね。ここは、ダイニングとビュッフェ形式があって、複数でのんびりちょっぴり優雅に楽しみたい場合は(例えばカップルでとか)ダイニング、仲間同士でワイワイという場合は、ビュッフェがいいみたいね。あ、むろんテイクアウトコーナーもあるから、どこか船内の別の場所で食べたい、という場合は、こちらがお勧めかもね。
 ダイニングもビュッフェも中は広く、調度品はクルーズ船とは思えないほどの豪華さで、まるで、リゾートホテルのレストランのようだったわ。内装はシンプルだけどおしゃれ、テーブルは広めでゆったりしていて、ビュッフェのほうには大きな中華風テーブルもあったりして。
 ではさっそく、私も中へ。‥‥でいきなり、榊さんご夫妻とばったりでくわす。
「いよいとディナータイムですわね」
 と声をかける。
「本来は和食派なんだが、ここでは洋食にするか」
 と榊さん。まあ、和洋中、なんでもそろってるから、それなりにたのしめるのですけどね。
「今日はお酒もほどほどにね」
 とクラリッサさん。気分よく中の方に入っていかれたみたい。
で、続けざまに、
「あら、百地さん」
 と声をかける。こちらはアルヴァイムご夫妻。御主人は礼服、奥様は、先ほどの印象が鮮烈だったが、特注の白ドレスである。
「私たちも豪勢に洋食とさせていただくわ」
 と百地さん。そうね。お二人には洋食が一番ピッタリくるまも知れない、と思いつつ、にこやかに見送る。(いいなあ、いつか必ず)


 いきなり、
「レニファーさんもお食事ですか?」
 といきなり背後から声。振り返ると、そこには結城さんが笑っておられて。
「え? ええ。私は、テイクアウトでもいいかな、っと」
 思わず本当の事を口走ってしまう。ウソでもいいから、「いえ」とかいえない私。
「そうですか。ボクは和洋中いろいろな料理をバランスよく食べたいと思います」
 とのお答え。うーーん。回答がなんともフィジカル系な答えだなあ、と感心したわ。
「好き嫌いはないんで」
 えらい! と思わず心の中で叫んでしまう自分がいたり。
 で、成り行きかどうかはわからないけど、ご一緒させてもらうことにしたの。まあ、こういうのも悪くはないしね。
 と、席についた途端、どこからか歓声が。‥‥。そう、獅子河馬さんが釣り上げた、先ほどのカジキが立派に調理されて、皆の目の前にお披露目されたのね。
「さあ、食べてくれ」
 といわんばかりに、堂々と構える獅子河馬さん。うーーん、すごい、料理人としても一流かもしれない。船内の本職のコックさんからもお褒めのことばがあり、盛り上がる会場。すばらしい料理は芸術品としてみてもすばらしいものだということが、はじめてわかったような気がしたわ。もちろん、皆でいっせいに群がり、あっというまに完食。え? 私? むろん食べたわ。そりゃもう、釣れたてですもの、味は抜群よ。おかげで、普段より多めに食べてしまったような気がするわ。え? ダイエット? だから‥‥。もういいわ。これからは本能にしたがって生きようっと。フフ。
 料理はどれも最高で、食べた皆も十分に納得できた味でしょうね。アルコールもまたいいものがそろっていて。私は普段はそこそこ程度しか飲まないんだけどね。今回は酔っ払ったかも。えーーい。思いきって脱いじゃえーー。ほらあ。みてみて。私だって脱げば‥‥。
(MSより。これ以上は描写できません。やばいので、カメラ切り替えます)


 あら、やだ。わたしったら何を。ごめんなさいね。我を忘れたようね。そうそう、そういえば、結城さんがデッキで、オリジナルのフルートを演奏してくださるとか言ってたわ。
 さっそく聞きにいきましょう。あら? 玲さんだわ。そういえば、彼女も聞きに行きたいといっていたような気がするわね。さっそくお誘いしてっと。
「ええ。ぜひ」
 で、早速向かうことに。あたりはもうすっかり日が暮れてしまって、サンセットというにはちょっと遅くなったが、まだ、南洋の夕暮れには、かなりの明るさが残っていた。
 昼間私がのんびりしたデッキは夕暮れからライトアップされ、さらに幻想的な雰囲気に。昼間もいいが夜のデッキもいいわね。あら? そういえば、アルヴァイム夫妻の姿が、ディナー以後見かけないけどどうしたのかな? とちょっと心配していると、
「ああ。あのお二人なら、夕食後、個室に入っていかれましたよ」
 と結城さん。夕食時に見かけたが、声をかけるのは遠慮したそうよ。たまたま、結城さんの前を歩いていて、個室に入っていかれるのを目撃したそうね。
 まあ、御夫婦ですから、個室は当然でしょう。って、なにやらまたもやよくない妄想が目の前に浮かんできたわ。ああ、やめて。このデジャブのような光景。きっと、お二人で同じベッドの上で、あんなことやこんなこと‥‥。
(MSより。またもや危ないので以下カメラ回線切ります)
 あら、やだ。また妄想に走ったわ。そうそう、演奏会の話ね。ORのフルート片手に、デッキの片隅にたたずんで、ゆっくりと静かに澄み渡るような音色で演奏する結城さん。それは聞き入る誰もが、しばしば時間を忘れ、一時の余韻に触れる瞬間。玲さんや響さんがうっとりとそれに聞き入る。おや、いつの間にか、アルヴァイムご夫妻のお姿も。そうね。こんな瞬間は、めったにないのだから、皆夢の世界に、しばしいざなわれたみたいで。私も心がまっさらになった気分よ。
 ‥‥こうして、1日限りのクルーズは無事に終了した‥‥。はずなのだけど、なぜか船を下りたアルヴァイムさんの顔色があまり優れないの。どうしたのだろう? と心配していたら、
「酔い止めの薬、飲み忘れちゃって」
 と奥様があとでこっそり聞かせてくれたわ。なーんだ。そういうことだったのか。て、え? そうだったの! 見かけにはよらない? アルヴァイムさんの思わぬ弱点? なのかしら、と思ったり。


「今回もうまくいったみたいだね」
 とその報告を聞いて、よろこぶカプロイア伯爵。
「これで、また傭兵達も気分新たに次の依頼に出かけられる、というわけだね」
 そこには、爽快な気分になった伯爵様がいた。