●リプレイ本文
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美しい海と空、無人島と美女‥‥これらがすべてそろえば、そこにキメラという厄介なお邪魔虫はいるのだが、いつになく気合十分の傭兵達、いつもより熱がはいることは間違いない。
「モデルさん&美人かあ。経験したことのない世界かもね」
とは聖・真琴(
ga1622)。同性としてなにやら期待満々の表情。
「俺はそんなことより、モデルさんの○○の危機が‥‥」
となにやらよくわからないことをつぶやく九条・縁(
ga8248)。何が危ないというのか? 危ないのはむしろ‥‥だと思うが。で、気合の入りようではキヨシ(
gb5991)も同じようなもの。
そんな傭兵達がそれなりの装備をしているにもかかわらず、なにか勘違というか、今一よく分かっていないというか、Tバックの白紐ビキニスタイルで、その場にたたずむ元モデルのシャイア・バレット(
gb7664)。手には電磁棒?らしきものを持ったその姿。う〜〜ん。明らかに趣旨が違っている。仮にも相手はキメラなのだが。
「はやく助けに行くのです。あはは」
と土方伊織(
ga4771)。作り笑いもどこか引きつっている。
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現地の漁師に島の簡単な地図を書いてもらう。いかにも、といった感じの無人島で、まあ、別荘跡があるのだから以前は誰かが所有していたのだろうが。なんで、またこんなところで撮影会など。
「まさか、秘密の○○でも開催してるんじゃ」
と百瀬 香澄(
ga4089)。決してそんなことはないと思われる。
8人の傭兵は現地で借りた小船に乗って、問題の無人島へ。なぜ、こんな小島にいきなり坊主顔のキメラが、と思わなくもないが、きっと煩悩が溜まっていたんでしょう、と百瀬。キメラに煩悩? あるわけない。
青い海と晴れ渡った空にみとれているうちに小島が見えてきた。さて、任務である。全員覚醒し気合を入れる。キメラが見えたら直ちに殲滅。
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8人がフォーメーションを組む。2人ずつ4組である。
まずは前列が護衛。聖と九条である。そして次の列の右に林の探索を受け持つ「林」班。メンバーはキヨシと、例のシャイア。意気込みはいいからその格好で戦うのは‥‥とは誰も突っ込まない。その左に砂地の探索を受け持つ「砂地」班。メンバーは百瀬と、バハムート装着でこちらは構え万全なドラグーン、ランディ・ランドルフ(
gb2675)。殿が、島の裏側を探索する、「裏手」班で、メンバーは土方と、自称「黒い亡霊」のゲシュペンスト(
ga5579)。以上8名である。
作戦はこうだ。まずは、護衛班を先頭に、孤立した別荘跡のモデルさん達と全員で合流。その後、護衛班はその場に残り、モデルさん達の身柄の安全確保。他の3班は、それぞれ山狩り、として島内を班毎に探査し、キメラの発見、殲滅にあたるというもの。林とか砂地とか裏手とかは、それぞれの場所を示しているのだ。
なぜ、護衛班が聖と九条なのか? たぶん、作戦中、彼らが一番おいしい、と思われる役回りのはずなのだが。まあ、あちらには男性のカメラマンと助手がいるので、誰であっても間違いはないと思うが。
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まずは、全員で別荘跡へ‥‥、などと思って上陸した途端、いきなりなキメラのお出迎えである。2体の煩悩全開な?本当に坊主顔のキメラが6本の腕をゆらゆらさせながら迫ってくる。
「なに〜〜〜。あれ。ぐにょぐにょしてるし‥‥」
と気味悪さ全開の聖。てなこといってる場合じゃない。退治退治っと。
護衛班を先頭に強行突破。エネガンぶちかましつつ強引に突っ切る九条。蹴り飛ばそうとする聖。だが、運悪くキメラの手がひょい、と伸びて彼女を捕らえる。その腕が喉元に巻きつく。
「いやあああああ。」
グルグルグルと体全体にも。いわば簀巻き状態。これでは動けない。さらに手が伸び、彼女の下半身へ。確かに煩悩の塊‥‥。いや、巧みな攻撃を見せるが、九条のエネガンがその延びた腕を吹っ飛ばす。そこへ、後方から援護が。キメラはそのまま吹っ飛んだ。で、もう一匹、なんとか傭兵達を捕らえようとするが、これはうまく回避。こちらはブーストオンで一気に接近したランディの機械剣αで粉砕した。
「ありがとう」
と息を戻す聖。煩悩の餌食にされなくてなによりである。
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そのまま別送跡に直進。それは、古びてはいたが作りはしっかりとしたもので、これなら長期滞在も可能と思える。もっとも、こんなところに男女が閉じ込められていたら、たぶん‥‥になるのは目に見えている。はやく助けるに限る。
ドアを開ける。そこには、女性6人と男性が2名。撮影途中だったのか、目のやり場に困る露出度の水着である。もっとも、傭兵側にも、ひとり同じようなのがいるので、多少は目が慣れてきたか、マジマジとつい見てしまう。
「皆さん。もう大丈夫ですよ。」
と大声で叫ぶ。助けが来ることはわかっていたようで、ちょっとおどろいたものの、すぐに冷静さを取り戻すモデルさん達。もっとも、一瞬キメラと間違われ悲鳴がとどろいたのは聞こえないことに。さらに、背後でキヨシが頭からすべりこんで何やら叫んでいるのだが、完全に無視しつつ、奥へ進む。
「いや〜〜。助かりました。本当に一時はどうなるのかと」
とアシスタントらしき男性が歩み寄る。ほっとした表情。だが、男性傭兵陣は、その表情が実は、自分の煩悩がもはや限界だったことを暗に表していることに気がついて内心自分たちもほっとする。もう少し遅れたら‥‥。何が?
さっそく、コーヒーを振る舞い、まず落ち着いてもらう。で、改めて周囲を見渡す。え〜〜。素顔のモデルさん、普段は絶対に見られない表情が目の前で見られる。素顔もやはりとっても美人〜〜。さっきまでの表情がさっと明るくなり、にこやかな瞳がこちらに向けられる。まさに、「白馬の天使」気分である。決して「白衣の天使」ではない。これにて、第1段階は終了。援護班を残し、他のメンバーは山狩りに出発。
「何かあったら、わかってるだろうな」
というメンバーの無言のプレッシャーがあたりに残されていった。愛想笑いでごまかす九条。内心冷や汗がでている。
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さて、山狩りである。まずは砂地班。島の砂地をぐるりと探索し、キメラを探す。すでに2体退治したが、それだけではすまないだろう。なんといっても相手は煩悩の塊‥‥もとい、凶悪なキメラである。
周囲に気を配り、探査する百瀬とランディ。
「敵だ!」
とランディ。見れば前方に2匹のキメラ。双方同時に気がついたようだ。
「囮になる。ブーストオン」
竜の翼を発動し、一気に迫る。追う百瀬。こちらも疾風脚発動で。
「!!」
出会い頭の百瀬の一撃がカウンターとなり、煩悩、もとい千手観音のようなキメラの急所に命中。気味悪い悲鳴を上げて(某黒服の戦闘員のような)キメラは粉砕された。どこを狙っていたのか、その手は下半身の方に伸びていた。
で、もう片割れ。一撃で相方がやられたので、士気が低下したのかどうかはわからないが、腕をゆらゆらと伸ばして迫ってくる。先ほどこの攻撃は体験済で、すでに見切っていた。真横に移動し、そこからキメラに一撃するランディ。すぐさま呼応する百瀬。奇妙な音が2〜3回するうちに、キメラは粉砕されてしまった。まったく、こいつら顔とやることがマッチしていない。いったい、バグアはどっからこんなキメラのネタを見つけたのだろうか? ‥‥これで4匹。
「こいつら、性別あるかどうか知らんが、絶対に♂だな。人様の下半身狙ってきたし」
と百瀬。やはり気がついていたのだ。そうゆうことはシャイアにでもしてくれ、とでもいいたそうな。本人が目の前にいないので‥‥。
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一方裏手班。無線機等を通じて他班の状況はおおかた把握しているので、こちらは島の裏側を探索する。別荘跡の丘を越え、反対側へ林を抜けると、そこはさっきとあまりかわらない風景。だが、ここにもキメラはいるのである。こちらは、土方とゲシュペンストの2名。ぱっと見、男女のペアに見えなくもないのだが、実は土方が男性だったりする。
「そろそろだな」
とゲシュペンスト。なにやら気配を察知したか。
と、言ってるそばから2匹現れた。だが、まだこちらには気がついていない。先制攻撃のチャンス‥‥、となにやらどこぞのRPG風な場面ではあるが、土方が「布斬逆刃」のスキル発動。こいつは物理攻撃と非物理攻撃を入れ替えるという、なにやら裏技っぽいスキルだが。旋棍「砕天」を振るう。だが、相手キメラの腕がその合間を縫って伸びてきた。
「あれ?」
と思った次の瞬間には、またしても簀巻き状態。今度はかなりグ〜〜ルグルな状態で多少あばれたくらいではビクともしない。やばい、と察したのか、ゲシュペンストが簀巻きにしたキメラに集中攻撃。だが、その隙にもう一匹が彼に襲い掛かる。
「0距離ならば、腕は無効」
と相手の懐を狙う。だが、2匹相手ではなかなかに難しい。かわしつつ攻撃するのだから。
‥‥もがくことしばし、やっと腕の束縛から逃れた土方。それは、ゲシュペンストの執拗な攻撃が実った為である。その頃には、すでに1匹が粉砕されていた。で残る1匹に集中攻撃。なんとか粉砕に成功。息がよみがえる土方。多少ダメージはあったようだ。
「苦しかった」
と一言吐く土方。
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さて、最後が林班であるが、こちらは予想以上に大苦戦していた。もっとも、はじめからある程度予想はされていたことではある。なんといっても、あのシャイアがいるのだから。まさに、煩悩に火に油状態である。確かに理由は立派である。だが、キメラ相手にそれは必要ないだろうと思う。慣れたのか、目のやり場に困ったようには見えないキヨシ。視線は完全に1点集中である。
「近寄るキメラにはこいつで」
で、微妙に怪しい電磁棒をバシバシとたたきつつ、周囲を見渡すシャイア。この武器、本当に威力あるのだろうか? と誰もツッコまない。
「おったで〜〜」
早速キメラ参上。‥‥したのだが、さっきの4匹とは違い、こちらは煩悩度MAXにしか見えない。たぶん、キメラでなくても煩悩度MAXであろう。
スタンバトンで攻撃するシャイア。だが、案の定というか当然というか、このキメラに通用するわけもなく。
「え? 効いてないの」
と騒ぐシャイア。電磁というだけあって放電によりダメージを増すのだが、こいつには効かないのだ。かたや、キメラの攻撃を間一髪かわすキヨシ。軽微ながらダメージが。こちらは、スパークマシン中心の攻撃で、急所突きを使い、それなりに効果がでている。
シュルルルルル〜〜〜。腕を伸ばすキメラ。当然狙いはシャイア。煩悩全開‥‥いやパワー全開の腕が彼女の体に絡みつく。で、そのまま、別の腕がスルスルと伸び、彼女の下半身に‥‥。武器こそ奪われなかったが、描写できない攻撃が彼女におそいかかる。普通は見てはいけない光景である。
完全に動きを封じられる。もがけばもがくほど抜けないアリ地獄である。さらに、あんなことやこんなことを狙う伸びた腕。‥‥かたやキヨシは、どうにか1匹片付けたのだが、隣がすごいことになっているので、思わず立ち止まってしまう始末だが、このままでは彼女の身が危ないので、フォローに入る。まずは、絡めていた腕を切り落とし、順番に腕を叩き落とす。
そして、6本の腕をどうにかすべて叩き落し、キメラを粉砕した。
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すべて終わったとき、シャイアはかなり疲れていた様子。あれやこれやのダメージは意外とあったようである。
「もう。変態なんだからこのキメラ。私も‥‥」
となにやらわけのわからないことを。実は彼女自身、結構○○○だったのかどうか、本人にしかわからない。ていうか、すでにその格好をしてきた時点でアウトでしょ、たぶん。
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その頃護衛班は、一番おいしい思いをしていると思いきや、実際は他のメンバーがせっせとキメラ狩りをしている間中、別荘の外にでて、キメラがこないかずっと監視を続けるという、あまりおいしくない?役回りを演じていた。別荘自体が決して狭いからというわけではなく、名誉のためにいうが、中にいると九条が限界を超える、といった理由でないことだけは言っておこう。
そこそこの時間が経過し、護衛班もそろそろ退屈してきた頃、やっと山狩り班が全員帰還した。状況は逐一把握していたものの、やはり全員の顔がそろわないとどこか不安になるのが人の常である。
「キメラはすべて退治しましたよ」
代表して聖が口を開く。ただちにその報告は依頼主の社長さんにも報告された。全員の顔に浮かぶ安堵。
「お聞きになっていると思いますが、ぜひお礼をしろ、ということなので」
とカメラマンの男性。聞けば、まだ撮影が少し残っているので、まずはそれを見学させてもらえることに。
「続行ですか? マジ」
とゲシュペンストが驚いたよう。さすがプロ集団である。
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ともかく、撮影も無事に終了し、カメラマンの男性曰く、女性陣は全員グラビア写真を撮影してもらえるとの事。なんでも事務所が発行している女性誌の特集で、彼女たちのセクシーポーズを載せる予定だとか。もちろん謝礼ということなのだが、これで張り切らない女性陣はいない。もちろん水着である。
「なら、脱ぐよ〜〜」
いきなり脱ぎだす聖。なんと下着代わりにつけていたのが競泳用水着、である。用意がいいというか、計算の上というか、ひそかに期待でもしていたのか?
「秘密の撮影会?」
となにやら喜ぶ百瀬。シャイアはむろんそのままで十分すぎる為、直ちに撮影が行われた。それをニヤニヤしつつ見守る男性陣へのプレゼントとは何ぞ?
そう、モデルさんたち全員からのあつ〜〜い、キ○の雨が降ったのはいうまでもない。さらに、8名全員に、社長からのプレゼントで、彼女たちとのプライベートパーティーへ招待していただけるという。早い話が「合コン」ご招待である。当然、これを聞いて断るメンバーはいるわけもなく。そんな彼らを横目にいきなり水着で泳ぎだすランディ。こちらも用意はいいようだ。
そんな打ち解けムードの中、なにやら行動が不審のキヨシ。どこに隠し持っていたのか、デジカメをこっそり取り出すと、親密感あふれるフリをして、モデルさんの胸元に視線が&カメラが。ねらうはもちろんベストショット。‥‥これ以上の描写はやめておく。かくして、無事に彼女たちは傭兵達と一緒に無人島をあとにした。
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「さて、この依頼も終わったわね」
とレニファーが言い、依頼書をかたづけようとしたその時、1枚の紙が束の中からハラリ、と落ちた。それは彼女が気づかぬうちに足元に落ちたものだ。
それは依頼主の社長が書いた、自分の事務所の紹介記事であり、そこにはこう書いてあった。
「当事務所は、そのニュ○ハ―○美女の質の高さでは、フランスを代表する‥‥(以下略)」
以後、今回の依頼の事がLH内で語られることは決してなかった。
了