●リプレイ本文
●参加者名簿
九条・命(
ga0148)
ドクター・ウェスト(
ga0241)
須佐 武流(
ga1461)
UNKNOWN(
ga4276)
アンジェリナ(
ga6940)
以上、5名の能力者達で、トリケラトプスキメラ退治を行う。
●高速艇内
今回は少ない人数でのキメラ退治となるが、集まった傭兵はどれも手練ばかりであり、戦力的には十分であった。
「けひゃひゃ、我が輩がドクター・ウェストだ〜」
「さて、蘇った恐竜か。粋なキメラを作るものだ」
「パワーファイター‥‥得意な相手だが、硬さも備わるとなるとどの程度通用するものか」
傭兵達はキメラの情報を確認すると、ウェストが今回のキメラを分析し始める。
「フリルも頭骨だから端をかすめるような打撃を与えてやれば、首を支点に脳を揺らして脳震盪を起こす、かもしれないね〜」
「目が後にも移植されていなければ、後方はフリルのおかげで死角が多いだろう〜。またフリルの裏側も弱点となるだろうね〜」
彼の言葉に、他の傭兵達はうんうんと頷く。
「まあ、キメラのことだからはっきりとは言えないけどね〜」
最後にそう言い、自分の考えを言い終える。
九条はキメラが発見された熱帯雨林周辺の地図を見て、戦いやすい場所を探している。
戦いにくい密林地帯を避け、少しでも木々の少ない開けた場所で戦う事を提案する。
UNKNOWNは行動分担について他の傭兵達と話し合う。
二体同時に相手をする時は、二班に別れて戦うようだ。
須佐と九条、UNKNOWNとアンジェリナがバディを組み、
ウェストは両班のサポートを行うと言うものだった。
準備を終えた傭兵達は熱帯雨林での戦いに備え、しばしの休息をとる事にした。
●雨の熱帯雨林に轟く咆哮
傭兵達が到着した頃、熱帯雨林は通り雨に見舞われていた。
自分達の装備や携帯袋を手に、傭兵達は覚醒し、固まって熱帯雨林を走る。
彼等はキメラの痕跡を追い、探す事にした。
特に、UNKNOWNは熱心に倒れた木や掻き分けられた草を調べている。
九条もキメラを探すと同時に、事前に決めた場所よりもっといい場所が無いか探していた。
他の面々もキメラを探すが、見つけることが出来ない。
熱帯雨林は広く、覚醒して探すのは難しかった。
餌を撒いたり、巣を探せれば簡単だが、今回のキメラの食性や生態等が分からなかったため、そういった作戦を取れなかった。
兵士達がキメラに出会ったのは偶然だ。探そうとしたら何時間も掛かるだろう。
偶然とはいえ、早期発見することが出来たため、熱帯雨林は深刻なダメージを受けなかったが兵士を失ったのは軍にとっては、とても痛い出来事であった。
捜索開始から1時間が経った。
彼等は熱帯雨林の真ん中程までやってきていた。
そこは兵士達がキメラを発見した辺りでもある。
倒れた木を調べていたUNKNOWNが何かを見つけた。
足跡だ。
もし彼等がやってくる前に付いたものだったら激しい雨で既に消えていただろう。
足跡は奥に続いていた。
UNKNOWNが他の傭兵達に声を掛けようとした時、
「グオオオオオオオオ!!」
激しい雨音と共に、低い咆哮が響き渡った。
●雨、降り止んで
傭兵達はひたすら走る。前へ前へ。
声の主はまだ見えない。
雨のせいで視界が悪かったが、彼等は走り続ける。
と、広い場所に出た。
辺り一面の木々が倒されていたのだ。
そして、彼等はようやく先ほどの声の主であり、今回の目標を発見する。
角で木を貫くトリケラトプスが彼等の気配に気づく。
だが、すぐに振り返ろうとしない。彼等を誘っているようだ。
敵は一体。一斉攻撃で仕留められるチャンス。
だが、彼等は動かない。罠が張られていると直感で察知したからだ。
沈黙が辺りを支配する。いつの間にか、雨は上がり、視界は良好だ。
突然、キメラが振り返る。大きな角には大木が付いており、それが傭兵達に降り注ぐ。
が、その大木を傭兵達は破壊する。大木の破片が降り注ぐ中、今度はキメラが突っ込んできた。
ウェストが練成強化を仲間達にかけようとしていたが、キメラの巨体が向かってきたため、中断し、回避する。
回避したところで、ウェストとUNKNOWNがエネルギーガンでキメラの足を狙う。
だが、分厚いフォースフィールドはエネルギーガンの勢いを殺し、威力を半減させてしまう。分厚い皮膚により、更に威力は下回る。
もっとも、彼らの強化されたエネルギーガンの前ではそれだけでは足りず、足を鈍らせる事に成功した。
キメラは迷った。今回の敵は強すぎる。だが、逃げようにも足をやられ、逃げ切れるものではない。
「ブオッ!ブオッ!ブオッ!」
キメラが突然奇声を発した。
逃げられないと判断したキメラはもう一体のキメラを呼ぶ事にしたのだ。
傭兵達はこの奇妙な鳴き声に少し驚いたが、攻撃の手を緩めはしなかった。
須佐はキメラの背後を取ると、尻尾を掴み、投げ飛ばそうとしたが、何トンもあるキメラを投げ飛ばす事は出来なかった。
必死に尻尾を掴む須佐をキメラは振り払おうとする。
須佐の取った行動は無謀なものだったが、完全にキメラの注意を引く事に成功していた。
アンジェリナはこの隙を見逃さなかった。彼女はいつもとは違う戦法を取る。
それは、力の一点集中。素早さを捨て、全ての力を一撃に懸けると言う原始的な戦法であった。
それを行えるのはこの時しかないと彼女は判断し、流し斬りで攻撃を仕掛ける。
勢いをつけ、側面に回りこみ、氷雨で攻撃を仕掛ける。
この一撃でキメラを倒せるかは分からなかったが、有効打を与えられる。彼女はそう確信していた。
だが、彼女が気づいた時には、彼女の体は空高く舞い上がっていた。
あまりにも一瞬の出来事に彼女は体の痛みより、驚きで一杯だった。
彼女を受け止めるUNKNOWN。
礼を言うと、彼女は自分が居た方を見る。
そこにはもう一体のキメラが居た。
ウェストが彼女に練成治療をかける。
戦いの第二幕が上がろうとしていた。
●重力の一撃
6mの巨体が傭兵達を威嚇しながら、後方に回る。どうやら、逃がさないつもりのようだ。
アンジェリナは饕餮の腕輪を外すと
「枷は外した‥‥ここから第2幕だ」
と言い、普段通りの戦法に戻る。
尻尾を掴んでいた須佐も彼女が吹き飛ばされると、尻尾を離し、前方に飛び、攻撃を受ける前に離れていた。
前方の足を撃たれたキメラは、アンジェリナとUNKNOWN、後方は須佐と九条が相手をする事にした。
ウェストが今度こそ、練成強化を全員にかける。
かけ終わった瞬間に、4人がキメラに攻撃を仕掛ける。
まず、アンジェリナが飛び出した。彼女は素早さを生かし、ウェストが言っていたキメラのフリルの裏から攻撃を仕掛けた。
アンジェリナに反応しようとしたキメラだが、前方のUNKNOWNがエネルギーガンでキメラの注意を引き付ける。
アンジェリナが絶えず、攻撃を仕掛けるが、フォースフィールドと皮膚に阻まれ、中々致命傷に至らない。
マタドールのような動きでキメラを引き付けているUNKNOWNとアンジェリナを同時に攻撃するためにキメラの頭が激しく振り回される。
攻めあぐねているアンジェリナにある考えが浮かんだ。
彼女は、キメラの頭を思い切り踏みつける。
フォースフィールドが現れ、彼女を上空へ跳ね飛ばす。
彼女は舞い上がると、饕餮の腕輪を取り出し、再び腕にはめた。
そして、キメラの首筋目掛け、氷雨を振り下ろす。
彼女の落下するスピードは徐々に速くなり、必然的にその一撃は重くなる。
彼女だけの力だけでなく、重力を利用したその一撃は、フォースフィールドを見事に打ち破り、キメラの喉元まで達した。
キメラは苦しがり、低い唸り声を上げると、その場に崩れ落ちた。
●空と大地の連打
九条がキメラの足に狙いを定め、攻撃を仕掛ける。
急所突きを使用した連打がキメラの足に打ち込まれる。
この攻撃を受けるとキメラは立ち上がるように仰け反る。
須佐は空中に飛びあがると、回転しながら、刹那の爪を付けた足で攻撃を仕掛ける。
速度を上げ、何度も繰り返すその様はまるで、ドリルの雨である。
須佐の一撃一撃は確実にフォースフィールドを打ち破り、キメラの皮膚を少しずつ削っていく。
九条も負けてられないとばかりに、角で突っついてくるキメラの攻撃を避けながら、キメラの眉間にキアルクローで攻撃を叩き込む。
九条の一撃も、フォースフィールドを打ち破り、じわりじわりとキメラを追い詰める。
巨体だが、武器を持たないキメラに彼等を同時に打ち破る術は無い。
アンジェリナ同様、須佐にも一つ考えが浮かんだ。
須佐は九条に渾身の一撃をキメラに見舞うように言うと、九条は再び急所突きを使用し、キメラの目玉目掛けて、キアルクローを突き刺すと、自分の腕の力全部を使用し、キメラに押し込む。
この一撃に、再びキメラは立ち上がるように仰け反る。
その時を見逃さず、須佐は全ての力を足に集約し、ジャンプすると、顔面目掛けて、飛び蹴りを放つ。
その一撃は極めて弱く、フォースフィールドすら打ち破る事は出来ず、須佐は更に上空に跳ね上がった。
だが、それは須佐の考えどおりだった。
彼は、そこから大回転をし、先ほどよりも更に強い回転蹴りをキメラの顔面に放つ。
レールガンのようなその一撃はキメラの眉間を打ち抜いた。
キメラは激しく流血し、先にやられた一体同様に低い唸り声を上げ、倒れるのだった。
●レポート
結果:成功。
キメラ詳細:高い防御力が特徴のキメラ。
武器は三本の角だけのようだが、フォースフィールドは従来のキメラより厚い。皮膚自体も厚く、生半可な攻撃では倒せないだろう。
相手を誘う等、罠を仕掛ける事もあるが短気な性格なため、上手く行かないようだ。また、戦闘中は敵以外見えていないらしく、1体ずつ分断して戦うと互いに協力して戦わないようだ。
備考:角を持っていこうとした傭兵が居たが、規則に則り、取り上げて処分。