タイトル:一角獣と双翼獣マスター:クレイジードラゴン

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/05/27 14:41

●オープニング本文


 とある農村で事件は起きた。
 早朝、村人達が起きてくると村の外に数頭の馬が群れを成していた。
 不思議に思った一人の村人がその群れに近づくと‥‥
 なんとその馬には角が生えており、村人を発見するとヒヒーンと鳴き、村人目掛けて突進してきたのだ。
 それも一匹ではなく、群れで。
 馬達は村に入ると狂ったように暴れまわった。家は一つ残らず倒され、家畜も一匹残らず食われ、しまいには村人を何人も角で突き飛ばした。だが、幸い村人に死者はなく、大怪我をした者がいるぐらいだった。
 村人達は安全な場所に避難するとラスト・ホープに向けて、奴らの討伐を依頼するのだった。
 依頼をし終え、村の若者が自分達の村を遠くからぼんやりと眺めていた。
 その彼の目に信じられない光景が飛び込んできた。
 なんと、角の生えた馬の他に翼の生えた馬まで出てきたのだ。
 角の生えた馬の一頭が翼の生えた馬の前に家畜を持ってくる。その家畜を食べる翼の生えた馬。
 どうやら、角の生えた馬は他の馬のリーダーのようだ。
 この様子を見ていた若者は依頼内容にリーダーの存在を書き加える事にした。

●参加者一覧

シエラ(ga3258
10歳・♀・PN
辰巳 空(ga4698
20歳・♂・PN
ザン・エフティング(ga5141
24歳・♂・EL
リゼット・ランドルフ(ga5171
19歳・♀・FT
旭(ga6764
26歳・♂・AA
柊 理(ga8731
17歳・♂・GD
御巫 雫(ga8942
19歳・♀・SN
天原大地(gb5927
24歳・♂・AA

●リプレイ本文

●参加者名簿
 シエラ(ga3258
 辰巳 空(ga4698
 ザン・エフティング(ga5141
 リゼット・ランドルフ(ga5171
 旭(ga6764
 柊 理(ga8731
 御巫 雫(ga8942
 天原大地(gb5927

 以上、8名の傭兵でキメラの殲滅を行う。

●作戦会議
「柊です、皆さんよろしくお願いしますね。」
 傭兵達は顔を合わせるとそれぞれ軽く挨拶をして作戦を練る事にした。
 その結果、一角獣と双翼獣に対し、二班で戦う事にした。

 以下、班分け

 双翼獣
 辰巳、旭、御巫

 一角獣
 シエラ、リゼット、柊、天原、ザン

 次に、それぞれのキメラの対処について話し合い、現地へと向かった。

●荒れ果てた村で
「相変わらず酷い事しやがるな、バグアは」
「ふん、肉食の馬か。バグアも、趣味の悪いキメラを考え付くものだ」
 村を見渡し、ザンと御巫そう言った。
 傭兵達が来た時にはキメラの姿はなかったため、彼等は手がかりと被害を調べるため、村を歩き回っていた。
「酷い‥‥」
 村の惨状を見て、言葉を失っていた柊が小さな声で呟く。
「村にこれ以上被害が出ないようにすることが最優先ですね。キメラはもう居ないようですが‥‥」
 旭がきょろきょろと周囲を見渡す。
(「一角獣に続いて今度はペガサスに騎乗するぞっ!」)
 彼のその野望を他の傭兵達は知らない。
 リゼットは他の傭兵達と違い、村の中だけでなく、周辺の地図と地形も確認していた。
「‥村人に死者が出ていないのは不幸中の幸いでした。生きていればこそ、希望はあるのですから。しかし、彼らの生活を守る為には、一匹たりとも逃すわけには参りません」
 シエラが静かにそう言う。傭兵全員やる気は十分のようだ。
 彼等が一回りした所で、村長だけが村へと戻ってきた。どうやら、彼も村の様子を見に来たようだ。
「おお、貴方達が依頼を受けて頂いた軍人さん達ですかな?」
 その問いに彼らは全員で頷く。
「そうでしたか。初めまして、この村で村長をやっている者です。この度は私達の村のために‥‥」
 どうやら、彼の話しは長くなりそうだと思い、全員で
「それより、キメラを見ていないか?」
 と聞いた。
「ああ、あの馬達ですな? 村の若者が東の森に入って行った、と言っておりました。ですから、こうして私が村の様子を見に来たんです」
 なるほど、と彼らは頷き、村の壊れた部分等の被害状況を詳しく説明した。
「ううむ、復旧は時間が掛かりそうですな。それでは、私は戻って村の皆と復旧について話し合って来ますので、馬の退治をお願いします」
 村長はそう言うとお辞儀をして、村民が避難している隣町へと戻っていった。
「それじゃ、仕事と行きますか」
 傭兵の誰かがそう言うと、彼等は頷いた。

●森の中
 森の中を傭兵達が行く。
 それぞれ覚醒し、キメラを探す。
 五感を研ぎ澄まし探す者、双眼鏡を使い探す者、過去に戦った経験を生かし探す者、それぞれが効率がいいと思われる方法でキメラを探す。
 しかし、キメラは一向に見つからず、彼らは細い獣道を歩き、ドンドン森の奥へと入っていった。
 と、急に視界が開け、近くに川が流れているのが見える。
 川を挟む形で森は続いていた。渓流になっているようだ。
 傭兵達が少し休もうかと思い、川に近づこうとすると双眼鏡を覗いていた御巫が他の傭兵達を引き止める。
 彼女は口に指を置き、シーッと静かにするように言うと、他の傭兵達を茂みに隠れるように合図を送る。
 全員が隠れると彼女は川を指差す。目を凝らし、川を眺める傭兵達。
 そこには、美しい毛並みをした8体の一角獣と羽を畳んで休んでいる1体の双翼獣が居た。
 しかも、一角獣は水遊びを楽しんでいた。互いに角で突き合い、じゃれているのも居る。双翼獣はまるで母親のように川の傍で一角獣達を見つめている。
 その様子を見て、
(肉食の馬‥‥カウボーイとしてはそんな邪道な馬を認めるわけにはいかないが、毛並みは良いな)
(か、可愛いかもしれない‥‥ハッ、これはまさかキメラの魅了攻撃か!?)
(の、乗りたい。凄い乗りたい。は、早く乗りたいよ)
(中身はキメラだけど‥‥やっぱり外見は良いですね。幻獣なだけはあります)
 と、数人の傭兵が魅了(?)されてしまった。
 リゼットが救急セットを開くが、彼らを治す薬は無いので、
「しっかりして下さい」
 と小さな声で言い、彼らを揺する。
 一名を除いて、魅了された傭兵が正気を取り戻す。
「ゴホン‥‥作戦実行だ。油断せずに行こう」
 傭兵の一人がそう言い、全員が頷く。
 しかし、さっきから一人だけうわの空の傭兵が居た。
(「僕は‥‥ペガサスに乗るんだ!」)
 誰とは言わないが、彼は間違いなくペガサス騎乗病。

●一角獣の暴走、双翼獣の防護壁
 一角獣の最後の一頭が川から出てくる所を狙い、御巫が閃光手榴弾を投げつける。
 彼女は爆発する直前まで手に持っていたため、すぐに炸裂した。
 顔を覆ったり、顔を背けたり、大剣を抜き、目の前を隠したりして傭兵達は閃光を防御する。
 だが、一角獣達はもろにそれを受ける。双翼獣は羽で目を隠し、回避していた。意外と器用なようだ。
 双翼獣は、一角獣の群れの中に入り込む。と、双翼獣を中心に一角獣が暴れ始めた。どうやら、目を一時的に潰され、獰猛な本能をむき出しにしたようだ。
 一角獣の攻撃が双翼獣に当たりそうになるが、直前で反れる。どうやらフォースフィールドに阻まれているようだ。また、一角獣も本能的に動いているように見えて、双翼獣を守っているようにも見える。
 フォースフィールドの無い傭兵達にとって双翼獣を攻撃するためには、まず回りの一角獣を殲滅、または数を減らす必要があった。
 一角獣班が動く。
「Einschalten」
 そう言ってシエラが大剣を抜き、辰巳と共に瞬天速で一気にキメラに近づく。
 少し遅れて、天原と柊も彼女に続く。
 リゼットと御巫が銃で一角獣の足を狙い射撃して彼等をサポートする。
 ザンもアイリーンを使用して、一角獣を攻撃する。ガンマンに憧れているだけあり、腕は中々の物だ。
 リゼットよりも素早い連射で一角獣を一体葬るが、それでも双翼獣までの道は開けない。
 数が減ると別の一体が前を塞ぐ。どうやら、前を優先して守るようだ。一体の体力は低いが、数が多い。ザンも天照を握りなおし、一角獣に接近する。
 辰巳とシエラが前面の一角獣と戦闘に入ると、すぐにシエラの方の一角獣が体制を崩す。リゼットの射撃によるものだった。
 その隙を見逃さず、シエラが攻撃を仕掛ける。
「一角獣のエンブレムに賭けて、貴方達を野放しにするわけには参りません。お覚悟を‥‥」
 カマエルを振り下ろし、一角獣の一体を葬り、彼女から見て左の方の一角獣が前に出てきたところを狙って二連撃を放つ。一撃目で両足をなぎ払い、二撃目で振り抜いた遠心力と重量を乗せて、渾身の一撃を叩き込む。一角獣残り5体。
 辰巳の方は、朱鳳で適当に相手をしつつ、隙を突いて真音獣斬で双翼獣に攻撃を仕掛けるが、一角獣に邪魔されてしまう。だが、これはこれで一角獣を攻撃できていい。彼は真音獣斬を受け止めた一角獣にトドメを刺した。残り4。
 天原と柊は連携して二体の一角獣を相手にする。閃光手榴弾の効果が切れ、一角獣が視力を取り戻すと、やたらめたらに角を振り回していた先ほどと違い、今度は狙いすましたように天原に向かって、角を突き出す。急に鋭く、正確にこちらを突いて来たので、彼の反応は間に合わない。角による攻撃を受ける事も回避する事も出来なかった。
 だが、柊が天原の前に立ち、バックラーで角を受け止める。
「防いでみせる、僕の称号に掛けて!」
 命を護る盾と言う称号の通り、彼は天原を護った。一角獣と柊の力比べかと思われたが‥‥
「上等ォ!!」
 天原が一角獣の横に回りスマッシュで一角獣の角ごと頭部を両断した。
 柊が盾で一角獣の頭部を払う。崩れ落ちる一角獣の胴体の後ろから、更にもう一体の一角獣が突っ込んでくる。今度はその一角獣を天原が大剣で受け止める。
 天原が柊に合図を送ると、彼は角を上に払い、一角獣に上を向かせる。その隙を突いて、柊が洒涙雨を握りしめ、紅蓮衝撃を発動し、一角獣の喉元を深々と突き刺すと一角獣は動かなくなった。
「ありがとう!」
「気にすんなよ、それよりまだまだ油断はできねえぜ」
 一角獣は残り二体となり、双翼獣への道は出来た。
 最後は、旭とザンが行く。旭は前に一角獣と似たキメラと戦った経験を生かし、一角獣の攻撃を誘発し、それを避けると一角獣に飛び乗った。
「ヒヒーン!?」
 乗られた事が無い一角獣は驚いて振り落とそうと暴れるが、彼は上手く一角獣を操ると、双翼獣にぶつかるように突進を仕掛ける。だが、双翼獣はひらりとそれを避ける。
 ザンも一角獣に乗るのかと思ったが、邪道な馬には乗らないようでファング・バックルを発動し、天照で角を斬り落とすと、布斬逆刃を使用し、逆胴で一角獣を切り裂いた。
 銃だけでなく、刀の扱いにも長けているようだ。旭も銃と刀を使用した戦闘スタイルを使うが、それと似ていた。
 一方、旭は再び一角獣で突進を仕掛ける。再びかわされるが、かわされた直後に一角獣の胴体を月詠で刺し、抜かずに双翼獣に飛び乗り、両手でしがみついた。
「ヒヒーン!?」
 双翼獣も驚く。彼を必死に振り落とそうとする。だが、彼も必死でしがみつく。
 他の傭兵が銃で双翼獣を狙う。だが、旭に当たるかもしれないため、引き金を引けずにいた。
 数分間、旭と双翼獣の格闘が続いた。羽をばたつかせる双翼獣。どうやら重過ぎて飛べないようだ。
 飛べない双翼獣を見て、旭は急に興味が無くなったらしく、双翼獣から飛び降りた。
 その隙を見逃さず、御巫が双翼獣の頭をスナイパーライフルで吹っ飛ばした。
「うーん、森で静かに暮らしてほしい気持ちもありましたが、キメラですし、仕方ないですね」
 そう言う旭は少し満足そうな顔をしていた。

●結果報告
 一角獣キメラ、双翼キメラ共に殲滅、依頼成功
 一角獣キメラの特徴:素早い動きで角で相手を突く。強そうだが、あまり強く無い。
 双翼獣キメラの特徴:一角獣キメラをある程度操作できる模様。一角獣を回りに配置し、壁にして傭兵達の攻撃を防ごうとした。飛行できるようだが、何かを乗せて飛行する事は出来ない様子。
 目的(推測):家畜を殺したと言う点では、相手の食料となる物を破壊したり殺したりして奪うキメラと推測されるが、あくまで推測。
 村のその後:現在復興作業中。再び平穏な日々を送れることを祈る。