タイトル:キメラ戦車、出撃マスター:クレイジードラゴン

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/05/16 00:06

●オープニング本文


 キュラキュラキュラキュラ‥‥
 キャタピラの音が大地に響く。
 アジアのとある小さな街で一つの事件が起きていた。
 町を徘徊する戦車‥‥それはただの戦車ではなかった。
 キャタピラの下半身に恐竜のような上半身をくっ付けた巨大な戦車のキメラだったのだ。キャタピラの前面には長い砲身が付いている。
 常駐していたUPC軍と軍警察の連携によって街の人々は避難したが、中には間に合わずキメラ戦車から逃れるため建物などに隠れる人々もいた。もしキメラ戦車に見つかればすぐに殺されてしまうだろう。
 一刻を争う事態に兵士がラスト・ホープに救援を要請する。
「キメラ出現。町民の救出及びキメラの破壊のため、至急援軍を送られたし。尚、敵は一体のみ。キメラに関するデータを送る。対策を立ててつつこちらに来てくれ」
 オペレーターが慣れた手つきで依頼をモニターに写す。手遅れにならない事を祈って‥‥

 そして今、この街で傭兵達とキメラ戦車の戦いが始まろうとしていた‥‥

●参加者一覧

Loland=Urga(ga4688
39歳・♂・BM
九条・運(ga4694
18歳・♂・BM
楓姫(gb0349
16歳・♀・AA
ランディ・ランドルフ(gb2675
10歳・♂・HD
赤い霧(gb5521
21歳・♂・AA
御守 剣清(gb6210
27歳・♂・PN
浮竹 軽(gb6375
22歳・♂・EP
フィー(gb6429
12歳・♀・JG

●リプレイ本文

●移動中の高速艇
 今回集まった傭兵達はそれぞれ挨拶を交わすと、まず班分けを行った。
 班分けは以下の通り

 救助班
 ランディ・ランドルフ(gb2675)病院担当
 フィー(gb6429)ホテル担当
 浮竹 軽(gb6375)学校担当
 九条・運(ga4694)商店街担当

 戦闘班
 赤い霧(gb5521
 御守 剣清(gb6210
 楓姫(gb0349
 Loland=Urga(ga4688
 それぞれ、無線機と街の地図を携帯袋に入れると着くまでの間、休息を取るのだった。

●作戦開始
 キュラキュラキュラキュラ‥‥
 静まりかえった街にキメラの重厚なキャタピラ音だけが響く。
 兵士達はキメラを刺激しないように街の外で傭兵達を待っていた。
 そこへ高速艇から降りてきた傭兵達が到着。兵士の一人が彼らに状況を説明する。
「本部で聞いたと思いますがもう一度状況を報告します。現在街は封鎖状態です。目標は外から出ず、ずっと中を徘徊しています。街に損害はほぼありませんが、封鎖してしまった以上、逃げ遅れた人々は外へ出られません。救助をお願いします」
 兵士はそう言うと、封鎖している出入り口の一つを開けさせると彼らに
「御武運を」
 と言い、敬礼をして中に入っていく彼らを見送った。

●病院へ
 ランディ・ランドルフはリンドヴルムに乗ると、病院に向けて全速力で走った。
 キメラの動きはキャタピラ音で察知できるため、彼は一直線に向かわず、キメラと距離を取るようにして少し遠回りをして病院へと向かった。
 もし、バイクの音を察知され、病院から出てきた所を狙われでもしたらひとたまりもない。自分は何とかなっても逃げ遅れた人を死なせてしまうかもしれない。
 そんな事を考えながら、彼は病院へとたどり着いた。
 病院の中は静まりかえっており、物音一つ聞こえなかった。
「装備力の問題があるから剣がないけど、これで何とかなるか?」
 そう言い、両手でS01を構え、病院内を探索する。
 この行為は民間人に対して下手に恐怖心を煽ってしまいそうだが‥‥
 その心配は無かった。何故ならいくら探索しても人っ子一人居なかったからだ。
「こちら、病院。民間人無し。戦闘班と合流する」
 彼が病院から出てくると遠くで激しい銃撃音や何かがぶつかるような大きな音がした。戦闘は始まっているようだ。

●ホテルで
 ランディ・ランドルフが病院に着いた頃、フィーもまた自分の担当であるホテルへとたどり着いた。
 ホテルは5階まであり、各階に部屋は20ぐらいずつあった。
 部屋の扉を開けようとするフィー。扉はガチャリと音を立て開いた。
 次々にホテルの扉を開けていくフィー。5階まで行くが誰も居ない。
 だが、一つだけ鍵の掛かった部屋がある。トントンとノックして声を掛け、返事を待つ。
 ドアが開き、二人の老夫婦が出てくる。どうやら、彼等が逃げ遅れた人達の内の二人のようだ。
 フィーは二人に助けに来た事を告げるが、老夫婦は疲れた顔で
「わし等の事はいい。もし、ここで死んでも悔いは無い。わし等はもう長く生きたからな」
 老夫婦の夫が沈んだ顔でそう言い、ドアを閉めようとするが
「‥‥ダメ‥‥」
 フィーはそのドアを閉めないように、力強く押した。
 傭兵の力は常人の何倍もあるため、夫がどんなに力を込めようともビクともしなかった。
「‥‥生き残る事‥‥ボク達‥‥最高の‥‥抵抗‥‥」
 フィーはあまりお喋りな方ではないため、ぶっきらぼうな言い方しか出来なかったが、老夫婦は必死な彼女を見て
「分かったよ。ここから出よう。また孫の顔が見たくなってきたしな」
 フィーに自分の孫の姿が重なったのか。妻に荷物を持つように言う。フィーは無線機で仲間に民間人を発見した事を報告した。
 老夫婦はフィーの後に続き、ホテルの外へと出て行った。

●商店街の中
 九条・運は商店街に着くと、携帯袋からメガホンを取り出し、1店1店、店の前で大きな声で声をかけながら歩いていった。
 商店街は長く、全部で30店舗ほどあったが、それほど時間はかからなかった。
 最後の1店まで確認したが誰も居ない‥‥と言うよりは返事をするものが誰も居ない。
 こっちは誰も居ないなと思いつつ、彼は仲間達に連絡を入れ、戦闘班と合流するため公園へと向かった。

●学校で
 浮竹 軽は学校へとやってきていた。
 作戦前、彼は
「取り残されたまま、ね。念のために飲み物でも持って行こっかな、ハハハ」
 と言い、コーンポタージュを用意していた。
 学校内もまた静まりかえっており、何の音も聞こえなかった。
 校舎は2階建てで、体育館やグラウンドが外にあったが、とりあえず校舎の方から調べる事にした。
 探査の眼やGooDLuckを使い、彼は探索を始めた。
 1階、2階全てを見回ったが誰も見つける事は出来なかった。今度は体育館に向かう。
 体育館に入ると、端っこに何かを見つけた。近づいて見てみると、若い女性と子供が二人身を寄せ合っていた。
 どうやら、彼女達は先生と生徒のようだ。
「いやぁ皆さん、無事で良かった。腹が減ってる方はこれでもどうだい?」
 浮竹は優しく声を掛けると、コーンポタージュを取り出し、笑顔で彼女達に差し出した。
 彼女達は空腹だったらしく、一杯のコーンポタージュを分け合いながら飲み干した。
 彼女達が落ち着くと、浮竹は他の仲間達に連絡をいれ、避難を開始した。

●公園で
 Lolandは、誘導場所である公園に先回りし、敵を待っていた。公園内のオブジェの裏に隠れていた。
 隠れた直後、楓姫から連絡が入る
「キメラを発見。これよりそちらに誘導するわ」
 Lolandはガトリングシールドを用意して待った。

●キメラ誘導中
 赤い霧はマンホール下から攻撃を仕掛ける予定だったが、ほとんどマンホールが潰されていたため、出入り口が見つけられなかったので楓姫、御守と共に誘導する事にした。
 キメラはゆっくりとした動きで傭兵達を追う。時々、主砲を撃ち込むが傭兵達は避けながら進む。おかげで前方の建物に当たり、倒壊していたりした。
 民間人が居た施設は分かっていたので、そこから離れるようにして傭兵達は誘導をしていた。
 途中で九条と合流し、4人になる。
 公園内にキメラが入ると、傭兵達はそれぞれの思う場所を狙うため、キメラを取り囲んだ。

●連携VS強力(ごうりき)
 まず隠れていたLolandが飛び出し、先手必勝を使用し、更に急所突きを使用しガトリングシールドでキャタピラの破壊を狙う。
 キメラはすかさず彼の動きを察知。右腕を振り上げ、彼を潰そうとした。
 だが、その両腕を血桜と機械剣αの二刀流に持ち変えた楓姫が腕の間接部を狙い攻撃を仕掛けた。
 切断出来なかった上に、彼女は吹き飛ばされたが、Lolandの攻撃を止められずに済んだ。
 ガトリングシールドの連続接射を受け、片方のキャタピラが大破する。もう片方のキャタピラも破壊しようと瞬速縮地で回り込もうとするがキメラの意外な行動に阻まれ吹き飛ばされる。
 なんとその巨体で体当たりしてきたのだ。恐竜自身が持つ本能で攻撃を仕掛けてきたのだろうか?どちらにせよ、傭兵達はキメラを倒すため再び攻撃を再開する。
 今度は赤い霧が仕掛ける。近づけないようにするためキメラは主砲を放ちつつ、近くの木を抜き、彼が近づくのを待つ。
「修堂流‥‥武術‥‥陸の章‥‥赤豹!」
 その一声と共に、一気に側面から近づく。だが、キメラは木を振り回し、全方位をなぎ払った。捉えきれない動きに対応するために木を持ったのだ。
 赤い霧はすんでの所で木を回避し、流し切りで腕の側面に移動し、両断剣で攻撃を仕掛け、片腕を切断する。彼の素早い動きはまるで豹のようだった。
 ひるむキメラ。チャンスとばかりに九条が飛び出す。彼は真正面から戦車の砲身に近づき、零距離で連射した。砲身に大量の弾丸が埋め込まれ、爆発した。
 畳み掛けるために更に御守も攻撃を仕掛ける。スマッシュを使用し、刀でもう片方の腕を切断する。ダメージが蓄積されていたおかげで、大した妨害も無く、楽に斬り落とせた。
「グウウウウ」
 キメラは低く唸ると最後の攻撃に出る。片方のキャタピラを上手く利用し、体当たりを仕掛けようとしたのだ。
 だが、一発の銃弾がキメラの目を射抜く。近くの建物に登っていたランディが狙撃したのだ。
 キメラは重心が横に傾きすぎ、横転。そのまま動かなくなった。
 傭兵達の勝利である。

●激闘の末
 キメラを倒した街の中では兵士達が慌しく走り回っていた。
 損壊した建物の後始末等は兵士達が引き受けた。
「まぁ、壊すなとは言ってなかったですからお気になさらず。では、私は仕事に戻りますので」
 そう言うと、兵士は後ろを向いたが、もう一度振り返り
「私の故郷を救ってくれてありがとうございました」
 そう言い、今度こそ去っていった。
 傭兵達は彼のお礼を聞き、嬉しそうな顔をしてラスト・ホープへと帰って行くのだった。