●リプレイ本文
●参加名簿
今回の依頼を受けた傭兵は以下の通りである。
寿 源次(
ga3427)
クロスフィールド(
ga7029)
アズメリア・カンス(
ga8233)
九条・陸(
ga8254)
クロスエリア(
gb0356)
ヨネモトタケシ(
gb0843)
紅月・焔(
gb1386)
キャプテン・エミター(
gb5340)
彼らは作戦会議後、ヘリで現地へと向かってもらう。
●ブリーフィング
「寿だ。宜しく頼む」
寿 源次が他のメンバーに挨拶を始めると他の傭兵達もそれに続いて軽く挨拶を始めた。
「今回は一緒の依頼ですねぇ。よろしくですよぉ。他の方々も、よろしくお願いします」
ヨネモトタケシがおっとりした口調で喋る。どうやらヨネモトタケシと寿 源次は友達のようだ。
一通り挨拶し終わると、彼らは作戦について話し合った。
作戦内容は一体の敵を素早く葬り、残りは二班に分かれて戦うと言う物であった。班分けは以下の通り
班分け(敬称略)
一斑:アズメリア、九条、クロスフィールド、クロスエリア
二班:ヨネモト、紅月、キャプテン、寿
「彼らの無念、晴らしてやらねばな」
「討って晴れる‥‥かどうかは解りませんが、その気持ちは解りますしねぇ」
「発掘した化石が動き回るというのはまた‥‥ロマン溢れる話ですね」
「まあ‥‥既に宇宙人が攻めてくる世界なんだ、この上恐竜の化石が動いた程度、別に驚かないよ」
「化石が動き回る、ね。物語とかだと割と見る話な気がしなくもないけれど‥‥」
それぞれ会話をしながら、彼らはヘリへと乗り込んだ。
●ヘリからの捜索と奇襲
「暑いな‥‥」
「極寒のロシアの次は、灼熱の砂漠かよ‥‥」
容赦なく照りつける太陽によって、ヘリの中は異常な熱気に包まれていた。
汗をかき、ぼやきながらも彼らは軍用双眼鏡を使い、キメラを探した。
「‥‥エリア、そっちはどうだ?お目当ての動く化石とやらは見つかったか?」
「うーん‥‥中々、見つからないね」
クロスフィールドとクロスエリアの兄妹は連携してキメラを探していた。
キメラの体長は10メートルもある。そんなのが5体も居ればすぐに見つかるはずだが‥‥
「もしかして‥‥」
その時、ヨネモトタケシと九条・陸にある考えが浮かんだ。他の傭兵達は探しながらも彼らの言葉に耳を傾けている。
「砂の中にいるんじゃないでしょうかぁ?」
「杞憂かもしれませんが、砂の中に隠れているんじゃないでしょうか?」
二人の言葉に全員がハッとした。砂の中に居ればあの巨体を隠せる。同時にヘリの上からでの探索は意味をなさなくなる。
彼らは下りるために、ヘリを降ろすようパイロットにお願いする。
パイロットがヘリを下ろし始めた時、それは現れた。
「ガオオオオオオオオオオン!!」
まるでこの瞬間を待っていたかのように、5体のキメラが地中から一斉に飛び出し、ヘリに噛み付こうとしてきたのだ。
パイロットはギリギリで反応し、ヘリを逸らして回避をしたがキメラ達は尚も追撃をしてくる。
「こうなったら奴らの隙を作るしかない!全員、敵の一体を集中攻撃するぞ!」
誰が言ったかはわからなかったが、その一言で傭兵全員はそれぞれの武器を取り出し、一番手前のキメラに向かって、集中砲火をかける。
「正直銃は不得手なんですけど‥‥ね!」
「食らえ!ロケットパーンチ!!」
乱れ飛ぶ銃弾、巻き起こるトルネードの電磁波、一直線に向かっていくロケットパンチの攻撃にさすがのキメラも粉々に吹っ飛び、他のキメラ達が動きを止める。
パイロットはその瞬間を見逃さず、素早くヘリを下ろした。傭兵達が外に飛び出し、ヘリは邪魔にならないように一時退避するようにパイロットに合図を出す。
キメラは動かずにじっと輪を作り、傭兵達からの攻撃に備えている。
彼らは作戦通り二班に分かれるとキメラに向かって動き出した。
まず九条・陸とアズメリア・カンスが一体のキメラに向かって走り出した。その二人に反応するようにもう一匹のキメラもそっちを向くが、クロスフィールドとクロスエリア兄妹の射撃により二人の方に向き直る。二班の方は一塊になって二体の敵と同時に戦うようだった。
今、それぞれの戦いが始まる。
●一斑:力のコンビ、技の兄妹
アズメリア・カンスは月詠を引き抜くと、キメラの両足に向かって切り込んだ。そうはさせないとキメラはグルっと後ろを向くと尻尾でなぎ払いをしてきた。先ほどの奇襲といい巨体に似合わない機敏さである。
「ぐうううう!」
回避を試みようとしたが、間に合わずに尻尾をもろに受けたアズメリア・カンスは吹きとばされ‥‥ていなかった。なんと、彼女はその一撃を月詠で受け止めたのだ。キメラは少しひるんだが、もう一度なぎ払いを行うために尻尾を振る。しかし、単調な攻撃が二度通じるはずもなく
「もらったわ!」
向かってくる尻尾にアズメリア・カンスの流し斬りが決まり、切断した。バチバチとショートする切断面。どうやら、中身は機械のようだ。
「やはり、化石ではなかったんですね」
そう言う九条・陸は既にキメラの足元に居た。キメラがアズメリア・カンスに気を取られている隙に死角から近づいたのだ。彼はイアリスを抜くとその足に両断剣を放つ。
「てい!」
両腕に集中した黒いオーラと両断剣の赤い光が走り、キメラの片足を斬り取った。この攻撃により、キメラが体制を崩す。
「アズメリアさん!」
すかさず、九条・陸がアズメリア・カンスに合図を送る。アズメリア・カンスはキメラの頭上へと跳躍し、剣を大きく振りかぶる。九条・陸はキメラの胴体に向かって剣を突き立てるように持ち、走る。
「おおおお!」
アズメリア・カンスの一撃がキメラの頭を粉砕し、九条・陸の一撃がキメラの胴体に風穴を開ける。
「大人しく土に還りなさい」
頭部が砕け、サラサラの砂となり舞う中、アズメリア・カンスがそう言った。
クロス兄妹はクロスエリアを前衛、クロスフィールドを後衛にして戦っていた。
九条・陸とアズメリア・カンスと違い、一撃一撃は派手ではなかったが堅実な戦い方でキメラと戦う。
クロスフィールドが敵を強弾撃で狙い撃ちし、クロスエリアが兄を守るようにガンズトンファーで射撃する。兄妹だけあり、息のあった連携プレイで戦っていた。二人とも距離を取って戦っていたが、銃の射程よりキメラの体の方がでかく、射程ギリギリからでもキメラは攻撃を仕掛けてきた。
「ガオオオオオ!!」
咆哮と共に噛み付こうとするキメラ。その大きさ故に回避する時は射撃を中断し、全力で回避するしかなかった。どうやら、銃で戦うには不向きな敵のようだ。
しかし、チャンスは必ず訪れるもの。クロスフィールドの銃弾がキメラの片足を破壊し、バランスを崩させたのだ。このチャンスにクロスエリアも動いた。キメラのもう一つの足にガンズトンファーに残った一発を零距離で撃ち込んだのだ。
「ギャオオオオオ!!」
キメラがズズーンと大地を揺らし、倒れる。キメラはじたばたするが立つ足が無ければその場で噛み付くぐらいしかできない。そんなキメラを足蹴にし、クロスフィールドが
「やれやれ、中々スリリングだったよ。もう何も感じないが」
皮肉たっぷりにそういうと、頭に1マガジン分の弾丸を撃ち込んだ。
●二班:結束の力
戦闘が始まると寿 源次が練成強化を全員にかける。その後に二刀に持ち変えたヨネモトタケシとキャプテンエミターが一気に前に出た。それに合わせ、紅月・焔も前に出る。それに合わせ、二体のキメラが並び、噛み付き攻撃を仕掛けて来る。
片方のキメラは、ヨネモトタケシに狙いを定めたようだ。ヨネモトタケシは横に逸らそうと考えたが、他の仲間達に当たる可能性を考え、敵の顎を狙いガントレットで上に弾いた。フォースフィールド越しなのでダメージこそ与えられなかったが、攻撃の回避には成功した。
もう片方のキメラは、キャプテン・エミターに狙いを定めた。彼女は十手刀で敵の攻撃を受け止める。次の瞬間、寿 源次が二体のキメラに練成弱体をかけると彼女は、キメラの頭を受け流し、十手刀で頭に斬りつけた。紅月・焔はクルメタルで二体のキメラを交互に射撃する。ヨネモトタケシは一気に片方のキメラを倒すべく、二段撃と流し斬りを放つ。
「受けて頂く、我流‥‥流双刃!」
いつもはおっとりした口調の彼だが、この時は凛とした口調で言い放った。左手の蛍火がキメラの顔を、右手の蛍火が下顎を斬り飛ばす。頭部が三つになったキメラはバチバチとショートしながら完全に停止した。
キャプテン・エミターもまた勝負をつけるべく、斬り付けたキメラの頭に乗った。振り払おうとするキメラだが、それよりも早くキャプテンエミターは攻撃を仕掛けた。
「これで終わりよ!」
ロケットパンチを零距離で発射したのだ。ロケットパンチは地面めがけ、一直線に飛んで行き、キメラの頭から下顎までぽっかりと穴を開けた。
「ガオオオオン!!」
最後の一匹の断末魔の叫びが砂漠に響いた。
●依頼、終えて
戦闘が終わってから数十分後、ヘリが戻ってきた。その間、傭兵達はキメラを調べたり、水を飲んだりして休息を取っていた。
戦ってる最中は気にしなかった外見だが、改めて見るとかなりリアルな造りになっていた。切断面を見ると、骨の中にぎっしりと機械が詰め込まれている。
「どうやら、骨がキメラだったようだな」
犠牲になった者達に黙祷を捧げ終えた寿 源治がそう言った。
キャプテン・エミターは化石を持ちかえろうと中の機械をくり抜き、手ごろなサイズの物を「作った」
他の傭兵達は彼女の行動を見ていたが、あえて誰も止めなかった。どうやら、全員骨が何でできてるのか興味があるらしい。彼女はラスト・ホープに帰る前にある場所に向かうようにヘリのパイロットに頼んだ。
●博士と傭兵
「ふう‥‥」
博士は事件があった砂漠の近くの街のホテルに滞在していた。事件以来、食事も喉を通らずにいた。発掘隊の仲間はもう居ない。一人生き残ってしまった事に罪悪感を感じ始めた彼は、このまま生きているくらいなら‥‥等と考えるようになっていた。
そんな彼の部屋にノックの音が響いた。
博士がドアを開けると、そこには今回の依頼を受けた傭兵達が立っていた。しかし、博士はそうとは知らず
「誰にも会いたくない。帰ってくれ」
と言って、ドアを閉めようとしたが、それより早くキャプテン・エミターが化石キメラの一部を取り出し
「これを調べてくれませんか?もしかしたら、本当の化石かもしれません」
と言って博士に差し出した。博士はその骨を手に取った。
「これは‥‥私達が見つけた化石か‥‥もしかして、貴方達は依頼を受けてくれた」
傭兵達が頷く。博士はそれを見てドアを掴んだ手を放し
「ありがとう。ありがとう。すまなかった」
と言い、傭兵一人一人と握手をしてお礼を言った。
「分かりました。調べてみましょう。じっくり調べたいので後日レポートを送ります」
博士は完全な破壊を望んでいたが、やはり手元に化石が来ると嬉しくなったようで、沈んでいた顔が明るい顔になっていた。
●数日後、届いたレポート
解析結果:残念ながら、化石に見えるだけで実際には何なのか不明
備考:結果は残念なものであったが、再び私に火をつけるには十分な結果だった。次はもっと安全な場所で発掘をしよう。傭兵の皆さんには深く感謝。ありがとうございました。