タイトル:【JTFM】ボゴタ急襲マスター:碧風凛音

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 15 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/23 14:33

●オープニング本文


 復興の進むボゴタ基地。そこに一話の鷹が舞い降りた。
 鷹にしては巨大なのだが、その時見張り台に立っていたUPC兵は気にしなかったと言う。
 鷹の足にはなにやらリングのようなものがついており、文書が差し込まれていた。
 兵士はそれに違和感を抱きながらもその文書を抜き取って開いてみる。
 その瞬間に巨大な鷹はすでに飛び立っており、通常の鳥類ではありえない速度で空に消えた。
「なっ!」
 その文書を見た兵士は絶句する。
 そして慌てて見張り台を降り、基地司令に報告に走る。
 その文書の中身は――

『私はゼオン・ジハイドの9、キュアノエイデスだ。
 地球の人類諸君、少々戦に勝ったからといって舞い上がっているようだが
 そのような奢りはすぐにこの私が叩きのめしてやろう。
 近いうちにそちらの基地にお邪魔する。
 迎を用意しておいて欲しい』

「――っ! バグアめ! 我々を舐めているとしか思えん!
 すぐに傭兵に招集をかけろ。敵がいつ来てもいいように、万全の体制をとっておけ!」
「了解しました!」
 基地司令は拳を机に叩きつけながら怒鳴る。
 それを受けて参謀が基地全域に放送を行った。
 そしてブリーフィングルーム。

「ゼオン・ジハイドと言えば、先の大規模作戦でその存在感を見せつけてくれたが
 敵がこうして予告を送るなど我々を舐めて掛かっている以上、付け入る隙は存在するはずだ。
 諸君には基地や周りの街に被害が出ないようにしながら、このバグアを叩きのめして欲しい」

●依頼概要(若干PL情報含む)
ゼオン・ジハイドの9、キュアノエイデスの迎撃。
敵戦力、ノーマルタロス×1 小型HW×4
タロスとHWは慣性制御を最大限に生かし急降下、急上昇などを行う。
HWは2機1組でタロスの護衛を行う。

UPC軍戦力、R-01が6機。3機×2組でHWに対抗する。

以下は完全にPL情報
キュアノエイデス(生身時)は
瞬間移動:(半径1km以内の場所ならどこにでも移動可能)
飛行:(時速700km程度で移動可能)
FF強化:(1ターンの間ダメージを1/10にする)
のスキルを所持している(すべて生身でのみ使用可能)

●参加者一覧

藤田あやこ(ga0204
21歳・♀・ST
ミア・エルミナール(ga0741
20歳・♀・FT
キョーコ・クルック(ga4770
23歳・♀・GD
アズメリア・カンス(ga8233
24歳・♀・AA
Anbar(ga9009
17歳・♂・EP
麻宮 光(ga9696
27歳・♂・PN
抹竹(gb1405
20歳・♂・AA
ヨグ=ニグラス(gb1949
15歳・♂・HD
ゼフィリス(gb3876
16歳・♀・DF
リア・フローレンス(gb4312
16歳・♂・PN
鹿島 綾(gb4549
22歳・♀・AA
周太郎(gb5584
23歳・♂・PN
龍鱗(gb5585
24歳・♂・PN
星月 歩(gb9056
20歳・♀・DF
アクセル・ランパード(gc0052
18歳・♂・HD

●リプレイ本文

●キュアノエイデス
「さてさて、敵さんはいつきますかね‥‥」
 藤田あやこ(ga0204)がハンガーで数日間待機しながら、ぼやく。
 予告状を送りつけたは良いが、なかなかやってこない敵に苛立っているようだった。
 ミア・エルミナール(ga0741)がそんなあやこを慰めるように答える。
「そろそろじゃないかな?」
 と。
 そしてしばらくすると基地に警報が鳴り始めた。
「来たみたいだね!」
 キョーコ・クルック(ga4770)が叫ぶ。
「まわせー!」
 アズメリア・カンス(ga8233)が技師にKVのエンジンをかけるように指示を出す。
「よし、アズメリア・カンス、出る」
「Anbar(ga9009)、アルタイル、出る!」
 こうして各機が緊急発進していくなか、タロスとHWは高空でそれを眺めていた。
「ふっ‥‥発見が遅い!」
 だが、それでも何もしないのはキュアノエイデス(gz0324)の傲慢の表れであろう。
 傭兵のKV15機と軍のR−01、6機が空中に展開してから初めてキュアノエイデスは戦いの火蓋を切った。
 ヨグ=ニグラス(gb1949)の機体に狙いを定めるとプロトン砲を発射する。
「くぅっ! でも損傷は軽微! まだやれます!」
 ここで続けてヨグに攻撃すれば落とせるのだろうが、キュアノエイデスはそんなことは考えず、
 新たに目についた鹿島 綾(gb4549)の機体に狙いを定めてプロトン砲を発射する。
 吸い込まれるように命中したそれは綾の機体に軽微だがダメージを与え、火花が散る。
「ゼオン・ジハイドっていうからどれほどのモノかと思ったら、たいしたことないね!」
 綾が叫ぶとキュアノエイデスは「ならばお前を先に落としてやろう」
 と言って綾に集中攻撃をする。
「くっ! これでも落ちないのか!?」
 だが、綾のディアブロ、「モーニング・スパロー」の装甲の前ではそれも蚊が刺したに等しい。
 対タロス班がタロスの相手をしている間に、対HW班は、龍鱗(gb5585)率いるA班とリア・フローレンス(gb4312)率いるB班とに分かれて2組のHWに攻撃を仕掛けていた。
 まずA班の様子から見ていこう。

●A班
 R−01三機とともに飛び立った龍鱗、周太郎(gb5584)、ゼフィリス(gb3876)は連携のために攻撃タイミングをゼフィリスに合わせたため、HWに先手をとられていた。
 HWのプロトン砲が龍鱗とゼフィリスを捉えるが、二人はKVならではの高機動でその砲撃を回避する。
 そしてお返しにとばかり連携攻撃を仕掛ける。
「周太郎! 行くぞ!」
 龍鱗の言葉に周太郎が答える。
「アイサー! ゼフィリスさん!」
「了‥‥解」
 そしてゼフィリスが周太郎の言葉に答えタイミングを合わせる。
 R−01にもタイミングを合わせるよう依頼を出し、龍鱗がホーミングミサイルJN−06を発射する。
「ようこそと言いたい所だが‥‥帰ってもらわないとな!」
「さて‥‥折角だ、土産でもくれてやるか」
 周太郎はスナイパーライフルRを発射し、その弾丸はHWの中心部に吸い込まれる。
「当たって‥‥」
 ゼフィリスは強化型ショルダーキャノンを使ってHWを攻撃する。
 そしてR−01のミサイルが3機分。
 一瞬赤いフィールドに弾かれるかに見えたがそれを貫通し、フィールド内部の本体にダメージを与える。
 飽和したダメージは爆炎となりHWを霧散させる。
 もう1機のHWが突然急上昇する。
「そう簡単に‥‥逃がすか!」
 龍鱗が叫んでバーニアを吹かし急上昇する。
「これがただの小型HWか!?」
 慣性制御をフルに使ってくるHWに周太郎は違和感を感じながらも、同様に急上昇する。
「AIが‥‥高級なんじゃない‥‥?」
 ゼフィリスも急上昇する。
 そして軍のR−01も急上昇し、再び一斉に攻撃を行う。
 それでHWは片付いたが姿勢制御が不安定になり取り戻すのに数秒かかった。
 それから一同は対タロス班に合流するべく移動する。

●B班
 リアは上空に飛び立つと、あやことアクセル・ランパード(gc0052)とともに攻撃を仕掛けようとしていた。
 だが、それもA班と同じく連携攻撃のタイミングを合わせていたためにHWに先手をとられる形となってしまっている。
「くる!? きゃぁあああああ!」
 あやこが集中的に狙われるが、アクセルが軌道に割って入る。そしてあやこへの注意がそれ、アクセルにプロトン砲が注がれる。
「くっ!」
 しかしアクセルはなんとかその攻撃を回避し、流れ弾(?)も味方に行かないように気をつける。
「助かったわ‥‥」
「いえ、当然のことをしたまでです」
 あやこの礼にアクセルは軽く答えると、そのまま攻撃態勢へと移った。
「上下自在縦横無尽の殺陣を舞うまで、ってね!」
 あやこがスナイパーライフルD−02でわざとHWの端をかすめるようにして撃ち、HWが回避行動をとった瞬間、
 アクセルがショルダー・レーザーキャノンでHWに砲撃を決め、リアがUK−10AAMを発射する。
 そしてあやこがさらにライフルを発射しそこに軍のR−01のミサイルが飛ぶ。
「よし、1機落としましたよ!」
「もう1機、続けていくよ!」
 喜ぶリアにあやこが攻撃の継続を指示する。
「了解!」
 僚機の発した爆風でバランスが崩れたHWに、さらなる連携攻撃が続く。
 A班とは異なり、爆風でバランスを崩した隙に攻撃したため敵の急激な機動はなく、おかげで比較的楽に倒すことができた。
 その後彼らも対タロス班に合流するべく移動する。

●対タロス
 その間にキョーコの率いるE班がキュアノエイデスの乗るタロスに攻撃を仕掛けていた。
「やらせるかっての!」
 キョーコの高分子レーザー砲が火を噴く。
「あんたの速さ‥‥どれ程のものかな?」
 綾がエニセイで仕掛ける。
「他のバグアのように‥‥貴方も地上に落としてやるですっ!」
 ヨグがソードウィングで突貫をかける。
「ここは、当てに行くわ」
 そしてアズメリア率いるD班が接近し、アズメリアのKA−01試作型エネルギー集積砲を発射。
「超伝導アクチュエータ起動! スナイパーライフル、いっけぇぇぇ!」
 Anbarがスナイパーライフルで背後から砲撃を仕掛ける。
 そしてミアがタロスの上空からブーストして一気に接近してくる。
 そしてガトリングでプレッシャーを掛けると、キュアノエイデスはまるで重力が消えたかのように急に下に落ちる。
 そこに麻宮 光(ga9696)率いるC班が牙を剥いた。
 タロスと同時に降下した光たちは変形してタロスに陸戦を仕掛ける。
 麻宮はサンダーテイルを起動しながらツイストドリルで仕掛ける。
「唸れ!」
 光が叫ぶ。
「地球へようこそ‥‥ってか?」
 抹竹(gb1405)がR−703短距離リニア砲で射撃を行う。
「SESエンハンサー起動! 雪村!」
 星月 歩(gb9056)は雪村で斬りつける。
 三人の攻撃は見事に命中しタロスに大打撃を与える。
 そしてA班とB班が合流し、タロスの生命力を9割方奪う。
 と、タロスは高機動で戦場から離れ、逃走しようとする。
 だが傭兵たちはタロスを追い詰め取り囲む。

●自爆
「‥‥っく! まさか私がここまで追いつめられるとは‥‥」
「人間を舐めすぎなんだよ、バグアさん!」
 綾の言葉にキュアノエイデスはタロスの中で肩をすくめる。
「たしかにそうだな。人間の諸君をなめきっていた。
 このタロスもあと一撃受ければ落ちるだろう。だが、その前に!」
 キュアノエイデスは一同が注視する中、タロスの脱出ポッドを射出し、手に持っていた起爆装置でタロスを爆発させる。
「なんて奴‥‥自爆させやがった」
 キョーコが頭を抱える。
「まあ、タロスも機密の塊だ。生け捕りにさせるわけには行かないのでね」
 パラシュートを切り裂き、空中を飛行しながらキュアノエイデスはそう言う。光線銃を取り出し、アクセル機に向ける。
 そして3発の光線が走るとアクセル機にひびが入り、やがて燃料が漏れ出す。そしてそれは引火し大爆発を起こした。
「アクセル!」
 龍鱗が叫ぶ。だが、アクセルは事前に脱出して無事だったようだ。
「なんとか無事です。すみません‥‥」
 無線からアクセルの無事な声が聞こえてきてみな安堵する。
「つぎは、お前だ!」
 そう言ってあやこ機に狙いを定めると2発の光線を発射する。
 それはあやこ機を大破せしめるのに十分な威力だった。あやこは爆発の瞬間に脱出のスイッチを押した。
「あいつつつ‥‥どうにか無事だよ」
「まだ終わらないぞ!」
 そう言って3発の光線をゼフィリスに向ける。
 機体の両脇と中央を薙いだ光線は、ゼフィリス機を大破させ、爆発、炎上する。
「無事‥‥です‥‥どうぞ」
「良かった。皆無事か‥‥だが、この借りは返すぞゼオン・ジハイド!」
 光が叫び、生き残っていた全員が連続で攻撃を行う。
 上下左右の死角をカバーし味方に当たらないように気をつけながら。
 ミアがガドリングで動きを牽制する。
 キョーコが試作型G放電装置でキュアノエイデスに大きな隙を作ると、アズメリアがスラスターライフルを撃ち込む。
 AnbarがUKー10AAMをありったけ撃ち込み、光もスラスターライフルで追撃を行う。
 抹竹がブーストしながらツングースカを発射する。
 それを援護するようにヨグが放電ミサイル「グランツ」を放ちキュアノエイデスの周りで強烈な放電現象が発生する。
 頃合を見てゼフィリスがキュアノエイデスに接近し突撃仕様ガドリング砲で弾幕を張る。
 そしてリアがUKー10AAMを撃ち込んで綾がこれも持ってけとばかりに十六式螺旋弾頭ミサイルを放つ。
 それから周太郎がスナイパーライフルRで狙撃し、龍鱗が84mm8連装ロケット弾ランチャーの砲火を放つ。
 歩がオメガレイを全力で打ち込み、アクセルが短距離高速型AAMを放つ。
 そして余分に行動できるキョーコと綾がダメ押しで攻撃を行う。だが――
「‥‥ふっ。フォース・フィールドを強化していなければ危うかったな」
 キュアノエイデスは健在だった。フォース・フィールドを一時的に強化しダメージを抑えたのである。
 だが全身は血まみれであり、青い遊牧民族風の衣装は赤く染まっていた。
「やるな、地球人の諸君。だが、負け戦は私の趣味ではない。撤退させてもらう‥‥」
「させるか!」
 アズメリアがそう叫んで機体を移動させたが時はすでに遅く、キュアノエイデスは瞬間移動で彼方へと去っていた。
 そして飛行しながら逃走していく。
「まて!」
 リアが叫ぶが基地司令からストップがかかった。
 曰く、敵を撃退したので追う必要はないとのことであった。
 墜落した機体に因る被害も甚大である。
「そんな、ここまで追い詰めておいて逃がせだなんて‥‥」
 ミアが抗議するが被害の復旧の方が先だといわれては逆らえない。
 心では納得していなくとも皆一様にKVによる復旧作業に勤しんだ。
 ちなみに撃墜されたKVは同等品のものが新たに支給されたという。


 そして、キメラ闘技場――
「お帰りなさいませ、キュアノエイデス様」
 青い、だが血まみれの遊牧民風の衣装をまとった青年を迎えたのは、天使型のキメラ「アズラエル」。羽根がなければ人間の女性にしか見えない。
「ヒエラクスは元気か?」
 ヒエラクスとはキュアノエイデスが従えている鷹に似たキメラで、伝書鳩のようにメッセージを運ぶという仕事をする。
「はい。餌に捕えた人間を与えておきましたが、すぐに食べ尽くしました。それよりもキュアノエイデス様、そのお怪我は‥‥」
「なに、大事無い。少々人間を舐めていただけだ。すぐに治療する‥‥」
 そう言うとキュアノエイデスは奥の部屋へと入っていった。

 そうしてゼオン・ジハイドの脅威は一時的にではあるが去った。
 だが彼がより強力な機体に乗って現れたときにどうなるのか、それを考えると恐ろしいものがあった‥‥