タイトル:【低・AP】サイバー大戦マスター:碧風凛音

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/14 14:06

●オープニング本文


「※このシナリオはエイプリルフールシナリオです。実際のWTRPGの世界観に一切関係はありません」
「※このシナリオは初心者向けシナリオです。〜15レベルを参加の目安にしてください。もちろんベテランも歓迎しますが、新人さんに胸を貸すつもりで御願します」

 アメリカ――ドローム社。
「大変です。バグアからのハッキングです!」
 それはサーバー管理者の悲鳴から始まった。
「慌てないで。攻性防壁展開、クローラーを集めて!」
 攻性防壁とは侵入者に対して攻撃するファイアウォールであり、クローラーとはネットワークを巡回するワクチンプログラムである。
「ダメです! 第一次防衛ライン突破されました!」
「落ち着いてください。こんなこともあろうかと防衛プログラムを用意しておきました。ただ、能力者でないと動かせないのが欠点ですけどね」
 それは丁度研究所から本社のコンピュータールームに訪れていたAEE所長ジャンヌ・ライラックだった。
「どんなプログラムなのですか、ライラック女史?」
「能力者のエミタと連動して動く仮想のKVです。能力者には電脳世界にダイブしてもらい、このKVを操作することでウィルスと戦闘することができます。クローラーがバイパーに乗った新人兵士とすれば、このプログラムは能力者の所有するKVのデータを読み取ることでそれを反映させることができる、より高度なものです」
「では、至急ドローム社内にいる能力者に声をかけてください。今日も見学が行われているはずです」
 こうして、ドローム社の見学に来ていた君たちは、突如電脳空間でのKV戦を行うことになったのだ。

●依頼概要
小型HW16機に相当するバグアのウィルスプログラムを、新人が乗るバイパーと同程度のクローラー5機の援護を受けながら倒してください。

戦場:電脳空間。遮蔽物等はない16×16スクエアのふわふわとした空間で、空戦形態、陸戦形態いずれでも戦うことができます。ただし武器の射程のルールは適応されます
攻性防壁:16スクエアを超えると、攻性防壁により防御力無視の20点のダメージを受けます。また、その次のターンは行動停止になります。
HWについて:HWの武装はプロトン砲とバグア製ファランクス(1000発中500発の弾丸をばら撒き、ミサイルのダメージを30%軽減します。リロードはありません)。
      HWのAIはそれほど高度ではなく。2機1組で隊列を組まずにバラバラに攻撃を仕掛けてきます。また、電脳空間での特例として慣性制御による高機動はありません。
連携:本シナリオには特殊ルール「連携攻撃」が適用されます。マスターメッセージを参照して下さい。HWも連携攻撃を行ってきますので、気をつけてください。

●参加者一覧

矢神小雪(gb3650
10歳・♀・HD
上条・瑠姫(gb4798
20歳・♀・DG
アーシュ・オブライエン(gb5460
21歳・♀・FC
正木・らいむ(gb6252
12歳・♀・FC
殺(gc0726
26歳・♂・FC
クラウス・ヘルマー(gc1266
22歳・♂・FT

●リプレイ本文

●接続 ―ログイン―
「システムコンプリート‥‥」
「KVを電脳空間に配置します」
「配置完了。それでは傭兵の皆さん、御武運をお祈りします」
 電脳空間上にKVが現れる。そして集まった傭兵たちは戦闘態勢に入った。
「オープン、コンバット!」
 電子音が開戦を告げる。
「オペレーターより各機へ、10秒間完全に行動を停止することで生命力と錬力を30%回復出来ます。ご活用ください」
『了解!』

●ターン1
 ウィルス達は2機1組となって3−2−3と編成を組んで壁際から展開している。
「‥‥何となく、何処かの伝説の島の名前を思い出しますね」
 アーシュ・オブライエン(gb5460)がそう言いながら機動を開始した。
 ランダム回避行動をとりながらHWに見立てられたウイルスに仲間とともに接近して行く。
「敵機、射程に入りましたね〜。小雪、頑張っちゃいますよ」
 矢神小雪(gb3650)がそう言ってトリガーに手をかける。
「クローラーに伝達。援護射撃開始」
「了解! 敵編成中央部に攻撃を仕掛けます」
 殺(gc0726)が指示を出すと、クローラー達は一斉に行動を開始。陸戦形態から長射程のビーム砲を発射する。
 敵編成中央部に位置するウィルスの編隊を一つ撃破し、扇状に陣を展開しながら敵を包囲する体制をとる。
「それにしても、ここまで再現されているのか。すごいな。さて、能力の方はどこまで再現されているんだ?」
 殺は興味津々でトリガーを引き、ツングースカを発射する。
「各機、攻撃タイミングを合わせるぞ!」
 クラウス・ヘルマー(gc1266)がタイミングを合わせながらピアッシングキャノンを発射する。
「全力破壊ーーーー」
 小雪が200mm4連キャノン砲を発射し、3機がタイミングを合わせての連携攻撃となった。
 放たれた弾丸は三方向からウィルスに吸い込まれるように命中し、1機を破壊する。
 破壊されたウィルスは電脳空間の物理法則によってその姿を消滅させられる。
「まだまだ行くよー」
 小雪の叫びとともに第二射が放たれ、それはもう1機のウィルスを破壊する。爆散し霧消するウィルス。
 この一連の攻撃とクローラーの攻撃によって敵の中央に大穴が開く。
 そこに殺、小雪、クラウスからなる攻撃班とは別に編成された分断班が、空戦形態で敵のど真ん中に入り込んで「壁に近い敵」に対して一斉に攻撃を仕掛ける。
「戦場がどこであろうと、わらわが敵をやっつけてやることに何ら変わりは無いのう。覚悟!」
 正木・らいむ(gb6252)が瑠姫が狙ったのとは別のウィルスにアーバレストを至近距離で撃ち込む。
「ロックオンキャンセラー発動。行きます‥‥」
 アーシュが強化型ショルダーキャノンでさらに別のウィルスに攻撃を仕掛ける。
「確かに旧式ですが、戦えない機体ではありません。参ります!」
 上条・瑠姫(gb4798)が翔幻から長距離バルカンを発射する。
 それらの攻撃は敵を倒すには至らないが、敵に圧力をかけて敵の群れを後退させる。
 各機はブーストで戦線を離脱すると旋回して突入に備える。
 そしてウィルスの群れが次々と攻撃を仕掛けてくる。
 2機1組で攻撃班に群がってきたそれらは、正確な砲撃でまず小雪を攻撃する。交差する光条が小雪を捉える。
「くっ!」
 正面から攻撃を受け小雪は若干怯む。だが、果敢に態勢を立て直すと次の砲撃に備える。
 そして別の編隊は殺を攻撃する。やはりこちらも正確極まりない砲撃で殺のKVを射抜く。
「まだまだ!」
 盾で防いだのでそれほど大きなダメージではない。殺は機体の動きを制御し敵に向き直る。
 次の編隊はクラウスを攻撃した。クラウス機の正面を打ち据えた光の束はすぐに爆発に変わる。
「電脳空間での戦闘はやり辛いな‥‥だが!」
 衝撃に耐え、継戦の態勢をつくる。
 第二撃が三人を襲い、光線と爆発が電脳空間に走る。
「殺機、クラウス機。機体の生命力が半減!」
 オペレーターの声がダメージの重大さを告げる。
「俺は補給を受ける。悪いが次は攻撃に参加出来ない‥‥」
 殺がそう言って戦線を離脱する。
「その次は俺が補給を受けさせてもらうぞ」
 クラウスが殺を庇うように軌道をとる。
「ありがたい‥‥」
 殺が礼を言うとクラウスは笑顔で「そんな時のための仲間だ」と答えた。

●ターン2
「クローラー4機は攻撃を継続。残1機は殺の抜けた穴に入れ」
「了解! 攻撃班のサポートに1機回します」
 クラウスがクローラーに指示を出すと、クローラーは2機編成2隊に分かれて、
 殺を追撃しようとしてクラウスと対峙しているウィルスの編隊に攻撃を仕掛けた。
 光の束がウィルスに収束しついで爆発が広がる。
 そして爆散したウィルスが消えるのを待つことなく、クローラー達はもう1機のウィルスに砲撃を仕掛ける。
「‥‥」
 無言で消えていくウィルス。そして、小雪がさらにクローラーに指示を出す。
「クラウスさんを狙ったウィルスに攻撃して。小雪はまだ持つから」
「了解! クローラー、砲撃開始!」
 その指示を受けてクローラーは砲口の向きを変える。そして放たれた光線はウィルスの存在をこの空間から抹消する。
 その間に小雪のファランクス・アテナイがウィルスを攻撃する。
 そして
「いくよ、クラウスさん!」
「了解!」
 クローラーの支援を受けながら小雪とクラウスがクラウスの眼前にいるウィルスの片割れを攻撃する。
 そしてウィルスを破壊すると小雪を狙うウィルスにターゲットを変更する。
「いけ、ファルケン!」
 クラウスがSAMURAIランスで
「黄昏流星、行くよ!」
 小雪が200mm4連キャノン砲でウィルスを攻撃する。
 槍がウィルスを貫き、キャノンの砲弾が装甲をえぐる。
 そこにクローラーの支援砲撃が入りウィルスは存在を保てなくなり消滅する。
 そして次の一撃でもう一機のウィルスを撃墜する。これで敵の前衛は消えた。
「必殺のわらわコンボをお見舞いしてやるのじゃー!! ゆけい、トキシゲ!」
 らいむがウィルスに接近しながら空中変形スタビライザーを起動し変形。
 リッターシュピースでウィルスを貫き放り上げると、跳躍して追撃し、アーバレストを連続で叩き込む。
 そのコンボを受けてウィルスは爆発、四散する。
 コンボが終わった瞬間らいむ機は無防備になる。そこをウィルスが狙ってくる。
「援護します。ライトニング、GO!」
 だがアーシュがそこに割って入り強化型ショルダーキャノンを撃ち込む。
「‥‥そこです。逃がしません。参りましょう、風雅!」
 瑠姫もプラズマリボルバーで援護に入る。
 ウィルスはその一撃を耐えぬくが、すぐに次の攻撃が入る。
「まだまだ!」
「行きます!」
 流石にダメージに耐えられなくなりウィルスは爆散する。
「上条様、今度は別々に攻撃いたしましょう」
「わかりました」
 二人は残る敵を別々に攻撃すると、敵の群れはプレッシャーを受けて後退。攻性防壁に接触しダメージを受ける。
「またせた!」
 そして補給を受けた殺が戦線に復帰する。

●ターン3
「攻撃班、合流致しましょう」
 アーシュの提案を受けて殺と小雪が分断班に合流する。
「補給を受ける。このままだと出番がなさそうだが、とりあえずあとを頼む」
 その動きと同時にクラウスが戦線を離脱して補給を受ける。
「了解!」
 殺がクラウスをカバーするように動き、5機が一斉に行動出来ないウィルスに向かって攻撃を仕掛ける。
 最も高い命中性能を持つ小雪機とらいむ機が同時に攻撃し、ついでアーシュ、殺、瑠姫の順番で攻撃を行う。
 連続で攻撃を受けて注意が分散している敵のすきを狙って命中率を上げる策であった。
 それは期待通りに効果を発揮しウィルスを葬り去る。
 そして続く一撃でもう1機のウィルスを落とす。
「クローラー、残りのウィルスに集中攻撃するのじゃ!」
「了解! 殲滅します」
 らいむの指示でクローラーが残り2機のウィルスに攻撃を仕掛け、
 ウィルスを電子の空間から消し去ることに成功した。そして――

●反転 ―フリップフロップ―
「ウィルス、すべて撃退。フリップフロップ」
 その言葉とともに能力者達は現実世界に戻ってくる。
「ふう。つかれたのじゃ」
「お疲れ様でした。なんとか‥‥なるものですね」
 らいむのつぶやきに瑠姫がねぎらいの言葉をかける。
「いやー、意外と面白かったね」
 小雪が現実世界に戻ってきてそういうと、殺が
「滅多に出来ない体験ができたな‥‥次は無いよなぁ」
 と名残惜しそうに頷いた。
「何とかなったか。バグア共も、これで懲りれば良いのだがな」
 クラウスがそう言って首を振るとアーシュが同意した。
「そうですね。皆様お疲れ様でした。ドロームの方、これでよろしかったでしょうか?」
「ええ、ありがとう。おかげでサーバーを防衛できたわ。
 まあ、次からはもっと防御プログラムを強化しておくようにさせるけどね」
 アーシュの言葉にAEE所長のジャンヌ・ライラックが答える。
「じゃあ、事務の方で報酬を受け取ってください。引き続きドロームの見学をお楽しみくださいね」
 そういえばそうだった。もともと彼らはドローム社の見学に来ていたのである。
 そして本来の目的を思い出した一行は事務に案内されて報酬を受け取ったのであった。