タイトル:【DR☆】漂流戦隊!マスター:碧風凛音

シナリオ形態: イベント
難易度: 難しい
参加人数: 15 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/01/29 05:57

●オープニング本文


 ドラグナイツのメンバーが学校に通っているとき、ぐらりと校舎が揺れた気がした。
 それは錯覚ではなく、激しく校舎が揺れ始め、気がつくとロスの街全体を黒い嵐が取り囲んでいた。
 点滅する信号、各地で発生する交通事故。
 
 ――UPC基地
『時空振動が確認されています。ロスの街全体が、異空間に取り込まれかけてます』
 基地のオペレーターがそう報告する。
「くっ! バグラムの仕業か!?」
『不明です。ですがこのままではロスは孤立します。市民がパニックになる可能性も!』
「UPC出撃。治安維持活動に当たれ!」
「了解です!」
 
 ――学校
「これは、ただことじゃないわね」
 藍・カレンがそうつぶやきながら、体調が悪いと言って授業を抜け出し、UPC基地へと向かう。
 そして、基地にドラグナイツのメンバーが到着したとき、ロスの街は異空間に取り込まれた。

「以上が、今回のコラボの概要だ。キャストの傭兵諸君は異空間に取り込まれた原因、脱出方法、KV☆とドラグナイツの絡み方、悪の組織の暗躍の仕方等、色々考えてくれ。シナリオの形式はいつもどおりだ。また、KV☆メインでの番組のほうも同時に展開するが、時空の歪みで存在自体が分断されたと言うことで話を進めてくれ。両方の世界で脱出しないと本来の姿には戻れないと言う風にだ」
 セルゲイ・グリューンがグリューンムービーのスタッフとイツメパイユのスタッフ、およびドラグナイツとKV☆のキャストたちの前でそう説明する。
 そうして二本の番組の同時進行という異例の事態が始まった。

●参加者一覧

/ 白虎(ga9191) / 瑞姫・イェーガー(ga9347) / クロスエリア(gb0356) / イスル・イェーガー(gb0925) / RENN(gb1931) / 鬼道・麗那(gb1939) / チェスター・ハインツ(gb1950) / 月影・白夜(gb1971) / 烏丸 八咫(gb2661) / 雪代 蛍(gb3625) / ドニー・レイド(gb4089) / シャーミィ・マクシミリ(gb5241) / キャプテン・エミター(gb5340) / 桜井 蒼生(gb5452) / 桂木穣治(gb5595

●リプレイ本文

●ドラグナイツの場合
 ドラグナイツのメンバーが学校に通っているとき、ぐらりと校舎が揺れた気がした。 
 それは錯覚ではなく、激しく校舎が揺れ始め、気がつくとロスの街全体を黒い嵐が取り囲んでいた。 
 点滅する信号、各地で発生する交通事故。 
  
 ――UPC基地 
『時空振動が確認されています。ロスの街全体が、異空間に取り込まれかけてます』 
 基地のオペレーターがそう報告する。 
「くっ! バグラムの仕業か!?」 
『不明です。ですがこのままではロスは孤立します。市民がパニックになる可能性も!』 
「UPC出撃。治安維持活動に当たれ!」 
「了解です!」 
  
 ――学校 
「これは、ただことじゃないわね」 
 藍・カレンがそうつぶやきながら、体調が悪いと言って授業を抜け出し、UPC基地へと向かう。 
 そして、基地にドラグナイツのメンバーが到着したとき、ロスの街は異空間に取り込まれた。 

●KV☆の場合
 KV☆養成所内、情報管理室でアラームが鳴り響く。 
「何事だ!?」 
 情報室長が立ち上がると、端末を叩いていたオペレーターがスクリーンに原因を捉えた。 
「クラッシュ・バグ幹部と交戦中のKV☆α隊です。この場所に、正体不明のエネルギー帯が接近中!」 
「すぐα隊に連絡を――」 
「接近速度が速すぎます! 接触‥‥!」 
 スクリーン全体が眩い光に溢れる。凄まじい共振音が小さくなると共に光も穏やかに薄れていく。 
「KV☆は‥‥どこへ――?」 
 光に呑まれたその場所からは、KV☆はおろかクラッシュ・バグの姿さえも消え去っていた。 

●OP
 何故かKV☆と戦うドラグナイツの映像――
 緑のAUKVと対峙する青のAUKV――
 空間が歪む――
 そんな映像に合わせてスタッフロールが流れる。
 やがてキャストのロールが‥‥

しっと団総帥・白虎/白虎(ga9191
黒木メイ(KV☆ダークルージュ)/柿原ミズキ(ga9347
ブレア・フォックス/クロスエリア(gb0356
空口カケル(KV☆スターインディゴ)/イスル・イェーガー(gb0925
星川 ショウキ(KV☆スターシルバー)/柿原 錬(gb1931
吹雪レイナ(KV☆スターホワイト)、闇野ミサ(ダークエンジェル)、EDテーマ/鬼道・麗那(gb1939
チェスター・ハインツ(緑色騎兵)/チェスター・ハインツ(gb1950
月影・白夜(白色騎兵)/月影・白夜(gb1971
エオス・アイオーン、シルバー・クロウ/烏丸 八咫(gb2661
アリス(KV☆スターシアン)雪代 蛍(gb3625
仮面の幹部カイン/ドニー・レイド(gb4089
時雨アヤメ(KV☆スターオレンジ)/シャーミィ・マクシミリ(gb5241
ニュクス・アイオーン(黒色騎兵)/キャプテン・エミター(gb5340
青野ソラコ(KV☆シャイニングラピス)/桜井 蒼生(gb5452
ドクター・ウォッシュ/桂木穣治(gb5595
藍・カレン(青色騎兵)/サラ・ディデュモイ(gz0210)

特別番組 機装戦隊ドラグナイツ VS 地球戦隊KV☆
     「漂流戦隊 DR☆!」
製作・著作
イツメパイユ グリューンムービー

●シーン1 チェスター
 視聴注意から番組は始まる。
「見るときは離れて部屋明るくしてね。あっ、それと勝手に流したりしたらウィルス送りつけるからそのつもりで、それじゃ始まるよ」
 蛍が視聴注意をして、本編が始まった。

「いったい街はどうなったというの?」
 バグラムの幹部候補ブレア・フォックスが、男物の黒のスーツにカウボーイハット、サングラスに腰のホルスターには二丁拳銃というスタイルで、街の状況を確認していた。
 と、一人の少年が倒れているのを見つける。緑色の髪、傍らには緑色のバイク。
「あれは‥‥ドラグナイツ、チェスター・ハインツ!?」
 一瞬身構えるもこちらの顔は相手に知られていない。バグラムと知られずに接触することは可能なはずだ。そう思いチェスターを揺り起こしてみる。
「ん‥‥ここは?」
 意識を取り戻したチェスターだが、様子がどうも変だ。
「僕は‥‥だれだ?」
(「‥‥記憶喪失? これはチャンスかも」)
 ブレアはそう考えるとサングラスをはずしてチェスターに声をかける。
「さあ、君、私の目を見て‥‥」
 ブレアの目の色が青から黒に変る。
「うう‥‥」
「大丈夫、安心して、私は君の“仲間”だよ」
 ブレアの『魔眼』の力の発動だった。
 記憶を失ったまま、洗脳されるチェスター。
「さあ、ゲーム、スタートだ」
 ブレアの囁きに目が虚ろになりながら、AUKVを纏うチェスター。
「俺は、お前の、仲間だ」
「そうだ、いい子だチェスター・ハインツ。私はブレア・フォックス。これから君をバグラムへ案内しよう」
 そう言うとブレアはバグラムの超技術で空間転移した。

●シーン2 KV☆
「ここは、一体‥‥どうやら今まで居た場所ではないようだけど」
 最初に気がついたのはアリスだった。
「なになに? 此処は何処‥‥」
 次に気がついたのは時雨アヤメ。だが彼女の突然見知らぬ街に来てしまった戸惑いは一瞬で終わった。
「っと、此処は何処か探るのが先かぁ」
 そんなことを言いながら探索に出るアヤメ。どうやらこの状況を楽しんでいる模様。
「ここはどこだ‥‥んっなんか変な感じが‥‥なんでこんな格好してる‥‥頭が」
 黒木メイが気がつくとメイは人とキメラの融合体という姿になっていた。そして気がついたところにもうひとつの記憶が流れ込み、倒れこむ。
「メイ姉さん!?」
 空口カケルが慌ててメイに駆け寄り、支え起こす。
「メイ姉さん、大丈夫?」
 そこはかとなく違和感を感じながらカケルがたずねる。
「あ、カケルか‥‥大丈夫。ちょっと混乱しただけだ。それより、あれをみてみろ」
 メイが指を刺すと、そこには山があり、その山の中腹にはHollywoodの文字が。
「ハリウッド? ここはアメリカ?」
 カケルが事実を確認するように呟く。
「ああああああああ!」
 腰まで伸びた黒髪の、凛とした少女が叫ぶ。
 そして気を失いかけて倒れそうになるが何とか持ちこたえる。
「うん、ここは‥‥って、私こんな‥‥って‥‥そう言うことか」
 彼女は星川 ショウキ。KVテクターの開発者の一人、星川博士の一人息子‥‥なのだが?
「どうやらエネルギー帯の影響で別の平行世界に飛ばされて、存在が変化したって事か。でも、それだけなんて事ないよね」
 どうやら性別が変ってしまったらしい。
「ああ、話し方まで女の子に成ってるし‥‥」
 その場にへたり込むショウキ。
「あなた、誰?」
 アヤメがショウキに尋ねる。
「アヤメ、私がショウキだよ」
「ええええええええ!」
 驚いた。
「落ち着いて聞いて。ここはおそらく自空間が捻じ曲がった世界なの。そして、存在も捻じ曲げられてしまった。だから私は女の子に‥‥」
「すっごーい。本当にショウキだ。胸も本物だね」
 そう言ってショウキの胸を揉むアヤメ。
「あっ‥‥やめ‥‥って、やめなさい!」
 アヤメを振り払うショウキ。
「性格まで変ってる」
「そう言うアヤメもちょっと変だよね」
 アリスがそう言うと、ショウキが「みんなそれぞれ何らかの影響は受けたんだと思う」と答えた。
「正確に言えば私は星川 ショウキであって星川 ショウキでない。平行世界の同一存在みたいなものね」
 なるほど、と皆が頷いていると、遠くから駆け寄る姿があった。
「みんなー」
「レイナ!」
 それはKV☆の一員吹雪レイナの姿であった。
「まいったわ。私だけ遠くに飛ばされるんだから」
「お疲れ様。えっとね、かくかくしかじかで‥‥」
 ショウキの説明の受け売りをレイナにする青野ソラコ。
「なるほど。それでメイもあんな姿に‥‥」
「まあ、みんな無事でよかった。クラッシュ・バグがどうなったかは不安だが」
 そのメイが安堵の表情で告げる。
「そうだね。でも、どうやって戻ればいいんだろう」
 アリスが不安を表す。
「アリス‥‥きっと大丈夫だよ」
 ショウキがアリスを抱きしめる。
「ショウキ‥‥女の子のショウキってなんかへん」
「そうだね。って、この音は何?」
 かすかに聞こえてくる爆発音。音の源を探してみれば、そこには煙が上がっていた。
「大変! 爆発だ!」
「いってみよう!」
 ショウキの言葉に、カケルが提案する。
「賛成!」
 メイが賛同し駆け出す。

●シーン3 地球パワー、セット!
 KV☆の面々が駆けつけると、そこには街を攻撃する謎の組織と、緑色の鎧のような特殊装備を着込んだ幹部らしき少年。そして黒のスーツにカウボーイハット、二丁拳銃を撃ちまくる女がいた。
「やめろ!」
 ソラコが叫ぶ。
「何者!?」
「あたしたちは地球戦隊KV☆STAR。地球(テラ)パワー、セット!」
 変身を始めるソラコ。
「光り輝く翼で闇を裂く、シャイニングラピス見参!」
「暗雲切り裂く一陣の光KV☆スターオレンジ!」
 アヤメが変身する。
「蒼き電子の守り手スターシアン!」
 アリスが変身する。
「煌く光は王家の証、絶対王聖スタープリンセス!」
 レイナが変身する。
「天翔る不屈の銀狼スターシルバー!」
 ショウキが変身する。
「‥‥スターインディゴ」 
 カケルが変身する。
「闇をもって悪を狩る黒き雷光暁の翼ダークルージュ」
 メイが変身する。
「正義の翼で悪を討つ。地球戦隊KV☆STAR!!」
 それぞれにKVをモチーフにした特殊戦闘スーツKVテクターに身を包んだ戦士たちだ。
「ベイオネット!」
 カケルが武器を取り出す。銃剣付きライフルの形状をした武器で、近距離から遠距離まで幅広い距離での対応能力に優れている。
 アヌビスをモデルとした、藍色の装甲をしているKVテクターを纏ったカケル、いや、スターインディゴが雑魚に向けてライフルを乱射する。
「メイ姉さん、援護する‥‥!」
 その援護にメイが答え、前に出て二丁拳銃の女に攻撃を仕掛ける。
「ダークグレイブ!」
 シュルテンとファームライドが融合したようなKVテクターを着けたダークルージュはグレイブを回転させ、地上から衝撃波を打ち上げる。
「レイジングサイクロン!」
「うわああああああ!」
 衝撃波に吹き飛ばされる二丁拳銃の女。
「‥‥お前たちも敵か‥‥なら、消えろ‥‥」
 緑色の少年がガトリングを乱射する。
「スターアックス!」
 オレンジのノーヴィ・ロジーナに緑のラインが入っているテクターを纏ったスターオレンジは、ガトリングガンを撃ち続ける緑色の鎧の少年に斧を持って切りかかる。
「R−45!」
 短めの戦斧だったそれが柄の部分が延び、斧に取り付けてある推進装置を脳波で操って軌道を変える。
 緑色の鎧に火花が散る。
「くっ!」
 少年がうめく。
「チェスター、こんなの予定外だ。撤退するよ!」
 二丁拳銃の女が叫ぶと、チェスターと呼ばれた緑色の鎧の少年が頷く。
「‥‥まぁ弾も少なかった。丁度いい頃合いか」
 そして女が合図をすると、謎の組織は虚空に溶け込むように消えた。
「なんだったの? あの組織は‥‥」
 ショウキが呟く。すると入れ違いに、先程の少年と同じ装備を着た武装集団が現れた。

●シーン4 バグラムとクラッシュ・バグ
 ロサンゼルスの某地下施設。そこにバグラムの前線基地があった。
「――ということは、この時空の異常現象は君たちの新装備の実験の結果だと?」
 黒いスーツとマントを着用し、青い瞳を持った紳士然とした男ドクター・ウォッシュが、バグラムの基地でそう言った。
 バイザー状の黒い仮面を被り、表情を隠すバグラム高級幹部カインがドクターの言葉に答える。
「その通りだ。空間を制御しエネルギーをやり取りする装備‥‥いわば質量保存則やエネルギー保存則を凌駕する新兵器だったのだが‥‥」
「街ごと異空間に取り込まれるという思わぬ副作用を発揮したのさ」
 カインの言葉をブレアが引き継ぐ。
「なるほど。それで時空転移か。おかげでわたしとクローン体が引き離されてしまったわけだ。君たちの技術には興味がある。魔獣や戦闘員は好きなように使うといい。私も出来うる限りのことはしよう。その代わり、君たちに持つ技術や知識などは提供してもらうよ」
「空間転移技術から、ユダの技術まで、好きな技術を持っていくといい。自力で空間転移を出来るようになったら、好きなときに帰ってくれてかまわない」
「それはありがたい。では、早速資料を見せてもらおう」
 そう言うとドクターは研究に没頭し始めた。それが数時間前。

「なるほど。空間転移技術とKVの技術は大体自分のものに出来た。感謝する。ところで、そのモニターを見ると街中でKV☆が戦っているようだが何があった?」
「ドクターの敵が戦っているのは、我々の宿敵ドラグナイツだ。ここにいるブレアがドラグナイツの幹部を洗脳して街を襲わせたからな、おそらくそれによる誤解が発生しているのだろう。最も、KV☆とやらの中に我等の同志がいたようなので、彼女が戦闘を煽った可能性もあるが」
「面白い。ではトラバグラを貸そう。両方まとめて叩いてきたまえ」
「‥‥了解した」
 そう言ってドクターは虎の姿をした魔獣を呼び出すと、それをカインに預けた。
 カインは戦闘員とトラバグラを率いて空間転移をした。

●シーン5 KV☆ VS DR
 月影・白夜は飛ばされた直後から周囲の状況を把握しようと冷静に努めていた。
「この現象は‥‥」
 白夜はこの現象を調査するのに、遂に完成したより高知能で自動性も高く、感情表現も豊かな、ある種各ドラグナイツの相棒と呼べる存在となるかもしれないAIシステム『SAI』(Support Artificial Intelligence[支援人工知能])と立体映像技術を複合させて生み出したサポートシステムを呼び出した。
「フェンリス、分析のバックアップを頼みます‥‥」
『了解、白夜、任せて』
 銀髪碧眼の長髪、黒いコートを着て身体の各部位に銀の機械的なアタッチメントを付けた年の頃13の少女の、十数センチの映像が白夜の周りを飛び回る。
 フェンリスと呼ばれたAIの少女はうれしそうに微笑むとデータを解析し始める。が、時間を置いてから解析不能との結果が出る。
『ごめんなさい白夜、役に立てなくて‥‥』
 申し訳なさそうに言うフェンリス。
『でも、戦闘らしき現象は補足したよ、6時の方向10km先』
「了解。カレンさん、ドラグナイツを指揮してください。状況の把握に向かいます」
「わかったわ。ドラグナイツ各員へ、戦闘準備。発進!」
 カレンが新生ドラグナイツを率いて基地から出発する。何台ものバイクが、爆音を上げながらロスの街を走っていく。そして、ついに出会ってしまった。
「止まれ!」
 カレンが指示をすると、そこには謎のスーツを纏った集団がいた。周囲には戦闘の爪痕。
「装着!」
 カレンの指示に従いAUKVを装着する隊員たち。
「君達は‥‥」
『誰なのよ!?』
 白夜が警戒気味に近づく。
「あんたたちこそ何者さ? 見たところさっきの街を攻撃していたやつらと同じ装備みたいだけど?」
 ソラコの言葉にドラグナイツたちは色めき立つ。
「AUKV? だとしたらバグラム? とは言えあなたたちが不正に戦闘をしたということは間違いないようね」
「不正に戦闘!? おいらたちはこの街を守っただけだぜ」
 カレンの言葉にソラコが怒りの色を見せる。
「あなたたちこそ怪しいわね。さっきの敵の幹部と同じ装備だなんて。みんな、かまうことはないわ。やってしまいましょう」
 レイナが煽る。
「そうだね‥‥何者か知らないけど、連中と同じ装備なのは怪しい。しかも大量」
 カケルが同意してベイオネットをドラグナイツたちに向ける。
「おとなしく同行するなら手荒な真似はしないわ。でも、抵抗するなら痛い目を見てもらうわよ」
「いいじゃない、やって御覧なさいな」
「ちょっと、レイナ‥‥」
 ショウキがとめるがレイナはヒートアップするばかり。
「バーニング、ナックル!」
 言い争いの果てにレイナの拳が飛んだ。
「きゃああああ!」
「カレンさん!」
 白夜が叫ぶ。
「やってくれたわね。総員、撃てーっ!」
 ドラグナイツたちがアサルトライフルを発射する。ダメージを受けるKV☆の面々。
「くっ! 今へ繋がる全ての精霊よ、未来を紡ぐため力を与えたまえ!」
 翔幻をモチーフにしたスカイブルーのグラデーションのテクターのソラコことシャイニングラピスが呪文を唱える。クリスタルステッキに力が集まる。
「エインシェント・ウィッシュ!」
 それは邪悪なる物を封印するための古代魔法。古からの全ての精霊の力を集中し、悪を封印する。だが‥‥
「そんな! 効かない!? 彼らは邪悪ではないの!?」
 それどころかその力は暴走したのかレイナめがけて襲い掛かる。
「きゃあああああああああ!」
 苦しむレイナ。
「なんで? レイナが邪悪?」
 慌てて技を解除するソラコ。
「くっ! やってくれたわね!!」
 レイナがソラコを睨む。
 一方そのしばらく前――

●シーン6 白銀の魔女姉妹
 ニュクス・アイオーンはUPCの仕官としてドラグナイツの上役的立場にいた。それはとりもなおさず軍の指揮権の一部を担っていることであり、この時空異常の現象による市民の混乱をおさえる為の治安維持に尽力することとなった。
 そしてエオス・アイオーンは能力の使いすぎと存在がEDOの世界とに二分されたことにより白銀の魔女としての力が弱まっていたが、それでも魔女の力で幻視した現状の危うさに感づき、二人はほぼ同時にKV☆とドラグナイツの戦闘の場に向かった。
 そして――
「ダークキャット、おやめなさい。彼らは敵ではありません」
 右目を覆い隠す革の眼帯、露出度の高い体にフィットしたアーマー、レザーグローブにレザーブーツ。そして整った美貌と白銀の長髪。それがバグラムの元幹部シルバー・クロウにして白銀の魔女エオス・アイオーン。
 そのシルバー・クロウとしての存在の部分が、ダークキャットの同一存在黒木メイに語りかける。
「‥‥シルバー・クロウ‥‥さま?」
 メイが困惑する。融合したもう一人の自分の記憶が、彼女は自分の主人だと告げていた。
「どうやら、私の知っているメイとは違うようですね‥‥何か気迫が違う。それでもあなたはメイです。私のことが分かるならば、争いをやめなさい。双方争っても無益なだけです」
「はい‥‥」
 メイが答えて戦闘の手を止める。
「遅れましたっ。市民の避難は無事に完了です。皆さん、我々は敵ではありません。むしろ味方同士といってもいいでしょう。すぐに剣を引いて、戦いを収めてください」
 存在が偏って二分割され、『ADR−2アロンダイト』の力と『無邪気で感情的な子供っぽい部分』がEDOの方へ行き、こちらには『ドラグナイツの力』と『誠実で理性的な大人な部分』の残った状態のニュクスがそう訴える。
 外見も髪が腰まで伸び、顔立ちも大人らしくなっている。
「ニュクス!」
「友人の変りようをみてカレンが驚く」
「このままでは危険です。このままの状態が続けば‥‥この世界だけでなく、重なり合うもう一つの世界まで破滅が訪れる事になります‥‥すぐに戦いをとめてください!」
 ニュクスが訴えるが、レイナが「うるさいわね」といって攻撃をしてくる。
「くっ! やめてください!」
 ニュクスは静止するがレイナはとめようとしない。
 そこにバグラムとクラッシュ・バグが現れた。

●シーン7 三つ巴
 空間転移で突如現れたバグラムとクラッシュ・バグたちは側面から戦っているドラグナイツとKV☆の面々を奇襲し、大きな戦果を挙げた。
「くっ! バグラム‥‥お前は!」
 仮面の戦士にカレンが驚く。
「クラッシュバグまでいるよ!」
 アリスがトラバグラを認めて叫ぶ。
「どうしよう、メイちゃん」
「かまわない。敵なら叩き潰すだけだ」
 アリスの問いかけにメイはあっさりと答える。
「白夜、どうなってるの?」
「フェンリス、解析を」
『了解、白夜』
 解析が終了するとフェンリスは白夜の肩にとまりながら言った。
『あの虎の化け物は、KVの格好をした人たちと同じ時空に属する存在だという分析結果が出たわ。でも、あの人たちの中にもこの時空に属する存在がいるようね』
「どういうこと、フェンリス?」
『わからない。ただ、時空の歪み率から計算するとあっちの人たちの中に私たちと同じ時空に存在していた人がいるようよ』
「なるほど‥‥それ聞いて大体分かった」
 ふと気がつくとソラコが白夜とフェンリスの会話を聞いていた。
「どうする、レイナ?」
「敵が増えたのなら、纏めてやっつけてしまえばよろしいのでは?」
 ソラコの言葉にそう答えるレイナ。
「やっぱりな。レイナ、お前はレイナじゃない。偽者だ!」
「な、何故だ? 何故この私が吹雪レイナでないと解ったのだ!?」
「考えてみたらこの戦闘の引金になったのは、レイナのバーニングナックルだ。それに、本物のレイナはそんなに胸が大きくないはずよ!」
 もちろん本当は大きいのを知っていてカマをかけたのである。本物だった場合への意地悪も含んでいる。
「そんな‥‥胸でばれるなんて。最も、私が吹雪レイナの同一存在であることには違いないんだけどね。まあいい、此処が貴様らの墓場だ! 魔界より来たりし暗黒の女神ダークエンジェル、闇野ミサ参上!」
「またここで出会うことになろうとは、ミサ!」
 エオスは空中からミサに奇形剣を振るう。
「甘い!」
 しかし力の弱くなったエオスの攻撃はかわされてしまう。
「クックック‥‥お前たちに面白いことを教えてやろう」
 突如仮面の戦士が語りだした。
 戦闘が中断される。
「お前たちがなぜここにいるのか? 次元の違う存在に住むはずの、決して出会うことのないものたちがなぜ出会ったのかを」
 仮面は語る。新装備のこと。実験のこと。時空移転のこと。そして――
「元の世界に返りたければ俺が持つ、この異空間とエネルギーをやり取りする装備を壊し、その後で時空を操作するしかない。ま、お前たちにそんなことが出来ればの話だが‥‥それが出来なければ時空を操れないお前たちはやがて存在そのものが消えてしまうことになる」
 そして高笑いする仮面の戦士。
「この‥‥声は‥‥」
 ニュクスが驚きの声を上げる。
「祥龍‥‥さん?」
「知らんな。俺の名はカインだ。さあ、いけ、トラバグラ。KV☆共を叩きのめせ。ドラグナイツの諸君は俺が直々に相手をしよう」
「ドラグナイツ、共同戦線を引くよ」
 メイが語りかける。
「成程、フェンリス‥‥」
『了解。機装戦隊ドラグナイツと地球戦隊KV☆STARはこれより共同戦線を展開します』
 奇襲で大きな成果を挙げたバグラムとクラッシュ・バグだったが、ヒーローたちの共同戦線により劣勢に立たされてしまう。
 仮面の戦士カインは素早い動きから徒手空拳での攻撃を繰り広げドラグナイツの相手をしていたが、トラバグラを倒したKV☆の攻撃を受けてダメージを負い、生き残った戦闘員を引き連れて空間転移で消えてしまう。
「ふう‥‥何とかなったわね」
 カレンが溜息をつくと、アヤメが「何とかなったのは良いけどお腹がすいたぁ」と呟いた。
「では皆さん、私の喫茶店に来ませんか? メイ、ニュクス、あなたたちには手伝ってもらいますよ」
 エオスがそう言うと、メイがうなずいた。
「あんたが、エオスか。オレは黒木メイだ。ダークキャットの同一存在とか言うやつだ。身体は多少違うけどな。よろしく頼む」
「姉さん、何で私まで」
 ニュクスが抗議をすると
「貴女が一番あの喫茶店のことを知っているのですから。ドロマイトから引き継いだ喫茶店ですが、私はまだまだ慣れていませんからね」
「分かりました。お手伝いします‥‥ああ、それにしてもあっちの世界の私はなんてことをやっているんだろう‥‥」
 成長して強くなった白銀の魔女の力で、別世界の自分のことを幻視して頭を抱えるニュクス。
 そして誤解が解けたヒーロー一行は、エオスが経営する喫茶店で作戦会議をすることになった。

●シーン8 しっと団
 ロサンゼルスを裏で取り仕切るギャング「しっと団」。その総帥は齢10歳のカオスなお子様白虎。将来の夢は世界征服――である。
「くっくっく、面白い展開になったのだにゃー。あのヒーローに怪人たち。あいつらの力を取り込めれば世界征服も夢ではなくなるにゃー」
 白虎はそう言うと部下に命令をした。
「戦闘のあった地域から残骸を回収してくるのだにゃ」
 そしてテクターの破片やトラバグラの残骸、UPCにハッキングして入手したAUKVの設計図を元にオリジナルの武装の開発を始めた。
 ハッキングした際に攻性防壁や攻撃型のウィルスに逆探知されかけたが、プロクシサーバーを置いてある拠点を物理的にサーバーごと破壊したので、追跡は免れている。恐るべきかなしっと団。
「あいつら同士で潰しあってくれるとは好都合。最後に笑うのはこの僕だにゃー☆」
 白虎は一人ぶどうジュースが入ったグラスを手にしながら笑うのだった。

●シーン9 喫茶店
「で、緑色のAUKVVだっけ? それを着たのが敵にいたから、てっきりあなた達も同類かと思っちゃったのよね」
 アヤメがそう語ると、ドラグナイツのメンバーが反応した。
「緑のAUKV!? もしかして人相は‥‥」
「そう、そんな感じ」
 KV☆の面々の証言から、それがチェスターであることはほぼ確定となった。
「何でチェスターが‥‥」
「闇野ミサは洗脳能力を持っています。彼女に洗脳されたのではないでしょうか?」
 エオスがそう告げる。カレンの夢の中に現れた闇野ミサは、学園の番長を操って謀略を仕掛けてきた。
「それにしては気にかかるのが彼女が最初KV☆の中にいたことよね。チェスターを洗脳する暇なんてあったのかしら?」
 ニュクスが大人びた口調でそう言うと、白夜が
「チェスターさんと一緒にいた二丁拳銃の女が気になりますね」
 と呟いた。
「なるほど。そっちの線もありね」
 とアリスがその呟きに答える。
「エオスさんおかわりお願いします」
 存在が転換したのと同時に無類の甘い物好きになったショウキがエオスにおかわりをねだる。
「糖分を補給して、頭をさえさせないとね」
 というが実際のところはどうなのだろうか?
 と、その時、ニュクスの通信機が緊急コールを受信した。
「大変だ。基地が何者かに襲われている。至急援軍を‥‥」
「まさかバグラム!?」
 カレンが慌てて席を立つ。
「クラッシュ・バグも一緒かも」
 カケルが立ち上がる。
「姉さん!」
「分かっています。行きましょう、ニュクス」
 ニュクスとエオスが給仕の手を止めて戦闘準備に入る。
「KV☆のみんなはドラグナイツのAUKVの後ろに乗って。ドラグナイツ、発進準備」
『了解!』
 そうしてヒーローたちが喫茶店を後にした。

●シーン10 しっと団 VS ヒーロー
「にゃーっはっはっはっは、それそれ! この擬似テクターがあればUPCなんてこわくないのにゃー」
 白虎が急造した試作型の擬似テクターを身につけた部下を率いてUPC基地に攻撃を仕掛けていた。
「そこまでだ!」
 白夜が叫ぶ。
「何者かは知らないけど、基地で好き勝手はさせないわよ」
 カレンが吼える。
「職責を持って問う。貴公等の所属を明らかにせよ」
 ニュクスがあらゆる周波数の無線を使ってたずねる。
「にゃーっはっはっは。我々はしっと団。UPC基地はいただくのにゃー」
 白虎が答える。
「くっ! こんなときに新たな敵だなんて」
 カレンがそうこぼすとメイが
「気にするな。悪の組織なんてのはゴキブリと同じだ。1匹いたら20匹はいると思えばいい」
 と慰めにもならない言葉を発した。
「とにかく、こちらの軍のようですから、味方しないとねー」
 アヤメがのん気に言う。
「じゃあ、いきましょうか」
 ショウキが言う。
「メイ姉さん、援護は任せて」
 カケルがそう言うとメイは笑って頷いた。
「それじゃあ、悪は成敗しないとね」
 ソラコが飄々とした口調で言う。
「うん。行こう、みんな」
 アリスが頷いた。
 そして擬似テクターのしっと団との戦闘が始まる。
 急造したにしては戦闘力はオリジナルにも劣らない。だが、操り手の熟練度が違った。次々と倒されていくしっと団の闘士たち。
「くっ! ヴァリアントクロー!」
 白虎が、トラバグラが生来持っていた爪を拳に装着させていた。そしてそれは手から引き抜くと長く伸びて日本刀のような形状になる。
「くらえ! ヴァリアントスラッシュ!」
 左右の爪から次々に刀を生成し、アリスめがけてそれを投じる白虎。
 だがそれはメイが庇うことでメイのテクターに突き刺さる。
 そして白虎はそのままジャンプして上空からメイに向かって太刀を振るう。
「させない!」
 それをカレンが盾で阻む。
「今だ! 必殺、シューティングスターチャージ!」
 ショウキことスターシルバーが、ヘルヘブン750のテクターを身にまとい、白銀のオーラを纏いながら二股のエネルギー槍で高速体当たりを仕掛ける。
「ふにゃぁぁぁぁ! 覚えてろ、KV☆、ドラグナイツ〜」
 ドップラー効果を残しながら白虎は爆発して飛んでゆき、星になる。
「ふう‥‥終わったわね」
 カレンがそう呟くと
「残念ながら、これからが始まりだ‥‥」
 と、どこからか声がする。

●シーン11 ラストバトル
「カイン!?」
 白夜が叫ぶ。
 そしてバグラムの戦闘員とキメラ、クラッシュ・バグの戦闘員と魔獣、チェスターにブレア、ミサ、カイン、そしてドクターが空間転移で突然現れた。
「チェスター!」
「そうだ。チェスター・ハインツだ。もっとも、今は私の仲間だけどね」
 カレンの叫びにブレアが囁く。
「どうやらチェスターさんを洗脳したのは彼女で間違いないようですね」
 白夜が呟く。
「今度は弾切れはない‥‥全員ここで消えろ‥‥」
 チェスターは装着式超機械を装備しながら、冷酷に呟く。
「ゲーム、スタートだ」
 ブレアがそう告げるとチェスターがカレンに向かって飛び出す。
「くっ!」
 盾でその攻撃をかろうじて受け止めるカレン。
「チェスター、目を覚ましなさい!」
 カレンが叫ぶが、その叫びは届かない。
「死になさい、ドラグナイツ!」
 ミサが電気鞭を振るいドラグナイツの戦士に攻撃を仕掛ける。錬度の足りない新米メンバーがその一撃で倒れる。
「くっ! ドラグナイツ、射撃用意。撃てーっ!」
 ニュクスがチェスターの相手で指揮を取れないカレンに代わって、ドラグナイツを指揮する。アサルトライフルの一斉射撃がカインに向けて放たれるが、カインは目にも留まらない脚力でその攻撃をかわし、一気にニュクスの元に駆け寄る。
「無駄だよ」
 カインの拳を十手刀と機械剣で受け止めると、ニュクスは「祥龍さんでしょ?」とたずねる。
「知らないといっている。俺はカインだ」
 だがカインは冷静に拳を振るい続ける。
「やあKV☆の諸君。君達も元気そうでなによりだよ」
 ドクターが旧知の友に挨拶するように言う。
「お前は誰だ!?」
 メイの問いかけに、ドクターはさわやかに答える。
「私のことはそのうち知ることになる‥‥無事にここを脱出できたらだがな!」
 ドクターは体内で発生させた電気を手から放ちKV☆全体に攻撃する。
「スパークミスト!」
「うわあああああ!」
「きゃあああああ!」
 KV☆の面々は大きなダメージを受ける。
「ダークサイズ!」
 ダークルージュは鎌を取り出すとどす黒い電流を鎌に発生させ、ドクターに切りかかる。
「ダークマッシャー!」
「ぐう!」
 ドクターはダメージを受けると後ろに下がって戦闘員と魔獣に命令する。
「かかれ!」
「エッジファランクス!」
 スターインディゴはベイオネットからの銃弾を一点に集中して着弾させ、相手を貫く。
「シューティングスターチャージ」
 スターシルバーは槍と体当たりの連続攻撃で敵を駆逐していく。
「スターハンマー!」
 光の三原色にペイントされたサイファーのテクターを纏ったスターシアンのハンマーが、白銀に輝きながら巨大化し、重力の一撃で敵の群れをなぎ払う。
「フォトンスイング!」
「R−45!」
 スターオレンジの戦斧が複雑な軌道を描いて数人の敵を纏めてなぎ払う。
「シャイニング・ブルー・レイ!」
 シャイニングラピスの短波長の光線での攻撃が敵の群れを打ち払う。
 KV☆の必殺技の連続攻撃でクラッシュ・バグの戦闘員と魔獣はほぼ全滅する。
「おっと、これ以上ここにいるのは危険だな。まだ調べ足りないが仕方あるまい。お先に失礼するよ」
 ドクターはそう言うとマントを翻し、バグラムから学んだ技術で一人時空を脱出した。
「ミサ、やらせませんよ!」
 エオスは奇形剣を振りかざしミサと戦う。ドラグナイツのサポートもあって互角に戦っているが、やはり半減した力では戦闘の継続は厳しく、窮地に陥る。
「させません」
 そこに白夜が槍斧を操りミサを逆に追い詰める。
「とどめです。光の竜よ!」
 白夜は光の竜を発動させるとミサに止めを刺した。
「おのれぇ‥‥あと少しという所を‥‥」
 ミサは爆砕し、その生涯を閉じた。
「チェスター、思い出して。あなたの仲間は、あたしたちよ!」
 カレンはチェスターの攻撃を受けながら、必死に説得する。
 カレンはネックレスを取り出すと、それを見せ付けるようにしてチェスターに言った。
「覚えてる? このクロス。あなたがあたしにくれたクリスマスプレゼントよ。これをもらったとき、あたしがどんなに嬉しかったか分かる? あなたはどんな気持ちでこれを送ったの? ねえ、返事をして、チェスター!」
 カレンの必死の叫びに、チェスターの動きが止まる。
「クロス‥‥クリスマス‥‥プレゼント‥‥カレン‥‥」
 ガラスが砕けるような音が聞こえた気がした。
「‥‥っ‥‥僕は一体何を?」
 洗脳が、解除された。
「‥‥カ、カレンさん!? ‥‥すいません、僕のせいで‥‥」
 状況を把握し、カレンに謝罪するチェスター。
「いいの。あなたが戻ってきてくれたから‥‥」
 ぼろぼろになりながら呟くカレン。
 チェスターは敵に向き直り、珍しく怒りをあらわにしてブレアに殴りかかる。
「‥‥この落とし前はつけさせてもらいますよ!」
「くっ! 魔眼‥‥」
「遅い!」
 ブレアは魔眼を使おうとするが、その前にチェスターに殴られる。
「くあああああああああっ!」
 深手を負うブレア。
「くっ‥‥チェスター君、またね♪」
 空間転移をして消えるブレア。
 カインと切り結ぶニュクスは、機械剣と十手刀でカインの両腕の手甲を破壊する。
「くっ! 装置が破壊されたか‥‥撤退する」
 カインは表情を歪めて、虚空へと消える。
『光の、竜よ!』
 4人は光の竜を発動させると、バグラムの戦闘員やキメラを一掃する。そして戦闘は終了した。

●シーン12 脱出
「さて、問題はどうやって脱出するかですね」
 白夜の呟きに、メイが答えた。
「オレが次元の壁に亀裂をあける。そこを光の竜で破壊してくれ」
 どうやって、とは言わない。だがヒーローたちはメイに一任することにした。
 そしてメイが融合している自身の存在を二分割して次元の壁に亀裂をあける。一歩間違えば命を落としかねない危険な行為だ。
「メイ姉さん!」
 カケルが悲鳴を上げるがメイは首を振る。
「オレは構わないそれにもう一人もきっとそうするだろうからな。絶対成功させてやる敵味方関係無くな」
 そう呟くが、吐血し倒れそうになる。
「‥‥一人で無茶は禁止‥‥じゃなかったっけ? メイ姉さん」
 吐血しながらふらつく彼女を支えつつカケルが言う。
「姉さん、大丈夫!!」
 ショウキが叫ぶ。
「カケル、ショウキ気にするな‥‥オレはまだやれる」
 吐血しながらふらつく脚を抑え、立ち上がる。
「うおおおおおおおお! 今だ、ドラグナイツ!」
『了解! 光の、竜よ!」
 四人は一体化して光の竜になり、メイがあけた亀裂を更に広げる。
(「それにしても無茶をする。自分を投げ出すことに迷いを感じない‥‥しかし、何故そこまで」)
 エオスがメイの自己犠牲に驚きながら、考えをまとめる。
 光の竜を解除した4人が、座り込む。
「ニュクス、今のあなたの力と私の力を合わせれば、ロスごと転移させることも出来るはず。いきますよ」
「はい、姉さん」
『永遠の力よ、白銀の魔女アイオーンの名の下に、今ここに顕現せよ!』
 アイオーン=永遠の力がロスの町全体とヒーローたちを包み時空を超える。
「さようなら、みんな‥‥」
 最後にアリスの声がドラグナイツの世界のメンバーの耳に残った。

●エピローグ
「EDOのほうも何とか片付いたみたいだね」
 ニュクスが力を取り戻した姉に問いかける。
「そうですね。あなたには手を焼きました」
「それを言わないでよ‥‥」
 平和が戻ったロスの街。そこで人々は普段の暮らしに戻りながら明日の行く末を考えていた。

●ED
鬼道・麗那のボーカルで、EDテーマが歌われる。

ブレイブハーツ
諦めるな
ブレイブハーツ
苦しい時も拳握って立ちあがれ
勇気は正義
熱い魂(ハート)呼び覚ましたら
君がヒーロー

特別番組 機装戦隊ドラグナイツ VS 地球戦隊KV☆
     「漂流戦隊 DR☆!」
製作・著作
イツメパイユ グリューンムービー